説明

吹出口ユニット

【課題】 本発明は、クリーンルーム等に使用される超高性能フィルタを装填するための筐体で、汚染源である粉塵滞留と、限りある資源である材料使用量・加工上のエネルギーを抑制した吹出口ユニットである。
【解決手段】フィルタ固定用の取付け金具(1)を筐体外に外装しフィルタ(8)と筐体内寸法との空間(9)を最小限にすることで汚染気流の滞留を最小にすることを可能とし、フィルタと筐体とのシール部は、面接触でなく線接触となるような構造の受け金具(2)とすることでフィルタ並びに筐体各部材への押圧力を最小限に抑えることが可能となり筐体・各部への荷重を最小限にすることを可能とし、かつ各部品の組立には、溶接部を皆無とすることで環境負荷の低減も可能としたフィルタ吹出口ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム等に使用される超高性能フィルタを装填するための筐体で、汚染源である粉塵滞留と、限りある資源である材料使用量・加工上のエネルギーを抑制したフィルタ吹出口ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超高性能フィルタ等を内装する吹出口ユニットは、フィルタ外形寸法に対し一回り大きい筐体とし内部には、フィルタ固定用の金具類を溶接にて取り付けていた。
しかし、この方法では、フィルタと筐体との無駄な空間に汚染源である粉塵等が滞留しやすく、また筐体使用材料が多く必要となり、溶接加工時等のヒュームによる作業環境は勿論のこと電気エネルギーの消費量も看過できないなどの問題があった。
さらに、強度を保つために筐体板厚も厚くする必要があるために重量がかさみ施工性も悪いなどの問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来は、次のような問題点があった。
筐体内部には、フィルタを固定するための取付け金具があるためにフィルタより一回り大きい筐体とせざるを得なかった。この空間があることで汚染塵埃が滞留しやすくなり速やかな浄化機能を損なうこと、金具の取付けに伴い発生する加工時の溶接ヒュームによる作業環境汚染,溶接後の洗浄、修正加工作業等々、使用材料は勿論のこと加工上の消費エネルギーも看過できない状況にあった。
また、フィルタと筐体とのシール部は、面接触により塵埃のリークを防止する構造となっているが面接触のためにフィルタに付属するパッキン材料を均等に押圧する必要があり、この押圧力は、フィルタサイズにより異なるが数百キログラム以上の負荷を構造体各部に与える結果となり、各部材に相応の強度を必要とするなど使用材料も多くの材料を使用することとなっていた。したがい、質量も相当量となり施工性の問題も看過できない状況にあった。
本発明は、上記欠点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記欠点を解消するため本発明は、図1・図2に示すようにフィルタ固定用の取付け金具(1)を筐体外に外装しフィルタ(8)と筐体内寸法との空間を最小限にすることで汚染気流の滞留を最小にすることを可能とした。
また、フィルタと筐体とのシール部は、面接触でなく線接触となるような構造の受け金具(2)とした。この構造とすることでフィルタ並びに筐体各部材への押圧力を最小限に抑えることが可能となり筐体・各部への荷重を最小限にすることを可能とした。
各部への負荷を最低限にすることで使用材料の軽量化による施工性の向上も図ることができる。筐体(3)(4)は、外周の折返し端面部(5)をあらかじめネジ加工された固定用ビス(6)等で接続され端面部(5)形状を保持すると共に吹出面であるパンチング等の多孔板(7)を固定するための受けネジを兼ねる。
また、外周の折返し部には、フィルタを筐体内部にあるフィルタ受け金具(2)に押圧するためのフィルタ取付け金具(1)を有する。
各部品の組立には、溶接部を皆無とすることで溶接ヒュームによる環境負荷の低減も可能としたフィルタ吹出口ユニットである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下本発明の実施形態を図面について説明する。
高清浄度空間を必要とするクリーンルームで使用される超高性能フィルタを内装する吹出口では、施工性・メンテナンス性・製造上の環境負荷低減を考慮することは、勿論のこと、その筐体内部に汚染気流を滞留させることの無いよう設計されなければならない。
図2は、本発明の全体斜視図、図1は、その詳細断面図である。
図1にあるようにフィルタ装填部には、フィルタ受け金具(2)を除き、汚染気流の滞留を防止するため、一切の金具を排除した。
その結果、筐体とフィルタとの汚染気流の滞留部を最小とすることが可能となった。クリーンルームでは、稼動前に吹出口ユニットからの汚染塵埃等が漏洩していないことを確認するためのリーク試験があるが滞留部が大きいとリーク試験中に長時間にわたり滞留部に溜まっている塵埃とフィルタのリークとの相違がわかり難いために、その原因調査に膨大な時間を必要とする。
フィルタの取付け金具(1)を筐体外に外装することで筐体(3)、筐体(4)とフィルタ(8)の間隙を最小とすることが出来、この問題を解消することができる。
筐体は、薄板構造のため、この取付け金具(1)は、筐体の立ち上がり部近傍に設置することでフィルタ締結時に掛かる荷重負荷に対する強度を高めているのでフィルタ(8)は、確実に固定することが可能である。
また、フィルタ受け金具(2)は、フィルタ(8)に付属するパッキンを線接触にて押圧するため少ない締結力により確実に空気漏洩を防止することが可能であり、かつ筐体各部への負荷を少なくすることが可能なため筐体を薄板にて製作可能とすることで軽量化、施工性の向上を可能とした。
筐体の折り返し端面部(5)には、平面・台形等の各種形状を有するパンチングを取付けることも可能である。
【発明の効果】
【0006】
筐体とフィルタとの間隙を最小とするための各種金具を筐体に装着することで吹出口ユニット内部に汚染粒子が滞留することなく高清浄度空間を生み出すことを可能とする。
また、軽量化により天井部への施工性向上を図ることが出来、施工時間等のコスト低減を図ることが可能となった。
さらには、製作上の溶接部を皆無とすることで製作時に消費する加工エネルギーの大幅な低減と溶接ヒューム等の汚染ガス発生を皆無とすることで作業環境に及ぼす環境負荷を最小限にすることを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の断面詳細図である。
【図2】 本発明の全体斜視図である。
【符号の説明】
【0008】
1 フィルタの取付け金具
2 フィルタ受け金具
3 筐体
4 筐体
5 筐体折り返し端面
6 筐体並びにパンチング固定ビス
7 パンチング
8 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)筐体(3)、筐体(4)に、フィルタの取り付け金具(1)、フィルタ受金具(2)を設ける。
(ロ)筐体(3)、筐体(4)に、筐体折り返し端面(5)を設ける。
(ハ)フィルタの取付け金具(1)、フィルタ受金具(2)に超高性能フィルタ(8)を設ける。
(ニ)超高性能フィルタ(8)を固定するフィルタの取付け金具(1)を設ける。
(ホ)筐体(3)、筐体(4)に吹出口パンチングを設ける。
(ヘ)筐体(3)、筐体(4)と吹出口パンチング(7)を固定するための筐体並びにパンチング固定ビス(6)を設ける。
以上のように構成されたフィルタ吹出口ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−151434(P2010−151434A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336186(P2008−336186)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(303037622)
【Fターム(参考)】