説明

周期推定装置、周期推定方法、及びプログラム

【課題】低サンプリングレートの加速度データに対しても適用でき、かつ、少ない計算量により、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期(歩行周期)を、2つのいずれかによる加速度データが他方の加速度データに比べ大きく観測されてしまった、歪の大きなデータであっても高精度に推定する。
【解決手段】AMDF演算部15は、携帯される加速度計測部10によって取得された加速度データに対して、AMDF演算を行う。周期判定部17は、AMDF演算部15により算出されたAMDF結果の最小値と、この最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、歩行動作1歩分の期間を示す歩行周期を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサが搭載された携帯端末装置によりユーザの運動状態を推定する周期推定装置、周期推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテキストアウェアサービスの実現に向けて、センサの搭載された携帯端末装置によるコンテキスト推定が普及しつつある。特に、加速度センサを携帯端末装置に搭載し、歩行や、走行といったユーザの運動状態を推定するシステムの利用が急速に拡大している。このような運動状態の推定では、運動の周波数が重要な情報の1つとなる。特に、歩行状態の推定においては、どれだけの速さで歩行しているのかを知るだけではなく、リハビリや、スポーツの支援での利用を想定すると、1歩ずつの動きを正確に反映した周波数情報が重要である。
【0003】
携帯端末装置を用いたコンテキスト推定システムでは、電波の届く範囲と通信の消費電力という観点から、携帯端末装置で推定計算を行うことになる。携帯端末装置で推定計算を行う場合、高精度に推定できるだけではなく、バッテリ持続時間を長くするために、計算量を低減して消費電力を小さくする必要がある。また、加速度センサのサンプリングレートを数百Hzまで上げることは、多くのデバイスでは、消費電力が大きくなるために困難である。
【0004】
加速度センサを用いた歩行状態の周波数の推定では、最も一般的な手法としてFFT(Fast Fourier Transform)を利用して周波数領域に変換する手法が挙げられる。しかし、FFTでは、計算量が多く、消費電力が大きくなる。
【0005】
一方、少ない計算量で周波数を求める手法としては、音声分野で用いられているAMDF(Average Magnitude Difference Function)を利用する手法がある(例えば、非特許文献1参照)。AMDFとは、時間軸上の信号と、その信号を遅らせた信号との差分の絶対値の総和をとったものである。この場合、遅らせた時間をラグという。ラグが信号の基本周波数の周期の整数倍のときに、AMDF結果は極小となる。AMDFによる基本周波数の推定では、AMDF結果が最小となる点、もしくは最小に近い値を取る点のうち、ラグが最も小さいものを求め、その点でのラグを周期とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. Ross, H. Shaffer, A. Cohenand, R. Freudberg, and H. Manley, "Average magnitude difference function pitch extractor", IEEE transactions on acoustics, speech and signal processing, vol. 22, No.5, pp.353-362, 1974.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、AMDFを利用する手法では、高いサンプリングレートのデータでなければ、正確に周波数を求めることができない。上述したように、AMDFは、音声分野のように基本周波数の数百倍という高サンプリングレートのデータを対象としている。そのため、低サンプリングレートのデータに対して適用した場合、AMDF結果が最小となるラグが、正しく周期を表しているとは限らず、周期を求めることが困難である。
【0008】
したがって、歩行動作(2つ1組の運動動作)に対して、その加速度データを、歩行動作における周期の10倍程度の低サンプリングレートで取得してAMDFを単純に適用し、AMDF結果が最小となるラグを周期とする方法では、正確な周期を求めることが難しいという問題がある。特に、データの歪が大きい場合には、誤差が大きくなってしまう可能性が高いという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、低サンプリングレートの加速度データに対しても適用でき、かつ、少ない計算量により、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を、2つのいずれかによる加速度データが他方の加速度データに比べ大きく観測されてしまった、歪の大きなデータであっても高精度に推定することができる周期推定装置、周期推定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対して、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する周期推定装置であって、前記加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行う演算部と、前記演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、前記運動周期を推定する周期推定部とを備えることを特徴とする周期推定装置である。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記周期推定装置は、前記加速度データを所定の区間の分割データに分割する分割部を備え、前記演算部は、前記分割部により分割された分割データに対してAMDF演算を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記周期推定部は、前記算出されたAMDF結果における極小値のうち、前記算出されたAMDF結果の最小値との差が予め設定した第1の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定し、前記第1の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第1の閾値以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定し、前記第1の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記算出されたAMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記周期推定部は、前記抽出範囲におけるAMDF結果を抽出し、さらに、前記抽出範囲における極小値のうち、前記抽出したAMDF結果の最小値との差が予め設定した第2の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定し、前記第2の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、前記運動周期として推定し、前記第2の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第2の閾値以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、前記運動周期として推定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記運動周期は、歩行動作1歩分の期間を示す歩行周期であることを特徴とする。
【0015】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対して、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する周期推定方法であって、前記加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行うステップと、前記演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、前記運動周期を推定するステップとを含むことを特徴とする周期推定方法である。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記周期推定方法は、前記加速度データを所定の区間の分割データに分割するステップを含み、前記AMDF演算を行うステップは、前記分割された分割データに対してAMDF演算を行うステップを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記運動周期を推定するステップは、前記算出されたAMDF結果における極小値のうち、前記算出されたAMDF結果の最小値との差が予め設定した第1の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定するステップと、前記第1の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第1の閾値以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定するステップと、前記第1の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記算出されたAMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定するステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、前記運動周期を推定するステップは、前記抽出範囲におけるAMDF結果を抽出するステップと、前記抽出範囲における極小値のうち、前記抽出したAMDF結果の最小値との差が予め設定した第2の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定するステップと、前記第2の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、前記運動周期として推定するステップと、前記第2の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第2の閾値以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、前記運動周期として推定するステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の発明において、前記運動周期は、歩行動作1歩分の期間を示す歩行周期であることを特徴とする。
【0020】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対して、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する周期推定装置としてのコンピュータに、演算部が、前記加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行う演算手順と、周期推定部が、前記演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、前記運動周期を推定する周期推定手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、演算部が、携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行う。周期推定部が、演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する。このため、低サンプリングレートの加速度データに対しても適用でき、かつ、少ない計算量により、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を、2つのいずれかによる加速度データが他方の加速度データに比べ大きく観測されてしまった、歪の大きなデータであっても高精度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態による携帯端末装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による携帯端末装置1の動作(周期判定処理)を説明するためのフローチャートである。
【図3】低周波でないデータに対してAMDFを用いた周期判定を行う場合、高サンプリングレートが必要になる例として、基本周波数が87Hzの音声を、11025Hzでサンプリングした音声データに対してAMDFを行った例を示す概念図である。
【図4】低周波でないデータに対してAMDFを用いた周期判定を行う場合、高サンプリングレートが必要になる例として、基本周波数が87Hzの音声を、1002Hzでサンプリングした音声データに対してAMDFを行った例を示す概念図である。
【図5】加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1を胸ポケットに入れて歩き、19.6Hzでサンプリングしたときの加速度データを示す概念図である。
【図6】本実施形態において、上記加速度データを窓に分割して得られる窓分割データを示す概念図である。
【図7】本実施形態において、上記窓分割データに対してAMDFを行った結果を示す概念図である。
【図8】本実施形態において、上記抽出されたAMDF結果に対して、最小値との差が定数k以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下のAMDF結果のみを抽出した結果を示す概念図である。
【図9】本実施形態において、加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1をズボンのポケットに入れて歩き、19.6Hzでサンプリングしたときの加速度データを示す概念図である。
【図10】本実施形態において、上記加速度データを窓に分割して得られる窓分割データを示す概念図である。
【図11】本実施形態において、上記窓分割データに対してAMDFを行った結果を示す概念図である。
【図12】本実施形態において、上記抽出されたAMDF結果を抽出した結果を示す概念図である。
【図13】本実施形態において、16人の被験者に対し、100mの距離の歩き、走りの際の加速度を計測し、FFTと本実施形態によるAMDFとのそれぞれを用いて歩調推定を行った際の平均推定誤差を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による携帯端末装置1の構成を示すブロック図である。図1において、携帯端末装置1(周期推定装置)は、加速度計測部10、サンプリング部11、センサデータ記憶部12、窓分割部13、窓分割データ記憶部14、AMDF(Average Magnitude Difference Function)演算部15、AMDF記憶部16、周期判定部17、周期記憶部18、データ送信部19、及び電源供給部20を備える。
【0025】
加速度計測部10は、いわゆる加速度センサからなり、携帯端末装置1の加速度を計測してサンプリング部11に出力する。
サンプリング部11は、加速度計測部10の出力(加速度)を、予め定められたサンプリングレートでサンプリングする。サンプリング部11は、例えば、歩行動作1歩の周期0.5s(周波数2Hz(ヘルツ))の10倍程度のサンプリングレートである20Hz程度でサンプリングする。また、サンプリング部11は、サンプリングした加速度データをセンサデータ記憶部12に記憶させる。また、サンプリング部11は、センサデータ記憶部12にされた加速度データを読み出して、窓分割部13に供給する。
センサデータ記憶部12は、サンプリング部11に接続され、サンプリングされた加速度データを記憶する。
【0026】
窓分割部13(分割部)は、サンプリング部11から供給された20Hz程度の低サンプリングレートの加速度データに対して、時間的に連続したデータを窓(小区間)に分割する。つまり、窓分割部13は、加速度データを所定の区間の分割データに分割する。また、窓分割部13は、分割した窓(小区間)の窓分割データを窓分割データ記憶部14に記憶させる。また、窓分割部13は、窓分割データ記憶部14に記憶された窓分割データを読み出して、窓分割データをAMDF演算部15に供給する。
窓分割データ記憶部14は、窓分割部13に接続され、窓に分割された窓分割データを記憶する。
【0027】
AMDF演算部15(演算部)は、窓分割部13から供給された窓分割データに対してAMDF演算を行う。つまり、AMDF演算部15は、窓分割部13により分割された分割データに対してAMDF演算を行う。AMDF演算部15は、演算したAMDF演算結果をAMDF記憶部16に記憶させる。また、AMDF演算部15は、AMDF記憶部16に記憶されたAMDF演算結果を読み出して、AMDF演算結果を周期判定部17に供給する。
AMDF記憶部16は、AMDF演算部15に接続され、AMDF演算結果を記憶する。
【0028】
周期判定部17(周期推定部)は、AMDF演算部15により算出されたAMDF結果の最小値と、この最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、歩行動作1歩分の周期である歩行周期(2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期)を推定する。すなわち、歩行周期は、歩行動作1歩分の期間を示す。
また、周期判定部17は、算出されたAMDF結果における極小値のうち、算出されたAMDF結果の最小値との差が予め設定した定数k(第1の閾値)以下となる極小値が存在するか否かを判定する。周期判定部17は、定数k(第1の閾値)となる極小値が存在する場合には、差が定数k(第1の閾値)以下となる極小値に対応するラグとのうち、最小となるラグ以下の範囲を上述の抽出範囲に設定する。また、周期判定部17は、定数k(第1の閾値)以下となる極小値が存在しない場合には、算出されたAMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲を上述の抽出範囲に設定する。
【0029】
また、周期判定部17は、上述の抽出範囲におけるAMDF結果を抽出し、さらに、抽出範囲における極小値のうち、抽出したAMDF結果の最小値との差が予め設定した定数c(第2の閾値)以下となる他の極小値が存在するか否かを判定する。周期判定部17は、他の極小値が存在しない場合には、抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、歩行動作1歩分の周期として推定する。また、周期判定部17は、他の極小値が存在する場合には、他の極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、歩行動作1歩分の周期(運動周期)として推定する。なお、AMDF結果の最小値も極小値である。ここで、他の極小値とは、AMDF結果の最小値とは異なる別の極小値のことである。
なお、周期判定部17は、推定した歩行動作1歩分の周期(運動周期)を周期記憶部18に記憶させる。また、周期判定部17は、データを周期記憶部18から歩行動作1歩分の周期(運動周期)を読み出して、歩行動作1歩分の周期(運動周期)をデータ送信部19に供給する。
【0030】
つまり、周期判定部17は、AMDF結果の最小値を求め、この最小値に対応するラグと、この最小値との差が定数k以下となる他の極小値に対応するラグとのうち、最小となるラグ以下のAMDF結果のみを抽出する。周期判定部17は、さらに、抽出したAMDF結果の最小値との差が定数c以下となる他の極小値が存在するか否かを判定する。周期判定部17は、存在しない場合には、抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、歩行動作1歩分の周期(運動周期)とする。周期判定部17は、存在する場合には、歩行動作2歩分の周期(運動動作2つ分の周期)と捉え、抽出したAMDF結果の最小値との差が定数c以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、歩行動作1歩分の周期(運動周期)とする。
【0031】
周期記憶部18は、周期判定部17に接続され、上記周期判定部17により求められたラグを、歩行動作1歩分の周期(運動周期)として記憶する。
データ送信部19は、周期記憶部18に記憶されている歩行動作1歩分の周期(運動周期)を周期判定部17を介して読み出し、歩行動作1歩分の周期(運動周期)を出力する。
電源供給部20は、本装置内の各部に電力を供給する。
【0032】
図2は、本実施形態による携帯端末装置1の動作(周期判定処理)を説明するためのフローチャートである。該周期判定処理では、まず、サンプリング部11が、加速度測定部10の出力を、20Hz程度の低サンプリングレートでサンプリングし、センサデータ記憶部12に記憶する(ステップS1)。次に、窓分割部13が、記憶した20Hzなどの低サンプリングレートの加速度データに対して、まず、時間的に連続したデータを窓(小区間)に分割し、窓分割データとして窓分割データ記憶部14に記憶する(ステップS2)。
【0033】
次に、AMDF演算部15が、記憶されている窓分割データに対してAMDF演算を行い、得られたAMDF結果をAMDF記憶部16に記憶する(ステップS3)。次に、周期判定部17が、記憶されているAMDFにおいて、AMDF結果の最小値を求め、最小値に対応するラグと、該最小値と極小値との差が定数k(第1の閾値)以下となる極小値に対応するラグとのうち、最小となるラグ以下のAMDF結果のみを抽出範囲として抽出する(ステップS4)。この定数kは、集計したセンサデータの傾向から人為的に予め設定しておくか、もしくは機械学習のアルゴリズム等によって予め決定しておく。
なお、ここで説明するフローチャートは、AMDF結果の最小値と極小値との差が定数k(第1の閾値)以下となる極小値が存在する場合の例である。AMDF結果の最小値と極小値との差が定数k(第1の閾値)以下となる極小値が存在しない場合には、ステップS4において、周期判定部17は、上述の抽出範囲を、AMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲として抽出する。
【0034】
さらに、周期判定部17が、抽出されたAMDF結果において、最小値との差が定数c(第2の閾値)以下となる極小値が存在するか否かを判定する(ステップS5)。この定数cも定数kと同様に、データに対する事前知識から予め設定しておく。そして、最小値との差が定数c以下となる極小値が存在しない場合には(ステップS5のNO)、周期判定部17は、AMDF結果の最小値を取るラグを、歩行動作1歩分の周期として周期記憶部18に記憶する(ステップS6)。
【0035】
一方、最小値との差が定数c以下となる極小値が存在する場合には(ステップS5のYES)、左右いずれかの足が動いた際の加速度が他方に比べ大きく観測されてしまった、歪の大きなデータであることが考えられる。そのため、周期判定部17は、AMDF結果の最小値をとるラグを、歩行動作2歩分の周期と捉え、最小値との差が定数c以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近いラグとなる極小値のラグを、歩行動作1歩分の周期として周期記憶部18に記憶する(ステップS7)。
【0036】
そして、データ送信部19が、いずれの場合も、周期記憶部18に記憶した周期を出力する(ステップS8)。
【0037】
図3、図4は、低周波でないデータに対してAMDFを用いた周期判定を行う場合、高サンプリングレートが必要になる例として、基本周波数が87Hzの音声を、11025Hz、1002Hzでサンプリングした音声データに対してAMDFを行った例を示す概念図である。音声データには、モノラルのWAVE形式で録音されたファイルを使用し、録音の際に量子化された値に、そのままAMDFを適用した。AMDF結果を求める際に利用するデータの山と谷の個数について、サンプリングレートによって大きく差がでないように、それぞれのラグにおいて、11025Hzでは256個の振幅差データを用い、1002Hzでは32個の振幅差データを用いてAMDF結果を求めた。
【0038】
結論から言うと、87Hzのデータを用いたため、11.5ms(ミリ秒)が周期として求められる必要がある。図3に示すように、87Hzの音声を、11025Hzでサンプリングした音声データに対してAMDFを行った場合には、容易に最小となる点が求められる。これに対して、図4に示すように、87Hzの音声を、1002Hzでサンプリングした音声データに対してAMDFを行った場合には、11.5ms付近での極小値と11.5msよりも小さいラグでの極小値を区別することができず、周期を正しく求めることができない。このように、音声では、求めたい信号の10倍程度のサンプリングレートのデータに対しては、AMDFを用いた方法では正しい周期判定ができない。
【0039】
これに対して、本発明が対象とする、歪の小さい低周波データに対する処理例として、加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1を胸ポケットに入れて歩き、19.6Hzのサンプリングレートでデータを取得し、周期判定を行う例について説明する。この場合、成人男性の歩行動作1歩の平均周波数は2Hz(周期:0.5s(秒))程度であるため、その周波数の10倍程度のサンプリングレートでデータを取得している。また、周期判定における定数kを100mG(ミリジー)、定数cを200mGと設定する。
【0040】
図5は、加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1を胸ポケットに入れて歩き、19.6Hzでサンプリングしたときの加速度データを示す概念図である。また、図6は、本実施形態において、上記加速度データを窓に分割して得られる窓分割データを示す概念図である。この場合、窓で切り出すセンサデータサンプル数は、例えば、64とした。19.6Hzのサンプリングレートにおけるサンプル数64は、約3.3sの時間範囲に対応しており、歩行動作1歩の周期の0.5sに対して十分な範囲の切り出しを行っている。
【0041】
図7は、本実施形態において、上記窓分割データに対してAMDFを行った結果を示す概念図である。この場合、51msから1600msのラグのそれぞれにおいて、32個の振幅差データを用いてAMDF結果を求めた。このAMDF結果において、最小値は200mGであり、この最小値200mGに対応するラグは1.0sである。最小値200mGと他のAMDFの極小値と比較すると、0.5s、1.45sの極小値が最小値との差が定数k=100mG以下となることが分かる。そこで、0.5s、1.0s、1.45sのうち、最も小さいラグである0.5s以下のAMDF結果のみを抽出する。
【0042】
図8は、本実施形態において、上記抽出されたAMDF結果に対して、最小値との差が定数k以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下のAMDF結果のみを抽出した結果を示す概念図である。図8において、抽出されたAMDF結果においては、最小値は280mG、この最小値280mGに対応するラグは0.5sである。さらに、この抽出されたAMDF結果について、最小値との差が定数c=200mG以下になる極小値を探すが、そのような極小値は存在しない。よって、AMDF結果の最小値を取る0.5sを歩行動作1歩の周期とする。
【0043】
一方、歪の大きい低周波数データに対する処理例として、加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1をズボンのポケットに入れて歩き、19.6Hzのサンプリングレートでデータを取得し、周期判定を行う例について説明する。この場合、周期判定処理における定数kと定数cとは、各々、胸ポケットに入れた場合と同様に、100mGと200mGとに設定する。
【0044】
図9は、本実施形態において、加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1をズボンのポケットに入れて歩き、19.6Hzでサンプリングしたときの加速度データを示す概念図である。また、図10は、本実施形態において、上記加速度データを窓に分割して得られる窓分割データを示す概念図である。この場合、窓で切り出すセンサデータサンプル数は64とした。
【0045】
図11は、本実施形態において、上記窓分割データに対してAMDFを行った結果を示す概念図である。この場合、51msから1600msのラグのそれぞれにおいて、32個の振幅差データを用いてAMDF結果を求めた。このAMDF結果において、最小値は300mGであり、この最小値300mGに対応するラグは1.0sである。最小値300mGを他のAMDF結果の極小値と比較すると、最小値との差が定数k=100mG以下となる他の極小値は存在しない。そこで、最小値に対応したラグである1.0s以下のAMDF結果のみを抽出する。
【0046】
図12は、本実施形態において、上記抽出されたAMDF結果を抽出した結果を示す概念図である。図12に示す、抽出されたAMDF結果について、最小値との差が定数c=200mG以下になる他の極小値を探すと、0.5s、0.9sの極小値が最小値との差が定数c=200mG以下になることが分かる。このため、この加速度データは、歩行動作1歩当たりの周波数よりも、2歩当たり周波数が強く検出された歪の大きいデータと考えられる。そこで、この極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグである1.0sの半分に最も近い周期である0.5sを、歩行動作1歩の周期とする。
【0047】
図13は、本実施形態において、16人の被験者に対し、100mの距離の歩き、走りの際の加速度を計測し、FFTと本実施形態によるAMDFとのそれぞれを用いて歩調推定を行った際の平均推定誤差を示す表図である。この場合、加速度データは19.6Hzで取得し、64サンプルを窓で切り出し、これに対してFFTは64点で、本実施形態によるAMDFはそれぞれのラグにおいて32個のデータを用いて行った。
【0048】
加速度計測部(加速度センサ)10を含む携帯端末装置1は、ズボンのポケット、胸ポケット、あるいはカバンの中の3箇所に携帯して、それぞれ実験を行った。図13において、±の後の値は標準偏差であり、被験者による推定精度のばらつきを表す。全ての条件において、AMDFを用いる方がFFTを用いるより誤差が小さいという結果が得られた。特に、波形の歪が大きくなる、ズボンのポケットに携帯した場合には、本実施形態によるAMDFによる、誤差の改善が大きい。
【0049】
上述した実施形態によれば、窓分割部13が、加速度データを所定の区間の分割データに分割する。AMDF演算部15が、窓分割部13により分割された分割データに対してAMDF演算を行う。周期判定部17が、AMDF演算部15により算出されたAMDF結果の最小値と、この最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、歩行動作1歩分の周期を推定する。これにより、推定する周期に対して10倍程度の低サンプリングレートの加速度データを用いた場合であっても、AMDFによる高精度な歩行動作1歩の周期推定を行うことができる。加えて、FFTではなくAMDFを用いることにより、加速度データの周期を少ない計算量で求めることができる。このため、携帯端末装置1での消費電力の低減が可能となる。
また、歩行動作1歩の周期を、左右いずれかの足が動いた際の加速度データが他方の加速度データに比べ大きく観測されてしまった、歪の大きなデータであっても高精度に推定することができる。
つまり、携帯端末装置1は、低サンプリングレートの加速度データであっても、少ない計算量により、歩行動作1歩の周期を高精度に推定することができる。
【0050】
また、高調波のうち一番強い周波数だけを取り出すFFTとは違い、AMDFでは高調波間の周波数軸上での距離に相当する基本周波数を求めるため、FFTと比べ歪の大きい加速度データに強い。
【0051】
なお、本発明の実施形態によれば、携帯端末装置1は、携帯される加速度計測部10によって取得された加速度データに対して、歩行動作1歩分の期間を示す歩行周期(2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期)を推定する周期推定装置であって、加速度データに対してAMDF演算を行うAMDF演算部15(演算部)と、AMDF演算部15により算出されたAMDF結果の最小値と、この最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、歩行周期(運動周期)を推定する周期判定部17(周期推定部)とを備える。
これにより、携帯端末装置1は、推定する周期に対して10倍程度の低サンプリングレートの加速度データを用いた場合であっても、AMDFによる高精度な歩行動作1歩の周期推定(運動周期推定)を行うことができる。加えて、携帯端末装置1では、FFTではなくAMDFを用いることにより、歩行動作1歩分の周期(運動周期)を少ない計算量で求めることができる。このため、携帯端末装置1での消費電力の低減が可能となる。
【0052】
また、携帯端末装置1は、加速度データを所定の区間の分割データに分割する窓分割部13(分割部)を備え、AMDF演算部15は、窓分割部13により分割された分割データに対してAMDF演算を行う。
これにより、AMDFの計算量を更に低減できる。
【0053】
また、周期判定部17は、算出されたAMDF結果における極小値のうち、算出されたAMDF結果の最小値との差が予め設定した定数k(第1の閾値)以下となる極小値が存在するか否かを判定し、定数k以下となる極小値が存在する場合には、定数k以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下の範囲を抽出範囲に設定し、定数k以下となる極小値が存在しない場合には、算出されたAMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲を抽出範囲に設定する。
これにより、歩行動作1歩分の周期(運動周期)を推定するためのAMDF結果の範囲を狭くできる。そのため、歩行動作1歩分の周期(運動周期)を更に少ない計算量で推定することができる。
【0054】
また、周期判定部17は、上述の抽出範囲におけるAMDF結果を抽出し、さらに、AMDF結果の抽出範囲における極小値のうち、抽出したAMDF結果の最小値との差が予め設定した定数c(第2の閾値)以下となる極小値が存在するか否かを判定し、定数c以下となる極小値が存在しない場合には、抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、歩行周期(運動周期)として推定する。また、周期判定部17は、定数c以下となる極小値が存在する場合には、定数c以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、歩行周期(運動周期)として推定する。
これにより、加速度データに歪の多い場合でも、歩行動作1歩の周期(運動周期)を高精度に推定することができる。
【0055】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記の各実施形態において、センサデータ記憶部12、窓分割データ記憶部14、AMDF記憶部16、及び周期記憶部18は、別々の記憶部とする形態で説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の記憶部を1つの記憶部として設ける形態でも良いし、携帯端末装置1の外部に記憶部を設ける形態でも良い。
また、上記の各実施形態において、サンプリング部11、窓分割部13、AMDF演算部15及び周期判定部17の各部は、専用のハードウェアによって実現しても良い。
【0056】
また、上述したサンプリング部11、窓分割部13、AMDF演算部15、周期判定部17などによる機能は、実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0057】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0058】
本発明の他の応用として、歩行動作の周期に対して閾値を用いた判定を行うことで、対象者が歩行状態であるか、走行状態であるかを推定することが可能である。その際の推定精度、消費電力もFFTに比べて優れている。また、歩行動作だけではなく、数Hz〜10Hz程度の周期で行われる2つ1組の人間の動作、例えば水泳などの運動に対しても、応用可能な技術である。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯端末装置
10 加速度計測部
11 サンプリング部
12 センサデータ記憶部
13 窓分割部
14 窓分割データ記憶部
15 AMDF演算部
16 AMDF記憶部
17 周期判定部
18 周期記憶部
19 データ送信部
20 電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対して、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する周期推定装置であって、
前記加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行う演算部と、
前記演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、前記運動周期を推定する周期推定部と
を備えることを特徴とする周期推定装置。
【請求項2】
前記周期推定装置は、
前記加速度データを所定の区間の分割データに分割する分割部を備え、
前記演算部は、
前記分割部により分割された分割データに対してAMDF演算を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の周期推定装置。
【請求項3】
前記周期推定部は、
前記算出されたAMDF結果における極小値のうち、前記算出されたAMDF結果の最小値との差が予め設定した第1の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定し、
前記第1の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第1の閾値以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定し、
前記第1の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記算出されたAMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の周期推定装置。
【請求項4】
前記周期推定部は、
前記抽出範囲におけるAMDF結果を抽出し、さらに、前記抽出範囲における極小値のうち、前記抽出したAMDF結果の最小値との差が予め設定した第2の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定し、
前記第2の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、前記運動周期として推定し、
前記第2の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第2の閾値以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、前記運動周期として推定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の周期推定装置。
【請求項5】
前記運動周期は、
歩行動作1歩分の期間を示す歩行周期である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の周期推定装置。
【請求項6】
携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対して、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する周期推定方法であって、
前記加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行うステップと、
前記演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、前記運動周期を推定するステップと
を含むことを特徴とする周期推定方法。
【請求項7】
前記周期推定方法は、
前記加速度データを所定の区間の分割データに分割するステップを含み、
前記AMDF演算を行うステップは、
前記分割された分割データに対してAMDF演算を行うステップを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の周期推定方法。
【請求項8】
前記運動周期を推定するステップは、
前記算出されたAMDF結果における極小値のうち、前記算出されたAMDF結果の最小値との差が予め設定した第1の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定するステップと、
前記第1の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第1の閾値以下となる極小値に対応するラグのうち、最小となるラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定するステップと、
前記第1の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記算出されたAMDF結果の最小値に対応するラグ以下の範囲を前記抽出範囲に設定するステップと
を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の周期推定方法。
【請求項9】
前記運動周期を推定するステップは、
前記抽出範囲におけるAMDF結果を抽出するステップと、
前記抽出範囲における極小値のうち、前記抽出したAMDF結果の最小値との差が予め設定した第2の閾値以下となる極小値が存在するか否かを判定するステップと、
前記第2の閾値以下となる極小値が存在しない場合には、前記抽出したAMDF結果の最小値を取るラグを、前記運動周期として推定するステップと、
前記第2の閾値以下となる極小値が存在する場合には、前記第2の閾値以下となる極小値のうち、AMDF結果の最小値を取るラグの半分の値に最も近い極小値のラグを、前記運動周期として推定するステップと
を含むことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の周期推定方法。
【請求項10】
前記運動周期は、
歩行動作1歩分の期間を示す歩行周期である
ことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の周期推定方法。
【請求項11】
携帯される加速度計測部によって取得された加速度データに対して、2つ1組の運動動作1つ分の期間を示す運動周期を推定する周期推定装置としてのコンピュータに、
演算部が、前記加速度データに対してAMDF(Average Magnitude Difference Function)演算を行う演算手順と、
周期推定部が、前記演算部により算出されたAMDF結果の最小値と、該最小値に基づいて定めたAMDF結果の抽出範囲における極小値とに基づいて、前記運動周期を推定する周期推定手順と
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−19927(P2012−19927A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159603(P2010−159603)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】