説明

周波数計測装置、並びに同装置を備えるニオイセンサー及び電子機器

【課題】ニオイの識別精度を維持しつつ、実装する吸着膜及び振動子の数を減少させることが可能なニオイセンサー等に利用可能な周波数測定装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様の周波数計測装置は、吸着膜を備えた振動子141aと、水晶振動子141aが配置されたチャンバー140と、チャンバー140に気体を流入させるよう構成された、第1の流入路120及び第2の流入路130と、を備え、第1の流入路120及び第2の流入路130は、いずれか一方に選択的に気体が流通するよう構成され、第1の流入路120を流通してチャンバー140に流入した気体と、第2の流入路130を流通してチャンバー140に流入した気体との間で、気体内に含まれる物質の濃度が異なるように、第2の流入路130が、流通する気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着する吸脱着部131を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、吸着膜を備えた振動子及びこの振動子に接続された発振回路を備える周波数計測装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
共振状態にある水晶振動子の表面に周辺媒体に含まれる物質が付着すると、その付着物質に応じて共振周波数が変化する現象がある。この現象を利用した技術はQCM(Quarts Crystal Microbalance)と呼ばれ、周辺媒体に含まれる分子の存在やその量を検出するセンサーとして、用いられている。QCMの応用例として、振動子の表面に特定の分子を選択的に吸着する吸着膜を形成したニオイセンサーが挙げられる。また、DNAのハイブリダイゼーションを利用したバイオセンサー、ガスセンサーなどとしても応用が検討されている。以下の説明では、主にニオイセンサーを例に挙げて説明する。
【0003】
一般に、QCMデバイスにはATカット型の水晶振動子が用いられる。ATカットとは水晶結晶軸に対しある特定の方位でカットした基板のことで、室温近傍で温度係数変化が極小になり温度安定性に優れるためQCMデバイスに限らず広く用いられる。
【0004】
ATカット水晶振動子は、基板表裏に形成した励振電極間に電圧を印加すると表面と裏面が互い違いにスライドするいわゆる厚みすべり振動モードで動作する。その共振周波数f0は表裏の電極に挟まれた部位の水晶板厚に反比例し、一般に次のような関係がある。
f0(MHz)=1670/水晶板厚(μm)
【0005】
そして、このATカット水晶振動子を用いたQCMデバイスの吸着物質量ΔMと周波数変化量Δfの関係は次のSauerbreyの式で表されることが知られている。
【0006】
【数1】

ここで、f0:振動子の共振周波数、ρ:水晶の密度、μ:水晶のせん断弾性定数、A:有効振動面積(略電極面積)である。上式より、水晶振動子の共振周波数f0を高めることにより、感度すなわち吸着物質量ΔMあたりの周波数変化量Δfを高められることがわかる。
【0007】
ところで、QCMデバイスを用いたニオイセンサーは、例えば特開昭63−222248号公報(特許文献1)などに開示されている。この特許文献1の実施例6に開示された技術では、ATカット水晶振動子1の電極2上に吸着膜としてジアルキルアンモニウム塩とポリスチレンスルホン酸からなる二分子膜フィルムを形成した素子(図6)を用いて、空気に飽和したニオイ物質βヨノンの存在を、振動数(周波数)の変化として検出(図9)している。
【0008】
ただし、実際には目的の物質だけを選択的に吸着膜に吸着させることは不可能であり、吸着膜には複数の物質が吸着されてしまう。これを解決するために、例えば特開平1−244335号公報(特許文献2)に記載の技術では、それぞれ異なる種類の吸着膜を形成した複数の水晶振動子の振動数変化を同時に計測し、振動子間の振動数変化比をパターン解析することで、ニオイの種類を識別する、いわゆるマルチアレイ方式を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−222248号公報
【特許文献2】特開平1−244335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ニオイの識別精度を高めるには、用いる吸着膜を備える振動子の種類を増やすことが有効である。検出対象であるニオイ物質は40万種類もあると考えられ、このような膨大な種類のニオイ物質を上記の従来技術のように数個(数種類)の振動子(QCM)で識別することは不可能である。異なる種類の吸着膜を備える複数の振動子を用いた振動数変化比のパターン解析によってニオイの種類を識別する方法は、生体を模倣したものである。生体の鼻にはニオイに反応する嗅細胞があるが、この嗅細胞の種類は、ヒトで約350種類、イヌでは約1000種類もの数になることが知られている。よって、ヒトやイヌに匹敵するニオイの識別精度を備えるためには、数百個もの吸着膜及び振動子を備えるニオイセンサーを提供する必要がある。しかし、数百個もの吸着膜及び振動子を備えるニオイセンサーは実装面及びコスト面から現実的ではない。
【0011】
そこで、本発明の一形態では、ニオイの識別精度を維持しつつ、実装する吸着膜及び振動子の数を減少させることが可能なニオイセンサー、及びこのようなニオイセンサー等に利用可能な周波数測定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するために、本発明の一態様の周波数計測装置は、吸着膜を備えた振動子と、前記振動子が配置されたチャンバーと、前記チャンバーに気体を流入させるよう構成された、第1の流入路及び第2の流入路と、を備える。さらに、前記第1の流入路及び前記第2の流入路は、いずれか一方に選択的に前記気体が流通するよう構成され、前記第1の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体と、前記第2の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体との間で、該気体内に含まれる物質の濃度が異なるように、前記第2の流入路が、流通する前記気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着する吸脱着部を含んで構成される。
【0013】
かかる構成によれば、吸脱着部のない第1の流入路を流通した気体と、吸脱着部を含む第2の流入路を流通した気体とを対象として、吸着膜を備える振動子の共振周波数の変動を測定することで、同じ気体に対して、設けられた振動子の数以上の情報を得ることができる。これにより、吸着膜を備える振動子を増加させることなく、より多くの周波数情報を得ることができる。ひいては、吸着膜を備える振動子を増加させることなく、この周波数計測装置を備えて構成されたニオイセンサー等におけるニオイ等の識別精度を高めることができる。
【0014】
また、前記吸脱着部が、セルロースを含んで構成されることが好ましい。
【0015】
かかる構成の吸脱着部は、気体に含まれる物質を効果的に吸着及び/または脱着する。これにより、かかる吸脱着部を備える周波数計測装置では、第1の流入路を流通した気体と、第2の流入路を流通した気体とに含まれる物質の濃度が適度に変化し、設けられた吸着膜を備える振動子の数以上の、より好ましい情報を得ることが可能な周波数計測装置を提供することができる。
【0016】
また、前記吸脱着部が、ファイバーメッシュ状の材料、ファイバーが隙間を持って絡みあっている綿状の材料、スポンジ状の材料、ビーズ状の材料、または多数のフィンを持つ材料の表面を、分子吸脱着液体、ポリマー、または無機物でコーティングしたものを含んでもよい。
【0017】
また、本発明の一態様の検出装置は、前記振動子に接続され発振信号を出力する発振回路と、前記発振信号の周波数を計測可能に構成された周波数計測器と、をさら備える上記周波数計測装置と、前記第1の流入路を流通した前記気体について前記周波数計測装置で計測された周波数と、前記第2の流入路を流通した前記気体について前記周波数計測装置で計測された周波数と、に基づいて、前記気体に含まれる物質を検出可能に構成された検出部と、を備える。
【0018】
かかる構成の検出装置によれば、上記のように吸脱着部のない第1の流入路を通過した気体と、吸脱着部を含む第2の流入路を流通した気体とを対象として、振動子に接続された発振回路から出力される発振信号の周波数の変動を計測することで、同じ気体に対して、設けられた振動子の数以上の情報を得ることができる。そして、これらの周波数変動情報に基づいて気体に含まれる物質を検出することで、物質の検出精度を高めることが可能となる。
【0019】
また、本発明の一態様のニオイセンサーは、上記周波数計測装置、または上記検出装置を備える。
【0020】
また、本発明の一態様の電子機器は、上記周波数計測装置、または上記検出装置を備える。
【0021】
かかる構成のニオイセンサーまたは電子機器によれば、少数の振動子であっても高いニオイの識別精度を有するニオイセンサーまたは電子機器を提供することができる。
【0022】
また、本発明の一態様の検出方法は、第1の流入路を流通させて吸着膜を備えた振動子が配置されたチャンバーに気体を流入させるステップと、前記気体について、前記振動子に接続された発振回路から出力される第1の発振信号の周波数を計測するステップと、第2の流入路を流通させて前記チャンバーに前記気体を流入させるステップと、前記気体について、前記発振回路から出力される第2の発振信号の周波数を計測するステップと、前記第1の発振信号の周波数と前記第2の発振信号の周波数とに基づいて、前記気体に含まれる物質を検出するステップと、を含み、前記第1の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体と、前記第2の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体との間で、該気体内に含まれる物質の濃度が異なるよう、前記第2の流入路には、流通する前記気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着する吸脱着部が配置されている。
【0023】
かかる方法によれば、吸脱着部のない第1の流入路を流通した気体と、吸脱着部を含む第2の流入路を流通した気体とを対象として、吸着膜を備える振動子に接続された発振回路から出力される発振信号の周波数の変動を測定することで、同じ気体に対して、設けられた振動子の数以上の情報を得ることができる。これにより、振動子の数を増加させることなく、より多くの周波数情報を得ることができる。ひいては、吸着膜を備える振動子を増加させることなく、この方法を用いてニオイ等の識別を行ったときの識別精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1の計測装置の構成例を示す図。
【図2】第1の流入路を流通したオレンジ香料を含む気体を対象としたときの発振信号の周波数の時間変化を示すグラフ。
【図3】第1の流入路を流通したラベンダー香料を含む気体を対象としたときの発振信号の周波数の時間変化を示すグラフ。
【図4】第1の流入路を流通したマジョラム香料を含む気体を対象としたときの発振信号の周波数の時間変化を示すグラフ。
【図5】第2の流入路を流通したオレンジ香料を含む気体を対象としたときの発振信号の周波数の時間変化を示すグラフ。
【図6】第2の流入路を流通したラベンダー香料を含む気体を対象としたときの発振信号の周波数の時間変化を示すグラフ。
【図7】第2の流入路を流通したマジョラム香料を含む気体を対象としたときの発振信号の周波数の時間変化を示すグラフ。
【図8】2回の計測で得られたピーク比をプロットしたグラフ。
【図9】実施形態2の計測装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.定義
2.実施形態1
(1)検出装置の構成
(2)検出装置の動作
3.実施形態2
4.本発明の特徴
5.補足
【0026】
<1.定義>
まず、本明細書における用語を以下のとおり定義する。
【0027】
「○○回路」(○○は任意の語。):電気的な回路によるものを含むがこれに限定されず、当該回路の機能を果たす物理的手段、又はソフトウェアで実現される機能的手段などをも含む。また、1つの回路が有する機能が2つ以上の物理的又は機能的手段により実現されても、2つ以上の回路が有する機能が1つの物理的又は機能的手段により実現されても良い。
【0028】
<2.実施形態1>
本発明の実施形態1における検出装置の構成及び動作について、図1を参照しながら説明する。
【0029】
<(1)検出装置の構成>
図1は、本実施形態1における検出装置の構成を示す図である。図1に示すように、検出装置は、吸気配管100、切替バルブ110、第1流入路配管120、第2流入路配管130、チャンバー140、排気ポンプ150、排気配管160を備えて構成される。また、チャンバー140には、吸着膜を備えた水晶振動子141a及び141bが配置されている。検出装置はさらに、発振回路142a及び142b、周波数カウンター143a及び143b、並びに検出部144を備えて構成される。なお、検出装置のうち、検出部144を除く構成を周波数計測装置200と呼ぶ。
【0030】
(吸気配管100)
吸気配管100は、ニオイ検出対象気体の流入路として機能し、吸気口から流入した気体を、切替バルブ110、及び第1流入路配管120または第2流入路配管130を経由してチャンバー140へと流入させるよう構成される。吸気配管100から流入される気体の量は、後に説明する排気ポンプ150によって制御される。
【0031】
(切替バルブ110)
切替バルブ110は、吸気配管100から流入してきた気体を、第1流入路配管120及び第2流入路配管130のいずれか一方に選択的に送るよう構成されている。気体が第1流入路配管120及び第2流入路配管130のどちらに送られるかは、流路制御部(図示せず)によって制御される。
【0032】
(第1流入路配管120)
第1流入路配管120は、切替バルブ110を経て気体が流入された場合に、チャンバー140にこの気体を流入させるよう構成されている。
【0033】
(第2流入路配管130)
第2流入路配管130は、切替バルブ110を経て気体が流入された場合に、チャンバー140にこの気体を流入させるよう構成されている。第2流入路配管130には、吸脱着部131が形成されている。
【0034】
(吸脱着部131)
吸脱着部131は、第2流入路配管130を流通する気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着可能に構成される。例えば、吸脱着部131は、気体の流路に設置したとき気体が容易に通過可能で、かつ気体と接触する表面積が大きく得られる材料であって、この材料自体が分子吸脱着特性を示す、セルロースなどの材料により構成される。また上記材料に代えて、ファイバーメッシュ状の材料、ファイバーが隙間を持って絡みあっている綿のような材料、スポンジ状の材料、ビーズ状の材料、または多数のフィンを持つ材料の表面を、分子吸脱着液体、ポリマー、または無機物などでコーティングしたものを用いてもよい。上記ファイバーメッシュ状の材料等の例としては、ステンレスなどの金属、プラスチック、またはセルロースなどの天然繊維が挙げられる。上記のコーティング材料の例としては、分子吸脱着液体ではポリエチレングリコール、ニトロテレフタル酸修飾ポリエチレングリコール、または結合ジビニルベンゼン/ジメタンクリル酸エチレングリコール、ポリマーではポリジメチルシロキサン、フェニルアリレンポリマー、ポリジフェニル/ジメチルシロキサン、多孔質ジビニルベンゼンホモポリマー、シアノメチルアルキルシロキサン、シアノプロピルフェニルジメチル−ポリシロキサン、シアノプロピルフェニルメチル−ポリシロキサン、シアノプロピルメチルアリル−ポリシロキサン、トリフロロプロピルメチル−ポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチル−ポリシロキサン、またはシアノプロピルメチル−ポリシロキサン、無機物ではアルミナ、などが挙げられる。
【0035】
本実施形態では一例として、セルロースファイバーからなるフィルター状の部材を用いる。このセルロースファイバーを構成するファイバー間には十分な空隙が設けられており、気体は容易に通過できる。また、セルロースファイバーは、気体中に含まれる分子が少なくとも一度はファイバーに衝突する程度の有効断面積に匹敵するファイバー密度と体積を有している。
【0036】
(チャンバー140)
チャンバー140は、第1流入路配管120及び第2流入路配管130から気体が流入するよう構成されている。チャンバー140には、水晶振動子141a及び141bが配置されている。また、チャンバー140の後段には後述の排気ポンプ150が配置されており、第1流入路配管120及び第2流入路配管130から流入された気体は、排気ポンプ150側に排気される。
【0037】
(排気ポンプ150及び排気配管160)
排気ポンプ150は、検出装置の吸気口から吸入される気体の量を調整し、検出装置内を流通する気体の流速を制御可能に構成される。排気ポンプ150に流入された気体は、排気配管160から排出される。
【0038】
(水晶振動子141a及び141b)
チャンバー140に配置される水晶振動子141a及び141bは、表面に吸着膜を備えて構成される。この吸着膜は、周辺媒体(気体)に含まれる所定の物質を吸着可能に構成されており、本実施形態1では、チャンバー140を流通する気体に含まれる物質(ニオイ物質)を吸着可能に構成されている。水晶振動子141a及び141bは、吸着膜に付着した物質によって共振周波数が変動し、これらの水晶振動子141a及び141bにそれぞれ接続された発振回路142a及び142bからそれぞれ出力される発振信号の周波数が吸着膜に付着した物質によって変動する。本実施形態1では、水晶振動子141aの表面にはポリスチレン系樹脂膜が、水晶振動子141bの表面にはポリメタクリレート系樹脂膜が、それぞれ吸着膜として形成されている。これらのポリスチレン系樹脂膜とポリメタクリレート系樹脂膜とは、互いに異なる物質を吸着する特性を有している。また、水晶振動子141a及び141bは端子対を備えており、この端子対を介して、それぞれ発振回路142a及び142bに接続されている。
【0039】
(発振回路142a及び142b)
発振回路142a及び142bは、水晶振動子141a及び141bにそれぞれ接続されて構成される。発振回路142a及び142bは、例えばコルピッツ発振回路などによって構成されるがこれに限るものではない。また、発振回路142a及び142bは、それぞれ周波数カウンター143a及び143bに対して発振信号を出力するよう構成されている。これらの発振信号の周波数は、水晶振動子141a及び141bに付着した物質によって変動する。
【0040】
(周波数カウンター143a及び143b)
周波数カウンター143a及び143bは、それぞれ発振回路142a及び142bに接続されており、発振回路142a及び142bから出力された発振信号の周波数をそれぞれ計測可能に構成されている。具体的には、所定の時間に含まれる発振信号の変化数をカウントし、このカウント値に基づいて発振信号の周波数を導出する。発振信号の変化数のカウントは、例えば信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの少なくとも一方をカウントすることによって行われる。ただし、周波数カウンター143a及び143bは必ずしも周波数そのものを計測する必要があるわけではなく、間接的に周波数を示すものを計測する形態も本発明には含まれる。すなわち、周波数カウンター143a及び143bは、発振信号の信号周期を測定するなどの機能を有していてもよい。
【0041】
(検出部144)
検出部144は、周波数カウンター143a及び143bで計測された周波数に基づいて、気体に含まれる物質を検出可能に構成される。具体的には、発振回路142aから出力される発振信号の周波数と、発振回路142bから出力される発振信号の周波数とにおける、周波数の変化を計測し、この周波数の変化を、予め準備したデータベースと比較して、例えばパターン認識などを行うことで、気体に含まれるニオイ物質等を検出する。データベースには、ニオイ等の種類と、このニオイ等に対応する周波数の変化とが記録されている。
【0042】
<(2)検出装置の動作>
次に、本実施形態1の検出装置の動作例について、図2乃至図8を参照しながら説明する。なお、図2乃至図7において、図中の矢印はニオイ源を吸気配管100の吸気口に近づけた時間を示している。
【0043】
(計測1)
まず、流路制御部(図示せず)は、切替バルブ110を、吸気配管100と第1流入路配管120とを接続する状態にする。この状態で、吸気口からニオイ源を遠ざけた状態で排気ポンプ150を動作させ、チャンバー140にニオイ物質(ニオイ分子)を含まない気体を流入させる。これにより、周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数を安定させる。
【0044】
周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数が安定したら、吸気口へニオイ源を近づけ、ニオイ物質を含んだ気体をチャンバー140に流入させる。すると、この気体に含まれるニオイ物質が水晶振動子141a及び141bの吸着膜に付着し、周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数が低下する。なお、この周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数は、チャンバー140内の気体と吸着膜との間のニオイ物質濃度が平衡状態になるまで低下し、その後安定する。
【0045】
その後、速やかにニオイ源を吸気口から遠ざけると、ニオイ物質を含まない気体が吸気されて、チャンバー140内の気体のニオイ物質濃度が低下する。すると、吸着膜のニオイ物質濃度が、周辺気体のニオイ物質濃度より高くなるので、吸着膜のニオイ物質が吸着膜からの脱離を開始する。これにより、周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数が高くなっていく。
【0046】
図2乃至図4は、それぞれオレンジ香料、ラベンダー香料、及びマジョラム香料をニオイ源として、実際に上記手順でこれらのニオイ源を吸気させたときに周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数の時間変化を示すグラフである。これらのグラフにおいて、上段に記載されたグラフは、ポリスチレン系樹脂膜を備える水晶振動子141aに接続された発振回路142aの発振信号の周波数、下段に記載されたグラフは、ポリメタクリレート系樹脂膜を備える水晶振動子141bに接続された発振回路142bの発振信号の周波数のそれぞれの時間変化を示す。なお、グラフの縦軸は周波数を示すが、これは周波数の絶対値を示すものではなく、周波数の変動を示すものであり、上段で示した周波数と下段で示した周波数とは、定常状態においてほぼ同じ周波数を示す。吸着膜へのニオイ物質の吸着が平衡状態となる前にニオイ源を遠ざけたため、図2乃至図4に示すように、計測された周波数はピーク形状となっている。
【0047】
本実施形態1のように2つの水晶振動子を用いた構成とする場合、水晶振動子141aと141bとの周波数変化のピーク値である応答ピーク値の比(ピーク比)が、ニオイ物質の種類を識別する指標となる。このピーク比は、(発振回路142aの発振信号の周波数)/(発振回路142bの発振信号の周波数)により決定される。例えば、2つのニオイ源を識別する場合、これらのニオイ源に含まれるニオイ物質によりそれぞれ計測されるピーク比が大きく相違していれば、ノイズに影響されづらい、高精度なニオイ物質の検出が可能となる。しかし、図2乃至図4に示した測定結果では、それぞれのピーク比が、オレンジ香料を含む気体では1.11、ラベンダー香料を含む気体では0.90、マジョラム香料を含む気体では1.21と、互いに近接している。よって、ニオイ物質の検出精度が高いとはいえない。
【0048】
なお、ここで用いられた各香料はそれぞれ複数のニオイ物質を含んでいるため、複数の種類のニオイ物質を含む混合気体が吸着膜を備える水晶振動子に暴露していることになる。
【0049】
(計測2)
次に、流路制御部(図示せず)は、切替バルブ110を、吸気配管100と第2流入路配管130とを接続する状態にする。この状態で、吸気口からニオイ源を遠ざけた状態で排気ポンプ150を動作させ、チャンバー140にニオイ物質を含まない気体を流入させる。これにより、周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数を安定させる。
【0050】
周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数が安定したら、吸気口へニオイ源を近づけ、ニオイ物質を含んだ気体をチャンバー140に流入させる。ここで、第2流入路配管130には吸脱着部131が設けられているため、吸気口から流入した気体は、含んでいる物質の一部が吸脱着部131によって吸着及び/または脱着された後、チャンバー140に流入する。この吸脱着部131を通過した気体に含まれるニオイ物質は、水晶振動子141a及び141bの吸着膜に付着し、周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数が低下する。なお、この周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数は、チャンバー140内の気体と吸着膜との間のニオイ物質濃度が平衡状態になるまで低下し、その後安定する。
【0051】
その後、速やかにニオイ源を吸気口から遠ざけると、ニオイ物質を含まない気体が吸気されて、チャンバー140内の気体のニオイ物質濃度が低下する。すると、吸着膜のニオイ物質濃度が、周辺気体のニオイ物質濃度より高くなるので、吸着膜のニオイ物質が吸着膜からの脱離を開始する。これにより、周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数が高くなっていく。
【0052】
図5乃至図7は、それぞれオレンジ香料、ラベンダー香料、及びマジョラム香料をニオイ源として、実際に上記手順でこれらのニオイ源を吸気させたときに周波数カウンター143a及び143bで計測される周波数の時間変化を示すグラフである。これらのグラフにおいて、上段に記載されたグラフは、ポリスチレン系樹脂膜を備える水晶振動子141aに接続された発振回路142aの発振信号の周波数、下段に記載されたグラフは、ポリメタクリレート系樹脂膜を備える水晶振動子141bに接続された発振回路142bの発振信号の周波数のそれぞれの時間変化を示す。なお、図2乃至図4と同様に、図5乃至7に示すグラフの縦軸は周波数を示すが、これは周波数の絶対値を示すものではなく、周波数の変動を示すものであり、上段で示した周波数と下段で示した周波数とは、定常状態においてほぼ同じ周波数を示す。吸着膜へのニオイ物質の吸着が平衡状態となる前にニオイ源を遠ざけたため、図5乃至図7に示すように、計測された周波数はピーク形状となっている。
【0053】
ここで、上記測定におけるピーク比は、オレンジ香料を含む気体では2.50、ラベンダー香料を含む気体では1.23、マジョラム香料を含む気体では2.10となっている。これらのピーク比は、図2乃至図4で示した、第1の流入路配管120を流通した気体を対象とした場合と全く異なっていることが分かる。
【0054】
(計測に基づく識別)
このように、同じ香料を含む気体について、同じ吸着膜を備える水晶振動子を用いて含まれる物質を計測したとしても、吸脱着部131の有無で異なるピーク比を得ることができる。図8は、それぞれ±0.1の計測バラツキがあるものとして、上記の計測1におけるピーク比を横軸に、計測2におけるピーク比を縦軸として示したグラフである。図8において、オレンジ香料、ラベンダー香料、及びマジョラム香料をそれぞれ含む気体における計測結果は、それぞれ300、310、及び320として示されている。図8に示すように、計測1のみではオレンジ香料を含む気体(300)とマジョラム香料を含む気体(320)との計測結果におけるピーク比が重なる部分があったが、計測2を加えて2次元のデータでみると、オレンジ香料を含む気体(300)とマジョラム香料を含む気体(320)との計測結果におけるピーク比は重なる部分がなくなることが分かる。すなわち、気体に含まれる物質の識別精度が向上しているということができる。
【0055】
識別精度を向上させるためには、互いのデータ範囲(クラスター)が重なることなく良好に分離していることが必要である。バラツキを許容しながらクラスターを分離するには、データの次元数を増やすことが有効である。ニオイセンサーにおいては、水晶振動子の数を増やすことで次元数を増やしていたが、本実施形態1の検出装置では、水晶振動子の数を増やすことなく、データの次元数を増やすことが可能となる。
【0056】
<(3)実施形態1の特徴>
本実施形態1で示した検出装置は、以下のような特徴を備えるものであるといえる。
【0057】
本実施形態1の検出装置に含まれる周波数測定装置では、第1流入路配管120及び第2流入路配管130のいずれか一方に選択的に気体が流通するよう構成されており、第2流入路配管130には、流通する気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着する吸脱着部131が配置されている。これにより、第1流入路配管120を流通してチャンバー140に流入した気体と、第2流入路配管130を流通してチャンバー140に流入した気体との間で、気体に含まれる物質の濃度が異なってくる。
【0058】
このような構成の周波数測定装置によれば、吸脱着部のない第1流入路配管120を流通した気体と、吸脱着部131を含む第2流入路配管130を流通した気体とを対象として、吸着膜を備える水晶振動子141a及び141bの共振周波数の変動を計測することで、同じ気体に対して、設けられた水晶振動子の数以上の情報を得ることができる。これにより、水晶振動子を増加させることなく、より多くの周波数情報を得ることができる。ひいては、水晶振動子を増加させることなく、この周波数計測装置を備えて構成されたニオイセンサー等におけるニオイ等の識別精度を高めることができる。
【0059】
また、吸脱着部131はセルロースを含んで構成されることが好ましい。
【0060】
セルロースを含んで構成された吸脱着部131は、気体に含まれる物質を効果的に吸着及び/または脱着する。これにより、かかる吸脱着部131を備える周波数計測装置では、第1流入路配管120を流通した気体と、第2流入路配管130を流通した気体とに含まれる物質の濃度が適度に変化し、設けられた吸着膜を備える水晶振動子の数以上の、より好ましい情報を得ることが可能な周波数計測装置を提供することができる。
【0061】
さらに、本実施形態1の検出装置では、第1流入路配管120を流通した気体について測定された周波数と、第2流入路配管130を流通した気体について測定された周波数とに基づいて、気体に含まれる物質を検出可能に構成された検出部144を備える。
【0062】
かかる構成の検出装置によれば、上記のように吸脱着部のない第1流入路配管120を通過した気体と、吸脱着部131を含む第2流入路配管130を流通した気体とを対象として、周波数カウンター143a及び143bによって発振信号の周波数の変動を計測することで、同じ気体に対して、設けられた振動子の数以上の情報を得ることができる。そして、これらの周波数変動情報に基づいて気体に含まれる物質を検出することで、物質の検出精度を高めることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態1の周波数計測装置または検出装置は、ニオイセンサーまたは電子機器に適用することができる。
【0064】
かかる構成のニオイセンサーまたは電子機器によれば、少数の振動子にも関わらず高いニオイの識別精度を有するニオイセンサーまたは電子機器を提供することができる。
【0065】
また、本実施形態1では、以下のステップを有する検出方法を示している。すなわち、(1)第1流入路配管120を流通させて吸着膜を備えた水晶振動子141a及び141bが配置されたチャンバー140に気体を流入させるステップと、(2)この気体について、水晶振動子141a及び141bに接続された発振回路142a及び142bから出力される第1の発振信号の周波数を計測するステップとを含む。さらに、(3)第2流入路配管130を流通させてチャンバー140に気体を流入させるステップと、(4)この気体について、発振回路142a及び142bから出力される第2の発振信号の周波数を計測するステップとを含む。そして、(5)第1の発振信号の周波数と前記第2の発振信号の周波数とに基づいて、気体に含まれる物質を検出するステップをさらに含む。このとき、第1流入路配管120を流通してチャンバー140に流入した前記気体と、第2流入路配管130を流通してチャンバー140に流入した前記気体との間で、気体内に含まれる物質の濃度が異なるよう、第2流入路配管130には、吸脱着部131が配置されている。
【0066】
かかる方法によれば、吸脱着部のない第1流入路配管120を流通した気体と、吸脱着部を含む第2流入路配管130を流通した気体とを対象として、吸着膜を備える水晶振動子141a及び141bに接続された発振回路142a及び142bから出力される発振信号の周波数の変動を測定することで、同じ気体に対して、設けられた振動子の数以上の情報を得ることができる。これにより、水晶振動子の数を増加させることなく、より多くの周波数情報を得ることができる。ひいては、水晶振動子を増加させることなく、この方法を用いてニオイ等の識別を行ったときの識別精度を高めることができる。
【0067】
なお、上記検出方法においては、(1)及び(2)のステップと、(3)及び(4)のステップとを入れ換えてもよい。
【0068】
<3.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2における検出装置の構成について、図9を参照しながら説明する。なお、本実施形態2の検出装置は多くの点で実施形態1の検出装置と同様の構成を備えるため、以下の説明では本実施形態2に特有の構成のみについて具体的に説明する。また、本検出装置の動作については実施形態1の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
図9は、本実施形態2における検出装置の構成を示す図である。図9に示すように、検出装置は、第1流入路配管120、第2流入路配管130、チャンバー140、排気ポンプ150、排気配管160を備えて構成される。また、チャンバー140には、吸着膜を備えた水晶振動子141a及び141bが配置されている。また、検出装置は、発振回路142a及び142b、周波数カウンター143a及び143b、並びに検出部144を備えて構成される。さらに、検出装置は、第1流入路配管120に流通制御弁180を備え、第2流入路配管130に流通制御弁181を備え、これらの流通制御弁180及び181を制御する流通制御部170を備える。これらの流通制御弁180及び181、並びに流通制御部170を備える点が、本実施形態2が実施形態1と異なる点である。
【0070】
本実施形態2の検出装置では、上記流通制御部170並びに流通制御弁180及び181が、実施形態1における切替バルブ110のように機能する。すなわち、流通制御部170並びに流通制御弁180及び181によって、第1流入路配管120及び第2流入路配管130のいずれか一方に選択的に気体を流通させることができるよう構成されている。
【0071】
本実施形態2の検出装置は、実施形態1と同様の効果を有するものである。ただし、本実施形態2の検出装置は、実施形態1で示した切替バルブ110と比較してシンプルな機械的構造を有する流通制御弁180及び181を備え、この流通制御弁180及び181を流通制御部170で制御している。よって、機械的な不具合がより生じにくい検出装置を提供することなどが可能となる。
【0072】
<5.補足>
上記各実施形態の周波数計測装置では、水晶振動子141a及び141bを用いているが、水晶振動子以外の振動子を用いることも可能である。
【0073】
また、上記各実施形態の周波数計測装置では水晶振動子を2つ備える例を説明したが、より多数の水晶振動子を配置してよい。
【0074】
また、吸脱着部131は、セルロースファイバーからなるフィルター状の構成に限るものではない。例えば、別の材料を用いたフィルター状の構成でもよいし、フィルター状の構成のものでなくてもよい。フィルター状の構成以外のものとしては、例えば、第2流入路配管130の内側面に、所定の物質を吸着及び/または脱着する材料を配置してもよい。
【0075】
また、上記各実施形態においては、第1流路配管120及び第2流入路配管130の2つの流入路配管を配置したが、さらに追加の流入路配管を備える構成としてもよい。この場合、第3流入路配管には、第2流入路配管130が備える吸脱着部131とは異なる吸着及び/または脱着の特性を有する吸脱着部を備える構成にすることが好ましい。
【0076】
また、第1流入路配管120と第2流入路配管130との双方に吸脱着部を備える構成としてもよい。この場合、上記と同様に、2つの吸脱着部の吸着及び/または脱着の特性は異なるものとすることが好ましい。
【0077】
また、実施形態においては、吸脱着部のない第1流入路配管120を流通した気体と、吸脱着部131を含む第2流入路配管130を流通した気体とを対象として、吸着膜を備える水晶振動子141a及び141bの共振周波数の変動を計測し、これらの周波数変動の双方に基づいて物質を検出している。しかし、必ずしもこの形態に限るものではなく、例えば、上記2つの計測結果において、気体に含まれる物質の検出により適した計測結果を選択的に用いる方法も考えられ、この方法も本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
100……吸気配管、110……切替バルブ、120……第1流入路配管、130……第2流入路配管、131……吸脱着部、140……チャンバー、141a・141b……水晶振動子、142a・142b……発振回路、143a……周波数カウンター、144……検出部、150……排気ポンプ、160……排気配管、170……流通制御部、180・181……流通制御弁、200……周波数計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着膜を備えた振動子と、
前記振動子が配置されたチャンバーと、
前記チャンバーに気体を流入させるよう構成された、第1の流入路及び第2の流入路と、を備え、
前記第1の流入路及び前記第2の流入路は、いずれか一方に選択的に前記気体が流通するよう構成され、
前記第1の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体と、前記第2の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体との間で、該気体内に含まれる物質の濃度が異なるように、前記第2の流入路が、流通する前記気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着する吸脱着部を含んで構成される、
周波数計測装置。
【請求項2】
前記吸脱着部が、セルロースを含んで構成される、
請求項1に記載の周波数計測装置。
【請求項3】
前記吸脱着部が、ファイバーメッシュ状の材料、ファイバーが隙間を持って絡みあっている綿状の材料、スポンジ状の材料、ビーズ状の材料、または多数のフィンを持つ材料の表面を、分子吸脱着液体、ポリマー、または無機物でコーティングしたものを含む、請求項1に記載の周波数計測装置。
【請求項4】
前記振動子に接続され発振信号を出力する発振回路と、
前記発振信号の周波数を計測可能に構成された周波数計測器と、をさら備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の周波数計測装置と、
前記第1の流入路を流通した前記気体について前記周波数計測装置で計測された周波数と、前記第2の流入路を流通した前記気体について前記周波数計測装置で計測された周波数と、に基づいて、前記気体に含まれる物質を検出可能に構成された検出部と、
を備える検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の周波数計測装置、または請求項4に記載の検出装置を備える、ニオイセンサー。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の周波数計測装置、または請求項4に記載の検出装置を備える、電子機器。
【請求項7】
第1の流入路を流通させて吸着膜を備えた振動子が配置されたチャンバーに気体を流入させるステップと、
前記気体について、前記振動子に接続された発振回路から出力される第1の発振信号の周波数を計測するステップと、
第2の流入路を流通させて前記チャンバーに前記気体を流入させるステップと、
前記気体について、前記発振回路から出力される第2の発振信号の周波数を計測するステップと、
前記第1の発振信号の周波数と前記第2の発振信号の周波数とに基づいて、前記気体に含まれる物質を検出するステップと、を含み、
前記第1の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体と、前記第2の流入路を流通して前記チャンバーに流入した前記気体との間で、該気体内に含まれる物質の濃度が異なるよう、前記第2の流入路には、流通する前記気体に含まれる物質の一部を吸着及び/または脱着する吸脱着部が配置されている、
検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−21849(P2012−21849A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159039(P2010−159039)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)