味覚データベース
【課題】
味は時間経過とともに変化していくのが普通である。しかし、このような味の経時変化に対応した動的な味のデータを提供できなかった、という第一の課題がある。また、味によって個人が感じる感想は、その食の環境によって大きく違う、という第二の課題もある。
【解決手段】
上記第一の課題を解決するために、味覚データの経時変化を関数として格納するデータベースを提供する。またさらに、上記第二の課題を解決するために、その飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報として格納する第二のデータベースを提供する。なぜならば、味の感想はその人の居住地域や生活時代の食文化による味の記憶や味に対する慣れなどによって大きく変化するからである。
味は時間経過とともに変化していくのが普通である。しかし、このような味の経時変化に対応した動的な味のデータを提供できなかった、という第一の課題がある。また、味によって個人が感じる感想は、その食の環境によって大きく違う、という第二の課題もある。
【解決手段】
上記第一の課題を解決するために、味覚データの経時変化を関数として格納するデータベースを提供する。またさらに、上記第二の課題を解決するために、その飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報として格納する第二のデータベースを提供する。なぜならば、味の感想はその人の居住地域や生活時代の食文化による味の記憶や味に対する慣れなどによって大きく変化するからである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
味覚センシング装置による数値的な味の測定データに加え、時間経過によって変化する味の測定データやその変化関数を蓄積するデータベース、あるいは味覚センシング装置による数値的な味の測定結果に加え、同じ飲食物に対しても大きく異なる個々人の味感想などのデータを蓄積するデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、特許文献1ほかの文献において、人間の舌の味細胞を模した脂質高分子膜の味覚センサを利用した味覚センシング装置に関する技術が開示されている。これら味覚センシング装置は、人間の舌同様に味を感じさせる物質による膜電位の変化を、酸味や苦味、塩味などに対応する各味覚センサで測定し、数値的な味データとして計測する。そのため検体である飲食物の味物質の構成成分に左右されること無く、人間が感じる味覚と同等の味の度合いを計測することができる。
【0003】
そこでこの味覚センシング装置によって測定された味の数値データをデータベースに蓄積し、必要に応じた味の数値データの検索、提供を行うサービスも始められている。
【特許文献1】特許第2578370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、味は、例えば生鮮食品など時間の経過とともに味が劣化していく、あるいはワインや鮒鮨など時間経過とともに味わいが増していく、という具合に時間経過とともに変化していくのが普通である。すなわち従来の静的なデータを取り扱うデータベースでは、このような味の経時変化に対応した動的な味のデータを提供できなかった、という第一の課題がある。
【0005】
また、同じ飲食物に対しても、その味の感想には個人差がある、という第二の課題もある。例えば従来の味覚センシング装置によって測定された味のデータに基づいて、コーヒーAはコーヒーBよりも苦味が強い、ということは判断できる。しかしその苦味が個人としてどの程度の苦味として感じられるのかの判断は困難である。人によっては、味覚センシング装置の測定では数値的に近似の苦味をとる2種類のコーヒーに対して「双方とも同様の苦さ」と感じる人もいれば、「Bのほうだけとても苦い」と感じる人もいる、ということもありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第一の課題を解決するために、味覚データの数値の経時変化を関数(生産履歴時間の関数)として格納する第一のデータベースを提供する。この第一の本発明は、具体的には、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納する第一格納部と、飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む第一検索情報を入力する第一検索情報入力部と、前記第一検索情報入力部に入力された第一検索情報に基づいて前記第一格納部を検索する第一検索部と、を有するデータベースである。
【0007】
これによって、ユーザーの希望する飲食物の味のデータを検索、提供する際に、生産履歴時間の関数を利用して、例えば現在時間や過去、未来の時間における味の数値データを提供することができる。
【0008】
また、上記生産履歴時間の関数に加え、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報も格納する第一のデータベースも提供する。それによって、例えば、経時変化によって卵が最も「おいしい」と思える味になる時間、すなわち食べ頃の時間の検索なども可能になる。
【0009】
また、上記生産履歴時間の関数に加え、その飲食物の飲食感想情報と、その飲食感想所有者の属性情報を格納する第一のデータベースを提供する。それによって例えば自分の属性情報をキーとして、自分と同じ出身地や年齢の者の、ある飲食物に対する飲食感想情報の検索などを行うことができるようになる。したがって自分にとって未体験の食品でも、自分と同属性の者の飲食感想情報を手掛かりにして自分の飲食感想を前もって予測することができるようになる。なぜならば、味の感想はその人の居住地域や生育時代に特有の食文化による味の記憶や味に対する慣れなどに左右される。そこで、年齢や生活地域などの属性情報が近い者や、辛いもの好きなどの味覚傾向の属性情報が近い者の味の感想は似たものになると考えられるからである。
【0010】
また、上記に加えさらに飲食感想所有者が飲食した時をその飲食物の生産履歴時間で示す飲食タイミング情報を格納するデータベースも提供する。それによって、例えば自分の属性情報をキーとして、未体験の食品でも自分にとっての食べ頃と思われる時間を検索することなどが可能になる。
【0011】
またさらに、上記第二の課題を解決するために、その飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報として格納する第二のデータベースを提供する。
【0012】
この第二の本発明は、具体的には、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報として格納する第五格納部と、飲食物識別子を含む第五検索情報を入力する第五検索情報入力部と、前記第五検索情報入力部に入力された第五検索情報に基づいて前記第五格納部を検索する第五検索部と、有するデータベースである。この第二のデータベースによって、個人としての飲食物に対する感想に基づいて検索を行うことができる。したがって、例えば、自分が過去に「美味しい」という飲食感想情報を抱いた銘柄Aのコーヒーを検索キーとすることで、その銘柄Aの味覚データの数値に基づいて近似の数値を持つ新銘柄のコーヒーを検索することなどもできる。あるいは、その飲食感想情報がある飲食物に対する平均化された一般的な感想であるならば、感想検索というサービスを提供することも可能になる。
【0013】
また、さらに、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報として格納する第三のデータベースも提供する。これによって、ある飲食物について出身地や年齢などが同じ者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになり、例えば自分にとって未体験の食品でも、自分が感じると思われるその飲食感想を前もって予想することができるようになる。
【0014】
また、さらに、地理情報と関連付けて飲食物の味覚データを格納する第四のデータベースも提供する。このデータベースによって、例えば関東と九州のめんつゆの味覚データの違いや、九州のうどんに近い味のうどんが食べられる場所の検索などを行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
上記第一のデータベースによって、ユーザーに対して時間経過とともに変化する味覚データを検索、提供することができる。したがって、ユーザーは現時点や過去、未来の時点でのその飲食物の味覚データを知ることができる。また、ひいては自分にとっての食べ頃の時期や賞味期限などを検索し知ることも可能になる。
【0016】
また、上記第二のデータベースによって、個人としての飲食物に対する感想に基づいて検索を行うことができ、自分が過去に「美味しい」という飲食感想情報を抱いた銘柄Aのコーヒーを検索キーとして、その銘柄Aの味覚データに基づいて似た味覚データの数値を持つ新銘柄のコーヒーを検索することなどもできる。
【0017】
また、上記第三のデータベースによって、自分と出身地や年齢などが同じ属性の者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになり、自分にとって未体験の食品でも、自分が感じると思われるその飲食感想を前もって知ることができるようになる。
【0018】
また、上記第四のデータベースによって、地域ごとの味覚データの違いや、例えば自分の出身地の味に近い味の食品が食べられる別の場所の検索などを行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0020】
なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。
【0021】
また、実施例2は、主に請求項2について説明する。
【0022】
また、実施例3は、主に請求項3について説明する。
【0023】
また、実施例4は、主に請求項4について説明する。
【0024】
また、実施例5は、主に請求項5について説明する。
【0025】
また、実施例6は、主に請求項6について説明する。
【0026】
また、実施例7は、主に請求項7について説明する。
【0027】
ここで、実施例1から6のデータベースを詳細に説明する前に、まずはそれぞれの特徴の一例について、格納されている情報の違いを示しながら簡単に説明する。もちろん以下に挙げる特徴は、混同しやすいと思われる実施例ごとの違いを明確にして説明するためのものであり、発明そのものを限定するものではない。なお、実施例7は、地図情報を格納することをその特徴としており、その構成においてその他の実施例と混同する可能性は低いともわれるので省略する。
【0028】
本発明の実施例1から6に利用される情報は、味覚データ、飲食物識別子、生産履歴時間の関数、飲食感想情報、飲食者属性情報、飲食タイミング情報の6つである。そして味覚データと飲食物識別子については全てのデータベースに格納されている。したがって、各実施例それぞれのデータベースの特徴は、その他の4つの情報で表現される。なお、それぞれの格納情報の定義を含む詳細な説明は、各実施例の説明中にて行う。
【0029】
図25に示すように、実施例1の第一のデータベースは、「生産履歴時間の関数」によって特徴付けられる。すなわち、飲食物識別子で特定される飲食物の、例えば「3日後」の味覚データをその生産履歴時間の関数から検索する、などの動的な情報の検索が可能な第一のデータベースである。
【0030】
また、実施例5の第二のデータベースは、「飲食感想情報」によって特徴付けられる。すなわち、例えば、「美味しい」という飲食感想情報を有する飲食物の味覚データの数値の検索や、逆に味覚データ「甘味70、酸味62」で示される飲食物についての飲食感想情報の検索などを行うことが可能な第二のデータベースである。
【0031】
また、実施例6の第三のデータベースは、「飲食感想情報」及び「飲食者属性情報」によって特徴付けられる。飲食者属性情報は、その飲食感想を抱いた者の属性情報であるので、当然飲食感想情報と関連付けられている。そこでこのデータベースでは、「30代の男性」の卵Aの飲食感想やその味覚データの検索、や、逆に卵Aの飲食感想が「美味しい」である飲食者の属性情報の検索、などを行うことが可能である。
【0032】
一方、実施例2,3,4については実施例1の第一のデータベースに従属する形態で「生産履歴時間の関数」を含みつつ、それぞれ残りの情報を格納することで特徴を有している。例えば、実施例2の第一のデータベースは、飲食感想情報をさらに格納する。そのため、味覚データの数値の替わりに飲食感想情報を検索キーや検索結果として出力することができる。そして同じ「飲食感想情報」を格納する実施例5との違いは、「生産履歴時間の関数」の格納の有無に応じて、検索結果などに味覚データの経時変化が反映されるか否か、である。
【0033】
なお、実施例2のデータベースでは、同一飲食物の時間経過の違いによる飲食感想情報の違い、すなわち「卵Aの3日後と7日後の飲食感想情報」という違いは明確に区別されない。なぜならば、この区別は実施例4で後述する飲食タイミング情報により明確になされるからである。したがって実施例2ではそのような違いを考慮に入れない形態での飲食感想情報の検索キーへの利用や検索結果の出力を想定している。
【0034】
実施例3の第一のデータベースは、飲食者属性情報をさらに格納する。そのため、「30代の男性」の「好む」味の味覚データの数値検索などを行うことが可能である。そして、やはり同じ「飲食感想情報」及び「飲食者属性情報」を格納する実施例6との違いは、「生産履歴時間の関数」の格納の有無に応じて、検索結果などに味覚データの経時変化が反映されるか否か、である。
【0035】
実施例4の第一のデータベースは、飲食タイミング情報をさらに格納する。上述のとおり、このデータベースでは、例えば「3日後の卵Aの飲食感想情報」と「7日後の卵Aの飲食感想情報」とを明確に区別することが可能である。つまり検索結果や検索キーに関してこの飲食タイミングの違いを区別することができることを特徴の一つとしている。
【0036】
≪実施例1≫
【0037】
<概要>
【0038】
図1に示すのは、本実施例の第一のデータベースを利用した情報提供サービスの概念の一例を説明するための図である。この図にあるように、まず、消費者が以前に購入した卵を前にして、その卵がまだ食べられる味をキープしているのか悩んでいる(1)。ここでこの消費者は、卵に予め貼り付けられている二次元バーコードを携帯電話で撮影し、バーコードに含まれる情報を携帯電話に読み込む。すると、そのバーコード情報からこの卵は「○×養鶏場」で「11月10日」に採取された、という情報が携帯電話に取得される。また、携帯電話の内蔵カレンダーから現在の日時「11月17日」という情報も合わせて取得される(2)。また、消費者は卵を保管していた冷蔵庫内の温度など、卵の保管状態に関する情報も合わせて携帯電話に入力し、これらの情報をネットワークを介して本実施例の第一のデータベースに対して送信する(3)。第一のデータベースでは、送信された情報に基づいて、自身に格納された味の経時変化の関数などの情報を参照し、「○×養鶏場で採取され、7日経過した卵の味覚データは、『酸味が120』で『旨味が79』です。この味に類似の味は、あなたが10月20日に食べた卵です・・・」などの情報を生成する。そしてその生成情報が消費者の携帯電話に対して送信され表示される(4)。
【0039】
このようにして本実施例の第一のデータベースによって、消費者は飲食物の例えば現在時間における味のデータと言う具合に時間によって変化した味のデータを知ることができるようになる。
【0040】
また、後述するように、経時変化後の味覚の数値データが分かることで、例えば消費者自身が以前経験した際の味の数値データと照し合わせ、自分なりの品質保持期限を知ることもできる。したがって従来の画一的な品質保持期限のみならず、自分の味覚に合わせた自分だけの品質保持期限を飲食物ごとなどに設定することも可能になる。
【0041】
<構成>
【0042】
図2に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(0200)は、「第一格納部」(0201)と、「第一検索情報入力部」(0202)と、「第一検索部」(0203)と、を有する。
【0043】
なお、以下に記載する本データベースの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメモリ、バス、ハードディスクドライブ、CD−ROMやDVD−ROMなどのメディア読取ドライブ、各種通信や印刷機器用の送受信ポート、インターフェースや入力デバイス、その他の周辺装置などのハードウェア構成部や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0044】
具体的には、メモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェースを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力などにより各部の機能が実現される。
【0045】
また、この発明は装置またはシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることもできる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0046】
また、本発明のデータベースは、インターネット上のサーバ内に組み込まれ、インターネットを通して後述する第一検索情報が入力され、検索を行い、その検索結果をクライアントに対して返信する実施の形態が挙げられる。あるいはスタンドアローンのデータベースとしてクライアント端末に組み込まれ、入力デバイスを利用して入力された第一検索情報に基づいて検索を行う実施の形態であっても良い。もちろん、スタンドアローンのデータベースであっても後述する第一格納部に格納される情報は、ネットワーク等を通じて最新の情報に更新される構成などであっても良い。
【0047】
「第一格納部」(0201)は、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納する機能を有する。「味覚データ」とは、味を表す情報であり、例えば人間の舌の味細胞を模した脂質高分子膜の味覚センサを利用した味覚センシング装置によって測定された甘味、塩味、旨味、酸味、苦味(食物系、薬物系、にがり系)、などが数値化されたデータが挙げられる。あるいは塩化カリウムや酒石酸などで生成された基準液を利用して前述の味覚センシング装置によって測定される後味に相当する測定値も挙げられる。また、その他の味覚データの一例として、糖度、アルコール度数、水素イオン指数、または導電率などの測定値も挙げられる。
【0048】
「飲食物識別子」とは、飲食物の製品名称や品種名、その種類ごとに割り当てられた識別用の数字や記号などが挙げられる。また、飲食物識別子は、階層的な識別子であっても構わない。階層的とは、例えば飲食物識別子の「茶類」には、その下に「日本茶」、「中国茶」、「外国茶」という飲食物識別子があり、またさらにその下に「静岡茶」や「ジャスミン茶」、「アッサム紅茶」など品種を示す飲食物識別子が存在する、という具合である。
【0049】
「生産履歴時間」とは、飲食物の生産、製造、加工、流通などに関する時間を示す情報をいい、例えばワインやジュース、パンなど製造品であればその製造日や製造時刻が挙げられる。また、卵や米などであればその生産日や採取日、食肉などであればその加工日、あるいはそれら飲食物の出荷日や納入日など、飲食物の製造や生産、流通の起点となる時刻が挙げられる。あるいは生産履歴時間のその他の一例として、製造日や生産日などから出荷や購入までに経過した時間や出荷日や納入日を含めた流通にかかった時間など、飲食物に関する経過時間も挙げられる。
【0050】
「生産履歴時間に関する関数」とは、上記生産履歴時間を変数として味覚データを表す関数である。この関数は、所定の数式f(x)によって表現される関数が挙げられる。例えば、一般的に飲食物は時間の経過によって味が劣化していく。あるいは逆にワインなどの高級アルコール類や、納豆や鮒鮨などの発酵商品などは時間の経過に応じてそのおいしさが増すの飲食物もある。当然このような味の変化は味覚データの変化ということで数値化して測定可能であり、したがって、生産履歴時間と酸味や苦味などの味覚データとを変数とする関数として表現することができる。
【0051】
なお、その際の関数は、例えば、スプライン関数やラグランジュ関数、あるいはB−スプライン関数などで表現する方法が挙げられる。また、その関数は、生産履歴時間とその時間における味覚データとを関連付け保持しているテーブルで表現される関数であっても良い。
【0052】
図3に示すのは、生産履歴時間に関する関数の一例を説明するための図である。この図にあるように、例えば味覚センシング装置によるある卵のブランドAの旨味と酸味の測定値は、採取時からの経過時間を変数とした関数としてそれぞれ表すことができる。もちろん、苦味や塩味、甘味などについても同様に味覚センシング装置による測定値や含有糖度値の変化などとして同様に表せる。
【0053】
図4に示すのは、卵のブランドAを飲食物識別子として第一格納部に格納されているデータの一例を表す概念図である。この図にあるように、例えば卵Aの旨味に関して関数αAが関連付けられ、酸味に関しては関数αBが関連付けて格納されている。このように、味覚データの変化を表す関数がこの第一格納部に関連付けて格納されていることで、現在時間における味覚データなどの時間経過に応じた味覚データを知ることが可能になる。
【0054】
なお、この生産履歴時間の関数は、さらにその飲食物の保管に関する情報と関連付けて格納されていることが望ましい。保管に関する情報とは、例えば保管場所の温度や湿度、日光照射量などの情報が挙げられる。なぜならば、例えば常温保管された卵は冷蔵庫で保管された卵に比べ腐りやすい、すなわち味の劣化速度が速い、と言う具合に、味覚データの経時変化は保管状況に応じて変わるのが一般的だからである。このように、保管に関する情報と生産履歴時間の関数とが関連付けられていることで、保管状況の違いに応じた味覚データの変化の情報を検索することも可能になる。
【0055】
もちろん、生鮮食品ならば一般家庭の典型的な冷蔵庫や冷凍庫、米であれば一般的なキッチン、あるいはワインならば一般的なワインセラーと言う具合に、飲食物に応じて保管場所を想定し、その想定保管場所の典型的な保管状態に合わせた生産履歴時間の関数を格納することで、上記生産履歴時間の関数を保管に関する情報と関連付けることを省略した構成としても構わない。
【0056】
「第一検索情報入力部」(0202)は、第一検索情報を入力する機能を有する。「第一検索情報」とは、飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む検索情報を言う。この第一検索情報は、例えば、飲食物識別子として「検索したい飲食物名(あるいはその飲食物に付されたコード)」、生産履歴時間として、例えば「製造日や製造時刻」などや「流通にかかった時間」などの飲食物に関する経過時間などが挙げられる。あるいは入力される生産履歴時間としては、例えば、飲食物の食べ頃の時期を知るために未来や過去の時間が入力されても構わない。
【0057】
なお、これらの情報は検索を行いたい者によってキーボードなどの入力デバイスを利用して入力されても良い。あるいは例えば上記情報を示す二次元バーコードなどが該当する飲食物やパッケージに添付されており、読取デバイスでその二次元バーコードなどが読み取られることで入力する方法も挙げられる。
【0058】
「第一検索部」(0203)は、第一検索情報入力部(0202)に入力された第一検索情報に基づいて第一格納部(0201)を検索する機能を有する。なお、この第一検索部における検索は、味覚データを第一検索情報に含んで検索を行う場合、その味覚データに同一の味覚データを検索するのみならず、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。なお、「第一検索情報に味覚データが含まれる」には、第一検索情報として入力されるのは飲食物識別子だけであるが、第一検索部での検索としてはその飲食物識別子を検索キーとして第一格納部の味覚データが検索され、その味覚データを検索キーとして別の飲食物識別子の検索を行う場合なども含むものとする。
【0059】
ここで、第一検索部での検索について具体例を挙げながら以下説明する。まず前述のように、例えば飲食物Aのパッケージに添付された二次元バーコードを読み取り、第一検索情報として「卵A」という飲食物識別子と、生産履歴時間として「採取日:11月10日」という情報が第一検索情報入力部に入力される。また、二次元バーコードの読取端末の内蔵時計から生産履歴時間として「現在日:11月17日」という情報も取得される。すると、この第一検索部では、第一格納部を検索し、該当する飲食物識別子で識別される「卵A」の旨味や酸味などの生産履歴時間に関する関数αAや関数αBが取得される。そして、これら関数αAやαBは、経過時間の関数であるので、第一検索情報の「採取日:11月10日」と「現在日:11月17日」から導き出されるこの卵Aの採取日からの経過時間「7(日)」という情報からこの「卵A」の現時点での旨味や酸味などの味覚データが算出される。
【0060】
図5に示すのは、上記のよう関数に基づいて算出された検索結果の表示画面の一例を表す図である。この図にあるように、第一検索部で検索された現時点での卵Aの味覚データを検索結果として、例えば「酸味:120、旨味:79」と言う具合に消費者の携帯端末に出力、表示する。また図にあるように、過去の検索結果の蓄積データから、この味覚データの数値に近い値を示す飲食物の情報を表示しても良い。それによって消費者はより明確にその卵の現時点での味を実感することができる。
【0061】
その他の第一検索部の検索として、このような現時点での味覚データの検索のほかに、第一検索情報として「卵A」とその採取日「11月10日」とともに「現時点よりも先、又は前の時間」が入力されても良い。そして、その未来、又は過去の時点での卵Aの味覚データが関数αAとαBにより算出され、検索結果として出力されても良い。
【0062】
また、第一検索情報として「卵A」とその採取日「11月10日」とともに、消費者が過去の経験から好む味覚データの各数値が入力されても良い。そして、第一検索部において関数αAやαBなどを利用してその入力された味覚データとなる日時(卵Aの採取日からの経過日)が検索されても良い。このような検索を行うことで消費者は飲食物の食べ頃となる時期を知ることも可能になる。
【0063】
以上のように、本実施例の第一のデータベースによって、消費者は現時点や未来、あるいは過去の時点での飲食物の味覚データを容易に知ることができるようになる。また、それを利用することで例えば飲食物の食べ頃の時期などを知ることもできる。
【0064】
また、このように経時変化する味覚データの数値を検索することができるので、例えば従来の画一化された品質保持期限ではなく自分だけの品質保持期限を設定することも可能になる。すなわち、例えば過去の経験から銘柄Aの卵についてユーザーαは「1週間」を自分にとっての卵Aの品質保持期限と考え、その旨の情報をデータベースに登録する。すると、別の銘柄の卵Bの飲食物識別子が第一検索情報として入力されることで、本データベースによって卵Aおよび卵Bの経時変化後の数値データの比較が行われ、卵Bのユーザーαにとっての品質保持期限が提案される、また自動で品質保持期限のチェックが行えるという具合である。
【0065】
また、味覚のうち「酸味」は食べ物の腐敗度を表すことが多い。そこで、飲食物ごとにその腐敗時の味覚データの酸味値を登録しておき、衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限の管理を、本実施例のデータベースを利用して行っても良い。
【0066】
なお上記実施例では飲食物の最終消費者による利用を例にとり説明したが、本実施例のデータベースは企業などにより以下のような利用を行うことも可能である。すなわち、インターネット上のサーバに組み込まれた本実施例のデータベースにて生産履歴時間に関する関数と関連付けた味覚データを一元管理することで、小売店では飲食物の品質保持期限などを個別に管理することなく、その都度データベースに問い合わせることで飲食物の最適な品質保持期限を適宜知ることが可能になる。したがって、商品の最適な入れ替えサイクルの立案なども容易になる。また、従来は勘や経験で設定していた時間経過による値引きの代わりに、本実施例のデータベースを利用して、変化した味覚に応じた値段設定という新たな商取引形態を提案することも可能になる。
【0067】
また、製造や物流、小売り、および最終消費者のそれぞれの拠点において味覚センシング装置で味覚データを測定し、本実施例のデータベースの検索結果と比較することで、その飲食物の品質管理を行うことも可能になる。具体的には、まず、製造工場にて製造された飲食物の味覚データを測定し、ICタグなどにその情報を書き込む。そして一定の品質管理の元、製造工場から物流拠点となる倉庫に飲食物が時間を掛けて搬送される。搬送された際、そこで再度味覚センシング装置による味覚データの測定を行う。ここで測定された味覚データと、ICタグの情報に基づいて本データベースを参照し搬送の時間経過に応じて関数により算出された数値とを比較する。その比較により、もし想定値以上に味覚データの数値が味の劣化を示していたら運搬時の品質管理に問題がある、と推定することができる。また、同様に物流拠点から小売り店舗、また小売り店舗から最終消費者の搬送に際しても同様に味覚データの測定を行い、データベースの検索結果との比較を行うことで、それぞれの搬送シーンにおける品質管理を行う、という具合である。このように物流の過程で想定以上に味が劣化していないかを判断し、飲食物の運搬経路ごとに品質管理のレベルなどを確認することができる。
【0068】
<処理の流れ>
【0069】
図6に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む第一検索情報が入力される(ステップS0601)。次に、前記ステップS0601で入力された第一検索情報に基づいて、予め飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納された飲食物の味覚データを検索する(ステップS0602)。最後に、前記ステップS0602での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0070】
<効果の簡単な説明>
【0071】
以上のように、本実施例の第一のデータベースによって、消費者は現時点や未来、過去における飲食物の味覚データを容易に知ることができるようになる。また、飲食物の食べ頃の時期などを知ることもできる。また、自分だけの品質保持期限の設定、管理を行うこともできる。
【0072】
また、飲食物の製造、生産企業や小売店や流通業者などにとっても、インターネット上のサーバに組み込まれた本実施例のデータベースにて生産履歴時間に関する関数と関連付けた味覚データを一元管理することで飲食物の最適な品質保持期限を知ることが可能になり、商品の最適な入れ替えサイクルの立案なども容易になる。また、流通時における品質管理なども可能になる。
【0073】
≪実施例2≫
【0074】
<概要>
【0075】
本実施例は、実施例1の第一のデータベースを基本として、さらに前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報を格納する第二格納部を有することを特徴とする。このように、前述の第一のデータベースに飲食感想情報が同時に格納されることにより、例えば、経時変化によって卵が最も「おいしい」と思える味になる時間、すなわち食べ頃の時間の検索なども実施例1と比較してさらに容易に可能となる。
【0076】
<構成>
【0077】
図7に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(0700)は、実施例1を基本として、「第一格納部」(0701)と、「第一検索情報入力部」(0702)と、「第一検索部」(0703)と、を有する。なお、この「第一格納部」と「第一検索情報入力部」と「第一検索部」は実施例1で記載済みであるので、その説明は省略する。
【0078】
そして特徴点として、「第二格納部」(0704)と、「第二検索情報入力部」(0705)と、「第二検索部」(0706)と、を有する。
【0079】
「第二格納部」(0704)は、前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報を格納する機能を有する。「飲食感想情報」とは、その飲食物識別子で識別される飲食物に対して抱く味についての感想をいい、例えば「美味しい」、「まずい」、「苦い」、「苦すぎる」、「甘い」、「好き」、「嫌い」「ちょうどいい辛さ/すごく辛い」、「美味しい/美味しくない」、「牛肉に合う」、「昔の給食で飲んだ味」、「舌がひりひりする」などの情報が挙げられる。あるいは、例えばワインなどで利用されるような「新春の草原に吹く風のような味」という具合の感想なども含まれていて良い。
【0080】
図8は、第一格納部と第二格納部での情報の格納の様子を一例を表す概念図である。この図にあるように第一格納部において飲食物識別子と生産履歴時間の関数とが関連付けて格納され、第二格納部において飲食物識別子と飲食感想情報とが関連付けて格納されている。そして、両格納部は飲食物識別子をプライマリキーとしてリレーショナルデータベースを構成している。もちろん、第一格納部と第二格納部はこのようなリレーショナルデータベースの構成をとる他に、第二格納部が第一格納部に包含されるような構成であっても構わない。
【0081】
なお、この飲食感想情報は、例えばユーザーの識別情報と関連付けて格納しても良い。すなわち個人別の飲食感想情報を格納する、ということである。例えばコーヒーの銘柄Aに対して、予め検索ユーザーαが「美味しい」という飲食感想情報を自身のユーザー識別情報とともに登録、格納しておく。そして検索の際には、その登録情報から検索ユーザーαが美味しいと感じるコーヒーの銘柄Aの味覚データに基づいて、コーヒーの銘柄Bがその味覚データの近似となるのは出荷から3日目、という具合の検索を行うことが可能になる。
【0082】
あるいは、飲食感想情報はアンケートなどで得られた一般化された意見として格納されても良い。それにより、例えば一般的に「美味しい」といわれているコーヒーの銘柄Aの3日後の味覚データ、という具合の検索を行うことが可能になる。
【0083】
なお、この飲食感想情報の収集方法は、ユーザー個別の飲食感想情報であれば、例えば予めユーザー登録などでユーザーの登録者情報の中に含めて入力してもらうことで収集する方法が挙げられる。または、一般的な飲食感想情報を収集するのであれば、例えば発売前の飲食物の試食イベントやマーケティング、実際の飲食物の購入者に対するアンケートなどを利用して収集する方法が挙げられる。あるいは、本実施例のデータベースを利用した検索の都度などに、ユーザーに飲食感想情報を入力してもらい蓄積していく方法も挙げられる。
【0084】
このように飲食感想情報が格納されていることで、味覚データの数値だけでは判断しづらい飲食物の味を、比較的容易に判断可能な飲食感想情報に置き換えて検索することも可能になる。
【0085】
「第二検索情報入力部」(0705)は、飲食物識別子を含む第二検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第二検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報を含んでいても構わない。それにより、飲食物に対する検索ユーザーの感想やあるいは一般化された感想に基づいた検索を行うこともできる。
【0086】
「第二検索部」(0706)は、第二検索情報入力部(0705)に入力された第二検索情報に基づいて第二格納部(0704)を検索する機能を有する。
【0087】
図9に示すのは、本実施例のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図である。この図の(1)にあるように、例えば第二検索情報として「コーヒーB」が入力され、検索方法として「ユーザー自身が美味しいと思うコーヒーAの味覚データにコーヒーBの味覚データが近似になる日にちの検索」が指定された場合、「(冷蔵庫保存で)3日後」という具合の検索結果が表示される。
【0088】
あるいは、同様に「コーヒーB」が入力され3日後の味覚データを検索するように指定された場合、図の(2)にあるように、アンケートなどで得られたこのコーヒーBの一般的な飲食感想情報である「苦味が強い」とともに、その味覚データの変化が表示される。このように飲食感想情報が格納され検索に利用されることで、経過時間や味覚データの数値といった記憶や判断しにくい要因ではなく、比較的容易に記憶、判断可能な飲食感想情報に置き換えて検索することも可能になる。
【0089】
<処理の流れ>
【0090】
図10に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第二検索情報が入力される(ステップS1001)。次に、前記ステップS1001で入力された第二検索情報に基づいて、予め関連付けて格納された生産履歴時間の関数と飲食物識別子とその飲食物の飲食感想情報を検索する(ステップS1002)。最後に、前記ステップS1002での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0091】
<効果の簡単な説明>
【0092】
本実施例のデータベースによって、記憶しにくい経過時間という数値データではなく、ユーザー自身にとって美味しいと感じた銘柄を基準として、その他の銘柄の食べ頃の時期やなどを容易に知ることが可能になる。あるいは、例えば一般的に「美味しい」といわれている銘柄の生産履歴時間の関数に基づく味覚データ、という具合の検索を行うことが可能になる。
【0093】
≪実施例3≫
【0094】
<概要>
【0095】
本実施例のデータベースは、実施例1のデータベースを基本としたデータベースであり、また実施例2同様に、飲食感想情報を格納している。そしてさらにその飲食感想所有者の出身地や年齢などの属性情報も格納していることを特徴としている。これにより、例えば自分の属性情報をキーとして、同じような食体験で同じような味覚を有すると思われる、自分と同じ属性の者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになる。
【0096】
<構成>
【0097】
図11に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(1100)は、実施例1を基本として、「第一格納部」(1101)と、「第一検索情報入力部」(1102)と、「第一検索部」(1103)と、を有する。なお、この「第一格納部」と「第一検索情報入力部」と「第一検索部」は実施例1で記載済みであるので、その説明は省略する。
【0098】
そして特徴点として、「第三格納部」(1104)と、「第三検索情報入力部」(1105)と、「第三検索部」(1106)と、を有する。
【0099】
「第三格納部」(1104)は、前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報を格納する機能を有する。なお、飲食感想情報は、実施例2で記載したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0100】
「飲食者属性情報」とは、飲食感想情報で示される飲食物の感想の所有者の属性情報をいい、例えばその者の年齢や世代、性別、職業、出身地(地域)や生育地(地域)、現在の居住地(地域)、家族構成、収入や生活レベル、食中毒など過去の食に関する病歴、甘党や辛党など味覚に関する傾向を示す情報、などが挙げられる。
【0101】
このように属性情報を飲食物識別子に関連付けるのは、以下のような理由からである。すなわち、味の感想はその人の居住地域や生育時代に特有の食文化による味の記憶や味に対する慣れなどに左右される。なぜならば、味の感想というものは、舌によって取得された酸味や苦味などの強度の情報を扁桃体などに記憶された自身の食体験の記憶と照合したうえで判断されるからである。例えば給食でよく食べていた記憶があれば安心感を持ち美味しいと感じたり、かつて食あたりを起こした記憶があれば美味しくないと感じたり、と言う具合である。
【0102】
このように、味の感想は味覚データとして示される数値以上に記憶に左右されるものである。そして、例えば年代ごとに給食は同一の傾向を示すことや、讃岐ではうどんが常食という具合に地域に応じた食文化がある、と言える。したがって年齢や生活地域などの属性情報が近い者や、辛いもの好きなどの味覚傾向の属性情報が近い者の味の感想は似たものになると考えられるからである。
【0103】
そこで属性情報を検索キーに含めることで、例えば自身が未体験の銘柄などであっても、自身と味の感じ方が似ていると思われる者の感想に基づいた検索を行うことができるようになる。あるいは、自身と同じ属性を有する者が、出荷日から3日経過したコーヒーAについてどのような感想を抱いたか、の検索を行うこともできる。
【0104】
「第三検索情報入力部」(1105)は、飲食物識別子を含む第三検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第三検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報や飲食者属性情報を含んでいても構わない。
【0105】
「第三検索部」(1106)は、第三検索情報入力部(1105)に入力された第三検索情報に基づいて第三格納部(1104)を検索する機能を有する。
【0106】
図12に示すのは、本実施例のデータベースによる検索結果の一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のデータベースによって、例えば属性情報である「北海道出身」で「20代」の「男性」が、「美味しい」という飲食感想情報を有するコーヒー、という情報を検索キーとして、該当するコーヒーの銘柄やその銘柄の所定時刻における味覚データなどを検索することが可能になる。
【0107】
<処理の流れ>
【0108】
図13に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第三検索情報が入力される(ステップS1301)。次に、前記ステップS1301で入力された第三検索情報に基づいて、予め関連付けて格納された生産履歴時間の関数と飲食物識別子とその飲食物の飲食感想情報及び飲食者属性情報を検索する(ステップS1302)。最後に、前記ステップS1302での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0109】
<効果の簡単な説明>
【0110】
このように本実施例のデータベースによって、例えば自分の属性情報をキーとして、同じような食体験で同じような味覚を有すると思われる、自分と出身地や年齢などが同じ者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになる。したがって自分にとって未体験の食品でも、自分が感じると思われるその飲食感想やその飲食物の経時変化した味覚データなどを前もって知ることができるようになる。
【0111】
≪実施例4≫
【0112】
<概要>
【0113】
本実施例のデータベースは、実施例1のデータベースを基本としたデータベースであり、また実施例2や3と同様に、飲食感想情報及び飲食感想所有者の属性情報を格納している。そして、さらに飲食物を飲食感想所有者が飲食した時を、例えば「製造日から3日経過」という具合に、その飲食物の生産履歴時間で示す飲食タイミング情報として格納することを特徴としている。すなわち、飲食感想情報で示される感想が、いつのタイミングの味覚データでのものなのか、をより明確に考慮した検索を行うことができる。
【0114】
これにより、飲食タイミング情報を検索キーに含めた検索を行うことが可能になる。例えば、製造日から3日経過したコーヒーの「美味しい」という飲食感想情報を、生産履歴時間の関数から導かれる味覚データの数値と関連付けて検索することが可能になる。したがって、同じコーヒーの銘柄でも、よりユーザー自身の好みの味覚データに近い数値を利用して、例えば新製品の検索などを行うことができる。あるいは、その新商品が自分の好みの味覚データになるのは何時なのか、という検索を行うこともできる。
【0115】
<構成>
【0116】
図14に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(1400)は、実施例1を基本として、「第一格納部」(1401)と、「第一検索情報入力部」(1402)と、「第一検索部」(1403)と、を有する。なお、この「第一格納部」と「第一検索情報入力部」と「第一検索部」は実施例1で記載済みであるので、その説明は省略する。
【0117】
そして特徴点として、「第四格納部」(1404)と、「第四検索情報入力部」(1405)と、「第四検索部」(1406)と、を有する。
【0118】
「第四格納部」(1404)は、前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報、飲食者属性情報及び、飲食タイミング情報を格納する機能を有する。なお、飲食感想情報と飲食者属性情報は実施例2および実施例3で記載したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0119】
「飲食タイミング情報」とは、その飲食物を飲食感想所有者が飲食した時をその飲食物の生産履歴時間で示す情報をいう。例えば、あるみかんに関して飲食感想情報で「甘さが増した」と示される味の感想を抱いたのは、「そのみかんの出荷日から3日後」である。また飲食感想情報で「甘くなりすぎた」と示される味の感想を抱いたのは、「出荷日から7日後」である、という具合である。
【0120】
このように飲食感想情報と飲食タイミング情報とが関連付けて格納されているので、上記のように例えば、同じみかんの銘柄でも、よりユーザー自身の好みの味覚データに近い数値を利用して、例えば新製品の検索などを行うことができる。また、ユーザー自身がみかんが最も美味しいと感じた食べ頃の時期を、主観的には把握しにくい味覚の数値データではなく、主観的に把握しやすい「美味しい」、「まずい」、「好き」、「嫌い」といった飲食感想情報に基づいて検索することもできる。
【0121】
また、飲食感想情報と飲食タイミング情報は飲食者属性情報とも関連付けて格納されているので、ユーザー自身と近い属性情報を有する者の飲食感想情報や飲食タイミング情報を元に検索することも可能である。
【0122】
「第四検索情報入力部」(1405)は、飲食物識別子を含む第四検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第四検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報や飲食者属性情報、飲食タイミング情報を含んでいても構わない。
【0123】
「第四検索部」(1406)は、第四検索情報入力部(1405)に入力された第四検索情報に基づいて第四格納部(1404)を検索する機能を有する。
【0124】
図15に示すのは、本実施例のデータベースによる検索結果の一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のデータベースによって、例えば属性情報である「北海道出身」で「20代」の「男性」が、「最も美味しい」という飲食感想情報を有するみかんA、という情報を検索キーとして、みかんAで該当する属性情報の者が最も美味しいと感じるそのみかんAの出荷日などからの経過時間を検索することが可能になる。
【0125】
もちろん、その他にも、自分が最も美味しいと感じるみかんAを「出荷日から7日後」として検索キーとし、その味覚データに最も近い別の品種のみかんの出荷日Bからの経過時間を検索し、表示する例も挙げられる。
【0126】
<処理の流れ>
【0127】
図16に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第四検索情報が入力される(ステップS1601)。次に、前記ステップS1601で入力された第四検索情報に基づいて、予め関連付けて格納された生産履歴時間の関数と飲食物識別子とその飲食物の飲食感想情報及び飲食者属性情報、飲食タイミング情報を検索する(ステップS1602)。最後に、前記ステップS1602での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0128】
<効果の簡単な説明>
【0129】
このように本実施例のデータベースによって、例えば、同じコーヒーの銘柄でも、よりユーザー自身の好みの味覚データに近い数値を利用して、例えば新製品の検索などを行うことができる。また、ユーザー自身がみかんが最も美味しいと感じた食べ頃の時期を、主観的には把握しにくい味覚の数値データではなく、主観的に把握しやすい「美味しい」、「まずい」、「好き」、「嫌い」といった飲食感想情報に基づいて検索することもできる。
【0130】
≪実施例5≫
【0131】
<概要>
【0132】
本実施例の第二のデータベースは、実施例2のデータベースと同様に、飲食感想情報を格納している点を特徴とする。そして実施例2のデータベースと異なる点は、生産履歴時間の関数を同時に格納していない点である。したがって、例えば、実施例2のように、検索結果として「(ユーザーαにとって美味しい銘柄Aの味に近くなるのは)銘柄Bの出荷から3日目」という具合の検索ではなく、例えば検索ユーザーαの「美味しい」という飲食感想情報で示される銘柄Aの味に近い商品は「銘柄B」という具合の検索を行うことができる。あるいは、飲食感想情報として一般的に「美味しい」といわれているコーヒーの銘柄Aの味覚データの検索や、ある銘柄についての一般的な飲食感想情報はどのようなものかを検索して購入などの判断の参考にすることも可能になる。
【0133】
<構成>
【0134】
図17に示すのは、本実施例の第二のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第二のデータベース」(1700)は、「第五格納部」(1701)と、「第五検索情報入力部」(1702)と、「第五検索部」(1703)と、を有する。
【0135】
「第五格納部」(1701)は、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報として格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」、「飲食感想情報」については実施例1、2ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0136】
このように第五格納部において味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想として格納することで、例えば味覚データの数値だけでは判断しづらい飲食物の味を、比較的容易に判断可能な飲食感想情報に置き換えて検索することが可能になる。例えば、コーヒーの銘柄Aの味覚データに「美味しい」という飲食感想情報が関連付けられていれば、後述する第五検索情報入力部において検索ユーザーは「美味しい」「コーヒー」という第五検索情報を入力し検索するだけで、そのコーヒーAの味覚データの数値に近似の味覚データを持つ他の銘柄のコーヒーが検索される、という具合である。
【0137】
「第五検索情報入力部」(1702)は、飲食物識別子を含む第五検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第五検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報を含んでいても構わない。
【0138】
「第五検索部」(1703)は、第五検索情報入力部(1702)に入力された第五検索情報に基づいて第五格納部(1701)を検索する機能を有する。なお、この第五検索部における検索でも、実施例1の第一格納部での説明同様、味覚データを第五検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0139】
図18に示すのは、この第二のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図である。この図にあるように、例えばこのデータベースの第五格納部には、コーヒーAの飲食感想情報として「すっきり」、味覚データとして「酸味75、苦味68」、コーヒーBの飲食感想情報として「コクがある」、味覚データとして「酸味102、苦味75」、コーヒーCの飲食感想情報として「後味さわやか」、味覚データとして「酸味67、苦味80」という具合にそれぞれのデータが格納されている。
【0140】
ここでユーザーは、第五検索情報として「すっきり」味のコーヒーと入力する。すると、「すっきり」という飲食感想情報を有するコーヒーAの味覚データに近似の値の味覚データを有するコーヒーの銘柄が検索され、検索結果として表示される。このように、本実施例の第二のデータベースによって味覚データの数値よりも比較的味を想像しやすい飲食感想情報に基づいた検索を行うことができる。
【0141】
その他にも、特定商品の感想検索と言った具合に、例えば「コーヒーA」という飲食物識別子を第五検索情報として、そのコーヒーAについての平均的な飲食感想情報は何か、ということで「すっきり」という情報を検索結果として出力しても良い。
【0142】
もちろん、格納される飲食感想情報は上記のような多数のユーザーの一般的あるいは平均的な感想を示すものばかりではなく、自分にとっての感想を示す情報であっても良い。その場合、その飲食感想情報はその感想を抱いた者を識別する情報と関連付けて登録、格納される。そして、例えば、飲食感想情報として検索ユーザー自身が「好き」と登録したコーヒーAと近似の値の味覚データを有する別のコーヒーの銘柄を検索し、そのユーザーに対して情報提供すると良い。また、このような検索を利用して、新商品の味覚データから飲食感想情報を検索し、その味を「好き」と登録したユーザーに対してプロモーションを行うなどの利用も可能である。
【0143】
<処理の流れ>
【0144】
図19に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第五検索情報が入力される(ステップS1901)。次に、前記ステップS1901で入力された第五検索情報に基づいて、予め味覚データと関連付けて格納された飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報を検索する(ステップS1902)。最後に、前記ステップS1902での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0145】
<効果の簡単な説明>
【0146】
以上のように、本実施例の第二のデータベースによって、味覚データの数値よりも比較的味を想像しやすい飲食感想情報に基づいた検索を行うことができる。その他にも、特定商品の感想検索や、個人の飲食感想情報に基づく検索、その味を好むユーザーに対してプロモーションを行うなどの利用も可能である。
【0147】
≪実施例6≫
【0148】
<概要>
【0149】
本実施例の第三のデータベースは、実施例3のデータベースと同様に、飲食感想情報及び飲食者属性情報を格納している点を特徴とする。そして実施例3のデータベースと異なる点は、やはり生産履歴時間の関数を同時に格納していない点である。したがって、例えば、実施例3のように、検索結果として「(自身と同じ属性を有する者の)出荷日から3日経過したワインAについての感想」という具合の検索ではなく、「自分と同じ出身地のユーザーがワインAについての抱いた味の感想」という具合の検索を行うことができる。それによってユーザーにとって未体験の飲食物でも同じ属性の者の飲食感想情報を参考にした購入判断などを行うことが可能になる。
【0150】
あるいは、特定属性の者の飲食感想情報として「美味しい」といわれているワインAの味覚データの検索などを行うこともできる。
【0151】
<構成>
【0152】
図20に示すのは、本実施例の第三のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第三のデータベース」(2000)は、「第六格納部」(2001)と、「第六検索情報入力部」(2002)と、「第六検索部」(2003)と、を有する。
【0153】
「第六格納部」(2001)は飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報として格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」、「飲食感想情報」、「飲食者属性情報」については実施例1、2、3ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0154】
図21に示すのは、この第六格納部での飲食者属性情報の格納の一例の様子を表す模式図である。なお、この図では飲食物識別子をプライマリキーとして様々な飲食者属性情報が関連付けられているが、もちろんこの格納の形態はそれには限られない。
【0155】
このように第六格納部においてその飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想が関連付けて格納されることで、実施例5で記載したような効果を得られると同時に、飲食者属性情報もまた格納されているので、例えば「出身が福岡で20代の男性」という飲食者属性情報の者のワインAに対する飲食感想情報や、「出身が福岡で20代の男性」という属性の者が「美味しい」という飲食感想情報を抱くワインの銘柄などを検索することなどが可能になる。
【0156】
「第六検索情報入力部」(2002)は、飲食物識別子を含む第六検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第六検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報や飲食者属性情報を含んでいても構わない。
【0157】
「第六検索部」(2003)は、第六検索情報入力部(2002)に入力された第六検索情報に基づいて第六格納部(2001)を検索する機能を有する。なお、この第六検索部における検索でも、実施例1の第一格納部での説明同様、味覚データを第六検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0158】
図22に示すのは、この第三のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図である。この図にあるように、ある消費者がワインAについて購入しようか迷っている。そこで、まず、この消費者はワインAに貼り付けられた二次元バーコードを自身の携帯電話で撮影し、そのワインAを識別するための飲食物識別子を含む二次元バーコードの情報を携帯電話に読み取らせる(1)。そしてインターネットを通じ、読み取った飲食物識別子を本実施例の第三のデータベースに送信しワインAに関する情報を検索する(2)。すると、検索結果として、ワインAの酸味や苦味などの味覚データの数値、および飲食者属性情報として20代や30代の世代別のワインAに対する飲食感想情報が出力され、消費者の携帯電話の表示画面に表示される(3)。消費者はこれを見て、例えば自身と同じ30代の者の飲食感想情報を参考に好みと合致すれば購入を決断する、などができる。
【0159】
図23に示すのは、この第三のデータベースを利用した検索の、別の一例を説明するための図である。この図にあるように、「30代、男性」が「美味しい」と思う「ワイン」はどの銘柄か知りたいと思うユーザーが、第六検索情報として飲食者属性情報「30代、男性」、飲食感想情報「美味しい」、飲食物識別子「ワイン」、という検索キーを入力する。すると、本実施例の第三のデータベースは検索結果として該当する「ワインの銘柄A」という情報を出力する、という具合である。
【0160】
図26に示すのは、飲食者属性情報がその飲食者の出身地や居住地である場合の検索結果の表示画面の一例を表す図である。まず、第六検索情報として飲食物識別子「めん類」、飲食者属性情報として「関東地方」、飲食感想情報「好き」が入力される。するとこれらを検索キーとして第六格納部を検索した結果として、図にあるように、関東地方の人が好きなうどんAの味覚データやそばBの味覚データが表示される、という具合である。
【0161】
以上のように、本実施例の第三のデータベースによって、消費者は自身の食の記憶と同等の記憶を有し、同じような味の感想を有すると思われる者の味の感想や、特定の属性の者がある感想を抱いた飲食物の銘柄などを知ることができる。したがって、数値化された味覚データからは想起しづらい飲食物の味そのものに関する情報を得ることができ、商品購入などの参考にすることができる。
【0162】
また、小売店などに配備されたPOSなどの情報端末により取得された飲食物の販売地域や購買層などの情報を組み合わせることで、従来よりもさらに深い分析を可能とするマーケティングデータを収集することが可能になる。
【0163】
また、ある個人の好む味覚データの数値に近似する新商品が発売された場合など、インターネットやデータ放送を利用してその顧客や属性情報を同じくする顧客に対してプッシュ型宣伝を行うために、本発明のデータベースを利用してもよい。あるいはGPS(全地球測位システム)などの位置情報を利用して、その顧客やその顧客と属性情報を同じくする顧客に対して、その顧客らが好む味覚データに近似する商品が置いてある店舗の近くで、その飲食物の販売情報を端末などに通知するために本発明のデータベースを利用しても良い。
【0164】
<処理の流れ>
【0165】
図24に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第六検索情報が入力される(ステップS2401)。次に、前記ステップS2401で入力された第六検索情報に基づいて、予め味覚データと関連付けて格納された飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及び飲食者属性情報を検索する(ステップS2402)。最後に、前記ステップS2402での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0166】
<効果の簡単な説明>
【0167】
以上のように、本実施例の第三のデータベースによって、特定の飲食者属性情報の者のある品種の食品に対する飲食感想情報や、ある飲食者属性情報の者が「美味しい」という飲食感想情報を抱く飲食物の銘柄などを検索することなどが可能になる。
【0168】
<その他の実施例>
【0169】
また、この第三のデータベースは以下のような利用例も想定できる。まずある人のビールの好みの銘柄データを、20代、30代、40代という具合に所定の年齢区分ごとに、味覚データとして蓄積する。そして、このようにして年齢区分ごとに蓄積された銘柄の味覚データの数値から、加齢によるその人の味の好みの変化を示す関数を算出し、その関数で導かれる味覚データの数値から、例えば50代におけるその人の好みの銘柄を検索する、という具合の利用例である。
【0170】
≪実施例7≫
【0171】
<概要>
【0172】
本実施例の第四のデータベースは、飲食物の地理情報に関連して検索を行うことのできるデータベースである。このデータベースを利用した検索としては、例えば、地域別のカップめんのめんつゆの味覚データの違いの検索、表示や、引越し先で自分の出身地のうどんの味に近いうどんを提供してくれる場所を検索することなどが挙げられる。あるいは、上記飲食感想情報と関連付けて地理情報を格納することで、所定の地域の人の「好む」味覚データを検索、表示することも可能である。
【0173】
<構成>
【0174】
図27に示すのは、本実施例の第四のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第四のデータベース」(2700)は、「第七格納部」(2701)と、「第七検索情報入力部」(2702)と、「第七検索部」(2703)と、を有する。
【0175】
「第七格納部」(2701)は、飲食物の味覚データと、その飲食物識別子と、その飲食物の地理情報とを関連付けて格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」については実施例1ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0176】
「地理情報」とは、その飲食物識別子で識別される飲食物が製造、生産、採取、加工などされた場所を示す情報をいい、例えば九州地方、関東地方、北海道、仙台市、など地域を示す情報や、○×牧場、△□工場、αさんの農場、という具合に特定の生産(製造、加工、採取)場所を示す情報などが挙げられる。
【0177】
このように第七格納部において地理情報と関連付けて味覚データなどが格納されているので、例えば地域別のカップめんのめんつゆの味覚データの違いの検索、表示や、引越し先で自分の出身地のうどんの味に近いうどんを提供してくれる場所を検索することなどが可能になる。
【0178】
「第七検索情報入力部」(2702)は、飲食物識別子を含む第七検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第七検索情報は飲食物識別子以外に、地理情報などを含んでいても構わない。
【0179】
「第七検索部」(2703)は、第七検索情報入力部(2702)に入力された第七検索情報に基づいて第七格納部(2701)を検索する機能を有する。なお、この第七検索部における検索でも、実施例1の第一格納部での説明同様、味覚データを第七検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0180】
図28に示すのは、このデータベースによる検索結果の表示画面の一例を表す図である。この図にあるように、例えば第七検索情報として飲食物識別子「うどんのつゆ」、および出力は地域別である旨を指定する情報が入力される。すると第七検索部で、第七格納部において関連付けて蓄積されている各地域におけるうどんのつゆの味覚データ(代表的な味覚データ、あるいは地域に含まれる場所ごとの平均値を算出しても良い)が検索される。そして、その結果として、図にあるように、北海道のめんつゆの味覚データは「塩味:10、旨み:20」で、東北地方のめんつゆの味覚データは「塩味:40、旨み:20」で、と言う具合に、各地域ごとのめんつゆの味覚データの違いが一目でわかるようにディスプレイなどにその検索結果が表示される。
【0181】
このようにしてユーザーは、北海道より東北地方のうどんの方が塩味が強い、などといったことがすぐに分かるようになる。
【0182】
また、例えば製造メーカーなどは、本実施例の第四のデータベースを利用して上記のように製造工場ごとの味覚データを検索し、その味覚データの違いを把握すると良い。こうすることで製造工場ごとの味の違いを含めて品質の管理を行うことも可能になる。
【0183】
図29に示すのは、このデータベースによる検索結果の表示画面の、別の一例を表す図である。この例では、本実施例のデータベースで、九州地方のうどんの味に類似したうどんを提供する他の場所について検索を行う。
【0184】
その場合、まず、第七検索情報として地理情報「九州地方」と飲食物識別子「うどん」が入力される。すると、まず図(a)にあるように、第七格納部に格納されている九州地方のうどんの味覚データが検索され、その味覚データが表示される。ここでユーザーによってその表示画面中の味覚データがクリックされると、本実施例のデータベースは第七格納部に格納されている味覚データの中から、その「九州地方」「うどん」の味覚データの数値に近似の味覚データを有するうどんを検索する。そしてその検索にヒットしたうどんと関連付けて第七格納部に格納されている地理情報を、その検索結果として図(b)にあるように地図上に表示する、という具合である。このように、所望の味覚データに近い味覚データの飲食物が提供される場所の検索を行うことも可能である。
【0185】
<処理の流れ>
【0186】
図30に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第七検索情報が入力される(ステップS3001)。次に、前記ステップS3001で入力された第七検索情報に基づいて、予め味覚データと関連付けて格納された飲食物識別子と、その飲食物の地理情報を検索する(ステップS3002)。最後に、前記ステップS3002での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0187】
もちろん、上記は一例であり、第七検索情報として飲食物識別子と地理情報が入力され、それに基づいて味覚データの検索が行われても良い。
【0188】
<効果の簡単な説明>
【0189】
以上のように、本実施例の第四のデータベースによって、地域別の食品の味覚データの違いの検索、表示や、例えば引越し先や旅先での所望の味に近い食品を提供してくれる場所を検索することなどができる。また、製造工場ごとなどの品質管理を行うことも可能になる。
【0190】
≪全体のその他の実施例≫
【0191】
また、本発明の第一から第三の発明は、以下のような実施の形態例での利用を挙げることもできる。例えば、医療のデータベースと連携することで、病院食の味の改善や、病気に応じた味を有する飲食物を提供するための情報源とすることもできる。あるいは、インターネットに接続された端末上で実行されるゲームに対して味覚データを提供しても良い。
【0192】
また育児の場面においても、例えば本データベースを参考にさまざまな地域ごとの味覚データに応じた食材を用意することで、豊かな食経験を積ませることが可能な育児を行うことができる。あるいは味覚障害を有する者の味覚データを、その者の属性情報とともに時系列に沿って蓄積しても良い。それによってその者の味覚障害の治療による味の感じ方の変化を数値的に確認可能とし、味覚障害の度合いの改善を判断することに利用しても良い。
【0193】
≪さらにその他の例≫
【0194】
<概要>
【0195】
また、以下に示すデータベースを利用して、例えばある食品に類似した味を有する食品を検索、表示することも可能である。
【0196】
<構成>
【0197】
この場合のデータベースの構成は、「第八格納部」と「第八検索情報入力部」と「第八検索部」と、からなる。
【0198】
「第八格納部」は、飲食物の味覚データと、その飲食物識別子とを関連付けて格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」については実施例1ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0199】
「第八検索情報入力部」は、飲食物識別子を含む第八検索情報を入力する機能を有する。
【0200】
「第八検索部」は、第八検索情報入力部に入力された第八検索情報に基づいて第八格納部を検索する機能を有する。そして、この第八検索部では、例えば第八検索情報として入力された飲食物の味覚データの数値の近似の味覚データを有する飲食物を検索する。このように、この第八検索部における検索では、味覚データを第一検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0201】
図31に示すのは、このデータベースを利用して類似する味を検索した際の表示画面の一例を表す図である。まず、第八検索情報入力部にて第八検索情報として「食品A」が入力される。すると、第八格納部から、この食品Aの味覚データが取得される。すると、その味覚データの数値の近似の値を取る別の飲食物識別子が第八検索部で検索される。そして、この図にあるように、その検索の結果ヒットした食品B,Cが、食品Aの味に類似した食品であるとして、その味覚データに応じてディスプレイなどに表示される、という具合である。
【0202】
≪さらにその他の別の例≫
【0203】
<概要>
【0204】
また、上記データベースの飲食物識別子としては、製造日や製造年(生産日、採取日、加工日)や出荷日(納入日)などを特定された飲食物を識別する識別子であっても良い。こうすることで、例えば2001年もののワインAの味覚データ(代表となる特定のワインAの味覚データや平均的なワインAの味覚データなど)を検索する、と言うことも可能になる。また、そのワインAの製造年ごとの味覚データの違いやその味覚データの変遷を検索することも可能になる。
【0205】
図32に示すのは、このワインAの味覚データの変遷を表示画面上に表示した際の一例を表す図である。例えば、ユーザーが第八検索情報入力部に、飲食物識別子である「2001年から2004年のワインA」を検索キーとする第八検索情報を入力する。すると、第八検索部で、該当する「2001年もののワイン」、「2002年もののワイン」、「2003年もののワイン」、「2004年もののワイン」、それぞれの味覚データが第八格納部に格納されている味覚データの中から検索される。そして、この図にあるように、そのワインAの2001年から2004年までの味覚データが、その味の変遷として表示される。
【0206】
このような検索、表示を行うことで、ユーザーは本実施例のその他の第一のデータベースを利用して商品の製造年などごとの味覚データの違いやその味覚データの変遷を簡単に知ることができるようになる。
【0207】
また、その他にも、2000年のワインAと2004年のワインBとの味覚データを検索し、その違いを表示させたり、2000年のワインAの味覚データに近い、最近のワインの銘柄を検索し表示させたりする、といった具合の利用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】実施例1の第一のデータベースを利用した情報提供の概念の一例を説明するための図
【図2】実施例1の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図3】実施例1の第一のデータベースの第一格納部に格納されている生産履歴時間に関する関数の一例を説明するための図
【図4】実施例1の第一のデータベースにおいて、卵Aを飲食物識別子として第一格納部に格納されているデータの一例を表す概念図
【図5】実施例1の第一のデータベースの第一検索部において、関数に基づいて算出された検索結果の表示画面の一例を表す図
【図6】実施例1の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図7】実施例2の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図8】実施例2の第一のデータベースにおける第一格納部と第二格納部での情報の格納の様子を一例を表す概念図
【図9】実施例2の第一のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図
【図10】実施例2の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図11】実施例3の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図12】実施例3の第一のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図
【図13】実施例3の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図14】実施例4の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図15】実施例4の第一のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図
【図16】実施例4の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図17】実施例5の第二のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図18】実施例5の第二のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図
【図19】実施例5の第二のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図20】実施例6の第三のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図21】実施例6の第三のデータベースにおける第六格納部での飲食者属性情報の格納の一例の様子を表す模式図
【図22】実施例6の第三のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図
【図23】実施例6の第三のデータベースを利用した検索の、別の一例を説明するための図
【図24】実施例6の第三のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図25】実施例1から実施例6のデータベースそれぞれの特徴の一例について、格納されている情報の違いを示しながら簡単に説明するための図
【図26】実施例6の第三のデータベースによる、飲食者属性情報がその飲食者の出身地や居住地である場合の検索結果の表示画面の一例を表す図
【図27】実施例7の第四のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図28】実施例7の第四のデータベースによる検索結果の表示画面の一例を表す図
【図29】実施例7の第四のデータベースによる検索結果の表示画面の、別の一例を表す図
【図30】実施例7の第四のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図31】本発明の別のデータベースで類似する味を検索した際の表示画面の一例を表す図
【図32】本発明の別のデータベースによって検索された味覚データの変遷を表示画面上に表示した際の一例を表す図
【符号の説明】
【0209】
0200 データベース
0201 第一格納部
0202 第一検索情報入力部
0203 第一検索部
【技術分野】
【0001】
味覚センシング装置による数値的な味の測定データに加え、時間経過によって変化する味の測定データやその変化関数を蓄積するデータベース、あるいは味覚センシング装置による数値的な味の測定結果に加え、同じ飲食物に対しても大きく異なる個々人の味感想などのデータを蓄積するデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、特許文献1ほかの文献において、人間の舌の味細胞を模した脂質高分子膜の味覚センサを利用した味覚センシング装置に関する技術が開示されている。これら味覚センシング装置は、人間の舌同様に味を感じさせる物質による膜電位の変化を、酸味や苦味、塩味などに対応する各味覚センサで測定し、数値的な味データとして計測する。そのため検体である飲食物の味物質の構成成分に左右されること無く、人間が感じる味覚と同等の味の度合いを計測することができる。
【0003】
そこでこの味覚センシング装置によって測定された味の数値データをデータベースに蓄積し、必要に応じた味の数値データの検索、提供を行うサービスも始められている。
【特許文献1】特許第2578370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、味は、例えば生鮮食品など時間の経過とともに味が劣化していく、あるいはワインや鮒鮨など時間経過とともに味わいが増していく、という具合に時間経過とともに変化していくのが普通である。すなわち従来の静的なデータを取り扱うデータベースでは、このような味の経時変化に対応した動的な味のデータを提供できなかった、という第一の課題がある。
【0005】
また、同じ飲食物に対しても、その味の感想には個人差がある、という第二の課題もある。例えば従来の味覚センシング装置によって測定された味のデータに基づいて、コーヒーAはコーヒーBよりも苦味が強い、ということは判断できる。しかしその苦味が個人としてどの程度の苦味として感じられるのかの判断は困難である。人によっては、味覚センシング装置の測定では数値的に近似の苦味をとる2種類のコーヒーに対して「双方とも同様の苦さ」と感じる人もいれば、「Bのほうだけとても苦い」と感じる人もいる、ということもありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第一の課題を解決するために、味覚データの数値の経時変化を関数(生産履歴時間の関数)として格納する第一のデータベースを提供する。この第一の本発明は、具体的には、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納する第一格納部と、飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む第一検索情報を入力する第一検索情報入力部と、前記第一検索情報入力部に入力された第一検索情報に基づいて前記第一格納部を検索する第一検索部と、を有するデータベースである。
【0007】
これによって、ユーザーの希望する飲食物の味のデータを検索、提供する際に、生産履歴時間の関数を利用して、例えば現在時間や過去、未来の時間における味の数値データを提供することができる。
【0008】
また、上記生産履歴時間の関数に加え、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報も格納する第一のデータベースも提供する。それによって、例えば、経時変化によって卵が最も「おいしい」と思える味になる時間、すなわち食べ頃の時間の検索なども可能になる。
【0009】
また、上記生産履歴時間の関数に加え、その飲食物の飲食感想情報と、その飲食感想所有者の属性情報を格納する第一のデータベースを提供する。それによって例えば自分の属性情報をキーとして、自分と同じ出身地や年齢の者の、ある飲食物に対する飲食感想情報の検索などを行うことができるようになる。したがって自分にとって未体験の食品でも、自分と同属性の者の飲食感想情報を手掛かりにして自分の飲食感想を前もって予測することができるようになる。なぜならば、味の感想はその人の居住地域や生育時代に特有の食文化による味の記憶や味に対する慣れなどに左右される。そこで、年齢や生活地域などの属性情報が近い者や、辛いもの好きなどの味覚傾向の属性情報が近い者の味の感想は似たものになると考えられるからである。
【0010】
また、上記に加えさらに飲食感想所有者が飲食した時をその飲食物の生産履歴時間で示す飲食タイミング情報を格納するデータベースも提供する。それによって、例えば自分の属性情報をキーとして、未体験の食品でも自分にとっての食べ頃と思われる時間を検索することなどが可能になる。
【0011】
またさらに、上記第二の課題を解決するために、その飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報として格納する第二のデータベースを提供する。
【0012】
この第二の本発明は、具体的には、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報として格納する第五格納部と、飲食物識別子を含む第五検索情報を入力する第五検索情報入力部と、前記第五検索情報入力部に入力された第五検索情報に基づいて前記第五格納部を検索する第五検索部と、有するデータベースである。この第二のデータベースによって、個人としての飲食物に対する感想に基づいて検索を行うことができる。したがって、例えば、自分が過去に「美味しい」という飲食感想情報を抱いた銘柄Aのコーヒーを検索キーとすることで、その銘柄Aの味覚データの数値に基づいて近似の数値を持つ新銘柄のコーヒーを検索することなどもできる。あるいは、その飲食感想情報がある飲食物に対する平均化された一般的な感想であるならば、感想検索というサービスを提供することも可能になる。
【0013】
また、さらに、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報として格納する第三のデータベースも提供する。これによって、ある飲食物について出身地や年齢などが同じ者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになり、例えば自分にとって未体験の食品でも、自分が感じると思われるその飲食感想を前もって予想することができるようになる。
【0014】
また、さらに、地理情報と関連付けて飲食物の味覚データを格納する第四のデータベースも提供する。このデータベースによって、例えば関東と九州のめんつゆの味覚データの違いや、九州のうどんに近い味のうどんが食べられる場所の検索などを行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
上記第一のデータベースによって、ユーザーに対して時間経過とともに変化する味覚データを検索、提供することができる。したがって、ユーザーは現時点や過去、未来の時点でのその飲食物の味覚データを知ることができる。また、ひいては自分にとっての食べ頃の時期や賞味期限などを検索し知ることも可能になる。
【0016】
また、上記第二のデータベースによって、個人としての飲食物に対する感想に基づいて検索を行うことができ、自分が過去に「美味しい」という飲食感想情報を抱いた銘柄Aのコーヒーを検索キーとして、その銘柄Aの味覚データに基づいて似た味覚データの数値を持つ新銘柄のコーヒーを検索することなどもできる。
【0017】
また、上記第三のデータベースによって、自分と出身地や年齢などが同じ属性の者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになり、自分にとって未体験の食品でも、自分が感じると思われるその飲食感想を前もって知ることができるようになる。
【0018】
また、上記第四のデータベースによって、地域ごとの味覚データの違いや、例えば自分の出身地の味に近い味の食品が食べられる別の場所の検索などを行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0020】
なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。
【0021】
また、実施例2は、主に請求項2について説明する。
【0022】
また、実施例3は、主に請求項3について説明する。
【0023】
また、実施例4は、主に請求項4について説明する。
【0024】
また、実施例5は、主に請求項5について説明する。
【0025】
また、実施例6は、主に請求項6について説明する。
【0026】
また、実施例7は、主に請求項7について説明する。
【0027】
ここで、実施例1から6のデータベースを詳細に説明する前に、まずはそれぞれの特徴の一例について、格納されている情報の違いを示しながら簡単に説明する。もちろん以下に挙げる特徴は、混同しやすいと思われる実施例ごとの違いを明確にして説明するためのものであり、発明そのものを限定するものではない。なお、実施例7は、地図情報を格納することをその特徴としており、その構成においてその他の実施例と混同する可能性は低いともわれるので省略する。
【0028】
本発明の実施例1から6に利用される情報は、味覚データ、飲食物識別子、生産履歴時間の関数、飲食感想情報、飲食者属性情報、飲食タイミング情報の6つである。そして味覚データと飲食物識別子については全てのデータベースに格納されている。したがって、各実施例それぞれのデータベースの特徴は、その他の4つの情報で表現される。なお、それぞれの格納情報の定義を含む詳細な説明は、各実施例の説明中にて行う。
【0029】
図25に示すように、実施例1の第一のデータベースは、「生産履歴時間の関数」によって特徴付けられる。すなわち、飲食物識別子で特定される飲食物の、例えば「3日後」の味覚データをその生産履歴時間の関数から検索する、などの動的な情報の検索が可能な第一のデータベースである。
【0030】
また、実施例5の第二のデータベースは、「飲食感想情報」によって特徴付けられる。すなわち、例えば、「美味しい」という飲食感想情報を有する飲食物の味覚データの数値の検索や、逆に味覚データ「甘味70、酸味62」で示される飲食物についての飲食感想情報の検索などを行うことが可能な第二のデータベースである。
【0031】
また、実施例6の第三のデータベースは、「飲食感想情報」及び「飲食者属性情報」によって特徴付けられる。飲食者属性情報は、その飲食感想を抱いた者の属性情報であるので、当然飲食感想情報と関連付けられている。そこでこのデータベースでは、「30代の男性」の卵Aの飲食感想やその味覚データの検索、や、逆に卵Aの飲食感想が「美味しい」である飲食者の属性情報の検索、などを行うことが可能である。
【0032】
一方、実施例2,3,4については実施例1の第一のデータベースに従属する形態で「生産履歴時間の関数」を含みつつ、それぞれ残りの情報を格納することで特徴を有している。例えば、実施例2の第一のデータベースは、飲食感想情報をさらに格納する。そのため、味覚データの数値の替わりに飲食感想情報を検索キーや検索結果として出力することができる。そして同じ「飲食感想情報」を格納する実施例5との違いは、「生産履歴時間の関数」の格納の有無に応じて、検索結果などに味覚データの経時変化が反映されるか否か、である。
【0033】
なお、実施例2のデータベースでは、同一飲食物の時間経過の違いによる飲食感想情報の違い、すなわち「卵Aの3日後と7日後の飲食感想情報」という違いは明確に区別されない。なぜならば、この区別は実施例4で後述する飲食タイミング情報により明確になされるからである。したがって実施例2ではそのような違いを考慮に入れない形態での飲食感想情報の検索キーへの利用や検索結果の出力を想定している。
【0034】
実施例3の第一のデータベースは、飲食者属性情報をさらに格納する。そのため、「30代の男性」の「好む」味の味覚データの数値検索などを行うことが可能である。そして、やはり同じ「飲食感想情報」及び「飲食者属性情報」を格納する実施例6との違いは、「生産履歴時間の関数」の格納の有無に応じて、検索結果などに味覚データの経時変化が反映されるか否か、である。
【0035】
実施例4の第一のデータベースは、飲食タイミング情報をさらに格納する。上述のとおり、このデータベースでは、例えば「3日後の卵Aの飲食感想情報」と「7日後の卵Aの飲食感想情報」とを明確に区別することが可能である。つまり検索結果や検索キーに関してこの飲食タイミングの違いを区別することができることを特徴の一つとしている。
【0036】
≪実施例1≫
【0037】
<概要>
【0038】
図1に示すのは、本実施例の第一のデータベースを利用した情報提供サービスの概念の一例を説明するための図である。この図にあるように、まず、消費者が以前に購入した卵を前にして、その卵がまだ食べられる味をキープしているのか悩んでいる(1)。ここでこの消費者は、卵に予め貼り付けられている二次元バーコードを携帯電話で撮影し、バーコードに含まれる情報を携帯電話に読み込む。すると、そのバーコード情報からこの卵は「○×養鶏場」で「11月10日」に採取された、という情報が携帯電話に取得される。また、携帯電話の内蔵カレンダーから現在の日時「11月17日」という情報も合わせて取得される(2)。また、消費者は卵を保管していた冷蔵庫内の温度など、卵の保管状態に関する情報も合わせて携帯電話に入力し、これらの情報をネットワークを介して本実施例の第一のデータベースに対して送信する(3)。第一のデータベースでは、送信された情報に基づいて、自身に格納された味の経時変化の関数などの情報を参照し、「○×養鶏場で採取され、7日経過した卵の味覚データは、『酸味が120』で『旨味が79』です。この味に類似の味は、あなたが10月20日に食べた卵です・・・」などの情報を生成する。そしてその生成情報が消費者の携帯電話に対して送信され表示される(4)。
【0039】
このようにして本実施例の第一のデータベースによって、消費者は飲食物の例えば現在時間における味のデータと言う具合に時間によって変化した味のデータを知ることができるようになる。
【0040】
また、後述するように、経時変化後の味覚の数値データが分かることで、例えば消費者自身が以前経験した際の味の数値データと照し合わせ、自分なりの品質保持期限を知ることもできる。したがって従来の画一的な品質保持期限のみならず、自分の味覚に合わせた自分だけの品質保持期限を飲食物ごとなどに設定することも可能になる。
【0041】
<構成>
【0042】
図2に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(0200)は、「第一格納部」(0201)と、「第一検索情報入力部」(0202)と、「第一検索部」(0203)と、を有する。
【0043】
なお、以下に記載する本データベースの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメモリ、バス、ハードディスクドライブ、CD−ROMやDVD−ROMなどのメディア読取ドライブ、各種通信や印刷機器用の送受信ポート、インターフェースや入力デバイス、その他の周辺装置などのハードウェア構成部や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0044】
具体的には、メモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェースを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力などにより各部の機能が実現される。
【0045】
また、この発明は装置またはシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることもできる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0046】
また、本発明のデータベースは、インターネット上のサーバ内に組み込まれ、インターネットを通して後述する第一検索情報が入力され、検索を行い、その検索結果をクライアントに対して返信する実施の形態が挙げられる。あるいはスタンドアローンのデータベースとしてクライアント端末に組み込まれ、入力デバイスを利用して入力された第一検索情報に基づいて検索を行う実施の形態であっても良い。もちろん、スタンドアローンのデータベースであっても後述する第一格納部に格納される情報は、ネットワーク等を通じて最新の情報に更新される構成などであっても良い。
【0047】
「第一格納部」(0201)は、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納する機能を有する。「味覚データ」とは、味を表す情報であり、例えば人間の舌の味細胞を模した脂質高分子膜の味覚センサを利用した味覚センシング装置によって測定された甘味、塩味、旨味、酸味、苦味(食物系、薬物系、にがり系)、などが数値化されたデータが挙げられる。あるいは塩化カリウムや酒石酸などで生成された基準液を利用して前述の味覚センシング装置によって測定される後味に相当する測定値も挙げられる。また、その他の味覚データの一例として、糖度、アルコール度数、水素イオン指数、または導電率などの測定値も挙げられる。
【0048】
「飲食物識別子」とは、飲食物の製品名称や品種名、その種類ごとに割り当てられた識別用の数字や記号などが挙げられる。また、飲食物識別子は、階層的な識別子であっても構わない。階層的とは、例えば飲食物識別子の「茶類」には、その下に「日本茶」、「中国茶」、「外国茶」という飲食物識別子があり、またさらにその下に「静岡茶」や「ジャスミン茶」、「アッサム紅茶」など品種を示す飲食物識別子が存在する、という具合である。
【0049】
「生産履歴時間」とは、飲食物の生産、製造、加工、流通などに関する時間を示す情報をいい、例えばワインやジュース、パンなど製造品であればその製造日や製造時刻が挙げられる。また、卵や米などであればその生産日や採取日、食肉などであればその加工日、あるいはそれら飲食物の出荷日や納入日など、飲食物の製造や生産、流通の起点となる時刻が挙げられる。あるいは生産履歴時間のその他の一例として、製造日や生産日などから出荷や購入までに経過した時間や出荷日や納入日を含めた流通にかかった時間など、飲食物に関する経過時間も挙げられる。
【0050】
「生産履歴時間に関する関数」とは、上記生産履歴時間を変数として味覚データを表す関数である。この関数は、所定の数式f(x)によって表現される関数が挙げられる。例えば、一般的に飲食物は時間の経過によって味が劣化していく。あるいは逆にワインなどの高級アルコール類や、納豆や鮒鮨などの発酵商品などは時間の経過に応じてそのおいしさが増すの飲食物もある。当然このような味の変化は味覚データの変化ということで数値化して測定可能であり、したがって、生産履歴時間と酸味や苦味などの味覚データとを変数とする関数として表現することができる。
【0051】
なお、その際の関数は、例えば、スプライン関数やラグランジュ関数、あるいはB−スプライン関数などで表現する方法が挙げられる。また、その関数は、生産履歴時間とその時間における味覚データとを関連付け保持しているテーブルで表現される関数であっても良い。
【0052】
図3に示すのは、生産履歴時間に関する関数の一例を説明するための図である。この図にあるように、例えば味覚センシング装置によるある卵のブランドAの旨味と酸味の測定値は、採取時からの経過時間を変数とした関数としてそれぞれ表すことができる。もちろん、苦味や塩味、甘味などについても同様に味覚センシング装置による測定値や含有糖度値の変化などとして同様に表せる。
【0053】
図4に示すのは、卵のブランドAを飲食物識別子として第一格納部に格納されているデータの一例を表す概念図である。この図にあるように、例えば卵Aの旨味に関して関数αAが関連付けられ、酸味に関しては関数αBが関連付けて格納されている。このように、味覚データの変化を表す関数がこの第一格納部に関連付けて格納されていることで、現在時間における味覚データなどの時間経過に応じた味覚データを知ることが可能になる。
【0054】
なお、この生産履歴時間の関数は、さらにその飲食物の保管に関する情報と関連付けて格納されていることが望ましい。保管に関する情報とは、例えば保管場所の温度や湿度、日光照射量などの情報が挙げられる。なぜならば、例えば常温保管された卵は冷蔵庫で保管された卵に比べ腐りやすい、すなわち味の劣化速度が速い、と言う具合に、味覚データの経時変化は保管状況に応じて変わるのが一般的だからである。このように、保管に関する情報と生産履歴時間の関数とが関連付けられていることで、保管状況の違いに応じた味覚データの変化の情報を検索することも可能になる。
【0055】
もちろん、生鮮食品ならば一般家庭の典型的な冷蔵庫や冷凍庫、米であれば一般的なキッチン、あるいはワインならば一般的なワインセラーと言う具合に、飲食物に応じて保管場所を想定し、その想定保管場所の典型的な保管状態に合わせた生産履歴時間の関数を格納することで、上記生産履歴時間の関数を保管に関する情報と関連付けることを省略した構成としても構わない。
【0056】
「第一検索情報入力部」(0202)は、第一検索情報を入力する機能を有する。「第一検索情報」とは、飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む検索情報を言う。この第一検索情報は、例えば、飲食物識別子として「検索したい飲食物名(あるいはその飲食物に付されたコード)」、生産履歴時間として、例えば「製造日や製造時刻」などや「流通にかかった時間」などの飲食物に関する経過時間などが挙げられる。あるいは入力される生産履歴時間としては、例えば、飲食物の食べ頃の時期を知るために未来や過去の時間が入力されても構わない。
【0057】
なお、これらの情報は検索を行いたい者によってキーボードなどの入力デバイスを利用して入力されても良い。あるいは例えば上記情報を示す二次元バーコードなどが該当する飲食物やパッケージに添付されており、読取デバイスでその二次元バーコードなどが読み取られることで入力する方法も挙げられる。
【0058】
「第一検索部」(0203)は、第一検索情報入力部(0202)に入力された第一検索情報に基づいて第一格納部(0201)を検索する機能を有する。なお、この第一検索部における検索は、味覚データを第一検索情報に含んで検索を行う場合、その味覚データに同一の味覚データを検索するのみならず、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。なお、「第一検索情報に味覚データが含まれる」には、第一検索情報として入力されるのは飲食物識別子だけであるが、第一検索部での検索としてはその飲食物識別子を検索キーとして第一格納部の味覚データが検索され、その味覚データを検索キーとして別の飲食物識別子の検索を行う場合なども含むものとする。
【0059】
ここで、第一検索部での検索について具体例を挙げながら以下説明する。まず前述のように、例えば飲食物Aのパッケージに添付された二次元バーコードを読み取り、第一検索情報として「卵A」という飲食物識別子と、生産履歴時間として「採取日:11月10日」という情報が第一検索情報入力部に入力される。また、二次元バーコードの読取端末の内蔵時計から生産履歴時間として「現在日:11月17日」という情報も取得される。すると、この第一検索部では、第一格納部を検索し、該当する飲食物識別子で識別される「卵A」の旨味や酸味などの生産履歴時間に関する関数αAや関数αBが取得される。そして、これら関数αAやαBは、経過時間の関数であるので、第一検索情報の「採取日:11月10日」と「現在日:11月17日」から導き出されるこの卵Aの採取日からの経過時間「7(日)」という情報からこの「卵A」の現時点での旨味や酸味などの味覚データが算出される。
【0060】
図5に示すのは、上記のよう関数に基づいて算出された検索結果の表示画面の一例を表す図である。この図にあるように、第一検索部で検索された現時点での卵Aの味覚データを検索結果として、例えば「酸味:120、旨味:79」と言う具合に消費者の携帯端末に出力、表示する。また図にあるように、過去の検索結果の蓄積データから、この味覚データの数値に近い値を示す飲食物の情報を表示しても良い。それによって消費者はより明確にその卵の現時点での味を実感することができる。
【0061】
その他の第一検索部の検索として、このような現時点での味覚データの検索のほかに、第一検索情報として「卵A」とその採取日「11月10日」とともに「現時点よりも先、又は前の時間」が入力されても良い。そして、その未来、又は過去の時点での卵Aの味覚データが関数αAとαBにより算出され、検索結果として出力されても良い。
【0062】
また、第一検索情報として「卵A」とその採取日「11月10日」とともに、消費者が過去の経験から好む味覚データの各数値が入力されても良い。そして、第一検索部において関数αAやαBなどを利用してその入力された味覚データとなる日時(卵Aの採取日からの経過日)が検索されても良い。このような検索を行うことで消費者は飲食物の食べ頃となる時期を知ることも可能になる。
【0063】
以上のように、本実施例の第一のデータベースによって、消費者は現時点や未来、あるいは過去の時点での飲食物の味覚データを容易に知ることができるようになる。また、それを利用することで例えば飲食物の食べ頃の時期などを知ることもできる。
【0064】
また、このように経時変化する味覚データの数値を検索することができるので、例えば従来の画一化された品質保持期限ではなく自分だけの品質保持期限を設定することも可能になる。すなわち、例えば過去の経験から銘柄Aの卵についてユーザーαは「1週間」を自分にとっての卵Aの品質保持期限と考え、その旨の情報をデータベースに登録する。すると、別の銘柄の卵Bの飲食物識別子が第一検索情報として入力されることで、本データベースによって卵Aおよび卵Bの経時変化後の数値データの比較が行われ、卵Bのユーザーαにとっての品質保持期限が提案される、また自動で品質保持期限のチェックが行えるという具合である。
【0065】
また、味覚のうち「酸味」は食べ物の腐敗度を表すことが多い。そこで、飲食物ごとにその腐敗時の味覚データの酸味値を登録しておき、衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限の管理を、本実施例のデータベースを利用して行っても良い。
【0066】
なお上記実施例では飲食物の最終消費者による利用を例にとり説明したが、本実施例のデータベースは企業などにより以下のような利用を行うことも可能である。すなわち、インターネット上のサーバに組み込まれた本実施例のデータベースにて生産履歴時間に関する関数と関連付けた味覚データを一元管理することで、小売店では飲食物の品質保持期限などを個別に管理することなく、その都度データベースに問い合わせることで飲食物の最適な品質保持期限を適宜知ることが可能になる。したがって、商品の最適な入れ替えサイクルの立案なども容易になる。また、従来は勘や経験で設定していた時間経過による値引きの代わりに、本実施例のデータベースを利用して、変化した味覚に応じた値段設定という新たな商取引形態を提案することも可能になる。
【0067】
また、製造や物流、小売り、および最終消費者のそれぞれの拠点において味覚センシング装置で味覚データを測定し、本実施例のデータベースの検索結果と比較することで、その飲食物の品質管理を行うことも可能になる。具体的には、まず、製造工場にて製造された飲食物の味覚データを測定し、ICタグなどにその情報を書き込む。そして一定の品質管理の元、製造工場から物流拠点となる倉庫に飲食物が時間を掛けて搬送される。搬送された際、そこで再度味覚センシング装置による味覚データの測定を行う。ここで測定された味覚データと、ICタグの情報に基づいて本データベースを参照し搬送の時間経過に応じて関数により算出された数値とを比較する。その比較により、もし想定値以上に味覚データの数値が味の劣化を示していたら運搬時の品質管理に問題がある、と推定することができる。また、同様に物流拠点から小売り店舗、また小売り店舗から最終消費者の搬送に際しても同様に味覚データの測定を行い、データベースの検索結果との比較を行うことで、それぞれの搬送シーンにおける品質管理を行う、という具合である。このように物流の過程で想定以上に味が劣化していないかを判断し、飲食物の運搬経路ごとに品質管理のレベルなどを確認することができる。
【0068】
<処理の流れ>
【0069】
図6に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む第一検索情報が入力される(ステップS0601)。次に、前記ステップS0601で入力された第一検索情報に基づいて、予め飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納された飲食物の味覚データを検索する(ステップS0602)。最後に、前記ステップS0602での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0070】
<効果の簡単な説明>
【0071】
以上のように、本実施例の第一のデータベースによって、消費者は現時点や未来、過去における飲食物の味覚データを容易に知ることができるようになる。また、飲食物の食べ頃の時期などを知ることもできる。また、自分だけの品質保持期限の設定、管理を行うこともできる。
【0072】
また、飲食物の製造、生産企業や小売店や流通業者などにとっても、インターネット上のサーバに組み込まれた本実施例のデータベースにて生産履歴時間に関する関数と関連付けた味覚データを一元管理することで飲食物の最適な品質保持期限を知ることが可能になり、商品の最適な入れ替えサイクルの立案なども容易になる。また、流通時における品質管理なども可能になる。
【0073】
≪実施例2≫
【0074】
<概要>
【0075】
本実施例は、実施例1の第一のデータベースを基本として、さらに前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物に対する「おいしい」、「苦い」、「好き」、「嫌い」などの飲食感想情報を格納する第二格納部を有することを特徴とする。このように、前述の第一のデータベースに飲食感想情報が同時に格納されることにより、例えば、経時変化によって卵が最も「おいしい」と思える味になる時間、すなわち食べ頃の時間の検索なども実施例1と比較してさらに容易に可能となる。
【0076】
<構成>
【0077】
図7に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(0700)は、実施例1を基本として、「第一格納部」(0701)と、「第一検索情報入力部」(0702)と、「第一検索部」(0703)と、を有する。なお、この「第一格納部」と「第一検索情報入力部」と「第一検索部」は実施例1で記載済みであるので、その説明は省略する。
【0078】
そして特徴点として、「第二格納部」(0704)と、「第二検索情報入力部」(0705)と、「第二検索部」(0706)と、を有する。
【0079】
「第二格納部」(0704)は、前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報を格納する機能を有する。「飲食感想情報」とは、その飲食物識別子で識別される飲食物に対して抱く味についての感想をいい、例えば「美味しい」、「まずい」、「苦い」、「苦すぎる」、「甘い」、「好き」、「嫌い」「ちょうどいい辛さ/すごく辛い」、「美味しい/美味しくない」、「牛肉に合う」、「昔の給食で飲んだ味」、「舌がひりひりする」などの情報が挙げられる。あるいは、例えばワインなどで利用されるような「新春の草原に吹く風のような味」という具合の感想なども含まれていて良い。
【0080】
図8は、第一格納部と第二格納部での情報の格納の様子を一例を表す概念図である。この図にあるように第一格納部において飲食物識別子と生産履歴時間の関数とが関連付けて格納され、第二格納部において飲食物識別子と飲食感想情報とが関連付けて格納されている。そして、両格納部は飲食物識別子をプライマリキーとしてリレーショナルデータベースを構成している。もちろん、第一格納部と第二格納部はこのようなリレーショナルデータベースの構成をとる他に、第二格納部が第一格納部に包含されるような構成であっても構わない。
【0081】
なお、この飲食感想情報は、例えばユーザーの識別情報と関連付けて格納しても良い。すなわち個人別の飲食感想情報を格納する、ということである。例えばコーヒーの銘柄Aに対して、予め検索ユーザーαが「美味しい」という飲食感想情報を自身のユーザー識別情報とともに登録、格納しておく。そして検索の際には、その登録情報から検索ユーザーαが美味しいと感じるコーヒーの銘柄Aの味覚データに基づいて、コーヒーの銘柄Bがその味覚データの近似となるのは出荷から3日目、という具合の検索を行うことが可能になる。
【0082】
あるいは、飲食感想情報はアンケートなどで得られた一般化された意見として格納されても良い。それにより、例えば一般的に「美味しい」といわれているコーヒーの銘柄Aの3日後の味覚データ、という具合の検索を行うことが可能になる。
【0083】
なお、この飲食感想情報の収集方法は、ユーザー個別の飲食感想情報であれば、例えば予めユーザー登録などでユーザーの登録者情報の中に含めて入力してもらうことで収集する方法が挙げられる。または、一般的な飲食感想情報を収集するのであれば、例えば発売前の飲食物の試食イベントやマーケティング、実際の飲食物の購入者に対するアンケートなどを利用して収集する方法が挙げられる。あるいは、本実施例のデータベースを利用した検索の都度などに、ユーザーに飲食感想情報を入力してもらい蓄積していく方法も挙げられる。
【0084】
このように飲食感想情報が格納されていることで、味覚データの数値だけでは判断しづらい飲食物の味を、比較的容易に判断可能な飲食感想情報に置き換えて検索することも可能になる。
【0085】
「第二検索情報入力部」(0705)は、飲食物識別子を含む第二検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第二検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報を含んでいても構わない。それにより、飲食物に対する検索ユーザーの感想やあるいは一般化された感想に基づいた検索を行うこともできる。
【0086】
「第二検索部」(0706)は、第二検索情報入力部(0705)に入力された第二検索情報に基づいて第二格納部(0704)を検索する機能を有する。
【0087】
図9に示すのは、本実施例のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図である。この図の(1)にあるように、例えば第二検索情報として「コーヒーB」が入力され、検索方法として「ユーザー自身が美味しいと思うコーヒーAの味覚データにコーヒーBの味覚データが近似になる日にちの検索」が指定された場合、「(冷蔵庫保存で)3日後」という具合の検索結果が表示される。
【0088】
あるいは、同様に「コーヒーB」が入力され3日後の味覚データを検索するように指定された場合、図の(2)にあるように、アンケートなどで得られたこのコーヒーBの一般的な飲食感想情報である「苦味が強い」とともに、その味覚データの変化が表示される。このように飲食感想情報が格納され検索に利用されることで、経過時間や味覚データの数値といった記憶や判断しにくい要因ではなく、比較的容易に記憶、判断可能な飲食感想情報に置き換えて検索することも可能になる。
【0089】
<処理の流れ>
【0090】
図10に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第二検索情報が入力される(ステップS1001)。次に、前記ステップS1001で入力された第二検索情報に基づいて、予め関連付けて格納された生産履歴時間の関数と飲食物識別子とその飲食物の飲食感想情報を検索する(ステップS1002)。最後に、前記ステップS1002での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0091】
<効果の簡単な説明>
【0092】
本実施例のデータベースによって、記憶しにくい経過時間という数値データではなく、ユーザー自身にとって美味しいと感じた銘柄を基準として、その他の銘柄の食べ頃の時期やなどを容易に知ることが可能になる。あるいは、例えば一般的に「美味しい」といわれている銘柄の生産履歴時間の関数に基づく味覚データ、という具合の検索を行うことが可能になる。
【0093】
≪実施例3≫
【0094】
<概要>
【0095】
本実施例のデータベースは、実施例1のデータベースを基本としたデータベースであり、また実施例2同様に、飲食感想情報を格納している。そしてさらにその飲食感想所有者の出身地や年齢などの属性情報も格納していることを特徴としている。これにより、例えば自分の属性情報をキーとして、同じような食体験で同じような味覚を有すると思われる、自分と同じ属性の者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになる。
【0096】
<構成>
【0097】
図11に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(1100)は、実施例1を基本として、「第一格納部」(1101)と、「第一検索情報入力部」(1102)と、「第一検索部」(1103)と、を有する。なお、この「第一格納部」と「第一検索情報入力部」と「第一検索部」は実施例1で記載済みであるので、その説明は省略する。
【0098】
そして特徴点として、「第三格納部」(1104)と、「第三検索情報入力部」(1105)と、「第三検索部」(1106)と、を有する。
【0099】
「第三格納部」(1104)は、前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報を格納する機能を有する。なお、飲食感想情報は、実施例2で記載したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0100】
「飲食者属性情報」とは、飲食感想情報で示される飲食物の感想の所有者の属性情報をいい、例えばその者の年齢や世代、性別、職業、出身地(地域)や生育地(地域)、現在の居住地(地域)、家族構成、収入や生活レベル、食中毒など過去の食に関する病歴、甘党や辛党など味覚に関する傾向を示す情報、などが挙げられる。
【0101】
このように属性情報を飲食物識別子に関連付けるのは、以下のような理由からである。すなわち、味の感想はその人の居住地域や生育時代に特有の食文化による味の記憶や味に対する慣れなどに左右される。なぜならば、味の感想というものは、舌によって取得された酸味や苦味などの強度の情報を扁桃体などに記憶された自身の食体験の記憶と照合したうえで判断されるからである。例えば給食でよく食べていた記憶があれば安心感を持ち美味しいと感じたり、かつて食あたりを起こした記憶があれば美味しくないと感じたり、と言う具合である。
【0102】
このように、味の感想は味覚データとして示される数値以上に記憶に左右されるものである。そして、例えば年代ごとに給食は同一の傾向を示すことや、讃岐ではうどんが常食という具合に地域に応じた食文化がある、と言える。したがって年齢や生活地域などの属性情報が近い者や、辛いもの好きなどの味覚傾向の属性情報が近い者の味の感想は似たものになると考えられるからである。
【0103】
そこで属性情報を検索キーに含めることで、例えば自身が未体験の銘柄などであっても、自身と味の感じ方が似ていると思われる者の感想に基づいた検索を行うことができるようになる。あるいは、自身と同じ属性を有する者が、出荷日から3日経過したコーヒーAについてどのような感想を抱いたか、の検索を行うこともできる。
【0104】
「第三検索情報入力部」(1105)は、飲食物識別子を含む第三検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第三検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報や飲食者属性情報を含んでいても構わない。
【0105】
「第三検索部」(1106)は、第三検索情報入力部(1105)に入力された第三検索情報に基づいて第三格納部(1104)を検索する機能を有する。
【0106】
図12に示すのは、本実施例のデータベースによる検索結果の一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のデータベースによって、例えば属性情報である「北海道出身」で「20代」の「男性」が、「美味しい」という飲食感想情報を有するコーヒー、という情報を検索キーとして、該当するコーヒーの銘柄やその銘柄の所定時刻における味覚データなどを検索することが可能になる。
【0107】
<処理の流れ>
【0108】
図13に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第三検索情報が入力される(ステップS1301)。次に、前記ステップS1301で入力された第三検索情報に基づいて、予め関連付けて格納された生産履歴時間の関数と飲食物識別子とその飲食物の飲食感想情報及び飲食者属性情報を検索する(ステップS1302)。最後に、前記ステップS1302での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0109】
<効果の簡単な説明>
【0110】
このように本実施例のデータベースによって、例えば自分の属性情報をキーとして、同じような食体験で同じような味覚を有すると思われる、自分と出身地や年齢などが同じ者の飲食感想情報の検索などを行うことができるようになる。したがって自分にとって未体験の食品でも、自分が感じると思われるその飲食感想やその飲食物の経時変化した味覚データなどを前もって知ることができるようになる。
【0111】
≪実施例4≫
【0112】
<概要>
【0113】
本実施例のデータベースは、実施例1のデータベースを基本としたデータベースであり、また実施例2や3と同様に、飲食感想情報及び飲食感想所有者の属性情報を格納している。そして、さらに飲食物を飲食感想所有者が飲食した時を、例えば「製造日から3日経過」という具合に、その飲食物の生産履歴時間で示す飲食タイミング情報として格納することを特徴としている。すなわち、飲食感想情報で示される感想が、いつのタイミングの味覚データでのものなのか、をより明確に考慮した検索を行うことができる。
【0114】
これにより、飲食タイミング情報を検索キーに含めた検索を行うことが可能になる。例えば、製造日から3日経過したコーヒーの「美味しい」という飲食感想情報を、生産履歴時間の関数から導かれる味覚データの数値と関連付けて検索することが可能になる。したがって、同じコーヒーの銘柄でも、よりユーザー自身の好みの味覚データに近い数値を利用して、例えば新製品の検索などを行うことができる。あるいは、その新商品が自分の好みの味覚データになるのは何時なのか、という検索を行うこともできる。
【0115】
<構成>
【0116】
図14に示すのは、本実施例の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第一のデータベース」(1400)は、実施例1を基本として、「第一格納部」(1401)と、「第一検索情報入力部」(1402)と、「第一検索部」(1403)と、を有する。なお、この「第一格納部」と「第一検索情報入力部」と「第一検索部」は実施例1で記載済みであるので、その説明は省略する。
【0117】
そして特徴点として、「第四格納部」(1404)と、「第四検索情報入力部」(1405)と、「第四検索部」(1406)と、を有する。
【0118】
「第四格納部」(1404)は、前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報、飲食者属性情報及び、飲食タイミング情報を格納する機能を有する。なお、飲食感想情報と飲食者属性情報は実施例2および実施例3で記載したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0119】
「飲食タイミング情報」とは、その飲食物を飲食感想所有者が飲食した時をその飲食物の生産履歴時間で示す情報をいう。例えば、あるみかんに関して飲食感想情報で「甘さが増した」と示される味の感想を抱いたのは、「そのみかんの出荷日から3日後」である。また飲食感想情報で「甘くなりすぎた」と示される味の感想を抱いたのは、「出荷日から7日後」である、という具合である。
【0120】
このように飲食感想情報と飲食タイミング情報とが関連付けて格納されているので、上記のように例えば、同じみかんの銘柄でも、よりユーザー自身の好みの味覚データに近い数値を利用して、例えば新製品の検索などを行うことができる。また、ユーザー自身がみかんが最も美味しいと感じた食べ頃の時期を、主観的には把握しにくい味覚の数値データではなく、主観的に把握しやすい「美味しい」、「まずい」、「好き」、「嫌い」といった飲食感想情報に基づいて検索することもできる。
【0121】
また、飲食感想情報と飲食タイミング情報は飲食者属性情報とも関連付けて格納されているので、ユーザー自身と近い属性情報を有する者の飲食感想情報や飲食タイミング情報を元に検索することも可能である。
【0122】
「第四検索情報入力部」(1405)は、飲食物識別子を含む第四検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第四検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報や飲食者属性情報、飲食タイミング情報を含んでいても構わない。
【0123】
「第四検索部」(1406)は、第四検索情報入力部(1405)に入力された第四検索情報に基づいて第四格納部(1404)を検索する機能を有する。
【0124】
図15に示すのは、本実施例のデータベースによる検索結果の一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のデータベースによって、例えば属性情報である「北海道出身」で「20代」の「男性」が、「最も美味しい」という飲食感想情報を有するみかんA、という情報を検索キーとして、みかんAで該当する属性情報の者が最も美味しいと感じるそのみかんAの出荷日などからの経過時間を検索することが可能になる。
【0125】
もちろん、その他にも、自分が最も美味しいと感じるみかんAを「出荷日から7日後」として検索キーとし、その味覚データに最も近い別の品種のみかんの出荷日Bからの経過時間を検索し、表示する例も挙げられる。
【0126】
<処理の流れ>
【0127】
図16に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第四検索情報が入力される(ステップS1601)。次に、前記ステップS1601で入力された第四検索情報に基づいて、予め関連付けて格納された生産履歴時間の関数と飲食物識別子とその飲食物の飲食感想情報及び飲食者属性情報、飲食タイミング情報を検索する(ステップS1602)。最後に、前記ステップS1602での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0128】
<効果の簡単な説明>
【0129】
このように本実施例のデータベースによって、例えば、同じコーヒーの銘柄でも、よりユーザー自身の好みの味覚データに近い数値を利用して、例えば新製品の検索などを行うことができる。また、ユーザー自身がみかんが最も美味しいと感じた食べ頃の時期を、主観的には把握しにくい味覚の数値データではなく、主観的に把握しやすい「美味しい」、「まずい」、「好き」、「嫌い」といった飲食感想情報に基づいて検索することもできる。
【0130】
≪実施例5≫
【0131】
<概要>
【0132】
本実施例の第二のデータベースは、実施例2のデータベースと同様に、飲食感想情報を格納している点を特徴とする。そして実施例2のデータベースと異なる点は、生産履歴時間の関数を同時に格納していない点である。したがって、例えば、実施例2のように、検索結果として「(ユーザーαにとって美味しい銘柄Aの味に近くなるのは)銘柄Bの出荷から3日目」という具合の検索ではなく、例えば検索ユーザーαの「美味しい」という飲食感想情報で示される銘柄Aの味に近い商品は「銘柄B」という具合の検索を行うことができる。あるいは、飲食感想情報として一般的に「美味しい」といわれているコーヒーの銘柄Aの味覚データの検索や、ある銘柄についての一般的な飲食感想情報はどのようなものかを検索して購入などの判断の参考にすることも可能になる。
【0133】
<構成>
【0134】
図17に示すのは、本実施例の第二のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第二のデータベース」(1700)は、「第五格納部」(1701)と、「第五検索情報入力部」(1702)と、「第五検索部」(1703)と、を有する。
【0135】
「第五格納部」(1701)は、飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報として格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」、「飲食感想情報」については実施例1、2ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0136】
このように第五格納部において味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想として格納することで、例えば味覚データの数値だけでは判断しづらい飲食物の味を、比較的容易に判断可能な飲食感想情報に置き換えて検索することが可能になる。例えば、コーヒーの銘柄Aの味覚データに「美味しい」という飲食感想情報が関連付けられていれば、後述する第五検索情報入力部において検索ユーザーは「美味しい」「コーヒー」という第五検索情報を入力し検索するだけで、そのコーヒーAの味覚データの数値に近似の味覚データを持つ他の銘柄のコーヒーが検索される、という具合である。
【0137】
「第五検索情報入力部」(1702)は、飲食物識別子を含む第五検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第五検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報を含んでいても構わない。
【0138】
「第五検索部」(1703)は、第五検索情報入力部(1702)に入力された第五検索情報に基づいて第五格納部(1701)を検索する機能を有する。なお、この第五検索部における検索でも、実施例1の第一格納部での説明同様、味覚データを第五検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0139】
図18に示すのは、この第二のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図である。この図にあるように、例えばこのデータベースの第五格納部には、コーヒーAの飲食感想情報として「すっきり」、味覚データとして「酸味75、苦味68」、コーヒーBの飲食感想情報として「コクがある」、味覚データとして「酸味102、苦味75」、コーヒーCの飲食感想情報として「後味さわやか」、味覚データとして「酸味67、苦味80」という具合にそれぞれのデータが格納されている。
【0140】
ここでユーザーは、第五検索情報として「すっきり」味のコーヒーと入力する。すると、「すっきり」という飲食感想情報を有するコーヒーAの味覚データに近似の値の味覚データを有するコーヒーの銘柄が検索され、検索結果として表示される。このように、本実施例の第二のデータベースによって味覚データの数値よりも比較的味を想像しやすい飲食感想情報に基づいた検索を行うことができる。
【0141】
その他にも、特定商品の感想検索と言った具合に、例えば「コーヒーA」という飲食物識別子を第五検索情報として、そのコーヒーAについての平均的な飲食感想情報は何か、ということで「すっきり」という情報を検索結果として出力しても良い。
【0142】
もちろん、格納される飲食感想情報は上記のような多数のユーザーの一般的あるいは平均的な感想を示すものばかりではなく、自分にとっての感想を示す情報であっても良い。その場合、その飲食感想情報はその感想を抱いた者を識別する情報と関連付けて登録、格納される。そして、例えば、飲食感想情報として検索ユーザー自身が「好き」と登録したコーヒーAと近似の値の味覚データを有する別のコーヒーの銘柄を検索し、そのユーザーに対して情報提供すると良い。また、このような検索を利用して、新商品の味覚データから飲食感想情報を検索し、その味を「好き」と登録したユーザーに対してプロモーションを行うなどの利用も可能である。
【0143】
<処理の流れ>
【0144】
図19に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第五検索情報が入力される(ステップS1901)。次に、前記ステップS1901で入力された第五検索情報に基づいて、予め味覚データと関連付けて格納された飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報を検索する(ステップS1902)。最後に、前記ステップS1902での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0145】
<効果の簡単な説明>
【0146】
以上のように、本実施例の第二のデータベースによって、味覚データの数値よりも比較的味を想像しやすい飲食感想情報に基づいた検索を行うことができる。その他にも、特定商品の感想検索や、個人の飲食感想情報に基づく検索、その味を好むユーザーに対してプロモーションを行うなどの利用も可能である。
【0147】
≪実施例6≫
【0148】
<概要>
【0149】
本実施例の第三のデータベースは、実施例3のデータベースと同様に、飲食感想情報及び飲食者属性情報を格納している点を特徴とする。そして実施例3のデータベースと異なる点は、やはり生産履歴時間の関数を同時に格納していない点である。したがって、例えば、実施例3のように、検索結果として「(自身と同じ属性を有する者の)出荷日から3日経過したワインAについての感想」という具合の検索ではなく、「自分と同じ出身地のユーザーがワインAについての抱いた味の感想」という具合の検索を行うことができる。それによってユーザーにとって未体験の飲食物でも同じ属性の者の飲食感想情報を参考にした購入判断などを行うことが可能になる。
【0150】
あるいは、特定属性の者の飲食感想情報として「美味しい」といわれているワインAの味覚データの検索などを行うこともできる。
【0151】
<構成>
【0152】
図20に示すのは、本実施例の第三のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第三のデータベース」(2000)は、「第六格納部」(2001)と、「第六検索情報入力部」(2002)と、「第六検索部」(2003)と、を有する。
【0153】
「第六格納部」(2001)は飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報として格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」、「飲食感想情報」、「飲食者属性情報」については実施例1、2、3ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0154】
図21に示すのは、この第六格納部での飲食者属性情報の格納の一例の様子を表す模式図である。なお、この図では飲食物識別子をプライマリキーとして様々な飲食者属性情報が関連付けられているが、もちろんこの格納の形態はそれには限られない。
【0155】
このように第六格納部においてその飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想が関連付けて格納されることで、実施例5で記載したような効果を得られると同時に、飲食者属性情報もまた格納されているので、例えば「出身が福岡で20代の男性」という飲食者属性情報の者のワインAに対する飲食感想情報や、「出身が福岡で20代の男性」という属性の者が「美味しい」という飲食感想情報を抱くワインの銘柄などを検索することなどが可能になる。
【0156】
「第六検索情報入力部」(2002)は、飲食物識別子を含む第六検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第六検索情報は飲食物識別子以外に、飲食感想情報や飲食者属性情報を含んでいても構わない。
【0157】
「第六検索部」(2003)は、第六検索情報入力部(2002)に入力された第六検索情報に基づいて第六格納部(2001)を検索する機能を有する。なお、この第六検索部における検索でも、実施例1の第一格納部での説明同様、味覚データを第六検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0158】
図22に示すのは、この第三のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図である。この図にあるように、ある消費者がワインAについて購入しようか迷っている。そこで、まず、この消費者はワインAに貼り付けられた二次元バーコードを自身の携帯電話で撮影し、そのワインAを識別するための飲食物識別子を含む二次元バーコードの情報を携帯電話に読み取らせる(1)。そしてインターネットを通じ、読み取った飲食物識別子を本実施例の第三のデータベースに送信しワインAに関する情報を検索する(2)。すると、検索結果として、ワインAの酸味や苦味などの味覚データの数値、および飲食者属性情報として20代や30代の世代別のワインAに対する飲食感想情報が出力され、消費者の携帯電話の表示画面に表示される(3)。消費者はこれを見て、例えば自身と同じ30代の者の飲食感想情報を参考に好みと合致すれば購入を決断する、などができる。
【0159】
図23に示すのは、この第三のデータベースを利用した検索の、別の一例を説明するための図である。この図にあるように、「30代、男性」が「美味しい」と思う「ワイン」はどの銘柄か知りたいと思うユーザーが、第六検索情報として飲食者属性情報「30代、男性」、飲食感想情報「美味しい」、飲食物識別子「ワイン」、という検索キーを入力する。すると、本実施例の第三のデータベースは検索結果として該当する「ワインの銘柄A」という情報を出力する、という具合である。
【0160】
図26に示すのは、飲食者属性情報がその飲食者の出身地や居住地である場合の検索結果の表示画面の一例を表す図である。まず、第六検索情報として飲食物識別子「めん類」、飲食者属性情報として「関東地方」、飲食感想情報「好き」が入力される。するとこれらを検索キーとして第六格納部を検索した結果として、図にあるように、関東地方の人が好きなうどんAの味覚データやそばBの味覚データが表示される、という具合である。
【0161】
以上のように、本実施例の第三のデータベースによって、消費者は自身の食の記憶と同等の記憶を有し、同じような味の感想を有すると思われる者の味の感想や、特定の属性の者がある感想を抱いた飲食物の銘柄などを知ることができる。したがって、数値化された味覚データからは想起しづらい飲食物の味そのものに関する情報を得ることができ、商品購入などの参考にすることができる。
【0162】
また、小売店などに配備されたPOSなどの情報端末により取得された飲食物の販売地域や購買層などの情報を組み合わせることで、従来よりもさらに深い分析を可能とするマーケティングデータを収集することが可能になる。
【0163】
また、ある個人の好む味覚データの数値に近似する新商品が発売された場合など、インターネットやデータ放送を利用してその顧客や属性情報を同じくする顧客に対してプッシュ型宣伝を行うために、本発明のデータベースを利用してもよい。あるいはGPS(全地球測位システム)などの位置情報を利用して、その顧客やその顧客と属性情報を同じくする顧客に対して、その顧客らが好む味覚データに近似する商品が置いてある店舗の近くで、その飲食物の販売情報を端末などに通知するために本発明のデータベースを利用しても良い。
【0164】
<処理の流れ>
【0165】
図24に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第六検索情報が入力される(ステップS2401)。次に、前記ステップS2401で入力された第六検索情報に基づいて、予め味覚データと関連付けて格納された飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及び飲食者属性情報を検索する(ステップS2402)。最後に、前記ステップS2402での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0166】
<効果の簡単な説明>
【0167】
以上のように、本実施例の第三のデータベースによって、特定の飲食者属性情報の者のある品種の食品に対する飲食感想情報や、ある飲食者属性情報の者が「美味しい」という飲食感想情報を抱く飲食物の銘柄などを検索することなどが可能になる。
【0168】
<その他の実施例>
【0169】
また、この第三のデータベースは以下のような利用例も想定できる。まずある人のビールの好みの銘柄データを、20代、30代、40代という具合に所定の年齢区分ごとに、味覚データとして蓄積する。そして、このようにして年齢区分ごとに蓄積された銘柄の味覚データの数値から、加齢によるその人の味の好みの変化を示す関数を算出し、その関数で導かれる味覚データの数値から、例えば50代におけるその人の好みの銘柄を検索する、という具合の利用例である。
【0170】
≪実施例7≫
【0171】
<概要>
【0172】
本実施例の第四のデータベースは、飲食物の地理情報に関連して検索を行うことのできるデータベースである。このデータベースを利用した検索としては、例えば、地域別のカップめんのめんつゆの味覚データの違いの検索、表示や、引越し先で自分の出身地のうどんの味に近いうどんを提供してくれる場所を検索することなどが挙げられる。あるいは、上記飲食感想情報と関連付けて地理情報を格納することで、所定の地域の人の「好む」味覚データを検索、表示することも可能である。
【0173】
<構成>
【0174】
図27に示すのは、本実施例の第四のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「第四のデータベース」(2700)は、「第七格納部」(2701)と、「第七検索情報入力部」(2702)と、「第七検索部」(2703)と、を有する。
【0175】
「第七格納部」(2701)は、飲食物の味覚データと、その飲食物識別子と、その飲食物の地理情報とを関連付けて格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」については実施例1ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0176】
「地理情報」とは、その飲食物識別子で識別される飲食物が製造、生産、採取、加工などされた場所を示す情報をいい、例えば九州地方、関東地方、北海道、仙台市、など地域を示す情報や、○×牧場、△□工場、αさんの農場、という具合に特定の生産(製造、加工、採取)場所を示す情報などが挙げられる。
【0177】
このように第七格納部において地理情報と関連付けて味覚データなどが格納されているので、例えば地域別のカップめんのめんつゆの味覚データの違いの検索、表示や、引越し先で自分の出身地のうどんの味に近いうどんを提供してくれる場所を検索することなどが可能になる。
【0178】
「第七検索情報入力部」(2702)は、飲食物識別子を含む第七検索情報を入力する機能を有する。もちろん、第七検索情報は飲食物識別子以外に、地理情報などを含んでいても構わない。
【0179】
「第七検索部」(2703)は、第七検索情報入力部(2702)に入力された第七検索情報に基づいて第七格納部(2701)を検索する機能を有する。なお、この第七検索部における検索でも、実施例1の第一格納部での説明同様、味覚データを第七検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0180】
図28に示すのは、このデータベースによる検索結果の表示画面の一例を表す図である。この図にあるように、例えば第七検索情報として飲食物識別子「うどんのつゆ」、および出力は地域別である旨を指定する情報が入力される。すると第七検索部で、第七格納部において関連付けて蓄積されている各地域におけるうどんのつゆの味覚データ(代表的な味覚データ、あるいは地域に含まれる場所ごとの平均値を算出しても良い)が検索される。そして、その結果として、図にあるように、北海道のめんつゆの味覚データは「塩味:10、旨み:20」で、東北地方のめんつゆの味覚データは「塩味:40、旨み:20」で、と言う具合に、各地域ごとのめんつゆの味覚データの違いが一目でわかるようにディスプレイなどにその検索結果が表示される。
【0181】
このようにしてユーザーは、北海道より東北地方のうどんの方が塩味が強い、などといったことがすぐに分かるようになる。
【0182】
また、例えば製造メーカーなどは、本実施例の第四のデータベースを利用して上記のように製造工場ごとの味覚データを検索し、その味覚データの違いを把握すると良い。こうすることで製造工場ごとの味の違いを含めて品質の管理を行うことも可能になる。
【0183】
図29に示すのは、このデータベースによる検索結果の表示画面の、別の一例を表す図である。この例では、本実施例のデータベースで、九州地方のうどんの味に類似したうどんを提供する他の場所について検索を行う。
【0184】
その場合、まず、第七検索情報として地理情報「九州地方」と飲食物識別子「うどん」が入力される。すると、まず図(a)にあるように、第七格納部に格納されている九州地方のうどんの味覚データが検索され、その味覚データが表示される。ここでユーザーによってその表示画面中の味覚データがクリックされると、本実施例のデータベースは第七格納部に格納されている味覚データの中から、その「九州地方」「うどん」の味覚データの数値に近似の味覚データを有するうどんを検索する。そしてその検索にヒットしたうどんと関連付けて第七格納部に格納されている地理情報を、その検索結果として図(b)にあるように地図上に表示する、という具合である。このように、所望の味覚データに近い味覚データの飲食物が提供される場所の検索を行うことも可能である。
【0185】
<処理の流れ>
【0186】
図30に示すのは本実施例のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、飲食物識別子を含む第七検索情報が入力される(ステップS3001)。次に、前記ステップS3001で入力された第七検索情報に基づいて、予め味覚データと関連付けて格納された飲食物識別子と、その飲食物の地理情報を検索する(ステップS3002)。最後に、前記ステップS3002での検索結果を、例えば消費者の端末のディスプレイなどに出力、表示する。
【0187】
もちろん、上記は一例であり、第七検索情報として飲食物識別子と地理情報が入力され、それに基づいて味覚データの検索が行われても良い。
【0188】
<効果の簡単な説明>
【0189】
以上のように、本実施例の第四のデータベースによって、地域別の食品の味覚データの違いの検索、表示や、例えば引越し先や旅先での所望の味に近い食品を提供してくれる場所を検索することなどができる。また、製造工場ごとなどの品質管理を行うことも可能になる。
【0190】
≪全体のその他の実施例≫
【0191】
また、本発明の第一から第三の発明は、以下のような実施の形態例での利用を挙げることもできる。例えば、医療のデータベースと連携することで、病院食の味の改善や、病気に応じた味を有する飲食物を提供するための情報源とすることもできる。あるいは、インターネットに接続された端末上で実行されるゲームに対して味覚データを提供しても良い。
【0192】
また育児の場面においても、例えば本データベースを参考にさまざまな地域ごとの味覚データに応じた食材を用意することで、豊かな食経験を積ませることが可能な育児を行うことができる。あるいは味覚障害を有する者の味覚データを、その者の属性情報とともに時系列に沿って蓄積しても良い。それによってその者の味覚障害の治療による味の感じ方の変化を数値的に確認可能とし、味覚障害の度合いの改善を判断することに利用しても良い。
【0193】
≪さらにその他の例≫
【0194】
<概要>
【0195】
また、以下に示すデータベースを利用して、例えばある食品に類似した味を有する食品を検索、表示することも可能である。
【0196】
<構成>
【0197】
この場合のデータベースの構成は、「第八格納部」と「第八検索情報入力部」と「第八検索部」と、からなる。
【0198】
「第八格納部」は、飲食物の味覚データと、その飲食物識別子とを関連付けて格納する機能を有する。なお、飲食物の「味覚データ」、「飲食物識別子」については実施例1ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0199】
「第八検索情報入力部」は、飲食物識別子を含む第八検索情報を入力する機能を有する。
【0200】
「第八検索部」は、第八検索情報入力部に入力された第八検索情報に基づいて第八格納部を検索する機能を有する。そして、この第八検索部では、例えば第八検索情報として入力された飲食物の味覚データの数値の近似の味覚データを有する飲食物を検索する。このように、この第八検索部における検索では、味覚データを第一検索情報に含んで検索を行う場合、所定の範囲で近似の値を取る味覚データに関しての検索も含むものとする。
【0201】
図31に示すのは、このデータベースを利用して類似する味を検索した際の表示画面の一例を表す図である。まず、第八検索情報入力部にて第八検索情報として「食品A」が入力される。すると、第八格納部から、この食品Aの味覚データが取得される。すると、その味覚データの数値の近似の値を取る別の飲食物識別子が第八検索部で検索される。そして、この図にあるように、その検索の結果ヒットした食品B,Cが、食品Aの味に類似した食品であるとして、その味覚データに応じてディスプレイなどに表示される、という具合である。
【0202】
≪さらにその他の別の例≫
【0203】
<概要>
【0204】
また、上記データベースの飲食物識別子としては、製造日や製造年(生産日、採取日、加工日)や出荷日(納入日)などを特定された飲食物を識別する識別子であっても良い。こうすることで、例えば2001年もののワインAの味覚データ(代表となる特定のワインAの味覚データや平均的なワインAの味覚データなど)を検索する、と言うことも可能になる。また、そのワインAの製造年ごとの味覚データの違いやその味覚データの変遷を検索することも可能になる。
【0205】
図32に示すのは、このワインAの味覚データの変遷を表示画面上に表示した際の一例を表す図である。例えば、ユーザーが第八検索情報入力部に、飲食物識別子である「2001年から2004年のワインA」を検索キーとする第八検索情報を入力する。すると、第八検索部で、該当する「2001年もののワイン」、「2002年もののワイン」、「2003年もののワイン」、「2004年もののワイン」、それぞれの味覚データが第八格納部に格納されている味覚データの中から検索される。そして、この図にあるように、そのワインAの2001年から2004年までの味覚データが、その味の変遷として表示される。
【0206】
このような検索、表示を行うことで、ユーザーは本実施例のその他の第一のデータベースを利用して商品の製造年などごとの味覚データの違いやその味覚データの変遷を簡単に知ることができるようになる。
【0207】
また、その他にも、2000年のワインAと2004年のワインBとの味覚データを検索し、その違いを表示させたり、2000年のワインAの味覚データに近い、最近のワインの銘柄を検索し表示させたりする、といった具合の利用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】実施例1の第一のデータベースを利用した情報提供の概念の一例を説明するための図
【図2】実施例1の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図3】実施例1の第一のデータベースの第一格納部に格納されている生産履歴時間に関する関数の一例を説明するための図
【図4】実施例1の第一のデータベースにおいて、卵Aを飲食物識別子として第一格納部に格納されているデータの一例を表す概念図
【図5】実施例1の第一のデータベースの第一検索部において、関数に基づいて算出された検索結果の表示画面の一例を表す図
【図6】実施例1の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図7】実施例2の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図8】実施例2の第一のデータベースにおける第一格納部と第二格納部での情報の格納の様子を一例を表す概念図
【図9】実施例2の第一のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図
【図10】実施例2の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図11】実施例3の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図12】実施例3の第一のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図
【図13】実施例3の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図14】実施例4の第一のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図15】実施例4の第一のデータベースを利用した検索結果の一例を説明するための図
【図16】実施例4の第一のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図17】実施例5の第二のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図18】実施例5の第二のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図
【図19】実施例5の第二のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図20】実施例6の第三のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図21】実施例6の第三のデータベースにおける第六格納部での飲食者属性情報の格納の一例の様子を表す模式図
【図22】実施例6の第三のデータベースを利用した検索の一例を説明するための図
【図23】実施例6の第三のデータベースを利用した検索の、別の一例を説明するための図
【図24】実施例6の第三のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図25】実施例1から実施例6のデータベースそれぞれの特徴の一例について、格納されている情報の違いを示しながら簡単に説明するための図
【図26】実施例6の第三のデータベースによる、飲食者属性情報がその飲食者の出身地や居住地である場合の検索結果の表示画面の一例を表す図
【図27】実施例7の第四のデータベースにおける機能ブロックの一例を表す図
【図28】実施例7の第四のデータベースによる検索結果の表示画面の一例を表す図
【図29】実施例7の第四のデータベースによる検索結果の表示画面の、別の一例を表す図
【図30】実施例7の第四のデータベースにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図31】本発明の別のデータベースで類似する味を検索した際の表示画面の一例を表す図
【図32】本発明の別のデータベースによって検索された味覚データの変遷を表示画面上に表示した際の一例を表す図
【符号の説明】
【0209】
0200 データベース
0201 第一格納部
0202 第一検索情報入力部
0203 第一検索部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納する第一格納部と、
飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む第一検索情報を入力する第一検索情報入力部と、
前記第一検索情報入力部に入力された第一検索情報に基づいて前記第一格納部を検索する第一検索部と、
を有する第一のデータベース。
【請求項2】
前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報を格納する第二格納部と、
飲食物識別子を含む第二検索情報を入力する第二検索情報入力部と、
前記第二検索情報入力部に入力された第二検索情報に基づいて前記第二格納部を検索する第二検索部と、
を有する請求項1に記載の第一のデータベース。
【請求項3】
前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報を格納する第三格納部と、
飲食物識別子を含む第三検索情報を入力する第三検索情報入力部と、
前記第三検索情報入力部に入力された第三検索情報に基づいて前記第三格納部を検索する第三検索部と、
を有する請求項1に記載の第一のデータベース。
【請求項4】
前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報、飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報及び、その飲食物を飲食感想所有者が飲食した時をその飲食物の生産履歴時間で示す飲食タイミング情報を格納する第四格納部と、
飲食物識別子を含む第四検索情報を入力する第四検索情報入力部と、
前記第四検索情報入力部に入力された第四検索情報に基づいて前記第四格納部を検索する第四検索部と、
を有する請求項1に記載の第一のデータベース。
【請求項5】
飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報として格納する第五格納部と、
飲食物識別子を含む第五検索情報を入力する第五検索情報入力部と、
前記第五検索情報入力部に入力された第五検索情報に基づいて前記第五格納部を検索する第五検索部と、
を有する第二のデータベース。
【請求項6】
飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報として格納する第六格納部と、
飲食物識別子を含む第六検索情報を入力する第六検索情報入力部と、
前記第六検索情報入力部に入力された第六検索情報に基づいて前記第六格納部を検索する第六検索部と、
を有する第三のデータベース。
【請求項7】
飲食物の味覚データと、その飲食物識別子と、その飲食物の地理情報とを関連付けて格納する第七格納部と、
飲食物識別子を含む第七検索情報を入力する第七検索情報入力部と、
前記第七検索情報入力部に入力された第七検索情報に基づいて前記第七格納部を検索する第七検索部と、
を有する第四のデータベース。
【請求項1】
飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の生産履歴時間の関数として格納する第一格納部と、
飲食物識別子と、生産履歴時間とを関連付けたキーを含む第一検索情報を入力する第一検索情報入力部と、
前記第一検索情報入力部に入力された第一検索情報に基づいて前記第一格納部を検索する第一検索部と、
を有する第一のデータベース。
【請求項2】
前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報を格納する第二格納部と、
飲食物識別子を含む第二検索情報を入力する第二検索情報入力部と、
前記第二検索情報入力部に入力された第二検索情報に基づいて前記第二格納部を検索する第二検索部と、
を有する請求項1に記載の第一のデータベース。
【請求項3】
前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報を格納する第三格納部と、
飲食物識別子を含む第三検索情報を入力する第三検索情報入力部と、
前記第三検索情報入力部に入力された第三検索情報に基づいて前記第三格納部を検索する第三検索部と、
を有する請求項1に記載の第一のデータベース。
【請求項4】
前記飲食物識別子と関連付けて、その飲食物の飲食感想情報、飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報及び、その飲食物を飲食感想所有者が飲食した時をその飲食物の生産履歴時間で示す飲食タイミング情報を格納する第四格納部と、
飲食物識別子を含む第四検索情報を入力する第四検索情報入力部と、
前記第四検索情報入力部に入力された第四検索情報に基づいて前記第四格納部を検索する第四検索部と、
を有する請求項1に記載の第一のデータベース。
【請求項5】
飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報として格納する第五格納部と、
飲食物識別子を含む第五検索情報を入力する第五検索情報入力部と、
前記第五検索情報入力部に入力された第五検索情報に基づいて前記第五格納部を検索する第五検索部と、
を有する第二のデータベース。
【請求項6】
飲食物の味覚データを、その飲食物識別子と、その飲食物の飲食感想情報及びその飲食感想所有者の属性情報である飲食者属性情報として格納する第六格納部と、
飲食物識別子を含む第六検索情報を入力する第六検索情報入力部と、
前記第六検索情報入力部に入力された第六検索情報に基づいて前記第六格納部を検索する第六検索部と、
を有する第三のデータベース。
【請求項7】
飲食物の味覚データと、その飲食物識別子と、その飲食物の地理情報とを関連付けて格納する第七格納部と、
飲食物識別子を含む第七検索情報を入力する第七検索情報入力部と、
前記第七検索情報入力部に入力された第七検索情報に基づいて前記第七格納部を検索する第七検索部と、
を有する第四のデータベース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2006−293893(P2006−293893A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116817(P2005−116817)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(504453959)株式会社味香り戦略研究所 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(504453959)株式会社味香り戦略研究所 (2)
【Fターム(参考)】
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