説明

呼吸によるフィードバックを用いた神経性刺激のためのシステム

神経性刺激システムは、呼吸信号を療法フィードバック入力として使用して神経性刺激の供給を制御する。呼吸信号を使用して、迷走神経等の神経性刺激の効果を高めると共に、呼吸機能における潜在的な悪影響を及ぼす副作用を減少させる。一実施形態において、神経性刺激システムは、呼吸信号における呼吸基準点および遅延間隔を使用して、神経性刺激パルスの供給を呼吸周期に同期化させる。別の実施形態において、神経性刺激システムは、呼吸器疾患を検出し、それに応じて神経性刺激パルスの供給を調整し、および/または検出された呼吸器疾患を治療する呼吸療法を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
2006年8月30日に出願された米国特許出願第11/468,595号に対して、本明細書において優先権の利益が主張され、上記特許出願は本明細書において参考により援用される。
【0002】
(関連出願の参照)
本願は、同時継続中で、同一人に譲渡された、米国特許出願第11/467,264号(2006年8月25日に出願された、発明の名称「SYSTEM FOR ABATING NEURAL STIMULATION SIDE EFFECTS」)、および米国特許出願第11/468,603号(2006年8月25日に出願された、発明の名称「METHOD AND APPARATUS FOR CONTROLLING NEURAL STIMULATION DURING DISORDERED BREATHING」)に関連し、これらの出願はそれら全体が本明細書に参考により援用される。
【0003】
(技術分野)
本書は、概して、神経性刺激に関し、より具体的には、呼吸信号を使用して神経性刺激を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
自律神経系の電気的刺激は、種々の生理学的機能を調節するように印加されている。一実施例として、神経性刺激を使用する心臓機能および血行動態性能の調節が挙げられる。心筋は、交感神経および副交感神経で神経支配される。人工的に印加される電気刺激を含むこのような神経における活動は、心拍数および収縮性(心筋収縮の強度)を調節する。迷走神経の心臓枝等の副交感神経に印加される電気的刺激は、心拍数および収縮性を減少させ、心周期の収縮期を延長し、また、心周期の拡張期を短縮することで知られている。交感神経に印加される電気的刺激は、本質的に反対の効果を有することで知られている。
【0005】
心拍数および収縮性調節する自律神経の電気的刺激の能力を利用して、心不全患者の血行動態性能の改善し、また、心筋リモデリングを改善して心筋梗塞後の不整脈の防止するように、異常な心臓状態を治療する。しかしながら、自律神経系は、身体の多数の器官の機能を管理する。心疾患を治療するために、自律神経系に供給される神経性刺激パルスは、非意図的に種々のその他の生理学的機能を調節する可能性がある。したがって、神経性刺激が自律神経系に印加される場合に、非意図的で潜在的な悪影響を防止または制御する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
神経性刺激システムは、呼吸信号を療法フィードバック入力として使用して、神経性刺激の供給を制御する。呼吸信号を使用して、迷走神経等の神経性刺激の効果を高めると共に、呼吸機能における潜在的な悪影響を及ぼす副作用を減少させる。
【0007】
一実施形態において、神経性刺激システムは、刺激出力回路、刺激供給制御器、呼吸信号入力部、呼吸器疾患検出器、および刺激スイッチを含む。刺激出力回路は、神経性刺激療法を供給する。刺激供給制御器は、1つ以上の刺激アルゴリズムを実行することによって、神経性刺激療法の供給を実行する。呼吸信号入力部は、呼吸周期を示す呼吸信号を受信する。呼吸器疾患検出器は、呼吸信号を使用して呼吸疾患を検出する。刺激スイッチは、呼吸器疾患の検出に応じて刺激アルゴリズムを実行するステップを停止する。
【0008】
一実施形態において、神経性刺激のための方法が提供される。神経性刺激の供給は、1つ以上の刺激アルゴリズムを実行することによって制御される。呼吸周期を示す呼吸信号が受信される。呼吸器疾患は、呼吸信号を使用して検出される。刺激アルゴリズムの実行は、呼吸器疾患の検出に応じて停止される。
【0009】
一実施形態において、神経性刺激システムは、刺激出力回路、呼吸信号入力部、および同期化モジュールを含む。刺激出力回路は、神経性刺激パルスを供給する。呼吸信号入力部は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す呼吸信号を受信する。同期化モジュールは、ピーク検出器および遅延タイマを含む。ピーク検出器は、呼吸信号のピークを検出する。遅延タイマは、呼吸信号の検出されたピークのうちの各々から開始する遅延間隔の時間を計る。刺激供給制御器は、遅延間隔の終了時に、刺激出力回路に、神経性刺激パルスのバーストを供給させる。
【0010】
一実施形態において、神経性刺激のための方法が提供される。呼吸信号は受信される。呼吸信号のピークは受信される。遅延間隔は、検出されたピークの選択されたピークから開始される。神経性刺激パルスのバーストは、遅延間隔の各々の終了時に供給される。
【0011】
この概要は、本出願の教示のうちのいくつかに関する概要であり、本主題の排他的または包括的な処置であることを意図されない。本主題に関するさらなる詳細は、発明を実施するための最良の形態および添付の請求項に記載される。本発明のその他の側面は、以下の発明を実施するための最良の形態を熟読および理解し、その一部を形成する図面を閲覧することによって、当業者に明白になるであろう。本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的な同等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、概して、本書に説明される種々の実施形態をほんの一実施例として図示する。図面は、図示目的だけのものであって、一定の縮尺で描かれていない場合がある。
【図1】図1は、神経性刺激システムと、神経性刺激システムを使用する環境の部分とに関するある実施形態を示す。
【図2】図2は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す呼吸信号を示す。
【図3】図3は、呼吸周期に同期化される神経性刺激パルスの供給を示す。
【図4】図4は、呼吸周期同期化神経性刺激システムに関するある実施形態を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4の呼吸周期同期化神経性刺激システムに関する具体的な実施形態を示すブロック図である。
【図6】図6は、神経性刺激を呼吸周期に同期化するための方法に関するある実施形態を示すフローチャートである。
【図7】図7は、呼吸器疾患対応型神経性刺激システムに関するある実施形態を示すブロック図である。
【図8】図8は、図7の呼吸器疾患対応型神経性刺激システムに関する具体的な実施形態を示すブロック図である。
【図9】図9は、呼吸器疾患に応じて神経性刺激を調整するための方法に関するある実施形態を示すフローチャートである。
【図10】図10は、呼吸器疾患に応じて神経性刺激を調整するための方法に関する具体的な実施形態を示すフローチャートである。
【図11】図11は、呼吸周期同期化型呼吸器疾患対応型神経性刺激システムに関するある実施形態を示すブロック図である。
【図12】図12は、別の呼吸器疾患対応型神経性刺激システムに関するある実施形態を示すブロック図である。
【図13】図13は、図12の呼吸器疾患対応型神経性刺激システムに関する具体的な実施形態を示すブロック図である。
【図14】図14は、神経性刺激中に呼吸器疾患に対応するための方法に関するある実施形態を示すフローチャートである。
【図15】図15は、非呼吸器疾患を治療する神経性刺激を制御するための方法に関するある実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
以下の発明を実施するための最良の形態において、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照され、その図面において、例証として、本発明が実施される具体的な実施形態が示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分詳細に説明され、また、実施形態を組み合わせてもよいこと、またはその他の実施形態を利用してもよいこと、および本発明の精神および範囲から逸脱することなく構造変更、論理変更、および電気的変更を加えてもよいことを理解されたい。本開示において「ある実施形態」、「一実施形態」、「種々の実施形態」を参照することは、必ずしも同一の実施形態ではなく、このような参照は、複数の実施形態を想定している。以下の発明を実施するための最良の形態は、実施例を提供し、本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的な同等物によって定義される。
【0014】
本書で使用する際、呼吸数と呼吸周期長との関係(吸息間隔としても既知である)は、頻度とその対応する期間との関係である。呼吸数が毎分の吸息において求められる場合、その対応する秒単位の呼吸周期長は、60を呼吸数で割ることによって計算される(ここで、60は、1分間の秒数である)。呼吸数を使用する比較等の任意のプロセスは、呼吸周期長を代わりに使用する場合に適宜修正されるべきである。例えば、呼吸数が閾値数未満を下回る際に低呼吸数が検出される場合、同等のプロセスは、呼吸周期長が対応する閾値間隔を上回る際に低呼吸数を検出することである。添付の請求項は、このような変形を対象とするように解釈されるべきである。
【0015】
本書は、神経性刺激の供給を呼吸周期に同期化し、および/または無呼吸、呼吸低下、もしくは呼吸困難等の呼吸器疾患(呼吸障害)の検出に応じて神経性刺激の供給を調整する神経性刺激システムについて説明する。一実施形態において、神経性刺激システムは、副交感神経系の迷走神経等の自律神経に神経性刺激を供給する。迷走神経の刺激は、迷走神経刺激または迷走神経調節とも呼ばれる。迷走神経刺激は、心臓病、高血圧、炎症性疾患、てんかん、糖尿病、鬱病、およびその他の慢性病の治療に適用されてもよい。しかしながら、迷走神経刺激は、呼吸数減少および一回呼吸量低下、ならびに呼吸器疾患を既に患う患者の病状悪化等の、呼吸に望ましくない影響を及ぼす可能性もある。したがって、無呼吸、呼吸低下、および呼吸困難等の呼吸器疾患は、迷走神経刺激の禁忌であった。一実施形態において、神経性刺激システムは、呼吸周期を示す呼吸信号を感知し、神経性刺激の供給を呼吸周期に同期化する。これにより、呼吸数が減少する場合に神経性刺激の強度を低下させる固有の負のフィードバックが提供される。別の実施形態において、神経性刺激システムは、無呼吸、呼吸低下、および呼吸困難等の呼吸器疾患を検出する。このような呼吸器疾患を検出する場合、神経性刺激の供給を調整して、刺激の強度を低下させ、刺激を中断し、または神経性刺激もしくはその他の手段を使用して呼吸療法を適用することによって、検出された呼吸器疾患を治療する。その他の実施形態において、神経性刺激システムは、交感神経系にも神経性刺激を供給する。
【0016】
神経性刺激の具体的な実施例として迷走神経刺激について説明するが、本主題は、呼吸に影響を及ぼすいかなる神経性刺激にも適用可能である。神経性刺激の具体的な実施例として「神経性刺激パルス」の神経系への供給について説明するが、本主題は、種々のエネルギー形態および種々の信号形態を使用する神経系の刺激に適用可能である。一実施形態において、神経性刺激は、神経系において活動電位を人工的に誘発するために、電気パルスの神経系への供給を含む。その他の実施形態において、神経性刺激は、神経系における神経活動を誘発可能または調節可能である、電気的、機械的、熱的、光学的、化学的、および生物学的エネルギー等の、任意の形態のエネルギーの供給を含む。
【0017】
図1は、神経性刺激システム100と、システム100を使用する環境の部分に関するある実施形態を示す。システム100は、神経性刺激パルスをリード106および108を介して供給する埋め込み型医療機器110と、外部システム120と、埋め込み型医療機器110および外部システム120間の通信を提供する遠隔測定リンク125とを含む。例証目的としてのみ、図1は、リード106が、交感神経系の神経102に連結される電極107を含むことと、リード108が、副交感神経系の神経104に連結される電極109を含むこととを示す。神経102および104は、心臓101を神経支配する。種々の実施形態において、埋め込み型医療機器110は、心臓101を含む循環系の1つ以上の機能を調節するために、1つ以上のリードを介して1つ以上の任意の神経に神経性刺激を提供する。このようなリードは、埋め込み型神経リードを含み、その各々は、神経活動の感知および/または神経性刺激パルスの供給のための少なくとも1つの電極を含む。このような電極の一実施例は、迷走神経付近に配置するためのカフ電極を含む。
【0018】
埋め込み型医療機器110は、神経性刺激パルスを供給し、呼吸制御型神経性刺激回路130を含む。呼吸制御型神経性刺激回路130は、呼吸信号から抽出される呼吸周期および呼吸機能の標示を使用して、神経性刺激パルスの供給を制御する。一実施形態において、呼吸制御型神経性刺激回路130は、所定の種類の呼吸基準点を各呼吸周期から検出し、神経性刺激パルスの供給をその呼吸基準点に同期化する。別の実施形態において、呼吸制御型神経性刺激回路130は、所定の種類の呼吸器疾患を検出し、呼吸器疾患の検出時に、神経性刺激パルスの供給を中断または調整する。一実施形態において、埋め込み型医療機器110は、神経性刺激の他に、生理学的信号の監視および/または療法の供給が可能である。このような追加の療法の実施例として、心臓ペーシング療法、選択的除細動/緊急除細動療法、心臓再同期療法、心臓リモデリング制御療法、薬物療法、細胞療法、および遺伝子療法が挙げられる。種々の実施形態において、埋め込み型医療機器110は、1つ以上のこのような追加の療法と連携して神経性刺激を供給する。
【0019】
外部システム120は、医師またはその他のケア提供者による埋め込み医療機器110の制御および埋め込み医療機器110との通信を提供する。一実施形態において、外部システム120は、プログラマを含む。別の実施形態において、外部システム120は、遠隔測定リンク125を介して埋め込み医療機器110と通信する外部機器、遠隔位置における遠隔機器、および外部機器および遠隔機器をリンクする通信ネットワークを含む患者管理システムである。患者管理システムによって、患者状態の監視および療法の調整等の目的のために、遠隔位置からの埋め込み型医療機器110へのアクセスが可能になる。一実施形態において、遠隔測定リンク125は、誘導性遠隔測定リンクである。代替実施形態において、遠隔測定リンク125は、遠距離無線周波数(RF)遠隔測定リンクである。遠隔測定リンク125は、埋め込み型医療機器110から外部システム120へのデータ伝送を提供する。これは、例えば、埋め込み型医療機器110が入手するリアルタイムの生理学的データを伝送するステップ、埋め込み型医療機器110が入手および格納する生理学的データを抽出するステップ、埋め込み型医療機器110が記録する不整脈の発現および療法供給等の、患者履歴データを抽出するステップ、および/または埋め込み型医療機器110の動作状態(例えば、電池状態およびリードインピーダンス)を示すデータを抽出するステップを含む。また、遠隔測定リンク125は、外部システム120から埋め込み型医療機器110へのデータ伝送も提供する。これは、例えば、生理学的データを入手するために埋め込み型医療機器110をプログラム化するステップ、少なくとも1つの自己診断検査(機器の動作状態のため等の)を実行するために埋め込み型医療機器110をプログラム化するステップ、1つ以上の療法を供給するためにおよび/または1つ以上の療法の供給を調整するために、埋め込み型医療機器110をプログラム化するステップ、および/または1つ以上の療法を制御するために埋め込み型医療機器110によって使用される外部から入手された生理学的データおよび/またはその他の患者データを伝送するステップを含む。
【0020】
図2は、呼吸周期と、呼吸周期長、吸気期間、呼気期間、非吸息期間、および一回呼吸量を含む呼吸パラメータとを示す呼吸信号を示す。吸気期間は、呼吸信号の振幅が吸気閾値を上回る呼吸周期の吸気段階の発現時に開始し、呼吸周期の振幅がピークに達する呼吸周期の呼気段階の発現時に終了する。呼気期間は、呼気段階の発現時に開始し、呼吸信号の振幅が呼気閾値を下回る際に終了する。非吸息期間は、呼気段階の終了と次の吸気段階との間の時間間隔である。一回呼吸量は、呼吸信号のピークからピークまでの振幅である。
【0021】
呼吸信号は、呼吸活動を示す生理学的信号である。種々の実施形態において、呼吸信号は、呼吸によって調節される任意の生理学的信号を含む。一実施形態において、呼吸信号は、埋め込み型インピーダンスセンサによって感知される経胸郭インピーダンス信号である。別の実施形態において、呼吸信号は、埋め込み型圧力センサによって感知される血圧信号から抽出され、呼吸成分を含む。別の実施形態において、呼吸信号は、胸部の動きまたは肺気量を示す信号を感知する外部センサによって感知される。
【0022】
図3は、呼吸周期に同期化される神経性刺激パルスの供給を示す。図示される実施形態において、呼吸信号300のピーク320は、呼吸基準点として検出される。遅延間隔330は、ピーク320の各々の検出時に開始する。神経性刺激パルス310のバーストは、遅延間隔330が終了する際に迷走神経等の神経に供給される。種々のその他の実施形態において、吸気段階発現点、呼気段階の終了点、またはその他の閾値交差点は、呼吸基準点として検出される。
【0023】
図4は、呼吸周期同期化型神経性刺激システム440のある実施形態を示すブロック図である。システム440は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、および呼吸制御型神経性刺激回路430を含む。
【0024】
呼吸センサ426は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す生理学的信号を感知する。一実施形態において、呼吸センサ426は、埋め込み型医療機器110に組み込まれる埋め込み型センサを含む。具体的な実施形態において、呼吸センサ426は、呼吸を示す経胸郭インピーダンス信号を感知するインピーダンスセンサである。別の実施形態において、呼吸センサ426は、埋め込み型センサまたはその一部である。埋め込み型センサは、1つ以上のリードまたは遠隔測定を介して埋め込み型医療機器に通信的に連結される。具体的な実施形態において、呼吸センサ426は、埋め込み型肺動脈圧(PAP)センサまたはその一部である。埋め込み型PAPセンサは、RFまたは超音波遠隔測定を介して埋め込み型医療機器100と通信する。埋め込み型PAPセンサの実施例は、2005年10月13日に出願された、名称が「METHOD AND APPARATUS FOR PULMONARY ARTERY PRESSURE SIGNAL ISOLATION」である、Cardiac Pacemakers,Inc.に譲渡された米国特許出願第11/249,624号に説明されており、本出願は、参考によってその全体が本明細書に援用される。別の実施形態において、呼吸センサ426は、胸部またはその一部の膨張および収縮を感知する外部センサを含む。外部センサは、RFまたは超音波遠隔測定を介して埋め込み型医療機器100と通信する。
【0025】
センサ処理回路428は、生理学的信号を使用して呼吸信号を生成する。呼吸信号は、呼吸周期長、吸気期間、呼気期間、非吸息期間、一回呼吸量、および換気量のうちの1つ以上を含む呼吸周期および呼吸パラメータを示す。一実施形態において、センサ処理回路428は、生理学的信号の不要な成分を除去し、生理学的信号の呼吸成分を分離する。一実施例として、PAP信号の呼吸成分を分離するステップが挙げられ、これは、米国特許出願第11/249,624号に説明される。一実施形態において、センサ処理回路428は、呼吸パラメータのうちの1つ以上を抽出する。一実施形態において、センサ処理回路428および呼吸制御型神経性刺激回路430は、両方とも埋め込み型医療機器110に収容される。別の実施形態において、センサ処理回路428は、呼吸センサ426を含む埋め込み型センサまたは外部センサの一部である。
【0026】
呼吸制御型神経性刺激回路430は、呼吸制御型神経性刺激回路130の具体的な実施形態であり、刺激出力回路432および制御器434を含む。刺激出力回路432は、電極107および109等の電極を介して神経性刺激パルスを供給する。制御器434は、呼吸信号入力部436、同期化モジュール438、および刺激供給制御器446を含む。呼吸信号入力部436は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す呼吸信号を受信する。同期化モジュール438は、神経性刺激パルスの供給を呼吸周期に同期化し、呼吸基準点検出器442および遅延タイマ444を含む。呼吸基準点検出器442は、呼吸信号における所定の種類の呼吸基準点を検出する。遅延タイマ444は、検出された呼吸基準点の各々から開始する遅延間隔の時間を計る。刺激供給制御器446は、遅延間隔の終了時に、刺激出力回路432に、神経性刺激パルスのバーストを供給させる。
【0027】
図5は、呼吸周期同期化神経性刺激システム540のある実施形態を示すブロック図であり、呼吸周期同期化神経性刺激システム440の具体的な実施形態である。システム540は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、および呼吸制御型神経性刺激回路530を含む。
【0028】
呼吸制御型神経性刺激回路530は、呼吸制御型神経性刺激回路430の具体的な実施形態であり、刺激出力回路432、感知回路550、および制御器534を含む。感知回路550は、電極107および109等の電極を使用して1つ以上の神経信号を感知する。制御器534は、呼吸信号入力部436、同期化モジュール538、および刺激供給制御器546を含む。同期化モジュール538は、神経性刺激パルスの供給を呼吸周期に同期化する。呼吸周期および神経性刺激間のこのような同期化は、負のフィードバックを提供し、神経性刺激によりもたらされる異常に長い呼吸周期長等の望ましくない影響を緩和する。一実施形態において、呼吸周期および神経性刺激間の同期化によって、神経性刺激が、呼吸による生体の心拍数調節を模倣することが可能になり、この場合、心拍数は、吸気段階中に増加し、呼気段階中に減少する。さらなる実施形態において、神経性刺激を呼吸周期に同期化するステップに加え、同期化モジュール538は、神経性刺激を心周期および/または概日周期にも同期化する。同期化モジュール538は、ピーク検出器542、遅延タイマ544、および遅延発生器548を含む。ピーク検出器542は、呼吸基準点検出器442の具体的な実施形態であり、呼吸信号の高ピークまたは低ピークを検出する。一実施形態において、ピーク検出器542は、図3に示すピーク320のような高ピークを検出する。遅延タイマ544は、検出されたピークから開始する遅延間隔の時間を計る。一実施形態において、遅延間隔は、約0から5秒の間でプログラム可能である。別の実施形態において、遅延発生器548は、呼吸信号を使用して遅延間隔を調整する。具体的な実施形態において、遅延発生器548は呼吸周期長の関数として遅延間隔を計算する。刺激供給制御器546は、刺激供給制御器446の具体的な実施形態であり、刺激パラメータのセットを含む刺激アルゴリズムを実行することによって、神経性刺激パルスの供給を制御する。種々の実施形態において、刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、刺激頻度またはパルス間間隔、バースト毎のパルスの数、および刺激部位を含む。刺激供給制御器546は、遅延間隔の終了時に、刺激出力回路432に神経性刺激パルスのバーストを供給させる。
【0029】
図6は、神経性刺激を呼吸周期に同期化するための方法600に関するある実施形態を示すフローチャートである。一実施形態において、方法600は、呼吸制御型神経性刺激回路430または530によって実行される。
【0030】
610において、呼吸信号が受信される。呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す。呼吸パラメータの実施例として、呼吸周期長、吸気期間、呼気期間、非吸息間隔、一回呼吸量、および換気量が挙げられる。種々の実施形態において、呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す生理学的信号であり、または生理学的信号から導き出される。生理学的信号の実施例として、経胸郭インピーダンス信号およびPAP信号等の血圧信号が挙げられる。
【0031】
620において、呼吸基準点が呼吸信号から検出される。呼吸基準点の実施例として、呼吸信号の高ピークまたは低ピークならびに呼吸信号における閾値交差点が挙げられる。
【0032】
呼吸基準点の検出時に、630において遅延間隔が開始される。一実施形態において、遅延間隔は、約0および5秒の間でプログラム可能である。別の実施形態において、遅延間隔は、呼吸信号を使用して調整される。具体的な実施形態において、遅延間隔は、呼吸周期長および/または呼吸信号から抽出される1つ以上のその他の呼吸パラメータの関数として計算される。
【0033】
神経性刺激パルスのバーストは、640において遅延間隔の終了時に供給される。種々の実施形態において、神経性刺激パルスの供給は、パルス振幅、パルス幅、刺激頻度またはパルス間間隔、バースト毎のパルスの数、および刺激部位のうちの1つ以上等の刺激パラメータのセットを含む刺激アルゴリズムを実行することによって制御される。
【0034】
図7は、呼吸器疾患対応型神経性刺激システム740のある実施形態を示すブロック図である。システム740は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、および呼吸制御型神経性刺激回路730を含む。
【0035】
呼吸制御型神経性刺激回路730は、呼吸制御型神経性刺激回路130の具体的な実施形態であり、刺激出力回路432および制御器760を含む。制御器760は、呼吸信号入力部436、呼吸器疾患検出器752、刺激調整モジュール754、および刺激供給制御器756を含む。呼吸器疾患検出器752は、呼吸信号入力部436が受信する呼吸信号を使用して、所定の種類の呼吸器疾患を検出する。刺激調整モジュール754は、呼吸器疾患の各々の検出に応じて、神経性刺激パルスの供給を調整する。一実施形態において、刺激調整モジュール754は、呼吸器疾患の検出に応じて、刺激アルゴリズムの実行を停止する。刺激供給制御器756は、1つ以上の刺激アルゴリズムを実行することによって、神経性刺激パルスの供給を制御する。
【0036】
図8は、呼吸器疾患対応型神経性刺激システム840のある実施形態を示すブロック図であり、呼吸器疾患対応型神経性刺激システム740の具体的な実施形態である。システム840は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、生理学的センサ870、別のセンサ処理回路872、および呼吸制御型神経性刺激回路830を含む。
【0037】
生理学的センサ870は、呼吸センサ426が感知する生理学的信号および感知回路550が感知する1つ以上の神経信号に加え、1つ以上の生理学的信号を感知する。種々の実施形態において、生理学的センサ870は、心臓信号、心音を示す信号、心臓および/または経胸壁的インピーダンス信号、ならびに血中酸素濃度を示す信号のうちの1つ以上を感知する。センサ処理回路872は、神経性刺激を制御する際に呼吸制御型神経性刺激回路830によって使用するために生理学的センサ870が感知する1つ以上の生理学的信号を処理する。種々の実施形態において、生理学的センサ870または生理学的センサ870の部分は、埋め込み型医療機器110に含まれるか、または1つ以上のリードもしくは遠隔測定を介して埋め込み型医療機器110に通信的に連結される。種々の実施形態において、センサ処理回路872またはセンサ処理回路872の部分は、埋め込み型医療機器110に含まれるか、または1つ以上のリードもしくは遠隔測定を介して埋め込み型医療機器110に通信的に連結される。
【0038】
呼吸制御型神経性刺激回路830は、呼吸制御型神経性刺激回路130の具体的な実施形態であり、刺激出力回路432、感知回路550、および制御器860を含む。制御器860は、制御器760の具体的な実施形態であり、呼吸信号入力部436、呼吸器疾患検出器852、生理学的信号入力部876、生理学的事象検出器874、刺激調整モジュール854、および刺激供給制御器856を含む。
【0039】
呼吸器疾患検出器852は、呼吸信号を使用して1つ以上の呼吸器疾患を検出する。図示される実施形態において、呼吸器疾患検出器852は、無呼吸検出器862、呼吸低下検出器864、および呼吸困難検出器866を含む。種々のその他の実施形態において、呼吸器疾患検出器852は、無呼吸検出器862、呼吸低下検出器864、および呼吸困難検出器866のうちの任意の1つ以上を含む。種々の実施形態において、呼吸器疾患検出器852は、呼吸数が閾値数未満の場合の低呼吸数、一回呼吸量が検出閾値量未満の場合の低一回呼吸量、および換気量が検出閾値未満である場合の低換気量等の1つ以上の呼吸パラメータの異常値も検出する。
【0040】
無呼吸は、異常に長い非吸息期間によって特徴付けられる。無呼吸検出器862は、非吸息期間を検出閾値期間と比較することによって無呼吸を検出する。無呼吸は、非吸息期間が検出閾値期間を上回る場合に検出される。呼吸低下は、異常に浅い吸息、すなわち、低一回呼吸量によって特徴付けられる。呼吸低下検出器864は、一回呼吸量を検出閾値量と比較することによって呼吸低下を検出する。呼吸低下は、一回呼吸量が検出閾値量未満である場合に検出される。一実施形態において、一回呼吸量は、所定の時間間隔または所定の数の呼吸周期における平均一回呼吸量である。呼吸困難は、急速で浅い吸気、すなわち、呼吸数対一回呼吸量の高比率によって特徴付けられる。呼吸困難検出器866は、呼吸数対一回呼吸量の比率を検出閾値比率と比較することによって、呼吸困難を検出する。呼吸困難は、比率が閾値比率を上回る場合に検出される。種々の実施形態において、閾値期間、検出閾値量、および/または閾値比率は、経験的に確立される。経胸郭インピーダンス信号等の呼吸信号を使用する無呼吸および呼吸低下の実施例は、2002年12月4日に出願された、名称が「DETECTION OF DISORDERED BREATHING」である、Cardiac Pacemakers,Inc.に譲渡された米国特許出願第10/309,770号において説明されており、本出願は、参考によってその全体が本明細書に援用される。経胸郭インピーダンス信号等の呼吸信号を使用する呼吸困難検出の実施例として、2005年9月16日に出願された、名称が「RAPID SHALLOW BREATHING DETECTION FOR USE IN CONGESTIVE HEART FAILURE STATUS DETERMINATION」である、Cardiac Pacemakers, Incに譲渡された米国特許出願第11/229,316号において説明されており、本出願は、参考によってその全体が本明細書に援用される。
【0041】
生理学的信号入力部876は、生理学的センサ870が感知し、かつセンサ処理回路872が処理する1つ以上の生理学的信号を受信する。生理学的事象検出器874は、1つ以上の生理学的信号から1つ以上の生理学的事象を検出する。種々の実施形態において、生理学的事象検出器874は、心臓信号形態の変更、心音波形形態の変更、インピーダンス信号形態の変更、および血中酸素飽和度の変更のうちの1つ以上を検出する。
【0042】
刺激調整モジュール854は、呼吸器疾患検出器852による呼吸器疾患の検出に少なくとも応じて、神経性刺激パルスの供給を調整する。一実施形態において、刺激調整モジュール854は、呼吸器疾患検出器852による呼吸器疾患の検出および生理学的事象検出器874による生理学的事象の検出に応じて、神経性刺激パルスの供給を調整する。刺激供給制御器856は、1つ以上の刺激アルゴリズムを実行することによって神経性刺激パルスの供給を制御する。刺激調整モジュール854は、刺激スイッチ868を含む。刺激スイッチ868は、無呼吸、呼吸低下、または呼吸困難等の呼吸器疾患の検出に応じて、第1の刺激アルゴリズムを実行することを停止する。例えば、第1の刺激アルゴリズムは、迷走神経刺激によって心臓状態を治療するために実行される。無呼吸、呼吸低下、または呼吸困難が検出される場合、迷走神経刺激は、心臓状態の治療のために設計される迷走神経刺激による状態の悪化を回避するように停止されるべきである。一実施形態において、刺激スイッチ868は、所定の中断期間後に、第1の刺激アルゴリズムの実行を再開する。別の実施形態において、刺激スイッチ868は、呼吸器疾患が検出されなくなると、第1の刺激アルゴリズムの実行を再開する。別の実施形態において、刺激スイッチ868は、所定の中断期間後に、第1の刺激アルゴリズムの実行を再開する。別の実施形態において、刺激スイッチ868は、外部システム120を使用する医師等のユーザが発行する刺激コマンドに応じて、第1の刺激アルゴリズムの実行を再開する。一実施形態において、第1の刺激アルゴリズムの実行を停止するステップに加え、刺激スイッチ868は、呼吸器疾患の検出に応じて、第2の刺激アルゴリズムを実行するステップを開始する。具体的な実施形態において、第2の刺激アルゴリズムは、第1の刺激アルゴリズムよりも低い刺激強度を提供する。第1の刺激アルゴリズムから第2の刺激アルゴリズムへの切り替えによって、刺激パルス振幅が低下し、刺激パルス幅が縮小し、刺激頻度が低下し、バースト毎のパルスの数が減少し、および/または刺激部位が変更する。別の具体的な実施形態において、第1の刺激アルゴリズムを使用して心疾患等の非呼吸器疾患を治療し、第2の刺激アルゴリズムを使用して、無呼吸、呼吸低下、および呼吸困難等の検出された呼吸器疾患を治療する。第1の刺激アルゴリズムから第2の刺激アルゴリズムへの切り替えによって、非呼吸器疾患の治療から呼吸器疾患の治療へ切り替わる。別の具体的な実施形態において、第1の刺激アルゴリズムを使用して、非呼吸器疾患を治療し、第2の刺激アルゴリズムを使用して非呼吸器疾患を治療することに加え、検出された呼吸器疾患を治療する。第1の刺激アルゴリズムから第2の刺激アルゴリズムへの切り替えによって、非呼吸器疾患の治療から、呼吸器疾患および非呼吸器疾患の両方のための治療に切り替わる。
【0043】
一実施形態において、本書で説明する「呼吸器疾患」は、睡眠に関連する呼吸器疾患(すなわち、睡眠無呼吸、睡眠呼吸低下、または睡眠呼吸困難等の睡眠呼吸障害)を言及する。1つ以上の生理学的信号は、患者が睡眠中であるか否かを示す。例えば、生理学的センサ870は、活動センサ、姿勢センサ、および/または睡眠を示す要因である信号を感知する1つ以上のその他のセンサを含む。生理学的事象検出器874は、1つ以上の生理学的信号に基づく睡眠を検出し、患者が睡眠中であるか否かを示す睡眠信号を生成する。一実施形態において、生理学的事象検出器874は、1つ以上の生理学的信号およびその日の時間に基づいて、睡眠を検出する。呼吸器疾患検出器852は、睡眠信号が存在する場合に、このような1つ以上の呼吸器疾患を検出する。刺激調整モジュール854は、睡眠中に検出される少なくとも1つの呼吸器疾患に応じて、神経性刺激パルスの供給を調整する。その他の実施形態において、本書で説明する「呼吸器疾患」は、患者が覚醒または睡眠中に発生する呼吸器疾患を含む。
【0044】
一実施形態において、本書で説明する「呼吸器疾患」は、神経性刺激に誘発される呼吸器疾患を言及する。患者は、迷走神経刺激に無関係である1つ以上の呼吸器疾患を患う場合がある。神経性刺激に誘発される呼吸器疾患は、迷走神経刺激によって発生または悪化される呼吸器疾患を含む。一実施形態において、生理学的センサ870が感知する1つ以上の生理学的信号は、呼吸器疾患が迷走神経刺激に誘発されるか否かを示す。例えば、会話は、1つ以上の呼吸器疾患の検出を阻害し得るため、生理学的センサ870は、会話を示す信号を検出するために、加速度計またはマイクロホンを含む。生理学的事象検出器874は、信号を使用して会話を検出し、患者が会話中であるか否かを示す会話信号を生成する。呼吸器疾患検出器852は、会話信号が存在しない場合に、1つ以上の呼吸器疾患を検出する。別の実施例において、呼吸器疾患検出器852は、迷走神経刺激中に感知される呼吸信号および格納される基礎呼吸パラメータを使用して、1つ以上の呼吸器疾患を検出する。基礎呼吸パラメータは、迷走神経刺激が供給されていない間に感知される呼吸信号から生成される。呼吸疾患検出器852は、基礎呼吸パラメータを使用して、1つ以上の呼吸器疾患の検出のために、呼吸信号における迷走神経刺激の影響を分離する。種々の実施形態において、呼吸器疾患検出器852は、呼吸信号と、迷走神経刺激が供給中であるか否かを示す信号、その日の時間を示す信号、および呼吸器疾患が迷走神経刺激によって発生または悪化するか否かに関する判断を可能にする1つ以上の生理学的信号等のその他の信号とを使用して、迷走神経刺激に誘発される1つ以上の呼吸器疾患を検出する。刺激調整モジュール854は、神経性刺激パルスの供給によって誘発される少なくとも1つの呼吸器疾患に応じて、神経性刺激パルスの供給を調整する。
【0045】
図9は、呼吸器疾患に応じて神経性刺激を調整するための方法900に関するある実施形態を示すフローチャートである。一実施形態において、方法900は、呼吸制御型神経性刺激回路730または830によって実行される。
【0046】
910において、神経性刺激は、複数の刺激パラメータを使用することによって制御される。神経性刺激は、非呼吸器疾患を治療するために供給される。一実施形態において、神経性刺激は、心不全の治療または心臓リモデリングの制御等の、心臓状態の治療のために供給される。
【0047】
920において、呼吸信号が受信される。呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す。呼吸パラメータの実施例として、呼吸周期長、吸気期間、呼気期間、非吸息間隔、一回呼吸量、および換気量が挙げられる。種々の実施形態において、呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す生理学的信号であり、または生理学的信号から導き出される。生理学的信号の実施例として、経胸郭インピーダンス信号およびPAP信号等の血圧信号が挙げられる。
【0048】
930において、呼吸器疾患が検出される。呼吸器疾患の実施例として、低呼吸数、低一回呼吸量、および低換気量等の異常な呼吸パラメータ値、無呼吸、呼吸低下、ならびに呼吸困難等が挙げられる。無呼吸は、非吸息期間が検出閾値期間を越える場合に検出される。呼吸低下は、一回呼吸量が検出閾値量未満である場合に検出される。呼吸困難は、呼吸数対一回呼吸量の比率が検出閾値比率を上回る場合に検出される。
【0049】
935において呼吸器疾患が検出される場合、940において神経性刺激は、刺激パラメータのうちの1つ以上を調整することによって調整される。神経性刺激は、検出された呼吸器疾患を消失または緩和するように調節される。一実施形態において、神経性刺激は、刺激の強度を低下させるように調整される。別の実施形態において、神経性刺激は、所定の時間または呼吸器疾患が検出されなくなるまで中断される。別の実施形態において、神経性刺激は、検出された呼吸器疾患を治療するように調整される。
【0050】
図10は、呼吸器疾患の検出に応じて神経性刺激を調整するための方法1000に関するある実施形態を示すフローチャートである。方法1000は、方法900の具体的な実施形態である。一実施形態において、方法1000は、呼吸制御型神経性刺激回路730または830によって実行される。
【0051】
1010において、神経性刺激は、第1の刺激アルゴリズムを実行することによって制御される。一実施形態において、第1の刺激アルゴリズムは、心不全等の心臓状態を治療するために設計される。
【0052】
1020において、呼吸信号が受信される。呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す。呼吸パラメータの実施例として、呼吸周期長、吸気期間、呼気期間、非吸息間隔、一回呼吸量、および換気量が挙げられる。種々の実施形態において、呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す生理学的信号であり、または生理学的信号から導き出される。生理学的信号の実施例として、経胸郭インピーダンス信号およびPAP信号等の血圧信号が挙げられる。
【0053】
1030において、呼吸器疾患が検出される。呼吸器疾患の実施例として、低呼吸数、低一回呼吸量、および低換気量等の異常な呼吸パラメータ値、無呼吸、呼吸低下、ならびに呼吸困難等が挙げられる。無呼吸は、非吸息期間が検出閾値期間を越える場合に検出される。呼吸低下は、一回呼吸量が検出閾値量未満である場合に検出される。呼吸困難は、呼吸数対一回呼吸量の比率が検出閾値比率を上回る場合に検出される。
【0054】
1035において呼吸器疾患が検出される場合、1040において、第1の刺激アルゴリズムの実行は、停止される。1050において、第2の刺激アルゴリズムを実行するか否かについて判断される。1055において第2の刺激アルゴリズムが実行されると判断されると、1070において、神経性刺激は、第2の刺激アルゴリズムを実行することによって制御される。一実施形態において、第2の刺激アルゴリズムは、第1の刺激アルゴリズムによって提供される刺激高度を低下させるように選択される。別の実施形態において、第2の刺激アルゴリズムは、無呼吸、呼吸低下、または呼吸困難等の検出された呼吸器疾患を治療するように選択される。
【0055】
1055において第2の刺激アルゴリズムが実行されないと判断される場合、1060において、第1の刺激アルゴリズムの実行を再開するか否かが判断される。第2の刺激アルゴリズムの実行中または実行後、1060において第1の刺激アルゴリズムの実行を再開するか否かも判断される。1065において、第1の刺激アルゴリズムの実行が再開される場合、神経性刺激は、1010において第1の刺激アルゴリズムを実行することによって再び制御される。一実施形態において、第1の刺激アルゴリズムの実行は、所定の中断期間後に再開される。別の実施形態において、第1の刺激アルゴリズムの実行は、呼吸器疾患が検出されなくなると再開される。別の実施形態において、第1の刺激アルゴリズムの実行は、医師等のユーザが発行する刺激コマンドに応じて再開される。
【0056】
一実施形態において、呼吸器疾患の検出に応じることに加え、神経性刺激パルスの供給は、生理学的事象の検出に応じて調整される。このような生理学的事象の実施例として、心臓信号形態の変更、心音波形形態の変更、インピーダンス信号形態の変更、および血中酸素飽和度の変更が挙げられる。
【0057】
図11は、呼吸周期同期化型呼吸器疾患対応型神経性刺激システム1140の実施形態を示すブロック図である。システム1140は、システム440または540と、システム740または840との組み合わせを示す。図示される実施形態において、システム1140は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、および呼吸制御型神経性刺激回路1130を含む。種々の具体的な実施形態において、システム1140は、上述のようなシステム440、540、740、および840の構成要素の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0058】
呼吸制御型神経性刺激回路1130は、呼吸制御型神経性刺激回路130の具体的な実施形態であり、刺激出力回路432および制御器1180を含む。制御器1180は、呼吸信号入力部436、呼吸器疾患検出器752、刺激調整モジュール754、同期化モジュール438、および刺激供給制御器1182を含む。刺激供給制御器1182は、同期化モジュール438が制御するように供給を呼吸周期に同期化することによって、および刺激調整モジュール754が制御するように各呼吸器疾患の検出に応じることによって、刺激出力回路432からの神経性刺激パルスの供給を制御する。
【0059】
図12は、呼吸器疾患対応型神経性刺激システム1240のある実施形態を示すブロック図である。システム1240は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、および呼吸制御型神経性刺激回路1230を含む。
【0060】
呼吸制御型神経性刺激回路1230は、呼吸制御型神経性刺激回路130の別の具体的な実施形態であり、療法出力機器1284および制御器1286を含む。療法出力機器1284は、非呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法を含む1つ以上の療法を供給する。制御器1286は、呼吸信号入力部436、呼吸器疾患検出器752、療法調整モジュール1288、および療法供給制御器1290を含む。療法調整モジュール1288は、呼吸器疾患検出器752による呼吸器疾患の検出に応じて、1つ以上の療法の供給を調整する。療法供給制御器1290は、療法調整モジュール1288によって設定および調整されるパラメータセットを使用して、1つ以上の療法の供給を制御する。
【0061】
一実施形態において、システム1240は、非呼吸器疾患を治療する少なくとも1つの神経性刺激療法を含む1つ以上の神経性刺激療法を提供する。呼吸器疾患が検出されると、システム1240は、検出された呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法を開始し、および/または非呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法を調整する。無呼吸等の呼吸器疾患が検出されると、神経性刺激療法は、中断もしくはより低い強度に調整されるか、または別々の神経性刺激療法は、検出された呼吸器疾患を治療するように供給される。別の実施形態において、システム1240は、非呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法と、検出された呼吸器疾患を治療する別の療法とを提供する。呼吸器疾患が検出される場合、システム1240は、検出された呼吸器疾患を治療する他方の療法を開始し、および/または非呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法を調整する。
【0062】
図13は、呼吸器疾患対応型神経性刺激システム1340のある実施形態を示すブロック図であり、呼吸器疾患対応型神経性刺激システム1240の具体的な実施形態である。システム1340は、呼吸センサ426、センサ処理回路428、および呼吸制御型神経性刺激回路1330を含む。
【0063】
呼吸制御型神経性刺激回路1330は、呼吸制御型神経性刺激回路1230の具体的な実施形態であり、療法出力機器1384および制御器1386を含む。療法出力機器1384は、非呼吸刺激出力回路1332および呼吸療法出力機器1396を含む。非呼吸刺激出力回路1332は、電極または変換器を介して神経性刺激療法を供給し、心疾患等の非呼吸器疾患を治療する。呼吸療法出力機器1396は、検出された呼吸器疾患を治療する呼吸療法を供給する。一実施形態において、呼吸療法出力機器1396は、電極または変換器を介して別の神経性刺激療法を供給し、異なる神経または神経枝を刺激することによって、呼吸器疾患を治療する。神経性刺激を使用して呼吸器疾患を治療するステップに関する実施例は、2005年6月13日に出願された、名称が「SYSTEM FOR NEURAL CONTROL OF RESPIRATION」である米国特許出願第11/151,122号および2005年12月28日に出願された、名称が「NEURAL STIMULATOR TO TREAT SLEEP−DISORDERED BREATHING」である米国特許出願第11/320,500号に説明されており、この両出願は、Cardiac Pacemakers, Inc.に譲渡されており、また、参考によってその全体が本明細書に援用される。別の実施形態において、呼吸療法出力機器1396は、神経性刺激療法以外の呼吸器疾患を治療する療法を供給する。呼吸器疾患を治療するこのような療法の実施例として、心臓ペーシング療法および外圧療法が挙げられる。心臓ペーシングを使用する呼吸器疾患を治療する実施例は、2004年3月11日に出願された、名称が「RATE REGULARIZATION OF CARDIAC PACING FOR DISORDERED BREATHING THERAPY」である、Cardiac Pacemakers, Inc.に譲渡された米国特許出願第10/798,794号に説明されており、本出願は、参考によってその全体が本明細書に援用される。埋め込み型医療機器が制御する持続的気道陽圧(CPAP)機器によって供給される外圧療法を使用して呼吸器疾患を治療するステップの実施例は、2004年8月31日に出願された、名称が「coordinated use of respiratory and cardiac therapies for sleep disordered breathing」である、Cardiac Pacemakers,Inc.に譲渡された米国特許出願第10/930,979号に説明されており、本出願は、参考によってその全体が本明細書に援用される。
【0064】
制御器1386は、呼吸信号入力部436、呼吸器疾患検出器752、療法調整モジュール1388、および療法供給制御器1390を含む。療法調整モジュール1388は、非呼吸刺激調整モジュール1354および呼吸療法調整モジュール1392を含み、呼吸器疾患検出器752による呼吸器疾患の各検出に対して調整型の対応を提供する。一実施形態において、呼吸器疾患の検出に応じて、呼吸療法調整モジュール1392は、検出された呼吸器疾患を治療する呼吸療法の供給を開始する。呼吸器疾患が、呼吸療法の供給に応じて消失または許容程度まで緩和される場合、非呼吸刺激調整モジュール1354は、非呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法を調整しない。呼吸器疾患が、呼吸療法の供給に応じて消失または許容程度まで緩和されない場合、非呼吸刺激調整モジュール1354は、非呼吸器疾患を治療する刺激療法の供給を停止するか、または刺激療法の強度を低下させる。別の実施形態において、呼吸器疾患の検出に応じて、呼吸療法調整モジュール1392は、検出された呼吸器疾患を治療する呼吸療法の供給を開始し、非呼吸刺激調整モジュール1354は、非呼吸器疾患を治療する刺激療法の供給を停止するか、または刺激療法の強度を低下させる。非呼吸刺激調整モジュール1354は、所定の時間間隔後または呼吸器疾患が呼吸器疾患検出器752によって検出されなくなると、呼吸器疾患の検出前に使用される刺激パラメータに戻すこと等によって、刺激療法の通常の供給を再開する。療法供給制御器1390は、非呼吸刺激供給制御器1356および呼吸療法供給制御器1394を含む。非呼吸刺激供給制御器1356は、非呼吸刺激調整モジュール1354によって設定および調整される刺激パラメータセットを使用して、非呼吸器疾患を治療する刺激療法の供給を制御する。呼吸療法供給制御器1394は、呼吸療法調整モジュール1392によって設定および調整される療法(神経または心臓刺激、あるいはその他の種類の療法)パラメータセットを使用して、検出された呼吸器疾患を治療する呼吸療法の供給を制御する。
【0065】
一実施形態において、システム1340によって、神経性刺激療法に別様に禁忌を示す患者にその神経性刺激療法を適用することが可能になる。例えば、迷走神経刺激は、心不全患者における血行動態性能および/または心室リモデリングを改善することで知られている。しかしながら、心不全患者のかなりの割合の患者は、無呼吸も患い、迷走神経刺激は、その異常な呼吸状態を悪化させる可能性がある。システム1340は、このような心不全患者に対する迷走神経刺激の印加を潜在的に可能にする一方で、無呼吸を監視または治療することによって迷走神経刺激の禁忌としての無呼吸を排除する。本実施形態において、呼吸器疾患検出器752は、少なくとも無呼吸検出器862を含む。具体的な実施形態において、無呼吸の検出に応じることに加え、非呼吸刺激調整モジュール1354は、非呼吸生理学的パラメータを入力として使用して血行動態を改善するおよび/または心室リモデリングを制御する迷走神経刺激のフィードバック制御を提供する。フィードバック制御は、非呼吸生理学的パラメータを標的範囲内に維持するように機能する。例えば、非呼吸刺激調整モジュール1354は、患者の心拍数または心拍数変動性等の心臓パラメータを受信し、迷走神経刺激の強度を調整して、心拍数または心拍数変動性を標的範囲内に維持する。
【0066】
図14は、呼吸器疾患の検出に応じて神経性刺激を調整するための方法1400に関するある実施形態を示すフローチャートである。神経性刺激は、心不全等の非呼吸器疾患を治療するための療法である。一実施形態において、方法1400は、呼吸制御型神経性刺激回路1230または1330によって実行される。
【0067】
1410において、神経性刺激は、刺激パラメータを使用することによって制御される。一実施形態において、刺激パラメータは、心不全患者における血行動態性能の改善または心室リモデリングの制御等のように、心臓状態の治療のために選択される。ステップ1410の具体的な実施形態について、図15を参照して以下に説明する。
【0068】
1420において、呼吸信号が受信される。呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す。呼吸パラメータの実施例として、呼吸周期長、吸気期間、呼気期間、非吸息間隔、一回呼吸量、および換気量が挙げられる。種々の実施形態において、呼吸信号は、呼吸周期および呼吸パラメータを示す生理学的信号であり、または生理学的信号から導き出される。生理学的信号の実施例として、経胸郭インピーダンス信号およびPAP信号等の血圧信号が挙げられる。
【0069】
1430において、呼吸器疾患が検出される。呼吸器疾患の実施例として、低呼吸数、低一回呼吸量、および低換気量等の異常な呼吸パラメータ値、無呼吸、呼吸低下、ならびに呼吸困難等の異常な呼吸パラメータ値が挙げられる。一実施形態において、無呼吸は、神経性刺激が心不全患者に印加される間に検出される。
【0070】
1435において呼吸器疾患が検出される場合、1440において、検出された呼吸器疾患を治療するために呼吸療法が供給される。一実施形態において、呼吸療法は、検出された呼吸器疾患を治療するように選択された刺激パラメータを使用する別の神経性刺激療法を含む。別の実施形態において、呼吸療法は、神経性刺激以外の1つ以上の療法を含む。
【0071】
呼吸パラメータを緩和閾値と比較することによって、1450において、検出された呼吸器疾患が緩和されるか否かが判断される。検出された呼吸器疾患は、その程度が、検出された呼吸器疾患が患者に有害でないと見なされる許容程度まで低下する場合に、「緩和される」と見なされる。種々の実施形態において、呼吸器疾患は、呼吸パラメータを検出閾値と比較することによって検出され、検出された呼吸器疾患が緩和されるか否かは、呼吸パラメータを緩和閾値と比較することによって判断される。一実施形態において、検出閾値および緩和閾値は等しい。別の実施形態において、検出閾値および緩和閾値は、実質的に異なる。例えば、無呼吸は、非吸息期間が検出閾値期間を上回る場合に検出され、非吸息期間が緩和閾値期間を下回る場合に緩和されると判断される。呼吸低下は、一回呼吸量が検出閾値量未満である場合に検出され、一回呼吸量が緩和閾値量を上回る場合に緩和されるように判断される。呼吸困難は、呼吸数対一回呼吸量の比率が検出閾値比率を上回る場合に検出され、緩和閾値比率を下回る場合に緩和されると判断される。
【0072】
検出された呼吸器疾患が1455において緩和されたと判断される場合、1410において、神経性刺激は、非呼吸器疾患を治療するように選択された刺激パラメータを調整することなく1410において制御されるように継続される。検出された呼吸器疾患が1455において緩和されなかったと判断される場合、1460において、刺激パラメータは、神経性刺激の強度を低下させるため、または非呼吸疾患の治療のために神経性刺激の供給を停止するように調整される。
【0073】
図15は、非呼吸器疾患を治療する神経性刺激を制御するための方法1500に関するある実施形態を示すフローチャートである。方法1500は、方法1400のステップ1410に関する具体的な実施形態を示す。一実施形態において、方法1500は、非呼吸刺激調整モジュール1354によって実行される。
【0074】
方法1500は、非呼吸器疾患を治療する神経性刺激のフィードバック制御を提供する。1510において、非呼吸器疾患を治療するように選択される刺激パラメータを使用して、神経性刺激は供給される。1520において、神経性刺激に対する非呼吸応答は監視される。1525において、非呼吸応答が標的範囲内にある場合、神経性刺激は、刺激パラメータを調整せずに、1510において供給されたように継続される。1525において、非呼吸応答が、標的範囲内に無い場合、1530において刺激パラメータは、調整され、神経性刺激は、調整された刺激パラメータを使用して1510において供給されたように継続される。一実施形態において、非呼吸応答は、非呼吸生理学的パラメータによって測定される。例えば、心疾患を治療する神経性刺激療法では、方法1500を適用して、心拍数、心拍数変動性、および血圧等の心臓パラメータの1つ以上が、その標的範囲内に各々があるように維持する。
【0075】
方法1500を使用してステップ1410を実行して、方法1400によって、非呼吸器疾患の両治療について神経性刺激を調整することが可能になると共に、神経性刺激の悪影響を及ぼす副作用に関連する潜在的な害を限定することが可能になる。例えば、心不全患者では、方法1400によって、持続的な無呼吸を発生または悪化させずに、心拍数、心拍数変動性、または血圧等のパラメータをその所定の目標範囲に維持するように調整することが可能になる。
【0076】
上記の発明を実施するための最良の形態は、例示的であるように意図され、制限的であるように意図されないことを理解されたい。その他の実施形態は、上記発明を実施するための最良の形態を熟読および理解することによって、当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項と、このような請求項が権利を有する同等物の全範囲とを参照して判断される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経性刺激療法を供給するように適合される刺激出力回路と、
前記刺激出力回路に連結される刺激供給制御器であって、1つ以上の刺激アルゴリズムを実行することによって前記神経性刺激療法の前記供給を制御するように適合される、刺激供給制御器と、
呼吸周期を示す呼吸信号を受信するように適合される呼吸信号入力部と、
前記呼吸信号入力部に連結される呼吸器疾患検出器であって、前記呼吸信号を使用して呼吸器疾患を検出するように適合される、呼吸器疾患検出器と、
前記呼吸器疾患検出器および前記刺激供給制御器に連結される刺激スイッチであって、前記呼吸器疾患の検出に応じて、前記1つ以上の刺激アルゴリズムのうちの第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを停止するように適合される刺激スイッチと
を備える、神経性刺激システム。
【請求項2】
前記呼吸器疾患検出器は、前記神経性刺激療法の前記供給によって誘発される呼吸器疾患を検出するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
1つ以上の生理学的信号を感知するように適合される生理学的センサをさらに備え、前記呼吸器疾患検出器は、前記呼吸信号および前記1つ以上の生理学的信号を使用して前記呼吸器疾患を検出するように適合される、請求項1〜請求項2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記呼吸信号は、非吸息期間を示し、前記呼吸器疾患検出器は、前記非吸息期間を検出閾値期間と比較することによって無呼吸を検出するように適合される無呼吸検出器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記呼吸信号は、一回呼吸量を示し、前記呼吸器疾患検出器は、前記一回呼吸量を検出閾値量と比較することによって呼吸低下を検出するように適合される呼吸低下検出器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記呼吸信号は、呼吸数および一回呼吸量を示し、前記呼吸器疾患検出器は、前記呼吸数対前記一回呼吸量の比率を検出閾値比率と比較することによって呼吸困難を検出するように適合される呼吸困難検出器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記刺激スイッチは、所定の中断期間後に前記第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを再開するように適合される、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記刺激スイッチは、前記呼吸器疾患が検出されなくなると前記第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを再開するように適合される、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記刺激スイッチは、前記呼吸器疾患の前記検出に応じて、前記第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを停止し、第2の刺激アルゴリズムを実行するステップを開始するように適合される、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の刺激アルゴリズムは、非呼吸器疾患を治療するように適合される刺激アルゴリズムを含み、前記第2の刺激アルゴリズムは、前記呼吸器疾患を治療するように適合される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の刺激アルゴリズムは、非呼吸器疾患を治療するように適合される刺激アルゴリズムを含み、前記第2の刺激アルゴリズムは、前記非呼吸器疾患および前記呼吸器疾患を治療するように適合される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記刺激供給制御器および前記呼吸信号入力部に連結される同期化モジュールをさらに備え、前記同期化モジュールは、前記神経性刺激療法の前記供給を前記呼吸周期に同期化するように適合される、請求項1〜請求項11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記同期化モジュールは、
前記呼吸信号から呼吸基準点を検出するための呼吸基準点検出器と、
前記検出された呼吸基準点のうちの各々から開始する遅延間隔の時間を計るように適合される遅延タイマと
を備え、
前記刺激供給制御器は、前記遅延間隔の終了時に、前記パルス出力回路に、神経性刺激パルスのバーストを供給させるように適合される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記呼吸基準点検出器は、前記呼吸信号のピークを検出するように適合されるピーク検出器を備え、前記遅延タイマは、前記呼吸信号の前記検出されたピークのうちの各々から開始する遅延間隔の時間を計るように適合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
神経性刺激のための方法であって、
1つ以上の刺激アルゴリズムを実行することによって神経性刺激の供給を制御するステップと、
呼吸周期を示す呼吸信号を受信するステップと、
前記呼吸信号を使用して呼吸器疾患を検出するステップと、
前記呼吸器疾患の前記検出に応じて、前記1つ以上の刺激アルゴリズムのうちの第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを停止するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記呼吸器疾患を検出するステップは、前記神経性刺激の前記供給によって発生または悪化される呼吸器疾患を検出するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記呼吸信号を受信するステップは、非吸息期間を受信するステップを含み、前記呼吸器疾患を検出するステップは、前記非吸息期間を検出閾値期間と比較することによって無呼吸を検出するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記呼吸信号を受信するステップは、一回呼吸量を受信するステップを含み、前記呼吸器疾患を検出するステップは、前記一回呼吸量を検出閾値量に比較することによって呼吸低下を検出するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記呼吸信号を受信するステップは、呼吸数および一回呼吸量を受信するステップを含み、前記呼吸器疾患を検出するステップは、前記呼吸数対前記一回呼吸量の比率を検出閾値比率と比較することによって呼吸困難を検出するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
所定の中断期間後に前記第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを再開するステップをさらに含む、請求項15〜請求項19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記呼吸器疾患が検出されなくなると、所定の中断期間後に前記第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを再開するステップをさらに含む、請求項15〜請求項19のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記呼吸器疾患の前記検出に応じて、第2の刺激アルゴリズムを実行するステップを開始するステップをさらに含む、請求項15〜請求項21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記第2の刺激アルゴリズムを実行するステップを開始するステップは、前記神経性刺激に関連する刺激強度を低下させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の刺激アルゴリズムを実行するステップを停止するステップは、心疾患を治療する神経性刺激を供給するステップを停止するステップを含み、前記第2の刺激アルゴリズムを実行するステップを開始するステップは、前記検出された呼吸器疾患を治療する呼吸療法を開始するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記呼吸療法を開始するステップは、前記検出された呼吸器疾患を治療する神経性刺激療法、心臓ペーシング療法、および外圧療法を治療する神経性刺激療法のうちの1つ以上を開始するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記呼吸信号から所定の種類の呼吸基準点を検出するステップと、
前記検出された所定の種類の呼吸基準点のうちの各々から遅延間隔を開始するステップと、
前記遅延間隔の終了時に神経性刺激パルスのバーストを供給するステップと
をさらに含む、請求項15〜請求項25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
神経性刺激療法を供給するように適合される刺激出力回路と、
呼吸周期および呼吸パラメータを示す呼吸信号を受信するように適合される呼吸信号入浴部と、
前記刺激出力回路および前記呼吸信号入力部に連結される同期化モジュールであって、
前記呼吸信号入力部に連結されるピーク検出器であって、前記呼吸信号のピークを検出するように適合される前記ピーク検出器と、
前記ピーク検出器に連結される遅延タイマであって、前記呼吸信号の前記検出されたピークのうちの各々から開始する遅延間隔の時間を計るように適合される遅延タイマと、
を含む同期化モジュールと、
前記遅延タイマおよび前記刺激出力回路に連結される刺激供給制御器であって、前記遅延間隔の終了時に、前記刺激出力回路に、前記神経性刺激パルスのバーストを供給させるように適合される刺激供給制御器と
を備える、神経性刺激システム。
【請求項28】
前記同期化モジュールは、前記呼吸信号を使用して前記遅延間隔を調整するように適合される遅延発生器を備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記遅延発生器は、前記呼吸パラメータのうちの1つ以上の関数として前記遅延間隔を計算するように適合される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記刺激出力回路、前記呼吸信号入力部、前記同期化モジュール、および前記刺激供給制御器を含む埋め込み型医療機器と、
生理学的信号を感知するように適合される埋め込み型呼吸センサと、
前記生理学的信号を使用して前記呼吸信号を生成するように適合されるセンサ処理回路と
をさらに備える、請求項27〜請求項29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記埋め込み型呼吸センサは、経胸郭インピーダンスを感知するように適合される埋め込み型インピーダンスセンサを備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記埋め込み型呼吸センサは、埋め込み型肺動脈圧(PAP)センサを備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
神経性刺激のための方法であって、
呼吸信号を受信するステップと、
前記呼吸信号のピークを検出するステップと、
前記検出されたピークのうちの選択されたピークから遅延間隔を開始するステップと、
前記遅延間隔の各々の終了時に、神経性刺激パルスのバーストを供給するステップと
を含む、方法。
【請求項34】
前記遅延間隔を約0秒から5秒の間の時間間隔にプログラム化するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記呼吸信号を使用して前記遅延間隔を調整するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記呼吸信号を使用して前記遅延間隔を調整するステップは、
前記呼吸信号から呼吸数を検出するステップと、
前記呼吸数の関数として前記遅延間隔を計算するステップと
を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記呼吸信号を受信するステップは、経胸郭インピーダンス信号を受信するステップを含む、請求項33〜請求項36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記呼吸信号を受信するステップは、肺動脈圧(PAP)信号を受信するステップを含む、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−502282(P2010−502282A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526671(P2009−526671)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/018846
【国際公開番号】WO2008/027339
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】