説明

呼吸機能不全を検出及び治療するための方法、及び装置

【課題】装置及びシステムは、患者の呼吸機能不全RI又は慢性の閉塞性肺疾患COPDの病状に関して、重症度の変化を検出する方法を提供する。
【解決手段】検出モニター装置が、供給圧力の測定値又は装置により判定される他の表示可能な測定値に基づき、1つ又は複数の重症度変化インジケータを判定する。この供給圧力は、任意的に目標換気量を満足する圧力治療の間に判定することができる。これらの供給圧力又は表示可能なデータを、RI又はCOPDの患者の病状における変化(例えば過去の病状における増悪)を表示するように選択される1つ又は複数の閾値と比較することも可能である。比較の結果は、患者のRI又はCOPDの病状に対する差し迫った変化を患者又は医師に知らせるために、1つ又は複数の警告又はメッセージを発生可能とする。患者は、より迅速にこの病状を治療するための医学的な配慮を求めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第61/214,843号(出願日;2009年4月29日)における出願日の利益を主張する。本出願の開示内容は、参照することによって、本明細書に組み込まれている。
【0002】
[技術分野]
本技術は、慢性の閉塞性肺疾患等の呼吸機能不全の病状を検出及び/又は治療するためのシステム、方法、及び装置に関する。より具体的にいえば、本技術は、このような病状の重症度における変化を検出することに関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸機能不全は、何百万人もの人々に影響を及ぼしている。この病状に悩む患者においては、肺が、患者の体内における細胞の求めを満たすように、十分な酸素を取り入れること、又は十分な二酸化炭素を吐き出すことができなくなっている。例えば、慢性の閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease,COPD)は、およそ1300万人のアメリカ人、及び1000万人のヨーロッパ人に影響を及ぼしている。COPDは、肺に対して何らかのダメージを引き起こす病気である。気道及び肺胞が、その弾力性を失う可能性がある。肺胞間の壁は、破壊されてしまう可能性があるか、又は炎症を引き起こす可能性がある。肺の気道は、さらに通常より多くの粘液を生成することがあり、このことが、空気のフローを制限する可能性がある。このようなダメージは、典型的には、呼吸困難等の何らかの呼吸障害として現れることになる。COPDの患者は、典型的なものでは、粘液の排出を伴う咳、息切れ、喘鳴、及び胸部の圧迫感に悩まされている。肺気腫及び慢性閉塞性気管支炎は、それぞれCOPDの一形態であると考えることができる。慢性閉塞性気管支炎は、肺のより大きな気道における炎症反応によって特徴づけることができる。肺気腫については、炎症反応による肺の組織の破壊によって特徴づけることができる。
【0004】
喫煙はCOPDの原因と考えられている。COPDに罹患している大部分の人々が、何らかの喫煙歴を有している。肺刺激物(例えば、大気汚染又は化学ガス等)に長くさらされることもまた、COPDの一因となることがある。
【0005】
COPDは、長期にわたって症状を悪化させながら、ゆっくりと進行する。COPDは身体における障害の重大な原因となる。COPDは、歩行又は運動等の身体的な活動を困難にするおそれがある。最初に症状は、激しい運動中に最も顕著に生じる。しかしながら、病気が進行するにつれて、より穏やかな運動中及び休息中でさえも症状がより明らかになってくる。COPDは、死亡原因になる場合もあり、現在のところアメリカ合衆国における第4位の死亡原因となっている。
【0006】
現在のところ、COPDの治療法は知られていない。COPD患者の気道及び肺胞を、病気になる前の状態に復元するための治療は存在していない。しかしながら、治療及びライフスタイルの改善は、COPD患者をより快適な気分とすること、COPD患者に活発さを維持させること、及びCOPD患者の病気の進行を遅らせることに、役立つ可能性がある。
【0007】
患者のCOPDを診断する際に有用となる装置が存在する。例えば、肺活量測定によってCOPDを診断することが可能である。この典型的なものには、吸入及び排気可能な空気の容積及び/又は空気(のフロー)の速さを測定することによって、肺機能を測定することが含まれている。X線は、肺のハイパーインフレーションを示すことが可能であるとともに、他の肺の病気を取り除くために役立つ可能性がある。肺容量及び気体の供給を含む肺機能テストは、ハイパーインフレーションを示し得る。このことは、肺気腫を伴うCOPDと肺気腫を伴わないCOPDとの間の区別を可能とする。胸部に対する高解像度のコンピュータ断層撮影法は、肺内における肺気腫の分布を示し得るとともに、他の肺の病気を取り除くことに役立つ可能性がある。
【0008】
酸素測定もまた、低酸素レベルすなわち低酸素血症、及び/又は高二酸化炭素レベルすなわち呼吸性アシドーシスを示すことによって、分析を補助可能としている。血液サンプルも、長期にわたる低酸素血症(すなわち、反応性ポリサイセミア)に対する反応となり得る高い血球数を示すこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当該技術分野においては、呼吸機能不全又はCOPDに悩まされている患者の病状に対処するために、改善された技術及び装置の必要性があることが認識される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術における特定の例示的な実施形態の態様は、呼吸機能不全及び/又は慢性の閉塞性肺疾患の病状における存在又は変化(例えば、悪化又は重症度の変化)を検出するためのシステムに関連している。1つの形態では、このことは、少なくとも1つの重症度変化インジケータに対する評価(evaluating)を含んでいる。このインジケータは、患者の呼吸機能不全及び/又は慢性の閉塞性肺疾患の病状についての情報を表すこととなる。
【0011】
この技術の実施形態において、その方法は、患者の呼吸機能不全の病状における少なくとも1つを評価するステップを含んでいる。この方法では、呼吸治療装置又はフロー生成器を用いた圧力治療の圧力供給中に、患者の呼吸治療に関する少なくとも1つの圧力特性が測定されることとなる。この方法は、さらに少なくとも1つの圧力測定値に基づいて、少なくとも1つの呼吸機能不全の病状変化インジケータ又は重症度変化インジケータを評価するステップを含んでいる。このインジケータは、患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表すこととなる。この方法のための自動化された手段を、装置又はシステムにおいて実施することも可能である。実施形態によっては、この方法における特定の態様を、自動化されたもの、半自動化されたもの、手動によるもの、又はこれらを組み合わせたものとすることが可能である。
【0012】
本技術における一部の実施形態では、患者の病状を評価するために、装置が患者をモニターしている。この装置は、典型的には少なくとも1つのトランスデューサー又はセンサーを備え、これによって、フロー生成器により供給される圧力を表す信号を作成している。この装置は、さらに少なくとも1つのセンサーに接続されたプロセッサーも備えている。このプロセッサーについては、圧力を表す信号から導き出される圧力測定値に基づいて、少なくとも1つの変化病状インジケータに対する評価を制御するように構成されてもよい。この少なくとも1つのインジケータは、患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表すこととなる。実施形態によっては、この装置は、さらに任意的に、フロー生成器又は陽性気道圧力(Positive Airway Pressure,PAP)装置を備えていてもよい。これらは、プロセッサーによって制御されるとともに、患者インターフェイスに向かう呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成されている。
【0013】
本システム、本装置、又は本方法における一部の実施形態では、圧力測定値を、呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持する(又は、実質的に維持する)ために呼吸治療装置によって生成された圧力の測定値とすることが可能である。この目標換気量については、分時換気量、総計の肺胞換気量の推定値、又は肺胞換気量の推定値とすることが可能である。さらに、重症度変化インジケータに対する評価は、圧力測定値に対する閾値比較を含むことも可能である。実施形態によっては、この閾値比較は、圧力測定値及び呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持するために使用された少なくとも1つの過去の圧力測定値を含んでいる。このような閾値比較は、ある期間にわたって(例えば、数時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、又はより長期にわたって)繰り返される圧力測定値における上昇の表示を表することを可能としている。
【0014】
この装置又は方法における一部の実施形態では、閾値比較が、圧力測定値と、呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持する(又は、実質的に維持する)ために使用された、過去の圧力測定値との間の差異を含んでいる。この閾値比較は、さらに圧力測定値と、呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持するために使用された過去の圧力測定値との比率を含んでいてもよい。
【0015】
この装置又は方法におけるさらなる別の実施形態では、重症度変化インジケータに対する評価が、判定された呼吸数及び過去の呼吸数を用いた別の閾値比較を含むことも可能である。この閾値比較は、ある期間にわたって(例えば、数時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、又はより長期にわたって)繰り返される、判定された呼吸数における上昇の表示を表すことを可能としている。
【0016】
この方法又は装置における一部の実施形態では、重症度変化インジケータに基づいて、警告を発生させることが可能である。この警告については、作動されたライト、又は、文字、図形若しくは音声によるメッセージ、又は、情報を通信する他の手段、又は、これらの組み合わせとすることが可能である。任意的に、電子的なメッセージを送信することも可能である。この電子的なメッセージには、重症度変化インジケータの評価結果を表すデータを含ませることができる。
【0017】
さらに別の実施形態では、システムが、患者の呼吸機能不全の病状又は慢性の閉塞性肺疾患の病状を評価するために患者をモニターしている。このシステムは、患者インターフェイスに向かう呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成されたフロー生成器を備えていてもよい。このシステムは、さらにフロー生成器によって供給される圧力を表す信号を生成する圧力手段も備えている。さらに、この圧力を表す信号から導き出される圧力測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するための処理手段が設けられている。このインジケータは、患者の呼吸機能不全の病状又は慢性の閉塞性肺疾患の病状における、重症度の変化についての情報を表すこととなる。
【0018】
本技術における一部の実施形態では、患者の呼吸機能不全の病状を評価するために、患者をモニターするためのシステムを含んでいる。このシステムは、典型的には、患者の呼吸器系に対する圧力治療に関連する信号を生成するための少なくとも1つのセンサーを備えている。このシステムは、さらに少なくとも1つのセンサーの信号からの測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するように構成されるプロセッサーを備えていてもよく、これによって、重症度変化インジケータが、患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表すこととなる。この測定値は、少なくとも1つのセンサーの信号から判定される呼吸支援の治療の程度を表してもよい。実施形態によっては、重症度変化インジケータの評価に対する制御が、上気道閉塞を取り除くために、呼気フローリミテーションに関連する検出データをアセスメント(評価、assessing)することを含んでいてもよい。任意的に、重症度変化インジケータの評価に対する制御は、呼吸数を表す測定値をアセスメントすることを、含んでいてもよい。さらに、重症度変化インジケータの評価に対する制御は、少なくとも1つのセンサーの信号から判定される呼吸のデューティーサイクルを表す測定値をアセスメントすることを含んでいてもよい。さらに、重症度変化インジケータの評価に対する制御は、任意的に、内因性呼気終末陽圧を表す測定値をアセスメントすることを含んでいてもよい。同様に、重症度変化インジケータの評価に対する制御は、呼気フローリミテーションを表す測定値をアセスメントすることを含んでいてもよい。実施形態によっては、上記の測定値は、少なくとも1つのセンサーの信号から判定され、かつ呼気の後半部分にて測定されるフローの大きさを表すとともに、上記の評価に対する制御が、さらに呼吸数又は換気量に変化のないことをアセスメントすることが可能である。
【0019】
実施形態によっては、患者の呼吸機能不全の病状を評価するために患者をモニターする装置が、患者における1つ又は複数の生理学的な特徴を表す信号を生成するための少なくとも1つのセンサーと、この少なくとも1つのセンサーと通信するプロセッサーとを備えている。このプロセッサーは、上記の信号から導き出される1つ又は複数の測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するように構成されている。このインジケータは、患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表すこととなる。
【0020】
記述されている例示的な実施形態のさまざまな態様を、他の何らかの例示的な実施形態の態様と組み合わせることも可能であり、これにより、さらに別の実施形態が実現される。
【0021】
この技術における他の特徴点は、以下に示す詳細な説明、要約書、及び特許請求の範囲に含まれている情報を検討することによって、明らかになるはずである。
【0022】
限定のためではなく一例として、本技術を、以下のような添付図面の図に例示する。これらの図では、類似の要素に対しては、同様の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】呼吸機能不全又は慢性の閉塞性肺疾患における重症度変化インジケータの実施に関して、モニター装置の例示的な構成要素を示す図である。
【図2】呼吸機能不全の患者の病状を検出することに関して、重症度の変化インジケータを実施する装置に関する例示的な手法を示す図である。
【図3】本技術の実施形態において、重症度変化インジケータ及び警告に関して、使用に適した複数の例を示す図である。
【図4】本技術における1つ又は複数のCOPDの重症度変化インジケータを組み込んでいる装置を用いて治療の実施に関して、例示的な診断フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本技術は、慢性の閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease,COPD)等の呼吸機能不全(Respiratory Insufficiency,RI)に罹患している患者を治療するための方法、及び装置を含んでいる。本技術を実施することによって、病気の状態における重症度の変化を検出できる。例えば、COPD患者のなかには増悪(exacerbation)に悩まされている人もいる。増悪は、内科治療における修正を必要とすることがある。未治療の増悪は、さらなる増悪を引き起こすことがあるとともに、患者にとって入院を必要とする可能性もある。しかしながら、十分に早く(例えば、最も初期の発病段階において)増悪が発見された場合には、入院を回避可能な方法をとることによって、増悪を治療可能となる。本技術の装置における重症度変化インジケータは、RI又はCOPDの患者における上記のような変化を検出すること、及び患者及び/又は医療関係者に対して、「患者における呼吸機能不全又は慢性の閉塞性肺疾患の病状に関する医学的介入の潜在的な必要性」を知らせることについて、根拠を提供することとなる。
【0025】
図1には、本技術における1つ又は複数の重症度変化インジケータ(Severiry Change Indicators,SCI)を実施するための装置に関して、例示的な実施形態が示されている。この実施形態では、検出装置100は、RI又はCOPDの重症度変化インジケータを実施している(図1においては、「SCI」として示されている)。この検出装置100は、典型的には、患者の呼吸インターフェイス102、圧力供給チューブ110、コントローラ104、及びフロー発生器(例えば、サーボ制御されたブロワー105)を含んでいる。
【0026】
圧力供給チューブ110とともに示されているマスク108等のような患者の呼吸インターフェイスは、患者の口及び/又は患者の鼻腔を介して、患者の呼吸器系に対して呼吸治療を施すように構成されている。任意的に、患者の呼吸インターフェイスを、鼻マスク、鼻及び口を覆うマスク、フルフェイスのマスク、若しくは鼻枕、又は気管カニューレによって、実施することも可能である。
【0027】
フロー生成器とともに、検出装置100を、患者の呼吸インターフェイスにおける呼吸圧力治療を実施するように構成することが可能である。この目的を支援するために、この装置は、さらに、圧力トランスデューサー等の圧力センサー106を備えることが可能であり、これにより、ブロワー105によって生成された圧力を測定するとともに、圧力の測定結果を示す圧力信号p(t)を生成することができる。このような装置においては、圧力供給チューブ110は、マスクすなわち患者の呼吸インターフェイスに供給される圧力のレベルを検出することを可能とするための、センスチューブとして機能することが可能である。
【0028】
検出装置100は、さらに任意的に、フローセンサー107を備えることが可能である。このフローセンサー107は、患者の呼吸インターフェイスに接続することが可能である。このフローセンサーは、患者の呼吸フローを表す信号を生成する。これらのセンサーからの信号については、閉塞性又は中枢性の無呼吸、呼吸低下、心因性のエアフロー、呼吸数、及び、「これらのセンサーによって測定される信号からの、他の呼吸に関連するパラメータ」を検出するために、使用することが可能である。実施形態によっては、呼吸フロー計、及び差圧トランスデューサー、又は類似の装置(例えば、フロー信号f(t)を導出するためのチューブ又はダクトの束を使用しているもの)を用いることによって、マスク108又は圧力供給チューブ110にもっとも近いフローを測定することが可能である。代替的に、圧力センサーを、フローセンサーとして実施することも可能であり、また、フロー信号を、圧力の変化に基づいて生成することも可能である。圧力又はフローのセンサーは、コントローラ104の筐体内に示されている。しかしながら、任意的に、これらを、より患者に近い位置(例えば、マスク108又は圧力供給チューブ110内)に配置することも可能である。呼吸フロー信号又は圧力信号を生成するために、他の装置を用いることも可能である。例えば、システムの特性に基づいて、フロー生成器装置によって供給される圧力又はフローの情報を推定するために、モーターRPMセンサーを使用することも可能である。
【0029】
フローf(t)信号及び/又は圧力p(t)信号に基づいて、1つ又は複数のプロセッサー114を有するコントローラ104は、ブロワー制御信号を生成する。例えば、コントローラは、所望の圧力設定ポイントを作成するとともに、この設定ポイントを圧力センサーにおける測定された状態と比較することによって、この設定ポイントを満たすように、ブロワーをサーボ制御することが可能である。このように、コントローラ104は、ブロワーによって患者のインターフェイスに供給される圧力に、制御による変更を加えることが可能である。任意的に、比較的一定のブロワー速度が維持されている場合に排気を増加又は減少させるべく、機械的な放出バルブ(図示せず)を用いて排気を制御することによって、上記のような圧力に対する変更を実施することも可能である。
【0030】
上記のようなコントローラ又はプロセッサーを用いて、好適な圧力供給の均衡を調節することによって、この装置を、さまざまな多くの圧力治療(例えば、睡眠呼吸障害、チェーン−ストークス呼吸、閉塞性の睡眠時無呼吸のための圧力治療(例えば、CPAP、APAP、Bi−Level CPAP、AutoVPAP)、その他の呼吸障害、又は、これらの組み合わせのための圧力治療)のために使用することが可能である。例えば、米国特許第6,532,957号、第6,845,773号、及び第6,951,217号に記載されている装置の圧力治療を、本技術におけるCOPDの検出装置100によって実施することも可能である(なお、これらの文献の内容は、参照することによって、本明細書に完全に組み込まれている)。例えば、これらの特許文献に記載されているように、コントローラ及びフロー生成器を、患者インターフェイスに対して特定の(又はほぼ特定の)目標換気量(例えば、分時換気量、総計の肺胞換気量、又は肺胞換気量)を供給することを確保するように、構成することも可能である。これは、治療セッションの過程において、換気量の測定値を目標換気量と比較することによって実施されることとなる。または、コントローラ及びフロー生成器を、1回換気量の測定値を目標の1回換気量と比較することによって、1回換気量を供給することを確保するように構成することも可能である。これについては、「患者の呼吸サイクルの変化をより円滑に再現することのできる、2段階のセラピー法、又は他の何らかのセラピー法」を与える圧力変動によって、達成することが可能である。
【0031】
任意的に、検出装置100は、本技術における1つ又は複数の重症度変化インジケータの評価を支援することの可能な、追加的な診断センサー112を備えることが可能である。例えば、この装置は、酸素濃度計を備えることが可能である。酸素濃度計は、患者の血中酸素濃度を表す信号を生成することができる。好適な酸素濃度計又はモニター装置の例については、任意的に、以下の国際特許出願に開示されている装置のいずれかとすることが可能である。すなわち、国際出願PCT/AU2005/001543号(公開番号;WO/2006/037184号)、又は国際特許出願PCT/AU1996/000218号(公開番号;WO/1996/032055号)である。これらの開示内容は、相互参照することによって、本明細書に組み込まれている。組み込まれているこれらのPCT出願に開示されているように、このモニターは、診断センサーとして機能することが可能である。この診断センサーは、患者の心拍数及び/又は血圧を測定するための、血圧及び/又は心拍数(すなわち脈拍数)モニターを、任意的に供給することも可能である。
【0032】
実施形態によっては、この診断センサーは、ECGモニターを備えることも可能である。このような装置を、心臓に関連する特性(例えば心拍数)を検出するように構成することも可能であり、また、この装置は、呼吸パラメータ(例えば、中枢性又は閉塞性の無呼吸、呼吸低下等)を判定することも可能である。任意的に、これらのパラメータを、コントローラに対するECGデータの送信に基づいて、コントローラ104の分析アルゴリズムによって判定することも可能である。又は、これらのパラメータを、モニターによって判定するとともに、コントローラ104に対して送信することも可能である。
【0033】
実施形態によっては、この診断センサーは、動作センサーを備えることが可能である。例えば、胸骨頚切痕センサー又はチェストバンドを、呼吸時における患者の労作を示す運動信号を生成するように、実施することも可能である。他の好適なセンサーは、国際特許出願PCT/AU1998/000358号(公開番号;WO1998/052467号)に開示されている、運動検知装置を備えることが可能である。本出願の開示内容は、相互参照することによって、本明細書に組み込まれている。このように、動作センサーは、患者の労作及び/又は呼吸数の測定を与えることが可能である。また、この動作センサーを、本明細書においてより詳細に論じられている重症度変化インジケータの判定において、フローセンサーの代替物として、又は他のフローセンサーとともに使用することが可能である。
【0034】
実施形態によっては、診断部品は、患者の呼吸器系に振動を誘起することによって呼気フローリミテーションの大きさを判定するための、機能を備えることも可能である。例えば、この装置は、強制的な振動の間における圧力及び/又はフローの測定値を分析することによって、吸気と呼気との間におけるインピーダンス値の実数部及び虚数部における変化を判定することが可能である。例えば、フーリエ解析を使用することが可能である。上記のような振動に基づいて複素インピーダンスを判定するための、他の数学的な技術を実施することも可能である(例えば、好適に前フィルタ処理した後、サイン波及びコサイン波によって内積を窓処理して計算するか、又はサイン波及びコサイン波の最小二乗フィッティングを実施する等)。強制的な振動を、制御されたラウドスピーカー又は増幅器によって実施することも可能である。これについては、Vasilliou et al.による「Expiratory flow limitation during mechanical ventilation detected by the forced oscillation method」(Eur Respir J,1996,9,77−786)、又は、Peslin et al.による「Respiratory mechanics studied by forced oscillations during artificial ventilation」(Eur Rospir J,1993,6,772−784)に開示されている。ファンモーターを好適に駆動することによって、CPAP又は非侵襲性の圧力補助換気法において通常的に用いられているフロー生成器において、強制的な振動を実施することも可能である。この技術は、上気道閉塞の検出における原理として、及び、特に、閉じた(閉塞性の)無呼吸と開いた(非閉塞性の)無呼吸との間の区別における原理として、CPAP治療において広く使用されている(例えば、米国特許第5,704,345号)。
【0035】
上記したセンサーからの信号については、コントローラ104に送信することが可能である。センサーから供給される信号がデジタル形式でない場合であって、コントローラがデジタルのコントローラである場合には、選択的なアナログ−デジタル(A/D)コンバーター/サンプラー(別々には示されていない)を利用することも可能である。上記のセンサーからの信号に基づいて、コントローラは、1つ又は複数の重症度変化インジケータSCIを用いて、患者の病状の変化をアセスメントする。
【0036】
コントローラは、任意的に、1つ又は複数の警告灯(例えば、1つ又は複数の発光ダイオード)等の、表示装置116を備えることが可能である。この表示装置を、LCD等の表示画面として実施することも可能である。表示装置116の作動は、典型的には、検出装置100によって実施されている特定の重症度変化インジケータのアセスメントに基づいて、コントローラによって設定されることになる。この表示装置を、検出装置100のユーザー、又は臨床医又は医師に対して視覚的に情報を示すように、実施することも可能である。さらに、この表示装置116は、検出装置100の動作に関する、グラフィカル・ユーザー・インターフェースを示すことも可能である。ユーザー、臨床医、又は医師は、検出装置100の動作を、コントローラ又はプロセッサーによって検知することの可能な入力スイッチ118の操作に基づいて、制御することも可能である。
【0037】
任意的に、コントローラは、検出装置100によってデータ又はメッセージを受信及び/又は送信するために、通信装置120を備えることも可能である。例えば、この通信装置を、Bluetooth又はWIFIのトランシーバー等の、無線トランシーバーとすることが可能である。また、この通信装置を、電話モデム及び/又はネットワークカード等のようなネットワーク通信装置とすることも可能であり、直接的にか、又は検出装置をドッキングし得るコンピュータを介して、インターネットによってメッセージを送信するように実施することもできる。一般的に、通信装置120を、臨床医又は医師によってアセスメント可能な装置122に対して警告又はメッセージを送信するために、使用することが可能である。この装置122の例としては、遠隔地にある患者データの記録装置(検出装置100等)からのデータを、医師によるチェックを可能とする複数患者モニタリングシステムが挙げられる。これらのシステムでは、患者のモニタリングデータを記録するために、データベースを設けることも可能である。医師又は臨床医は、「患者が、より詳細な診察を必要としている可能性があること」、又は、「患者を病院に搬送する必要があること」を示す報告又は警告を受信することが可能である。
【0038】
コントローラ104又はプロセッサー114は、典型的には、本明細書においてより詳細に説明されているアルゴリズム等のような特定の制御手法を実施する構成となる。したがって、コントローラは、集積チップ、メモリー、及び/又は、制御命令、データ、又は情報を保存する他の媒体を備えることが可能である。例えば、上記のような制御手法を包含しているプログラム命令を、装置のメモリー内の集積チップにコード化することが可能である。追加的又は代替的に、適切なデータ保存媒体を用いることによって、このような命令を、ソフトウェア又はファームウェアとしてロードすることも可能である。このようなコントローラ又はプロセッサーを用いることによって、この装置を、「上記した複数のセンサーからのデータに基づいて、患者の病状に関連する多くの異なるパラメータを判定及び分析するため」に、使用することが可能である。したがって、プロセッサーは、本明細書においてより詳細に論じられている実施形態において説明されているように、重症度変化インジケータのアセスメントを制御することが可能である。
【0039】
検出装置100のコントローラ104における、1つの例示的な手法又はアルゴリズムが、図2のフローチャートに示されている。ステップ200では、検出装置100は、患者インターフェイスに呼吸圧力治療を供給することが可能である。例えば、プロセッサーは、フロー生成器をサーボ制御して、目標換気量を満たす圧力治療を提供することが可能である。このような実施形態では、目標換気量を、医師によってあらかじめ決めておくか、又は呼吸治療装置の学習モードを利用して自動的に設定することが可能である。以下では、この装置によって患者が治療されているときには、この装置は、供給されている換気量を測定するとともに、「測定された換気量が、目標換気量を満足していること」を確保するような手法において、患者に供給される圧力を調節することとする。したがって、患者の呼吸によって、時間の経過とともに測定される換気量が目標換気量を下回り始めた(又は上回り始めた)場合には、フロー生成器は、供給される圧力補助を増加(又は減少)することによって、釣り合いをとることになる。
【0040】
この治療プロセスの間、ステップ202では、検出装置100は、この装置によって供給される圧力の測定値をモニターすることになる。例えば、圧力トランスデューサーからの信号に基づいて、装置は、特定の期間(例えば、目標換気量を満足するために必要とされていた治療セッションの期間(例えば、一日、一晩等))にわたって、供給されている圧力又は平均の圧力を測定することが可能である。この情報については、記録するとともに、セッションの識別情報(特定の治療セッション、又はそれが供給されていた日時を識別するための情報)等に関連づけることが可能である。そして、この情報を、複数のセッションのための装置内に保存することが可能である。
【0041】
検出装置は、コントローラ104において実施される分析アルゴリズムにしたがって、204において測定された圧力に基づいて、呼吸機能不全又はCOPDの重症度変化インジケータを評価することになる。例えば、それは、1つ又は複数の閾値に関して、1つ又は複数の判定された供給圧力パラメータを評価することが可能である。典型的には、比較の結果が、患者(例えば、医師によるさらなるRI又はCOPDの治療が考慮されるようなレベルにある、RI又はCOPDの増悪に悩まされ始めている患者)のRI又はCOPDの病状における重症度の変化を示すように、各閾値が選択される。例えば、この装置によって進行中のセッションから判定された圧力測定値(例えば、cmHOにおける平均の供給圧力)を、1つ又は複数の過去のセッションにおける1つ又は複数の圧力測定値(例えば、1つの過去のセッションから得られた平均の圧力測定値、又は、複数の過去の治療セッションから得られた平均の圧力測定値)と比較することが可能である。過去に判定された圧力測定値に対する、圧力測定値における現在の変化(例えば、呼吸支援セラピーの程度における、増加又は一定量の増加)を、重症度変化インジケータとして用いることが可能である。
【0042】
別の例を示すと、圧力補助の測定値における数日間にわたる継続的な上昇の検査結果を、重症度変化インジケータとして用いることも可能である。この検査結果は、例えば、複数の治療セッション(例えば、3〜7回の治療セッション)の間における過去の測定値と現在の測定値とを連続的に比較することによって、数日間の治療期間にわたって継続的な増加を検出することによって得られる。任意的に、1つ又は複数のあらかじめ設定された閾値と等しい増加量、又はこの閾値よりも多い増加量を、患者のRI又はCOPDの病状における変化を示すものであると考えることも可能である。これらの評価は、「医師は、RI又はCOPDの治療(例えば処方薬等)に変更を加えることに関して、患者のRI又はCOPDの病状を検討するべきであること」を示すことが可能である。
【0043】
これらの変化を、圧力データの履歴に対する比較操作によって検出することも可能である。均等化を図るために、2つ以上の測定値を検査することによって、これらを検出することも可能である。さらに、絶え間のないセッション及び/又は連続的なセッションの間における差異を判定するとともに、これらを所定の閾値と比較することによって、これらの変化を検出することも可能である。同様に、1つ又は複数の過去の圧力測定値に対する現在の圧力測定値を含む比率を用いて、及び1つ又は複数の閾値(例えば、変化量を示す閾値)に対する上記の比率の結果をアセスメントすることによって、比較を実施することも可能である。したがって、「変化又は増加がどのくらい激しいのか」を検討するために、上記の閾値を選択することが可能であり、これによって、小さな変化を無視することができる。別の例を示すと、モニタリングセッションにおける2日以上の連続した日々にわたる、供給圧力の増加又は一定量の増加(その後の日々において、同様の連続した期間にわたって、同程度の減少がない場合)を、COPDの病状のインジケータとして用いることも可能である。
【0044】
代替的に、又は追加的に、重症度変化インジケータを、「検出装置100によって測定及び追跡され、かつRI又はCOPDを表す他のデータ又は呼吸パラメータに関する変化に基づくもの」とすることも可能である。これらのデータ又はパラメータとしては、例えば、呼吸数、呼吸の労作、血液ガスのレベル、他の測定値(例えば、使用時間の増加量)、又は、これらの組み合わせ(この装置によって任意的に判定することの可能なもの)が挙げられる。例えば、現在のセッションから得られる平均の呼吸数を、過去のセッションと比較することによって、既に説明した圧力測定値の比較と同様に、1つ又は複数の比較における変化又は変化量を判定することが可能である。例えば、進行中のセッションにおける平均呼吸数の増加を、過去のセッション(例えば、1つ又は複数の過去のモニタリングセッション)において同様に判定された呼吸数と比較することによって、判定することも可能である。このような変化を、本技術におけるRI又はCOPDの重症度変化インジケータとして用いることも可能である。さらに別の例を示すと、モニタリングセッションにおける2日以上の連続した日々にわたる、呼吸数又は他の表示可能なデータの増加又は一定量の増加(その後の日々において、同様の連続した期間にわたって、同程度の減少がない場合)を、重症度変化インジケータとして用いることも可能である。
【0045】
このような場合には、変化の程度、及びパラメータの変化が生じている時間の長さをアセスメントすることによって、例えば変数又はインデックスによって表すことの可能な、急性の増悪の可能性を判定することが可能である。例えば、インデックスは、急性の増悪におけるより高い可能性を表し、又は表示することが可能である。この急性の増悪は、変化の程度又は量がより大きいもの、及び/又は、変化の生じている時間の周期又は長さがより長いものである。パラメータによっては、より大きな増加及び/又はより長い変化時間の周期が、より高い可能性のある急性の増悪の発生を表すことが可能である。
【0046】
任意的に、重症度変化インジケータを、複数の閾値と複数のさまざまなパラメータとの比較の結果に基づくものとすることが可能である。例えば、複数のセッションにわたる供給圧力の増加を、呼吸数の増加、又は、複数のセッションにわたって判定される他の表示可能な測定値における他の何らかの変化とともに、RI又はCOPDの重症度変化インジケータとして、集合的に用いることが可能である。したがって、本明細書において論じられているインジケータの状態における任意の組み合わせを、本技術の重症度変化インジケータとして実施することが可能である。
【0047】
これらの供給圧力、呼吸数、又は他の表示可能なデータ測定値に関連している閾値を、RI又はCOPDの患者の受けている病状及び変化の実証的な分析によって、決定することも可能である。例えば、目標換気量を供給する呼吸治療装置による治療を受けている、RI又はCOPD患者の分析を通じて、及び、これらの測定値から得られるデータを、患者のRI又はCOPDの病状における変化又は増悪に関連づけることによって、これらの閾値を決定することも可能である。
【0048】
他の例を示すと、他の表示可能なデータに基づいた重症度変化インジケータは、患者の呼吸のデユーティーサイクル(例えば、呼吸サイクル(吸気及び呼気)の合計時間に対する吸気時間の比率)に対するモニタリングを包含することが可能である。このような測定値については、Ti/Ttotとして示すことが可能である。例えば、Ti/Totの減少を、RI又はCOPDの重症度における変化に関連していると考えることが可能である。
【0049】
同様に、検出又はモニターされた内因性呼気終末陽圧(「内因性のPEEP」又は「PEEPi」)における変化を、重症度変化インジケータとして評価することも可能である。この内因性呼気終末陽圧は、呼気フローリミテーションを克服するために必要とされる圧力である。例示的な実施形態では、検出装置は、呼気フローリミテーションの測定値等のような内因性のPEEPを示す1つ又は複数の測定値を計算することが可能である。この呼気フローリミテーションの測定値の例としては、治療中において周期的に実行することの可能な、強制振動法によって判定される、吸気と呼気との間におけるインピーダンス値の実数部及び/又は虚数部に関する変化、が挙げられる。このような装置は、内因性のPEEPを治療をしようと試みることはないが、これらの測定値、及び/又は、これらに対する変化を、COPD又はRIにおける悪化の直接的な表示として、使用することは可能である。この装置が、呼気終末圧(EEP)を調節することによって、PEEPiを治療しようと試みる場合には、内因性のPEEPにおける1つ又は複数の測定値を減少しようとする治療制御アルゴリズムによって生成される、EEP内の増加を、RI又はCOPDにおける重症度の変化の表示に関して、分析することも可能である。実施形態によっては、上記のような治療装置における残っている未治療の内因性のPEEP(任意的に、治療制御アルゴリズムによって与えられるEEP内の増加と組み合わせることも可能である)の変化を、COPD又はRIの重症度変化インジケータとして、評価することも可能である。このような実施形態では、モニタリング中若しくは治療セッション中、又はモニタリング若しくは治療セッションの間に、PEEPiにおける周期的な判定を実施することが可能である。これによって、複数のセッションから、及び/又は1つのセッション内において、変化を評価することが可能である。
【0050】
さらに別の実施形態では、呼気における後半部分(例えばデータサンプル)において取られ、かつ測定されたフローの大きさに関する増加を、本技術の重症度変化インジケータとして評価することが可能である。このような場合には、上記のような増加は、他の変化(例えば、呼吸数又は換気量における変化)によって検出された増加が十分に説明されていない場合には、重症度の変化を示すことが可能である。このように、呼吸数及び/又は換気量における変化又は著しい変化を伴わずに測定されたフローに関する上記のような増加を、RI又はCOPDにおける重症度の変化を示すものであると見なすことが可能である。
【0051】
実施形態によっては、本技術における1つ又は複数の重症度変化インジケータの評価は、「例えばガウシアン又はその他の平滑化された導関数計算(例えば、ガウシアンの導関数を用いたコンボリューション)を実施することによって、記録されている測定値の変化率を検査するアルゴリズム」を包含している。重症度の変化における虚偽の検出又は表示を回避するために、このような変化の評価を、閾値からの偶発的な逸脱に対してより強い許容度をもつものとすることが可能である。著しい増加量を検出する他の手段は、回帰分析を含んでいる。この分析では、少なくとも特定の値における(指定された何らかの有意レベルでの)統計的に有意な傾きを、重症度の著しい変化を示すものであると見なすことが可能である。同様に、上記のアルゴリズムは、パターン分類法を適用することによって、より高い検出感度及び特異性を提供するとともに、ノイズ及び異常値に対する検出感度を低減し、さらに、呼吸機能不全又はCOPDにおける重症度の変化の検出に関して、より逐次的な反応を与えることが可能である。このパターン分類法の例としては、例えば、ファジー理論、特徴空間(軸に平行でないもの)におけるカテゴリー境界設定、境界からの距離の測定、その他(例えば、「Pattern Classification」(2nd ed.), by Duda, Hart and Storkに記載されている任意の技術)が挙げられる。例えば、ファジー分類関数を実施することによって、呼吸数(RR)における小さな変化を、圧力補助(PS)における中程度に大きな変化とともに、警告のきっかけを与えることの可能な重症度変化インジケータとして、検出することが可能である。
【0052】
他の例を示すと、圧力補助における増加、又は呼吸支援セラピーの程度を、上気道抵抗における増加(特に、部分的又は全体的な上気道閉塞に至る、上気道音の減少に関連するもの)に起因するものとすることが可能である。患者における呼吸機能不全の悪化に対する虚偽の肯定的な診断(望ましくないレベルのもの)を回避するために、重症度変化インジケータの評価は、さらに、「他のデータを検討することによって、RI又はCOPDに関する重症度の変化を排除するデータ分析」を包含することが可能である。例えば、この分析は、呼吸機能不全よりも、むしろ、呼吸治療支援における増加の原因となる可能性のある、生じ得る上気道閉塞を考慮することが可能である。例えば、検出装置は、呼吸フローの形状を分析することによって、上気道閉塞を示す可能性のある吸気フローリミテーションを検出することが可能である。上気道抵抗における著しい増加が検出された場合には、呼吸機能不全の病状の悪化を示すために呼吸支援セラピーの増加が用いられることはない。このような場合、重症度変化インディクタは、患者のRI又はCOPDの病状における重症度の変化を示すことはない。呼吸支援セラピーの程度における一定の増加が存在しているときに、上気道閉塞がそれほど検出されなかった場合には、RI又はCOPDの重症度の変化を示すために、重症度変化インジケータを用いることが可能である。
【0053】
本発明にしたがう装置又はモニター装置100は、患者をモニターするために便利な方法を提供するとともに、彼らが寝ている間に使用することの可能なものである。したがって、図2における任意的なステップ206では、装置が、重症度変化インジケータSCIに基づいて、「患者の病状の変化が、患者のRI又はCOPDの悪化状態である」と判定した場合には、インジケータを利用することによって、「患者及び/又は臨床医に患者の状況のステータスを知らせるために適切な形態の、警告又はメッセージ」を出すように装置を始動することが可能であり、これにより、患者は、より効率的に、必要なケアを受けることが可能となる。
【0054】
このシステムの警告又はメッセージは、複数の形態を取ることが可能である。例えば、コントローラは、肯定的な重症度変化インジケータに応じて、モニター装置のステータスライト(例えば、LED、又は、表示画面すなわちLCD上のアイコン)を作動することが可能である。インジケータのアセスメントに関するより詳細なメッセージを、表示画面上に表示することも可能である。任意的に、コントローラは、追加的又は代替的に、臨床医又は医師に対してメッセージを送信することも可能である。このようなメッセージは、有線又は無線による通信の形態を取ることが可能である。例えば、コントローラは、ページングシステムを介して、例えばページングシステムに対して自動的にアクセスすることによって、メッセージを作成することが可能である。さらに、コントローラを、自動音声による電話メッセージを作成するように構成することも可能である。さらに、コントローラは、ファクシミリ伝送によってメッセージを送信することも可能である。実施形態によっては、コントローラは、任意のインターネット・メッセージング・プロトコルを介して(例えば、電子メールとして、又は、他の任意のインターネット・データファイル・トランスポート・プロトコルによって)、メッセージを送信することも可能である。患者の情報を秘密にしておくために、メッセージを暗号化することさえ可能である。典型的なメッセージは、患者を識別することが可能である。このようなメッセージは、さらに、記録されている他の任意の患者情報における、システムによって記録された変化のデータを含むことも可能である。メッセージは、さらに、「患者に関し、追加的なRI又はCOPDの治療を施すことを考慮すべきであること、又は、RI又はCOPDの潜在的な増悪の検出に起因する評価を考慮すべきであること」を表現することも可能である。
【0055】
このように、装置によって患者又は医師に対して提示することの可能な表示又は警告における、例示的な実施形態を、警告メッセージ(例えば、図形又は文字のメッセージ)とすることが可能である。1つ又は複数のプログラム化された重症度変化インジケータSCIの評価に基づいて、メッセージを、装置又は遠隔地にある装置に表示することも可能である。複数の例示的なメッセージ330、332、334、336、338が、図3に示されている。メッセージ330は、数日間(例えば、連続的な使用期間、又は順次的な複数の使用期間)にわたって測定された圧力供給(図3において「PS」として示されている)における変化に基づいている。メッセージ332は、順次的な複数の治療期間における、供給圧力における複数の測定値、及び、呼吸数(RR)における複数の測定値の間の比較に基づいている。メッセージ334は、順次的な複数の治療期間における、供給圧力における複数の測定値の差異又は比率と、追加的な閾値(図3においてY及びXとして示されている)との間の比較に基づいている。メッセージ336は、複数の治療セッションの間における、供給圧力の連続的な絶え間のない増加(Yの倍数での増加)に基づいている。メッセージ338は、複数の治療セッションにわたる、他の表示可能なデータ測定値における連続的な減少に基づいている。この他の表示可能なデータ測定値は、図3において、「ORD」として示されている。さらに任意的に、単一のメッセージを、「これらのメッセージに示されている2つ以上の例示的な変更を、集合的に組み合わせたもの」に基づくものとすることも可能であり、これにより、病状の組み合わせが満たされたときに限って、警告メッセージが発生する。
【0056】
単純な警告メッセージを使用することができる一方、段階的なレベルの警告メッセージを作成することによって、患者の病状を、複数の異なる重症度変化インジケータとして記述することも可能であるし、又は、「検出された病状の重症度に基づいて、さまざまなメッセージを集合的に発生させる、繰り返される重症度変化インジケータ」として記述することも可能である。例えば、1つの重症度変化インジケータが、特定の日に、最初の警告メッセージを発生させることが可能である。しかしながら、後日に、第2の異なる重症度変化インジケータによって、異なるメッセージ(例えば、より高いレベルの緊急性を伴うもの)を生成することが可能である。例えば、「供給圧力が増加した日数」が増加したときにも、異なるメッセージを生成することが可能である。このような実施形態では、第1のメッセージの後、第2のメッセージが、「患者は、診察のために、直ちに医師と接触するべきである」ということを、より緊急に警告することが可能である。このようにして、装置は、各警告に関するデータをモニターするか、又は保存することが可能である。これにより、過去の警告及び/又は重症度変化インジケータの履歴に基づいて、逐次的に警告を変更又は作成することが可能となる。
【0057】
さらに、コントローラ104によって、これら全てのメッセージを、検出装置100の表示装置116を介して患者に誘導すること、及び通信装置120を介して医師に誘導することが可能である一方、実施形態によっては、より選択的にメッセージを誘導することも可能である。例えば、第1のメッセージを、医師又は臨床医のみに送信することも可能である。これは、表示装置116にメッセージを表示することなく、通信装置120を介した医師のシステム122に対するメッセージの送信のみを実施することによる。しかしながら、より緊急なメッセージとなる可能性のある第2のメッセージについては、医師のシステム122に対する送信に加えて、表示装置116上に積極的に表示することが可能である。装置のコントローラによって制御される、オプションのスピーカからの警告音を発生させることも可能である。メッセージの緊急度によって、警告音の使用を決定することも可能である。
【0058】
本技術における一部の実施形態を規定及び使用するための例示的な臨床手法が、図4に示されている。ステップ428では、患者は、RI(例えばCOPD)であると診断されるとともに、増悪に悩まされる危険性を有している可能性がある。ステップ430では、患者が圧力治療の処置を受け、これにより、目標換気量(例えば分時換気量)が維持されている。ステップ432では、装置が、圧力治療に基づいて情報をモニター及び分析し、これにより、従前に議論したように、COPDの病状のインジケータに関する測定値を判定する。ステップ444では、1つ又は複数の重症度変化インジケータの閾値が評価される。重症度変化インジケータが、「患者が、病状の悪化又は変化(例えば増悪の発生)に悩まされている」ことを示唆している場合には、ステップ446において、警告が発生する。しかしながら、重症度変化インジケータが、そのような病状の変化の存在を示唆していない場合には、警告は作成されないとともに、装置は、ステップ432に戻ることによって、モニター及び分析を続ける。このように、患者が必要とする可能性のある他の装置における既存の部品をうまく利用しながら、患者のニーズに応じて、異なる装置において本技術を実現することが可能である。
【0059】
本技術の実施形態によっては、圧力治療用装置を使用することによって(又は、これを使用せずに)、患者から判定されたデータに基づいて、1つ又は複数のインジケータを生成することが可能である。例えば、処理装置は、本明細書において論じられているRI又はCOPDの重症度変化インジケータの判定を用いて、呼吸機能不全又はCOPDに関する増加した増悪をモニターすることが可能である。このようなモニター装置は、運動、圧力、呼吸数、心拍数、その他における変化を検出するために、少なくとも1つのセンサーを備えることが可能である。例えば、非接触バイオモーションセンサー(例えば、BiancaMed社のドップラー装置等)を使用することが可能である。この装置は、呼吸数、心拍数、及び運動を検出するために、センサーに向かって送信及び後方反射される無線周波数エネルギーの低出力パルスを利用している。代替的に、又はこれに追加的に、他の呼吸モニター装置(例えば呼吸バンド)を使用することによって、増加した労作及び/又は増加した活動を検出することも可能である。そして、測定されたデータは、従前に議論したように、RI又はCOPDの重症度変化インジケータの根拠として機能することが可能である。この検出されたデータについては、任意的に、重症度変化インジケータの判定において、他のセンサーによって判定された、他のデータと組み合わせることが可能である。このモニター装置を、任意的に、呼吸治療装置を用いることなくインジケータを判定するために、用いることも可能である。代替的に、このようなモニター又は非接触センサーを、呼吸治療装置の一部として、又は、呼吸治療装置(例えばベンチレータ)に対して(例えば、無線又は有線の通信リンクを介して)データを送信することの可能な外部の部品として、構成することも可能である。この場合には、治療装置及び/又はモニターが、本技術のインジケータを判定する。さらに任意的に、モニター装置を、例えばインターネット・インターフェイス又は他の通信インターフェイス(例えば、有線及び/又は無線のリンク)を介して、データ及び/又はインジケータを医師のシステムに送信するように、構成することも可能である。
【0060】
他の例を示すと、上述した技術の実施形態を、呼吸機能不全に罹患している患者に発生する急性の増悪の可能性を判定するように適合されている装置として、実施することが可能である。このような装置は、患者における少なくとも1つの呼吸パラメータを測定するように適合されている、少なくとも1つのセンサーを備えることが可能である。この装置のコントローラは、少なくとも1つのセンサーに接続することが可能であり、呼吸パラメータの変化がいつ発生したのかを判定するために、より早い段階の少なくとも1つの第1の時間に測定された呼吸パラメータを、第2の時間に測定された呼吸パラメータとともに評価するように構成されている。呼吸パラメータの変化が判定されたときに、この変化のレベル又は程度、及び、少なくとも1つの第1の時間と第2の時間との間の時間の長さが、コントローラによって評価され、これにより、急性の増悪の発生する可能性が判定される。このような実施形態の一部では、呼吸パラメータにおける変化のレベル又は程度がより大きく、かつ、上記した時間の長さがより長いほど、急性増悪の発生する可能性が高くなるといわれている。これに関連して、呼吸パラメータの変化は、長時間にわたる増加であってもよい。さらに、上記のような実施形態の一部では、第2の時間において測定された呼吸パラメータが、より早い段階の複数の第1の時間において測定された呼吸パラメータとともに評価され、これにより、呼吸パラメータにおける時間的な変化の傾向が判定される。さらに、コントローラを、判定された急性増悪の発生する可能性に基づいて警告信号を提供するように、構成することも可能である。これに加えて、この装置は、任意的に、患者に対して陽圧補助を提供するように適合されているフロー生成器を備えることも可能である。
【0061】
複数の実施形態において、RI又はCOPDの重症度変化インジケータの技術が説明されてきたが、これらの実施形態は、この技術を単に例示するものに過ぎない、ということを理解するべきである。本明細書の精神及び範囲内において、別の改良形を発明することも可能である。例えば、本技術によって集積装置が想定されているが、この装置の部品における手法を、システムにおける複数の部品によって共有することも可能である。例えば、モニター装置(圧力治療用供給装置から分離されていても、分離されていなくてもよい)は、患者から生理学的なデータを単純に測定するとともに、このデータを他の処理システムに転送することが可能である。そして、この第2の処理システムが、本技術のインジケータをアセスメントするために、このデータを分析することが可能である。この第2の処理システムは、さらに、インジケータを評価するとともに、本明細書において説明した警告メッセージを作成することが可能である。これは、例えば、1つ又は複数の上述したメッセージ(例えば電子的な形態のもの)を、患者に警告を与えるための装置において表示するために、患者のモニター装置に返信することによって実施される。この技術の精神及び範囲から逸脱することなく、他の変化形を形成することも可能である。
【0062】
以下に示す説明的な段落を検討することによって、追加の例示的な実施形態を理解することが可能である。この目的のために、本技術は、以下の構成を包含することが可能である。
【0063】
患者の呼吸機能不全の病状を評価する方法において、呼吸治療装置を用いて、患者に対して呼吸の圧力治療の圧力供給するステップと、上記呼吸治療装置によって供給される圧力の測定値を判定するステップと、この圧力測定値に基づいて、重症度変化インジケータを評価するステップとを含み、上記インジケータが、上記患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表す、方法。
【0064】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記圧力測定値が、上記呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持するために呼吸治療装置によって生成された、圧力の測定値を含んでいる、方法。
【0065】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記目標換気量が分時換気量である、方法。
【0066】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記目標換気量が肺胞換気量の推定値となっている、方法。
【0067】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記目標換気量が総計の肺胞換気量の推定値となっている、方法。
【0068】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記重症度変化インジケータを評価するステップが、上記圧力測定値に対する閾値比較を含んでいる、方法。
【0069】
前述したいずれかの段落の請求項2に記載の方法において、上記閾値比較が、上記圧力測定値、及び上記呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値を含んでいる、方法。
【0070】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記閾値比較が、数日間にわたって繰り返される上記圧力測定値における上昇表示を表している、方法。
【0071】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記閾値比較が、上記圧力測定値と、上記呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値との間の差異を含んでいる、方法。
【0072】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記閾値比較が、上記圧力測定値と、上記呼吸治療装置を用いて目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値との比率を含んでいる、方法。
【0073】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記重症度変化インジケータを評価するステップが、判定された呼吸数及び過去の呼吸数を含む別の閾値比較をさらに含んでいる、方法。
【0074】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記別の閾値比較が、数日間にわたって繰り返される上記判定された呼吸数の上昇表示を表している、方法。
【0075】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記重症度変化インジケータに基づいて警告を発生させるステップをさらに含んでいる、方法。
【0076】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記警告が作動されたライトを含んでいる、方法。
【0077】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記警告がメッセージを含んでいる、方法。
【0078】
前述したいずれかの段落に記載の方法において、上記重症度変化インジケータの判定結果を表すデータを含む電子的なメッセージを送信するステップをさらに含んでいる、方法。
【0079】
患者の呼吸機能不全の病状を評価するために、上記患者をモニターするための装置において、フロー生成器によって供給される圧力を表す信号を生成するトランスデューサーと、センサーに接続しているプロセッサーとを備え、このプロセッサーが、上記圧力を表す信号から導き出される圧力測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するように構成され、上記インジケータが、上記患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表している、装置。
【0080】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、患者インターフェイスに向かう呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成されているフロー生成器をさらに備え、上記プロセッサーが、上記フロー生成器を制御するように構成されている、装置。
【0081】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記フロー生成器が、換気量における目標測定値を維持するように、上記呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成され、上記圧力測定値が、上記目標換気量を維持するように上記フロー生成器によって生成された圧力の測定値を含んでいる、装置。
【0082】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記目標換気量が分時換気量であり、かつ、上記圧力測定値が平均の圧力である、装置。
【0083】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記目標換気量が、肺胞換気量の推定値である、装置。
【0084】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価が、上記圧力測定値に対する閾値比較を含んでいる、装置。
【0085】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記閾値比較が、上記圧力測定値、及び、この装置を用いた過去の治療セッション中に目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値を含んでいる、装置。
【0086】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記閾値比較が、数日間にわたって繰り返される上記圧力測定値における上昇の表示を表している、装置。
【0087】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記閾値比較が、上記圧力測定値と、この装置を用いた過去の治療セッション中に目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値との間の差異を含んでいる、装置。
【0088】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記閾値比較が、上記圧力測定値と、この装置を用いた過去の治療セッション中に目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値との比率を含んでいる、装置。
【0089】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価が、判定された呼吸数及び過去の呼吸数を包含する別の閾値比較をさらに含んでいる、装置。
【0090】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記別の閾値比較が、数日間にわたって繰り返される上記判定された呼吸数の上昇の表示を表している、装置。
【0091】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記プロセッサーが、上記重症度変化インジケータに基づいて警告を作動するように構成されている、装置。
【0092】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記警告が作動されたライトを含んでいる、装置。
【0093】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記警告がメッセージを含んでいる、装置。
【0094】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記プロセッサーが上記重症度変化インジケータの評価結果を表すデータを含む電子的なメッセージの送信を制御するように構成されている、装置。
【0095】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記プロセッサーに接続している送信器をさらに備え、上記プロセッサーが、さらに上記重症度変化インジケータを表すデータを含むメッセージの送信を制御するように構成されている、装置。
【0096】
患者の呼吸機能不全の病状を評価するために、上記患者をモニターするためのシステムにおいて、フロー生成器によって供給される圧力を表す信号を生成する圧力手段と、上記圧力を表す信号から導出される圧力測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するための処理手段とを備え、上記インジケータが、上記患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表している、システム。
【0097】
前述したいずれかの段落に記載のシステムにおいて、慢性の閉塞性肺疾患における病状変化インジケータを表すメッセージを送信するための手段をさらに備えているシステム。
【0098】
前述したいずれかの段落に記載のシステムにおいて、慢性の閉塞性肺疾患における病状変化インジケータに基づいて、装置のユーザーに警告を与えるための手段をさらに備えているシステム。
【0099】
前述したいずれかの段落に記載のシステムにおいて、目標換気量を達成するように、患者インターフェイスに向かう呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成されたフロー生成器をさらに備えているシステム。
【0100】
前述したいずれかの段落に記載のシステムにおいて、上記目標換気量が肺胞換気量の推定値である、システム。
【0101】
患者の呼吸機能不全の病状を評価するために、上記患者をモニターするための装置において、患者の呼吸器系に対する圧力治療の処置に関連する信号を生成するためのセンサーと、上記センサーの信号からの測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するように構成されているプロセッサーとを備え、上記重症度変化インジケータが、上記患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表している、装置。
【0102】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記測定値が上記センサーの信号から判定される呼吸支援の治療の程度を表している、装置。
【0103】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価に対する制御が、上気道閉塞を排除するために、呼気フローリミテーションに関連する検出データをアセスメントすることを含んでいる、装置。
【0104】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価に対する制御が、呼吸数を表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、装置。
【0105】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価に対する制御が、上記センサーの信号から判定される呼吸のデューティーサイクルを表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、装置。
【0106】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価に対する制御が、内因性呼気終末陽圧を表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、装置。
【0107】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記重症度変化インジケータの評価に対する制御が、呼気フローリミテーションを表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、装置。
【0108】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記測定値が、上記センサーの信号から判定され、かつ呼気の後半部分にて測定されたフローの大きさを表し、上記評価に対する制御が、さらに、呼吸数又は換気量における有意ではない変化をアセスメントする、装置。
【0109】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記プロセッサーによる評価が、より早い段階での1つ又は複数の信号測定値をその後の1つ又は複数の信号測定値と比較した場合の変化を、判定することを含んでいる、装置。
【0110】
呼吸機能不全に罹患している患者に急性の増悪が発生する可能性を判定するように適合されている装置において、少なくとも1つの患者の呼吸パラメータを測定するように適合されている少なくとも1つのセンサーと、上記少なくとも1つのセンサーに接続しているコントローラとを備え、呼吸パラメータの変化がいつ発生したのかを判定するために、上記コントローラが、より早い段階の少なくとも1つの第1の時間に測定された呼吸パラメータを、第2の時間に測定された呼吸パラメータとともに評価するように構成され、呼吸パラメータの変化が判定されたときに、この変化のレベル、及び少なくとも1つの第1の時間と第2の時間との間の時間の長さが評価され、これによって、急性の増悪の発生する可能性が判定される、装置。
【0111】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記呼吸パラメータにおけるより大きなレベルの変化、及びより長い時間の長さが、より高い可能性のある急性の増悪の発生を示している、装置。
【0112】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記呼吸パラメータの変化が、長時間にわたって増加することとなっている、装置。
【0113】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、上記第2の時間に測定された呼吸パラメータが、より早い段階の複数の第1の時間に測定された呼吸パラメータとともに評価され、これによって、上記呼吸パラメータにおける時間的な変化の傾向が判定される、装置。
【0114】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、該コントローラが、該判定された急性の増悪の発生する可能性に基づいて、警告信号を提供するように構成されている、装置。
【0115】
前述したいずれかの段落に記載の装置において、該患者に対して陽圧補助を提供するように適合されているフロー生成器をさらに備えている、装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸機能不全の病状を評価するために患者をモニターする装置において、
患者の呼吸器系に対する圧力治療の処置に関連する信号を作成するセンサーと、
前記センサーの信号からの測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するように構成されるプロセッサーと
を備え、
前記重症度変化インジケータが、前記患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化に関する情報を表すように構成されている、装置。
【請求項2】
前記測定値が、前記センサーの前記信号から判定される前記呼吸支援の治療の程度を表すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記重症度変化インジケータの評価に対する前記制御が、上気道閉塞を取り除くために、吸気フローリミテーションに関連する検出データをアセスメントすることを含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記重症度変化インジケータの評価に対する前記制御が、呼吸数を表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記重症度変化インジケータの評価に対する前記制御が、前記センサーの信号から判定される呼吸のデューティーサイクルを表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記重症度変化インジケータの評価に対する前記制御が、内因性呼気終末陽圧を表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記重症度変化インジケータの評価に対する前記制御が、呼気フローリミテーションを表す測定値をアセスメントすることを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記測定値が、前記センサーの信号から判定され、かつ呼気の後半部分にて測定されるフローの大きさを表し、前記重症度変化インジケータの評価に対する前記制御が、さらに呼吸数又は換気量における有意ではない変化をアセスメントするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサーによる前記重症度変化インジケータの評価が、前記信号に関するより早い段階での1つ又は複数の測定値を前記信号に関するその後に続く1つ又は複数の測定値と比較した場合の変化を、判定することを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
換気量の目標測定値を維持するように、前記呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成されているフロー生成器をさらに備え、前記信号が、圧力を表す信号であり、さらに前記測定値が、前記目標換気量を維持するように前記フロー生成器によって生成される圧力の測定値を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記重症度変化インジケータの評価が閾値比較を含んでおり、該閾値比較が、前記圧力測定値と、過去の治療セッション中に目標換気量を維持するために使用された、過去の圧力測定値とを含んでいる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記閾値比較が、数日間にわたって繰り返される前記圧力測定値における上昇の表示を表すように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
患者の呼吸機能不全の病状を評価するために患者をモニターするシステムにおいて、
患者インターフェイスに向かう呼吸可能なガスのフローを大気圧よりも高い圧力で生成するように構成されるフロー生成器と、
患者の呼吸器系に対する圧力治療の処置に関連する信号を作成するセンサーと、
前記センサーの信号からの測定値に基づいて、重症度変化インジケータの評価を制御するように構成されるプロセッサーと
を備え、
前記重症度変化インジケータが、前記患者の呼吸機能不全の病状における重症度の変化についての情報を表すように構成されている、システム。
【請求項14】
前記重症度変化インジケータの評価が、(a)前記センサーの信号から判定される呼吸支援に関する治療の程度の測定値、(b)呼吸数の測定値、(c)前記センサーの信号から判定される呼吸のデューティーサイクルを表す測定値、及び(d)前記センサーの信号から判定される治療圧力の測定値からなるグループに関する1つ又は複数の測定値における変化を少なくともアセスメントするように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサーが、前記重症度変化インジケータに基づいて、出力メッセージを作成するように構成されている、請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−5240(P2011−5240A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−103761(P2010−103761)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
【Fターム(参考)】