説明

哺乳類のサイトカイン;関連試薬の使用

サイトカインおよびサイトカインアゴニストおよびサイトカインアンタゴニストを使用する免疫系の活性を調節する方法が提供される。免疫障害および増殖性障害の処置の方法もまた提供される。本発明は、インターフェロンγ(IFNγ)の発現またはレベルを細胞によって調節する方法を提供し、この方法は、細胞を有効量のサイトカインIL−27のアゴニストまたはアンタゴニストを用いて処理する工程を包含する。別の実施形態においては、本発明は、インターフェロンγ(IFNγ)の発現またはレベルを細胞によって調節する方法を提供し、この方法は、細胞を有効量のIL−27のアゴニストおよびIL−12、IL−15、IL−18、もしくはIL−23のアゴニスト;またはIL−27のアンタゴニストを用いて処理する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、種々の免疫障害の処置においてIFNγ生成を増強するか、または阻害する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
哺乳類の免疫応答は、「免疫ネットワーク」と呼ばれる一連の複合細胞相互作用に基づく。最近の研究は、このネットワークの内部作用(working)の新しい見識を提供する。実際に、この応答の多くが、リンパ球、マクロファージ、顆粒球、および他の細胞のネットワーク様相互作用を中心に展開することは、明らかなままであるが、現在、免疫学者は、一般的に、サイトカインとして公知の可溶タンパク質が、これらの細胞相互作用を制御することにおいて重要な役割を果たすという意見を持っている。従って、細胞調節因子の単離、特徴付け、および作用機構、多数の医学的異常(例えば、免疫系障害)の診断および治療において、何が重要な進歩をもたらすかの理解に、かなりの関心がある。これらの因子のいくつかは、造血成長因子および/または造血分化因子である(例えば、幹細胞因子(SCF)またはIL−12(例えば、Mire−SluisおよびThorpe(1998)Cytokines,Academic Press,San Diego,CA;Thomson(編)(1998)The Cytokine Handbook(第3編)Academic Press,San Diego,CA;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors,Cambridge Univ.Press,Cambridge,UK;ならびにAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines,Blackwell,Malden,MAを参照のこと)。
【0003】
サイトカインは、種々の方法において細胞の活性を媒介する。サイトカインは、複合免疫系を作り上げる多様な細胞系統を含む多数の前駆体内への多能性造血幹細胞の増殖、成長、および分化を支持することが示されている。細胞構成要素間の適切かつ均衡を保っている相互作用は、健康な免疫応答に必須である。サイトカインが他の薬剤とともに投与される場合、異なった細胞系統は、しばしば異なった様式で反応する。
【0004】
免疫応答で特に重要な細胞系統として、免疫グロブリン(異物を認識しかつ結合して、その除去をもたらす能力を有するタンパク質)を産生し、かつ分泌し得るB細胞、サイトカインを分泌し、B細胞および種々の他の細胞(他のT細胞を含む)が免疫ネットワークを作り上げることを誘導するか、または抑制するT細胞の種々の部分集合、感染性物質および腫瘍細胞に応答するサイトカイン産生を担うNK細胞、および抗原提示細胞(例えば、樹状細胞および他の骨髄由来細胞)が挙げられる。
【0005】
本発明は、IL−12と関連するサイトカインであるIL−27を用いる方法を提供する。IL−12は、細胞媒介性免疫において重要な役割を果たす。その活性は、IL−12Rβ1およびIL−12Rβ2の2つのサブユニットを含む高親和性レセプター複合体を通じて引き起こされる。IL−12のp35サブユニットは、EBI3と呼ばれる第二の可溶性タンパク質に対して結合し得る。そして、p35およびEBI3は、分泌されるヘテロダイマーを形成することが示唆されたが、このヘテロダイマーの機能は明らかではない。EBI3はまた、別のタンパク質p28に対しても結合し、現在、IL−27と呼ばれるp28およびEBI3を含む可溶性のヘテロダイマーを形成する。このp28サブユニットは、IL−80またはIL−D80としてもまた公知である。ヒトp35サブユニットおよびマウスp35サブユニットをコードするcDNAは、US20020164609およびWO 02/068596において記載されており、それらの両方ともが参考として援用される(例えば、Devergneら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12041−12046;Chuaら(1995)J.Immunol.155:4286:4294;Preskyら(1998)J.Immunol.160:2174−2179;Gatelyら(1998)Ann.Rev.Immunol.16:495−521;Preskyら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14002−14007;Trinchieri(1998)Adv.Immunol.70:83−243;Trinchieri(1998)Immunol.Res.17:269−278;Trinchieri(1995)Annu.Rev.Immunol.13:251−276を参照のこと)。
【0006】
本発明は、細菌および寄生虫(例えば、細胞内細菌および細胞内寄生虫)に対する免疫防御ならびにウイルス、ガン、および腫瘍に対する免疫防御を刺激する目的のためにインターフェロンγ(IFNγ)の発現を調節するための方法を提供する。IFNγは、細胞内細菌に対する免疫応答を媒介し得、この一般的な細胞内細菌種としては、Salmonella sp.、Shigella sp.、Listeria sp.、Francisella sp.、Mycobacteria sp.(tuberculosis;leprosy)、Legionella sp.、Rickettsia sp.、Orienta sp.、Ehrlichia sp.、Anaplasma sp.、Neorickettsia sp.、Chlamydia sp.、およびCoxiella sp.が挙げられる。さらに、IFNγは、寄生虫に対する応答を媒介する(例えば、Plasmodia sp.(マラリア)、Toxoplasma sp.、Leishmania sp.、Trypanosoma sp.、およびCryptosporidium sp.)。さらに、IFNγは、ウイルス(例えば、HIV、痘瘡ウイルスおよびワクシニアウイルス(天然痘)などのオルトポックスウイルス、およびアルファヘルペスウイルス(例えば、単純疱疹ウイルス)およびベータヘルペスウイルス(例えば、サイトメガロウイルス)を含むヘルペスウイルス)に対する免疫防御を媒介する。IFNγ発現を減少させるか、または阻害する方法もまた提供される。それは、例えば、慢性炎症性障害(例えば、クローン病)の処置のためである(例えば、Kentら(2000)Vaccine 18:2250−2256;Ismailら(2002)FEMS Microbiol.Lett.207:111−120;Kaufmann(2001)Nature Revs.Immunol.1:20−30;GoebelおよびGross(2001)TRENDS Microbiol.9:267−273;Heusslerら(2001)Int.J.Parasitol.31:1166−1176;Luderら(2001)Carstenら(2001)TRENDS Parasitol.17:480−486;Rookら(2001)Eur.Resp.J.17:537−557;StengerおよびRollinghoff(2001)Ann.Rheum.Dis.60:iii43−iii46;Haasら(2002)Am.J.Dermatopathol.24:319−323;DormanおよびHolland(2000)Cytokine Growth Factor Revs.11:321−333;Smithら(2002)J.Gen.Virol.83(Pt.12)2915−2931;CohrsおよびGilden(2001)Brain Pathol.11:465−474;TannenbaumおよびHamilton(2002)Sem.Cancer Biol.10:113−123;Ikedaら(2002)Cytokine Growth Factor Revs.13:95−109;Klimpら(2002)Crit.Rev.Oncol.Hematol.44:143−161;Fruchtら(2001)TRENDS Immunol.22:556−560を参照のこと)。
【0007】
上記から、サイトカインおよびサイトカインレセプターと関連する(例えば、IL−27、IL−12およびそれらのレセプターと関連する)新しい機能および方法の発見が、広い範囲の変性状態または異常状態(例えば、感染症またはガン)についての新しい治療に寄与し得、ここでこの治療は、免疫系細胞および/または造血細胞に直接的または間接的に関与する。特に、公知のサイトカインの有益な活性を増強するか、または可能にする、サイトカインの発見および発展は、非常に有利である。本発明は、L−27を用いてIFNγ産生を増強する方法を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、IL−27がインターフェロンγ(IFNγ)の生成を増強するという発見に、部分的に基づいている。
【0009】
本発明は、インターフェロンγ(IFNγ)の発現またはレベルを細胞によって調節する方法を提供し、この方法は、細胞を有効量のサイトカインIL−27のアゴニストまたはアンタゴニストを用いて処理する工程を包含する。
【0010】
別の実施形態においては、本発明は、インターフェロンγ(IFNγ)の発現またはレベルを細胞によって調節する方法を提供し、この方法は、細胞を有効量のIL−27のアゴニストおよびIL−12、IL−15、IL−18、もしくはIL−23のアゴニスト;またはIL−27のアンタゴニストを用いて処理する工程を包含する。
【0011】
上記方法であって、調節を増大させ、かつIL−27のアゴニストを用いて処置する方法;または調節を減少させ、かつIL−27のアンタゴニストを用いて処置する方法;上記方法であって、アゴニストがIL−27改変体またはIL−27誘導体であって、かつIL−27改変体またはIL−27誘導体が、少なくとも1つのIL−27の生物学的特性を有する方法;および上記方法であって、IL−27改変体またはIL−27誘導体がIL−27ハイパーカイン(hyperkine)を含む方法、ならびに、さらに上記方法であって、増大が、有効量のIL−27またはIL−27改変体もしくはIL−27誘導体の非存在下における発現レベル、または生成レベルよりも約2倍、約5倍、約10倍、約20倍、または約50倍を超える方法もまた、提供される。
【0012】
別の局面においては、本発明は、上記方法であって、アゴニストを用いた処置が、さらなるサイトカインのアゴニストを用いて処置する工程をさらに含有する方法;またはアンタゴニストを用いた処置が、さらなるサイトカインのアンタゴニストを用いて処置する工程をさらに包含する方法;および上記方法であって、さらなるサイトカインが、IL−2;IL−15;IL−12;IL−23;またはIL−18である方法を提供する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、上記方法であって、アゴニストを用いた処置が、2つのさらなるサイトカインのアゴニストを用いて処置する工程をさらに包含する方法;またはアンタゴニストを用いた処置が、2つのさらなるサイトカインのアンタゴニストを用いて処置する工程をさらに包含する方法;および上記方法であって、2つのさらなるサイトカインが、IL−2およびIL−12;IL−2およびIL−23;IL−15およびIL−12;IL−15およびIL−23;またはIL−18およびIL−2、IL−15、IL−12、もしくはIL−23である方法を含む。
【0014】
さらに別の局面においては、本発明は、上記方法で、細胞を処理するアゴニストが、3つのさらなるサイトカインのアゴニストを用いて処理される方法;または細胞を処理するアンタゴニストが、3つのさらなるサイトカインのアンタゴニストを用いて処理される方法;および上記方法で、3つのさらなるサイトカインが、IL−18およびIL−2およびIL−15;またはIL−18およびIL−12およびIL−23である方法を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、上記方法であって、細胞が、T細胞;またはNK細胞である方法;上記方法であって、細胞は、被験体の中に位置し、そしてIL−27アゴニストまたはIL−27アンタゴニストが、被験体に対して投与される方法;および上記方法であって、被験体は、被験体中のIFNγレベルを調節することにより処置し得るか、もしくは改善し得る障害または病理学的な状態を有するか、または有することが疑われる被験体である方法を提供する。
【0016】
本発明のさらに別の局面は、上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ障害または状態が、ガン、新生物、または腫瘍;細胞内病原体;または炎症性状態もしくは自己免疫状態を含む方法;上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ細胞内病原体が、Leishmania sp.;Mycobacterium sp.;Listeria sp.;Toxoplasma sp.;ヘルペスウイルス;サイトメガロウイルス;またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む方法;上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ炎症性状態または自己免疫状態が、慢性関節リウマチ;またはぜん息もしくはアレルギーを含む方法;および上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ障害または状態が、TH1状態もしくはTH1障害;多発性硬化症;乾癬;クローン病;I型糖尿病または全身性エリテマトーデスを含む方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、被験体中のIFNγの発現もしくはレベルを調節することにより、被験体の障害状態もしくは病理学的状態を処置するか、または改善する方法であって、サイトカインIL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する方法を提供する。上記方法であって、被験体がヒト被験体;または動物被験体である方法;および上記方法で、調節が増大し、かつ処置がIL−27のアゴニストを用いる処置であるか;または調節が減少し、かつ処置がIL−27のアンタゴニストを用いた処置である方法、およびさらに、上記方法であって、アゴニストがIL−27改変体またはIL−27誘導体であり、そしてL−27改変体またはIL−27誘導体は、少なくとも1つのIL−27の生物学的特性を有する方法;および上記方法であって、IL−27改変体またはIL−27誘導体がIL−27ハイパーカインを含む方法、および上記方法で、増大が、有効量のIL−27またはIL−27改変体もしくはIL−27誘導体の投与の非存在下における発現レベル、または生成レベルよりも約2倍、約5倍、約10倍、約20倍、または約50倍を超える方法もまた、含まれる。
【0018】
さらに、本発明は、被験体中のIFNγの発現もしくはレベルを調節することにより、被験体の障害状態もしくは病理学的状態を処置するか、または改善する方法であって、サイトカインIL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する方法であって;アゴニスト処置される被験体が、1つのさらなるサイトカインのアゴニストを用いて処置される方法;またはアンタゴニスト処置される被験体が、1つのさらなるサイトカインのアンタゴニストを用いて処置される方法をもまた、提供する。上記方法で、さらなるサイトカインが、IL−2;IL−15;IL−12;IL−23;またはIL−18である方法;および上記方法で、被験体を処置するアゴニストが、2つのさらなるサイトカインのアゴニストを用いて処置されるか;または被験体を処置するアンタゴニストが、2つのさらなるサイトカインのアンタゴニストを用いて処置される方法;および上記方法で、2つのさらなるサイトカインが、IL−2およびIL−12;IL−2およびIL−23;IL−15およびIL−12;IL−15およびIL−23;またはIL−18およびIL−2、IL−15、IL−12、もしくはIL−23である方法もまた、提供される。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、上記方法であって、アゴニスト処理される細胞が、3つのさらなるサイトカインのアゴニストを用いて処理されるか;またはアンタゴニスト処理される細胞が、3つのさらなるサイトカインのアンタゴニストを用いて処理される方法;および上記方法であって、3つのさらなるサイトカインが、IL−18およびIL−2またはIL−15;ならびにIL−12またはIL−23である方法;および上記方法で、被験体は、被験体中のIFNγレベルを調節することにより処置され得るか、もしくは改善され得る障害または状態を有するか、または有することが疑われる被験体である方法、およびさらに、上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ障害または状態が、ガン、新生物、または腫瘍;細胞内病原体;または炎症性状態もしくは自己免疫状態を含む方法を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ細胞内病原体が、Leishmania sp.;Mycobacterium sp.;Listeria sp.;Toxoplasma sp.;ヘルペスウイルス;サイトメガロウイルス;またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む方法;上記方法であって、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ炎症性状態または自己免疫状態が、慢性関節リウマチ;またはぜん息もしくはアレルギーを含む方法;および上記方法で、処置が、IL−27のアゴニストまたはIL−27のアンタゴニストを用いた処置であり、かつ炎症性状態または自己免疫状態が、TH1状態もしくはTH1障害;多発性硬化症;乾癬;クローン病;I型糖尿病または全身性エリテマトーデスを含む方法;および上記方法であって、アンタゴニストが抗体の抗原結合部位;または核酸に由来する方法を提供する。
【0021】
本発明は、上記方法であって、2つのさらなるサイトカインが、IL−2およびIL−12、IL−15、IL−18、またはIL−23;IL−12およびIL−2、IL−15、IL−18、またはIL−23;IL−15およびIL−2、IL−12、IL−18、またはIL−23;IL−18およびIL−2、IL−12、IL−15、またはIL−23;ならびにIL−23およびIL−2、IL−12、IL−15、またはIL−18である方法を提供する。上記の方法であって、3つのさらなるサイトカインが、インターロイキン2、12、および15;インターロイキン2、12、および18;インターロイキン2、12、および23;インターロイキン2、15、および18;インターロイキン2、15、および23;インターロイキン2、18、および23;インターロイキン12、15、および18;インターロイキン12、15、および23;インターロイキン12、18、およびインターロイキン23;インターロイキン15、18、および23である方法もまた、提供される。
【0022】
(参照される実施形態の詳細な説明)
本明細書中に引用されるすべての参照は、本明細書において参照として援用され、各個々の刊行物または特許出願が特異的かつ個別に参考として援用されたことを示すのと同じ範囲まで援用される。
【0023】
本明細書(添付の特許請求の範囲を含む)で用いられる場合、単語の単数形態(例えば、「a」、「an」、および「the」)は、文脈が明らかに他のものを指示しない限り、それらの対応する複数形の参照を含む。
【0024】
(I.定義)
IL−27の特に有用な適用は、IFNγ産生を増強するIL−27の能力に関連する。本発明のこの局面を詳細に説明する前に、次の用語が定義される。本明細書で用いられる場合、他に指示のないかぎり、これらの用語は次の意味を有する。
【0025】
分子が少なくとも1つの「IL−27生物学的活性」または「IL−27アゴニスト活性」を有するのは、その分子が、ネイティブなIL−27タンパク質に対して惹起された抗体によって認識され得る場合;またはその分子が、ネイティブなIL−27タンパク質の刺激(stimulatory)活性、阻害活性、または結合活性のいずれかを有する場合である。例えば、その分子は、免疫細胞がIFNγを生成することを増強し得、またはその分子は、IL−27レセプターに対して結合し得る。その分子は、好ましくは、WSX−1/TCCRに対して結合し、より好ましくは、IFNγ産生を増強することが可能である。
【0026】
「投与」および「処置(treatment)」が、ヒト、動物(veterinary)、動物(animal)、実験被験体、細胞、組織、器官、または生物学的流体に適用される場合、それらは、動物、ヒト、被験体、細胞、組織、器官、または生物学的流体と外因性の薬剤、治療剤、診断剤、または組成物との接触をいう。「投与」および「処置(treatment)」はまた、例えば、治療方法、薬物動態学的方法、診断方法、研究方法、および実験方法を言及し得る。細胞の処理(treatment)は、細胞に対する試薬の接触、および流動体(この流動体は、細胞と接触している)への試薬の接触を包含する。細胞の処理は、試薬が、ヒトまたは動物における生物学的流動体と接触するが、その試薬は、その細胞と接触することが証明されていないという状況を含む。処理は、投与された試薬または細胞が、代謝、分解により、または貯蔵の状態により改変される状況をさらに包含する。
【0027】
細胞により「増強された」IFNγ産生は、その細胞により生成されるIFNγのレベルが増大することをいう。IFNγのレベルは、当該分野で確立されたいずれの方法(例えば、ELISAまたは細胞増殖アッセイ)によっても決定され得る。5倍まで増強されたIFNγ産生は、新規のものであって、IFNγの増大したレベルがもとのIFNγレベルの5倍であることを意味する。同様に、10倍まで増強されたIFNγ産生は、IFNγの増大したレベルがもとのIFNγレベルの10倍であることを意味する。以下同様である。
【0028】
IL−27のポリペプチドおよび核酸の保存的に改変された改変体、誘導体、およびムテインを使用する方法が、提供される。「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸に関して、保存的に改変された改変体は、同一または本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸であるか、核酸はアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一な核酸配列をいう。遺伝暗号の縮重のために、機能的に同一な核酸の多くは、任意の所定のタンパク質をコードし得る。
【0029】
アミノ酸配列に関して、当業者は、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換であって、保存された1つのアミノ酸についてのコード配列において、1つのアミノ酸またはアミノ酸の低いパーセンテージが置換されたものは、「保存的に改変された改変体」であることを認識している。機能的に類似するアミノ酸が提供される保存的な置換の表は、当該分野で周知である。保存的な置換の1つの例は、次の群の1つのアミノ酸における同じ群の別のアミノ酸への交換である(米国特許第5,767,063号(Leeらにより公表);KyteおよびDoolittle(1982)J.Mol.Biol.157:105−132)。
(1)疎水性:ノルロイシン、Ile、Val、Leu、Phe、Cys、またはMet;
(2)中性疎水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖の配位に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香性:Trp、Tyr、Phe;
(7)小アミノ酸:Gly、Ala、Ser
「有効量」は、意図された目的を達成するために十分な治療剤の量である。例えば、IFNγ産生を増強する方法のための組成物の有効量は、組成物が存在しないときの生成物のレベルと比較して、増大したIFNγ産生をもたらすために十分な組成物の量である。障害、疾患、および医学的状態を処置するか、または改善するための有効量は、障害、疾患、および医学的状態の症候の減少、または完全な除去をもたらすために十分な量である。所定の治療剤の有効量は、因子(例えば、薬剤の性質、投与の経路、治療剤を受ける動物のサイズおよび種、および投与の目的)により異なる。各個々の場合において有効量は、当該分野で確立された方法に従って、当業者によって実験的に決定され得る。
【0030】
細胞を物質に「曝露する」とは、その物質を細胞に対して直接的または間接的に提供することをいう。その物質は間接的に提供され得、例えば、その物質に変換されることが公知である、その物質の前駆体を提供することが挙げられる。例えば、標的細胞をIL−27に曝露することは、IL−27タンパク質を含む組成物を、標的細胞に提供することによって、またはIL−27をコードする遺伝子(単数または複数)を標的細胞に導入することによって達成され得る。あるいは、標的細胞をIL−27に曝露することは、IL−27をコードする遺伝子(単数または複数)を第二の細胞に導入し、標的細胞を第二の細胞と混合することによってもまた、達成され得る。
【0031】
「発現」は、核酸(例えば、mRNA)の生合成、またはポリペプチドの生合成、および高分子の区分化における変化(例えば、核から細胞質への横断(traversal)、形質膜への挿入、脱顆粒、または分泌)を包含する。細胞による高分子の発現または生成は、細胞において見出される量のみ(例えば、所定の時間ポイントにおける細胞ホモジネート)を含み得る。概して、この定義は、非分泌分子の発現に適用される。あるいは、細胞による高分子の発現または生成は、細胞において見出される量に加えて、例えば、細胞培地、または生物学的区分において分泌された量および蓄積された量を含む。概して、この定義は、分泌タンパク質または脱顆粒タンパク質(例えば、サイトカイン)に適用される。「レベル」は、生物学的区分を含む区分における濃度、例えば、所定の容量の例えば、血漿、血清、血液、間質液、脳脊髄液、または尿における濃度、器官全体または器官のフラグメントにおける濃度、器官の中の画分(例えば、赤脾臓、白脾臓、またはランゲルハンス島)における濃度、または特異的な細胞もしくは細胞群(例えば、マクロファージ)における濃度をいう。
【0032】
「ハイパーカイン」は、操作されたヘテロ二量体サイトカイン、ホモ二量体サイトカイン、または多量体サイトカインであって、サイトカインの少なくとも2つのサイトカインポリペプチドサブユニットが共有結合で1つに結合している(Pflanzら(2002)Immunity 16:779−790)。
【0033】
「免疫細胞」は、免疫系の細胞(例えば、B細胞、T細胞、NK細胞、単球、マクロファージ、肥満細胞、好酸球、もしくは抗原提示細胞(APC)、または樹状細胞)である。文脈に依存して、免疫細胞は、免疫の媒介物を発現する任意の細胞でもあり得、文脈に依存して、サイトカインを発現する上皮細胞でもあり得る。
【0034】
「細胞内微小器官」は、生細胞を占める単細胞器官または多細胞器官(例えば、ライフサイクルの一部または全体の間の宿主の生細胞)を含む。
【0035】
「自己免疫」の障害、医学的状態、または疾患は、ヒトまたは動物の自身の免疫系による自己抗原の認識により特徴付けられる。自己免疫疾患としては、多発性硬化症、乾癬、グレーヴズ病、インスリン依存性I型糖尿病、悪性貧血、慢性関節リウマチ、甲状腺炎、糸状体腎炎、エリテマトーデス、シェーグレン症候群、アディソン病、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性筋炎/皮膚真菌症、原発性胆汁性肝硬変、強皮症、ブドウ膜炎および白斑が挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
障害、疾患、もしくは医学的状態を「有することが疑われる」ヒト被験体または動物被験体は、障害、疾患、または医学的状態を有するとまだ診断されていないが、1つ以上の障害の症候を示し、その障害についての遺伝的性質を有するか、またはその障害が再発しやすい場合、以前に障害について処置された被験体である。
【0037】
「新生物」または「腫瘍」は、概して、顕著な質量を形成する異常な組織増殖であり、細胞増殖によって、正常の細胞増殖よりも早く増殖する。新生物は、正常組織との構造的組織化および機能的協調の部分的または全体的な欠如を示し得る。本明細書で用いられるとき、新生物は、造血性新生物および固形新生物を包含することが意図される。新生物は、良性(良性腫瘍)または悪性(悪性腫瘍またはガン)であり得る。悪性腫瘍は、大まかに、3つの主要な型に分類され得る。上皮組織から生じる悪性新生物は、癌腫と呼ばれ、結合組織(例えば、筋肉、軟骨、脂肪、または骨)が起源である悪性新生物は、肉腫と呼ばれ、そして免疫系の構成要素を含む造血組織(血球の形成に関する組織)に影響する悪性腫瘍は、白血病およびリンパ種と呼ばれる。他の新生物としては、神経線維腫症が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
「核酸」は、一本鎖核酸ならびに一本鎖核酸およびその相補鎖の複合体からなる二本鎖核酸を包含する。本発明は、核酸を用いる方法を包含する(例えば、IL−27のみ;IL−2のみ;IL−12のみ;IL−15のみ;IL−18のみ;IL−23のみ;IL−27およびIL−2;IL−27およびIL−15;IL−27およびIL−12;IL−27およびIL−23;IL−27およびIL−18;IL−27、IL−2およびIL−18;IL−27、IL−15およびIL−18;IL−27、IL−12およびIL−18;ならびにIL−27、IL−23、およびIL−18をコードする核酸を含有する発現ベクターに存在する)。本発明は、上の核酸で、IL−1、IL−12、IL−15、IL−18、またはIL−23の1つ以上もまたコードする核酸を用いる方法も、また提供する。上のサイトカインのすべてをコードする核酸を用いる方法もまた、含まれる。
【0039】
本発明は、例えば、上の核酸のすべてが1つのベクターによってコードされる場合;1つの核酸が第一のベクターによってコードされる場合およびその残りの核酸が第二のベクターによってコードされる場合;ならびに、各核酸が分離したそれぞれのベクターおよび種々のそれらの組み合わせによってコードされる場合の問題を企図する。上のサイトカインを提供する方法であって、1つ以上のサイトカインがベクターによって提供される場合、および1つ以上のサイトカインがサイトカインポリペプチドによって直接的に提供される場合(例えば、ベクターおよびポリペプチドを含む組成物での処置)の方法もまた、企図される。企図された方法のベクターは、例えば、第一の核酸と作動可能に連結している第一のプロモーター;第二の核酸と作動可能に連結している第二のプロモーター;第三の核酸と作動可能に連結している第三のプロモーターなど、ならびに、第一および第二の核酸と作動可能に連結している第一のプロモーター、第一、第二、および第三の核酸と作動可能に連結している第一のプロモーターなどが挙げられる。
【0040】
「処置または改善(ameliorating)」は、障害、疾患、もしくは医学的状態の症状の減少または完全な除去を意味する。
【0041】
(II.概要)
本発明は、IL−27を用いることによる免疫細胞由来のIFNγ産生の増強の方法を提供する。従って、下に記載の通り、T細胞およびNK細胞は、サイトカインによるIFNγ産出のために刺激され得る。IL−2、IL−12、IL−15、IL−18およびIL−23は、単独または組み合わせで、IFNγ産生の刺激において最も効果的であることが、以前に示されている。細胞がIL−27に曝露される場合もまた、IFNγの産生は、相乗的に増強され、IL−27が存在しない産生レベルと比較して100倍に達する。従って、本発明は、効果的なIFNγ産生の方法を提供する。
【0042】
本方法は、インビトロまたはインビボで適用され得る。インビボでのIFNγの産生を促進するために、IL−27は、免疫細胞培養物に対して加えられ得、IFNγの収量を増加させる。好ましくは、少なくとも1つのさらなるサイトカイン(詳細には、IL−2、IL−12、IL−15、IL−18および/またはIL−23)もまた、培養物に加えられる。このサイトカインは、好ましくはIL−27に加えて、IL−2(またはIL−15)のIL−12(またはIL−23またはIL−18)との組み合わせである。IL−27は、IL−2(またはIL−15)、IL−12(またはIL−23)およびIL−18の組み合わせに対して加えられ得る。IL−27への応答において、IFNγ産生は、IL−27なしのIFNγのレベルを何倍も超えるまで増加することが予想され、好ましくは、少なくとも約5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、75倍、100倍、200倍、500倍、750倍または1000倍まで増加する。
【0043】
本発明は、エキソビボにおいてIL−27を用いて細胞を処理する方法、またはIL−27および1種、2種、3種以上のサイトカインを用いて細胞を処理し、その後に被験体への処理細胞の導入が続く方法を提供する。例えば、細胞は、エキソビボにおいてIL−27、IL−2、IL−12、およびIL−18を用いて処理され得、その後にヒト被験体または動物被験体への細胞の導入が続く。
【0044】
本発明はまた、細胞が、エキソビボにおいて、1種、2種、3種以上のサイトカインを用いて処理される方法、および被験体が、同じまたは異なった1種、2種、3種以上のサイトカインを用いて処置される方法もまた、提供する。例えば、本発明は、細胞が、エキソビボにおいてIL−27およびIL−2を用いて処理され、そして被験体が、IL−18を用いて処置される方法を提供する。あるいは、例えば、細胞が、エキソビボにおいてIL−18を用いて処理され、そして被験体がIL−27およびIL−2を用いて処置される。
【0045】
本方法は、動物(特に哺乳動物(例えば、ヒト、サル、類人猿、げっ歯動物、または農業用哺乳動物、または獣医学の被験体))においてIFNγ産生を増強するために用いられ得る。従って、IL−27は、当業者に公知の任意の方法(例えば、静脈内方法、皮下方法、筋肉方法、大脳方法、皮膚方法、眼方法、直腸方法、またはウイルスベクター方法)によって、動物に対して投与され得る。好ましくは、IL−27は、少なくとも1つのさらなるサイトカイン、および薬学的に受容可能な賦形剤/キャリアもまた含有する薬学的組成物において投与される。このさらなるサイトカインは、好ましくは、IL−2、IL−12、IL−15、IL−18および/またはIL−23、より好ましくは、IL−2(またはIL−15)のIL−12(またはIL−23またはIL−18)との組み合わせ、そして最も好ましくは、IL−2(またはIL−15)、IL−12(またはIL−23)およびIL−18の組み合わせである。この組成物は、好ましくは、動物の血液IFNγレベルを少なくとも約5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、75倍、100倍、200倍、500倍、750倍または1000倍まで増強する。
【0046】
IFNγは、主要なマクロファージ活性化サイトカインであり、先天免疫および特異的な細胞媒介性免疫において重要な機能を果たす。IFNγの放出によって、T細胞およびNK細胞は、マクロファージを活性化し、食菌された微生物を殺傷する。従って、IFNγは、細菌感染(特に、細胞内微生物による感染)に対する防御において重要な役割を果たす。IFNγはまた、新生物細胞のI型MHC発現を増加させ、それにより、新生物細胞の細胞傷害性T細胞による溶解に対する感受性を増加させる。さらに、IFNγは、ヘルパーT細胞のTh1サブセットのサイン(signature)サイトカインであり、Th2応答よりむしろTh1応答をもたらし、それによってIgE依存性アレルギー反応を阻害する。
【0047】
本発明の研究は、IL−27がIFNγ産生を増強することを示し、IL−27のためのレセプターであるWSX−1/TCCRの破壊が、IFNγのより低い発現をもたらすことは公知である。従って、IL−27のアンタゴニストは、インビボまたはインビトロにおいてIFNγ産生を減少させるために用いられ得る。このアンタゴニストは、IL−27、p28、またはEBI3に対する抗体またはそれらのフラグメントであり得る。さらに、アンタゴニストは、IL−27の構造改変体もしくはムテイン、またはIL−27レセプターの改変体もしくはムテイン(例えば、可溶レセプター)を含み得、IFNγ発現を減少させ得る。
【0048】
このアンタゴニストはまた、IL−27 mRNAに対して相補的なアンチセンス核酸(すなわち、p28またはEBI3に対するmRNA)、またはIL−27R mRNAに対して相補的なアンチセンス核酸、またはRNA核酸の干渉でもあり得る。
【0049】
本発明はさらに、IL−27アゴニストまたはIL−27アンタゴニストのためのスクリーニングの方法を提供する。アンタゴニストは、IL−27のIFNγ産生を増強する活性を阻害する能力に基づいて、スクリーニングされ得る。例えば、アッセイ系は、NK細胞がIL−27と接触し、IFNγ産生レベルを増加させる場合に確立され得る。次いで、試験化合物は、アッセイおよび測定されたIFNγレベルに対して加えられる。IFNγ産生におけるIL−27の効果を、IL−27の非存在下における基線IFNγ産生に影響することなく無効にする試験化合物は、おそらく特異的なIL−27アンタゴニストである。同様に、IL−27のIFNγ産生を増強する能力は、IL−27アゴニストのためのアッセイ系において用いられ得る。
【0050】
(III.アンタゴニストおよびアゴニスト)
IL−27の活性の遮断は、IL−27アンタゴニスト(例えば、リガンドIL−27に対する抗体)、リガンドのサブユニットに対する抗体(例えば、抗p28抗体または抗EBI3抗体)、p28およびEBI3の両方に対して結合する抗体、レセプターに対する抗体(例えば、WSX−1、または可溶WSX−1レセプタータンパク質)によって達成され得る。リガンド―レセプター相互作用を用いた干渉は、アンタゴニストの開発のための効果的な戦略であることを証明した。
【0051】
リガンドによって媒介される活性をアンタゴナイズするための種々の方法(例えば、抗体を用いてリガンドを遮断すること、または抗体を用いてレセプターを遮断すること)が存在する。種々のエピトープが、各表面に存在し、それらの相互作用を遮断する(例えば、相互作用を遮断する立体障害を引き起こす)。抗体のリガンドに対して結合する能力、または抗体のレセプターに対して結合する能力は、必ずしも抗体がシグナル伝達をもまた遮断することを意味しない。すなわち、抗体は、シグナル伝達に関して検出可能な効果を有さなくてもよいか、または抗体は、アゴニストの抗体であり得る。別の方法は、リガンドムテインまたはレセプター結合活性を保持した改変体を用いることであるが、レセプターシグナル伝達を誘導しない。このムテインは、シグナル伝達リガンドの競合的インヒビターであり得る。
【0052】
あるいは、低分子ライブラリーは、同定されたリガンド―レセプター対によって媒介される相互作用またはシグナル伝達を遮断し得る化合物について、スクリーニングされ得る。
【0053】
本発明は、抗体または特定化されたサイトカインリガンド(好ましくは、哺乳動物(例えば、霊長類、ヒト、ネコ、イヌ、ラット、またはマウス))に対して特異的に結合する結合組成物の使用を提供する。抗体は、種々のサイトカインタンパク質に対して惹起され得、これらのサイトカインタンパク質としては、それらの天然に存在する(全長)形態またはそれらの組み換え形態の両方の形態の、個体改変体、多型改変体、対立遺伝子改変体、株改変体、または種改変体、およびそれらのフラグメントを含む。さらに、抗体は、それらの天然の(もしくは活性の)形態またはそれらの不活性の(例えば、変性した)形態の両方のレセプタータンパク質に対して惹起され得る。抗イディオタイプ抗体もまた、用いられ得る。
【0054】
多くの免疫原は、リガンドまたはレセプタータンパク質と特異的に反応性である抗体を産生するために、選択され得る。組み換えタンパク質は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の産生についての好ましい免疫原である。適切な源(例えば、霊長類、げっ歯動物など)に由来する天然に存在するタンパク質はまた、純粋形態または不純形態のどちらかで用いられ得る。適切なタンパク質配列を用いて作製される合成ペプチドはまた、抗体の産生のための免疫原としても用いられ得る。組み換えタンパク質は、例えば、Coliganら(編)(1995および定期的な補遺)Current Protocols in Protein Science、John Wiley&Sons、New York、NY;ならびにAusubelら(編)(1987および定期的な補遺)Current Protocols in Molecular Biology、Greene/Wiley、New York、NYに記載されるように、真核細胞または原核細胞において発現され得、精製され得る。天然に折りたたまれた材料または変性した材料は、同様に抗体を産生するために用いられ得る。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のどちらかは、例えば、タンパク質を測定するためのイムノアッセイにおける後の使用のため、または免疫精製(immunopurification)方法のために作成され得る。
【0055】
ポリクローナル抗体を産生する方法は、当業者に周知である。代表的には、免疫原(好ましくは、精製タンパク質)は、アジュバントと混合され、動物はその混合物で免疫される。免疫原調製に対する動物の免疫応答は、試験出血を採取し、目的タンパク質に対する反応性の力価を決定することによりモニタリングされる。例えば、その免疫原に対して適切に高い力価の抗体が得られる場合、通常は繰り返し免疫の後に、動物から血液が収集され、抗血清が調製される。所望の場合、そのタンパク質に反応性の抗体を濃縮するために、さらなる抗血清の分画が、行われ得る。例えば、HarlowおよびLane;またはColiganを参照のこと。免疫はまた、他の方法(例えば、DNAベクター免疫)を介しても行われ得る。例えば、Wangら(1997)Virology 228:278−284を参照のこと。
【0056】
モノクローナル抗体は、当業者によく知られた種々の手法により得られ得る。代表的には、所望される抗原で免疫された動物由来の脾臓細胞が、一般的にはミエローマ細胞を用いた融合により不死化される。KohlerおよびMilstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519を参照のこと。不死化の代替方法としては、エプスタインバーウイルスを用いた形質転換、ガン遺伝子、もしくはレトロウイルス、または当該分野で公知の他の方法が挙げられる。例えば、Doyleら(編)(1994および定期的な補遺)Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures、John Wiley and Sons、New York、NYを参照のこと。単一の不死化細胞から生じたコロニーは、抗原に対する所望される特異性および親和性の抗体の産生についてスクリーニングされる。そのような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収量は、種々の手法により増強され得、その手法は、脊椎動物宿主の腹膜腔への注射を含む。あるいは、モノクローナル抗体またはそれらの結合フラグメントをコードするDNA配列を、例えば、Huseら、(1989)Science 246:1275−1281によって概説された一般的プロトコルに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより単離し得る。
【0057】
抗体または結合組成物は、リガンドまたはレセプタータンパク質の所定のフラグメントに対する結合フラグメントおよび単鎖版を含み、これらは、キャリアタンパク質を含むフラグメントの接合体を用いた動物の免疫によって惹起され得る。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常タンパク質または欠損タンパク質に対する結合についてスクリーニングされ得る。抗体または結合組成物は、通常は、少なくとも約10−3MのKで結合し、より通常には少なくとも10−6M、代表的には少なくとも10−7M、より代表的には少なくとも10−8M、好ましくは少なくとも10−9M、およびより好ましくは少なくとも10−10M、および最も好ましくは少なくとも10−11Mである(例えば、Prestaら,(2001)Thromb.Haemost.85:379−389;Yangら,(2001)Crit.Rev.Oncol.Hematol.38:17−23;Carnahanら,(2003)Clin.Cancer Res.(補遺)9:3982s−3990sを参照のこと)。
【0058】
いくつかの例において、種々の哺乳動物宿主(例えば、マウス、げっ歯動物、霊長類、ヒトなど)からモノクローナル抗体(mAb)を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の説明は、例えば、Stitesら(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)Lange Medical Publications、Los Altos、CA、およびそこに引用される参照;HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)Academic Press、New York、NY;ならびに特に、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497(これは、モノクローナル抗体を作成する1つの方法を考察する)において見出され得る。手短に要約すると、この方法は、免疫原を動物に注射することに関与する。次いで、その動物は屠殺され、その動物の脾臓から細胞が採取される。次いで、それらの細胞は、ミエローマと融合される。この結果は、インビトロでの再生が可能なハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」である。次いで、ハイブリドーマの集団はスクリーニングされ、各々が免疫原に対する単一の抗体種を分泌する別個のクローンを単離する。このように、得られた別個の抗体種は、不死化してクローニングされた単一のB細胞の生成物であり、それは、免疫原物質上で認識される特異的部位に対する反応において作成された免疫動物に由来する。
【0059】
本発明のポリペプチドおよび抗体は、改変と共にか、または改変なしに用いられ得、キメラ抗体またはヒト化抗体を含む。多くの場合、そのポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を、共有結合または非共有結合のどちらかで連結することによって標識される。多種多様のラベルおよび接合技術は、公知であり、科学文献および特許文献の両方において広く報告されている。適切なラベルとしては、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光成分、化学発光成分、磁気粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号が挙げられる。組み換え免疫グロブリンもまた、生成され得る(Cabilly,米国特許第4,816,567号;およびQueenら,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照のこと);また、トランスジェニックマウスにおいても作製され得る(Mendezら,(1997)Nature Genetics 15:146−156を参照のこと);Abgenix and Medarex technologiesもまた、参照のこと。
【0060】
概して、モノクローナル抗体は、ヒト供給源ではなくて非ヒト供給源に由来する(HarlowおよびLane(1988)Antibodies A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,pp.139−243)。非ヒト供給源の使用は、モノクローナル抗体の治療有効性を制限し得る。マウスまたは他の非ヒト供給源に由来する抗体は、免疫応答、エフェクター機能の弱い漸増、および血流からの迅速なクリアランスを誘発する所望されない性質を有し得る(Bacaら,(1997)J.Biol.Chem.272:10678−10684)。これらの理由のために、ヒト化により治療抗体を調製することが所望され得る。
【0061】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト起源(例えば、げっ歯動物)の抗原結合領域、およびヒト起源の免疫グロブリンの少なくとも一部(例えば、ヒトフレームワーク領域、ヒト定常領域、またはそれらの一部分)を含む抗体を意味する(例えば、米国特許第6,352,832号を参照のこと)。
【0062】
ヒト化抗体は、親のマウス抗体の6つの相補性決定領域(CDR)由来のアミノ酸配列を含み、それはヒト抗体フレームワークに融合されている。ヒト化抗体における非ヒト配列の含有量は、好ましくは低く、すなわち約5%である(Bacaら,(1997)J.Biol.Chem.272:10678−10684)。最適な結合を達成するために、ヒト化抗体は、繊細な調節を必要とし得、それは、通常はCDRの立体構造の支持に関連する特定のフレームワークアミノ酸を、親のマウス抗体において見出されるもとの対応するアミノ酸に変更することによる。概してもとの親のアミノ酸に変更されるフレームワークアミノ酸は、CDRループの立体構造の支持に関連するアミノ酸である(Chothiaら,(1989)Nature 342:877−883;FooteおよびWinter(1992)J.Mol.Biol.224:487−499)。抗原結合に最も多くの場合影響するフレームワーク残基は、比較的に小さく、11残基と同じくらい小さくあり得る(Bacaら,(1997)J.Biol.Chem.272:10678−10684)。
【0063】
ヒト化抗体は、すべての型の定常領域を有する抗体を含み、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgE、ならびに任意のアイソタイプが挙げられ、それとしては、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が挙げられる。ヒト化抗体が細胞障害活性を示すことが所望される場合、その定常ドメインは、通常は補体固定定常ドメインであり、そのクラスは、代表的にはIgG1である。そのような細胞障害活性が所望されない場合、定常ドメインはIgG2クラスの定常ドメインであり得る。そのヒト化抗体は、1つのクラスまたはアイソタイプより多くからの配列を含み得る(Vasquezらに発行された、米国特許第6,329,511号)。ファージディスプレー技術は、高い結合親和性を有する抗体をスクリーニングし、選択するために用いられ得る(HoogenboomおよびChames(2000)Immunol.Today 21:371−377;Barbasら,(2001)Phage Display:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York;Kayら,(1996)Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual Academic Press,San Diego,CA)。
【0064】
抗体はまた、ファージディスプレー方法またはトランスジェニックマウス中に含まれるヒト抗体ライブラリーを用いて、調製され得るか、または設計され得る(例えば、de Bruinら,(1999)Nature Biotechnology 17:397−399;Vaughanら,(1996)Nature Biotechnology 14:309−314;Barbas(1995)Nature Medicine 1:837−839;Mendezら,(1997)Nature Genetics 15:146−156;Huseら,(1989)Science 246:1275−1281;Wardら,(1989)Nature 341:544−546を参照のこと)。
【0065】
抗体は、単なる特異的結合組成物の一形態に過ぎない。他の結合組成物は、多くの場合類似の用途を有し、リガンドまたはレセプターに対して特異的に結合する分子を含む(例えば、結合パートナー−結合パートナー様式、抗体−抗原相互作用において、または共有結合か非共有結合のどちらかでの天然の生理学的関連のタンパク質−タンパク質相互作用(例えば、所望のタンパク質と特異的に関係するタンパク質)において)。この分子は、ポリマーであり得るか、または化学試薬であり得る。機能的アナログは、構造改変を有するタンパク質であり得るか、または構造的に無関係の分子(例えば、適切な結合決定基と相互作用する分子形状を有する分子)であり得る。本発明の抗体結合化合物は、結合フラグメントを含み、重要な診断価値または治療価値を有し得る。それらは、非中和結合化合物として有用であり得、毒素または放射性核種に対して結合し得、従って、結合化合物が抗原に対して結合する場合、例えば、細胞の表面で抗原を発現する細胞を殺傷する。さらに、これらの結合化合物は、直接的にか、もしくはリンカーによって間接的に、薬物または他の治療剤と接合し得、そして薬物の標的化に影響し得る。
【0066】
アゴニストとしては、IL−27、保存的に改変された改変体またはそれらのムテイン、それらのフラグメント、およびキメラアナログが挙げられる。これらのポリペプチドは、レセプターシグナル伝達を誘導するために用いられ得る。
【0067】
(IV.治療組成物;診断組成物;方法)
本発明は、IL−27ならびにIL−12、IL−2、IL−23、IL−15、およびIL−18から選択される少なくとも1つの他のサイトカインのアゴニストを用いて、例えば、感染(細胞内病原体を含む)、ガンおよび腫瘍、細胞増殖、ウイルス感染、炎症障害、または自己免疫障害を処置するための方法を提供する。
【0068】
IL−27ならびにIL−12、IL−2、IL−23、IL−15、およびIL−18から選択される少なくとも1つのサイトカインのアゴニストのアンタゴニストを用いて、例えば、感染(細胞内病原体を含む)、ガンおよび腫瘍、細胞増殖、ウイルス感染、炎症障害、または自己免疫障害を処置するための方法もまた、提供される。
【0069】
アゴニストを用いる上の方法は、IFNγ発現の刺激または増強について(例えば、腫瘍のような、IFNγによって処置可能な障害について)企図される。
【0070】
アンタゴニストを用いる上の方法は、IFNγ発現または濃度の阻害または減少について企図される。それは、例えば、TH1型障害または増大するIFNγ産生と関連する障害(例えば、乾癬、ブドウ膜網膜炎、多発性硬化症、クローン病、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、橋本甲状腺炎、およびグレーヴス病)を処置するためである(例えば、Steinman(2001)Curr.Opinion Immunol.13:597−600;Mizuguchiら,(2002)Arch.Immunol.Ther.Exp.(Warsz)50:243−254;Rotondiら,(2003)J.Endocrinol.Invest.26:177−180;Asadullahら,(1999)Drugs Today (Barc)35:913−924;Ghoreschiら,(2003)J.Mol.Med.81:471−480;BoumaおよびStrober(2003)Nature Revs.Immunol.3:521−533;Tomitaら,(2001)J.Neurosci.Res.64:26−33;Richardsら,(2001)Kidney Int.60:2173−2180を参照のこと)。
【0071】
上のアゴニストまたはアンタゴニストを用いて、自己免疫障害および炎症障害(例えば、多発性硬化症、繊維症、慢性関節リウマチ、甲状腺炎、狼瘡、乾癬、糖尿病、および炎症性腸疾患(IBD)(クローン病、潰瘍性大腸炎およびスプルーを含む))を処置するための方法もまた、提供される。
【0072】
ここで留意すべきは、増大したレベルのIFNγは、コラーゲン誘導関節炎(CIA)および実験的自己免疫脳炎(EAE)において、保護または改善と関連する一方、減少したレベルは、実験的狼瘡および実験的糖尿病において、保護または改善と関連するということ、ならびにクローン病は、TH1型疾患であり、増大したIFNγと関連する一方、潰瘍性大腸炎は、TH2型疾患であるということである。
【0073】
上のアゴニストまたはアンタゴニストを用いて、肺の炎症または免疫障害(例えば、ぜん息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および特発性肺線維症)を処置するための方法が、提供される(例えば、Ikedaら,(2002)Cytokine and Growth Factor Revs.13:95−109;Matthysら,(2000)J.Leukocyte Biol.68:447−454;YounesおよびAmsden(2002)J.Pharmaceutical Sci.91:2−17;Fruchtら,(2001)TRENDS Immunol.22:556−560;Bouma,(前出);Klimpら,(2002)Crit.Rev.Oncol.Hematol.44:143−161;AggarwalおよびBehera(2000)Expert Opin.Pharmacother.1:1423−1427;DormanおよびHolland(2000)Cytokine Growth Factor Revs.11:321−333;BusseおよびRosenwasser(2003)J.Allergy Clin.Immunol.111:S799−S804;SkurkovichおよびSkurkovich(2003)Curr.Opin.Mol.Ther.5:52−57を参照のこと)。
【0074】
本発明は、例えば、T細胞、単球/マクロファージ、NKT細胞、NK細胞、抗原提示細胞(APC)(樹状細胞、B細胞、好中球、および血管内皮細胞を含む内皮細胞を含む)の活性化、発生、または増殖を調節するための方法を提供する。MHCクラスIおよびMHCクラスIIの発現を調節する方法、TH1反応、TH2反応を調製する方法、ならびにIgE発現を調節する方法もまた、提供される。
【0075】
本発明のアンタゴニストおよび/もしくはアゴニストは、単独、または別のこれらもしくは付随的な経路のインヒビターもしくはアゴニスト;または症候の処置のために用いられる他の化合物(例えば、アンタゴニスト、もしくは糖質コルチコイドのようなステロイド)と組み合わせて投与され得る。診断方法としては、予後の予測;特定の治療経過に対して反応するか、または反応しない患者の部分集合の定義付け;障害またはこれらの障害のサブタイプと関連する免疫もしくはガンの診断;または治療に対する評価反応のような局面が挙げられる。
【0076】
処置、治療、または診断は、アゴニストもしくはアンタゴニストの直接投与によって、またはアゴニストもしくはアンタゴニストをコードする核酸の投与によって達成され得る。このアゴニストまたはアンタゴニストは、抗体から生じた結合組成物、抗体、またはIL−27もしくはIL−27Rを特異的に結合する抗体フラグメント、IL−27ムテインもしくは改変体、アンチセンス核酸、干渉RNA、またはアゴニストもしくはアンタゴニストをコードする核酸を発現するベクターを含む(例えば、ArenzおよびSchepers(2003)Naturwissenschaften 90:345−359;SazaniおよびKole(2003)J.Clin.Invest.112:481−486;Pirolloら,(2003)Pharmacol.Therapeutics 99:55−77;Wangら,(2003)Antisense Nucl.Acid Drug Devel.13:169−189を参照のこと)。
【0077】
抗体、それらの結合組成物、サイトカインアゴニスト、もしくは低分子アンタゴニストを含む薬学的組成物または無菌組成物を調製するために、その構成要素は、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤(好ましくは、不活性)と混合される。このような薬学的組成物の調製は、当該分野に公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and U.S.Pharrnacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照のこと。
【0078】
抗体、結合組成物、またはサイトカインは、通常は非経口で、好ましくは静脈内に投与される。そのようなタンパク質またはペプチドは、免疫原になり得るので、それらは、好ましくはゆっくりと、従来のIV投与セットまたは皮下蓄積のどちらかで、例えば、Tomasiら,米国特許第4,732,863号に教示されるように投与される。免疫反応を最小限にする方法が、適用され得る。低分子構成要素は、経口で活性であり得る。
【0079】
非経口で投与される場合、その生物製剤は、薬学的に受容可能な非経口ビヒクルとの関連において単位投薬量の注射用形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に処方される。そのような溶媒は、代表的には、本質的に無毒性であり、非治療性である。治療は、水、生理食塩水のような水溶性ビヒクル中で、または種々の添加剤および/もしくは希釈剤を含むか、または含まない緩衝化ビヒクル中で投与され得る。あるいは、懸濁液(例えば、亜鉛懸濁液)は、ペプチドを含むように調製され得る。そのような懸濁剤は、皮下(SQ)注射または筋肉内(IM)注射のために有用であり得る。生物製剤と添付剤との比率は、両方が有効量中に存在する限りは、広い範囲にわたって変動し得る。
好ましくはこの抗体は、凝集物、他のタンパク質、内毒素を実質的に含まない精製された形態で、約5〜30mg/ml、好ましくは10〜20mg/mlの濃度で処方される。好ましくは、内毒素のレベルは、2.5EU/ml未満である。例えば、Avisら、(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、第二版、Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,第二版、Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、Dekker、NY;Fodorら(1991)Science 251:767−773、Coligan(編)Current Protocols in Immunology;Hoodら(1984)Immunology、Pearson、Upper Saddle River、NY;Paul(編)(1999)Fundamental Immunology、第四版、Lippincott Williams & Wilkins Publishers,Phila.、PA;Parceら(1989)Science 246:243−247;Owickiら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4007−4011;ならびにBlundellおよびJohnson(1976)Protein Crystallography、Academic Press、New Yorkを参照のこと。
【0080】
治療のための投与レジメの選択は、いくつかの要因(構成要素の血清のターンオーバー速度または組織のターンオーバー速度)、症状のレベル、構成要素の免疫原性、および標的細胞の接近可能性、投与の時期などに依存する。好ましくは、投与レジメは、患者へ送達される治療剤の量を最大にし、この容量は副作用の受容可能なレベルと一致する。従って、生物学的に送達される用量は、特定の構成要素および処置される状態の重篤度一部依存する。適切な抗体用量の選択における手引きは、例えば、BachらFerroneら、(編)(1985)Handbook of Monoclonal Antibodies、Noges Publications、Park Ridge、NJ中の22章、;およびHaberら(編)(1977)Antibodies in Human Diagnosis and Therapy、Raven Press、New York、NY(Russell、ページ303−357、ならびにSmithら、ページ365−389)に見出される。あるいは、サイトカインおよび低分子の用量は、標準的な方法論を使用して決定される。
【0081】
適切な用量の決定は、臨床医により、例えば、処置に影響を及ぼすかまたは処置に影響を及ぼすと予測される当該分野において公知のもしくは推測されるパラメーターまたは因子を使用してなされる。一般に、この用量は、最適の用量よりもいくらか少ない量で始め、その後任意の負の副作用に対して所望される効果または最適な効果が得られるまで、小さな増加率で増加させられる。重要な診断測定としては、症状(例えば、炎症または産生された炎症性サイトカインのレベル)の測定が挙げられる。好ましくは、使用される生物学製剤は、処置の標的とされる動物と同一の種に由来し、このためこの試薬に対する体液性応答を最小化する。
【0082】
リガンドまたはレセプターに特異的に結合する抗体またはそのフラグメントについての1週間の総用量の範囲は、体重1kgあたり一般に約10μgから、より一般に約100μgから、代表的に約500μgから、より代表的に約1000μgから、好ましくは約5mgから、およびより好ましくは約10mgからの範囲である。一般にこの範囲は、体重1kgあたり100mgより少なく、好ましくは約50mgより少なく、およびより好ましくは約25mgより少ない。アゴニスト治療剤または低分子治療剤は、同様のモル濃度で使用され得る。
【0083】
サイトカインレセプター媒介性シグナルのアンタゴニスト(例えば、抗体または結合フラグメント)の1週間の用量範囲は、体重1kgあたり約1μgから、好ましくは少なくとも約5μgから、およびより好ましくは少なくとも約10μgからの範囲である。一般に、この範囲は、体重1kgあたり約1000μgより少なく、好ましくは約500μgより少なく、そしてより好ましくは約100μgより少ない。投薬は、望まれる処置に影響を及ぼしかつより短期間またはより長期間の周期的なものであり得るスケジュール通りである。一般に、範囲は、体重1kgあたり少なくとも約10μg〜約50mg、好ましくは約100μg〜約10mgである。サイトカインアゴニスト治療剤または低分子治療剤は代表的に同様のモル濃度の用量で使用されるが、これらはより小さい分子量を有するようであるので、より小さい重量の用量を有する。
【0084】
本発明はまた、公知の治療法(例えば、ワクチン、ステロイド(特にグルココルチコイド、これは症状(例えば、炎症に関連する)を緩和する)、または抗体、または抗感染薬)との組合せにおける生物製剤の投与を提供する。グルココルチコイドについての1日の投薬量は、1日あたり少なくとも約1mgから、一般に少なくとも約2mg、そして好ましくは少なくとも約5mgの範囲である。一般に、この投薬量は、1日あたり約100mgより少なく、代表的に約50mgより少なく、好ましくは約20mgより少なく、およびより好ましくは少なくとも約10mgである。一般に、この範囲は、1日あたり少なくとも約1mg〜約100mg、好ましくは約2mg〜50mgである。用語「有効量」は、病状の症状または徴候を改善させるのに充分な量を意味する。代表的な哺乳動物宿主としては、マウス、ラット、ネコ、イヌ、およびヒトを含む霊長類が挙げられる。特定の患者のための有効量は、例えば処置されるべき状態、患者の総合的な健康状態、投与の方法経路および用量ならびに副作用の重篤度などの要因に依存して変動し得る。組合せにおける場合、有効量は、成分の組合せに対する比率であり、そしてこの効果は、個々の成分のみに限定されない。
【0085】
治療的有効量は、代表的に少なくとも約10%まで;通常は少なくとも約20%まで;好ましくは少なくとも約30%;またはより好ましくは少なくとも約50%症状を減少させる。本発明は、試薬を提供し、この試薬は、本明細書中の他のところで記載したように(例えば、上記の徴候に関連する障害の処置についての概説的な説明において)、治療用途における使用法を見出す(Berkow(編)The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,Merck & Co.,Rahway、N.J.;Brauwaldら、(編)(2001)Harrison’s Principles of Internal Medicine,第15版,McGraw−Hill,NY;Gilmanら、(編)(1990)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press;Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Penn;Langer(1990)Science 249:1527−1533;Merck Index、Merck & Co.、Rathway、New Jersey;およびPhysician’s Desk Reference(PDR);Cotranら、(編)、前述;およびDaleおよびFederman(編)(2000)Scientific American Medicine,Healtheon/WebMD、New York、NY)。
【0086】
本発明の広範な範囲は、以下の実施例に関連して最も理解され、この実施例は、本発明を特定の実施形態に限定することを意図しない。
【実施例】
【0087】
(実施例)
(I.一般的な方法)
多数の以下の標準的な方法を記載し、参照する(例えば、Maniatisら、(1982)Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Press、NY;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第二版)1−3巻、CSH Press、NY;Ausubelら、Biology、Greene Publishing Associates、Brooklyn、NY;またはAusubelら(1987および補遺)Current Protocols in Molecular Biology、Wiley/Greene、NY;Innisら(編)(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press、NY)。タンパク質精製のための方法としては、硫安塩析精製、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などが挙げられる。例えば、Ausbelら(1987および定期的な補遺);Deutscher(1990)「Guide to Protein Purification」Methods in Enzymology、182巻およびこのシリーズの他の巻;Coliganら(1995および補遺)Current Protocols in Protein Science、John Wiley and Sons,New York、NY;P.Matsudaira(編)(1993)A Practical Guide to Protein and Peptide Purification for Microsequencing,Academic Press,San Diego、CA;ならびにタンパク質精製生成物の使用における製造者(例えば、Pharmacia、Piscataway、NJ、またはBio−Rad Laboratories、Hercules、CA)の指示書を参照のこと。組換え技術との組み合わせは、適切なセグメント(エピトープタグ)(例えば、FLAG配列、または例えばプロテアーゼ除去可能配列を介して融合し得る等価物)に対して融合することを可能にする。例えば、Hochuli(1989)Chemische Industrie 12:69−70;Setlow(編)Genetic Engineering、Principle and Methods 12:87−98、Plenum Press、NY、中のHochuli(1990)「Purification of Recombinant Proteins with Metal Chelate Absorbent」;およびCroweら(1992)QIAexpress:The High Level Expression & Protein Purification System、QIAGEN,Inc.,Chatsworth、CA.を参照のこと。
【0088】
標準的な免疫学的技術は、例えば、Hertzenbergら(編)(1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology 1−4巻、Blackwell、Malden、MA;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene、NY;ならびにMethods in Enzymology 70巻、73巻、74巻、84巻、92巻、93巻、108巻、116巻、121巻、132巻、150巻、162巻、および163巻中に記載される)。サイトカインアッセイは、例えば、Thomson(編)(1998)The Cytokine Handbook(第三版)Academic Press,San Diego;Mire−SluisおよびThorpe(1998)Cytokines、Academic Press、San Diego、CA;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors、Cambridge Univ.Press、Cambridge、UK;ならびにAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines、Blackwell、Malden、MA中に記載される。
【0089】
血管の生物学的活性についてのアッセイは、当該分野で周知である。これらは、腫瘍組織または他の組織における脈管形成活性および脈管形成阻害(angiostatic)活性(例えば、動脈性平滑筋の増殖(例えば、Koyamaら(1996)Cell 87:1069−1078を参照のこと)、血管上皮に付着する単核細胞(例えば、McEvoyら(1997)J.Exp.Med.185:2069−2077;Ross(1993)Nature 362:801−809;RekhterおよびGordon(1995)Am.J.Pathol.147:668−677;Thybergら(1990)Atherosclerosis 10:966−990;Gumbiner(1996)Cell 84:345−357を参照のこと)を含む。
【0090】
神経細胞の生物学的な活性についてのアッセイは、例えば、Wouterlood(編集、1995)Neuroscience Protocols Modules 10,Elsevier;Methods in Neurosciences、Academic Press;およびNeuromethods Humana Press,Totowa、NJ.中に記載される。発生学的な系の方法論は、例えば、Meisami(編)Handbook of Human Growth and Developmental Biology,CRC Press;およびChrispeels(編)Molecular Techniques and Approaches in Developmental Biology,Interscience中に記載される。
【0091】
FACS分析は、Melamedら(1990)Flow Cytometry and Sorting,Wiley−Liss,Inc.、New York,NY;Shapiro(1998)Practical Flow Cytomery,Liss,New York,NY;およびRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methods、Wiley−Liss、New York、NY.中に記載される。
【0092】
(II.IFNγの誘導)
中和化抗IL−2 mAbの存在下でIFNγの産生を誘導するヒトIL−27およびマウスIL−27の能力を、抗CD3を介した同時刺激により、または抗CD3/抗CD28を用いた同時刺激により測定した。細胞を、IL−12の非存在下および存在下で処理した。
【0093】
ヒトCD4CD45RA T細胞の試験において、hIL−27およびhIL−12のそれ自体でIFNγ産生を誘導しなかった。ここで細胞をまた、抗CD3または抗CD3/抗CD28により処理した。IL−27およびIL−12の両方の存在下においてのみ検出可能なIFNγ産生が存在し、これはIL−27とIL−12との間の強い相乗効果を示している。
【0094】
選別したマウスCD4CD45RB未処理T細胞の試験もまた、IL−27とIL−12との間の相乗効果を示した。選別したマウスCD4CD45RB未処理T細胞を、4日間、抗CD3mAbのみを用いて、または抗CD3mAb/抗CD28mAbならびに飽和量のIL−27および/もしくはIL−12を用いて刺激した。抗CD3のみ(抗CD28刺激無し)を用いることにより、それ自体によるIL−27およびIL−12のいずれも、相当量のIFNγを誘導し得なかった。しかし、IL−27およびIL−12の組み合わせは、IFNγを約300ng/mlまで誘導した。抗CD3/抗CD28同時刺激を用いることにより、IL−27のみおよびIL−12のみは、IFNγ産生を誘導し得た。IL−27とIL−12との両方の組合せは、約550ng/mlまでのレベルでIFNγ産生を伴う相加的な効果を導いた。
【0095】
本発明の研究は、ナチュラルキラー(NK)細胞によるIFNγの産生へのIL−27の効果を調べた。抗CD56でコーティングしたマイクロビーズ(Miltenye, Auburn,CA)を用いたポジティブ接着選択を使用し、その後CD56CD3細胞のポジティブ選別により、ヒトCD56ポジティブNK細胞を、正常な健康体の提供者の末梢血単核細胞から単離した。次いで、このように単離したNK細胞を、サイトカインまたはサイトカインの組合せの存在下において、37℃で72時間培養した。細胞培養の上清を回収し、そしてこの上清中のIFNγの量をELISAにより定量した。さらに、RNAを、細胞ペッレトから単離し、そしてIFNγmRNAの発現について分析した。
【0096】
結果の代表的なセットを示す(表1)。
【0097】
【表1】

各実験に使用したIL−27の濃度(ng/ml)を示す(表1、左端の列)。このデータは、産生されたIFNγの量(ng)を示す。従って、IL−12のみが、低レベル(1ng/mlより少ない)の、精製したNK細胞によるIFNγ産生を誘導した。IL−27のみが、検出可能なIFNγ産生を誘導しなかった(データ示さず)。しかし、IL−12へのIL−27の添加は、10〜20倍(すなわち、約3.0ng/ml)IFNγの産生を高めた。従って、IL−27は、IL−12と共に相乗的に作用して、IFNγ産生を高めた。
【0098】
IL−27はまた、他のサイトカインまたはサイトカインの組合せに相乗効果を有する。IL−27の非存在下において、IL−12とIL−2との組み合わせは、IL−12のみと比較して、増加したIFNγの産生を生じた。さらに、IL−2とIL−12との組み合わせへのIL−27の添加は、IFNγレベルの用量依存性の増加(50〜100ng/mlまで)を導いた。IL−2、IL−12およびIL−18をIL−27と組み合わせた場合、最も著しい相乗効果を観察した。IL−27の非存在下において、三つの組合せは、50〜100ng/mlのIFNγ産生レベルを生じた。この三つの組合せへのIL−27の添加は、約2000ng/mlまでIFNγの用量依存性の相乗的な産生を生じた(表1)。同様の研究において、IL−15を、IL−2の代わりに使用し得、一方IL−23を、IL−12の代わりに使用し得ることを示した。
【0099】
興味深いことに、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を使用するmRNAの分析は、IL−27と他のサイトカインとの相乗効果は、IFNγ mRNAの量の増加により反映されないことを示唆する(表2)。従って、この産生の増加は、おそらく翻訳レベルまたは翻訳後レベルで影響を与えるようである。
【0100】
この結果は、飽和量の予め特徴付けられたサイトカインの組合せは、IL−27の添加により達成し得るIFNγ産生のレベルを引き起こさないことを示す。従って、IFNγのこの完全な潜在能力に対するIFNγの産生は、サイトカインの選択したセットの存在に依存し、そしてそれらのうちの一つを取り除くことは、律速効果を引き起こし得る。
【0101】
【表2】

(III.IL−27は、未処理T細胞のTh2の局在化を駆動しない)
選別したマウスCD4CD45RBT細胞を、IL−4およびIL−27の存在下において抗CD3および抗CD28を結合したプレートを用いて培養した。培養中にIL−27を含有する場合、IL−4の非存在下および存在下の両方において、IL−13の産生の減少を導く。従って、強いTh1応答を誘導するが、IL−27は、Th2の極性化を促進しないようである。
【0102】
(IV.IL−27は、WSX−1/TCCRに結合する)
IL−27ファミリーとIL−6/IL−12ファミリーとの間の関係のため、シグナルレセプターについての検索をこのファミリーに集中した。このファミリーのメンバーを、BaF3細胞へ導入し、そしてIL−27への結合について試験した。試験したレセプターのうちオーファンサイトカインレセプターWSX−1/TCCRを発現するBa/F3細胞のみが、標識したIL−27への結合を示した(例えば、Sprecherら(1998)Biochem.Biophys、Res.Comm.246:82−90;Chenら(2000)Nature 407:916−920を参照のこと)。F−標識ヒトWSX−1cDNAまたはF−標識マウスWSX−1cDNA(F−hWSX−またはF−mWSX−1)のいずれかを発現するレトロウィルス構築物を用いて感染させたBaF3細胞は、抗Flag mAbを使用して細胞染色を示した。次いでF−hWSX−1を発現する細胞を、いずれかのhEBI3−Igのみか、またはhp28−EとEBI3−Igとの同時発現と共に、2時間インキュベートした。ヘテロダイマーのp28/EBI3は、WSX−1に結合するが、EBI3−Ig自体は検出可能な結合を示さなかった。同様に、mp28−EとmEBI3−Igとの組合せのみが、mWSX−1−発現BaF3細胞との検出可能な相互作用を提供したが、この二つの個々のタンパク質は、このような相互作用を提供し得なかった。F−mWSX−1発現BaF3細胞と共に独立に発現されるmp28−EおよびmEBI3−Igのインキュベーションもまた、細胞の染色を導く。感染していないコントロール細胞は、p28/EBI3により染色されず、これは観察された相互作用の特異性を示した。
【0103】
これらの結果は、C−末端RSGH−タグ(R)を伴うhWSX−1の可溶性細胞外形態を使用して免疫共沈降実験により確認された。F−hEBI3または同時発現されたhp28−E/F−hEBI3を含有する一過的にトランスフェクトされたHEK293T細胞の上清に由来するタンパク質を、Flag M2−アガロース、protein G Sepharose(登録商標)結合体化抗etag mAbまたはprotein G Sepharose(登録商標)結合体化抗HmAbのいずれかを使用して免疫沈降した。最初の沈殿物を、洗浄し、そして次いでshWSX−1−Rを含有するHEK293T細胞の上清と共にインキュベートした。第二の沈殿物を、SDS−PAGEにより分離し、そしてウエスタンブロットに供した。沈殿したタンパク質を、ECLにより、それぞれのタンパク質タグに対する抗体を使用して可視化した。3つの全てのタンパク質(h−p28−E,F−hEBI3およびshWSX−1−R)が、存在する場合のみ、一つのタンパク質の免疫沈降が、使用した免疫沈降させる抗体の他の成分も両方とも独立に沈降させた。それぞれのマウスのオルソログ(orthologue)を使用する同一の免疫共沈降実験は、同様の結果を得た。
【0104】
WSX−1が、IL−27シグナル伝達を媒介するのに十分であるか否かという問題に取り組むためにヒトWSX−1またはマウスWSX−1を発現するBaF3細胞の増殖を試験した。これらの細胞は、IL−3に応答して増殖したが、IL−27に応答して増殖しなかった。従って、WSX−1は、IL−27媒介性シグナル伝達を必要とするが、十分ではないようである。さらなるIL−27シグナル伝達レセプターのサブユニットの同定が、現在進行中である。
【0105】
本明細書中に引用した全ての参考文献は、個々の出版物、特許または特許出願の各々が、全ての目的のためにその全体が参考として援用されることが具体的にかつ別々に示され、同一の範囲まで本明細書中に参考として援用される。
【0106】
本発明の多数の改変体および変更物が、当業者に明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく作製され得る。本明細書中に記載される特定の実施形態は、実施例のみの方法により提供され、そして本発明は、権利化する特許請求の範囲の等価物の全範囲とともに、添付する特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞によるインターフェロンγ(IFNγ)産生を調節する方法であって、該方法は、有効量の以下:
a)IL−27アゴニストおよび第一サイトカインアゴニストであって、該サイトカインは、IL−15、IL−18およびIL−23からなる群より選択される、サイトカインアゴニスト;または
b)IL−27アンタゴニストおよび第一サイトカインアンタゴニストであって、該サイトカインは、IL−15、IL−18およびIL−23からなる群より選択される、サイトカインアンタゴニスト
で、該細胞を処理する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記IL−27アゴニストがIL−27改変体またはIL−27誘導体であって、該IL−27改変体または該IL−27誘導体は、少なくとも一つのIL−27生物学的特性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IL−27改変体または前記IL−27誘導体が、IL−27ハイパーカインを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記調節工程が、
a)増加させる工程であって、前記処理する工程は、前記IL−27アゴニストおよび前記第一サイトカインアゴニストを用いる工程;または
b)減少させる工程であって、前記処理する工程は、前記IL−27アンタゴニストおよび前記第一サイトカインアンタゴニストを用いる工程;
である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記調節工程が、増加させる工程であって、有効量の前記IL−27アゴニストおよび前記第一サイトカインアゴニストの非存在下での発現レベルまたは生成レベルより、約2倍、約5倍、約10倍、約20倍または約50倍高い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記調節工程が、増加させる工程であって、前記処理する工程がさらに、第一サイトカインアゴニストとは異なる第二サイトカインアゴニストで処理する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第二サイトカインアゴニストが、以下:
a)IL−2;
b)IL−15;
c)IL−12;
d)IL−23;または
e)IL−18;
である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一サイトカインアゴニストおよび前記第二サイトカインアゴニストが、以下:
a)IL−23およびIL−2;
b)IL−15およびIL−12;
c)IL−15およびIL−23;または
d)IL−18、およびIL−2、IL−15、IL−12もしくはIL−23のいずれか一つ;
である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第一サイトカインアゴニストおよび前記第二サイトカインアゴニストとは異なる第三サイトカインアゴニストで処理する工程をさらに包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第一サイトカインアゴニストがIL−18であって、前記第二サイトカインアゴニストおよび前記第三サイトカインアゴニストが、以下:
a)IL−2およびIL−15;または
b)IL−12およびIL−23;
である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記調節工程が、減少させる工程であって、前記処理する工程がさらに、第一サイトカインアンタゴニストとは異なる第二サイトカインアンタゴニストで処理する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記第二サイトカインが、以下:
a)IL−2;
b)IL−15;
c)IL−12;
d)IL−23;または
e)IL−18;
である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一サイトカインおよび前記第二サイトカインが、以下:
a)IL−23およびIL−2;
b)IL−15およびIL−12;
c)IL−15およびIL−23;または
d)IL−18およびIL−2、IL−15、IL−12もしくはIL−23のいずれか一つ;
である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一サイトカインアンタゴニストおよび前記第二サイトカインアンタゴニストとは異なる第三サイトカインアンタゴニストで処理する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第一サイトカインがIL−18であり、前記第二サイトカインおよび前記第三サイトカインが、以下:
a)IL−2およびIL−15;または
b)IL−12およびIL−23;
である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞が、以下:
a)T細胞;または
b)NK細胞;
である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞が、被験体内に位置し、前記アゴニストまたは前記アンタゴニストが、該被験体に投与される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記被験体が、該被験体内のIFNγレベルを調節することによって、処置され得るかまたは改善され得る障害または病理学的な状態を有するか、または有する疑いがある、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記被験体が:
a)ヒト被験体;または
b)獣医学的被験体;
である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記障害または状態が、以下:
a)癌、新生物、もしくは腫瘍;
b)細胞内病原体;または
c)炎症性状態もしくは自己免疫状態
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記IL−27アゴニストおよび第一サイトカインアゴニストが、前記被験体に投与され、ここで、前記細胞内病原体が以下:
a)Leishmania sp.;
b)Mycobacterium sp.;
c)Listeria sp.;
d)Toxoplasma sp.;
e)ヘルペスウイルス;
f)サイトメガロウイルス;または
g)ヒト免疫不全ウイルス(HIV);
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記IL−27アゴニストおよび前記第一サイトカインアゴニストが、前記被験体に投与され、ここで、前記炎症性状態または自己免疫状態が、以下:
a)慢性関節リウマチ;または
b)喘息もしくはアレルギー
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
第二サイトカインアゴニストを投与する工程をさらに包含する、請求項21または請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
第三サイトカインアゴニストを投与する工程をさらに包含する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記IL−27アンタゴニストおよび第一サイトカインアンタゴニストが、前記被験体に投与され、そして、前記障害または状態は、以下:
a)TH1状態またはTH1障害;
b)多発性硬化症;
c)乾癬;
d)クローン病;
c)I型糖尿病;または
d)全身性エリテマトーデス;
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
第二サイトカインアンタゴニストを投与する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第三サイトカインアンタゴニストを投与する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
被験体中のIFNγの発現またはレベルを調節する工程によって、該被験体の障害または病理学的な状態を処置または改善する方法であって、該方法は、以下:
a)IL−27サイトカインおよび第一サイトカインアゴニストである場合、アゴニストであって、該サイトカインは、IL−15、IL−18およびIL−23からなる群より選択される、アゴニスト;または
b)IL−27アンタゴニストおよび第一サイトカインアンタゴニストであって、該サイトカインが、IL−15、IL−18およびIL−23からなる群より選択される、アンタゴニスト;
を投与する工程を包含する、方法。
【請求項29】
前記調節工程が、以下:
a)増加させる工程であって、前記処理する工程は、前記IL−27アゴニストおよび前記第一サイトカインアゴニストを用いる工程;または
b)減少させる工程であって、前記処理する工程は、前記IL−27アンタゴニストおよび前記第一サイトカインアンタゴニストを用いる工程;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記IL−27アゴニストが、IL−27改変体またはIL−27誘導体であり、該IL−27改変体または該IL−27誘導体は、少なくとも一つのIL−27生物学的特性を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記IL−27改変体または前記IL−27誘導体が、IL−27ハイパーカインを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記調節工程が、増加させる工程であって、有効量の前記IL−27アゴニストおよび前記第一サイトカインアゴニストの非存在下での発現レベルまたは生成レベルより、約2倍、約5倍、約10倍、約20倍または約50倍高い、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記調節工程が、増加させる工程であって、前記処理する工程がさらに、第一サイトカインアゴニストとは異なる第二サイトカインアゴニストで処理する工程を包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記第二サイトカインアゴニストが、以下:
a)IL−2;
b)IL−15;
c)IL−12;
d)IL−23;または
e)IL−18;
である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第一サイトカインアゴニストおよび前記第二サイトカインアゴニストが、以下:
a)IL−23およびIL−2;
b)IL−15およびIL−12;
c)IL−15およびIL−23;または
d)IL−18、およびIL−2、IL−15、IL−12もしくはIL−23のいずれか一つ;
である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第一サイトカインアゴニストおよび前記第二サイトカインアゴニストとは異なる第三サイトカインアゴニストで処理する工程をさらに包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第一サイトカインアゴニストがIL−18であって、前記第二サイトカインアゴニストおよび前記第三サイトカインアゴニストが、以下:
a)IL−2およびIL−15;または
b)IL−12およびIL−23;
である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記調節工程が、減少させる工程であって、前記処理する工程がさらに、第一サイトカインアンタゴニストとは異なる第二サイトカインアンタゴニストで処理する工程を包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記第二サイトカインが、以下:
a)IL−2;
b)IL−15;
c)IL−12;
d)IL−23;または
e)IL−18;
である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第一サイトカインおよび前記第二サイトカインが、以下:
a)IL−23およびIL−2;
b)IL−15およびIL−12;
c)IL−15およびIL−23;または
d)IL−18およびIL−2、IL−15、IL−12もしくはIL−23のいずれか一つ;
である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第一サイトカインアンタゴニストおよび前記第二サイトカインアンタゴニストとは異なる第三サイトカインアンタゴニストで処理する工程をさらに包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記第一サイトカインがIL−18であり、前記第二サイトカインおよび前記第三サイトカインが、以下:
a)IL−2およびIL−15;または
b)IL−12およびIL−23;
である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記障害または状態が、以下:
a)癌、新生物、もしくは腫瘍;
b)細胞内病原体;または
c)炎症性状態もしくは自己免疫状態
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記処置が、IL−27アゴニストおよび第一サイトカインアゴニストを用い、そして、前記細胞内病原体が以下:
a)Leishmania sp.;
b)Mycobacterium sp.;
c)Listeria sp.;
d)Toxoplasma sp.;
e)ヘルペスウイルス;
f)サイトメガロウイルス;または
g)ヒト免疫不全ウイルス(HIV);
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記処置が、IL−27アンタゴニストおよび第一サイトカインアゴニストを用い、そして、前記炎症性状態または自己免疫状態が、以下:
a)慢性関節リウマチ;または
b)喘息もしくはアレルギー
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記処置が、IL−27アンタゴニストおよび第一サイトカインアンタゴニストを用い、そして、前記障害または状態は、以下:
a)TH1状態またはTH1障害;
b)多発性硬化症;
c)乾癬;
d)クローン病;
c)I型糖尿病;または
d)全身性エリテマトーデス;
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記IL−27アンタゴニストが、以下:
a)抗体の抗原結合部位由来であるか;または
b)核酸;
である、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2006−514057(P2006−514057A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565592(P2004−565592)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/040569
【国際公開番号】WO2004/060291
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】