説明

商品供給機

【課題】所定個数の商品を供給できるようにした商品供給機を提供する。
【解決手段】ストッカー(1)から流下する商品を待機させる待機部(2)と、コインを受け取ったとき動力源により所定回動角度で1回だけ回動可能な駆動軸(9)を有する駆動機構(6)と、前記駆動機構(6)で回動されることにより前記待機部(2)の商品を搬出する送出機構(4)を備えている。前記待機部(2)は、前記送出機構(4)を含む円周上に所定離間角度の下で等間隔をあけて複数個所に配置されている。前記送出機構(4)は、前記円周の中心を回動軸として前記離間角度に対応する所定角度だけ回動する回動手段(11)を備え、該回動手段(11)に前記待機部(2)を通過する1つ以上の落下作動手段(20)を設けている。回動手段(11)に設けられる落下作動手段(20)の個数が変更可能に構成され、該個数を増加したとき、駆動機構(6)の1回の駆動で搬出させられる商品の個数が増加させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定個数の商品を供給できるようにした商品供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
商品販売機等の商品供給機は、電動式が一般的であるが、電源を必要とするので、任意の場所に設置することができない。このため、電源を必要とせず、手動操作により駆動できる手動式商品供給機が望ましい。そこで、本発明者は、今まで、種々の手動式商品供給機を提案したところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152724号公報
【特許文献2】特開2007−41995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手動式の商品供給機は、通常、顧客がコイン(疑似コインを含む)を投入した後、手動操作を動力源として駆動機構を駆動すると、1個宛の商品だけが受取口に送出される。このような手動による商品の送出機構は、イジェクタ機構により待機中の商品を押し出すように構成され、イジェクタ機構を往復動させるように構成されている。
【0005】
前記イジェクタ機構は、待機中の停止時には往動開始位置にあり、顧客が手動操作で駆動機構を駆動したとき、往動終了位置まで往動することにより商品を押し出した後、前記往動開始位置まで復動する。
【0006】
ところで、本発明者の知見によれば、市場においては、1回のコイン投入による1回の手動操作で、複数個の商品を同時に供給できるようにした手動式商品供給機の提供が望まれており、強いニーズがある。
【0007】
この点に関して、前述のようなイジェクタ機構を備えた商品供給機の場合、理論的には、例えば、イジェクタ機構を左右2列に配置すれば、1回のコイン投入による1回の手動操作で2個の商品を同時に供給することが可能になる。従って、n個の商品を同時に供給するためには、n列のイジェクタ機構を並設すれば良い。
【0008】
しかしながら、イジェクタ機構は、イジェクタ手段を往復動させるレールやリンク機構を必要とするため、数列のイジェクタ機構を並設することは、装置全体が大型化することにより、自由な場所に設置できる手動式商品供給機の利点を損なうばかりか、高コストにより高価なものとなるという問題がある。
【0009】
本発明は、主として手動式商品供給機において、極めて簡単な構造で必要個数の商品を同時に供給可能とした商品供給機を提供することを課題とする。
【0010】
本発明によれば、機構の一部を変更するだけで、1回のコイン投入による1回の手動操作で1個宛の商品を供給することも、1回のコイン投入による1回の手動操作で所望の個数とされた複数の商品を同時に供給することも可能である。このため、本発明は、商品を貯蔵するストッカーを可及的に大容量に形成することを別の課題とする。
【0011】
本発明によれば、大容量のストッカーを備えたタワー形態の商品供給機が提供され、しかも、電源を要しない手動式とすることにより設置場所が制限されない。そこで、本発明は、商品供給機を広告塔として使用可能な形態に形成することを別の課題とする。
【0012】
更に、本発明は、後述する実施形態の構成から明らかとされるように、種々の課題を解決したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、上記課題を解決するために本発明が手段として構成したところは、多数の商品を貯蔵するストッカーと、前記ストッカーから流下する商品を待機部に向けて落下させる供給路と、前記待機部に待機する1個宛の商品を送出する送出機構と、コインを受け取ったとき動力源により駆動可能とされる駆動機構と、前記駆動機構の駆動力を前記送出機構に伝達する動力伝達機構を備えた商品供給機において、前記待機部は、前記送出機構を含む円周上に所定離間角度の下で等間隔をあけて配置された複数の商品保持手段を構成し、前記送出機構は、前記円周の中心を回動軸として回動する回動手段と、該回動手段の回動に同行して前記円周上を移動すると共に前記商品保持手段を通過することにより待機中の商品を落下させる1つ以上の落下作動手段を設け、前記駆動機構は、コインを受け取ったとき動力源により所定回動角度だけ回動可能な駆動軸を有し、前記動力伝達機構は、前記駆動軸が所定回動角度だけ回動したとき、前記送出機構の回動手段を前記離間角度に対応して1回だけ回動させ、該回動手段の回動開始から回動終了までの間に、1つの落下作動手段が1つの商品保持手段を通過するように構成して成る点にある。この場合、動力源は、手動操作に基づくことが好ましいが、電気モータの使用を排斥するものではない。
【0014】
本発明は、1回のコイン投入により動力源を介して1回の駆動を行うことにより1個の商品を供給する場合は、前記回動手段に1つの落下作動手段を設けておけば良く、ユーザのニーズにより1回のコイン投入による1回の手動操作でn個の商品を供給する必要がある場合は、前記回動手段にn個の落下作動手段を設けるだけで、簡単容易にニーズに応じることができる。このため、本発明は、前記商品保持手段の数をnとしたとき、前記送出機構の回動手段は、n個以下の複数から選ばれた落下作動手段を設け、複数の落下作動手段を回動手段の周方向に前記離間角度をあけて着脱自在に配置することが可能となるように構成されている。
【0015】
本発明の実施形態において、前記ストッカーは、頂部に多数の商品を一斉に投入可能とする投入部を設け、該投入部に連通する複数の窓孔と、各窓孔を通過した商品を流下移動させる流下路を形成しており、前記流下路は、相互に独立して下向きの螺旋状に延びることにより上下平行に並設され、各流下路の終端に各自の供給路を配置している。
【0016】
本発明の第1実施形態において、前記送出機構の回動手段は、放射方向に複数の取着部を設け、該取着部にアーム状の落下作動手段を着脱自在に固着するように構成され、待機部は、前記供給路から落下する商品を支持する座面を備えた座部により構成され、該座部と供給路の間に、座面に保持された1個の商品を横切る通過空間を形成しており、回動手段の回動に伴って落下作動手段を回動したとき、該落下作動手段の先端が前記通過空間を通過し、座面に保持された1個の商品を殴打することにより座面から落下させるように構成され、落下作動手段の個数を変更することにより、1回の駆動工程で搬出される商品の個数を変更可能とするように構成している。
【0017】
本発明の第2実施形態において、前記送出手段の回動手段は、回動軸の回動に伴って回転する回転板により構成され、該回転板は、前記待機部が配置された円周上に位置して前記待機部の間隔と同じ間隔をあけて複数の落下口を開設しており、前記回転板を回動することにより落下口が待機部に合致したとき、落下口を通過して待機部の商品が落下するように構成され、前記複数の落下口は、少なくとも1つの落下口を開口し、残りの落下口を蓋部材により閉鎖可能とするように構成している。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明によれば、機構の一部を変更するだけで、1回のコイン投入による1回の駆動工程で1個宛の商品を供給することも、あるいは、1回のコイン投入による1回の駆動工程で所望の個数とされた複数の商品を同時に供給することも可能であり、1台の商品供給機により、1回で搬出される商品の個数を任意に設定できるという利点がある。
【0019】
前記1回のコイン投入による1回の駆動工程は、動力源を顧客の手動源とする場合は、例えば後述する摘み部8を手動操作で回動することにより駆動軸9を所定回動角度だけ回動させるように構成すれば良く、駆動源を電気モータとする場合は、コインを投入した後、顧客がスイッチをONすることによりステップモータ等により駆動軸9を所定回動角度だけ回動させるように構成すれば良い。
【0020】
請求項2に記載の本発明によれば、商品保持手段18の数をnとしたとき、前記送出機構4の回動手段11は、n個以下の複数から選ばれた落下作動手段20を設け、複数の落下作動手段20を回動手段11の周方向に前記離間角度をあけて配置した構成であるから、回動手段11に設ける落下作動手段20の個数を変更するという極めて簡単な構造で必要個数の商品Mを同時に供給することが可能になるという効果がある。
【0021】
請求項3に記載の本発明によれば、大容量のストッカーを備えたタワー形態の商品供給機を提供することができ、特に、複数個の商品を同時に搬出させる場合でも、短期に商品切れを生じることがない。
【0022】
請求項4に記載の本発明によれば、送出機構4の回動手段11は、放射方向に複数の取着部19を設け、該取着部19にアーム状の落下作動手段20を着脱自在に固着する構成であるから、回動手段11に取付ける落下作動手段20の本数を変更するだけで、1回で搬出される商品の個数を変更できるという効果がある。
【0023】
請求項5に記載の本発明によれば、送出手段4の回動手段11は、回動軸10の回動に伴って回転する回転板34により構成され、該回転板34は、待機部2が配置された円周上に位置して該待機部と同じ間隔をあけて複数の落下口40を開設し、該落下口40を蓋部材41により閉鎖可能としているので、蓋部材41による閉鎖の有無により、開口された落下口40の個数を変更するだけで、1回で搬出される商品の個数を変更できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る手動式商品供給機の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の断面を示しており、(A)は図1のA−A線断面矢視図、(B)は図1のB−B線断面矢視図である。
【図3】第1実施形態における待機部と送出機構の関係を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に基づく商品送出例の作用を示しており、(A)は1個の落下作動手段により1個の商品を送出する例の説明図、(B)は2個の落下作動手段により2個の商品を送出する例の説明図、(C)は3個の落下作動手段により3個の商品を送出する例の説明図、(D)は4個の落下作動手段により4個の商品を送出する例の説明図である。
【図5】本発明に係る手動式商品供給機の第2実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に基づく商品送出例の作用を示しており、(A)は特定の待機部に対して1個の商品が供給される前の状態を示す断面図、(B)は前記待機部に1個の商品が供給された状態を示す断面図、(C)は前記待機部から1個の商品が送出可能とされた状態を示す断面図、(D)は落下作動手段の個数を選択可能とする手段を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。図示の実施形態は、供給商品Mをゴルフボールとした手動式商品供給機を例示しており、手動式のため、ゴルフ場のティーグラウンドやフェアウエイのカート道、その他、電源のない任意の場所に設置し、プレイヤーの便宜に供することができるという優れた利点がある。しかしながら、本発明が目的とする商品Mは、ゴフルボールに限定されないことが勿論であり、種々のあらゆる商品に適用できることを諒解されたい。また、本発明の商品供給機は、手動式に限らず、電動モータ等を駆動源とすることも可能である。
【0026】
(第1実施形態)
図1ないし図4に示す第1実施形態において、商品供給機は、多数の商品Mを貯蔵するストッカー1と、前記ストッカー1から落下する商品Mを待機部2に向けて落下させる供給路3と、前記待機部2に待機する1個宛の商品Mを送出する送出機構4と、コイン5(疑似コインを含む)を受け取ることにより、動力源により駆動可能とされる駆動機構6と、前記駆動機構6の駆動力を前記送出機構4に伝達する動力伝達機構7を備えている。
【0027】
前記駆動機構6は、動力源を手動操作とする場合、本出願人が先に提案した上記特許文献1(特開2008−152724号公報)に開示した機構と同様のものを採用することが可能であり、スロットにコイン5を投入すると、摘み部8を矢印S(図1及び図2(B)参照)で示すように所定回動角度かつ1回だけ回動させることが可能とするように、ラチェット手段が設けられ、1回の回動後には、再びコインを投入しない限り、摘み部8を回動不能とするロック手段が設けられている。
【0028】
駆動機構7は、コイン5を投入し、手動操作で摘み部8を所定回動角度まで1回だけ回動すると、図2(B)に示すように、摘み部8に連結された駆動軸9が所定角度だけ回動され、該駆動軸9の動力をベベルギヤ等の動力伝達機構7を介して回動軸10に伝達し、該回動軸10の回動により送出機構2を構成する回動手段11を所定角度だけ回動させ、後述する落下作動手段により待機部2で待機中の商品Mを落下させ、落下した商品Mを図1に示す受取口12に搬出する。
【0029】
図例の場合、図1に示すように、商品供給機は、ほぼ矩形状とされた底部の四隅に対応して面取壁を形成する4本の支柱13を立設し、頂部に上方を開放した商品Mの投入部14を設けている。投入部14は、多数の商品Mを投入したとき、商品を周縁に向けて滑降させる四角錐状の斜面を設け、滑降した商品Mを外方に排出させる窓孔15を周方向に離間する4個所に開設しており、窓孔15を通過した商品Mは、それぞれの流下路16に沿って自重で流下移動するように構成されている。
【0030】
前記4つの窓孔15から延設された4本の流下路16は、相互に独立して下向きの螺旋状に延びることにより上下平行に並設され、それぞれが各自の供給路3に到達する。
【0031】
4本の支柱13は、多数の取付孔17を設けており、図示省略しているが、相互に隣り合う支柱の間を被うパネル部材を前記取付孔17に固着し、投入部14にルーフ部材を被冠することにより、商品供給機と広告塔を兼ねることができるように構成している。例えば、前記パネル部材に販売商品の広告や、企業のイメージ広告等を表示することにより、任意の場所に設置された商品販売機としての商品供給機を広告塔として利用することができる。
【0032】
図2(A)に示すように、投入部14の周縁に離間して設けた4個所の窓孔15a、15b、15c、15dは、それぞれの流下路16a、16b、16c、16dに連絡されている。そして、図2(B)に示すように、前記流下路16a、16b、16c、16dの終端は、それぞれの供給路3a、3b、3c、3dに連絡されている。従って、第1の窓孔15aから第1の流下路16aに進入し流下移動する商品Mは第1の供給路3aに到達する。同様に、第2、第3、第4の窓孔15b、15c、15dから第2、第3、第4の流下路16b、16c、16dを流下移動する商品Mは、第2、第3、第4の供給路3b、3c、3dに到達する。
【0033】
図示実施形態の場合、複数列(図示実施形態では4列)の流下路16a、16b、16c、16dを螺旋状に延ばして上下平行に並設し、これによりストッカー1を構成しているので、各窓孔15から各供給路3までの各流下路16の距離を長く形成することができ、しかも、このような長い流下路16を複数並設することにより、商品Mの貯蔵能力が高い大容量のストッカーを提供することが可能となる。
【0034】
図1に示すように、前記供給路3の直下には、該供給路3から落下した商品Mを受止めて保持する待機部2が設けられている。図示実施形態の場合、待機部2は、4個所の供給路3a、3b、3c、3d(図2(B)参照)にそれぞれ対応する4個所に設けられた商品保持手段18により構成されており、これら4個所に位置する商品保持手段18は、前記送出機構2の回転軸10を中心とする円Cの円周上に90度で等間隔をあけて配置されている。
【0035】
図示実施形態の場合、待機部2を構成する商品保持手段18は、円周上に等間隔をあけた4個所に配置されて、これに対して、前記送出機構2の回動手段11は、コイン5を投入して手動操作で摘み部8を所定回動角度(例えば、180度又は360度)だけ回動したとき、該回動手段11が円周の4分の1、従って、90度だけ回動されるように動力伝達機構7のギヤ比が設定されている。
【0036】
しかしながら、本発明は、4個所に限らず、商品保持手段18を前記円周上に所定離間角度の下で等間隔をあけて複数個所に配置したものであれば良く、これに対応して、送出機構2の回動手段11を前記所定離間角度に対応する角度で回動させるように構成している。例えば、商品保持手段18を円周方向に等間隔の3個所に配置している場合は、摘み部8の1回の回動駆動で、送出機構2の回動手段11を円周の3分の1(120度)だけ回動するように構成され、同様に、例えば、商品保持手段18を円周方向に等間隔の2個所に配置している場合は、摘み部8の1回の回動駆動で、送出機構2の回動手段11を円周の2分の1(180度)だけ回動するように構成される。従って、1回の回動操作による回動手段11の回動角度が360/m(mは商品保持手段の個数)となるように構成されている。
【0037】
図2(B)及び図3に示すように、送出機構2の回動手段11は、放射方向に複数の取着部19を設け、該取着部19にアームから成る落下作動手段20の基端部を着脱自在に固着している。この際、前記商品保持手段18に対応する数の取着部19が回動手段11の周方向に等間隔をあけて設けられる。商品保持手段18を4個所に配置した図示実施形態の場合、4個の取着部19a、19b、19c、19dが回動手段11に設けられている。
【0038】
図3に示すように、供給路3は、流下路16の終端開口から落下する商品Mを受入れる筒部21を備え、該筒部21の直下に設けた商品保持手段18により待機部2を構成する。商品保持手段18は、前記筒部21から落下する商品Mに対向する座部22を備え、該座部22の上面の座面23により1個の商品Mを保持するように構成され、座部22と筒部21の間に、座面23に保持された1個の商品Mを横切る通過空間24を形成している。
【0039】
上述のように回動手段11が回動すると、落下作動手段20の先端が上記円Cの円周上を移動し、通過空間24の入口24aから出口24bに向けて通過することにより、座面23の上の商品Mを殴打し、出口24bから排出させ、底板25に落下させる。底板25は、ほぼ中央の搬出口26に向けて下降傾斜するホッパーを形成しているので、落下した商品Mが滑降しながら搬出口26から搬出路27に案内され、受取口12(図1参照)に搬出される。
【0040】
商品保持手段18に保持された1個宛の商品Mが底板25に落下すると、供給路3から次の商品Mが落下し、座面23に保持された状態で待機する。図示実施形態のように商品Mがゴフルボールのような球体形とされている場合、供給路3から座面23に落下したとき、商品Mが座面23から脱落するおそれがある。このため、座面23は、出口24bに向けて上り勾配θ1を有する斜面を形成することが好ましい。あるいは、出口24bにカーテン部材28を設け、商品Mを落下作動手段20で殴打しなければ出口24bから落下しないように構成しても良い。尚、カーテン部材28は、薄いゴムシート等の復元自在な弾性シートにより形成することが好ましい。
【0041】
上記実施形態の構成によれば、回動手段11に設けられるアーム状の落下作動手段20の本数を選択するだけで、受取口12に向けて搬出する商品Mの個数を1個から4個の範囲内で選択することが可能となる。
【0042】
以下、図4に基づいて第1実施形態の作用を説明するが、便宜上、回動手段11の回動方向とされた半時計針方向の順に、4個の取着部11を第1取着部19a、第2取着部19b、第3取着部19c、第4取着部19dと称し、4本の落下作動手段20を第1落下作動手段20a、第2落下作動手段20b、第3落下作動手段20c、第4落下作動手段20dと称する。また、4個所の供給路3a、3b、3c、3dに対応する待機部2を第1待機部2a、第2待機部2b、第3待機部2c、第4待機部2dと称する。
【0043】
図4(A)は、回動手段11の第1取着部19aに第1落下作動手段20aを設けた場合の作用を示している。回動手段11は、第1落下作動手段20aを第1待機部2aと第2待機部2bの間に位置させて停止している。この状態で、コイン5を投入して手動操作で摘み部8を所定回動角度だけ回動し、回動手段11を90度だけ回動させると、第1落下作動手段20aが第2待機部2bを通過することにより、該第2待機部2bで待機中の商品Mを殴打する。従って、1個宛の商品Mが搬出される。尚、再びコインを投入することにより2回目の回動を行うと、第1落下作動手段20aが第3待機部2cに待機中の1個宛の商品Mを搬出する。以後、同様にして、第1落下作動手段20aにより、第4待機部2dに待機中の商品M、第1待機部2aに待機中の商品Mが順に1個宛排出される。
【0044】
図4(B)は、回動手段11に2本の落下作動手段20を設けた場合の作用を示している。2本の落下作動手段20の取着個所は、第1取着部19aから第4取着部19dの任意から選択すれば良いが、図例の場合、第1取着部19aに第1落下作動手段20aを設け、第3取着部19cに第3落下作動手段20cを設けた例を示している。回動手段11は、第1落下作動手段20aを第1待機部2aと第2待機部2bの間に位置させ、第3落下作動手段20cを第3待機部2cと第4待機部2dの間に位置させた状態で停止している。この状態で、コイン5を投入して手動操作で摘み部8を所定回動角度だけ回動し、回動手段11を90度だけ回動させると、第1落下作動手段20aが第2待機部2bで待機中の商品Mを殴打し、第3落下作動手段20cが第4待機部2dで待機中の商品Mを殴打する。従って、2個の商品Mが同時に搬出される。尚、再びコインを投入することにより2回目の回動を行うと、第1落下作動手段20aが第3待機部2cで待機中の商品Mを殴打し、第3落下作動手段20cが第1待機部2aに待機中の商品Mを殴打し、これらの2個の商品Mを同時に搬出する。
【0045】
図4(C)は、回動手段11に3本の落下作動手段20を設けた場合の作用を示している。3本の落下作動手段20の取着個所は、第1取着部19aから第4取着部19dの任意から選択すれば良いが、図例の場合、第1取着部19aに第1落下作動手段20aを設け、第2取着部19bに第2落下作動手段20bを設け、第3取着部19cに第3落下作動手段20cを設けた例を示している。回動手段11は、第1落下作動手段20aを第1待機部2aと第2待機部2bの間に位置させ、第2落下作動手段20bを第2待機部2bと第3待機部2cの間に位置させ、第3落下作動手段20cを第3待機部2cと第4待機部2dの間に位置させた状態で停止している。この状態で、コイン5を投入して手動操作で摘み部8を所定回動角度だけ回動し、回動手段11を90度だけ回動させると、第1落下作動手段20aが第2待機部2bで待機中の商品Mを殴打し、第2落下作動手段20bが第3待機部2cで待機中の商品Mを殴打し、第3落下作動手段20cが第4待機部2dで待機中の商品Mを殴打する。従って、3個の商品Mが同時に搬出される。尚、再びコインを投入することにより2回目の回動を行うと、第1落下作動手段20aが第3待機部2cで待機中の商品Mを殴打し、第2落下作動手段20bが第4待機部2dで待機中の商品Mを殴打し、第3落下作動手段20cが第1待機部2aに待機中の商品Mを殴打し、これらの3個の商品Mを同時に搬出する。
【0046】
図4(D)は、回動手段11の4個の取着部19a、19b、19c、19dのそれぞれに4本の落下作動手段20a、20b、20c、20dを設けた場合の作用を示している。この場合、コイン5を投入して手動操作で摘み部8を所定回動角度だけ回動し、回動手段11を90度だけ回動させると、4本の落下作動手段20a、20b、20c、20dがそれぞれに対応する4個所の待機部2a、2b、2c、2dで待機中の商品Mを殴打し、4個の商品Mを同時に搬出する。
【0047】
尚、上記実施形態は、4個所の待機部2a、2b、2c、2dで待機中の商品Mを殴打する落下作動手段20の本数を1本から4本の範囲で選択可能とした構成について説明したが、回動手段11の所定回動角度を90度以下に設定する場合は、落下作動手段の本数を増加させれば良い。
【0048】
(第2実施形態)
図5及び図6は、本発明の第2実施形態を示しており、ストッカー1は、複数の筒体31a、31b、31c、31dにより構成され、それぞれの下端に設けた開口32から1個宛の商品Mを落下させる。ストッカー1の下方には、上下に同心状に配置されて同期的に同行回転する一対の回転板33、34が配置され、上方の回転板33により供給手段35を構成し、下方の回転板34により回動手段11を構成している。
【0049】
上下の回転板33、34は、キー及びキー溝を嵌合することにより周方向の相互位置関係を固定して回動軸10に軸支され、該回転軸10に設けたスペーサにより相互に上下方向に間隔を保持する。回転軸10は駆動軸9で駆動回転される動力伝達機構7を構成し、該動力伝達機構7は、第1実施形態について説明したようなコインを受け取ったとき手動操作により駆動可能とされる駆動機構6により駆動される。
【0050】
供給手段35を構成する上方の回転板33は、回動軸10を中心とする円周上に間隔をあけて、ストッカー1の開口32に対応する通孔37を開設している。従って、開口32に臨む商品Mは、回転板33の上面により受止められるが、回転板33を回転することにより、通孔37が開口32に対向したとき、該通孔37を介して商品Mを下方に落下させる。
【0051】
上下の回転板33、34の間には、前記円周上に間隔をあけて、前記ストッカー1の開口23に対応する保持筒39が固定状態に配置され、該保持筒39により商品の供給路3を構成する。即ち、保持筒39は、商品供給機の基枠等に固定され、従って、上下の回転板33、34は回動軸10により回動されるが、保持筒39は固定されている。
【0052】
回動手段11を構成する下方の回転板34は、前記円周上に間隔をあけて、落下口40を開設し、該落下口40により落下作動手段20を構成しており、該落下口40は蓋部材41により開閉自在に施蓋することが可能である。
【0053】
前記ストッカー1の開口32と、供給手段35の通孔37と、供給路3を構成する保持筒39と、回動部材11に設けた落下作動手段20を構成する落下口40は、何れも前記円周上に位置しており、図6(A)に示すように、固定された開口32と保持筒39は、鉛直線上に合致して対向するように配置されているが、通孔37と落下口40は、該回転板33、34の回転方向Rに対して、通孔37が先行位置に設けられ、落下口40が後行位置に設けられるように、相互に間隔Lで示すように位置をずらせて配置されている。
【0054】
図6に基づいて第2実施形態の作用を説明すると、1組の回転板33、34は、図6(A)に示すように、所定のストッカー1の開口32に対して、通孔37及び落下口40を回転方向Rの後方に位置させ、この状態で回動軸10を停止した待機状態にある。この状態から、コイン5を投入して手動操作で摘み部8を所定回動角度だけ回動すると、回動軸10が所定角度だけ、つまり、ストッカー1の開口32を円周上に等間隔をあけて4個所に配置した図示実施形態の場合、回動軸10が90度だけ回動させられる。
【0055】
図6(B)に示すように、回動軸10の回動に伴って回転板33、34が回転し、通孔37が開口32に合致する位置に来たとき、開口32に臨む商品Mが通孔37を通過して保持筒39に落下し、下方の回転板34に受止められる。通孔37が開口32を通過すると直ちに該開口32は上方の回転板33により閉じられるので、保持筒39には1個宛の商品Mが保持される。この状態で、商品Mは、回転板34により底壁を形成され、保持筒39により周壁が形成された室の内部に保持され、該室により商品保持手段18が構成されている。
【0056】
次いで回転板33、34の回転に伴い、図6(C)に示すように、落下口40が保持筒39に合致する位置に来たとき、保持筒39に保持されていた商品Mが落下口40を通過して落下する。落下した商品Mは、第1実施形態の説明と同様に、搬出路により案内され、受取口に搬出される。
【0057】
上述のように、複数(図例の場合は4個)の落下口40は、蓋部材41により施蓋することができるように構成されている。従って、落下口40を蓋部材41で閉鎖しておけば、図6(D)に示すように、保持筒39に保持された待機中の商品Mが落下することはないので、これにより、回動軸10を所定回動角度で回動させる1回の手動操作により搬出される商品Mの個数を1個から4個の範囲で選択することが可能となる。
【0058】
4個所の落下口40のうち、3個所の落下口を蓋部材41で閉鎖し、1個所の落下口40だけを開口させた場合は、コインを投入することにより手動操作で回動軸10を所定回動角度まで1回だけ回動すると、1個の商品Mが搬出される。
【0059】
これに対して、2個の商品Mを同時に搬出する必要があるときは、2個所の落下口を蓋部材41で閉鎖し、別の2個所の落下口40を開口させておけば良い。同様にして、3個の商品Mを同時に搬出させる場合は、1個所の落下口を蓋部材41で閉鎖し、別の3個所の落下口40を開口させれば良く、また、4個の商品Mを同時に搬出させる場合は、4個所の落下口40を全て開口させれば良い。
【符号の説明】
【0060】
1 ストッカー
2 待機部
3 供給路
4 送出機構
6 駆動機構
7 動力伝達機構
8 摘み部
9 駆動軸
10 回動軸
11 回動手段
12 受取口
14 投入部
15 窓孔
16 流下路
18 商品保持手段
19 取着部
20 落下作動手段
21 筒部
22 座部
23 座面
24 通過空間
33、34 回転板
35 供給手段
37 通孔
39 保持筒
40 落下口
41 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の商品を貯蔵するストッカー(1)と、前記ストッカーから流下する商品を待機部(2)に向けて落下させる供給路(3)と、前記待機部(2)に待機する1個宛の商品を送出する送出機構(4)と、コインを受け取ったとき動力源により駆動可能とされる駆動機構(6)と、前記駆動機構(6)の駆動力を前記送出機構(4)に伝達する動力伝達機構(7)を備えた手動式商品供給機において、
前記待機部(2)は、前記送出機構(4)を含む円周上に所定離間角度の下で等間隔をあけて配置された複数の商品保持手段(18)を構成し、
前記送出機構(4)は、前記円周の中心を回動軸として回動する回動手段(11)と、該回動手段の回動に同行して前記円周上を移動すると共に前記商品保持手段(18)を通過することにより待機中の商品を落下させる1つ以上の落下作動手段(20)を設け、
前記駆動機構(6)は、コインを受け取ったとき動力源により所定回動角度だけ回動可能な駆動軸(9)を有し、
前記動力伝達機構(7)は、前記駆動軸(9)が所定回動角度だけ回動したとき、前記送出機構(4)の回動手段(11)を前記離間角度に対応して1回だけ回動させ、該回動手段(11)の回動開始から回動終了までの間に、1つの落下作動手段(20)が1つの商品保持手段(18)を通過するように構成して成ることを特徴とする商品供給機。
【請求項2】
前記商品保持手段(18)の数をnとしたとき、前記送出機構(4)の回動手段(11)は、n個以下の複数から選ばれた落下作動手段(20)を設け、複数の落下作動手段(20)を回動手段(11)の周方向に前記離間角度をあけて着脱自在に配置して成ることを特徴とする請求項1に記載の商品供給機。
【請求項3】
前記ストッカー(1)は、頂部に多数の商品を一斉に投入可能とする投入部(14)を設け、該投入部に連通する複数の窓孔(15)と、各窓孔を通過した商品を流下移動させる流下路(16)を形成しており、
前記流下路(16)は、相互に独立して下向きの螺旋状に延びることにより上下平行に並設され、各流下路の終端に各自の供給路(3)を配置して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の商品供給機。
【請求項4】
前記送出機構(4)の回動手段(11)は、放射方向に複数の取着部(19)を設け、該取着部にアーム状の落下作動手段(20)を着脱自在に固着するように構成され、
待機部(2)は、前記供給路(3)から落下する商品を支持する座面(23)を備えた座部(22)により構成され、該座部(22)と供給路(3)の間に、座面(23)に保持された1個の商品を横切る通過空間(24)を形成しており、
回動手段(11)の回動に伴って落下作動手段(20)を回動したとき、該落下作動手段の先端が前記通過空間(24)を通過し、座面(23)に保持された1個の商品を殴打することにより座面から落下させるように構成され、
落下作動手段(20)の個数を変更することにより、1回の手動回動操作で搬出される商品の個数を変更可能とするように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の商品供給機。
【請求項5】
前記送出手段(4)の回動手段(11)は、回動軸(10)の回動に伴って回転する回転板(34)により構成され、該回転板は、前記待機部(2)が配置された円周上に位置して前記待機部の間隔と同じ間隔をあけて複数の落下口(40)を開設しており、前記回転板(34)を回動することにより落下口(40)が待機部(2)に合致したとき、落下口を通過して待機部の商品が落下するように構成され、
前記複数の落下口(40)は、少なくとも1つの落下口を開口し、残りの落下口を蓋部材(41)により閉鎖可能とするように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の商品供給機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−198213(P2011−198213A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65895(P2010−65895)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(392025238)株式会社サンエイ (43)
【Fターム(参考)】