説明

商品収納装置

【課題】本体筐体の後壁に商品補充口を有したものであってもエネルギー消費量の低減を図ること。
【解決手段】商品取出口16を開放した状態で本体筐体10の内部に収納した商品を所望の温度状態に維持する商品収納装置において、本体筐体10の上壁14との間に上部通風空間51を構成する上部遮風板50と、商品補充口12aを有した本体筐体10の後壁12との間に通路を構成することのできる間隙を確保して配設し、後壁12との間に上部通風空間51に連通した後部通風空間71を構成する後部遮風幕70とを備え、回収用送風ファン93の駆動により、商品取出口16から外部に漏出した空気を下部通風ダクト90、後部通風空間71及び上部通風空間51を通じて本体筐体10の周囲に循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースやピッキング装置として用いられる商品収納装置に関するもので、特に本体筐体の前壁に開口を有し、この開口を介して商品の取り出しが可能となる商品収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本体筐体の前壁に商品取出口を有したショーケースやピッキング装置等の商品収納装置では、商品取出口に沿って空気を吹き出すことによりエアカーテンを形成し、商品取出口を開放した状態で本体筐体の内部に収納した商品を所望の温度状態に維持するようにしている。この種の商品収納装置には、商品取出口から外部に漏出した温度調整後の空気を回収し、エネルギー消費量を低減するようにしたものが提供されている。すなわち、商品取出口の下方域に外部吸入口を有するとともに、本体筐体の下方及び後方を通過して上方に至る外部通風ダクトを本体筐体に付設し、商品取出口から漏出した空気を外部通風ダクトによって回収し、再びエアカーテンとして吹き出すように構成したものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−241641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特にピッキング装置として用いられる商品収納装置には、本体筐体の後壁に商品を補充するための商品補充口が設けられている場合が多い。こうした商品収納装置にあっては、蓋部材によって商品補充口を閉塞することができるものの、本体筐体の後壁に外部通風ダクトを付設することが困難となるため、商品取出口から漏出した空気を回収することができず、エネルギー消費の点で必ずしも好ましいとはいえない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、本体筐体の後壁に商品補充口を有したものであっても、エネルギー消費量の低減を図ることのできる商品収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る商品収納装置は、前壁に商品取出口を有するとともに後壁に補充用開口を有した本体筐体と、前記本体筐体の商品補充口を開放可能に閉塞する蓋部材と、前記本体筐体の内部に配設した温度調整手段とを備え、前記温度調整手段を通じて前記本体筐体の内部で空気を循環させることにより、前記商品取出口を開放した状態で前記本体筐体の内部に収納した商品を所望の温度状態に維持する商品収納装置において、前記本体筐体の上壁との間に所定の間隙を確保して配設し、前記上壁との間に上部通風空間を構成する上部遮風部材と、前記本体筐体の後壁との間に通路を構成することのできる間隙を確保して配設し、前記後壁との間に前記上部通風空間に連通した後部通風空間を構成する後部遮風部材と、前記本体筐体の外部において前記商品取出口の下縁に対応する部位に外部吸入口を有するとともに、内部に送風手段を備え、前記送風手段が駆動した場合に前記外部吸入口から吸い込んだ空気を前記後部通風空間に送給する下部通風ダクトとを備え、前記送風手段の駆動により、前記商品取出口から外部に漏出した空気を前記下部通風ダクト、前記後部通風空間及び前記上部通風空間を通じて前記本体筐体の周囲に循環させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上述した商品収納装置において、前記下部通風ダクトは、前記本体筐体の前壁から本体筐体の下方を経由し、前記外部吸入口から吸い込んだ空気を前記後部通風空間において下方から上方に送給するものであり、前記本体筐体の前壁を覆う位置に前方遮風部材を配設し、前記上部通風空間を前方に向けて通過した空気を前記前方遮風部材によって下方に案内することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述した商品収納装置において、前記本体筐体の上壁と前記上部遮風部材との間に商品を配置するためのラックを配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本体筐体の後壁との間に通路となる後部通風空間を構成しているため、この後部通風空間において商品補充口から本体筐体の内部に商品の補充を行うことが可能である。しかも、後部通風空間に対して商品取出口から漏出した温度調整後の空気を送給するようにしているため、蓋部材を開けて商品補充口を開放した場合にも、本体筐体の内部に急激な温度変化を来す恐れがない。さらに、漏出した空気で本体筐体の周囲を取り囲むことにより、本体筐体を通じた外気との熱の授受が抑制されるため、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1である商品収納装置を示した断面側面図である。
【図2】図2は、図1に示した商品収納装置を概念的に示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2である商品収納装置を示した断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る商品収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の実施の形態1である商品収納装置を示したものである。ここで例示する商品収納装置は、物流の拠点となる配送センター建屋1の内部に設置され、所望の温度状態、例えば冷凍状態で搬入された商品を出荷先ごとに仕分ける作業(ピッキング)において一時保管ラックとして適用されるもので、本体筐体10を備えている。本体筐体10は、底壁11、後壁12、2つの側壁13、上壁14及び前壁15によって箱状に構成したものである。これらの本体筐体10を構成する壁11,12,13,14,15は、通気性がほぼゼロであり、断熱性を有した部材によって構成してある。この本体筐体10には、前壁15に商品取出口16が設けてある。商品取出口16は、2つの側壁13の前端部間において上壁14の前端から底壁11よりもわずかに上方となる部位に渡って形成した大型の開口である。本体筐体10の内部には、内部循環ダクト20及び複数段(実施の形態1では4段)のラック板30が配設してある。
【0013】
内部循環ダクト20は、本体筐体10の下方部に形成した通風のための空間であり、商品取出口16の下縁部において前壁15よりも内方側となる位置に内部吸入口21を有する一方、後壁12よりも内方側となる位置に内部吹出口22を有している。内部吸入口21及び内部吹出口22は、それぞれ一方の側壁13から他方の側壁13までの間において上方に向けて開口している。図からも明らかなように、内部循環ダクト20の内部には、循環送風ファン23及び蒸発器(温度調整手段)24が配設してある。循環送風ファン23は、駆動した場合に、内部吸入口21から内部循環ダクト20に空気を吸い込む一方、内部循環ダクト20に吸い込んだ空気を内部吹出口22から吹き出すように機能するものである。蒸発器24は、図示していない圧縮機、凝縮器及び膨張弁との間に冷凍サイクルを構成し、これらの間に冷媒を循環させた場合に、内部循環ダクト20を通過する空気を冷却するように機能したものである。
【0014】
ラック板30は、それぞれが前方に向けてわずかに低くなるように傾斜して配置したもので、個々の上面に商品の載置面を構成している。それぞれのラック板30は、後端縁が本体筐体10の後壁12から離隔して配置してあり、内部循環ダクト20の内部吹出口22から本体筐体10の上壁14までの間に通風のための空間を確保している。ラック板30の前端部には、ラックガイド板31が配設してある。ラックガイド板31は、前方に向かうに従って漸次下方に傾斜するように配設した板状部材であり、個々の前縁が内部循環ダクト20の内部吸入口21に向けて延在している。図には明示していないが、それぞれのラック板30の上面には、前後方向に沿って複数のローラが回転可能に配設してある。これらのローラは、上面に商品が載置された場合に適宜回転することにより、ラック板30の商品を傾斜に従って前方に移動させるものである。
【0015】
本体筐体10の後壁12において個々のラック板30に対応する部位には、商品補充口12aが設けてある。商品補充口12aは、ラック板30の上面に対して本体筐体10の外部から商品を補充するための開口である。それぞれの商品補充口12aには、蓋部材40が配設してある。蓋部材40は、商品補充口12aを閉塞する大きさに形成した板状部材である。この蓋部材40は、本体筐体10の壁と同様、通気性がほぼゼロであり、断熱性を有した部材によって構成してある。個々の蓋部材40は、上縁部に設けた軸部材41を介して後壁12に支持させてあり、軸部材41を中心として回転させることにより、商品補充口12aを開放することが可能である。
【0016】
一方、この商品収納装置では、配送センター建屋1の内部において本体筐体10の上方となる位置には上部遮風板(上部遮風部材)50が配設してあり、本体筐体10の両側となる位置にはそれぞれ側部遮風板60が配設してあり、本体筐体10の後方となる位置には後部遮風幕(後部遮風部材)70が配設してあり、本体筐体10の前方となる位置には前部遮風幕80が配設してある。
【0017】
上部遮風板50は、本体筐体10の上壁14よりも大きな寸法を有した板状部材であり、通気性がほぼゼロとなる部材によって構成してある。この上部遮風板50は、本体筐体10の上壁14との間に所定の間隙を確保した状態で上壁14を覆う位置に配設してあり、上壁14との間に上部通風空間51を構成している。
【0018】
側部遮風板60は、それぞれ本体筐体10の側壁13よりも大きな寸法を有した板状部材であり、上部遮風板50と同様、通気性がほぼゼロとなる部材によって構成してある。それぞれの側部遮風板60は、上部遮風板50の両側縁からそれぞれ下方に垂下し、個々の内表面を本体筐体10の側壁13外表面に当接させた状態で配設してある。側部遮風板60の下端部は、それぞれ配送センター建屋1の床面1aに接触、もしくは近接した状態にある。
【0019】
後部遮風幕70及び前部遮風幕80は、それぞれビニール等の通気性がほぼゼロとなる合成樹脂材により、可撓性を有した薄膜状に構成したもので、上部遮風板50の後縁及び前縁からそれぞれ垂れ下がるように配設してある。後部遮風幕70及び前部遮風幕80の下端部は、それぞれ配送センター建屋1の床面1aに接触、もしくは近接した状態にある。後部遮風幕70及び前部遮風幕80の両側縁部は、それぞれ側部遮風板60に接触、もしくは近接した状態にある。
【0020】
後部遮風幕70は、本体筐体10の後壁12との間に所定の間隙を確保した状態で後壁12を覆う位置に配設してあり、後壁12との間に上部通風空間51に連通した後部通風空間71を構成している。この後部通風空間71は、本体筐体10の後壁12と後部遮風幕70との間に人が出入りするだけの寸法が確保してあり、これらの間を通路として用いることが可能である。
【0021】
前部遮風幕80は、本体筐体10の前壁15との間に所定の間隙を確保した状態で前壁15を覆う位置に配設してあり、前壁15との間に前部通風空間81を構成している。この前部通風空間81は、本体筐体10の前壁15と前部遮風幕80との間に人が出入りするだけの寸法が確保してあり、これらの間を通路として用いることが可能である。
【0022】
図には明示していないが、上部遮風板50、後部遮風幕70及び前部遮風幕80は、それぞれ透光性を有した部材によって構成してあり、配送センター建屋1の内部に配設した照明光(図示せず)を透過することが可能である。
【0023】
さらに、上記商品収納装置では、本体筐体10の底壁11と、配送センター建屋1の床面1aとの間に下部通風ダクト90が設けてある。下部通風ダクト90は、本体筐体10の外部において商品取出口16の下縁に対応する部位に外部吸入口91を有し、かつ本体筐体10の外部において後壁12と後部遮風幕70との間の後部通風空間71の下方部に外部吹出口92を有したものである。この下部通風ダクト90の内部には、回収用送風ファン(送風手段)93が配設してある。回収用送風ファン93は、駆動した場合に、外部吸入口91から下部通風ダクト90に空気を吸い込み、本体筐体10の下方を通過した後、下部通風ダクト90に吸い込んだ空気を外部吹出口92から吹き出すように機能するものである。
【0024】
上記のように構成した商品収納装置では、蓋部材40を開けることによって本体筐体10の後壁12に設けた商品補充口12aを開放させれば、本体筐体10の外部からそれぞれのラック板30の上面に一時保管すべき商品を載置させることができる。ラック板30の上面に載置された商品は、ローラ(図示せず)が適宜回転することによりラック板30の傾斜に従って順次前方側に移動する。これにより、商品収納装置においては、ラック板30の前端側から後端側に向けて商品が順番に配列された状態で収納されることになり、常にラック板30の最前列に収納された商品を商品取出口16から取り出すことが可能となる。
【0025】
この間、上記商品収納装置では、蒸発器24を含む冷凍サイクルを駆動するとともに、循環送風ファン23を駆動すると、本体筐体10の内部の空気が内部吸入口21から内部循環ダクト20に吸い込まれるとともに、内部循環ダクト20に吸い込まれた空気が内部吹出口22から本体筐体10の内部に吹き出されることになる。内部循環ダクト20に吸い込まれた空気は、蒸発器24を通過する際に空気が熱交換により冷却されるため、本体筐体10の内部に対して常に冷却された状態で供給される。これにより、ラック板30を介して本体筐体10の内部に収納された商品が仕分けされるまでの間に暫時時間を要したとしても、所望の温度、例えば冷凍温度を維持した状態で一時保管することが可能となる。
【0026】
ここで、この種の商品収納装置では、本体筐体10の前壁15に設けた商品取出口16が常時開口した状態となるため、温度制御された内部の空気が外部に漏出してエネルギー損失を招来する恐れがある。また、蒸発器24を含む冷凍サイクルを駆動している間に商品を補充すべく蓋部材40を開けて商品補充口12aを開放した場合には、この商品補充口12aを通じて本体筐体10に内部に外気が進入する事態が発生してエネルギー損失を招来する恐れがある。
【0027】
しかしながら、上述の商品収納装置によれば、回収用送風ファン93を駆動すると、本体筐体10の外部において商品取出口16の下縁に対応する部位に開口した外部吸入口91から下部通風ダクト90に空気が吸い込まれるとともに、下部通風ダクト90に吸い込まれた空気が外部吹出口92を介して後部通風空間71に吹き出される。後部通風空間71に吹き出された空気は、本体筐体10の後壁12と後部遮風幕70との間に案内されて上昇し、上壁14と上部遮風板50との間の上部通風空間51を前方に移動した後、前部遮風幕80に案内されて下降し、外部吸入口91もしくは内部循環ダクト20の内部吸入口21に至ることになる。外部吸入口91から下部通風ダクト90に吸い込まれる空気は、本体筐体10の内部で冷却されたものである。従って、本体筐体10の周囲が冷却された空気によって取り囲まれることになり、本体筐体10を通じた外気との熱の授受が抑制され、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0028】
しかも、本体筐体10の後壁12との間に構成した後部通風空間71には、人が出入りするだけの寸法が確保してある。さらに、後部遮風幕70としては可撓性を有したものを適用している。このため、後部通風空間71に立ち入って商品補充口12aから本体筐体10の内部に商品の補充を行うことが可能である。この場合、後部通風空間71に対して商品取出口16から漏出した温度調整後の空気を送給するようにしているため、蓋部材40を開けて商品補充口12aを開放した場合にも、本体筐体10の内部に急激な温度変化を来す恐れがない。これらの結果、本体筐体10の後壁12に商品補充口12aを有した商品収納装置であっても、エネルギー消費量を低減することができるようになる。尚、後部遮風幕70及び前部遮風幕80については、カーテン状のものを適用しても良いが、上下方向に延びる細長い切り込みを設けることで暖簾状に形成すれば、人の出入りを容易化することが可能となる。
【0029】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2である商品収納装置を示したものである。ここで例示する商品収納装置は、実施の形態1と同様、物流の拠点となる配送センター建屋1の内部に設置され、所望の温度状態、例えば冷凍状態で搬入された商品を出荷先ごとに仕分ける作業において一時保管ラックとして適用されるもので、実施の形態1とは本体筐体10の内部に設けたラック板30の数、及び本体筐体10の外部に商品を配置するためのラック板30を配設した点が相違する。すなわち、実施の形態2の商品収納装置では、本体筐体10の内部に2段のラック板30を配設している。本体筐体10の上壁14と上部遮風板50との間には、新たなラック板130を配設するとともに、本体筐体10の上壁14にラック板の機能を付与している。これらの本体筐体10の外部に配設したラック板(以下、本体筐体10の内部に配設したラック板30と区別する場合に「外部ラック板130」と称する)は、本体筐体10の内部に配設したラック板30(以下、外部ラック板130と区別する場合に「内部ラック板30」と称する)と同様、それぞれが前方に向けてわずかに低くなるように傾斜して配置してあり、個々の上面に商品の載置面が構成されている。図には明示していないが、それぞれの外部ラック板130の上面に前後方向に沿って複数のローラ(図示せず)が回転可能に配設してある点も、実施の形態1と同様である。尚、実施の形態2において実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0030】
上記のように構成した商品収納装置では、蓋部材40を開けることによって本体筐体10の後壁12に設けた商品補充口12aを開放させれば、本体筐体10の外部からそれぞれの内部ラック板30の上面に一時保管すべき商品を載置させることができる。外部ラック板130に対しては、本体筐体10の外部に配設されたものであるため、そのままの状態で個々の上面に一時保管すべき商品を載置させることができる。それぞれのラック板30,130に載置された商品は、ローラ(図示せず)が適宜回転することによりラック板30,130の傾斜に従って順次前方側に移動する。これにより、商品収納装置においては、ラック板30,130の前端側から後端側に向けて商品が順番に配列された状態で収納されることになり、常にラック板30,130の最前列に収納された商品を本体筐体10の前壁15側から取り出すことが可能となる。
【0031】
この間、上記商品収納装置では、蒸発器24を含む冷凍サイクルを駆動するとともに、循環送風ファン23を駆動すると、本体筐体10の内部の空気が内部吸入口21から内部循環ダクト20に吸い込まれるとともに、内部循環ダクト20に吸い込まれた空気が内部吹出口22から本体筐体10の内部に吹き出されることになる。内部循環ダクト20に吸い込まれた空気は、蒸発器24を通過する際に空気が熱交換により冷却されるため、本体筐体10の内部に対して常に冷却された状態で供給される。これにより、内部ラック板30を介して本体筐体10の内部に収納された商品が仕分けされるまでの間に暫時時間を要したとしても、所望の温度、例えば冷凍温度を維持した状態で一時保管することが可能となる。
【0032】
一方、上述の商品収納装置によれば、回収用送風ファン93を駆動すると、本体筐体10の外部において商品取出口16の下縁に対応する部位に開口した外部吸入口91から下部通風ダクト90に空気が吸い込まれるとともに、下部通風ダクト90に吸い込まれた空気が外部吹出口92を介して後部通風空間71に吹き出される。後部通風空間71に吹き出された空気は、本体筐体10の後壁12と後部遮風幕70との間に案内されて上昇し、上壁14と上部遮風板50との間の上部通風空間51を前方に移動した後、前部遮風幕80に案内されて下降し、外部吸入口91もしくは内部循環ダクト20の内部吸入口21に至ることになる。外部吸入口91から下部通風ダクト90に吸い込まれる空気は、本体筐体10の内部で冷却されたものである。従って、外部ラック板130に一時保管された商品に対して冷却された空気を供給することができ、商品が仕分けされるまでの間に暫時時間を要したとしても、所望の温度、例えば冷蔵温度を維持した状態で一時保管することが可能となる。さらに、本体筐体10の周囲が冷却された空気によって取り囲まれることになり、本体筐体10を通じた外気との熱の授受が抑制され、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0033】
しかも、本体筐体10の後壁12との間に構成した後部通風空間71には、人が出入りするだけの寸法が確保してある。さらに、後部遮風幕70としては可撓性を有したものを適用している。このため、後部通風空間71に立ち入って商品補充口12aから本体筐体10の内部に商品の補充を行うことが可能である。この場合、後部通風空間71に対して商品取出口16から漏出した温度調整後の空気を送給するようにしているため、蓋部材40を開けて商品補充口12aを開放した場合にも、本体筐体10の内部に急激な温度変化を来す恐れがない。これらの結果、本体筐体10の後壁12に商品補充口12aを有した商品収納装置であっても、エネルギー消費量を低減することができるようになる。
【0034】
尚、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、いずれもピッキング作業の際に用いられる一時保管ラックを例示しているが、本発明に係る商品収納装置はこれに限らず、例えば店舗に販売商品を陳列させるショーケースとしても適用することが可能である。
【0035】
また、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、側部遮風板60として独立したものを適用しているが、配送センター建屋1の壁を利用することで側部遮風板60を省略することが可能である。
【0036】
さらに、前部遮風幕80を設けることで、より確実に商品取出口16から漏出した空気で本体筐体10の周囲を取り囲むことが可能になるとともに、前部通風空間81に人が出入りするだけの寸法が確保してあるため、ラック板30,130に一時保管した商品を取り出す際の外部との熱の授受を抑制することができるが、必ずしも前部遮風幕80を設ける必要はない。空気を循環させるのであれば、単に上部遮風板50の先端部に下方に向けて上部ガイド板50aを設けておけば十分である。
【符号の説明】
【0037】
10 本体筐体
12 後壁
12a 商品補充口
14 上壁
15 前壁
16 商品取出口
40 蓋部材
50 上部遮風板
51 上部通風空間
70 後部遮風幕
71 後部通風空間
80 前部遮風幕
90 下部通風ダクト
91 外部吸入口
92 外部吹出口
93 回収用送風ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁に商品取出口を有するとともに後壁に補充用開口を有した本体筐体と、前記本体筐体の商品補充口を開放可能に閉塞する蓋部材と、前記本体筐体の内部に配設した温度調整手段とを備え、前記温度調整手段を通じて前記本体筐体の内部で空気を循環させることにより、前記商品取出口を開放した状態で前記本体筐体の内部に収納した商品を所望の温度状態に維持する商品収納装置において、
前記本体筐体の上壁との間に所定の間隙を確保して配設し、前記上壁との間に上部通風空間を構成する上部遮風部材と、
前記本体筐体の後壁との間に通路を構成することのできる間隙を確保して配設し、前記後壁との間に前記上部通風空間に連通した後部通風空間を構成する後部遮風部材と、
前記本体筐体の外部において前記商品取出口の下縁に対応する部位に外部吸入口を有するとともに、内部に送風手段を備え、前記送風手段が駆動した場合に前記外部吸入口から吸い込んだ空気を前記後部通風空間に送給する下部通風ダクトと
を備え、前記送風手段の駆動により、前記商品取出口から外部に漏出した空気を前記下部通風ダクト、前記後部通風空間及び前記上部通風空間を通じて前記本体筐体の周囲に循環させることを特徴とする商品収納装置。
【請求項2】
前記下部通風ダクトは、前記本体筐体の前壁から本体筐体の下方を経由し、前記外部吸入口から吸い込んだ空気を前記後部通風空間において下方から上方に送給するものであり、
前記本体筐体の前壁を覆う位置に前方遮風部材を配設し、前記上部通風空間を前方に向けて通過した空気を前記前方遮風部材によって下方に案内することを特徴とする請求項1に記載の商品収納装置。
【請求項3】
前記本体筐体の上壁と前記上部遮風部材との間に商品を配置するためのラックを配設したことを特徴とする請求項1に記載の商品収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−249957(P2012−249957A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126613(P2011−126613)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】