説明

商品展示体、その製造装置および方法

【課題】テープから袋を取り外しやすい商品展示体を提供することを課題とする。
【解決手段】(1)ヒートシールにより形成された袋とテープとの接着面は、接着部と非接着部とが交互に形成された縞型模様に構成され、前記縞型模様の境界線は、ヒートシールされたテープの幅方向に対して、15°〜75°の範囲の角度で傾斜していることを特徴とする商品展示体;(2)ヒータのヒートシール面が上記の縞型模様が構成されるように凹凸形状を有し、凹面と凸面との境界線が上記の範囲内の角度で傾斜している、商品展示体を製造するためのストリップバッグ装置;および(3)テープから袋を剥離するときの剥離強度が所定の範囲内になるように、凹面と凸面との境界線が上記の範囲内から選択された傾斜角度を有するヒートシール面を用いる商品展示体の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を封入したプラスチックフィルム製の袋をスーパマーケット、小売店等において展示販売するために、前記袋を帯状のテープに複数個並べて取付けて吊り下げ形態にした商品展示体、前記商品展示体を製造するためのストリップバッグ装置およびこの装置を用いてテープに袋を取付けて商品展示体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商店のスペースを効率的に使用して、食品等を封入した袋を陳列販売するための方法として、複数の袋を帯状のテープに並べて取付けて吊り下げ状態で展示し、消費者がこの袋を取り外して購入する方法が行われている。この販売方式を行うために、帯状のテープをヒータに供給するとともに、食品包装された袋を把持して、袋の所定箇所をヒータ面上のテープに重ねながら、ヒートシールによりテープに袋を取付けるためのストリップバッグ装置はすでに知られている(特許文献1〜3)。
【0003】
また、この方式でテープに取付けられた袋は、商店で展示販売され消費者に購入されるまでは、吊り下げ状態が維持されている必要がある一方では、消費者が袋を取り外して購入する時点では、袋はテープから取り外しやすいものでなければならないということも要求される。このような二つの要求に適合することのできるテープの提案がなされている(特許文献4および5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3578348号公報
【特許文献2】特許第3602527号公報
【特許文献3】特開2008−105701号公報
【特許文献4】特許第4018053号公報
【特許文献5】特許第4043471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
個々の現場でストリップバッグ装置を使用して、テープに袋を取付けると、種々の変動要因、例えば、取付けようとするプラスチックフィルム製の袋表面層の性状等によりテープに袋が強く接着して、取外し時に袋が損傷したり、吊り下げのためのテープ上部のホールパンチが裂けたりする場合があり、さらにテープから袋を取り外しやすくする必要性があることがわかった。
【0006】
本発明は、かかる実情を考慮して、取り外しやすいようにテープに袋を取付けた商品展示体、かかる商品展示体を製造するためのストリップバック装置、および前記ストリップバック装置を用いて、袋をテープに取付けるための方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討の結果、下記の商品展示体、ストリップバッグ装置、および商品展示体の製造方法を提供する。
【0008】
(1)商品を封入した袋が、所定幅の帯状の形状を有するテープにヒートシールされて、吊下げ展示される商品展示体において、
ヒートシールにより形成された袋とテープとの接着面は、接着部と非接着部とが交互に形成された縞型模様に構成され、前記縞型模様の境界線は、ヒートシールされたテープの幅方向に対して、15°〜75°の範囲の角度で傾斜していることを特徴とする商品展示体。
【0009】
(2)所定幅の帯状の形状を有するテープに商品を封入した袋がヒートシールにより取付けられた商品展示体を製造するためのストリップバッグ装置であって、前記装置は、ヒートシール面を有するヒータ、ヒートシール面上のテープと袋を押圧する押圧面を有する押圧体、および前記押圧体を上下する機構を具備した、ストリップバッグ装置において、
前記ヒートシール面はヒートシール部と非ヒートシール部とが交互に形成された縞型模様を構成するように凹凸形状を有しており、前記凹面と凸面との境界線は、テープの幅方向に対して、15°〜75°の範囲の角度で傾斜していることを特徴とするストリップバッグ装置。
【0010】
(3)上記のストリップバッグ装置を用いて、テープを所定の温度に加熱されたヒートシール面上に送りながら、袋の所定箇所をテープ上に置き、押圧体の押圧面で上から押圧してヒートシールすることにより、袋をテープに取付けて商品展示体を製造する方法において、
テープから袋を剥離するときの剥離強度が所定の範囲内に入るように、テープの幅方向に対する、前記凹面と凸面との境界線の傾斜角度を15°〜75°の範囲の中から選択し、前記凹面と凸面との境界線が選択された傾斜角度を有するヒートシール面を用いてヒートシールすることを特徴とする商品展示体の製造方法。
【0011】
上記ストリップテープにおいて、前記テープが、テープに強度的性能を与える基材層と、袋を取付けるためのヒートシール性を有するシーラント層と、前記基材層と前記シーラント層との間に、取り外した袋を再取付け可能にする粘着剤層を備えていることが好ましい。
【0012】
上記ストリップバッグ装置において、ヒートシール面の面積(A)と非ヒートシール面の面積(B)との合計に対するヒートシール面の面積の比率(A/A+B)が、40%〜80%の範囲内にあることが好ましい。
【0013】
上記商品展示体の製造方法において、前記剥離強度は、テープから袋を剥離しながら測定されるストレス・ストレイン曲線のピークから求められる値であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、商品展示体のヒートシールにより形成された接着面が、接着部と非接着部とが交互に形成された縞型模様に構成され、縞型模様の境界線は、ヒートシールされたテープの幅方向に対して15°〜75°の範囲の角度で傾斜している。テープから袋を下方に引っ張りながら取外しを行うとき、接着面の上から下に向かって剥離が進むが、縞型模様の境界線が所定の角度で傾斜して接着面を分断していることにより、袋を取り外す力が1方向に集中して作用することなく分散されるため、より低い力で袋を取り外すことができる。この場合、さらに接着部面積と非接着部面積との比、および接着面全体の大きさを選ぶことにより、所定の接着力を維持しながら、袋を掴んで取り外すときの初期の応力を低下させて取り外しやすくすることができる。
【0015】
本発明によれば、ストリップバッグ装置のヒータのヒートシール面がヒートシール部と非ヒートシール部とが交互に形成された縞型模様を構成するように凹凸形状を有しており、凹面と凸面との境界線がテープに幅方向に対して15°〜75°の範囲内で傾斜しているので、この形状に対応して、テープと袋との間に形成される接着面も傾斜した縞型模様が形成され、これにより袋を取り外すとき、取外しに要する応力が低くなり、取り外しやすさが改良される。
【0016】
本発明によれば、ヒートシール面が、ヒートシール部と非ヒートシール部とが交互に形成された縞型模様に形成され、縞型模様の境界線がテープの幅方向に対して15°〜75°の範囲内に傾斜しているヒータを用いて、袋をテープに取付けることにより、傾斜角度を選択することにより、テープと袋との間が所望の剥離強度を有するように調節することが可能であり、したがって、種々のデイメンションのヒートシール面を用意して、この中から選択することにより、所望の剥離強度を有する、商品展示体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】テープに袋を取付けたストリップバッグおよびテープの1例を示す説明図である。
【図2】ストリップバッグ装置の1例を示す側面図である。
【図3】図2の装置のヒータおよび押圧体周辺を示す拡大側面図である。
【図4】ストリップバッグ装置の他の1例を示す側面図である。
【図5】図4の装置のヒータおよび押圧体周辺を示す拡大側面図である。
【図6】ストリップバッグ装置のヒータの斜視図である。
【図7A】本発明のストリップバッグ装置に用いられるヒートシール面の1例を示す斜視図である。
【図7B】本発明のストリップバッグ装置に用いられるヒートシール面の1例を示す斜視図である。
【図8】本発明の商品展示体における袋とテープの接着面を示す説明図である。
【図9】テープから袋を剥離するときのストレス・ストレイン曲線の1例(比較例)を示す図である。
【図10A】本発明の展示体から袋を剥離するときのストレス・ストレイン曲線の1例(実施例1)を示す図である。
【図10B】本発明の展示体から袋を剥離するときのストレス・ストレイン曲線の他の1例(実施例2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(商品展示体)
本発明で用いられるテープTは、図1(b)に示すように帯状であり、上部には吊り下げ用のホールパンチ2が形成され、テープ本体部1に、袋の上端部(袋の上側シール部)3が取付けられて、複数の袋Bが吊り下げられ、商品展示体Aを形成している。本発明において、商品展示体Aとは、所定幅のヒートシール性の帯状形状を有するテープTに、吊り下げ展示されるように、複数の袋Bがヒートシールにより取付けられたものをいう。より具体的な態様として、(イ)袋の裏面側上端部をテープにヒートシールする態様、(ロ)商品を封入した袋の表面側の上端部領域3が、テープにヒートシールされ、袋の表面側が展示されるように折り返された状態で、袋が吊り下げ展示されるように形成されている態様が挙げられる。図1(a)〜(c)は、後者の態様を示しており、図1(a)は、ストリップバッグ装置で、テープTに袋Bを取付けた状態を示している。テープTと袋Bの表面側とを対向させて、袋の上端部3をテープTに取付ける。したがって、図1(a)では、袋Bの裏面側が見える。袋BをテープTに取付けた後、テープTの上下を反転させて、図1(c)に示しているように、袋の上端部3で折り返されて、袋の表面側を見ることができるようになる[図1(b)]。この状態で、商店において袋が展示される。
【0019】
(テープ)
テープは、テープに機械的強度を与える基材層とテープにヒートシール性を与えるシーラント層の少なくとも2層の構造からなる積層構造を有している。基材層は、通常、10〜60μmの厚さを有するプラスチックフィルム、紙、布、不織布、金属箔等の素材から形成されるが、好ましくは、プラスチックフィルムである。プラスチックフィルムとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミドなどのフィルム、特に二軸延伸フィルムが使用される。シーラント層は、通常、10〜80μmの厚みを有しており、シーラント層の素材としては、低融点でヒートシール可能なフィルム(低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル樹脂、イージーピール性フィルムなど)が用いられ、上記基材層フィルムとシーラント層フィルムとが積層され、所定幅にカットされてテープが形成される。通常、テープは、20〜50mm、好ましくは、35mmの幅を有しており、この幅のテープにより、通常、商品が封入された、幅15〜30cm、長さ10〜50cmの袋が吊り下げられている。
【0020】
また、上記の基材層フィルムに粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、その上に上記のシーラント層を形成した3層構造のテープが用いられる場合もある。この場合には、テープから袋を取り外すとき、シーラント層と粘着剤層間で剥離が起こり、テープのシーラント層が袋側に移行することにより、テープの粘着剤層が露出するので、その面に一度取り外した袋を再び接着することができる。粘着剤層としては、通常、天然ゴム系、アクリル系粘着剤などの室温で粘着性を有する公知の粘着剤が使用可能である。基材層フィルム上に形成する粘着剤層の厚みは、通常20〜80μmである。基材層フィルムにアンカーコート処理を行って、その上に粘着剤層が形成され、さらにその上にヒートシール性のあるシーラント層が形成される。袋を取付けた商品展示体から袋を取り外しやすくするために、シーラント層と粘着剤層との間にシリコーン剥離剤層を設けるのが好ましい。さらに、シーラント層フィルムには、テープの長さ方向に直角にテープ全幅にわたる所定間隔、例えば,1〜20mm間隔(好ましくは2〜5mm間隔)でスリットを設けるのが好ましい(特許文献5参照)。図1(d)は、粘着剤層を有するテープの外観を示す説明図であり、テープ1のシーラント層4には、所定間隔でスリット5が形成されている。特に、本発明に係る、傾斜した縞型模様の接着面は、商品展示体から袋を取り外すとき、テープのシーラント層と粘着剤層間で、テープのシーラント層に形成されたスリットに沿って剥離が起こり、粘着剤層を露出させるのに有効である。
【0021】
(ストリップバッグ装置の概要)
テープに袋を取付けるストリップバッグ装置の1態様の概要を図2に示す。
図2は、製袋包装機21から排出される食品等を充填した袋を把持してテープに取付ける装置20を示している。この場合には、製袋包装機21とストリップバッグ装置20とは連動しており、製袋包装機から排出される袋Bは、逐次ストリップバッグ装置20に送られ、テープTへの取付けが行われる。しかし、ストリップバッグ装置20は製袋包装機21と連動する必要はなく、袋を保管するボックスから袋を取り出しながら、テープへの取付けを行ってもよい。
【0022】
図2において、テープTは図外のロールから繰り出され、複数の駆動ローラ24で案内されながら移送される。テープを繰り出す駆動モータ23としては、サーボモータが用いられ、制御装置により送り量が制御される。テープの移送経路には作業ユニット25が配置されている。作業ユニット25には、テープに各種情報(テープに関する情報、商品である袋の販売促進のための情報等)を印刷するプリンタ、テープにミシン目(連続して製造されるストリップテープTを個別に分離するためのミシン目等)を入れるカッタ、テープにパンチ穴(商店でストリップバッグを吊り下げるための穴)を開けるためのパンチ等が内蔵されている。
【0023】
図2の上部には、包装機の横シールジョー26が示されている。横シールジョー26により袋の上端部がシールされると、袋移動機構の把持部材27が上方に移動して、袋Bの上方の両側面を把持するとともに、袋の上端は横シールジョー26に取付けられているカッタにより切断分離される。把持部材27により把持された袋は、ストリップバッグ装置のヒータ28方向に下方に移動する。把持部材27は、袋Bの上端部領域(通常は、袋上端のシール部)をヒータ面上のテープTの所定位置に置くと、袋Bを解放して上側に移動して次の袋の把持を行う。
【0024】
図2に示すように、ストリップバッグ装置20は、テープTに袋Bの所定箇所をヒートシールにより取付けるためのヒータ28、テープTと袋Bの接触面を上から押圧するための押圧体29、押圧体29を上下に往復運動させる機構(図示せず)を備えている。さらに、テープTをヒータ28に送るテープ供給部22、袋の所定箇所をヒータ面上のテープに重ねるために、製袋包装機近傍の把持位置からヒータ近傍の解放位置に、袋を把持して移動させる把持部材27およびその把持部材を移動させるための移動機構271を備えている。
【0025】
図3は、押圧体29とヒータ28部分をより拡大して示している。ヒータ面28上に袋が置かれていないときには、押圧体29の先端部29aは、ヒータ28に対して離反している状態にある。把持部材により把持された袋Bの所定箇所がヒータ面28上のテープTに重ねられると、押圧体用シリンダーが作動して押圧体29の先端部29aはヒータ面28を押し付ける方向Cに移動して、押圧体29の先端部29aとヒータ28との間に、テープと袋の所的箇所(通常、袋の上端部)とが重なった状態で挟み込まれる。この状態で、袋とテープの接触面は加熱され、テープのシーラント層と袋の表面層との間で溶着が起こり、袋はテープに取付けられる。溶着が完了すると、前記シリンダーが作動して押圧体29の先端部29aはヒータ28から離反する。
【0026】
図4は、ストリップバッグ装置の他の例を示している。このストリップバッグ装置41は、製袋包装機と連動するものではなく、供給コンベア43から供給された、商品が封入された袋Bを導入コンベア44でストリップバッグ装置41に導入し、この導入コンベア44の終端部を構成するドロップコンベア45を設け、導入コンベア44で導入された袋Bの端部を把持ユニット48で把持させて、貼付けの位置に移動させ、この袋をテープに
取付ける。
【0027】
図5は、ストリップバッグ装置41を構成するヒータ51と押圧体52周辺を拡大して示す拡大側面図である。この図に示されているように、ストリップバッグ装置41は、ヒータ51、ヒータ51との間でテープTを袋とを挟みつける押圧体52と、この押圧体52を上下動するためのエアシリンダー53と、テープに適宜パンチ孔やミシン目を入れるためのパンチ・カッタユニット54を有している。ヒータ51は、ヒートシール面を備えており、このシール面と押圧体52の押圧体面との間でテープTと袋Bとは圧着されてヒートシールが形成される。
【0028】
(ヒータ)
図6に示すように、ヒータ60は、ヒートシール面61、ヒートシール面61を取付けるためのヒータ台62、ヒートシール面61を所定の温度に加熱する加熱機構63を有しており、従来のヒータでは、ヒートシール面61は凹凸のない長方形の平面形状を有している。ヒートシール面61の幅は、テープの幅に対応した幅となっており、テープ幅20〜50mmの場合、通常それより若干狭い幅を有しているが、テープと袋との間の接着力が強すぎる場合、さらに幅を狭くすることがある。また、テープの進行方向の長さは、5〜30mm程度であるが、テープと袋との接着力により適宜選択される。袋の中央部上端部領域、好ましくは、上端シール部とテープとがヒートシールされて、袋を吊り下げている。
【0029】
(ヒートシール面)
本発明において、ヒートシール面は、通常長方形の形状をしているが、台形、台形と長方形とを複合した六角形状等の任意の多角形状を有していてもよい。なお、本発明において、多角形状の角部は、幾何学的に正確な角部の形状をしている必要はなく、丸みを帯びていてもよい。従来のヒートシール面は所定の長さと幅を有する1つの平面で形成されているが、本発明によれば、ヒートシール面は、ヒートシール部と非ヒートシール部とが交互に構成された縞型模様を構成するように凹凸形状を有しており、凹面と凸面との境界線が、テープの幅方向に対して15°〜75°の範囲、好ましくは20°〜70°、さらに好ましくは、25°〜65°の範囲内の角度で傾斜しており、この傾斜角度を調節することにより、剥離強度を調節することができる。15°よりも傾斜が小さい場合、テープと袋との間の接着力が強すぎてテープから袋を容易に取り外すことが容易でなくなる。また、75°を超える傾斜角度である場合、小さい力で袋がテープから取り外すことができるが、一方、接着力が弱くなり、テープが袋を安定に保持して展示することが困難となる。傾斜角度を上記の範囲内で選ぶことにより、テープと袋との接着面は、消費者が袋をテープから取り外す際の初期の剥離が容易となり、さらに剥離を進めても剥離強度が高くなることはなく袋を容易に取り外すことができる。
【0030】
さらに、ヒートシール面の面積(A)と非ヒートシール面の面積(B)との比(A/A+B)が40%〜80%(好ましくは、45%〜75%)の範囲内にすることにより、袋はテープに安定して接着されている。図7Aには傾斜角度が30°、A/A+Bの比が60%のヒートシール面が示されており、図7Bには傾斜角度60°、A/A+Bの比が60%のヒートシール面が示されている。このヒートシール面は、図6に示されている従来のヒートシール面(長方形状で凹凸構造を有しない平面体)に代わってヒータに取付けられる。凹凸面のあるヒートシール面は、平面板に所定幅で所定深さの溝を形成することにより製造できる。凸部の幅は、1〜4mm、凹部(溝)の幅は、0.4〜1.6の範囲内で、ヒートシール面に複数の凹凸面が形成されるのが好ましい。溝の深さは0.1〜0.4mmの範囲内で選択され、溝の形状は角型でも曲面状でもよいが、溝を曲面状に浅く形成した方が、ヒータ表面の温度コントロールが容易である場合がある。溝が浅すぎると溝からの熱がテープと袋との接着に影響を及ぼす場合があるので好ましくなく、溝が深すぎると凸面におけるヒータ面温度を低下させる作用を引き起こす場合があるので好ましくない。ヒートシール面には、複数の凸部・凹部が形成されるが、1つのヒートシール面において、複数の凸部・凹部のサイズは、同じでなくてもよい。
【0031】
テープは、図7Aおよび図7Bに示されるヒートシール面に置かれ、その上に袋の表面側の上端部領域が重ねられて、押圧体の押圧によりヒートシールが行われる。テープに所定数の袋が取付けられた後、テープはカットされて、一つの商品展示体が形成される。この商品展示体は、商店で展示されるときには、図1に示すように、上下反転されて袋の表面側が表面を向いて展示される。
【0032】
(テープと袋との接着面)
上記のヒートシール面を用いてヒートシールを行った場合、ヒートシールされた袋とテープとの接着面は、ヒートシール面の形状に対応した形状の接着面を形成している。本発明によれば、ヒートシール面の形状がヒートシール部と非ヒートシール部とが交互に形成された縞型模様を構成した凹凸形状をしているので、そのようなヒートシール面でヒートシールされた袋とテープとの接着面も、傾斜した縞型模様の形状の接着面となっている。
30°傾斜した縞型模様を有するヒートシール面を用いてヒートシールを行った場合の接着面の形状を図8に示した。上記接着面は、消費者が袋を取り外すに際し、接着面が部分接着され、しかも傾斜しているので、剥離し始める初期段階の剥離強度を低くすることが可能となり、過度の接着のために、袋とテープ間での剥離が進まず、袋の破壊が起こるという事態を避けることができる。縞型模様の境界線の傾斜角度は、15°〜75°の範囲内であり、20°〜70°の範囲内であることが好ましく、さらに25〜65°の範囲内であることが特に好ましい。また、袋がテープに取付けられてから、展示販売される過程において、袋はテープに保持される必要があり、そのために所定の接着力を必要とするが、接着部面積と非接着部面積との比率、接着面の面積(幅と高さ)等を調節して、所定の接着面(ヒートシール面)の面積を確保することにより達成することができる。接着面(ヒートシール面)の高さとしては、5〜30mmの範囲、接着面の幅としては、テープの幅が35mmの場合、15〜35mmの範囲内から適宜選択されることが好ましい。とくに、下記の実施例において示されているように、剥離強度(ストレス)―距離(ストレイン)曲線のピーク値が、所定の剥離強度値以下になるように、縞型模様の境界線の角度を調節することが、袋の破壊にまで及ぶような過度の接着を抑えることに有効である。
【0033】
ヒートシール部と非ヒートシール部が縞型模様に形成されたヒートシール面を用いてヒートシールを行った場合の接着面の形状を図8に示した。テープTに袋Bの表側上端部82がヒートシールにより取付けられ、吊下げられた状態を後ろ側から見た状態が示されている。袋の表側上端部82は、吊下げられることにより折り曲げられている(図1(c)参照)。透明テープを用いてヒートシールにより袋を取付けた場合にも、肉眼観察により接着面の形状を確認することができる。図8に示されている態様では、縞型模様の接着面81が形成されている。袋の上端のシール部82には、幅方向に平行な凹凸83が形成されているので、テープと袋上端シール部の凸面との間にヒートシールが行われている。
【0034】
ヒートシールは袋の上端部、好ましくは袋の上端シール部分に行われる。袋上下の幅方向のシール(横シール)は、通常、幅方向に平行に複数の凹凸が形成された、包装機の一対の横シールジョーを用いて行われるので、製造された袋の上下のシール部分には、幅方向平行に複数の凹凸形状が形成されている。この部分にテープとヒートシールが行われる場合には、袋上端のシール部の凸面にテープがヒートシールされ、袋上端のシール部の凹面にはテープとのヒートシールは行われにくい。袋とテープとのヒートシールによる接着を行う場合、袋上端部の凹凸の形状を考慮しながら,ヒートシール面の形状、面積を選択する必要がある。
【0035】
とくに、本発明に係る傾斜した縞型模様の接着面は、基材層とシーラント層との間に粘着剤層を設けるとともに、粘着剤層とシーラント層との間に剥離剤層を設け、シーラント層表面に所定間隔でスリットが設けられたテープと袋との間に形成された場合が特に効果的である。このようなテープから袋を取り外す場合、最初の段階で、(イ)テープのシーラント層に形成されたスリット部分からシーラント層の破壊が始まり、ついで(ロ)このシーラント層の破壊に、シーラント層と粘着剤層との間の剥離剤層からシーラント層の剥離が加わって破壊が進み、最終的に(ハ)剥離が下側のスリットに達したときに、袋が取り外されることになる。(イ)および(ハ)の段階における袋とテープ間の接着力は、テープのシール幅等を選択することにより(接着力が強すぎる場合には、接着面の幅を狭くすることにより)、調整可能である。(ロ)の段階は、シーラント層の破壊と、剥離剤層からのシーラント層の剥離とが加わっているため袋を取り外す際の剥離の実質的部分を構成しているが、本発明の傾斜した縞型模様の接着面により、下側に引っ張る力の分散が起こり、剥離強度を過度に高めることなく、袋を取り外すことができる。このことにより、所定の粘着剤層表面が露出するので、袋の再取付けが可能となる。なお、テープに取付けられた袋は、取外しが容易であるともに、取り外されるまでは、袋はテープに安定に保持されていなければならない。このためには、所定の接着面面積を必要とするので、接着面面積は、テープの袋保持力と袋の取り外しやすさとを勘案して選択する必要がある。
【実施例】
【0036】
(剥離強度の測定方法)
袋とテープ間の接着力の測定は下記のようにして行った。
袋を取付けたテープを15mm幅に裁断して、袋側とテープ側とを把持して、300mm/minの速度で引張り、90°剥離をさせながら、ストレス・ストレイン曲線を測定し、その結果を図9、図10Aおよび図10Bに示した。図において、縦軸は強度(N)、横軸は距離(mm)を示す。図9は不良例(比較例)、図10A,10Bは好適例(実施例)である。
【0037】
(テープ)
片面に天然ゴム系粘着剤(厚さ:50μm)をコートした二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)に、片面にシリコーン系剥離剤を塗布した低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:30μm)を、シリコーン系剥離剤が粘着剤層上に配置されるように、二軸ポリエチレンテレフタレートフィルムと低密度ポリエチレンフィルムとを積層し、ポリエチレンフィルム層のみには、長さ方向3mm間隔で幅方向にスリットを入れ、積層フィルムを幅35mmに切断してテープを得た。
【0038】
(ストリップバッグ装置のヒートシール面)
下記3種のヒートシール面をそれぞれ用いてヒートシールを行った。テスト(a)(比較例)では、幅20mm、高さ10mmの長方形の縞型模様のないヒートシール面を用いた。テスト(b)(実施例1)では、幅20mm、高さ10mm、ヒートシール面と非ヒートシール面とが縞型模様を構成し、縞型模様境界線の傾斜角度30°のヒートシール面を用いた(図7A参照)。テスト(c)(実施例2)幅20mm、高さ10mm、縞型模様境界線の傾斜角度60°のヒートシール面を用いた(図7B参照)。
【0039】
(袋のテープへの取付け)
テープと幅15cm、長さ20cmの袋の表面側とを向かい合わせて、袋表面側上端部の中央部をテープにヒートシールにより取付けた。ヒートシール条件は、テスト(a)、テスト(b)およびテスト(c)いずれも、185℃、300msecであった。ヒートシール後、テープに取付けた袋を反転させて、袋の表面が見えるようにした。
【0040】
(剥離強度測定結果)
図9の例(比較例)では、測定されたストレス・ストレイン曲線における剥離強度のピーク値Pは、25Nを越えており、袋―テープ間の接着力が強すぎて、袋を取り外すときに袋が損傷したり、テープ上部のホールパンチが破壊したりする問題が発生した。
図10Aの例(実施例1)においても、また、図10Bの例(実施例2)においても、測定されたストレス・ストレイン曲線における剥離強度のピーク値Pは、10N前後であり、この場合には袋を取り外すときに、袋が破壊したり、テープ上部のホールパンチ部が引裂かれたりすることなく、袋を取り外すことができた。この例では、テープと袋の接着面は、傾斜角度30°または60°の縞型形状をしており、袋を取り外すとき、接着面が傾斜しているので、適度な剥離強度で剥離が進むため、取外しが容易であるという特徴を有する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の商品展示体、前記商品展示体を製造するためのストリップバッグ装置およびその装置を用いる商品展示体の製造方法は、食品等の包装袋をテープに取付ける事業所において利用可能であり、また、取付けられたストリップバッグ(袋を取付けたテープ)は、スーパマーケット、コンビニエンスストア、小売店等の商店で広く展示販売に利用されるので、産業上の利用可能性の高いものである。
【符号の説明】
【0042】
1 テープ本体部
2 ホールパンチ
3 袋の上端部
4 シーラント層
5 スリット
20 ストリップバッグ装置
21 製袋包装機
22 テープ供給部
23 駆動モータ
24 駆動ローラ
25 作業ユニット
26 シールジョー
27 把持部材
271 移動機構
28 ヒータ
29 押圧体
29a 押圧体先端部
41 ストリップバッグ装置
42 把持ユニット
43 供給コンベア
44 導入コンベア
45 ドロップコンベア
51 ヒータ
52 押圧体
53 エアシリンダー
54 パンチ・カッタユニット
60 ヒータ
61 ヒートシール面
62 取付け台
63 加熱機構
70 ヒートシール面
71 下辺
72 上辺
81 接着面
82 袋の上端シール部
83 袋の上端シール部に形成された凹凸
A 商品展示体
B 袋
C 方向
D テープの移動方向
T テープ
P ピーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を封入した袋が所定幅の帯状の形状を有するテープにヒートシールされて、吊下げ展示される商品展示体において、
ヒートシールにより形成された袋とテープとの接着面は、接着部と非接着部とが交互に形成された縞型模様に構成され、前記縞型模様の境界線は、ヒートシールされたテープの幅方向に対して、15°〜75°の範囲の角度で傾斜していることを特徴とする商品展示体。
【請求項2】
請求項1において、前記テープが、テープに強度的性能を与える基材層と、袋を取付けるためのヒートシール性を有するシーラント層と、前記基材層と前記シーラント層との間に、取り外した袋を再取付け可能にする粘着剤層を備えている商品展示体。
【請求項3】
所定幅の帯状の形状を有するテープに商品を封入した袋がヒートシールにより取付けられた商品展示体を製造するためのストリップバッグ装置であって、前記装置は、ヒートシール面を有するヒータ、ヒートシール面上のテープと袋を押圧する押圧面を有する押圧体、および前記押圧体を上下する機構を具備した、ストリップバッグ装置において、
前記ヒートシール面はヒートシール部と非ヒートシール部とが交互に形成された縞型模様を構成するように凹凸形状を有しており、前記凹面と凸面との境界線は、テープの幅方向に対して、15°〜75°の範囲の角度で傾斜していることを特徴とするストリップバッグ装置。
【請求項4】
請求項3において、ヒートシール面の面積(A)と非ヒートシール面の面積(B)との合計に対するヒートシール面の面積の比率(A/A+B)が、40%〜80%の範囲内にあるストリップバッグ装置。
【請求項5】
請求項3に記載のストリップバッグ装置を用いて、テープを所定の温度に加熱されたヒートシール面上に送りながら、袋の所定箇所をテープ上に置き、押圧体の押圧面で上から押圧してヒートシールすることにより、袋をテープに取付けて商品展示体を製造する方法において、
テープから袋を剥離するときの剥離強度が所定の範囲内に入るように、テープの幅方向に対する、前記凹面と凸面との境界線の傾斜角度を15°〜75°の範囲の中から選択し、前記凹面と凸面との境界線が選択された傾斜角度を有するヒートシール面を用いてヒートシールすることを特徴とする商品展示体の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、テープから袋を剥離するときの剥離強度が所定の範囲内に入るように、ヒートシール面の面積(A)と非ヒートシール面の面積(B)との合計に対するヒートシール面の面積の比率(A/A+B)が、40%〜80%の範囲の中から選択されたヒートシール面を用いてヒートシールを行う商品展示体の製造方法。
【請求項7】
請求項5において、前記剥離強度は、テープから袋を剥離しながら測定されるストレス・ストレイン曲線のピークから求められる値である商品展示体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2011−102134(P2011−102134A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257650(P2009−257650)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】