説明

商品情報入力装置およびその制御プログラム

【課題】買い上げ商品情報の迅速な入力と誤入力の防止とを実現する登録画面を高い自由度をもって構成し、登録画面の操作者の利便に供すること。
【解決手段】タッチパネル付きの表示部に、予め商品情報が割り当てられた複数のプリセットキー305a,305b,305cを有する単品登録エリア305、及び、進行中の取引のレシートイメージを表示するレシートイメージ表示エリア306を、タッチパネルにてタッチ指定可能な最小領域の整数倍の大きさで表示する。そして、単品登録エリア305又はレシートイメージ表示エリア306のサイズの指定を受け付け、指定を受け付けたサイズに従い、単品登録エリア305及びレシートイメージ表示エリア306のサイズを相補的に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置として機能し、あるいは商品販売データ処理装置に接続され、入力インターフェイスを介して指定された商品の情報を商品販売データ処理装置に入力する商品情報入力装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オペレータである店員に向けて登録業務に関する種々の情報を表示するとともに置数キー等の操作キーを表示して、指先での各キーのタッチ操作を受け付けるタッチパネル付きの表示器を備えたPOS端末やECR(Electric Cash Register)等の商品販売データ処理装置が普及している。
【0003】
この種の商品販売データ処理装置の中には、バーコードスキャナ,キーボード,タッチパネル等のインターフェイスを介して入力された商品情報をオペレータが確認し易いように、前記表示器に表示される登録画面中にレシートイメージを表示するものが存在する(例えば、特許文献1)。このようにレシートイメージが表示されれば、オペレータは、入力された商品の金額や個数を容易に確認できるので、買い上げ商品情報の誤入力に気づき易くなる。
【0004】
一方、スーパーマーケットやファーストフード店等の多数の店舗では、それぞれ特定の商品情報が割り当てられた複数のプリセットキーを前記登録画面に表示する商品販売データ処理装置が使用されている。この種の装置によれば、前記登録画面に表示されたプリセットキーをタッチ操作するだけで所望の商品情報が入力できるので、バーコードが付されていない商品を扱う場合であっても迅速な会計処理が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、前記したような商品販売データ処理装置の登録画面のレイアウトは、当該装置のメーカーが提供する表示プログラムにて予め設定されている。すなわち、商品販売データ処理装置の出荷時には、所定数のプリセットキーの表示エリアやレシートイメージの表示エリアの配置が固定されていることになる。したがって、商品情報を入力する際にプリセットキーを使用する機会が少ない店舗では、実際には使用されない不要なプリセットキーが多く発生するので、限られた画面レイアウト上に無駄が生じてしまう。また、商品販売データ処理装置の出荷後にメーカーがメンテナンスを提供し、登録画面のレイアウトを変更するとなれば、店舗側およびメーカー側の双方にとって手間となる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、買い上げ商品情報の迅速な入力と誤入力の防止とを実現する登録画面を高い自由度をもって構成し、登録画面の操作者の利便に供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、次のような手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の視点は、表示画面上にタッチパネルを有する表示部と、予め商品情報が割り当てられた複数の操作釦、及び、買い上げ商品情報として入力済みの商品情報を含むレシートイメージを、前記表示画面に表示する表示制御手段と、前記タッチパネルが前記操作釦のタッチ操作を検知したとき、当該タッチ操作された操作釦に割り当てられた商品情報を前記買い上げ商品情報として入力する入力手段と、前記複数の操作釦の表示領域又は前記レシートイメージの表示領域のサイズの指定を受け付ける受付手段と、この受付手段にて指定を受け付けたサイズに従い、前記複数の操作釦の表示領域及び前記レシートイメージの表示領域のサイズを相補的に変更する変更制御手段とを備えた商品販売データ処理装置本体やこの本体に接続される商品情報入力部等の商品情報入力装置である。
【0009】
本発明の第2の視点は、前記商品情報入力装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた本発明によれば、買い上げ商品情報の迅速な入力と誤入力の防止とを実現する登録画面を高い自由度をもって構成し、登録画面の操作者の利便に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態であるPOS端末が設置されたチェックアウトレーンの外観斜視図。
【図2】同POS端末の制御回路を示すブロック図。
【図3】同POS端末が備えるオペレータ用表示器の最小領域の説明図。
【図4】同表示器の画像データを構成するフラグデータの構造の一例を示す図。
【図5】同表示器に表示される登録画面の一例を示す模式図。
【図6】同表示器に表示されるレシートイメージのサイズ変更手順を示す流れ図。
【図7】同表示器に表示される登録画面の一例を示す模式図。
【図8】同表示器に表示される登録画面の一例を示す模式図。
【図9】同登録画面を用いた商品情報の入力手順を示す流れ図。
【図10】本発明の変形例における登録画面の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施形態は、スーパーマーケット等のレジカウンタに設置され、装置本体と商品情報入力部とで構成される2人制のPOS端末(商品販売データ処理装置)に本発明を適用した一例である。
【0013】
[全体構成]
図1は、当該POS端末が設置されたチェックアウトレーン1をオペレータである店員の立ち位置側から見た外観斜視図ある。
このチェックアウトレーン1は、載置台2と、この載置台2の荷受面に載置された金銭収納用のドロワ3と、このドロワ3の上面に載置されたPOS端末の本体4と、買い物籠7の載置スペースを有し顧客の通路に沿って設けられたレジカウンタ5と、このレジカウンタ5の長手方向中心付近に立設された商品情報入力部6とで構成されている。なお、POS端末を構成する本体4および商品情報入力部6は、本実施形態における商品情報入力装置として機能する。
【0014】
本体4は、商品登録の開始を宣言するPLU(Price Look Up)キー,商品登録の締めを宣言する小計キー,一商取引の締めを宣言する預り/現計キー等の操作キーにて構成されたキーボード10と、オペレータの立ち位置側に表示面が向けられたLCD(Liquid Crystal Display)等のオペレータ用表示器11と、このオペレータ用表示器11の前面に設けられたタッチパネル12と、客の立ち位置側に表示面が向けられたVFD(Vacuum Fluorescent Display)等の客用表示器13と、取引の明細情報からなるレシートを印字するRJ(レシート・ジャーナル)プリンタ14と、クレジットカードやポイントカードからカード情報を読取るカードリーダ15とを備えている。
【0015】
商品情報入力部6は、置数キー等で構成されるキーボード20と、オペレータの立ち位置側に表示面が向けられたLCD等のオペレータ用表示器21と、このオペレータ用表示器21の前面に設けられたタッチパネル22と、顧客の立ち位置側に表示面が向けられたVFD等の客用表示器23と、オペレータ側の立設面に設けられた読取窓に翳されたバーコードを読み取る縦型スキャナ24と、この縦型スキャナ24の読取窓に翳せない商品に付されたバーコードを読取る際に使用する手持式スキャナ25とを備えている。なお、オペレータ用表示器21は、本実施形態における表示部として機能する。
【0016】
このような構成のチェックアウトレーン1では、主に買い上げ商品の商品情報の入力を担当するオペレータが商品情報入力部6を操作し、顧客との金銭あるいはカードの授受を担当するオペレータが本体4を操作する。
【0017】
[制御回路]
次に、本体4および商品情報入力部6の制御回路について説明する。
図2は、本体4および商品情報入力部6の制御回路を示すブロック図である。本体4の制御回路は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)100を備えている。そして、このCPU100に対して、固定的データを記憶したROM(Read Only Memory)101と、メインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)102と、ストアサーバ等の上位機器との通信を制御する通信I/F(Interface)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、商品情報入力部6との通信を制御する接続I/F105と、前記キーボード10,オペレータ用表示器11,タッチパネル12,客用表示器13,RJプリンタ14,およびカードリーダ15とが、アドレスバスやデータバス等のバスラインにて接続されている。
【0018】
一方、商品情報入力部6の制御回路は、制御の中枢として機能するCPU200を備えている。そして、このCPU200に対して、固定的データを記憶したROM201と、メインメモリとして機能するRAM202と、本体4との通信を制御する接続I/F203と、前記キーボード20,オペレータ用表示器21,タッチパネル22,客用表示器23,縦型スキャナ24,および手持式スキャナ25とが、アドレスバスやデータバス等のバスラインにて接続されている。
【0019】
本体4のRAM102には、商品登録業務を行うにあたり、商品情報入力部6にて縦型スキャナ24,手持式スキャナ25,キーボード20,またはオペレータ用表示器21を介して入力された買い上げ商品情報を登録する商品情報登録エリア110が形成される。
【0020】
HDD104には、OS(Operating System)ファイルや商品登録業務用のアプリケーションファイル等のPOS端末としての機能を発揮するために必要なデータの他に、商品情報入力部6のオペレータ用表示器21に表示される登録画面の画面データ111が記憶されている。画面データ111は、エリアデータ112と、表示位置指定データ113と、位置特定データ114と、フラグデータ115とで構成されている。
【0021】
エリアデータ112は、画面タイトル等を表示するタイトルエリア,直前に商品情報登録エリア110に登録された買い上げ商品情報を表示するカレントエリア,処理中の取引内にて登録された買い上げ商品情報の合計金額等を表示する合計金額等表示エリア,商品のカテゴリを指定する操作キーを表示するカテゴリエリア,カテゴリエリアにて指定されたカテゴリに属する商品のプリセットキーを表示する単品登録エリア,処理中の取引のレシートイメージを表示するレシートイメージ表示エリア等の画面部品のイメージにて構成されている。このような画面部品の中で、単品登録エリアとレシートイメージ表示エリアとは、図3に示すように商品情報入力部6のオペレータ用表示器21の表示画面をP(整数:P>0)行,Q(整数:Q>0)列に分割した際に一つのセルを構成する領域の整数倍の大きさに調整されている。前記セルを、タッチパネル22にてタッチ指定可能な最小領域ma(幅W×高さH)として定義する。
【0022】
表示位置指定データ113は、オペレータ用表示器21の表示画面にエリアデータ112を構成する各画面部品を表示する位置を指定する座標データにて構成されている。この座標データは、例えば矩形の画面部品を表示する場合にあっては、当該画面部品の左上端,左下段,右上段,右下段の4点を指定する情報である。
【0023】
位置特定データ114は、オペレータ用表示器21に表示されたプリセットキー等の操作キーの表示領域に対し、各操作キーの表示位置がタッチ操作された場合に実行すべき動作に関する情報を関連付けて構成されている。
【0024】
フラグデータ115のデータ構造の一例を、図4に示している。フラグデータ115は、図3に示したように分割された表示画面の左上のセルを座標(m=1,n=1)とした場合における各座標(m=1〜P,n=1〜Q)のそれぞれに対し、“0”または“1”にセットされるフラグFを関連付けたデータである。フラグFは、タイトルエリア,カレントエリア,合計金額等表示エリア,レシートイメージ表示エリアのようにタッチパネル22によるタッチ指定を受け付ける必要がないセルについては“1”にセットされ、単品登録エリアのようにタッチ指定を受け付ける必要があるセルについては“0”にセットされる。なお、フラグデータ115は、本実施形態における記憶手段として機能する。
【0025】
かかる構造の画面データ111の内容に変更が生じると、画面データ111の全てあるいは変更箇所の差分データが本体4から接続I/F105,203を介して商品情報入力部6に送信される。商品情報入力部6のCPU200は、本体4から受信した画面データ111をRAM202に記憶し、当該画面データ111に基づく登録画面をオペレータ用表示器21に表示させる。
【0026】
なお、本体4のCPU100および商品情報入力部6のCPU200は、所定の動作プログラムを実行することにより、当該POS端末に以下の主要な機能を実現させる。
(1)予め商品情報が割り当てられた複数のプリセットキー、及び、買い上げ商品情報として入力済みの商品情報を含むレシートイメージを、オペレータ用表示器21の表示画面に表示する表示制御機能。本実施形態では、プリセットキー及びレシートイメージを、これらの表示領域として用意された既定領域を満たして隣り合うように、タッチパネル22へのタッチ操作にて指定可能な最小領域maの整数倍の大きさでオペレータ用表示器21の表示画面に表示させる。
(2)タッチパネル22がプリセットキーのタッチ操作を検知したとき、当該タッチ操作されたプリセットキーに割り当てられた商品情報を買い上げ商品情報として入力する入力機能。この機能により入力された商品情報は、RAM102の商品情報登録エリア110に登録される。
(3)単品登録エリアまたはレシートイメージのサイズの指定を受け付ける受付機能。本実施形態においては、特にタッチパネル22へのタッチ操作にて指定可能な最小領域maの整数倍の大きさでレシートイメージのサイズの指定を受け付ける。
(4)受付機能にて指定を受け付けたサイズに従い、単品登録エリアおよびレシートイメージのサイズを相補的に変更する変更制御機能。
【0027】
上記(1)の表示制御機能によりオペレータ用表示器21に表示される登録画面の一例を、図5に示している。この登録画面300は、画面上部に配置されたタイトルエリア301と、画面下部の左側に配置されたカレントエリア302と、画面下部の右側に配置された合計金額等表示エリア303と、画面中腹の右端に配置されたカテゴリエリア304と、画面中腹であってカテゴリエリア304に隣接する位置に配置された単品登録エリア305と、画面中腹であって単品登録エリア305の左端に隣接する位置に配置されたレシートイメージ表示エリア306とで構成されている。
【0028】
カテゴリエリア304には、“特売品”,“野菜”,“くだもの”,“惣菜”等の商品のカテゴリを表示するカテゴリキー304aが表示されている。単品登録エリア305には、カテゴリキー304aにて指定されたカテゴリに応じて、“トマト”,“きゅうり”,“にんじん”,“じゃがいも”等の商品画像付きのプリセットキー305aと、“ゴーヤ”,“生姜”,“にら”,“エリンギ”等の商品画像無しのプリセットキー305bおよび“有機泥付きねぎ”,“ネギ洗いカット”等のプリセットキー305cとが表示される。単品登録エリア305に表示される各プリセットキーは、いずれも前記最小領域maの整数倍に設定されている。図5に示した例では、各プリセットキー305aを最小領域maの16倍(4行×4列)で表示し、各プリセットキー305bを最小領域maの4倍(2行×2列)で表示し、各プリセットキー305cを最小領域maの8倍(2行×4列)で表示している。
【0029】
レシートイメージ表示エリア306には、商品情報登録エリア110に登録された商品情報毎に、各商品の名称,買上点数,価格が表示される。レシートイメージ表示エリア306は、各プリセットキーと同じく、前記最小領域maの整数倍に設定されている。図5に示した例では、最小領域maの64倍(16行×4列)で表示している。
【0030】
なお、単品登録エリア305とレシートイメージ表示エリア306とを合わせた表示領域は、最小領域maの320倍(16行×20列)に固定されている(既定領域)。後述の動作では、単品登録エリア305とレシートイメージ表示エリア306とを合わせた表示領域がこの既定領域を満たし、かつ、この既定領域を超えない範囲内で単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306の表示領域が調整される。
【0031】
[動作]
次に、本発明に関わる本体4および商品情報入力部6の動作について説明する。
オペレータは、本体4のキーボード10またはタッチパネル12を操作してオペレータ用表示器11にメンテナンスメニューを表示させ、登録画面300のレシートイメージ表示エリア306のサイズを最小領域maの整数倍で変更することができる。この変更に際して本体4のCPU100および商品情報入力部6のCPU200が実行する処理について、図6の流れ図を用いて説明する。
【0032】
先ず、本体4のCPU100は、レシートイメージ表示エリア306の幅の指定を待ち受ける(ステップS101,S102)。このときオペレータは、本体4のキーボード10やタッチパネル12を操作してレシートイメージ表示エリア306の幅を指定することができる。この指定は、例えば予め大(幅12W),中(幅8W),小(幅4W)のように複数段階の幅を既定するデータをROM101やHDD104に記憶しておき、その中からオペレータの指定を受け付けるようにしてもよいし、オペレータがキーボード10またはタッチパネル12を介して最小領域maの整数倍となるようにレシートイメージ表示エリア306の幅を入力するようにしてもよい。
【0033】
上記のような方法によってレシートイメージ表示エリア306の幅が指定されたならば(ステップS102のYes)、CPU100は、表示位置指定データ113に登録されたレシートイメージ表示エリア306の右上端および右下段の表示位置を、指定を受け付けた幅に合わせて調整する(ステップS103)。
【0034】
さらに、CPU100は、エリアデータ112に登録された単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306を表示位置指定データ113に従ってオペレータ用表示器21に表示した場合に、レシートイメージ表示エリア306と単品登録エリア305とが重複する領域を特定し、フラグデータ115中の該当する領域に相当する箇所に登録されたフラグFを“1”にセットする(ステップS104)。なお、前記重複する領域以外の領域に相当する箇所に登録されたフラグFは、“0”にセットする。このようにフラグFを更新した後、CPU100は、接続I/F105,203を介して画面データ111を商品情報入力部6に送信する。本体4から画面データ111を受信すると、商品情報入力部6のCPU200は、受信した画面データ111をRAM202に記憶し、この画面データ111を構成するエリアデータ112および表示位置指定データ113を用いてオペレータ用表示器21に表示された登録画面を更新する(ステップS105)。以上で、一連の変更処理を終了する。
【0035】
上記レシートイメージ表示エリア306のサイズの変更処理を経た結果、商品情報入力部6のオペレータ用表示器21に表示される登録画面の一例を図7,図8に示している。図7は、図5に示した登録画面300のレシートイメージ表示エリア306の幅を、最小領域maの幅Wの8倍に広げた例であり、図8は、図5に示した登録画面300のレシートイメージ表示エリア306の幅を、最小領域maの幅Wの12倍に広げた例である。
【0036】
図7に示した登録画面300では、レシートイメージ表示エリア306の幅を広げたことによって、単品登録エリア305の左端から最小領域maの4列分に相当する箇所がレシートイメージ表示エリア306で覆い隠されている。その結果、フラグデータ115中の当該4列分に相当する箇所のフラグFが“1”にセットされる。また、レシートイメージ表示エリア306の幅が広がったことにより、図5に示した登録画面300では2段に渡って表示されていた買い上げ商品情報が最下段を除いて1段で表示されている。
【0037】
図8に示した登録画面300では、レシートイメージ表示エリア306の幅を広げたことによって、単品登録エリア305の左端から最小領域maの8列分に相当する箇所がレシートイメージ表示エリア306で覆い隠されている。その結果、フラグデータ115中の当該8列分に相当する箇所のフラグFが“1”にセットされる。また、レシートイメージ表示エリア306の幅が広がったことにより、図5に示した登録画面300では2段に渡って表示されていた買い上げ商品情報の全てが1段で表示されている。
【0038】
このように単品登録エリア305を覆い隠すようにレシートイメージ表示エリア306の幅を変更させることで、単品登録エリア305とレシートイメージ表示エリア306とを合わせた表示領域は、前記既定領域を満たし、かつ、この既定領域を超えない範囲内で変更されることになる。
【0039】
図7,図8に示した登録画面300のレシートイメージ表示エリア306のように、2段で表示されていた買い上げ商品情報が1段で表示されれば、より多くの買い上げ商品情報が一括して当該エリア306内に表示できるので、オペレータは誤操作に気づき易くなる。
【0040】
次に、登録画面300を用いて商品情報を入力するに際し、本体4のCPU100および商品情報入力部6のCPU200が実行する処理について、図9の流れ図を用いて説明する。
商品登録業務の実行中において、商品情報入力部6のCPU200は、オペレータ用表示器21に登録画面300を表示し、タッチパネル22のタッチ操作を待ち受けている(ステップS201,S202)。このときオペレータがタッチパネル22をタッチ操作したならば(ステップS202のYes)、CPU200は、タッチ操作された最小領域maの位置(行m,列n)を特定し、特定した位置(行m,列n)に対するフラグFの値をRAM202に記憶したフラグデータ115から特定する(ステップS203)。しかる後、CPU200は、特定したフラグFの値が“1”または“0”のいずれであるかを判定する(ステップS204)。
【0041】
特定したフラグFの値が“0”である場合(ステップS204の“F=0”)、タッチ操作された領域には、カテゴリキー304a,プリセットキー305a,305b,305c等のタッチ操作可能な操作キーが表示されている。したがって、CPU200は、位置特定データ114から当該領域に関連付けられた情報を特定し、特定した情報に基づく動作を実行する。すなわち、カテゴリキー304aのいずれかが操作されている場合には、操作されたカテゴリキー304aが示すカテゴリに応じて単品登録エリア305に表示するプリセットキー305a,305b,305cを変更し、プリセットキー305a,305b,305cのいずれかが操作されている場合には、接続I/F203,105を介して操作されたプリセットキーに関連付けられた商品情報を、買い上げ商品情報として本体4に入力する(ステップS205)。このように操作キーに応じた処理を実行した後、CPU200は、次のタッチパネル22のタッチ操作を待ち受ける(ステップS201)。
【0042】
一方、特定したフラグFの値が“1”である場合(ステップS204の“F=1”)、そのタッチ操作された領域は、カテゴリエリア304または単品登録エリア305以外の領域であるか、単品登録エリア305の表示領域ではあるが、レシートイメージ表示エリア306に覆い隠されて実際には画面上に表示されていない領域である。このような場合、当該タッチ操作は誤操作であるため、CPU200は、ステップS205の処理を経ずに、次のタッチパネル22のタッチ操作を待ち受ける(ステップS201)。
【0043】
なお、周知の如く、縦型スキャナ24や手持式スキャナ25にて商品に付されたバーコードが読取られた場合には、接続I/F203,105を介して読取った情報を買い上げ商品情報として本体4に入力する。このようにして本体4に買い上げ商品情報が入力されると、本体4のCPU100は、入力された買い上げ商品情報をRAM102の商品情報登録エリア110に登録し、カレントエリア302,合計金額等表示エリア303,レシートイメージ表示エリア306に表示すべき情報を商品情報入力部6に送信する。この情報を受信したとき、商品情報入力部6は、該情報を用いて登録画面300の各部の表示内容を更新する。すなわち、直前に入力された買い上げ商品情報をカレントエリア302に表示し、合計金額等表示エリア303の合計点数や合計金額を更新し、レシートイメージ表示エリア306に直前に入力された買い上げ商品情報を追加する。
【0044】
オペレータが顧客の買い上げ商品の全てについて商品情報を入力し終えたならば、周知の如く、本体4のキーボード10または商品情報入力部6のキーボード20を操作して商取引を完結させる。商取引が完結すると、商品情報登録エリア110に登録された買い上げ商品情報がクリアされ、それに伴い登録画面300のレシートイメージ表示エリア306から買い上げ商品情報が消去される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態におけるPOS端末は、プリセットキーおよびレシートイメージをオペレータ用表示器21に表示し、レシートイメージの表示幅の指定を受け付け、指定を受け付けた幅に従って単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306の幅を相補的に変更する。この機能を用いることで、例えば縦型スキャナ24や手持式スキャナ25を用いて商品情報を入力する機会が多い場合にはレシートイメージ表示エリア306を大きく単品登録エリア305を小さく表示できるし、プリセットキーを用いて商品情報を入力する機会が多い場合にはレシートイメージ表示エリア306を小さく単品登録エリア305を大きく表示できる。すなわち、プリセットキーによる買い上げ商品情報の迅速な入力と、レシートイメージによる誤入力の防止とを実現する登録画面を高い自由度をもって構成し、登録画面の操作者の利便に供することができる。
【0046】
また、当該POS端末は、単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306をタッチパネル22にてタッチ指定可能な最小領域maの整数倍の大きさで登録画面300に表示させ、両エリア305,306のサイズを前記最小領域maの整数倍の大きさで調整する。このようにすれば、単品登録エリア305とレシートイメージ表示エリア306との境界が最小領域maに跨ることがないので、一部が登録画面300上に表示されているにも関わらず操作できないようなプリセットキーが生じることがない。
【0047】
また、当該POS端末は、単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306のサイズを、前記既定領域を満たしつつ相補的に変更する。したがって、レシートイメージ表示エリア306のサイズを増減させれば、必ずその増減分だけ単品登録エリア305のサイズが増減されるので両エリア305,306の関係が明確となり、オペレータにとっては変更処理が容易となる。
【0048】
また、当該POS端末は、レシートイメージ表示エリア306を拡大し、単品登録エリア305を縮小させる場合に、単品登録エリア305の一部をレシートイメージ表示エリア306で覆い隠すようにして、両エリア305,306のサイズを変更する。このようにすれば、単品登録エリア305のエリアデータ112自体には何ら変更を加える必要がないので、サイズの変更に要するCPU100,200の処理時間が短縮される。さらに、各プリセットキーの登録画面300全体における位置・大きさ・範囲は変更されないので、単品登録エリア305中のプリセットキーの位置を記憶して操作している熟練のオペレータにとっても使い勝手がよい。
【0049】
また、当該POS端末は、レシートイメージにてプリセットキーの一部が覆い隠された場合、当該覆い隠された領域のフラグFを“1”にセットし、当該領域に対するタッチ操作を受け付けない。したがって、登録画面300中のレシートイメージが誤ってタッチ操作された場合であっても、レシートイメージに覆い隠されたプリセットキーに割り当てられた商品情報が買い上げ商品情報として入力されることはない。
【0050】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0051】
例えば、前記実施形態では、本発明を2人制のPOS端末に適用し、商品情報入力部6のオペレータ用表示器21に表示される登録画面300の表示内容を変更する場合について説明した。しかしながら、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、例えば商品情報入力部を備えず、POS端末本体に手持式スキャナ等の買い上げ商品情報の入力インターフェイスが設けられた1人制のPOS端末に適用してもよい。この場合には、POS端末本体に設けられたオペレータ用表示器に前記実施形態に開示した登録画面300を表示させる。また、商品情報入力部6を備えるPOS端末であっても、本体4のオペレータ用表示器11に登録画面300を表示させてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、レシートイメージ表示エリア306の幅の指定を受け付け、指定を受け付けた幅に従ってレシートイメージ表示エリア306のサイズを変更する場合について説明した。しかしながら、単品登録エリア305の幅の指定を受け付け、指定を受け付けた幅に従って単品登録エリア305のサイズを増減させ、増減させた領域分だけレシートイメージ表示エリア306のサイズを増減させてもよい。このようにした場合であっても、単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306は既定領域内で相補的に調整されるため、レシートイメージ表示エリア306の幅の指定を受け付けて変更する場合と同様の効果を奏する。また、幅のみの指定を受け付けるのではなく、単品登録エリア305またはレシートイメージ表示エリア306の高さを含めたサイズの指定を受け付け、受け付けたサイズに従って単品登録エリア305およびレシートイメージ表示エリア306の高さおよび幅を変更するようにしてもよい。
【0053】
また、前記実施形態においては、レシートイメージ表示エリア306のサイズを拡大する際に、単品登録エリア305の一部を覆い隠すとした。しかしながら、単品登録エリア305の一部を覆い隠すのではなく、単品登録エリア305を縮小することでレシートイメージ表示エリア306の拡大分の領域を補うようにしてもよい。この変形例における登録画面300の一例を、図10に示している。この登録画面300は、図5に示した登録画面300のレシートイメージ表示エリア306の幅を、最小領域maの幅Wの8倍に広げた例である。ここでは、プリセットキー305aのサイズを最小領域maの12倍(4行×3列)に縮小し、プリセットキー305bの未使用部分を消去し、プリセットキー305cのサイズを最小領域maの6倍(2行×3列)に縮小している。このようにプリセットキーの表示サイズを縮小し、未使用部分を消去することにより、前記実施形態ではレシートイメージ表示エリア306にて覆い隠されていたプリセットキーが登録画面300上に表示されるようになっている。したがって、レシートイメージ表示エリア306のサイズを拡大した場合であっても、使用できなくなるプリセットキーが生じない。
【0054】
この他、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、要旨を逸脱しない範囲内にて周知技術や慣用技術を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
4…本体、6…商品情報入力部、21…オペレータ用表示器、22…タッチパネル、300…登録画面、301…タイトルエリア、302…カレントエリア、303…合計金額等表示エリア、304…カテゴリエリア、304a…カテゴリキー、305…単品登録エリア、305a,305b,305c…プリセットキー、306…レシートイメージ表示エリア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2003−109121号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上にタッチパネルを有する表示部と、
予め商品情報が割り当てられた複数の操作釦、及び、買い上げ商品情報として入力済みの商品情報を含むレシートイメージを、前記表示画面に表示する表示制御手段と、
前記タッチパネルが前記操作釦のタッチ操作を検知したとき、当該タッチ操作された操作釦に割り当てられた商品情報を前記買い上げ商品情報として入力する入力手段と、
前記複数の操作釦の表示領域又は前記レシートイメージの表示領域のサイズの指定を受け付ける受付手段と、
この受付手段にて指定を受け付けたサイズに従い、前記複数の操作釦の表示領域及び前記レシートイメージの表示領域のサイズを相補的に変更する変更制御手段と、
を備えていることを特徴とする商品情報入力装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記複数の操作釦及び前記レシートイメージを、前記タッチパネルへのタッチ操作にて指定可能な最小領域の整数倍の大きさで前記表示画面に表示させ、
前記受付手段は、前記複数の操作釦の表示領域及び前記レシートイメージの表示領域のサイズの指定を、前記最小領域の整数倍の大きさで受け付けることを特徴とする請求項1に記載の商品情報入力装置。
【請求項3】
前記複数の操作釦及び前記レシートイメージは、前記表示画面に設定された既定領域を満たして隣り合うように表示され、
前記変更制御手段は、前記既定領域内で前記複数の操作釦の表示領域及び前記レシートイメージの表示領域のサイズを相補的に変更することを特徴とする請求項1に記載の商品情報入力装置。
【請求項4】
前記変更制御手段は、前記受付手段にて指定を受け付けたサイズに従い、前記複数の操作釦の表示領域を縮小するとともに前記レシートイメージの表示領域を拡大する場合、前記レシートイメージの表示領域にて前記複数の操作釦の一部を覆い隠すことで前記複数の操作釦の表示領域及び前記レシートイメージの表示領域を相補的に変更することを特徴とする請求項1に記載の商品情報入力装置。
【請求項5】
前記レシートイメージにて前記操作釦の一部が覆い隠された場合、当該覆い隠された操作釦の表示領域を特定する情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記入力手段は、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて特定される表示領域のタッチ操作を受け付けないことを特徴とする請求項4に記載の商品情報入力装置。
【請求項6】
表示画面上にタッチパネルを有する表示部を備えた商品情報入力装置の制御プログラムであって、
前記商品情報入力装置に、
予め商品情報が割り当てられた複数の操作釦、及び、買い上げ商品情報として入力済みの商品情報を含むレシートイメージを、前記表示画面に表示する表示制御機能と、
前記タッチパネルが前記操作釦のタッチ操作を検知したとき、当該タッチ操作された操作釦に割り当てられた商品情報を前記買い上げ商品情報として入力する入力機能と、
前記複数の操作釦の表示領域又は前記レシートイメージの表示領域のサイズの指定を受け付ける受付機能と、
この受付機能にて指定を受け付けたサイズに従い、前記複数の操作釦の表示領域及び前記レシートイメージの表示領域のサイズを相補的に変更する変更制御機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−113307(P2011−113307A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269108(P2009−269108)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】