説明

商品推薦装置及び方法及びプログラム

【課題】 ECサイトにおいて、ユーザが買いたく、かつサービス提供者が見せたい商品をユーザに推薦する。
【解決手段】 本発明は、購買情報からユーザの該商品に対する興味度を算出し、サービス提供者にとって販売を促進したい商品情報、設定パラメータを取得し、商品と、ユーザとの全ての組合せについて、該商品について該ユーザが購買したかどうかと、興味度と、販売促進商品情報と、設定パラメータとを用いて、重みパラメータを算出し、ユーザの識別子が与えられると、各商品のうち、該ユーザの購買情報を用いてユーザが未購買のもののみを取得し、該ユーザの未購買の商品に対して、興味度と、販売促進商品情報と、重みパラメータとを用いて、該ユーザの未購買の各商品に対する推薦スコアを算出し、推薦スコアの上位N件の商品の識別子を推薦商品として選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品推薦装置及び方法及びプログラムに係り、特に、インターネットなどのネットワークを利用して契約や決済を行う電子商取引EC(E-Commerse)サイトにおける商品推薦装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報推薦の手法はいくつも提案されている。例えば、ニュース記事を推薦するために、各ニュース記事についてユーザに5段階の評価をつけさせ、過去の評価履歴を見てユーザ間の嗜好の類似度を測り、嗜好が似たユーザの好むニュース記事を推薦する手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、上記の手法と同様に、各情報に対してユーザに評価をつけさせ、過去の評価履歴でユーザが評価している情報に含まれるテキストに着目する。そのテキストがユーザの興味を反映していると考え、そのテキストと同じような単語が出現している情報を推薦する手法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
また、利用者に興味を持つ部分のテキストを指定させ、そこに含まれる単語の出現頻度に基づいてユーザの興味を推定し、ユーザの興味を表す単語に基づいてコミュニティ内の情報を検索し、ユーザの興味のある箇所のみの情報を提示する手法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-338869号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Resnick, P. et al., "GroupLens: An open architecture for collaborative filtering of netnews". CSCW '94: Proceedings of the 1994 ACM conference on Computer supported cooperative work, ACM Press New York, 1994.
【非特許文献2】Mooney R.J. et al, `` Content-Based Book Recommending Using Learning for Text Categorization'', Proceedings of the 5th ACM Conference on Digital Libraries, ACM Press New York, 2000.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ECサイトでは多岐にわたる商品が販売されており、こういった中でユーザが本当に興味のある商品を見つけるのは困難である。逆に、サービス提供者側にとっては、購買を促進したい商品が存在する。
【0008】
上記の特許文献1の手法を用いて商品を推薦する場合、ユーザが指定した興味のある語に関連する商品が推薦される。この場合、ユーザにとって興味のある商品を発見することができても、それがサービス提供者にとって購買を促進したい商品とは限らない。さらに、語を指定しなければならないという問題がある。
【0009】
また、非特許文献1、2に記載の手法で商品を推薦する場合も同様で、提供者の意図はまったく反映されない。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ECサイトにおいて、ユーザの購買ログと、サービス提供者の購買促進商品リストに基づいて、ユーザが買いたく、かつサービス提供者が見せたい商品をユーザに推薦することが可能な商品推薦装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、電子商取引(EC:E-Commerse)サイトにおいて、利用者の購買履歴を利用して商品を推薦する商品推薦装置であって、
前記ECサイトにおける商品の情報を取得し、商品情報記憶手段に格納する商品情報取得手段と、
前記ECサイトにおける各ユーザの購買情報を取得し、購買情報記憶手段に格納する購買情報取得手段と、
前記購買情報記憶手段に格納されている各ユーザの購買情報と、前記商品情報記憶手段に格納されている商品を取得し、該購買情報から該ユーザの該商品に対する興味度を算出し、該ユーザの識別子と、該商品の識別子と共に興味度記憶手段に格納する興味度算出手段と、
前記ECサイトにおけるサービス提供者にとって販売を促進したい商品情報を取得し、販売促進商品情報記憶手段に格納する販売促進情報取得手段と、
前記ECサイトにおけるサービス提供者にとってユーザの興味と販売促進のどちらをより推薦に反映させるかの設定パラメータを取得し、設定パラメータ記憶手段に格納する設定パラメータ取得手段と、
前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、前記購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかと、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出手段と、
ユーザの識別子が与えられると、前記商品情報記憶手段に格納されている各商品のうち、該ユーザの購買情報を用いてユーザが未購買のもののみを取得し、該ユーザの未購買の商品に対して、前記興味度記憶手段に格納されている前記興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記重みパラメータ記憶手段に格納された前記重みパラメータとを用いて、該ユーザの未購買の各商品に対する推薦スコアを算出し、前記推薦スコアの上位N件の商品の識別子を推薦商品として選択する商品推薦手段と、を有する。
【0012】
また、本発明(請求項2)は、前記興味度算出手段において、
前記ユーザの商品に対する興味度を算出する際に、ユーザベース協調フィルタリング(購買商品が類似しているユーザが購買しているか否かに基づく統計的手法)を用いる。
【0013】
また、本発明(請求項3)は、前記重みパラメータ算出手段において、
前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、該購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかの情報と、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報とを用いて重みパラメータの尤度を算出する手段と、
さらに、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータを用いて重みパラメータの事前確率を算出し、前記重みパラメータの尤度と、前記重みパラメータの事前確率から重みパラメータの事後確率を算出し、前記重みパラメータの事後確率を用いて事後確率最大化によって重みパラメータを算出する手段と、を含む。
【0014】
本発明(請求項4)は、EC(E-Commerse)サイトにおいて、利用者の購買履歴を利用して商品を推薦する商品推薦方法であって、
商品情報取得手段が、前記ECサイトにおける商品の情報を取得し、商品情報記憶手段に格納する商品情報取得ステップと、
購買情報取得手段が、前記ECサイトにおける各ユーザの購買情報を取得し、購買情報記憶手段に格納する購買情報取得ステップと、
興味度算出手段が、前記購買情報記憶手段に格納されている各ユーザの購買情報と、前記商品情報記憶手段に格納されている商品を取得し、該購買情報から該ユーザの該商品に対する興味度を算出し、該ユーザの識別子と、該商品の識別子と共に興味度記憶手段に格納する興味度算出ステップと、
販売促進情報取得手段が、前記ECサイトにおけるサービス提供者にとって販売を促進したい商品情報を取得し、販売促進商品情報記憶手段に格納する販売促進情報取得ステップと、
設定パラメータ取得手段が、前記ECサイトにおけるサービス提供者にとってユーザの興味と販売促進のどちらをより推薦に反映させるかの設定パラメータを取得し、設定パラメータ記憶手段に格納する設定パラメータ取得ステップと、
重みパラメータ算出手段が、前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、前記購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかと、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出ステップと、
商品推薦手段が、ユーザの識別子が与えられると、前記商品情報記憶手段に格納されている各商品のうち、該ユーザの購買情報を用いてユーザが未購買のもののみを取得し、該ユーザの未購買の商品に対して、前記興味度記憶手段に格納されている前記興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記重みパラメータ記憶手段に格納された前記重みパラメータとを用いて、該ユーザの未購買の各商品に対する推薦スコアを算出し、前記推薦スコアの上位N件の商品の識別子を推薦商品として選択する商品推薦ステップと、を行う。
【0015】
また、本発明(請求項5)は、前記興味度算出ステップにおいて、
前記ユーザの商品に対する興味度を算出する際に、ユーザベース協調フィルタリング(購買商品が類似しているユーザが購買しているか否かに基づく統計的手法)を用いる。
【0016】
また、本発明(請求項6)は、 前記重みパラメータ算出ステップにおいて、
前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、該購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかの情報と、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報とを用いて、重みパラメータの尤度を算出するステップと、
さらに、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータを用いて重みパラメータの事前確率を算出し、前記重みパラメータの尤度と、前記重みパラメータの事前確率から重みパラメータの事後確率を算出し、前記重みパラメータの事後確率を用いて事後確率最大化によって重みパラメータを算出するステップと、を更に行う。
【0017】
本発明(請求項7)は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の商品推薦装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための商品推薦プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、本発明は従来の推薦アルゴリズムによるユーザの興味度と、サービス提供者が設定した販売促進度の両方を用いて、従来の技術では不可能であった、よりユーザの興味に適し、かつ販売を促進したい商品を推薦することが可能になる。推薦スコアは興味度と促進度の重み付き和になっている。その重みについて、従来の購買履歴に基づいた学習を行うと結局販売を促進したい商品は推薦されなくなってしまう。本発明では、購買履歴だけでなく、サービス提供者の設定値を参照して学習するため、推薦結果にユーザの興味だけでなく販売促進を考慮することができる。これはECサイトの収益の増加につながる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態における商品推薦装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態における商品情報テーブルの例である。
【図3】本発明の一実施の形態における購買情報テーブルの例である。
【図4】本発明の一実施の形態における興味度テーブルの例である。
【図5】本発明の一実施の形態における販売促進商品リストテーブルの例である。
【図6】本発明の一実施の形態における商品購買時の処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態における興味度算出時の処理のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態における販売促進商品リストテーブル更新時の処理のフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態におけるユーザログオン時の処理のフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態における設定パラメータ更新時の処理のフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態における重みパラメータ更新時の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態における商品推薦装置の構成を示す。
【0022】
同図に示す商品推薦装置1は、商品情報取得部10、購買情報テーブル更新部20、興味度算出部30、購買促進商品リストテーブル更新部40、商品推薦部50、設定パラメータ更新部60、重みパラメータ更新部70、記憶部80、通信部90、入出力部100から構成され、通信部90はネットワーク3に接続されており、入出力部100は、入力装置や表示装置等の外部装置4に接続されている。
【0023】
記憶部80は、データベース等の記録媒体であり、商品情報テーブル81、購買情報テーブル82、興味度テーブル83、購買促進商品リストテーブル84、重みパラメータ記録部85、設定パラメータ記録部86から構成される。以下に各テーブルについて説明する。
【0024】
<商品情報テーブル81>
商品情報テーブル81には、図2に示すように、商品IDフィールド、内容フィールド、が含まれる。
【0025】
商品IDフィールドは、その商品を特定する識別子であり、商品情報取得部10により設定される。
内容フィールドは、該商品の内容に関する要約や、人手による該商品に対する評価情報等が、商品情報取得部10によりテキストデータにて設定される。
【0026】
<購買情報テーブル82>
購買情報テーブル82には、図3に示すように、商品IDフィールド、ユーザIDフィールドが含まれる。
【0027】
ユーザIDフィールドは、商品を購買したユーザを特定する識別子が、購買情報テーブル更新部20により設定される。
【0028】
商品IDフィールドは、商品情報テーブルに出現する商品の識別子と対応し、購買情報テーブル更新部20により設定される。
【0029】
<興味度テーブル83>
興味度テーブル83には、図4に示すように、ユーザIDフィールドと、商品IDフィールドと、興味度フィールドとが含まれる。
【0030】
興味度フィールドは、当該行のユーザ u の、当該行の商品 iへの興味度 interestui が興味度算出部30により設定される。
【0031】
<販売促進商品リストテーブル84>
販売促進商品リストテーブル84には、図5に示すように、商品IDフィールドと、促進度フィールドとが含まれる。
【0032】
促進度フィールドは、該行の商品 i の販売促進度 promotei が販売促進商品リストテーブル更新部40により設定される。
【0033】
<重みパラメータ記録部85>
重みパラメータ記録部85には、商品推薦部50がユーザ u に商品 i を推薦するための推薦スコア score(u,i) を以下の式(1)のように算出するための重み λ1、λ2 が格納されている。
【0034】
【数1】

上記の重み λ1、λ2 は、重みパラメータ更新部70によって設定される。
【0035】
次に、各処理について説明する。
【0036】
<商品購買時>
図6は、本発明の一実施形態における商品購買時の処理のフローチャートである。
【0037】
ステップ110)購買情報テーブル更新部10が、購買情報テーブル82に、購買したユーザ、購買された商品に応じてユーザIDフィールド、商品IDフィールドを設定する。そのような行 m を購買情報テーブル82に挿入する。
【0038】
<興味度算出時>
図7は、本発明の一実施の形態における興味度算出時の詳細な処理のフローチャートである。興味度の算出は、装置の管理者による明示的な命令の際に行ってもよいし、装置内で週あたり1度、等のように設定された時間ごとに自動で行ってもよい。
【0039】
ステップ210)興味度算出部30が、購買情報テーブル82を参照し、全ユーザ集合 U を取得する。
【0040】
ステップ220)興味度算出部30が、商品情報テーブル81を参照し、全商品集合 I を取得する。
【0041】
ステップ230)興味度算出部30が、U と I の全ての組合せ (u,i) について、文献1(Resnick, P. et al., "GroupLens: An open architecture for collaborative filtering of netnews")記載のユーザベース協調フィルタリング等のアルゴリズムを用いて u のi への興味度 interestui を算出する。
【0042】
ステップ240)興味度算出部30が、U と I の全ての組合せ (u,i) について、興味度テーブル73の、ユーザIDが u で、商品IDが i の行の興味度フィールドの値が前記興味合致度 interestui となるように更新する。
【0043】
<販売促進商品リストテーブル更新時>
図8は、本発明の一実施形態における販売促進商品リストテーブル84更新時の処理のフローチャートである。販売促進商品リストテーブル84の更新は、例えばサービス提供者からの明示的な命令の際に行うことが考えられる。今、サービス提供者が入出力部100を通じて商品 i について、促進度を promotei に設定する命令を送ったこととする。
【0044】
ステップ310)販売促進商品リストテーブル更新部40が、入出力部100より渡された入力の通りに商品IDフィールドが i の前記促進度が promotei となるように更新する。
【0045】
<ユーザログオン時>
図9は、本発明の一実施の形態におけるユーザログオン時の処理のフローチャートである。
【0046】
ユーザ u がログオンすると、
ステップ410)商品推薦部50が、興味度テーブル83を参照し、ユーザIDフィールドが u の行を取得する。
【0047】
ステップ420)商品推薦部50が、販売促進商品リストテーブル84を参照し、全行を取得する。
【0048】
ステップ430)商品推薦部50が、重みパラメータ記録部85を参照し、重みパラメータ λ1、λ2 を取得する。
【0049】
ステップ440)商品推薦部50が、商品情報テーブル81と、購買情報テーブル82を参照し、ユーザu が未購買の商品集合 Iu を取得する。
【0050】
ステップ450)商品推薦部50が、前記商品集合 Iu の各商品 i について、前記興味度テーブル83中のユーザIDがユーザ u のもののうち商品IDが i の行の興味度 interestui と、前記販売促進商品リストテーブル84中の商品IDが i の行の促進度 promotei に基づき、式(1)を用いてユーザ u への商品 i の推薦スコア score(u,i) を算出する。
【0051】
ステップ460)商品推薦部50が、前期商品集合 Iu 中の各商品 i のユーザ u に対する推薦スコア score(u,i) の値を用いてユーザ u に推薦すべき商品を決定する。その際、推薦スコアフィールドの値が大きいものから順に予め設定した任意の件数 N (N=1,2,3,…) 件を推薦すべき商品としてもよいし、推薦スコアに対し、ある閾値を設けて、 推薦スコアがその値を超えるものを推薦すべき商品としてもよい。
【0052】
<設定パラメータ更新時>
図10は、本発明の一実施の形態における設定パラメータ更新時の処理のフローチャートである。設定パラメータの更新は、例えばサービス提供者からの明示的な命令の際に行うことが考えられる。今、サービス提供者が入出力部100を通じて設定パラメータを
【0053】
【数2】

のように更新する命令を送ったとする。
【0054】
ステップ510)設定パラメータ更新部60は、設定パラメータ記録部86にさきほど算出した重みパラメータλ0、λ1、λ2 を記録する。
【0055】
<重みパラメータ更新時>
図11は、本発明の一実施の形態における重みパラメータ更新時の処理のフローチャートである。
【0056】
ステップ610)重みパラメータ更新部70は、購買情報テーブル82を参照し、全ユーザID集合 U を取得する。
【0057】
ステップ620)重みパラメータ更新部70は、商品情報テーブル81を参照し、全商品集合 I を取得する。
【0058】
ステップ630)重みパラメータ更新部60は、設定パラメータ記録部86を参照し、設定パラメータ
【0059】
【数3】

を取得する。
【0060】
ステップ640)重みパラメータ更新部60が、興味度テーブル83を参照し、全行を取得する。
【0061】
ステップ650)重みパラメータ更新部60が、販売促進商品リストテーブル84を参照し、全行を取得する。
【0062】
ステップ660)重みパラメータ更新部60は、前記全ユーザID集合 U と前記全商品集合 I の全ての組合せ (u,i) について、前記興味度テーブル83中のユーザIDが u で商品IDが i の行の興味度 interestui と、前記販売促進商品リストテーブル84中の商品IDが i の行の促進度 promotei とを用いて以下のように目的関数を定式化する。
【0063】
【数4】

λ=(λ0, λ1, λ2) の事後確率と呼ばれる尺度で、設定した λ0、λ1、λ2 がどれだけ過去の購買情報とマッチしているかを表す尺度である。したがって、式(2)を最大にするようなλ0、λ1、λ2 がもっとも適切な重みパラメータである。βは内部パラメータで、設定パラメータと同様人手にて設定できるようにしてもよいし、例えば固定で β=0.001 のように設定してもよい。‖v‖ はベクトル v の標準ノルムで、以下のように算出できる。
【0064】
【数5】

ステップ670)重みパラメータ更新部60は、文献2(Liu, D.C. et al., "On the limited memory BFGS method for large scale optimization", 1989)記載の準ニュートン法等による最適化手法により、式(2)で表わされる前記目的関数 O(λ) を最大にするλ0、λ1、λ2 を算出する。
【0065】
ステップ680)重みパラメータ更新部60は、重みパラメータ記録部85にステップ670で算出した重みパラメータλ0、λ1、λ2 を記録する。
【0066】
なお、上記の商品推薦装置の各構成要素の処理をプログラムとして構築し、商品推薦装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0067】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク、CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0068】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 商品推薦装置
2 外部端末
3 ネットワーク
4 外部装置
10 商品情報取得部
20 購買情報テーブル更新部
30 興味度算出部
40 購買促進商品リストテーブル更新部
50 商品推薦部
60 設定パラメータ更新部
70 重みパラメータ更新部
80 記録部
81 商品情報テーブル
82 購買情報テーブル
83 興味度テーブル
84 販売促進商品リストテーブル
85 重みパラメータ記録部
86 設定パラメータ記録部
90 通信部
100 入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子商取引(EC:E-Commerse)サイトにおいて、利用者の購買履歴を利用して商品を推薦する商品推薦装置であって、
前記ECサイトにおける商品の情報を取得し、商品情報記憶手段に格納する商品情報取得手段と、
前記ECサイトにおける各ユーザの購買情報を取得し、購買情報記憶手段に格納する購買情報取得手段と、
前記購買情報記憶手段に格納されている各ユーザの購買情報と、前記商品情報記憶手段に格納されている商品を取得し、該購買情報から該ユーザの該商品に対する興味度を算出し、該ユーザの識別子と、該商品の識別子と共に興味度記憶手段に格納する興味度算出手段と、
前記ECサイトにおけるサービス提供者にとって販売を促進したい商品情報を取得し、販売促進商品情報記憶手段に格納する販売促進情報取得手段と、
前記ECサイトにおけるサービス提供者にとってユーザの興味と販売促進のどちらをより推薦に反映させるかの設定パラメータを取得し、設定パラメータ記憶手段に格納する設定パラメータ取得手段と、
前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、前記購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかと、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出手段と、
ユーザの識別子が与えられると、前記商品情報記憶手段に格納されている各商品のうち、該ユーザの購買情報を用いてユーザが未購買のもののみを取得し、該ユーザの未購買の商品に対して、前記興味度記憶手段に格納されている前記興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記重みパラメータ記憶手段に格納された前記重みパラメータとを用いて、該ユーザの未購買の各商品に対する推薦スコアを算出し、前記推薦スコアの上位N件の商品の識別子を推薦商品として選択する商品推薦手段と、
を有することを特徴とする商品推薦装置。
【請求項2】
前記興味度算出手段は、
前記ユーザの商品に対する興味度を算出する際に、ユーザベース協調フィルタリング(購買商品が類似しているユーザが購買しているか否かに基づく統計的手法)を用いる
請求項1記載の商品推薦装置。
【請求項3】
前記重みパラメータ算出手段は、
前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、該購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかの情報と、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報とを用いて重みパラメータの尤度を算出する手段と、
さらに、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータを用いて重みパラメータの事前確率を算出し、前記重みパラメータの尤度と、前記重みパラメータの事前確率から重みパラメータの事後確率を算出し、前記重みパラメータの事後確率を用いて事後確率最大化によって重みパラメータを算出する手段と、
を含む請求項1記載の商品推薦装置。
【請求項4】
EC(E-Commerse)サイトにおいて、利用者の購買履歴を利用して商品を推薦する商品推薦方法であって、
商品情報取得手段が、前記ECサイトにおける商品の情報を取得し、商品情報記憶手段に格納する商品情報取得ステップと、
購買情報取得手段が、前記ECサイトにおける各ユーザの購買情報を取得し、購買情報記憶手段に格納する購買情報取得ステップと、
興味度算出手段が、前記購買情報記憶手段に格納されている各ユーザの購買情報と、前記商品情報記憶手段に格納されている商品を取得し、該購買情報から該ユーザの該商品に対する興味度を算出し、該ユーザの識別子と、該商品の識別子と共に興味度記憶手段に格納する興味度算出ステップと、
販売促進情報取得手段が、前記ECサイトにおけるサービス提供者にとって販売を促進したい商品情報を取得し、販売促進商品情報記憶手段に格納する販売促進情報取得ステップと、
設定パラメータ取得手段が、前記ECサイトにおけるサービス提供者にとってユーザの興味と販売促進のどちらをより推薦に反映させるかの設定パラメータを取得し、設定パラメータ記憶手段に格納する設定パラメータ取得ステップと、
重みパラメータ算出手段が、前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、前記購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかと、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出ステップと、
商品推薦手段が、ユーザの識別子が与えられると、前記商品情報記憶手段に格納されている各商品のうち、該ユーザの購買情報を用いてユーザが未購買のもののみを取得し、該ユーザの未購買の商品に対して、前記興味度記憶手段に格納されている前記興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報と、前記重みパラメータ記憶手段に格納された前記重みパラメータとを用いて、該ユーザの未購買の各商品に対する推薦スコアを算出し、前記推薦スコアの上位N件の商品の識別子を推薦商品として選択する商品推薦ステップと、
を行うことを特徴とする商品推薦方法。
【請求項5】
前記興味度算出ステップにおいて、
前記ユーザの商品に対する興味度を算出する際に、ユーザベース協調フィルタリング(購買商品が類似しているユーザが購買しているか否かに基づく統計的手法)を用いる
請求項4記載の商品推薦方法。
【請求項6】
前記重みパラメータ算出ステップにおいて、
前記商品情報記憶手段に格納されている商品と、前記購買情報記憶手段に格納されているユーザとの全ての組合せについて、該購買情報記憶手段に格納されている該商品について該ユーザが購買したかどうかの情報と、前記興味度記憶手段に格納されている興味度と、前記販売促進商品情報記憶手段に格納されている販売促進商品情報とを用いて、重みパラメータの尤度を算出するステップと、
さらに、前記設定パラメータ記憶手段に格納されている設定パラメータを用いて重みパラメータの事前確率を算出し、前記重みパラメータの尤度と、前記重みパラメータの事前確率から重みパラメータの事後確率を算出し、前記重みパラメータの事後確率を用いて事後確率最大化によって重みパラメータを算出するステップと、
を更に行う請求項4記載の商品推薦方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の商品推薦装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための商品推薦プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−150563(P2012−150563A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7197(P2011−7197)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】