説明

商品登録処理装置

【課題】端末操作者により顧客用の表示画面の輝度調整を的確に行うことである。
【解決手段】端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5とを備えた商品登録処理装置において、前記端末操作者用の表示画面3側に設けられて前記端末操作者用の表示画面3の輝度を調整する輝度調整手段11と、前記端末操作者用の表示画面3側に設けられて前記顧客用の表示画面5の輝度を調整する輝度調整手段16とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とを備えてコンビニエンス・ストア等で用いられる商品登録処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンス・ストア等においては、商品登録処理装置としてのPOS端末にタッチパネルにより構成された端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とを備えたものが利用されている。そのため、端末操作者用の表示画面においては、取引に必要な金額情報等の必要事項の表示をさせているものであるが、顧客用の表示画面においては、顧客に対して提示されるべき金銭情報等の他に、新商品の広告宣伝を行う映像情報や、イベント情報、天気予報等の各種の情報を表示しているものである。このような端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とは、液晶表示素子等により構成されているものであり、表示画面の操作表示部に触れることにより所定の動作が行われるタッチパネルである。このように構成された端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とは、それらの輝度調整が可能なものと可能ではないものとが存する。例えば、特許文献1には、EL表示器を用いたタッチパネル表示装置において、輝度調整を行うことができる構成が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−29447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とを備えた商品登録処理装置において、特に顧客用の表示画面の輝度調整を行うことができない形式のもの(第一の従来例)と、輝度調整を行うことができる形式のもの(第二の従来例)とがある。
【0005】
第一の従来例における顧客用の表示画面の輝度調整を行うことができない形式のものにおいても、端末操作者用の表示画面に関しては輝度調整が可能であるように構成されている。そのため、顧客用の表示画面の輝度が店舗環境に合わない状態で使用せざるを得ず、その表示が見難い状態があり、特に、操作者用の表示画面の輝度を操作者が見やすいように調整すると顧客用の表示画面との輝度が大幅に変わり、場合によっては故障ではないかと勘違いすることもある。
【0006】
次に、第二の従来例においては、顧客用の表示画面の輝度調整を行うことができるものであるが、輝度調整機能を備えた操作者用の表示画面を顧客用の表示画面としてそのまま転用している。そのため、顧客用の表示画面の輝度調整のための操作は、顧客側で行うことになる。すなわち、端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とのそれぞれの輝度調整は、それぞれ操作者側、顧客側で行うように構成されている。この状態は、輝度調整機能を備えた操作者用の表示画面を顧客用の表示画面としてそのまま転用していたためである。そのため、顧客が勝手に輝度調整の操作をしてしまい、適切な輝度調整がなされない場合が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とを備えた商品登録処理装置において、前記端末操作者用の表示画面側に設けられて前記端末操作者用の表示画面の輝度を調整する輝度調整手段と、前記端末操作者用の表示画面側に設けられて前記顧客用の表示画面の輝度を調整する輝度調整手段とを設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、輝度調整手段が端末操作者の表示画面側に設けられているため、端末操作者の表示の輝度は当然のことながら端末操作者が行うことができるものであるが、顧客用の表示画面の輝度調整も端末操作者側で行うものであり、顧客が勝手に表示画面の輝度調整を行うことができないため、端末操作者による適切な輝度設定を行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第一の実施の態様を図1及び図2に基づいて説明する。まず、図1に示すものは、商品登録処理装置としてのPOS端末1の全体図であり、このPOS端末1は、直方体形状のPOS端末機本体2と、このPOS端末機本体2の前後に起伏自在に取り付けられた端末操作者用の表示画面3を備えた操作者用表示部4と顧客用の表示画面5(図2に図示)を備えた顧客用表示部6とが設けられている。前記操作者用表示部4の下方には、画面輝度調整のための後述する可変抵抗器のための二個の操作つまみ7、8が設けられている。
【0010】
つぎに、図2に示すものは、前記操作者用表示部4と前記顧客用表示部6との内部構成の一例を示すものである。前記操作者用表示部4の内部は、端末操作者用の表示画面3を構成する液晶表示パネル9と、インバータ10と、前記操作つまみ7を備えて前記インバータ10の電圧もしくは電流を制御する可変抵抗器11と、これらの各部に電源を供給したりあるいは制御信号や映像信号等を伝送する電気信号線12、13、14と、前記液晶表示パネル9の内部に組み込まれたバックライト用蛍光灯15とが設けられている。また、前記操作者用表示部4の下辺には、前記可変抵抗器11と並べて後述する顧客用表示部6のために利用される操作つまみ8を備えた可変抵抗器16が設けられている。一方、前記顧客用表示部6の内部は、顧客用の表示画面5を構成する液晶表示パネル17と、インバータ18と、これらの各部に電源を供給したりあるいは制御信号や映像信号等を伝送する電気信号線19と、前記液晶表示パネル17の内部に組み込まれたバックライト用蛍光灯20とが設けられている。さらに、前記顧客用表示部6に設けられた前記インバータ18と操作者用表示部4に設けられた可変抵抗器16とは、二本の電気信号線21、22により接続されている。
【0011】
このような構成において、端末操作者は、操作者用表示部4の下辺に取り付けられた二個の可変抵抗器11、16を操作することにより端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との何れの画面輝度をも調整することができる。特に、顧客用表示部6には、その顧客用の表示画面5の輝度を調整する操作部が存在しないので、顧客により不用意に顧客用の表示画面5の画面輝度が変更されてしまうことはない。したがって、端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との輝度は、店舗環境に合わせて制御する端末操作者の管理下におかれる。
【0012】
このように第一の実施の態様は、請求項1に記載した発明に対応するものであり、端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5とを備えたPOS端末1において、前記端末操作者用の表示画面3側に設けられて前記端末操作者用の表示画面3の輝度を調整する可変抵抗器11(輝度調整手段)と、前記端末操作者用の表示画面3側に設けられて前記顧客用の表示画面5の輝度を調整する可変抵抗器16(輝度調整手段)とを設けたものであり、これにより、端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との何れの画面輝度も端末操作者により管理されており、顧客により不用意に顧客用の表示画面5の画面輝度が変更されてしまう不都合を解消しているものである。
【0013】
つぎに、図3に基づいて本発明の第二の実施の態様を説明する。前記第一の実施の態様と同一部分は同一符号を用い説明も省略する。本実施の態様においては、第一の実施の態様において使用していた二個の可変抵抗器11、16に代えて一個の可変抵抗器23としたものである。すなわち、前記可変抵抗器23は、操作者用表示部4のインバータ10と顧客用表示部6のインバータ18とに電気信号線24、25及び電気信号線26、27でそれぞれ接続されているものであり、一つの操作つまみ28により操作されるように構成されている。
【0014】
このように構成することにより、端末操作者により一つの操作つまみ28を操作することにより、端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との両者の輝度を同時に調整することができる。
【0015】
このように第二の実施の態様は、請求項2及び請求項3に記載した発明に対応するものであり、端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5とを備えたPOS端末1において、前記端末操作者用の表示画面3側に設けられて前記端末操作者用の表示画面3と前記顧客用の表示画面5とのそれぞれの輝度を調整する可変抵抗器23(輝度調整手段)を設けたものであり、一個の可変抵抗器23の操作により端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との輝度を同時に調整することができるようにしたものである。
【0016】
ついで、図4に基づいて本発明の第三の実施の態様を説明する。前記第二の実施の態様と同一部分は同一符号を用い説明も省略する。本実施の態様においては、可変抵抗器23とインバータ18との間を接続する電気信号線26、27に輝度差設定手段となる電子式可変抵抗器29を介在接続したものである。この電子式可変抵抗器29は、POS端末機本体2の内部に設けられた制御回路部30に制御信号線31で接続されており、この制御回路部30より出力される制御信号により、その抵抗値を制御することができる。また、この電子式可変抵抗器29は、端末操作者用の可変抵抗器23とも接続されているため、その可変抵抗器23の設定値をも反映した形で出力値を決定する。
【0017】
このように構成することにより、顧客用の表示画面5の輝度設定値を、端末操作者用の表示画面3の設定値に対し、制御回路部30の内部からの制御信号分だけ明るく設定したり、あるいは、逆に暗く設定したりすることが可能となる。制御回路部30の内部からの制御信号は、予めPOS端末機本体2側のメモリ(図示せず)等に設定しておくことにより、端末操作者は特に意識することなく操作が可能となっている。すなわち、端末操作者は、可変抵抗器23により自分の側に向けられた端末操作者用の表示画面3の輝度調整を行うのみで、その明るさに対して予め設定された一定値分だけ明るい、あるいは、暗い画面設定値で顧客用の表示画面5の輝度調整をすることができる。
【0018】
このように顧客用の表示画面5の輝度調整は、制御信号線31を通じてコントロールされるため、制御回路部30の制御次第で顧客用の表示画面5の画面輝度を様々な使用条件により適応的に調整することが可能となる。例えば、顧客用の表示画面5に表示される画面の内容に応じて顧客用の表示画面5の輝度を変更することができる。すなわち、より明るい設定画面で見て欲しい宣伝用映像の場合は、その映像ソフトの先頭部分に、明るめの画面表示差になるように画面輝度設定データを書き込んでおく。
【0019】
また、POS端末1の設置場所の周辺照度が著しく変化する場合は、POS端末機本体2に図示しない照度センサを取り付け、前記制御回路部30からの制御信号が照度センサの検出値を反映したものにすることにより、周辺照度に応じて画面輝度が適応的に変化する機能を付加することも可能である。
【0020】
このように第三の実施の態様は、請求項4、5、6に対応するものであり、端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との輝度差設定手段となる電子式可変抵抗器29による輝度調整が端末操作者用の表示画面3と顧客用の表示画面5との輝度を予め定められた一定の関係を持つ輝度差で実行されるようにしたものであり、また、制御回路部30の指示により、顧客用の表示画面5の輝度調整をその顧客用の表示画面5の表示内容に応じて補正する輝度補正手段を構成したり、あるいは、顧客用の表示画面5の輝度調整における輝度の上下限の制限や輝度調整可能時間の制限をする輝度補正制限手段を構成したりすることができるものである。
【0021】
つぎに、本発明の第四の実施の態様を図5に基づいて説明する。本実施の態様は、請求項7に記載した発明に対応するものであり、顧客用の表示画面5の輝度調整中は、顧客用の表示画面5の画面輝度を表わす子画面32を端末操作者用の表示画面3の一部に表示させる子画面表示手段を備えたものである。そして、顧客用の表示画面5の輝度調整を終了、すなわち、顧客用の表示画面5の輝度調整終了後は、端末操作者用の表示画面5の子画面32は消去され、全面がPOS用の登録画面に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るPOS端末の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施の態様を示すもので、表示画面と内部構成とを示す説明図である。
【図3】本発明の第二の実施の態様を示すもので、表示画面と内部構成とを示す説明図である。
【図4】本発明の第三の実施の態様を示すもので、表示画面と内部構成とを示す説明図である。
【図5】本発明の第四の実施の態様を示すもので、表示画面を示す正面図である。
【符号の説明】
【0023】
3 端末操作者用の表示画面、5 顧客用の表示画面、11 輝度調整手段、16 輝度調整手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とを備えた商品登録処理装置において、前記端末操作者用の表示画面側に設けられて前記端末操作者用の表示画面の輝度を調整する輝度調整手段と、前記端末操作者用の表示画面側に設けられて前記顧客用の表示画面の輝度を調整する輝度調整手段とを設けたことを特徴とする商品登録処理装置。
【請求項2】
端末操作者用の表示画面と顧客用の表示画面とを備えた商品登録処理装置において、前記端末操作者用の表示画面側に設けられて前記端末操作者用の表示画面と前記顧客用の表示画面とのそれぞれの輝度を調整する輝度調整手段を設けたことを特徴とする商品登録処理装置。
【請求項3】
前記輝度調整手段は、前記端末操作者用の表示画面と前記顧客用の表示画面とのそれぞれの輝度を同時に調整するものであることを特徴とする請求項2記載の商品登録処理装置。
【請求項4】
前記端末操作者用の表示画面と前記顧客用の表示画面との前記輝度調整手段による輝度調整が前記端末操作者用の表示画面と前記顧客用の表示画面との輝度を予め定められた一定の関係を持つ輝度差で実行されるようにした輝度差設定手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一の商品登録処理装置。
【請求項5】
前記顧客用の表示画面の輝度調整を前記顧客用の表示画面の表示内容に応じて補正する輝度補正手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一の商品登録処理装置。
【請求項6】
前記顧客用の表示画面の輝度調整における輝度の上下限の制限や輝度調整可能時間の制限をする輝度補正制限手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一の商品登録処理装置。
【請求項7】
前記顧客用の表示画面の輝度調整中は、前記顧客用の表示画面の画面輝度を表わす子画面を前記端末操作者用の表示画面の一部に表示させる子画面表示手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6記載の商品登録処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−156973(P2007−156973A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353566(P2005−353566)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】