説明

商品販売データ処理装置およびその制御プログラム

【課題】宅配商品の突合せ作業において、作業ミス発生の抑制及び作業効率の向上を実現可能な商品販売データ処理装置およびその制御プログラムを提供すること。
【解決手段】発送登録モードが選択された状態で商品コード入力手段12を介して商品コードが入力されたとき、当該商品コードに基づき処理された商品販売データに、発送伝票4から伝票番号入力手段11を介して入力された伝票番号と、商品札5に貼付されたIDタグ6から識別コード入力手段13を介して入力された識別コードとを対応付けて記憶させる。そして、締め宣言手段により1商取引の締めが宣言されたことを条件に伝票番号及び識別コードと対応付けられて記憶されている商品販売データを抽出し、該データを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配サービスを受け付ける機能を備えた商品販売データ処理装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、販売した贈答用商品を顧客が指定した住所に配送する宅配サービスを実施している小売店が多い。宅配サービスを実施する店舗向けの商品販売データ処理装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【特許文献1】特開2006−92174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、商品を仕分けして配送する配送センターでは、発送伝票とともに店舗から送られてきた商品札から特定される商品を倉庫から用意する。作業員は、商品札から特定される商品コードと一致する商品コードが付された商品を用意する。
【0004】
しかしながら、同一の商品コードを有していても商品の産地や内容量が異なる場合がある。この場合、商品コードを照合するだけでは十分でないため、目視により商品やその包装に付された産地表示や内容量表示を確認していた。そのため、作業員の不注意により宅配商品の誤発送等が発生していた。
【0005】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、宅配商品の突合せ作業において、作業ミス発生の抑制及び作業効率の向上を実現可能な商品販売データ処理装置およびその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、商品コードを入力する商品コード入力手段を具備し、この商品コード入力手段を介して入力された商品コードに基づいて商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置において、商品登録された商品の発送伝票の伝票番号を入力する伝票番号入力手段と、個々の商品を識別する識別コードを入力する識別コード入力手段と、前記伝票番号入力手段を介して入力された伝票番号と前記商品コード入力手段を介して入力された商品コードと前記識別コード入力手段を介して入力された識別コードとを対応付けて保持するデータ保持手段とを具備したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
かかる手段を講じた本発明によれば、宅配商品の突合せ作業において、作業ミス発生の抑制及び作業効率の向上を実現可能な商品販売データ処理装置およびその制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、商品販売データ処理装置であるPOS端末1を備えるシステムの構成図である。当該システムは、店舗100に設置されたPOS端末1と、発送ファイル2,商品マスタM1及びIDコードマスタM2を備えた管理サーバ200と、搬送センター300に備えられたHT(ハンディターミナル)3とをインターネット等のネットワーク400でオンライン接続して構成される。
【0009】
店舗100には、贈答用商品のサンプルが展示されている。展示サンプル毎に贈答用商品の商品コードを表すバーコードが印字され、RFIDタグ等のIDタグ6が貼付された商品札5が用意されている。IDタグ6は、IDタグ6毎に設定されたIDコードを記憶したメモリを備えている。IDコードは、予め定められたユニークなシリアル番号が格納されるシステム領域と、ユーザによる情報の書込みが可能であるユーザ領域とで構成されている。
【0010】
POS端末1は、宅配業者指定の発送伝票4に印刷されている伝票番号を入力する伝票番号入力手段11と、商品札5に印刷されているバーコードをスキャニングして当該贈答用商品の種別毎に設定される商品コードを入力する商品コード入力手段12と、IDタグ6と無線通信してメモリに記憶されたIDコードを入力する識別コード入力手段13と、商品コード入力手段12を介して入力された商品コードで特定される商品販売データ及び識別コード入力手段13を介して入力されたIDコードを、伝票番号入力手段11を介して入力された伝票番号で特定される発送伝票と関連付けて登録処理する発送登録手段10とを備えている。発送登録手段10により登録処理された発送登録データ7は、ネットワーク400を介して管理サーバ200に送信される。なお、伝票番号入力手段11及び商品コード入力手段12は、バーコードのスキャニング入力に限定されるものではなく、置数キー等の操作入力であってもよい。また、識別コード入力手段13は、無線通信による読み取りに限定されるものではなく、置数キー等の操作入力やバーコードのスキャニングであってもよい。
【0011】
上記発送ファイル2には、POS端末1から受信した発送登録データ7が累積記憶されている。上記商品マスタM1には、商品コードに対応付けて商品の価格や名称等の商品データが記憶されている。上記IDコードマスタM2には、IDタグ6に記憶されたIDコードに対応付けて商品コードでは識別できない商品の産地、生産地、内容量等の属性情報が記憶されている。例えば、5桁のユーザ使用領域の下3桁“000”〜“999”に商品の生産地情報を対応付け、上2桁“00”〜“99”に商品の内容量を対応付ける。IDタグ6には、商品札5に係る商品の属性情報に応じ、上記の如くIDコードマスタM2に記憶された対応付けに従ってIDコードが設定されている。
【0012】
図2は、発送ファイル2にて記憶管理される発送登録データ7の主要な項目を示している。項目「店舗コード」は、発送登録データ7が登録処理された店舗の識別子である。項目「取引日時」は、商取引を特定する番号とその実施日時である。項目「商品コード」,「商品名」,「単価」,「数量」,「金額」は、贈答用商品の商品販売データである。項目「宅配業者コード」は、当該贈答用商品を宅配する宅配業者の識別子である。項目「お届け指定日」は、当該贈答用商品の宅配指定日時である。項目「発送フラグ」は、当該発送登録データ7に該当する贈答用商品の発送状況を識別するフラグであり、例えば未発送の状況を“0”とし、発送中の状況を“1”とする。
【0013】
図3は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、制御の中枢としてCPU20を備えている。このCPU20に対し、ROM21、RAM22、時刻を計時する時計部23、ネットワーク400との通信を司る通信コントローラ24、キーボードコントローラ25、スキャナコントローラ26、表示コントローラ27,28、プリンタコントローラ29、RFIDリーダコントローラ31を接続している。
【0014】
そして、キーボードコントローラ25に締め宣言手段である締めキー25b及びモード選択手段である発送キー25c等の各種操作キーを配設したキーボード25aを接続し、スキャナコントローラ26に伝票番号入力手段11及び商品コード入力手段12として機能するスキャナ26aを接続し、表示コントローラ27にオペレータ用ディスプレイ27aを接続し、表示コントローラ28に客用ディスプレイ28aを接続し、プリンタコントローラ29にプリンタ29aを接続し、RFIDリーダコントローラ30に識別コード入力手段13として機能するRFIDリーダ30aを接続している。各コントローラ25〜30は、それぞれ接続されたデバイスを周知の方法で制御する。
【0015】
かかる構成のPOS端末1は、上記発送登録手段10を実現すべく、商取引データ記憶領域22a、伝票番号記憶手段である伝票番号記憶領域22b、データ記憶手段であるデータ保持領域22cをRAM22に形成し、図4,5に示す処理をCPU20が実行するための制御プログラムをROM21に格納している。
【0016】
次に、上記のような構成による作用について説明する。当該店舗100において、客は、店内に陳列された商品や贈答用商品のサンプルを見て購入商品を選び、その商品又は贈答用商品の商品札5を持ってPOS端末1が設置されたレジに移動する。このときキャッシャは、キーボード25aに配設されたPLUキーを操作して商品販売処理の開始を宣言する。図4は、商品販売処理においてCPU20が実行する処理の流れ図である。先ず、CPU20は、発送キー25cが操作されたか判断する(ST101)。発送キー25cが操作されたときには(ST101のYes)、伝票番号の入力を受け付け(ST102)、処理モードを商品の宅配を受け付ける発送モードに設定する(ST103)。キャッシャは、スキャナ26aにより発送伝票4に印刷されたバーコードをスキャニングして伝票番号を入力できる。入力された伝票番号は、発送伝票問い合わせ番号として伝票番号記憶領域22bに記憶される。
【0017】
発送キー25cが操作されていないときには(ST101のNo)、客が購入しようとする商品の商品コードが入力されたか判断する(ST104)。キャッシャは、スキャナ26aにより商品に付されたバーコードをスキャニングして商品コードを入力できる。商品コードが入力されたときには(ST104のYes)、処理モードが発送モードに設定されているか判断する(ST105)。発送モードに設定されていないときには(ST105のNo)、商品販売データ処理を実行する(ST106)。商品販売データ処理では、当該商品の販売数量を付した商品販売データが作成され、商取引データ記憶領域22aに記憶される。
【0018】
一方、発送モードに設定されているときには(ST105のYes)、贈答用商品の発送登録を受け付ける宅配商品販売データ処理を実行する(ST107)。この処理においてCPU20が実行する処理の流れ図を、図5を用いて説明する。
【0019】
先ず、CPU20は、IDコードの入力を受け付ける(ST201)。キャッシャは、RFIDリーダ30aにIDタグ6を翳し、両者を無線通信させることによりIDタグ6に記憶されたIDコードをPOS端末1に入力できる。
【0020】
IDコードが入力された後、CPU20は、お届け指定日の設定を行うか否かを問うメッセージをオペレータ用ディスプレイ27aに表示し、キーボード25aに配設されたクリアキーが操作されたか判断する(ST202)。上記クリアキーが操作されないときには(ST202のNo)、お届け指定日入力受付画面をオペレータ用ディスプレイ27aに表示し、お届け指定日の入力を受け付ける(ST203)。キャッシャは、キーボード25aに配設された置数キーを操作することで、客が所望するお届け指定日を当該画面に入力することができる。
【0021】
お届け指定日の入力を受け付けた後、あるいは上記クリアキーが操作された後、CPU20は、宅配業者選択画面をオペレータ用ディスプイ27aに表示し、宅配業者の選択を受け付ける(ST204)。このとき、キャッシャは、当該画面に表示された一又は複数の宅配業者の中から、任意の宅配業者を選択できる。
【0022】
そして、CPU20は、ST104の処理にて入力された商品コードに基づいて商品マスタM1から当該商品の商品データを取得し、該データに伝票番号記憶領域22bに記憶された伝票番号、販売に係る当該商品の数量、ST201の処理にて入力されたIDコード、ST203の処理にて入力された配達指定日、ST204の処理にて選択された宅配業者を対応付けた商品販売データを作成し、商取引データ記憶領域22aに記憶する(ST205)。しかる後、宅配商品販売データ処理を終了し、発送モードを解除する。
【0023】
さて、上記商品販売データ処理又は宅配商品販売データ処理の後、CPU20は、締めキー25bが操作されたか判断する(ST108)。締めキー25bが操作されたときには(ST108のYes)、CPU20は、締め処理を実行する(ST109)。この処理では、商取引データ記憶領域22aに記憶された商品販売データに基づいて取引の代金を算出し、客が支払った金額との差額を釣銭として算出し、当該取引の内容を印字したレシートをプリンタ29aにて印字する。
【0024】
締め処理の後、CPU20は、商取引データ記憶領域22aを検索して伝票番号と対応付けられた商品販売データが記憶されているか判断する(ST110)。伝票番号と対応付けられた商品販売データが商取引データ記憶領域22aに記憶されているときには(ST110のYes)、その商品販売データを抽出し(ST111)、図2に示したデータ項目の発送登録データ7を作成してデータ保持領域22cにセットする(ST112)。そして、データ保持領域22cにセットした発送登録データ7を管理サーバ200に送信する(ST113)。発送登録データ7を管理サーバ200に送信した後、当該商品販売処理を終了する。なお、ST112の処理は、データ保持手段を構成する。
【0025】
発送登録データ7を受信した管理サーバ200は、発送ファイル2に当該データ7を記憶する。上記発送伝票4は複数枚綴りになっており、そのうち1枚が商品札5と共に配送センター300へ搬送される。配送センター300の作業員は、商品伝票に対応付けられた商品を用意する。そして、HT3にて発送伝票4に印刷されたバーコードをスキャニングし、読み取った発送伝票問い合わせ番号にて管理サーバ200に発送登録データ7を問い合わせる。管理サーバ200は、受信した発送伝票問い合わせ番号にて発送ファイル2を検索し、該当する発送登録データ7と、該データ7中のIDコードでIDコードマスタM2から特定される属性情報とをHT3に返信する。HT3は、返信された属性情報を表示手段に表示する。表示内容は、例えば商品名、生産地、内容量である。HT3のオペレータは、この属性情報に合う商品を用意する。
【0026】
オペレータは、HT3を操作して当該商品やその包装に印刷された商品コードを表すバーコードをスキャニングして商品コードを特定する。さらに、当該商品やその包装に印刷された属性情報を記憶したIDタグを読み取ることにより属性情報を特定する。
【0027】
このとき、HT3は、商品から特定した商品コード及び属性情報と、管理サーバ200から受信した発送登録データ7中の商品コード及び属性情報との一致不一致を判断し、商品コード及び属性情報のいずれか一方でも一致しない場合には、商品が誤っているためその旨報知する。
【0028】
以上説明したように、POS端末1は、贈答用商品の販売時に伝票番号とIDコードと商品コードとを対応付けたデータを含む発送登録データ7を作成する。そのため、商品コードが同一で属性情報が異なる商品が複数存在する場合であっても、作業員が目視により属性情報を確認する必要がなくなる。ひいては作業ミスの発生が抑制され、作業効率が向上する。
【0029】
また、作成した発送登録データ7を管理サーバ200に送信するので、配送センター300等から発送登録データ7へのアクセスが容易となる。
【0030】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階においてはその要旨を逸脱しない範囲内にて各構成要素を適宜変形して具体化することができる。
【0031】
例えば、IDタグ6を用いず、属性情報に関するデータを表すバーコードや二次元コードを商品札5に印刷しておいてもよい。かかる場合、スキャナ26aが識別コード入力手段13として機能する。
【0032】
また、商品札5にバーコードを印刷せずにIDタグ6のメモリに商品コードを記憶してもよい。かかる場合、RFIDリーダ30aが商品コード入力手段12として機能する。
【0033】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全体構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態におけるシステム構成図。
【図2】同実施形態における発送登録データのデータ構成図。
【図3】同実施形態における商品販売データ処理装置であるPOS端末の構成図。
【図4】同実施形態における商品販売処理の流れ図。
【図5】同実施形態における宅配商品販売データ処理の流れ図。
【符号の説明】
【0035】
1…POS端末、2…発送ファイル、3…HT、10…発送登録手段、11…伝票番号入力手段、12…商品コード入力手段、13…IDコード入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品コードを入力する商品コード入力手段を具備し、この商品コード入力手段を介して入力された商品コードに基づいて商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置において、
商品登録された商品の発送伝票の伝票番号を入力する伝票番号入力手段と、
個々の商品を識別する識別コードを入力する識別コード入力手段と、
前記伝票番号入力手段を介して入力された伝票番号と前記商品コード入力手段を介して入力された商品コードと前記識別コード入力手段を介して入力された識別コードとを対応付けて保持するデータ保持手段とを具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記データ保持手段により保持されたデータをオンライン接続された管理サーバに送信するデータ送信手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記識別コード入力手段は、メモリを備えたRFIDタグと無線通信を行い、該メモリから読み取った情報を前記識別コードとして入力することを特徴とする請求項1又は2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
商品コードに基づいて商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置の制御プログラムであって、
前記商品販売データ処理装置に、
商品コードを入力する商品コード入力機能と、
商品登録された商品の発送伝票の伝票番号を入力する伝票番号入力機能と、
個々の商品を識別する識別コードを入力する識別コード入力機能と、
前記伝票番号入力機能を介して入力された伝票番号と前記商品コード入力機能を介して入力された商品コードと前記識別コード入力機能を介して入力された識別コードとを対応付けて保持するデータ保持機能とを実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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