説明

商品販売データ処理装置及びその制御プログラム

【課題】ネットスーパー販売方式による売上を実存店舗の売上として集計する場合において、無駄なレシートの発行を抑制する。
【解決手段】店舗にて客が購入する商品の販売データを購入時点の単価に基づいて売上処理する商取引に対してはプリンタを駆動してレシート印字を行わせるが、ネットワークを介して注文を受付けた商品の販売データを注文受付時点の単価に基づいて売上処理する商取引に対してはレシート印字を行わせないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットスーパーと称される会員制の販売方式が注目されている。この販売方式は、スーパーマーケット等の実存店舗で導入される。この販売方式では、会員となった顧客が、自宅等でパーソナルコンピュータ等の顧客端末を操作し、インターネット等のネットワーク通信を利用して、小売店に商品を注文する。小売店側は、顧客からの注文に従い店員が売場を廻って注文を受けた商品を揃える。品揃えされた注文商品は、配送担当者によって顧客宅等に配送される。
【0003】
このとき、商品を確認した顧客が、商品に傷みがある等の理由から、商品の受取りを拒否する場合がある。あるいは、注文をしたがその後不要になったとして返品を申し出る場合もある。このような場合も想定し、ネットスーパー販売方式による商取引の売上は、注文確定時ではなく、顧客に商品を配送した後に、その配送伝票を基に処理するのが一般的である。
【0004】
ところで、ネットスーパー販売方式によって取引される商品は、実存店舗で実際に販売されている商品である。このため、ネットスーパー販売方式による商取引の売上も実存店舗の売上としてまとめて集計されるべきである。
【0005】
実存店舗の多くは、売上をPOS(Point Of Sales)システムで管理している。そこで、ネットスーパー販売方式によって取引された商品のデータも、実存店舗で販売された商品のデータと同様にPOS端末に入力して売上処理を行えば、ネットスーパー販売方式による商取引の売上を実存店舗の売上として集計することができる(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
POS端末等の商品販売データ処理装置は、従来、1商取引の締めを宣言する締めキーが入力されると、その商取引の明細が記録されるレシートを印字する。印字されたレシートは、実存店舗での商取引の際は取引相手である顧客がその場に居るので顧客に渡される。しかし、ネットスーパー販売方式による商取引の際は顧客がその場に居ないので破棄されており、無駄となっていた。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、ネットワークを介して商品の注文を受付ける商取引の売上処理の際はレシートを発行せず、レシートの無駄を省くことができる商品販売データ処理装置及びその制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である商品販売データ処理装置は、商取引の明細が記録されるレシートを印字するためのプリンタと、店舗にて客が購入する商品の販売データを購入時点の単価に基づいて売上処理する店舗販売売上処理手段と、ネットワークを介して注文を受付けた商品の販売データを注文受付時点の単価に基づいて売上処理するネットワーク売上処理手段と、店舗販売売上処理手段により商品販売データが売上処理された商取引に対してはプリンタを駆動してレシート印字を行わせ、ネットワーク売上処理手段により商品販売データが売上処理された商取引に対してはレシート印字を行わせないレシート制御手段とを備えたものである。
【0009】
また、制御プログラムは、商取引の明細が記録されるレシートを印字するためのプリンタを備えた商品販売データ処理装置に、店舗にて客が購入する商品の販売データを購入時点の単価に基づいて売上処理する店舗販売売上処理機能と、ネットワークを介して注文を受付けた商品の販売データを注文受付時点の単価に基づいて売上処理するネットワーク売上処理機能と、店舗販売売有家処理機能により商品販売データが売上処理された商取引に対してはプリンタを駆動してレシート印字を行わせ、ネットワーク売上処理機能により商品販売データが売上処理された商取引に対してはレシート印字を行わせないレシート制御機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた商品販売データ処理装置及びその制御プログラムによれば、ネットワークを介して商品の注文を受付ける商取引の売上処理の際はレシートが発行されず、レシートの無駄を省くことができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態であるPOSシステムの全体構成図。
【図2】同システムを構成するPOS端末の要部を示すブロック図。
【図3】同システムを構成するネットスーパー管理サーバの要部を示すブロック図。
【図4】ネットスーパー管理サーバのCPUが実行する主要な処理手順を示す流れ図。
【図5】図4のステップST11で示される配送伝票生成処理の具体的手順を示す流れ図。
【図6】本実施形態において生成される会員コードの一例を示す図。
【図7】本実施形態において生成されるポイントコードの一例を示す図。
【図8】本実施形態において生成される購入時コードの一例を示す図。
【図9】本実施形態において発行される配送伝票の一例を示す図。
【図10】POS端末のCPUが実行するコード読取処理の手順を示す流れ図。
【図11】図10のステップST36で示されるネットスーパー売上処理の具体的手順を示す流れ図。
【図12】POS端末のCPUが実行する締めキー処理の手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、商品販売データ処理装置及びその制御プログラムの一実施形態を、図面を用いて説明する。
なお、この実施形態は、ネットスーパーと称される販売方式を導入している実存店舗に構築されるPOSシステム1のPOS端末3に、商品販売データ処理装置としての機能を適用した場合である。
【0013】
図1は、POSシステム1の全体構成図である。POSシステム1は、ストアサーバ2と、複数台のPOS端末3と、ネットスーパー管理サーバ4とを備えている。ストアサーバ2は、各POS端末3とネットスーパー管理サーバ4とを、LAN(Local Area Network)5で接続している。
【0014】
ストアサーバ2は、POSシステム1の全体を統括するコンピュータである。ストアサーバ2は、商品マスタファイル11、店舗売上ファイル12、会員マスタファイル13及び会員実績ファイル14を管理する。
【0015】
商品マスタファイル11は、実存店舗で販売される各商品に関する情報を記憶する。商品情報は、商品コード、商品名、単価等を含む。商品コードは、各商品を個々に識別するための商品毎に設定された商品識別コードであり、POSシステムで一般に用いられるJANコードに含まれる国コード、メーカーコード及び商品アイテムコードの組を意味する。通常、各商品には商品コードを示すバーコードが付されている。単価は、現時点の商品1点あたりの販売価格である。
【0016】
店舗売上ファイル12は、実存店舗で販売される各商品の売上に関する情報を記憶する。店舗売上情報は、商品別の売上点数、売上金額等を含む。ストアサーバ2は、各POS端末3にて売上処理された商品販売データに基づいて、店舗売上ファイル12に記憶されている各商品の売上点数及び売上金額を更新する。
【0017】
会員マスタファイル13は、ネットスーパー利用会員として登録された各会員に関する情報を記憶する。会員情報は、会員コード、氏名、配送先住所、電話番号等を含む。会員コードは、会員を銘々識別するために会員毎に設定された客識別コードである。通常、各会員は、自身の会員コードが記録された会員カード(ポイントカード)を所持している。
【0018】
会員実績ファイル14は、ネットスーパー利用会員の売上実績に関する情報を記憶する。売上実績は、ネットスーパー販売方式によるものだけでなく、来店して買い物をした際の実績も加味される。売上実績情報は、注文日または購入日、注文商品情報または購入商品情報、合計金額、ポイント数等を含む。商品情報は、各注文商品または購入商品の商品コード、商品名、単価、点数、金額等を含む。購入商品の単価は購入時点のものであり、注文商品の単価は注文受付時点のものである。
【0019】
POS端末3は、各商品の販売データを売上処理する商品販売データ処理装置の一態様であり、店舗の会計場所(レジ)に設置されている。POS端末3は、図2のブロック図で示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、時計部34、LANコントローラ35及びI/O機器コントローラ36を備えている。CPU31は、ROM32、RAM33、時計部34、LANコントローラ35及びI/O機器コントローラ36を、アドレスバス,データバス等のバスライン37で接続している。
【0020】
I/O機器コントローラ36は、キーボード301、オペレータ用ディスプレイ302、客用ディスプレイ303、レシートプリンタ304、カードリーダ305及びコードスキャナ306を制御する。キーボード301は、少なくとも締めキーK1を備えている。締めキーK1は、1商取引の締めを宣言する締め宣言手段として機能する。レシートプリンタ304は、商取引の明細が記録されたレシートを印字する。印字されたレシートは、図示しないレシート発行口から取引単位に発行される。カードリーダ305は、前記会員カードのデータを読み取る。コードスキャナ306は、バーコードをスキャニングして、バーコードデータを読み取る。
【0021】
ネットスーパー管理サーバ4は、インターネット等のネットワークを利用した商品販売方式の一態様であるネットスーパー販売方式を実現するためのコンピュータであり、図3のブロック図で示すように、CPU41、ROM42、RAM43、HDD(Hard Disk Drive)44、LANコントローラ45、WANコントローラ46及びプリンタコントローラ47を備えている。CPU41は、ROM42、RAM43、HDD44、LANコントローラ45、WANコントローラ46及びプリンタコントローラ47を、アドレスバス,データバス等のバスライン48で接続している。
【0022】
ネットスーパー管理サーバ4は、WANコントローラ46を介して接続されるインターネット等のWAN(Wide Area Network)6上に、ネットスーパー販売方式で販売される商品の情報(例えば、商品名、単価、ポイント還元率等)を掲載したWebサイト“ネットスーパー”を公開する機能と、パーソナルコンピュータや携帯電話等の顧客端末7から、Webサイト“ネットスーパー”で販売する商品の購入注文を受け付け、プリンタコントローラ47で制御される伝票プリンタ401から、注文を受付けた商品の明細を示す配送伝票50を印字出力させる機能とを有する。
【0023】
ここで、ネットスーパー管理サーバ4が、顧客端末7から商品の購入注文を受け付け、配送伝票50を印字させる機能について、図4及び図5の流れ図を用いて説明する。この機能は、例えばROM42に記憶された制御プログラムに従い、CPU41が動作することで実現される。
【0024】
CPU41は、WAN6上に公開したWebサイト“ネットスーパー”に顧客端末7からアクセスがあるのを待機している(ST1)。顧客端末7からWebサイト“ネットスーパー”へのアクセスを受け付けると(ST1のYES)、CPU41は、そのWebサイト“ネットスーパー”に、会員番号の入力を促すログイン画面を出力させる(ST2)。そして、会員番号が入力されるのを待機する(ST3)。
【0025】
顧客端末7からログイン画面に会員番号が入力されると(ST3のYES)、CPU41は、この会員番号に対応する会員情報を、ストアサーバ2の会員マスタファイル13から取得する(ST4)。また、CPU41は、Webサイト“ネットスーパー”に、購入の対象となる商品の選択と会計指示を受け付ける注文受付画面を出力させる(ST5)。そして、会計指示が行われるのを待機する(ST6)。
【0026】
顧客端末7から注文受付画面に購入の対象となる商品の選択情報とともに会計を行う旨の指示入力があると(ST6のYES)、CPU41は、購入対象とされた商品の商品情報を、ストアサーバ2の商品マスタファイル11から取得する(ST7)。そして、この商品情報に基づき、当該商品の売上額を算出する。また、この売上額と所定のポイント還元率とからポイント数を算出する(ST8)。
【0027】
次いで、CPU41は、購入対象とされた商品の一覧と、ステップST8の処理で算出した売上額及びポイント数とを表した決済確認画面を、Webサイト“ネットスーパー”に出力させる(ST9)。そして、決済確定の指示入力が行われるのを待機する(ST10)。ここで、顧客端末7から決済確定の指示入力が行われず、例えば取消の指示入力が行われたとすると(ST10のNO)、今回の処理が終了する。CPU41は、次の顧客端末7からアクセスがあるのを待機する。
【0028】
顧客端末7から決済確定の指示入力があると(ST10のYES)、CPU41は、購入対象とされた商品の配送に係る配送伝票の印字データを生成する(ST11)。以下、図5を参照して、配送伝票の印字データ生成処理手順を説明する。
【0029】
先ず、CPU41は、ステップST3の処理で受け付けた会員番号を表すコード(以下、「会員コード」という)を生成する(ST21)。また、ステップST8の処理で算出したポイント数を表すコード(以下、「ポイントコード」という)を生成する(ST22)。
【0030】
会員コードの一例を図6に示す。また、ポイントコードの一例を図7に示す。図6及び図7は、いずれもそのコード体系を20桁とするcode128式バーコードとした例である。
【0031】
図6に示すように、会員コードは、第1桁目から第13桁目までの13桁の第1コード領域C11と、第14桁目のフラグ情報(F)と、第15桁目から第19桁目までの5桁の第2コード領域C12と、第20桁目のチェックデジット(C/D)とから構成されている。そして、第1コード領域C11と第2コード領域C12の計18桁のコード領域を用いて、顧客の会員番号が表される。フラグ情報(F)は、このバーコードが会員コードであることを示す特有の値である。本実施形態では“5”とする。なお、第1コード領域C11と第2コード領域C12とをそれぞれ構成する桁数は、図6に示す割合に限定されるものではない。
【0032】
図7に示すように、ポイントコードは、第1桁目から第13桁目までの13桁の第1コード領域C21と、第14桁目のフラグ情報Fと、第15桁目から第19桁目までの5桁の第2コード領域C22と、第20桁目のチェックデジット(C/D)とから構成されている。ここで、第1コード領域C21は固定部分となっており、第2コード領域C22を用いてポイント数が表される。フラグ情報(F)は、このバーコードがポイントコードであることを示す特有の値である。本実施形態では“6”とする。なお、第1コード領域C21と第2コード領域C22とをそれぞれ構成する桁数は、図7に示す割合に限定されるものではない。
【0033】
図5に説明を戻す。
CPU41は、ステップST7の処理で購入対象とされた各商品について、それぞれその商品の購入時点での商品単価を表す単価コードを生成する(ST23)。そして商品毎に、その商品に付されている商品コードと、ステップST23の処理で生成した単価コードとを組み合わせたコード(以下、購入時コードという)を生成する(ST24)。
【0034】
購入時コードの一例を図8に示す。本実施形態では、購入時コードも、前述した会員コード及びポイントコードと同様に、20桁のcode128式バーコードを用いて表す。具体的には、第1桁目から第13桁目までの13桁の第1コード領域C31を用いて商品コード(国コード、メーカーコード、商品アイテムコード)を表し、第15桁目から第19桁目までの5桁の第2コード領域C32を用いて単価コードを表す。第14桁目のフラグ情報(F)は、このバーコードが購入時コードであることを示す特有の値として、本実施形態では“4”とする。
【0035】
ステップST21,ST22及びST24の各処理により、会員コード、ポイントコード及び購入対象商品別の購入時コードをそれぞれ生成したならば、CPU41は、配送伝票の印字データを生成する(ST25)。具体的には、所定の配送伝票フォーマットに、会員コード、ポイントコード及び購入対象商品別の購入時コードを配置する。また、ステップST4の処理で取得した会員情報や、ステップST7の処理で受け付けた購入対象商品毎の商品情報等も配置する。
【0036】
図4に説明を戻す。
CPU41は、ステップST11の配送伝票生成処理が終了すると、生成された印字データをプリンタコントローラ47に出力する(ST12)。プリンタコントローラ47は、印字データに従い伝票プリンタ401を駆動させて、配送伝票50を印字発行させる。以上で、今回の顧客端末7からのアクセスに対するネットスーパー管理サーバ4の処理を終了する。
【0037】
配送伝票50の一出力例を図9に示す。ここで、領域A1は、配送先となる顧客の会員情報が印字される領域である。ステップST4の処理で取得した会員情報のうち、領域A11に顧客の氏名が、領域A12に顧客の電話番号が、領域A13に配送先となる顧客の住所が印字されている。なお、商品注文時において、顧客から配送先の住所や電話番号が別途指定された場合には、これら指定された情報が対応する領域に印字される。
【0038】
領域A2は、顧客の会員番号と、今回の注文で付与されたポイント数とが印字される領域である。そのうち、領域A21には会員番号とポイント数とが平文で印字されており、領域A22には会員番号及びポイント数の各コード、すなわちステップST21、ST22の処理で生成された会員コードとポイントコードとが印字されている。なお、図8の例では、会員コード及びポイントコードを紙面横方向に並べて配置した形態としているが、これに限らず、紙面縦方向に2段組に配置する形態としてもよい。
【0039】
領域A3は、配送時に必要な配送情報が印字される。配送情報として、配送日を指定する情報、配送時間を指定する情報、決済方法を指定する情報が、領域A31〜A33のそれぞれに印字されている。これらの配送情報は、商品注文時に顧客端末7から別途指示入力されたものである。領域A34には、購入対象となった商品の総額が領収金額として印字される。また、領域A35は配送担当のサインや捺印用に設けられた空欄領域であり、領域A36は顧客の受領サイン又は捺印用に設けられた空欄領域である。
【0040】
領域A4には、購入対象となった各商品の商品名や購入時の単価、数量、小計、合計金額等の明細が印字される。そのうち、領域A41には、購入対象とされた各商品の購入時コードが商品毎に印字されている。
【0041】
このように、配送伝票50に印字される会員コード、ポイントコード及び購入時コードは、いずれもそのコード体系を20桁とするcode128式バーコードである。そして、その第14桁目のフラグ情報Fの値の違いによって、POS端末3等のコンピュータ機器がコードの種類を識別できる。
【0042】
伝票プリンタ401から発行された配送伝票50は、店舗内で品揃えされた購入対象の各商品とともに配送担当員へと引き渡され、配送先の顧客宅へと配送される。配送完了後、顧客の受領サイン又は捺印された配送伝票50は、POSシステム1の店舗へと返送され、任意のタイミングでPOS端末3による売上処理にかけられる。なお、配送時に顧客が一部の商品の受取りを拒否したり返品したりした場合には、配送担当員は、その商品(以下、キャンセル商品という)の配送情報に取消線などのマークを書き込む等して、キャッシャが売上処理の際にキャンセル商品を識別できるようにしておく。
【0043】
以下、図10〜図12の流れ図を参照して、POS端末3で行われる売上処理について説明する。売上処理には、実存店舗での商品販売取引の売上処理いわゆる店舗販売売上処理と、ネットスーパー販売方式によるネットワーク注文販売取引の売上処理いわゆるネットスーパー売上処理とがある。店舗販売売上処理は、店舗にて客が購入する商品に付されたJANコード等の商品コードを、コード読取手段であるコードスキャナ306で読み取ることによって、その商品の販売データを購入時点の単価を基に売上処理するものである(店舗販売売上処理手段)。ネットスーパー売上処理は、ネットスーパー販売方式による注文内容に従い発行された配送伝票50に記録された各種のコードを、コード読取手段であるコードスキャナ306で読み取ることによって、WAN6を介して注文を受け付けた商品の販売データを注文受付時点の単価に基づいて売上処理するものである(ネットワーク売上処理手段)。
【0044】
図10の流れ図は、コードスキャナ306でコードが読み取られたときに、CPU31が実行する処理の手順を示す。この処理手順は、例えばROM32に記憶された制御プログラムによって実現される。
【0045】
コードが読み取られると、CPU31は、先ず、登録中フラグRFが“1”にセットされているか否かを判断する(ST31)。登録中フラグRFはRAM33に記憶されており、アイドル状態では“0”にリセットされている。
【0046】
登録中フラグRFが“1”にセットされていない場合、CPU31は、取引バッファをクリアする(ST32)。また、登録中フラグRFを“1”にセットする(ST33)。取引バッファは、RAM33に形成されている。
【0047】
次に、CPU31は、読み取られたコードが、その14桁目にフラグ情報Fとして所定値“4”,“5”または“6”を持つコード、すなわち配送伝票50に印字されたcode128式バーコードのコードであるか否かを判断する(ST34)。配送伝票50に印字されたコードの場合(ST34のYES)、CPU31は、ネットスーパーフラグNSFを“1”にセットする(ST35:フラグセット手段)。ネットスーパーフラグNSFはRAM33に記憶されており、アイドル状態では“0”にリセットされている。次いで、CPU31は、ステップST36のネットスーパー売上処理を実行する。ネットスーパー売上処理については、後述する。
【0048】
読み取られたコードが配送伝票50に印字されたコードでない場合(ST34のNO)、CPU31は、ステップST38〜ST41の店舗販売売上処理を実行する。すなわち、読み取られたコードが14桁からなるJANコード等の商品コードであるとき、CPU31は、その商品コードに対応する商品情報を、ストアサーバ2の商品マスタファイル11から取得する(ST38)。そして、取得した商品情報中の単価に販売点数を乗算して販売金額を算出する(ST39)。なお、販売点数は、コードが読み取られる直前に、キーボード301の置数キーにより乗数が入力されていた場合にはその乗数であり、乗数が入力されていない場合には“1”である。しかる後、CPU31は、商品コードと、商品情報中の商品名及び単価と、販売点数及び販売金額とを、取引バッファに格納する(ST40)。また、商品名及び販売金額をオペレータ用ディスプレイ302及び客用ディスプレイ303に表示させる(ST41)。以上で、今回のコード読取処理が終了する。
【0049】
一方、コードが読み取られた時点で登録中フラグRFが既に“1”にセットされていた場合には(ST31のYES)、CPU31は、ネットスーパーフラグNSFをチェックする(ST37)。ここで、ネットスーパーフラグNSFが“1”にセットされていると(ST37のTES)、ネットスーパー売上処理を実行し(ST36)、“0”にリセットされていると(ST37のNO)、店舗販売売上処理を実行する(ST38〜ST41)。
【0050】
図11は、ネットスーパー売上処理の具体的な処理手順を示す流れ図である。ステップST36にてネットスーパー売上処理に入ると、CPU31は、読み取られたコードの14桁目であるフラグ情報Fの値をチェックする(ST51)。
【0051】
ここで、フラグ情報Fの値が“5”であると(ST51の“5”)、配送伝票50から読み取られたコードは会員コードである。この場合、CPU31は、その会員コードから会員番号を取得する(ST52)。そして、この会員番号を取引バッファに格納する(ST53)。以上で、今回のコード読取処理が終了する。
【0052】
フラグ情報Fが“6”であると(ST51の“6”)、配送伝票50から読み取られたコードはポイントコードである。この場合、CPU31は、そのポイントコードからポイント数を取得する(ST54)。そして、このポイント数を取引バッファに格納する(ST55)。以上で、今回のコード読取処理が終了する。
【0053】
フラグ情報Fが“4”であるとき(ST51の“4”)、配送伝票50から読み取られたコードは購入時コードである。この場合、CPU31は、その購入時コードから商品コードと単価データとを取得する(ST56)。次いで、CPU31は、その商品コードに対応する商品情報を、ストアサーバ2の商品マスタファイル11から取得する(ST57)。そして、取得した商品情報中の単価に販売点数を乗算して販売金額を算出する(ST58)。販売点数は、コードが読み取られる直前に、キーボード301の置数キーにより乗数が入力されていた場合にはその乗数であり、乗数が入力されていない場合には“1”である。しかる後、CPU31は、商品コードと、商品情報中の商品名及び単価と、販売点数及び販売金額とを取引バッファに格納する(ST59)。また、商品名及び販売金額をオペレータ用ディスプレイ302及び客用ディスプレイ303に表示させる(ST60)。以上で、今回のコード読取処理が終了する。
【0054】
このように、登録中フラグRFが“0”にリセットされているアイドル状態で、商品に付された商品コードがコードスキャナ306によって読み取られると、POS端末3のCPU31は、登録中フラグRFを“1”にセットして、店舗販売売上処理を実行する。そして以後、登録中フラグRFが“0”にリセットされるまで、商品コードがコードスキャナ306によって読み取られる毎に店舗販売売上処理を繰返し実行する。
【0055】
一方、同じくアイドル状態で、配送伝票50に印字された会員コード、ポイントコード、購入時コードのなかのいずれかのコードがコードスキャナ306によって読み取られると、POS端末3のCPU31は、登録中フラグRFとネットスーパーフラグNSFとをいずれも“1”にセットして、ネットスーパー売上処理を実行する。そして以後、登録中フラグRFが“0”にリセットされるまで、配送伝票50のコードがコードスキャナ306によって読み取られる毎にネットスーパー売上処理を繰返し実行する。
【0056】
そこで、POS端末3を操作する店員いわゆるキャッシャは、実在店舗での商品販売取引の際には、顧客が購入する商品に付された商品コードを1品ずつコードスキャナ206で読取操作する。そして、全ての購入商品の読取操作が終了すると、締めキーK1を入力して、1商取引の締めを宣言する。
【0057】
一方、ネットスーパー販売方式による商品販売取引の際には、配送伝票50に印字されている会員コード、ポイントコード及び購入対象商品毎の購入時コードをコードスキャナ206で読取操作する。ただし、キャンセル商品の購入時コードは読み取らない。そして、全てのコードの読取操作が終了すると、締めキーK1を入力して、1商取引の締めを宣言する。
【0058】
図12は、締めキーK1が入力されたときのCPU31の処理手順を示す流れ図である。この処理手順は、例えばROM32に記憶された制御プログラムによって実現される。
【0059】
締めキーK1が入力されたことを検知すると、CPU31は、先ず、登録中フラグRFをチェックする(ST71)。ここで、登録中フラグRFが“0”にリセットされている場合には(ST71のNO)、売上処理が実行されていないアイドル状態において締めキーK1が操作された誤操作なので、エラーとする。
【0060】
登録中フラグRFが“1”にセットされていた場合(ST71のYES)、CPU31は、取引バッファに格納されている商品コード,商品名,単価,販売点数,販売金額等の商品販売データを基に、売上登録処理を実行する(ST72)。この売上登録処理により、商取引の合計金額が算出される。また、この商取引で売上げられた各商品の商品コード,売上点数及び売上金額と、上記合計金額、ポイント数、会員番号とを含む売上登録データが生成される。なお、店舗販売に対する商取引の場合、ポイント数は商品販売データを基に算出される。また、会員番号は、カードリーダ305によって会員カードから読み取られる。
【0061】
売上登録処理が終了すると、CPU31は、この売上登録データをストアサーバ2に送信する(ST73)。ストアサーバ2は、POS端末3から受信した売上登録データにより、店舗売上ファイル12及び会員実績ファイル14のデータを更新する。
【0062】
次に、CPU31は、ネットスーパーフラグNSFをチェックする(ST74:取引判定手段)。ネットスーパーフラグNSFが“0”にリセットされていると、登録終了が宣言された商取引は、店舗販売売上処理手段により商品販売データが売上処理された商取引、すなわち店舗販売取引である。これに対し、ネットスーパーフラグNSFが“1”にセットされていた場合は、ネットワーク売上処理手段により商品販売データが売上処理された商取引、すなわちネットワーク注文販売取引である。
【0063】
前者の店舗販売取引の場合(ST74のNO)、CPU31は、売上登録データを基に取引レシートの印字データを生成し、レシートプリンタ304に出力して、取引レシートを印字発行させる(ST75)。これに対し、後者のネットワーク注文販売取引の場合には(ST74のYES)、ステップST75のレシート印字発行処理を行わない(レシート制御手段)。
【0064】
その代わりに、CPU31は、レシート発行無しを報知する(ST76:報知手段)。例えば、オペレータ用ディスプレイ302にレシートを発行しない旨のメッセージを表示させる。あるいは、図示しない音声合成装置を用いて、同様なメッセージを音声出力させる。また、CPU31は、ネットスーパーフラグNSFを“0”にリセットする(ST77)。
【0065】
ステップST75またはST77の処理を終了すると、CPU31は、取引バッファをクリアする(ST78)。また、登録中フラグRFを“0”にリセットする(ST79)。以上で、今回の締めキー処理が終了し、POS端末3はアイドル状態に戻る。
【0066】
このように、本実施形態のPOS端末3は、店舗販売取引の売上処理の際に締めキーK1の入力により1商取引の締めが宣言されると、その商取引の明細が記録される取引レシートを印字発行するが、ネットスーパー販売方式によるネットワーク注文販売取引の売上処理の際に締めキーK1の入力により1商取引の締めが宣言されても、取引レシートを発行しない。
【0067】
ネットスーパー販売方式によるネットワーク注文販売取引の売上処理の際は、取引相手の顧客が不在でありレシートを発行しても手渡すことができない。本実施形態によれば、ネットワーク注文販売取引の売上処理の際はレシートが発行されないので、レシートの無駄を防止することができる。
【0068】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0069】
例えば前記実施形態では、ネットスーパー販売方式によるネットワーク注文販売取引の売上処理を、商品配送完了後の配送伝票50を基に行うものとして説明したが、商品配送前の配送伝票50を用いて売上処理を行ってもよい。その場合も、レシートを発行させないように制御することによって、レシートの無駄を省くことができる。
【0070】
また、前記実施形態では、締めが宣言された商取引が、店舗販売売上処理手段により売上処理される商取引なのかネットワーク売上処理手段により売上処理される商取引なのかを判定する取引判定手段を、配送伝票50に記録されたコードが読み取られたことに応じてセットされるネットスーパーフラグNSFの状態に基づいて判定する手段としたが、これに限らず、例えば、キーボード301にネットスーパー取引宣言キーを設け、配送伝票50に記録されたコードを読み取る前にこのキーを入力するものとし、このキーが入力されたならば、ネットワーク売上処理手段により売上処理される商取引と判定してもよい。
【0071】
また、前記実施形態では、配送伝票に印字されるコードをcode128式バーコードとしたが、これに限らず、他の形態のバーコードでもよい。あるいはQRコード(登録商標)等の二次元データコードであってもよい。
【0072】
また、前記実施形態では、POS端末3のROM32に、制御プログラムが予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークからPOS端末3にダウンロードしても良いし、記録媒体に記憶させたものをPOS端末3にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0073】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…POSシステム、2…ストアサーバ、3…POS端末、4…ネットスーパー管理サーバ、5…LAN、6…WAN、7…顧客端末、11…商品マスタファイル、12…店舗売上ファイル、13…会員マスタファイル、14…会員実績ファイル、31…CPU、32…ROM、33…RAM、301…キーボード、302…オペレータ用ディスプレイ、303…客用ディスプレイ、304…レシートプリンタ、305…カードリーダ、306…コードスキャナ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2009−294759号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商取引の明細が記録されるレシートを印字するためのプリンタを備えた商品販売データ処理装置において、
店舗にて客が購入する商品の販売データを購入時点の単価に基づいて売上処理する店舗販売売上処理手段と、
ネットワークを介して注文を受付けた商品の販売データを注文受付時点の単価に基づいて売上処理するネットワーク売上処理手段と、
前記店舗販売売上処理手段により商品販売データが売上処理された商取引に対しては前記プリンタを駆動してレシート印字を行わせ、前記ネットワーク売上処理手段により商品販売データが売上処理された商取引に対しては前記レシート印字を行わせないレシート制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
1商取引の締めを宣言する締め宣言手段と、
この締め宣言手段により締めが宣言された商取引が、前記店舗販売売上処理手段により商品販売データが売上処理される商取引なのか前記ネットワーク売上処理手段により商品販売データが売上処理される商取引なのかを判定する取引判定手段と、をさらに具備し、
前記レシート制御手段は、前記取引判定手段による判定結果に応じて前記レシート印字を制御することを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
ネットワークを介して注文を受付けた商品の明細を示す伝票に記録されたコードを読取るコード読取手段、をさらに具備し、
前記取引判定手段は、前記コード読取手段により前記伝票に記録されたコードが読み取られたことに応じてセットされるフラグの状態に基づいて判定することを特徴とする請求項2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記コード読取手段により読み取られたコードが、ネットワークを介して商品を注文した客を識別するための客識別コードであるとき、前記フラグをセットするフラグセット手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項3記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記ネットワーク売上処理手段により商品販売データが売上処理される商取引であると前記取引判定手段により判定されると、レシートを発行しない旨を報知する報知手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
商取引の明細が記録されるレシートを印字するためのプリンタを備えた商品販売データ処理装置の制御プログラムであって、
前記商品販売データ処理装置に、
店舗にて客が購入する商品の販売データを購入時点の単価に基づいて売上処理する店舗販売売上処理機能と、
ネットワークを介して注文を受付けた商品の販売データを注文受付時点の単価に基づいて売上処理するネットワーク売上処理機能と、
前記店舗販売売上処理機能により商品販売データが売上処理された商取引に対しては前記プリンタを駆動してレシート印字を行わせ、前記ネットワーク売上処理機能により商品販売データが売上処理された商取引に対しては前記レシート印字を行わせないレシート制御機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186686(P2011−186686A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49934(P2010−49934)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】