説明

商品陳列装置

【課題】ICタグ付きの商品を効率的に管理できるようにした回転式の商品陳列装置を提供すること。
【解決手段】基台10と、基台10に回転可能に立設した非金属製の支持部材20と、支持部材20にある複数の取付部位にそれぞれ着脱自在に取り付けられる複数の非金属製の陳列用部材30とを備え、各陳列用部材30にはそれぞれICタグT’が取り付けられており、支持部材20には陳列用部材30を取り付ける複数の取付部位を周回する状態でタグリーダーのアンテナ22が内蔵されている。陳列用部材30に載っているICタグ付き商品1の情報を読み取ることができ、しかも陳列用部材30の情報も読み取ることができることから、手で持ったタグリーダーで商品をなぞって情報を読み取るようなことをしなくても、陳列用部材30ごとの商品管理を効率良く行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店頭において、書籍類、ディスク類、雑貨類を始めとする各種の商品を陳列するために用いられる回転式の商品陳列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、書店やコンビニエンスストアなどの店頭において、各種の書籍や、パッケージに入れたビデオディスクやコンパクトディスクのようなディスク類、箱入りの高級下着などの雑貨類を始めとする各種の商品を陳列するために、上下方向に長い移動式の商品陳列装置が広く利用されている。通常、このタイプの商品陳列装置は、移動可能な基台に立設した支柱を中心に回転する陳列部を有しており、その陳列部に商品を立てた状態で並べるように構成されている。そして、消費者は、陳列部を回転させながら所望の商品を選んで購入することができるようになっている。
【特許文献1】登録実用新案第3112526号公報
【特許文献2】特開2003−52501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した回転式の商品陳列装置は、店頭における少しのスペースを利用して設置することができ、しかも多くの商品を陳列することができる。また、移動可能であるため目立つところに設置できるので、販売促進の効果が大きいという利点もある。しかしながら、商品が売れて空きができても、その空きスペースが裏側だと見えにくいため、補充を忘れるということがある。
【0004】
一方、最近では、棚上に置かれた商品を管理する手段として、ICタグを利用した方法が知られている。すなわち、商品毎にICタグを取り付けておき、棚に並んだ商品に手で持ったタグリーダーを近づけて順になぞり、商品毎のICタグを読み取ることにより管理することが行われるようになってきている。ところが、平面的な通常の棚の場合は並んでいる商品をタグリーダーでなぞるのは比較的簡単であるが、上記したような回転式の商品陳列装置では、商品が平坦に並んでいないため、タグリーダーでなぞるのは簡単ではなく、余計な手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ICタグ付きの商品を効率的に管理できるようにした回転式の商品陳列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明である商品陳列装置は、ICタグが付いた商品を陳列する商品陳列装置であって、基台と、基台に回転可能に立設した非金属製の支持部材と、支持部材にある複数の取付部位にそれぞれ着脱自在に取り付けられる複数の非金属製の陳列用部材とを備え、各陳列用部材にはそれぞれICタグが取り付けられており、支持部材には陳列用部材を取り付ける複数の取付部位を周回する状態でタグリーダーのアンテナが内蔵されていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明である商品陳列装置は、請求項1に記載の商品陳列装置において、支持部材として、上下方向の2枚の板材がクロスした形状のものを用いたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明である商品陳列装置は、請求項1又は2に記載の商品陳列装置において、基台に装置全体を移動可能とするための手段を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明である商品陳列装置は、支持部材に取り付けた陳列用部材に商品を並べると、その陳列用部材の回りにタグリーダーのアンテナが周回しているので、陳列用部材に載っているICタグ付き商品の情報を読み取ることができ、しかも陳列用部材にICタグが付いているので、陳列用部材の情報も読み取ることができることから、手で持ったタグリーダーで商品をなぞって情報を読み取るようなことをしなくても、陳列用部材ごとの商品管理を効率良く行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明である商品陳列装置は、請求項1に記載の商品陳列装置において、支持部材として、縦方向の2枚の板材がクロスした形状のものを用いたので、合計8面を利用して陳列用部材と商品を適宜配置することができ、また例えば何れかの取付部位にモニターなどの他の物品を取り付けるなどの工夫を施すことも可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明である商品陳列装置は、請求項1又は2に記載の商品陳列装置において、基台に装置全体を移動可能とするための手段を設けたので、上記の効果に加え、簡単に任意の場所に移動して設置できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、具体例を挙げて本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は本発明に係る商品陳列装置の一例を示す斜視図である。
【0014】
この商品陳列装置Aは、ICタグが付いた商品を陳列するためのものである。このような商品としては、例えば、図2に示すような書籍1、図3に示すような樹脂ケースに入ったビデオディスク2、図4に示すような箱入り商品3が挙げられる。図2の書籍1は表紙の背の部分にICタグTを装着してあり、図3のビデオディスク2は樹脂ケースの背の部分にICタグTを装着してあり、図4の箱入り商品3は箱の横側にICタグTを装着している。なお、本発明の商品陳列装置に並べる商品の種類はこれらに限定されるものではない。
【0015】
商品陳列装置Aは、図示のように、基台10と、基台10に立設した背の高い支持部材20と、支持部材20にある複数の取付部位にそれぞれ着脱自在に取り付けられる複数のボックス状の陳列用部材30とを備えており、この商品陳列装置Aでは、陳列用部材30の中にICタグ付きの書籍1が並べられている。
【0016】
基台10はベアリングを内蔵した2枚の板状部材11,12から構成され、これによって支持部材20は基台10に回転自在に立設した状態になっている。また、図示の如く基台10の裏面側には、装置全体を移動可能とするための手段として複数個のキャスター13が取り付けられている。
【0017】
支持部材20は上下方向の2枚の板材が直角にクロスした形状をしており、中心から延びる4つの板部にはそれぞれ上下方向に間隔を置いて4つの取付孔21が設けられている。この支持部材20の素材は非金属であればよく、例えば化粧合板が好適に用いられる。そして、支持部材20には、図の点線で示すように、陳列用部材30を取り付ける複数の取付部位を周回する状態でタグリーダーのアンテナ22が内蔵されている。図示のものでは、直交する一方の板材と他方の板材のそれぞれにおいて隣接する2つの取付部位を囲むようにしてそれぞれループ状のアンテナ22が設けられている。すなわち、ループ状のアンテナ22が直交状態で上下に4組配置されている。
【0018】
陳列用部材30はボックス状で、背面にフック31が設けられており、このフック31を支持部材20の取付孔21に引っ掛けることで、陳列用部材30を支持部材20の所定の取付部位に着脱自在に取り付けることができる。この陳列用部材30の素材は非金属であればよく、通常はポリプロピレン等の樹脂製のものが用いられる。そして、この陳列用部材30には所定の場所にICタグT’が取り付けられている。
【0019】
商品に取り付けるICタグTは、周知のRFID(無線による自動認識技術)タグであって、主にICチップで構成される記憶部と、通信部及びアンテナからなっており、記憶部はリードライトが可能になっている。中でも、インレット型と呼ばれる小型のものが好適である。このインレット型のICタグは、0.01〜0.5mm角の小さなICチップを用い、これに長さ50〜60mmの外部アンテナを装着して幅が約1mmのテープ状としたものであり、ICチップはPETフィルム等の絶縁性のベースフィルム上に載置接合され、外部アンテナはそのベースフィルム上に印刷により形成される。
【0020】
陳列用部材30に取り付けるICタグT’は、上記したインレット型でもよいが、サイズがそれ程小さくなくてもよいので、通常のICタグを用いてもよい。
【0021】
一方、タグリーダーは、それ自身のアンテナ22とICタグT,T’のアンテナとの間で電波の送受信を行う周知のもので、非接触で各種商品の情報が同時に読取り可能になっている。そして、タグリーダーのアンテナ22には読取り部としてのリーダー回路が接続され、リーダー回路には管理端末としてのパソコンが接続されている。
【0022】
この商品陳列装置Aにおける商品の管理方法は次のようである。まず、商品陳列装置Aに接続されたパソコンに、複数個ある陳列用部材30の用途や収納力などの情報を入力するとともに、それらの陳列用部材30に並べられる書籍1の種類などの情報を予め入力しておく。そして、商品の確認をする時間になったら、陳列用部材30のICタグT’に書き込まれた情報を読み取るとともに、各書籍1のICタグTに書き込まれた物品情報を読み取るようにする。この場合、陳列用部材30を周回する状態でアンテナ22が設けられているので、陳列用部材30のICタグT’とそれに載っている書籍1のICタグTを確実に読み取ることができる。
【0023】
そして、タグリーダーのアンテナ22により検出された情報の信号はリーダー回路に入力され、リーダー回路からパソコンへと送られる。パソコンでは、入力された信号により、それぞれの陳列用部材30にどの書籍が存在するかを自動的に確認することができる。したがって、手で持ったタグリーダーで書籍をなぞって情報を読み取るようなことをしなくても、陳列用部材30ごとの商品管理を効率良く行うことができる。そして、この情報をもとに欠品となった書籍の自動発注を行うこともできる。
【0024】
また、商品陳列装置Aは、支持部材20におけるすべての取付部位に陳列用部材30を取り付けてもよいが、店頭での種々の効果を狙って、例えば図示のようなモニター40を設置することもできるし、さらにはその他の物品を取り付けることも可能である。
【0025】
以上、具体例を挙げて本発明を説明したが、本発明による商品陳列装置は、上記の例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0026】
例えば、上記の例では、支持部材20として、上下方向に4つの取付部位をもつものを使用したが、支持部材における取付部位の数は任意であり、商品の種類や展示スペースなどの状況を考慮して設計すればよい。また、支持部材20として、上下方向の2枚の板材がクロスした形状のものを用いたが、一枚の板材で構成したものであってもよい。
【0027】
また、上記の例では、支持部材20における取付部位を周回する状態でタグリーダーのアンテナを設けたが、複数の取付部位に対して一つのアンテナを周回させるようしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る商品陳列装置の一例を示す斜視図である。
【図2】ICタグ付き商品の一例としての書籍を示す斜視図である。
【図3】ICタグ付き商品の一例としてのビデオディスクを示す斜視図である。
【図4】ICタグ付き商品の一例としての箱入り商品を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
A 商品陳列装置
T,T’ ICタグ
1 書籍
2 ビデオディスク
3 箱入り商品
10 基台
11,12 板状部材
13 キャスター
20 支持部材
21 取付孔
22 アンテナ
30 陳列用部材
31 フック
40 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグが付いた商品を陳列する商品陳列装置であって、基台と、基台に回転可能に立設した非金属製の支持部材と、支持部材にある複数の取付部位にそれぞれ着脱自在に取り付けられる複数の非金属製の陳列用部材とを備え、各陳列用部材にはそれぞれICタグが取り付けられており、支持部材には陳列用部材を取り付ける複数の取付部位を周回する状態でタグリーダーのアンテナが内蔵されていることを特徴とする商品陳列装置。
【請求項2】
支持部材として、上下方向の2枚の板材がクロスした形状のものを用いたことを特徴とする請求項1に記載の商品陳列装置。
【請求項3】
基台に装置全体を移動可能とするための手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の商品陳列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−296270(P2007−296270A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129071(P2006−129071)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】