説明

問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法

【課題】オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成する問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法を提供すること。
【解決手段】問題作成装置の記憶部12が、過去に受け付けた質問および質問に対してなされた回答に係る情報を応答記録12aとして記憶し、試験問題作成部18が、記憶部12に応答記録12aとして記憶された過去に受け付けた質問およびその質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて、試験問題を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、質問への回答能力を試験する試験問題を作成する処理をコンピュータに実行させる問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法に関し、特に、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することのできる問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードウェアやソフトウェアなどを製造しているメーカーが、自社製品の使用法や、障害の発生などについての顧客からの質問に対して、電話でサポートをおこなうコールセンタが開設されている。
【0003】
このコールセンタにおいては、顧客からの質問に答えるオペレータの業務負担を軽減するため、頻繁になされる質問とその回答とをあらかじめFAQ(Frequently Asked Question)としてデータベースに登録しておき、それを顧客に提示することにより顧客が問題を自分で解決できるようにしている。
【0004】
近年、このFAQを自動的に生成する方法として、いくつかの方法が考えられている。たとえば、特許文献1には、質問およびその回答を記憶したデータベースから、FAQに追加すべき代表的な質問およびその回答を、質問内容の類似度に基づいて効率よく作成する文書類似度算出装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−263443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に代表される従来技術では、代表的な質問およびその回答をデータベースから作成できるものの、作成した質問およびその回答を顧客の質問に対するオペレータの回答能力を育成するために有効に活用することが難しいという問題があった。
【0007】
たとえば、自分の質問に対する回答をFAQから見つけられなかった顧客や、FAQから回答を探すよりもオペレータに直接質問するのを好む顧客などは、オペレータとの間で直接話をすることにより回答を得ようとするため、顧客の質問に対するオペレータの回答能力の向上は、たとえFAQが準備されているとしても非常に重要なものである。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することのできる問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、質問への回答能力を試験する試験問題を作成する処理をコンピュータに実行させる問題作成プログラムであって、過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶手順と、前記記憶手順により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記問題作成手順は、類似した複数の質問を関連付けたクラスタを生成し、生成されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記問題作成手順は、生成されたクラスタに含まれる質問の数が、所定の数または所定の割合以上増加したクラスタを抽出し、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記問題作成手順は、クラスタを生成した場合に、クラスタに含まれる質問の数に応じてクラスタを所定の種別に分類し、分類された種別ごとにクラスタを所定数抽出し、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記問題作成手順は、質問文と試験問題とする質問文のパターンとの間でパターンマッチングを実行し、過去に受け付けた質問からパターンにマッチした質問文を抽出することにより試験問題を作成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記問題作成手順は、前記質問に対して回答するのに要した時間に係る情報に基づいて試験問題の解答を作成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記問題作成手順により作成された試験問題を出力し、出力された試験問題に対する解答を受け付けて、解答に要した時間を計測する時間計測手順をさらに含んだことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記時間計測手順により計測された時間に基づいて、前記試験問題に解答した解答者の成績を評価し、評価した成績を該解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて出力する成績出力手順をさらに含んだことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記成績出力手順は、前記解答者の成績を出力するとともに、前記試験問題に解答した解答者の成績の推移を検出し、検出した成績の推移を該解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて出力することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、質問への回答能力を試験する試験問題を作成する問題作成装置であって、過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成手段と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、質問への回答能力を試験する試験問題を作成する問題作成方法であって、過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶工程と、前記記憶工程により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成工程と、を含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、過去に受け付けた質問および質問に対してなされた回答に係る情報を記憶し、記憶された質問および質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、類似した複数の質問を関連付けたクラスタを生成し、生成されたクラスタに係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、類似した質問を関連付けたクラスタを用いて試験問題を作成することにより、似通った質問を試験問題として出題することを防止することができ、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、生成されたクラスタに含まれる質問の数が、所定の数または所定の割合以上増加したクラスタを抽出し、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、質問の数が増加したクラスタを用いて試験問題を作成することにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、クラスタを生成した場合に、クラスタに含まれる質問の数に応じてクラスタを所定の種別に分類し、分類された種別ごとにクラスタを所定数抽出し、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、重要度の異なるクラスタを用いて試験問題を作成することにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、質問文と試験問題とする質問文のパターンとの間でパターンマッチングを実行し、過去に受け付けた質問からパターンにマッチした質問文を抽出することにより試験問題を作成することとしたので、質問文のパターンとの間でパターンマッチングをおこなうことにより、質問文を容易に抽出することができ、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、質問に対して回答するのに要した時間に係る情報に基づいて試験問題の解答を作成することとしたので、回答時間を模範解答の基準とすることにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、作成された試験問題を出力し、出力された試験問題に対する解答を受け付けて、解答に要した時間を計測することとしたので、作成された試験問題を用いて試験を実施し、解答に要した時間を基準として、試験の結果を評価することができるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明によれば、計測された時間に基づいて、試験問題に解答した解答者の成績を評価し、評価した成績を解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて出力することとしたので、試験の結果を解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて容易に把握することができるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明によれば、解答者の成績を出力するとともに、試験問題に解答した解答者の成績の推移を検出し、検出した成績の推移を解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて出力することとしたので、解答者の成績の推移を解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて容易に把握することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
まず、本実施例に係る問題作成装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施例に係る問題作成装置の機能的構成を示す図である。この問題作成装置は、過去にコールセンタに寄せられた質問から、類似した質問を関連付けてクラスタを生成し、生成したクラスタから代表的な質問を抽出する処理をおこなう。
【0031】
また、この問題作成装置は、単に代表的な質問を抽出するだけでなく、代表的な質問に対する模範的な回答を、過去の回答事例から抽出し、代表的な質問およびその回答から顧客の質問に応答するオペレータに対して実施する試験の試験問題を作成する。
【0032】
このように、この問題作成装置を用いて、代表的な質問と、模範的な回答とから試験問題を作成することにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0033】
図1に示すように、本実施例に係る問題作成装置は、入力部10、表示部11、記憶部12、クラスタリング処理部13、クラスタ分類部14、新規成長クラスタ抽出部15、代表質問抽出部16、模範解答抽出部17、試験問題作成部18、問題解決能力判定部19および制御部20を有する。
【0034】
入力部10は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。表示部20は、ディスプレイなどの表示デバイスである。記憶部12は、ハードディスク装置などの記憶デバイスである。この記憶部12は、応答記録12a、クラスタ情報12b、パターン情報12cおよびオペレータ情報12dを記憶している。
【0035】
応答記録12aは、過去に顧客から受け付けた質問に対してオペレータが回答をおこなった内容を記録したものであり、各オペレータにより入力された回答事例を収集したものである。
【0036】
図2は、オペレータにより入力された回答事例の一例を示す図であり、図3は、図1に示す応答記録12aの一例を示す図である。図2に示されるように、オペレータは、自分が顧客からの質問に対応した場合に、応対日、応対者、応対時刻、質問種別、質問および回答の情報を端末装置に入力する。ここで、応対時刻は、顧客との間で電話回線がつながった時刻および電話回線が切れた時刻である。
【0037】
そして、図2に示したような回答事例を収集して記憶したものが応答記録12aである。図3に示すように、この応答記録12aは、質問IDと、図1に示したような回答事例から抽出された、応対日、応対者、応対時刻、質問種別、質問および回答の情報を記録している。ここで、質問IDとは、各質問を識別するために割り当てられた識別情報である。
【0038】
図1の説明に戻ると、クラスタ情報12bは、過去に顧客から受け付けた質問のうち、類似した質問を関連付けることにより得られたクラスタに係る情報を記憶したものである。図4は、図1に示したクラスタ情報12bの一例を示す図である。
【0039】
図4に示すように、このクラスタ情報12bは、クラスタID、質問数、頻度分類、新規フラグ、質問IDおよびクラスタ代表質問の情報を記憶している。クラスタIDは、質問を関連付けることにより得られた各クラスタを識別する識別情報である。要素数は、各クラスタに含まれる質問の数である。
【0040】
頻度分類は、各クラスタに含まれる質問の出現頻度を分類したものである。たとえば、図4の例では、各クラスタの出現頻度が、「最頻出」、「高頻度」、「中頻度」、「低頻度」、「希少」の5段階に分けられている。
【0041】
図5は、各クラスタに含まれる質問の出現頻度の分類方法を示す図である。図5に示すように、クラスタに含まれる質問数を横軸に対数でとり、質問数の度数を縦軸に対数でとると、クラスタに含まれる質問数と、質問数の度数との間には一般に直線的な関係が見られる。ここで、質問数の度数とは、質問数が同じであるクラスタの数であり、質問数がaであるクラスタがb個あった場合には、質問数の度数はbとなる。
【0042】
図5の例では、クラスタに含まれる質問数が1の場合には「希少」、2から4の場合には「低頻度」、5から15の場合には「中頻度」、16から31の場合には「高頻度」、32以上の場合には「最頻出」というように、各クラスタの頻度分類の情報を設定することとしている。
【0043】
図4の説明に戻ると、新規フラグは、クラスタが、前回クラスタの生成処理をおこなった時よりも、クラスタに含まれる質問の数が所定の割合以上増加した新規成長クラスタであるか否かを示す情報である。「Y」は、新規成長クラスタであることを示しており、「N」は新規成長クラスタではないことを示している。
【0044】
質問IDは、図3に示したクラスタに含まれる質問を示す質問の識別情報である。クラスタ代表質問は、クラスタに含まれる各質問のうち、特開2003−263443号公報(特許文献1)で開示されたような方法で、代表的な質問の質問部分を抽出したものである。
【0045】
図1の説明に戻ると、パターン情報12cは、応対記録12aに記録された質問から質問部分を抽出する際に、質問内の語句と照合するパターンを記憶した情報である。図6は、図1に示したパターン情報12cの一例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、このパターン情報12cは、パターン、役割および優先度の情報を記憶している。パターンは、応対記録12aに記録された質問内の語句と照合するパターンである。役割は、パターンに一致する語句を含んだ文が表現している内容である。
【0047】
たとえば、「で(き)ません」というパターンを含んだ文は、障害が発生していることを示している。また、「したい」あるいは「教えて」というパターンを含んだ文は、顧客の希望が述べられている文であることを示している。
【0048】
優先度は、1つの質問の記述の中にパターン情報12cに記憶されたパターンを含んだ文が複数あった場合に、抽出する文の優先度を設定した情報である。図7は、質問の記述の中から質問部分を抽出する抽出方法を説明する図である。
【0049】
図7に示すように、まず、図3に示したような応答記録12aの質問記述部内の語句と、図6に示したようなパターン情報12cに記憶されたパターンとの間でパターンの照合をおこない、パターンが一致する文を抽出する。
【0050】
図7の例では、文「ピンボールの音がでません。」の「でません」がパターンに一致しているので、この文が質問部分として抽出される。また、文「原因を教えて欲しいと言われています。」の「教えて」がパターンに一致しているので、この文も質問部分として抽出される。
【0051】
この場合、質問の記述の中に異なるパターン「でません」および「教えて」を含んだ文が2つあるため、それらのパターンの優先度が比較され、パターン「でません」の方が、優先度が大きいので、文「ピンボールの音がでません。」が質問部分として抽出される。
【0052】
図1の説明に戻ると、オペレータ情報12dは、各オペレータが属する業務拠点の情報を記憶したものである。具体的には、オペレータ情報12dは、各オペレータを識別する情報と、各オペレータが業務をおこなう業務拠点の情報とを対応付けて記憶している。
【0053】
クラスタリング処理部13は、応答記録12aに記録された質問間の類似度を算出し、類似した質問どうしを関連付けたクラスタを生成する処理をおこなう。具体的には、クラスタリング処理部13は、パターン情報12cに登録されたパターンに語句が一致する文を応答記録12aの質問の中から抽出し、周知のward法を用いて、類似した質問どうしを関連付けてクラスタ化する。
【0054】
図8は、類似した質問どうしが関連付けられたクラスタに係る情報の一例を示す図である。図8に示すように、このクラスタに係る情報は、クラスタID、質問数および質問IDの情報を含んでいる。
【0055】
クラスタIDは、生成されたクラスタを識別する識別情報である。質問数は、クラスタに含まれる質問の数である。質問IDは、クラスタに含まれる各質問を識別する識別情報である。
【0056】
クラスタ分類部14は、各クラスタに含まれる質問の数に応じて、図4に示したクラスタ情報12bの頻度分類を決定する。新規成長クラスタ抽出部15は、クラスタに含まれる質問の数が閾値以上で、かつ、その質問の数が前回クラスタを生成したときに比べて所定の割合以上増えているクラスタを新規成長クラスタとして抽出する。試験問題に新規問題として含まれる問題は、この新規成長クラスタ抽出部15により抽出されたクラスタを基にして作成される。
【0057】
図9は、新規成長クラスタの抽出処理を説明する図である。図9に示すように、この抽出処理では、あるクラスタにおいて、時点t1から時点t2までの期間1になされた質問の質問数と、時点t1から時点t3までの期間2になされた質問の質問数とを比較し、期間2における質問数が期間1における質問数よりも所定の割合以上増加した場合に、当該クラスタを新規成長クラスタとして抽出する。
【0058】
図10は、クラスタに含まれる質問の数の増加率の情報の一例を示す図である。この増加率の情報は、クラスタID、質問数、質問増加率および質問IDの情報を含んでいる。クラスタIDは、クラスタを識別する識別情報である。このクラスタIDは、図8で示したクラスタIDに対応している。
【0059】
質問数は、クラスタに含まれる質問の数である。質問増加率は、期間1のクラスタに含まれる質問数に対する期間2のクラスタに含まれる質問数の増加率である。質問IDは、クラスタに含まれる各質問を識別する識別情報である。
【0060】
ここで、上記増加率は、以下の式により算出される。
(増加率)={1−(期間1のクラスタに含まれる質問数)/(期間2のクラスタに含まれる質問数)}×100
【0061】
なお、ここでは、新規成長クラスタ抽出部15が、質問数が所定の割合以上増加したクラスタを新規成長クラスタとして抽出することとしたが、質問数が所定の数以上増加したクラスタを新規成長クラスタとして抽出することとしてもよい。
【0062】
代表質問抽出部16は、クラスタ分類部14によりなされたクラスタの分類、および、新規成長クラスタ抽出部15により抽出された新規成長クラスタの情報を用いて、図11に示すような基準により試験問題の問題部を抽出するクラスタを選択する。
【0063】
図11は、試験問題の問題部を抽出する基準の一例を示す図である。図11に示すように、代表質問抽出部16は、最頻出、高頻度、中頻度、低頻度のクラスタ、および、新規成長クラスタからそれぞれ所定の割合で問題を抽出する。その際、前回どのような問題を出題したかは考慮せず、問題をランダムに抽出する。
【0064】
また、代表質問抽出部16は、選択されたクラスタに属する質問を代表するクラスタ代表質問をクラスタごとに抽出する。その際、代表質問抽出部16は、記憶部12に記憶されたパターン情報12cを参照し、図7で説明したような方法を用いて、クラスタ代表質問を抽出する。
【0065】
図12は、試験問題用に抽出された問題部の一例を示す図である。図12に示すように、図11に示したような基準に基づいて各問題が抽出される。また、ここでは、最頻出、高頻度、中頻度および低頻度の問題の難易度をそれぞれ1、2、3および4に設定している。難易度は、数字が大きくなるほど難しい問題であることを示している。
【0066】
模範回答抽出部17は、代表質問抽出部16により抽出されたクラスタ代表質問に対応する模範的な回答を、応答記録12aから抽出する。具体的には、模範回答抽出部17は、応答記録12aを参照し、応対時刻の情報から質問に回答するのに要した時間が短いオペレータの回答を模範回答として抽出する。
【0067】
具体的には、模範回答抽出部17は、当該質問に対するオペレータi(i=1,2,・・・)の回答時間の平均値Piと、オペレータiが受け付けたすべての質問に対する回答時間の平均値Aiと、オペレータiが受け付けたすべての質問に対する回答時間の分散Viとを算出し、以下の評価関数にそれらの値を代入して評価関数の値を求める。
【0068】
評価関数Si=α×Pi×(1−α)×Ai×Vi
ここで、αは、0<α<1を満足する定数である。
【0069】
模範回答抽出部17は、オペレータごとに評価関数Siの値を算出し、評価関数の値が最も小さいオペレータの回答を模範回答として抽出する。
【0070】
試験問題作成部18は、代表質問抽出部16により選択された試験問題を抽出するクラスタと、模範回答抽出部17により抽出された模範回答とから、オペレータに対して実施する試験の試験問題を作成する。
【0071】
問題解決能力判定部19は、試験問題作成部18により作成された試験問題をオペレータの端末装置(図示せず)に出力し、オペレータが問題に解答する時間を計測することによりオペレータの問題解決能力を判定する。
【0072】
図13は、オペレータの端末装置に出力される試験問題出力画面30の一例を示す図である。図13に示すように、問題解決能力判定部19は、オペレータの端末装置に試験問題を一問ずつ出力し、解答欄32にオペレータにより解答が入力されるのを待ち受ける。
【0073】
そして、オペレータにより解答が入力された場合には、問題解決能力判定部19は、その解答を端末装置から受信して、その解答を問題と対応付けて記憶し、後におこなわれる採点のために記憶する。
【0074】
オペレータは、解答を入力した後、つぎの問題の出力を要求するボタン31をマウス等でクリックする。そして、問題解決能力判定部19は、問題を出力してからボタン31がクリックされるまでの時間を測定し、その時間を問題解決に要した時間として記憶する。
【0075】
また、問題解決能力判定部19は、各オペレータが問題解決に要した時間の情報を基にして、試験問題に解答したオペレータの成績を評価し、評価した成績をオペレータが属する業務拠点および業務課題ごとに分けてグラフで出力する処理をおこなう。
【0076】
図14は、各拠点のオペレータの成績を業務課題ごとに評価したグラフの一例を示す図である。図14に示すように、このグラフにおいては、業務課題ごとに、各オペレータの成績のレベルが拠点ごとに示されている。
【0077】
ここで、グラフの縦軸は、各業務課題に対応している。業務課題とは、図2および図3に示した質問種別と同じものであり、オペレータが解答した問題に対応する質問種別である。グラフの横軸は、各拠点のオペレータに対応しており、拠点ごとに左側から右側に向かって成績が低くなるよう、各オペレータが配置される。
【0078】
そして、縦軸の業務課題と横軸のオペレータとで特定される2次元グラフ上の領域には、そのオペレータの成績のレベルに応じた色が塗られるため、オペレータの成績が悪かった業務課題が拠点ごとに把握でき、優先的に教育をおこなうべき対象を容易に発見することができる。ここで、各拠点のオペレータの業務課題ごとの成績のレベルは、以下の式により算出される。
【0079】
(成績レベル)=100×(平均解答時間)÷(全オペレータの平均解答時間)
ここで、平均解答時間は、当該業務課題に対応する問題のオペレータの解答時間の平均値であり、全オペレータの平均解答時間は、当該業務課題に対応する問題の全オペレータの解答時間の平均値である。
【0080】
さらに、問題解決能力判定部19は、試験問題に解答したオペレータの成績の推移を検出し、検出した成績の推移を、オペレータが属する業務拠点および業務課題ごとに分けてグラフで出力する。
【0081】
図15は、各拠点のオペレータの業務課題ごとの成績の推移を課題ごとに検出したグラフの一例を示す図である。図15に示すように、このグラフにおいては、業務課題ごとに、各オペレータの成績の推移が拠点ごとに示されている。
【0082】
ここで、グラフの縦軸は、各業務課題に対応している。グラフの横軸は、各拠点のオペレータに対応しており、拠点ごとに左側から右側に向かって成績が低くなるよう、各オペレータが配置される。
【0083】
そして、縦軸の業務課題と横軸のオペレータとで特定される2次元グラフ上の領域には、そのオペレータの成績の推移に応じた色が塗られるため、オペレータの成績が悪くなった業務課題が拠点ごとに把握でき、優先的に教育をおこなうべき対象を容易に発見することができる。
【0084】
ここで、各拠点のオペレータの業務課題ごとの成績の推移は、以下の式により算出される。
(成績の推移)=(時点iの成績レベル)−(時点i−1の成績レベル)
【0085】
図1の説明に戻ると、制御部20は、問題作成装置を全体制御する制御部であり、各機能部間におけるデータの授受などを司る。
【0086】
つぎに、本実施例に係る問題作成処理の処理手順について説明する。図16は、本実施例に係る問題作成処理の処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように、まず、問題作成装置の記憶部12は、応答記録を蓄積する(ステップS101)。
【0087】
そして、クラスタリング処理部13は、類似した質問を関連付けてクラスタを生成する(ステップS102)。その後、新規成長クラスタ抽出部15は、生成されたクラスタから新規成長クラスタを抽出する(ステップS103)。さらに、クラスタ分類部14は、生成されたクラスタを、クラスタに含まれる質問の出現頻度に応じて分類する(ステップS104)。
【0088】
続いて、代表質問抽出部16は、試験問題を作成するクラスタを選択し(ステップS105)、選択されたクラスタからパターン情報12cを参照してクラスタ代表質問を抽出する(ステップS106)。
【0089】
そして、模範回答抽出部17は、各オペレータの質問に対する回答時間の情報を基にして、応答記録12aから模範回答を抽出する(ステップS107)。そして、試験問題作成部18は、抽出された代表質問と模範回答とから試験問題を作成する(ステップS108)。
【0090】
その後、問題解決能力判定部19は、試験問題をオペレータの端末装置に出力して試験を実施し、オペレータの回答を記憶するとともに、回答時間を計測する(ステップS109)。そして、問題解決能力判定部19は、各拠点のオペレータの成績および成績の推移を業務課題ごとに評価することにより試験結果を分析し、分析した結果を出力して(ステップS110)、この問題作成処理を終了する。
【0091】
つぎに、図16のステップS102で説明したクラスタの生成処理をさらに詳しく説明する。図17は、クラスタの生成処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。図17に示すように、まず、問題作成装置のクラスタリング処理部13は、応答記録12aから質問集合を取得する(ステップS201)。
【0092】
そして、クラスタリング処理部13は、質問集合に対する索引を作成する(ステップS202)。この索引は、質問と質問内に含まれる単語との間の対応関係の情報である。続いて、クラスタリング処理部13は、質問集合の中から最初の質問を選択し(ステップS203)、選択された質問から単語を抽出して検索式を作成する(ステップS204)。
【0093】
その後、クラスタリング処理部13は、作成した検索式を用いて検索式に適合する質問を検索し、さらに選択された質問と検索された質問との間の類似度を算出して、類似度順に質問を並べる処理をおこなう(ステップS205)。
【0094】
そして、クラスタリング処理部13は、類似度が閾値よりも大きい質問について、当該質問に割り当てられた質問番号、質問および類似度の組を出力する(ステップS206)。続いて、クラスタリング処理部13は、選択された質問が質問集合の最後の質問か否かを調べる(ステップS207)。
【0095】
選択された質問が質問集合の最後の質問でない場合には(ステップS207,No)、クラスタリング処理部13は、つぎの質問を質問集合から選択し(ステップS208)、ステップS204に移行して、ステップS204からステップS207の処理を繰り返す。
【0096】
選択された質問が質問集合の最後の質問である場合には(ステップS207,Yes)、クラスタリング処理部13は、類似度が閾値以上である質問どうしを関連付けてクラスタを作成し(ステップS209)、クラスタに含まれる質問数が多い順にクラスタを並べ替えて出力し(ステップS210)、このクラスタの生成処理を終了する。
【0097】
つぎに、図16のステップS103で説明した新規成長クラスタの抽出処理をさらに詳しく説明する。図18は、新規成長クラスタの抽出処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0098】
図18に示すように、まず、問題作成装置の新規成長クラスタ抽出部15は、図9で説明したように、期間1のクラスタにおける最初の質問を検索し(ステップS301)、期間1のクラスタにまだ選択されていない質問があるか否かを調べる(ステップS302)。
【0099】
期間1のクラスタにまだ選択されていない質問がある場合には(ステップS302,Yes)、新規成長クラスタ抽出部15は、その質問と、質問が属するクラスタのクラスタIDと、そのクラスタに含まれる質問の数との組を、質問IDが同一である期間2の質問に対応付ける(ステップS303)。そして、新規成長クラスタ抽出部15は、まだ選択されていないつぎの質問を期間1のクラスタから検索し(ステップS304)、ステップS302に移行する。
【0100】
期間1のクラスタにまだ選択されていない質問がない場合には(ステップS302,No)、新規成長クラスタ抽出部15は、期間2の最初のクラスタを検索し(ステップS305)、期間2のクラスタのうちまだ選択されていないクラスタがあるか否かを調べる(ステップS306)。
【0101】
まだ選択されていないクラスタがある場合には(ステップS306,Yes)、新規成長クラスタ抽出部15は、ステップS303で得た期間1および期間2の質問間の対応情報に基づき、期間2のクラスタ内の質問を期間1のクラスタに対応付ける(ステップS307)。
【0102】
このように、上記処理により、期間1のクラスタと期間2のクラスタおよび期間1のクラスタに含まれる質問と期間2に含まれる質問とを対応付ける。その後、新規成長クラスタ抽出部15は、まだ選択されていないつぎのクラスタを期間2のクラスタから検索し(ステップS308)、ステップS306に移行する。
【0103】
まだ選択されていないクラスタがない場合には(ステップS306,No)、新規成長クラスタ抽出部15は、期間2の最初のクラスタをもう一度検索し(ステップS309)、この2回目の検索処理において、まだ選択されていない期間2のクラスタがあるか否かを調べる(ステップS310)。
【0104】
まだ検索されていない期間2のクラスタがある場合には(ステップS310,Yes)、新規成長クラスタ抽出部15は、期間2のクラスタのうち、質問数が所定の閾値以上で、かつ、期間1から期間2にかけて質問数の増加率が所定の閾値以上であるクラスタを新規成長クラスタとして抽出する(ステップS311)。そして、新規成長クラスタ抽出部15は、まだ選択されていないつぎの質問を期間2のクラスタから検索し(ステップS312)、ステップS310に移行する。
【0105】
まだ選択されていない期間2のクラスタがなかった場合には(ステップS310,No)、この新規成長クラスタの抽出処理を終了する。
【0106】
つぎに、図16のステップS104で説明したクラスタの質問頻度分類処理をさらに詳しく説明する。図19は、クラスタの質問頻度分類処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0107】
図19に示すように、まず、問題作成装置のクラスタ分類部14は、期間2の最初のクラスタを検索し(ステップS401)、まだ選択されていないクラスタがあるか否かを調べる(ステップS402)。
【0108】
まだ選択されていないクラスタがあった場合には(ステップS402,Yes)、クラスタ分類部14は、図5において説明したように、クラスタに含まれる質問の質問数を基にして、クラスタの質問の出現頻度を「希少」、「低頻度」、「中頻度」、「高頻度」および「最頻出」に分類する(ステップS403)。そして、クラスタ分類部14は、つぎのクラスタを検索し(ステップS404)、ステップS402に移行する。
【0109】
まだ選択されていないクラスタがなかった場合には(ステップS402,No)、この質問頻度分類処理を終了する。
【0110】
つぎに、図16のステップS105で説明した試験問題を作成するクラスタの選択処理をさらに詳しく説明する。図20は、試験問題を作成するクラスタの選択処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0111】
図20に示すように、まず、問題作成装置の代表質問抽出部16は、図11に示したような、新規成長クラスタおよびそれ以外のクラスタから問題を選択する比率、クラスタの頻度分類ごとに定められた問題を選択する比率などの、問題の選択基準に係る情報を取得する(ステップS501)。
【0112】
そして、代表質問抽出部16は、新規成長クラスタとそれ以外のクラスタ、最頻出のクラスタ、高頻度のクラスタ、中頻度のクラスタ、低頻度のクラスタの各種クラスタから試験問題として抽出する件数を決定する(ステップS502)。
【0113】
その後、代表質問抽出部16は、決定された件数に基づいて、問題を抽出するクラスタをランダムに選択し(ステップS503)、このクラスタの選択処理を終了する。
【0114】
つぎに、図16のステップS106で説明したクラスタからクラスタ代表質問を抽出する処理をさらに詳しく説明する。図21は、クラスタ代表質問の抽出処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。この処理は、図7で説明した処理に該当する。
【0115】
図21に示すように、まず、問題作成装置の代表質問抽出部16は、質問が記述された質問記述部から先頭の文を選択する(ステップS601)。そして、代表質問抽出部16は、記憶部12に記憶されたパターン情報12cを参照し、選択された文内の語句がパターンと一致したか否かを調べる(ステップS602)。
【0116】
選択された文内の語句がパターンと一致した場合には(ステップS602,Yes)、代表質問抽出部16は、選択された文、一致したパターン、および、パターンの優先度を記憶し(ステップS603)、選択された文が質問記述部の最後の文か否かを調べる(ステップS604)。
【0117】
選択された文が質問記述部の最後の文でない場合には(ステップS604,No)、代表質問抽出部16は、つぎの文を選択し(ステップS605)、ステップS602に移行する。
【0118】
選択された文が質問記述部の最後の文である場合には(ステップS604,Yes)、代表質問抽出部16は、ステップS603で記憶した文のうち、優先度が最も高い文をクラスタ代表質問として選択し(ステップS606)、このクラスタ代表質問の抽出処理を終了する。
【0119】
つぎに、図16のステップS107で説明した模範回答を抽出する処理をさらに詳しく説明する。図22は、模範回答の抽出処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0120】
図22に示すように、まず、問題作成装置の模範回答抽出部17は、試験問題作成用に選択されたクラスタの質問に対応する各オペレータの平均回答時間を算出する(ステップS701)。
【0121】
そして、模範回答抽出部17は、すべての質問に対する各オペレータの平均回答時間を算出し(ステップS702)、さらに、すべての質問に対する各オペレータの回答時間の分散を算出する(ステップS703)。
【0122】
その後、模範回答抽出部17は、算出した値を前述した評価関数に代入して、評価関数の値の小さいオペレータの回答を模範回答として選択し(ステップS704)、この模範回答の抽出処理を終了する。
【0123】
つぎに、図16のステップS109で説明した試験を実施する処理をさらに詳しく説明する。図23は、試験実施処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。図23に示すように、まず、問題作成装置の問題解決能力判定部19は、最初の問題を検索し(ステップS801)、問題が選択されたか否かを調べる(ステップS802)。
【0124】
問題が選択された場合には(ステップS802,Yes)、問題解決能力判定部19は、図13に示したように、オペレータの端末装置に問題を出力する(ステップS803)。そして、問題解決能力判定部19は、オペレータにより入力された解答を記憶し(ステップS804)、さらにオペレータが問題解決に要した時間を算出する(ステップS805)。
【0125】
そして、問題解決能力判定部19は、つぎの問題を検索し(ステップS806)、ステップS802に移行する。問題が選択されなかった場合には(ステップS802,No)、この試験実施処理を終了する。
【0126】
ところで、上述した問題作成装置および問題作成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、上述した問題作成装置(問題作成方法)と同様の機能を有する問題作成プログラムを実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0127】
図24は、本実施例に係るコンピュータシステム100の構成を示すシステム構成図であり、図25は、コンピュータシステム100における本体部101の構成を示すブロック図である。
【0128】
図24に示すように、このコンピュータシステム100は、本体部101と、本体部101からの指示によって表示画面102aに画像などの情報を表示するためのディスプレイ102と、このコンピュータシステム100に種々の情報を入力するためのキーボード103と、ディスプレイ102の表示画面102a上の任意の位置を指定するためのマウス104とを備える。
【0129】
また、このコンピュータシステム100における本体部101は、図25に示すように、CPU121と、RAM122と、ROM123と、ハードディスクドライブ(HDD)124と、CD−ROM109を受け入れるCD−ROMドライブ125と、フレキシブルディスク(FD)108を受け入れるFDドライブ126と、ディスプレイ102、キーボード103並びにマウス104を接続するI/Oインターフェース127と、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク(LAN/WAN)106に接続するLANインターフェース128と、を備える。
【0130】
さらに、このコンピュータシステム100には、インターネットなどの公衆回線107に接続するためのモデム105が接続されるとともに、LANインターフェース128およびLAN/WAN106を介して、他のコンピュータシステム(PC)111、サーバ112並びにプリンタ113などが接続される。
【0131】
そして、このコンピュータシステム100は、所定の記録媒体に記録された問題作成プログラムを読み出して実行することで問題作成装置(問題作成方法)を実現する。
【0132】
ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)108、CD−ROM109、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステム100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)124や、RAM122、ROM123などの「固定用の物理媒体」、さらに、モデム105を介して接続される公衆回線107や、他のコンピュータシステム111並びにサーバ112が接続されるLAN/WAN106などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステム100によって読み取り可能な問題作成プログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。
【0133】
すなわち、問題作成プログラムは、上記した「可搬用の物理媒体」、「固定用の物理媒体」、「通信媒体」などの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム100は、このような記録媒体から問題作成プログラムを読み出して実行することで問題作成装置および問題作成方法を実現する。
【0134】
なお、問題作成プログラムは、コンピュータシステム100によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム111またはサーバ112が問題作成プログラムを実行する場合や、これらが協働して問題作成プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0135】
上述してきたように、本実施例では、問題作成装置の記憶部12が、過去に受け付けた質問および質問に対してなされた回答に係る情報を応答記録12aとして記憶し、試験問題作成部18が、記憶された応答記録12aに基づいて、試験問題を作成することとしたので、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0136】
また、本実施例では、クラスタリング処理部13が、類似した複数の質問を関連付けたクラスタを生成し、試験問題作成部18が、生成されたクラスタに係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、類似した質問を関連付けたクラスタを用いて試験問題を作成することにより、似通った質問を試験問題として出題することを防止することができ、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0137】
また、本実施例では、新規成長クラスタ抽出部15が、生成されたクラスタに含まれる質問の数が、所定の割合以上増加したクラスタを抽出し、試験問題作成部18が、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、質問の数が増加したクラスタを用いて試験問題を作成することにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0138】
また、本実施例では、クラスタリング処理部13がクラスタを生成した場合に、クラスタ分類部14が、クラスタに属する質問の数に応じてクラスタを「最頻出」、「高頻度」、「中頻度」、「低頻度」および「希少」の種別に分類し、分類された種別ごとにクラスタを所定数抽出し、試験問題作成部18が、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて試験問題を作成することとしたので、重要度の異なるクラスタを用いて試験問題を作成することにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0139】
また、本実施例では、代表質問抽出部16が、質問文と試験問題とする質問文のパターンとの間でパターンマッチングを実行し、過去に受け付けた質問からパターンにマッチした質問文を抽出することにより試験問題を作成することとしたので、質問文のパターンとの間でパターンマッチングをおこなうことにより、質問文を容易に抽出することができ、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0140】
また、本実施例では、模範解答抽出部17が、オペレータが質問に対して回答するのに要した時間に係る情報に基づいて試験問題の解答を作成することとしたので、回答時間を模範解答の基準とすることにより、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することができる。
【0141】
また、本実施例では、問題解決能力判定部19が、作成された試験問題を出力し、出力された試験問題に対する解答を受け付けて、解答に要した時間を計測することとしたので、作成された試験問題を用いて試験を実施し、解答に要した時間を基準として、試験の結果を評価することができる。
【0142】
また、本実施例では、問題解決能力判定部19が、計測された時間に基づいて、試験問題に解答したオペレータの成績を評価し、評価した成績をオペレータが属する業務拠点および/または業務課題ごとに分けてグラフで出力することとしたので、試験の結果をオペレータが属する業務拠点および/または業務課題ごとに分けて容易に把握することができる。
【0143】
また、本実施例では、問題解決能力判定部19が、オペレータの成績を出力するとともに、試験問題に解答したオペレータの成績の推移を検出し、検出した成績の推移をオペレータが属する業務拠点および/または業務課題ごとに分けてグラフで出力することとしたので、解答者の成績の推移をオペレータが属する業務拠点および/または業務課題ごとに分けて容易に把握することができる。
【0144】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0145】
たとえば、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
【0146】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0147】
また、図示した問題作成装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、問題作成装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0148】
さらに、問題作成装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0149】
(付記1)質問への回答能力を試験する試験問題を作成する処理をコンピュータに実行させる問題作成プログラムであって、
過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶手順と、
前記記憶手順により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする問題作成プログラム。
【0150】
(付記2)前記問題作成手順は、類似した複数の質問を関連付けたクラスタを生成し、生成されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする付記1に記載の問題作成プログラム。
【0151】
(付記3)前記問題作成手順は、生成されたクラスタに含まれる質問の数が、所定の数または所定の割合以上増加したクラスタを抽出し、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする付記2に記載の問題作成プログラム。
【0152】
(付記4)前記問題作成手順は、クラスタを生成した場合に、クラスタに含まれる質問の数に応じてクラスタを所定の種別に分類し、分類された種別ごとにクラスタを所定数抽出し、抽出されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする付記2または3に記載の問題作成プログラム。
【0153】
(付記5)前記問題作成手順は、質問文と試験問題とする質問文のパターンとの間でパターンマッチングを実行し、過去に受け付けた質問からパターンにマッチした質問文を抽出することにより試験問題を作成することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の問題作成プログラム。
【0154】
(付記6)前記問題作成手順は、前記質問に対して回答するのに要した時間に係る情報に基づいて試験問題の解答を作成することを特徴とする付記1〜5のいずれか1つに記載の問題作成プログラム。
【0155】
(付記7)前記問題作成手順により作成された試験問題を出力し、出力された試験問題に対する解答を受け付けて、解答に要した時間を計測する時間計測手順をさらに含んだことを特徴とする付記1〜6のいずれか1つに記載の問題作成プログラム。
【0156】
(付記8)前記時間計測手順により計測された時間に基づいて、前記試験問題に解答した解答者の成績を評価し、評価した成績を該解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて出力する成績出力手順をさらに含んだことを特徴とする付記7に記載の問題作成プログラム。
【0157】
(付記9)前記成績出力手順は、前記解答者の成績を出力するとともに、前記試験問題に解答した解答者の成績の推移を検出し、検出した成績の推移を該解答者が属する集団および/または課題ごとに分けて出力することを特徴とする付記8に記載の問題作成プログラム。
【0158】
(付記10)質問への回答能力を試験する試験問題を作成する問題作成装置であって、
過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成手段と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする問題作成装置。
【0159】
(付記11)質問への回答能力を試験する試験問題を作成する問題作成方法であって、
過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶工程と、
前記記憶工程により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成工程と、
を含んだことを特徴とする問題作成方法。
【産業上の利用可能性】
【0160】
以上のように、本発明にかかる問題作成プログラム、問題作成装置および問題作成方法は、オペレータの能力育成に有用となる試験問題を効率的に作成することのできる問題作成システムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本実施例に係る問題作成装置の機能的構成を示す図である。
【図2】オペレータにより入力された回答事例の一例を示す図である。
【図3】図1に示す応答記録12aの一例を示す図である。
【図4】図1に示したクラスタ情報12bの一例を示す図である。
【図5】各クラスタに含まれる質問の出現頻度の分類方法を示す図である。
【図6】図1に示したパターン情報12cの一例を示す図である。
【図7】質問の記述の中から質問部分を抽出する抽出方法を説明する図である。
【図8】類似した質問どうしが関連付けられたクラスタに係る情報の一例を示す図である。
【図9】新規成長クラスタの抽出処理を説明する図である。
【図10】期間2におけるクラスタに係る情報の一例を示す図である。
【図11】試験問題の問題部を抽出する基準の一例を示す図である。
【図12】試験問題用に抽出された問題部の一例を示す図である。
【図13】オペレータの端末装置に出力される試験問題出力画面30の一例を示す図である。
【図14】各拠点のオペレータの成績を業務課題ごとに評価したグラフの一例を示す図である。
【図15】各拠点のオペレータの業務課題ごとの成績の推移を課題ごとに検出したグラフの一例を示す図である。
【図16】本実施例に係る問題作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】クラスタの生成処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図18】新規成長クラスタの抽出処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図19】クラスタの質問頻度分類処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図20】試験問題を作成するクラスタの選択処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図21】クラスタ代表質問の抽出処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図22】模範回答の抽出処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図23】試験実施処理の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図24】本実施例に係るコンピュータシステム100の構成を示すシステム構成図である。
【図25】コンピュータシステム100における本体部101の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0162】
10 入力部
11 表示部
12 記憶部
12a 応答記録
12b クラスタ情報
12c パターン情報
12d オペレータ情報
13 クラスタリング処理部
14 クラスタ分類部
15 新規成長クラスタ抽出部
16 代表質問抽出部
17 模範回答抽出部
18 試験問題作成部
19 問題解決能力判定部
20 制御部
30 試験問題出力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問への回答能力を試験する試験問題を作成する処理をコンピュータに実行させる問題作成プログラムであって、
過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶手順と、
前記記憶手順により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする問題作成プログラム。
【請求項2】
前記問題作成手順は、類似した複数の質問を関連付けたクラスタを生成し、生成されたクラスタに係る情報に基づいて前記試験問題を作成することを特徴とする請求項1に記載の問題作成プログラム。
【請求項3】
前記問題作成手順は、前記質問に対して回答するのに要した時間に係る情報に基づいて試験問題の解答を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の問題作成プログラム。
【請求項4】
質問への回答能力を試験する試験問題を作成する問題作成装置であって、
過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成手段と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする問題作成装置。
【請求項5】
質問への回答能力を試験する試験問題を作成する問題作成方法であって、
過去に受け付けた質問および該質問に対してなされた回答に係る情報を記憶する記憶工程と、
前記記憶工程により記憶された質問および該質問に対してなされた回答に係る情報に基づいて前記試験問題を作成する問題作成工程と、
を含んだことを特徴とする問題作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−78740(P2006−78740A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262209(P2004−262209)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】