説明

喉頭部活動センサを用いた神経性刺激システム

神経性刺激システムは、迷走神経に神経性刺激を供給し、神経性刺激に起因する喉頭部活動を示す信号を感知する。喉頭部活動を示す信号は、例えば、電極配置を誘導する、刺激閾値を判定する、リード/電極問題を検出する、神経損傷を検出する、および患者の身体の内側の電極配置後の治癒経過をモニタリングするために、使用される。本発明は、頸部、喉頭、および迷走神経を有する身体に神経性刺激を適用するための神経性刺激システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
2006年9月1日に出願された米国仮特許出願第11/469,551号に対して、優先権の利益が本明細書によって主張され、該仮特許出願は本明細書において参考により援用される。
【0002】
(技術分野)
本書は、概して、神経性刺激に関し、具体的には、喉頭部活動を示す信号を感知する活動センサを使用して迷走神経刺激を最適化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
迷走神経刺激は、様々な生理的機能を変調し、様々な疾患を治療するために適用されてきた。一例は、心不全または心筋梗塞に罹患している患者の心臓機能の変調である。心筋は、迷走神経の心臓枝を含む、交感神経および副交感神経で神経支配される。人工的に適用された電気刺激を含む、迷走神経における活動は、心拍および収縮性(心筋収縮の強さ)を変調する。迷走神経に適用される電気刺激は、心拍および収縮性を減少させて、心周期の収縮期を延長し、心周期の拡張期を短縮することが知られている。この迷走神経刺激の能力は、例えば、心筋リモデリングを制御するために利用される。
【0004】
心筋リモデリング等の心疾患を治療することに加えて、迷走神経刺激は、うつ病、神経性無食欲症/摂食障害、膵臓機能、てんかん、高血圧症、炎症性疾患、および糖尿病を含むが、それらに限定されない疾患を治療するのに有効であることが知られている。そのような疾患を治療する際の迷走神経刺激の意図した治療法の成果は、治療法の滴定または最適化の目的で、急性的または慢性的のいずれかで測定することが困難な場合がある。したがって、意図した治療成果以外のパラメータを使用して、迷走神経刺激を滴定または最適化する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
神経性刺激システムは、迷走神経に神経性刺激を供給し、神経性刺激に起因する喉頭部活動を示す信号を感知する。喉頭部活動を示す信号は、例えば、電極配置を誘導する、刺激閾値を判定する、リード/電極問題を検出する、神経損傷を検出する、および患者の身体の内側の電極配置後の治癒経過をモニタリングするために使用される。
【0006】
一実施形態では、神経性刺激システムは、活動センサおよび神経性刺激分析器を含む。活動センサは、喉頭部活動を示す信号を感知する。神経性刺激分析器は、喉頭部活動を示す信号を受信する喉頭部活動入力、迷走神経に神経性刺激の供給を示す信号を受信する神経性刺激入力、および処理回路を含む。処理回路は、喉頭部活動を示す信号を使用して神経性刺激システムを分析するために、喉頭部活動を示す信号を処理する。
【0007】
一実施形態では、神経性刺激システムは、活動センサ、信号調整回路、神経性刺激回路、および提示装置を含む。活動センサは、喉頭部活動を示す信号を感知する。信号調整回路は、喉頭部活動を示す信号を調整する。神経性刺激回路は、迷走神経に神経性刺激を供給する。提示装置は、喉頭部活動および神経性刺激の供給のインジケータを提示する。
【0008】
一実施形態では、神経性刺激を適用するための方法が提供される。喉頭部活動を示す信号が感知される。神経性刺激が迷走神経に供給される。喉頭部活動を示す信号が調整されて、神経性刺激の供給に起因する喉頭部活動を隔離する。
【0009】
この概要は、本出願の教示の一部の概説であり、本主題の排他的または包括的扱いとなることを目的としない。本主題についてのさらなる詳細は、詳細な説明および添付の請求項にある。次の詳細な説明を読んで理解し、その一部を形成する図面を見ると、本発明の他の側面が、当業者にとって明白となるであろう。本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの法的同等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、概して、一例として、本書で論じられる様々な実施形態を図示する。図面は例示的な目的に過ぎず、縮尺通りではない場合がある。
【図1】図1は、神経性刺激システムの実施形態、および神経性刺激システムが使用される環境の各部の図解である。
【図2】図2は、神経性刺激システムの別の実施形態、および神経性刺激システムが使用される環境の各部の図解である。
【図3】図3は、図1の神経性刺激システムの回路の各部の実施形態を図示するブロック図である。
【図4】図4は、図2の神経性刺激システムの回路の各部の実施形態を図示するブロック図である。
【図5】図5は、神経性刺激システムの喉頭部活動センサアセンブリの実施形態の図解である。
【図6】図6は、神経性刺激システムの喉頭部活動センサアセンブリの別の実施形態の図解である。
【図7】図7は、センサ基部を含む活動センサの実施形態の図解である。
【図8】図8は、センサ基部を含む活動センサの別の実施形態の図解である。
【図9】図9は、神経性刺激システムの神経性刺激分析器の処理回路の実施形態を図示するブロック図である。
【図10】図10は、神経性刺激システムのユーザインターフェースの実施形態を図示するブロック図である。
【図11】図11は、神経性刺激システムの外部プログラマの実施形態の図解である。
【図12】図12は、喉頭部活動を示す信号を使用して迷走神経刺激の効果を分析するための方法の実施形態を図示する、フローチャートである。
【図13】図13は、喉頭部活動を示す信号を使用して迷走神経刺激の刺激閾値を自動的に判定するための方法の実施形態を図示する、フローチャートである。
【図14】図14は、喉頭部活動を示す信号を使用して、迷走神経刺激を急性的または慢性的にモニタリングおよび滴定するための方法の実施形態を図示する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
次の詳細な説明では、これに関して一部を形成する添付図面を参照し、図中、例証として、本発明を実践することができる具体的実施形態が示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することが可能となるように十分詳細に説明され、実施形態を組み合わせてもよく、または他の実施形態を利用してもよく、かつ本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、構造、論理、および電気的変更を行ってもよいことが理解される。本開示での「1つの」または「様々な」という言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は、2つ以上の実施形態を検討する。次の詳細な説明は例を提供し、本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの法的同等物によって定義される。
【0012】
本書は、喉頭部活動センサを使用して迷走神経刺激の最適化を提供するシステムについて論じる。最適化は、例えば、電極配置の最適化、自動閾値判定または検証、リード/電極状態のモニタリング、神経損傷の検出、および電極配置の後に続く治癒過程をモニタリングするステップを含む。迷走神経刺激の多くの用途では、標的反応(意図した成果)は、治療法の最適化の目的でモニタリングおよび分析することが困難な場合がある。例えば、心臓リモデリングを制御するための迷走神経刺激を供給するために、経静脈リードが使用される。経静脈リードは、頸部領域中の迷走神経に隣接する内頸静脈内に配置される、その遠位端における1つ以上の電極を含む。内頸静脈は、幅広い考えられる電極位置を提供するための大血管である。電極配置の誘導および刺激パラメータ調整のために、心臓リモデリングにおける迷走神経刺激の効果を使用することは、実際的に困難である。
【0013】
一方、迷走神経刺激が、喉頭に神経を分布する迷走神経枝である反回咽頭神経を通して、喉頭の振動を引き起こすことが知られている。したがって、喉頭の振動の大きさおよび周波数を含む、喉頭部活動は、迷走神経が神経性刺激によって活性化されているかどうかの指示を提供する。このことは、迷走神経刺激の標的反応(心臓リモデリング等)をモニタリングおよび分析する必要なく、治療法の最適化を可能にする。
【0014】
本主題は、様々なエネルギー形態および様々な信号形態を使用する迷走神経の刺激に適用できる。一実施形態では、迷走神経刺激は、迷走神経への電気パルスの供給を含んで、その神経における活動電位を人工的に誘出する。他の実施形態では、迷走神経刺激は、機械、熱、光、化学、および生物エネルギー等の、神経系における神経活動を誘出または変調することが可能な、任意の形態のエネルギーの供給を含む。
【0015】
本主題は、心臓リモデリング、うつ病、神経性無食欲症/摂食障害、膵臓機能、てんかん、高血圧症、炎症性疾患、および糖尿病を含むが、それらに限定されない、様々な疾患の治療のための迷走神経の活性化および/または抑制を提供する、神経性刺激システムに適用できる。一般に、本主題は、神経性刺激が検出可能な喉頭部活動をもたらす、迷走神経刺激を提供する任意のシステムに適用できる。
【0016】
頸部領域中の迷走神経に隣接する内頸静脈に配置される1つ以上の電極を有する、経静脈リードを通した、神経性刺激の供給が、本書で例として具体的に論じられる一方で、本主題は、任意のリードおよび/または電極構成、および迷走神経刺激のための配置に適用できる。喉頭部活動を使用する、電極配置および刺激パラメータの最適化は、神経性刺激の標的反応を急性的に測定することが困難であるとき、および/または略侵襲的外科手技なしで意図した刺激部位を正確に見つけることが困難であるときに、特に有用である。
【0017】
図1は、神経性刺激システム100の実施形態、およびシステム100が使用される環境の各部の図解である。システム100は、喉頭部活動を感知するための活動センサ110、迷走神経刺激を供給するための経静脈リード112、およびケーブル111を介して活動センサ110に連結され、かつケーブル118を介してリード112に連結される外部システム120を含む。外部システム120は、感知した喉頭部活動を使用して、迷走神経刺激の最適化を可能にする。
【0018】
リード112は、近位端114、遠位端113、および近位端114と遠位端113との間で連結される細長い本体115を有する、経静脈リードである。近位端114は、コネクタ117を含む。図示した実施形態では、遠位端113は、刺激電極116A−Bを含む。図1に図示されるように、身体101は、頸部102、右内頸静脈104A、左内頸静脈104B、右鎖骨下静脈105A、および左鎖骨下静脈105Bを含む。リード112は、心臓ペーシングリードを埋め込む際に採用されるものと同様の技術を使用して、挿入される。挿入中、遠位端113は、切開を通って左鎖骨下静脈105Bに進入し、右内頸静脈104Aに向かって鎖骨下静脈105Bそして105A中で前進し、右内頸静脈104Aに進入し、電極116A−Bが1つ以上の迷走神経刺激部位に到達するまで右内頸静脈104A中で前進する。遠位端113が右内頸静脈104Aの中に入った後、刺激電極116A−Bは、リード112、および/またはスタイレット、ガイドワイヤ、またはガイドカテーテル等のリード挿入工具を使用して、位置付けられ、必要な場合には位置付け直される。
【0019】
電極116A−Bは、神経性刺激が、頸部領域中の右内頸静脈104Aに隣接する迷走神経106に供給されることを可能にする。活動センサ110は、喉頭にわたって頸部上に配置されて、喉頭部活動を示す信号を感知する。喉頭部活動は、迷走神経106に供給される神経性刺激への迷走神経106の反応の尺度として使用される。様々な実施形態では、喉頭部活動は、電極116A−B等の刺激電極の配置、刺激強度を制御するもの(例えば、刺激振幅、周波数、持続時間、および負荷サイクル)等の刺激パラメータの最適化、および神経性刺激への迷走神経106の反応に影響する様々な事象の検出およびモニタリングのために、モニタリングされる。
【0020】
図1に図示されるように、近位端114は、リード112および図2を参照して下記で論じられるもの等の埋込型医療機器の埋め込みの動作中等に、身体101の外側にとどまる。このことは、近位端114を埋込型医療機器に接続する前に、電極116A−Bが所望のとおりに配置されることを可能にする。近位端114は、ケーブル118のコネクタ119に接続されるコネクタ117を含んで、外部システム120からの神経性刺激の供給を可能にする。外部システム120は、医師または他の介護人等のユーザが、リード112を介して神経性刺激の供給を制御し、活動センサ110によって感知される喉頭を示す信号をモニタリングすることを可能にする。
【0021】
図1に示されるシステム100の構成は、例示的目的で提示された例である。本主題は概して、迷走神経刺激に起因する喉頭部活動を示す任意の信号を使用する任意の電極構成を使用して供給される、迷走神経刺激のモニタリングおよび最適化を含む。例えば、リード112は、1つ以上の刺激電極を含んでもよく、神経性刺激を供給するための電極対は、リード112上の2つの電極、またはリード112の1つの電極および必ずしも迷走神経に隣接しない参照電極を含んでもよい。一実施形態では、参照電極は、急性使用のための皮膚パッチ電極である。一実施形態では、リード112上の刺激電極に加えて、またはその代わりに、それぞれ迷走神経106を取り囲む1つ以上の神経カフ電極が使用される。一実施形態では、電極116A−Bは、左内頸静脈104Bに配置される。挿入中、遠位端113は、切開を通って左鎖骨下静脈105Bまたは右鎖骨下静脈105Aに進入し、右鎖骨下静脈105Aから左内頸静脈104Bに進入し、電極116A−Bが1つ以上の迷走神経刺激部位に到達するまで左内頸静脈104B中で前進する。
【0022】
図2は、神経性刺激システム200の実施形態、およびシステム200が使用される環境の各部の図解である。システム200は、主に、神経性刺激が身体101に埋め込まれた埋込型医療機器222から供給されるという点で、システム100とは異なる。一実施形態では、図1および2は、埋込型神経性刺激システムの埋込または使用の異なる段階を図示する。図1は、埋込手技の最中のシステム設定図示し、その間、リード112が挿入され、電極116A−Bは、迷走神経刺激の所望の性能を達成するように配置される。図2は、埋込型神経性刺激システムが慢性的使用のためにプログラムされるときである、埋込手技の終末段階中、または、その間に必要であれば埋込型神経性刺激システムが調整される、フォローアップ検査中等の、埋込型神経性刺激システムが完全に埋め込まれた後のシステム設定を図示する。
【0023】
活動センサ210は、無線リンクを介して外部システム220と通信することが可能である活動センサ110の実施形態を表す。一実施形態では、活動センサ110および外部システム220は、ケーブルを使用して電気的に接続され、通信リンク211は、ケーブルを表す。別の実施形態では、活動センサ110および外部システム220は、無線周波数電磁遠隔測定リンク等の遠隔測定を通して無線連結され、通信リンク211は、遠隔測定リンクを表す。
【0024】
埋込型医療機器222は、電極116A−Bの一方または両方を通して神経性刺激を供給する。電極116A−Bが配置された後、リード112の近位端114は、コネクタ117を介して埋込型医療機器222に接続される。一実施形態では、埋込型医療機器222の筐体は、参照電極として機能し、神経性刺激は、電極116A−Bおよび埋込型医療機器222の筐体から選択される任意の対の電極を使用して供給することができる。一実施形態では、迷走神経106における神経活動は、電極116A−Bおよび埋込型医療機器222の筐体から選択される任意の対の電極を使用して感知される。
【0025】
一実施形態では、神経性刺激回路に加えて、埋込型医療機器222は、心臓ペースメーカー、心臓除細動器/除細動器、薬剤供給装置、および生物療法装置のうちの1つ以上等の、他のモニタリングまたは治療回路を含む。外部システム220は、ユーザによる、埋込型医療機器222の制御およびそれとの通信を提供する。外部システム220および埋込型医療機器222は、遠隔測定リンク218を介して通信可能に連結される。一実施形態では、外部システム220は、プログラマを含む。別の実施形態では、外部システム220は、遠隔測定リンク218を介して埋込型医療機器222と通信する外部装置、遠隔場所における遠隔装置、および外部装置と遠隔装置とを結び付ける電気通信網を含む、患者管理システムである。患者管理システムは、患者の状態のモニタリングおよび治療法の調整等の目的で、遠隔場所から埋込型医療機器222へのアクセスを可能にする。一実施形態では、遠隔測定リンク218は、誘導遠隔測定リンクを示す。代替的実施形態では、遠隔測定リンク218は、遠方界無線周波数遠隔測定リンクである。
【0026】
図3は、ケーブル111によって外部システム320に連結される活動センサ310を含む、システム100の回路の各部の実施形態を図示するブロック図である。活動センサ310は、活動センサ110の実施形態であり、喉頭部活動を示す信号である加速度信号を感知する加速度計331を含む。加速度計331は、迷走神経刺激が供給されるときに迷走神経における活動を示す、喉頭の振動の大きさおよび周波数を感知するのに適した特性を有する。一実施形態では、加速度計331は、信号品質に基づいた、喉頭部活動を示す信号としての加速度信号の選択を可能にする、複数の加速度計を表す。外部システム320は、神経性刺激分析器324、神経性刺激回路328、外部制御器329、およびユーザインターフェース330を含む。神経性刺激分析器324は、喉頭部活動入力325、神経性刺激入力326、および処理回路327を含む。喉頭部活動入力325は、ケーブル111を介して活動センサ310から、喉頭部活動を示す信号を受信する。神経性刺激入力326は、迷走神経への神経性刺激の供給を示す信号を受信する。処理回路327は、信号を使用してシステム100の動作および性能を分析するために、喉頭部活動を示す信号を処理する。神経性刺激回路328は、電極116A−B等の刺激電極に神経性刺激を供給する。外部制御器329は、神経性刺激回路328からの神経性刺激の供給を含む、外部システム320の全体的動作を制御する。ユーザインターフェース330は、ユーザが神経性刺激を制御し、喉頭部活動を示す信号を使用して神経性刺激への迷走神経の反応をモニタリングすることを可能にする。
【0027】
図4は、通信リンク211を介して外部システム420に連結される活動センサ410、および遠隔測定リンク218を介して外部システム420に連結される埋込型医療機器422を含む、システム200の回路の各部の実施形態を図示するブロック図である。活動センサ410は、活動210の実施形態であり、加速度計331およびセンサ遠隔測定回路432を含む。図示した実施形態では、通信リンク211は、遠隔測定リンクである。センサ遠隔測定回路432は、遠隔測定リンク211を介して外部システム420に、喉頭部活動を示す感知した信号を伝送する。別の実施形態では、通信リンク211は、加速度計331と喉頭部活動入力325との間の電気的接続を提供するケーブルである。外部システム420は、神経性刺激分析器324、外部遠隔測定回路438、外部制御器429、およびユーザインターフェース330を含む。外部遠隔測定回路438は、通信リンク211を介して活動センサ410から、喉頭部活動を示す信号を受信し、遠隔測定リンク218を介して埋込型医療機器422と通信して、埋込型医療機器422から供給される神経性刺激を制御する。外部制御器429は、埋込型医療機器422から供給される神経性刺激を制御するためのコマンドの伝送を含む、外部システム420の全体的動作を制御する。埋込型医療機器422は、神経性刺激回路434、埋込制御器435、および埋込遠隔測定回路436を含む。神経性刺激回路434は、電極116A−B等の刺激電極を通して神経性刺激を供給する。埋込制御器435は、神経性刺激の供給を制御し、外部システム420から伝送されるコマンドに対応する。埋込遠隔測定回路436は、遠隔測定リンク218を介して外部システム420からコマンドを受信し、必要とするときには、遠隔測定リンク218を介して外部システム420に信号を伝送する。
【0028】
図5は、喉頭にわたった患者の頸部上の活動センサの略安定取着を可能にする、喉頭部活動センサアセンブリ540の実施形態の図解である。喉頭部活動センサアセンブリ540は、活動センサ510、および喉頭にわたって頸部に活動センサ510を保持するように構成される頸部支持構造を含む。活動センサ510は、喉頭部活動を示す信号を感知し、活動センサ110、210、310、および410のうちのいずれかを表す。図示した実施形態では、ケーブル511は、活動センサ510に接続され、コネクタ542を有して、活動センサ510と外部システム120または320との間の電気的接続を提供する。具体的実施形態では、ケーブル511は、活動センサ510に取り外し可能に連結される。別の実施形態では、活動センサ510は、遠隔測定を介して外部システム220または420に通信可能に連結され、ケーブル511は必要とされない。
【0029】
喉頭部活動センサアセンブリ540は、頸部の大部分を包み込むように構成され、頸部の動きを制限する、頸部装具544を含む。頸部装具544は、頸部の前方部分にわたる大きな間隙によって分離される、2つの端547A−Bを含む。一実施形態では、頸部装具544は、機器からの振動または医療関係者の活動等の環境要因の振動を鎮静化することによって、活動センサ510による雑音の感知を制限するように選択される材料でできている。一実施形態では、頸部装具544は、発泡体等の略軟質材料でできている。頸部装具544には、内面545および外面546がある。内面545は、頸部に接触するために構成される。一実施形態では、図5に図示されるように、頸部装具544には、内面545と外面546との間の略均等の厚さがある。この厚さは、例えば、約10mmから80mmの間である。
【0030】
喉頭部活動センサアセンブリ540はさらに、端547A−Bのうちの一方の上にそれぞれ取り付けられる2つのブラケット548−Bを含む。ストラップ549A−Bは、ブラケット548A−Bおよび活動センサ510に連結される。一実施形態では、ストラップ549A−Bは、単一ストラップの異なる部分を表す。別の実施形態では、ストラップ549A−Bは、活動センサ510とブラケット548A−Bのうちの1つとの間でそれぞれ連結される、2つのストラップを表す。ストラップ549A−Bは、略安定センサ配置のために、喉頭にわたって頸部に前記活動センサ510を押し付けるように構成される。一実施形態では、ストラップ549A−Bは、伸縮可能な弾性ストラップである。一実施形態では、ストラップ549A−Bのうちの少なくとも1つは、ブラケット547A−Bのうちの1つに、解放可能に連結される。一実施形態では、ストラップ549A−Bは、頭蓋/尾側方向への前記活動センサ510の位置の調整を可能にする方法で、ブラケットに連結される。
【0031】
一実施形態では、頸部装具544は、患者の頭部および/または肩にわたって嵌合するように成形され、活動センサ510と喉頭との間の相対運度をさらに制限する。具体的実施形態では、患者に装着されるときに尾側方向に向かう頸部装具544の縁は、患者の肩にわたってほぼ嵌合する輪郭を含む。このことは、喉頭部活動を示す信号が感知される間に患者が座っているときに、センサ配置の追加安定性を提供する。
【0032】
図6は、喉頭部活動センサアセンブリ540の代替的実施形態である、喉頭部活動センサアセンブリ640の代替的実施形態の図解である。喉頭部活動センサアセンブリ640は、頸部装具544と同様または同一の材料でできている頸部装具644を除いて、喉頭部活動センサアセンブリ540と同様であるが、頸部装具544とは実質的に異なる形状を有する。
【0033】
頸部装具644は、頸部の前方部分にわたる大きな間隙によって分離される、2つの端647A−Bを含む。ブラケット548A−Bはそれぞれ、端647A−Bのうちの一方に取り付けられる。頸部装具644には、内面645および外面646がある。内面644は、頸部に接触するために構成される。外面646は、頸部の動きをさらに制限することによって、センサ配置の安定性を増加させるように構成される。一実施形態では、図6に図示されるように、外面646には、頸部の後方部分にわたる平坦後部650がある。
【0034】
図7は、活動センサ710の実施形態の図解である。活動センサ710は、センサ基部754上に取り付けられる加速度計731を含む、活動センサ510の実施形態である。加速度計センサ731は、加速度計331の具体的実施形態を表し、喉頭部活動を示す信号を感知する。センサ基部754は、加速度計センサ731と頸部との間の接合部分となるように構成され、頸部に外嵌するように湾曲した表面755を有する。
【0035】
図8は、活動センサ810の実施形態の図解である。活動センサ810は、活動センサ710の実施形態であり、加速度計731およびセンサ基部854を含む。センサ基部854には、甲状軟骨の一部にわたって男性患者の頸部に外嵌するように湾曲した表面855を有する。一実施形態では、図8に図示されるように、表面855は、一方端上の凹部856、および甲状軟骨の一部にわたって嵌合するための他方端における切り込み857を含む。
【0036】
図9は、処理回路327の具体的実施形態である、処理回路927の実施形態を図示するブロック図である。処理回路927は、信号調整回路960、刺激閾値分析器962、リード状態分析器966、神経損傷分析器968、および提示処理回路970を含む。
【0037】
信号調整回路960は、分析または提示目的で、喉頭部活動を示す信号を調整する。信号調整回路960は、喉頭部活動を示す信号の信号対雑音比を増加させ、その場合、信号は、迷走神経刺激に起因する喉頭部活動を示す信号の成分を含み、雑音は、迷走神経刺激の効果ではない喉頭部活動を示す信号の成分を含む。信号調整回路960は、雑音を除去するフィルタ961を含む。一実施形態では、フィルタ961は、神経性刺激パルスが迷走神経に供給される周波数に基づいて選択される、通過帯域を有する。
【0038】
刺激閾値分析器962は、刺激電極116A−B等の、それを介して神経性刺激が迷走神経に供給される、各対の刺激電極と関連する刺激閾値を自動的に測定する。刺激閾値は、神経性刺激が迷走神経を活性化する最小刺激強度である。刺激閾値分析器962は、比較器963および刺激強度制御器964を含む。比較器963は、喉頭部活動を示す信号の振幅を受信する第1の入力963A、神経捕獲閾値を受信する第2の入力963B、喉頭部活動を示す信号の振幅が神経捕獲閾値を超えるときに、神経捕獲を示す出力963Cを含む。すなわち、神経捕獲閾値を超える喉頭部活動を示す信号の振幅は、神経性刺激が迷走神経において伝搬する活動電位を誘出したという指示である。様々な実施形態では、神経捕獲閾値は、患者集団または各個別患者に基づいて、経験的に判定される。刺激強度制御器964は、複数の刺激強度が試験されてもよいように、神経性刺激の刺激強度を調整し、刺激閾値分析器962は、神経捕獲をもたらす、試験した最小刺激強度を選択することによって、刺激閾値を自動的に判定する。神経性刺激が電気パルスの供給を含む、様々な実施形態では、刺激強度は、刺激振幅(電圧または電流)および/または刺激パルス幅によって制御される。刺激強度制御器964は、刺激振幅、刺激パルス幅、または両方を調整することによって、刺激強度を調整する。一実施形態では、神経捕獲が示されるか、または規定の最大刺激強度が到達されるまで、刺激強度制御器964は、初期強度から刺激強度を増加させる。神経捕獲が示される前に最大刺激強度が到達された場合は、刺激電極は、刺激閾値の判定が続く前に位置付け直される。一実施形態では、刺激閾値分析器962は、刺激強度が刺激閾値として増加されているときに神経捕獲が示される、最小捕獲強度を提示する。別の実施形態では、最小捕獲強度が達成された後に、神経捕獲がもはや示されなくなるまで、刺激強度制御器964は、その最小捕獲強度から刺激強度を減少させる。刺激閾値分析器962は、刺激強度が刺激閾値として減少されているときに神経捕獲が示される、最小刺激強度を提示する。
【0039】
リード状態分析器966は、2つの刺激閾値測定間の刺激閾値の大きな変化を検出することによって、リード112等の、神経性刺激を供給するためのリードの抜去または破損を検出する。一実施形態では、リードの抜去または破損の検出時に、リード状態分析器966は、ユーザインターフェース330を通してユーザに提示される警告信号またはメッセージを発生させる。
【0040】
神経損傷分析器968は、刺激閾値の変化および/または喉頭部活動を示す信号の振幅の変化を経時的にモニタリングすることによって、神経損傷を検出する。喉頭神経は、遠心性神経線維を含む。刺激部位と喉頭との間の神経路に生じる神経損傷は、迷走神経刺激への喉頭部反応の欠如または弱化によって示される。弱くなった喉頭部反応は、神経損傷の早期指示としての機能を果たしてもよい。それに応じて、適切な治療が適用されてもよく、それにより、神経損傷が重大な機能障害と関連する程度まで進行するのを防ぐ。一実施形態では、神経損傷分析器968は、刺激閾値の変化を経時的にモニタリングし、刺激閾値の変化の速さを判定し、刺激閾値の変化の速さに基づいて神経損傷を検出する。別の実施形態では、神経損傷分析器968は、規定の刺激強度で神経性刺激を経時的に供給することに応じて、喉頭部活動を示す信号の振幅をモニタリングし、喉頭部活動を示す信号の振幅の変化の速さを判定し、喉頭部活動を示す信号の振幅の変化の速さに基づいて神経損傷を検出する。別の実施形態では、神経損傷分析器968は、神経損傷の指示として神経伝導速度の大きな変化を検出する。具体的実施形態では、神経損傷分析器968は、神経伝導時間対推定神経伝導距離の比率として、神経伝導速度を測定し、神経伝導速度の経時的な変化に基づいて神経損傷を検出する。神経伝導時間は、刺激の供給と喉頭部活動を示す信号における誘出反応の開始との間の時間間隔である。別の具体的実施形態では、神経損傷分析器968は、刺激の供給と喉頭部活動を示す信号における誘出反応の開始との間の時間間隔である、神経伝導時間を測定し、神経伝導時間の経時的な変化に基づいて神経損傷を検出する。一実施形態では、考えられる神経損傷の検出時に、神経損傷分析器968は、ユーザインターフェース330を通してユーザに提示される警告信号またはメッセージを発生させる。
【0041】
提示処理回路970は、ユーザインターフェース330を通した1つ以上の形態でのユーザへの提示のために、喉頭部活動を示す信号を処理する。一実施形態では、提示処理回路970はまた、ユーザインターフェース330を通したユーザへの提示のために、他の信号、メッセージ、および/または、喉頭部活動、リード状態、神経損傷、および/または他の関連情報に関するインジケータも処理する。
【0042】
図10は、ユーザインターフェース1030の実施形態を図示するブロック図である。ユーザインターフェース1030は、ユーザインターフェース330の具体的実施形態であり、提示装置1072およびユーザ入力装置1080を含む。提示装置1072は、1つ以上の形態で喉頭部活動および神経性刺激のインジケータを提示する。ユーザ入力装置1080は、ユーザが、コマンドおよびパラメータを入力することによって神経性刺激を制御し、喉頭部活動および神経性刺激がどのように示されるかを選択することによって提示装置1080を制御することを可能にする。
【0043】
図示した実施形態では、提示装置1072は、音声提示装置1074および視覚提示装置1076を含む。音声提示装置1074は、喉頭部活動を示す可聴音を生成する、スピーカ1075を含む。可聴音は、喉頭が振動する周波数および/または喉頭部活動の大きさを示す音程を有する。一実施形態では、可聴音は、喉頭が振動する周波数を示す音程、および喉頭部活動の大きさを示す音量を有する。神経性刺激が電気パルスとして供給されると、刺激周波数(電気パルスが供給される周波数)が増加するにつれて、喉頭における筋反応は、攣縮反応から暫定的反応(パルス列全体の供給中に筋肉が収縮されたままであることを意味する)に変化してもよい。一実施形態では、刺激周波数は、電気パルスの供給が暫定的反応ではなく攣縮反応を誘出するように、選択される。したがって、喉頭が振動する周波数は、刺激周波数であり、喉頭部活動の大きさは、刺激強度の関数である。
【0044】
視覚提示装置1076は、画面1077、発光ダイオード(LED)1078、およびゲージ1079を含む。画面1077は、喉頭部活動を示す信号および神経性刺激を示す信号を表示する。神経性刺激を示す信号の例は、神経性刺激マーカ、および電極116A−B等の刺激電極によって感知される迷走神経活動を示す神経信号を含む。様々な実施形態では、画面1077はさらに、心電図(ECG)等の1つ以上の感知した生理学的信号、ならびに、喉頭部活動、リード状態、神経損傷、および/または他の関連情報に関する様々な信号、メッセージ、および/またはインジケータを表示する。LED1078はそれぞれ、喉頭部活動を示す信号の振幅が所定の閾値を超えると、オンになる。LED1078のうちの1つ以上とそれぞれ関連する複数の異なる閾値は、喉頭部活動を示す信号の振幅に従って、LED1078のそれぞれの選択的点灯を可能にする。一実施形態では、ゲージ1079は、画面1077に表示される画像の形態である。別の実施形態では、ゲージ1079は、画面1077から分離される装置である。
【0045】
図11は、外部システム120、220、320、または420の実施形態である、外部プログラマ1120の図解である。図示した実施形態では、外部プログラマ1120は、スピーカ1075、画面1077、LED1078、およびゲージ1079を含む。他の実施形態では、外部プログラマ1120は、スピーカ1075、画面1077、LED1078、およびゲージ1079のうちのいずれか1つ以上を含む。図示した実施形態では、画面1077は、喉頭部活動を示す信号のトレース、神経性刺激を示す信号、トレースおよびECG信号、ならびに、喉頭部活動、リード状態、神経損傷、および/または他の関連情報に関する様々な信号、メッセージ、および/またはインジケータを表示するエリア1182を含む。
【0046】
プログラマ1120は、喉頭部活動を示す信号を受信し、ユーザがコマンドおよびパラメータを入力することを可能にすることによって、神経性刺激を制御する。図示した実施形態では、プログラマ1120は、センサ入力1184および刺激出力1185を含む。活動センサ510は、喉頭部活動を示す信号を感知し、ケーブル511、およびセンサ入力1184に取り外し可能に接続されるコネクタ542を通して、プログラマ1120に感知した信号を伝送する。刺激出力1185に取り外し可能に接続されたコネクタ1187およびコネクタ119を伴うケーブル118は、リード112上の刺激電極116A−B等の刺激電極への接続を提供する。このことは、プログラマ1120の神経性刺激回路からの神経性刺激の供給を可能にする。一実施形態では、プログラマ1120はまた、遠隔測定を介して活動センサ510から、喉頭部活動を示す信号を受信することも可能である。一実施形態では、プログラマ1120はまた、遠隔測定を介した埋込型医療機器の神経性刺激回路からの神経性刺激の供給を制御することも可能である。
【0047】
図12は、喉頭部活動を示す信号を使用して迷走神経刺激の効果を分析するための方法1200の実施形態を図示する、フローチャートである。一実施形態では、方法1200は、システム100または200によって行われる。
【0048】
喉頭部活動を示す信号は、1210で感知される。神経性刺激は、1220で迷走神経に供給される。喉頭部活動を示す信号は、1230で調整されて、喉頭部活動を示す感知した信号の他の成分から、神経性刺激の供給に起因する喉頭部活動を隔離する。神経性刺激の供給の効果は、喉頭部活動を示す信号を使用して、1240で分析される。喉頭部活動および神経性刺激の供給のインジケータは、1250で提示される。一実施形態では、喉頭部活動を示す可聴音が生成される。具体的実施形態では、可聴音は、喉頭部活動の大きさを示す音程を有する。別の具体的実施形態では、可聴音は、喉頭が振動する周波数を示す音程、および喉頭部活動の大きさを示す音量を有する。別の実施形態では、喉頭部活動の視覚指示が発生される。視覚指示の例は、喉頭部活動を示す信号のトレース、神経性刺激を示す信号、および喉頭部活動の大きさを示すゲージを含む。
【0049】
図13は、喉頭部活動を示す信号を使用して神経性刺激の刺激閾値を自動的に判定するための方法1300の実施形態を図示する、フローチャートである。刺激閾値は、迷走神経を捕獲するために必要とされる最小刺激強度を示す。一実施形態では、方法1300は、刺激閾値分析器962によって行われる。
【0050】
神経性刺激の刺激強度(SI)は、1310で初期強度に設定される。一実施形態では、初期強度は、経験的に判定されたパラメータである。一実施形態では、初期強度は、ユーザによって選択される。神経性刺激は、電気パルスとして供給され、SIは、(電圧または電流)および電気パルスのそれぞれのパルス幅によって制御される。
【0051】
1312では、神経性刺激がSIで迷走神経に供給される。神経捕獲は、喉頭部活動を示す信号の振幅を神経捕獲閾値と比較することによって、1314で喉頭部活動を示す信号を使用して検出されている。喉頭部活動を示す信号の振幅が神経捕獲閾値を超える場合、神経捕獲は1316で検出される。
【0052】
神経捕獲が1316で検出されない場合、SIが規定の最大SIに到達したかどうかが1318で判定される。1320でSIが規定の最大SIに達した場合、1324で、刺激電極は位置付け直されるか、または規定の最大SIを増加させる、および/または刺激閾値を減少させるために他のアプローチを取らなければならない。一実施形態では、刺激電極は、電子的に、「位置付け直される」か、または選択される。神経性刺激は、複数の利用可能なセットの刺激電極から電子的に選択される、一式の活性刺激電極を使用して迷走神経に供給され、電子的に位置付け直すことは、一式の活性刺激電極となるように異なる一式の利用可能な刺激電極を電子的に選択することを意味する。1320でSIが規定の最大SIに到達していなかった場合、SIは1322でΔSI分増加され、方法1300は、1312に戻ってそこから継続する。一実施形態では、刺激閾値は、規定のパルス幅における電気パルスの電圧として判定される。具体的実施形態では、ΔSIは、約0.2Vである。
【0053】
神経捕獲が1316で検出された場合、電流SIは、刺激強度が増加されていくにつれて神経捕獲が検出される、最小捕獲強度である。1326で、SIは最小捕獲強度から減少され、ΔSI’は減分ステップである。一実施形態では、ΔSI’およびΔSIは、同じ値に設定される。具体的実施形態では、ΔSI’は、約0.2Vである。
【0054】
1328では、神経性刺激が(減少した)SIで供給される。神経捕獲は、喉頭部活動を示す信号の振幅を神経捕獲閾値と比較することによって、1330で喉頭部活動を示す信号を使用して検出されている。喉頭部活動を示す信号の振幅が神経捕獲閾値を超える場合、神経捕獲は1332で検出される。
【0055】
神経捕獲が1332で検出される場合、方法1300は、1326に戻り、SIをさらに減少させて、そこから継続する。神経捕獲が1332で検出されない場合、1326での最後の減少の前のSIは、1334で刺激閾値に設定される。すなわち、刺激閾値(ST)は、電流SI(1326後)プラスΔSI’である。
【0056】
図14は、喉頭部活動を示す信号を使用して、神経性刺激を急性的または慢性的にモニタリングおよび滴定するための方法1400の実施形態を図示する、フローチャートである。方法1400は、埋込型神経性刺激システムの埋込の間または後に行われる。一実施形態では、方法1400は、システム100および/または200で行われる。
【0057】
喉頭部活動を示す信号は、1410で感知される。神経性刺激は、1420で迷走神経に供給される。喉頭部活動は、神経性刺激への迷走神経の反応を示す。反応は、例えば、刺激電極の位置、刺激パラメータ、リードおよび/または刺激電極の状態等の神経性刺激システムの状態、神経損傷の存在および進行、および刺激電極の埋め込み後の刺激電極を取り囲む組織の治癒に依存する。
【0058】
神経性刺激の供給は、1430で埋込型医療機器の埋め込み中に最適化される。このことは、例えば、1432で刺激電極を位置付けるステップ、および1434で刺激電極と関連する刺激パラメータを最適化するステップを含む。様々な実施形態では、1432および1434は、各刺激電極または各対の刺激電極に対して行われる。刺激電極は、喉頭部活動を示す信号を使用して迷走神経に神経性刺激を供給するために配置される。一実施形態では、刺激電極は、経静脈リードの遠位端上に組み込まれる。経静脈リードは、刺激電極が内頸静脈中の近似標的領域内の位置にあるように、静脈系に挿入される。刺激閾値は、喉頭部活動を示す信号を使用して、その位置に対して、方法1300を行う等によって、自動的に判定される。刺激閾値が満足ではない場合は、刺激電極は、標的領域内の別の位置に配置され、刺激閾値は、新しい位置に対して判定される。再位置決めおよび閾値判定は、満足な刺激閾値が得られるまで繰り返される。一実施形態では、再位置決めは、電子的に行われる。神経性刺激は、複数の利用可能な刺激電極から電子的に選択される、活性刺激電極を使用して供給され、刺激電極を別の位置に配置することは、活性刺激電極となるように、別の位置に配置された利用可能な刺激電極を電子的に選択することを意味する。別の実施形態では、経静脈リードが挿入され、刺激電極が近似標的領域内の位置になった後に、刺激電極を使用して、最小電流が迷走神経に供給される。振幅は低く保たれるが、感知できる喉頭部活動を発生させるのに十分である。喉頭部活動を示す信号の振幅がモニタリングされる一方で、刺激電極は、近似標的領域内の位置を評価するように移動される。刺激電極は、喉頭部活動を示す信号の振幅と関連する場所で永久的に位置付けられる。
【0059】
刺激電極が1432で位置付けられた後、刺激電極と関連する刺激パラメータが1434で最適化される。一実施形態では、このことは、刺激電極の永久的な位置に対して、方法1300を行う等によって、刺激電極と関連する刺激閾値を自動的に判定するステップを含む。刺激電極と関連する刺激強度は、所定差分刺激閾値を超える値に刺激強度を設定すること等によって、刺激閾値に基づいて慢性的使用に対してプログラムされる。
【0060】
神経性刺激の供給は、1440で装置の埋込後にモニタリングおよび滴定される。このことは、例えば、1442で刺激パラメータを最適化するステップ、1444でリードまたは刺激電極状態をモニタリングするステップ、1446で神経損傷を検出するステップ、および1448で治癒過程をモニタリングするステップを含む。様々な実施形態では、1440またはその任意の部分は、ほぼ周期的等、規定のスケジュールに従って、フォローアップ検査中にユーザによって行われる。
【0061】
刺激パラメータは、1442で最適化される。一実施形態では、このことは、方法1300を行う等によって、各刺激電極と関連する刺激閾値を自動的に判定するステップを含む。電極と関連する刺激閾値が以前の測定から大幅に変化した場合、所定差分新しい刺激閾値を超える値に刺激強度を設定すること等によって、刺激電極と関連する刺激強度は、新しい刺激閾値に基づいて調整される。
【0062】
リードまたは刺激電極装置の状態は、1444でモニタリングされる。このことは、例えば、リードの考えられる変位、抜去、および破損の検出を含む。考えられるリード問題は、刺激閾値の測定間の刺激閾値の大きな異常変化によって示される。
【0063】
神経損傷は、1446で検出される。一実施形態では、神経損傷は、刺激閾値の変化を経時的にモニタリングすることによって検出される。考えられる神経損傷は、刺激閾値の検出した異常な変化の速さによって示される。別の実施形態では、神経損傷は、規定の刺激強度で神経性刺激を経時的に供給することに応じて、喉頭部活動を示す信号の振幅をモニタリングすることによって、検出される。考えられる神経損傷は、喉頭部活動を示す信号の振幅の検出した異常な変化の速さによって示される。1446での神経損傷検出は、即時治療を必要とする神経損傷の早期発見を可能にして、重大な機能障害に発展することを防ぐ。
【0064】
治癒過程は、1448でモニタリングされる。埋込型医療機器およびリードまたは刺激電極の埋込後、埋込中に損傷した組織が治癒し、身体と埋め込んだシステムとの間の接合部分が安定するのに、数週間または数ヶ月かかる場合がある。刺激閾値の変化を経時的にモニタリングすることによって、この治癒過程がモニタリングされる。安定化した刺激閾値は、治癒過程が実質的に完了したかもしれないという指示である。
【0065】
上記の詳細な説明は、限定的ではなく、例示的となることを目的とすることが理解される。上記の説明を読んで理解すると、他の実施形態が当業者にとって明白となるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項を参照して、そのような請求項が享受できる同等物の全範囲とともに、決定されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸部、喉頭、および迷走神経を有する身体に神経性刺激を適用するための神経性刺激システムであって、
喉頭部活動を示す信号を感知するように構成される活動センサと、
該活動センサに通信可能に連結される神経性刺激分析器であって、該神経性刺激分析器は、
該喉頭部活動を示す信号を受信する喉頭部活動入力と、
該神経性刺激の該迷走神経への供給を示す信号を受信する神経性刺激入力と、
該喉頭部活動入力および該神経性刺激入力に連結される処理回路であって、該喉頭部活動を示す信号を使用して該神経性刺激システムを分析するために、該喉頭部活動を示す信号を処理するように構成される、処理回路と
を含む、神経性刺激分析器と
を備える、システム。
【請求項2】
前記活動センサは、前記喉頭部活動を示す信号である加速度信号を感知するように構成される加速度計を備える、請求項1に記載の神経性刺激システム。
【請求項3】
前記喉頭にわたって前記頸部に前記活動センサを保持するように構成される頸部支持構造を含む喉頭部活動センサアセンブリを備える、請求項1〜請求項2のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項4】
前記頸部の大部分を包み込むように構成される頸部装具を含む喉頭部活動センサアセンブリを備える、請求項1および請求項2のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項5】
前記頸部装具は、前記頸部の前方部分にわたる大きな間隙によって分離される2つの端を備え、前記喉頭部活動センサアセンブリはさらに、
該頸部の該2つの端のうちの一方にそれぞれ取り付けられるブラケットと、
該ブラケットおよび該活動センサに連結される1つ以上のストラップであって、前記喉頭にわたって該頸部に該活動センサを押し付けるように構成される、1つ以上のストラップと
を備える、請求項4に記載の神経性刺激システム。
【請求項6】
前記1つ以上のストラップは、頭蓋/尾側方向への前記活動センサの位置の調整を可能にする方法で、前記ブラケットに連結される、請求項5に記載の神経性刺激システム。
【請求項7】
前記活動センサは、前記頸部に外嵌するように湾曲した表面を含む、センサ基部を備える、請求項5および請求項6のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項8】
前記神経性刺激分析器は、前記喉頭部活動を示す信号の信号対雑音比を増加させるように構成される信号調整回路を備え、該信号は、前記神経性刺激に起因する喉頭部活動を示す信号の成分を含む、請求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項9】
前記迷走神経に前記神経性刺激を供給する刺激電極と、
該刺激電極を介して該迷走神経を通る神経性刺激パルスを供給するように該刺激電極に連結される神経性刺激回路と
をさらに備える、請求項1〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項10】
前記喉頭部活動および前記神経性刺激の供給のインジケータを提示するように構成される提示装置をさらに備える、請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項11】
前記提示装置は、前記喉頭部活動を示す可聴音を発生させるように構成されるスピーカを備える、請求項10に記載の神経性刺激システム。
【請求項12】
前記提示装置は、前記喉頭部活動の視覚指示を発生させるように構成される視覚インジケータを備える、請求項10および請求項11のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項13】
前記視覚インジケータは、喉頭部活動を示す前記信号および前記神経性刺激を示す信号を表示する画面を備える、請求項12に記載の神経性刺激システム。
【請求項14】
前記視覚インジケータは、喉頭部活動を示す前記信号の振幅が閾値を超えると、それぞれオンになる、1つ以上の発光ダイオードを備える、請求項12に記載の神経性刺激システム。
【請求項15】
前記視覚インジケータは、前記喉頭部活動の大きさを示すゲージを備える、請求項12に記載の神経性刺激システム。
【請求項16】
前記神経性刺激分析器は、少なくとも1つの刺激閾値を自動的に測定するように構成される刺激閾値分析器を備え、該刺激閾値は、前記迷走神経における神経反応を誘出するために前記神経性刺激パルスに対して必要とされる最小刺激強度である、請求項9から請求項15のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項17】
前記刺激閾値分析器は、前記喉頭部活動を示す信号の振幅を受信する第1の入力と、神経捕獲閾値を受信する第2の入力と、該喉頭部活動を示す信号の該振幅が該神経捕獲閾値を超えるときに、神経捕獲を示す出力とを含む、比較器を備える、請求項16に記載の神経性刺激システム。
【請求項18】
前記刺激閾値分析器は、前記神経捕獲が示されるか、または所定の最大刺激強度に達するまで、初期強度から刺激強度を増加させるように構成される、刺激強度制御器を備える、請求項17に記載の神経性刺激システム。
【請求項19】
前記刺激強度制御器は、前記神経捕獲が示された後に、該神経捕獲がもはや示されなくなるまで、前記刺激強度を減少させるようにさらに構成される、請求項18に記載の神経性刺激システム。
【請求項20】
前記神経性刺激回路に連結される近位端と、
前記刺激電極のうちの少なくとも1つを含む遠位端と、
該近位端と該遠位端との間で連結される細長い本体と
を含む、経静脈リードをさらに備える、請求項16〜請求項19のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項21】
前記神経性刺激分析器は、刺激閾値の測定間に、前記リードの前記遠位端に含まれる前記刺激電極のうちの前記少なくとも1つと関連する、前記少なくとも1つの刺激閾値の変化に基づいて、リード抜去または破損の警告を発生させるように構成される、リード状態分析器を備える、請求項20に記載の神経性刺激システム。
【請求項22】
前記神経性刺激分析器は、前記少なくとも1つの刺激閾値の経時的な変化、前記喉頭部活動を示す信号の前記振幅の経時的な変化、および神経伝導速度の経時的な変化のうちの1つ以上をモニタリングすることによって、神経損傷を検出するように構成される、神経損傷分析器を備える、請求項20および21のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項23】
前記神経性刺激回路を含む埋込型医療機器と、
遠隔測定を介して該埋込型医療機器に通信可能に連結される外部システムであって、前記神経性刺激分析器を含む外部システムと
をさらに備える、請求項9から請求項22のうちのいずれか1項に記載の神経性刺激システム。
【請求項24】
頸部、喉頭、および迷走神経を有する身体に神経性刺激を適用するための方法であって、
喉頭部活動を示す信号を感知することと、
該迷走神経に該神経性刺激を供給することと、
該神経性刺激の供給に起因する喉頭部活動を隔離するように該喉頭部活動を示す信号を調整することと
を包含する、方法。
【請求項25】
前記喉頭部活動のインジケータを提示することをさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記喉頭部活動の前記インジケータを提示することは、該喉頭部活動を示す可聴音であって、前記喉頭が振動する周波数および該喉頭部活動の大きさのうちの少なくとも1つを示す音程を有する可聴音を発生させることを包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記喉頭部活動の前記インジケータを提示することは、前記喉頭部活動を示す信号を画面に表示することを包含する、請求項25および請求項26のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記喉頭部活動の前記インジケータを提示することは、発光ダイオードを使用して該喉頭部活動の大きさを提示することを包含する、請求項25〜請求項27のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記喉頭部活動の前記インジケータを提示することは、ゲージを使用して該喉頭部活動の大きさを提示することを包含する、請求項25〜請求項28のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記喉頭部活動を示す信号を使用して、刺激閾値を自動的に判定することをさらに包含し、該刺激閾値は、前記神経性刺激によって前記迷走神経を捕獲するために必要とされる最小刺激強度を示す、請求項24〜請求項29のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記刺激閾値を自動的に判定することは、
前記神経性刺激の刺激強度を初期強度に設定することと、
前記喉頭部活動を示す信号の振幅を神経捕獲閾値と比較することによって、神経捕獲を検出することと、
該神経捕獲が検出されるまで、または、該神経捕獲が検出される前に所定の最大刺激強度が到達される場合に、該初期強度から該刺激強度を増加させることと
を包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記刺激閾値を自動的に判定するステップは、前記神経捕獲が検出された後に、該神経捕獲がもはや示されなくなるまで、前記刺激強度を減少させることをさらに包含し、該刺激強度が該刺激閾値として減少されているときに、該神経捕獲が検出される最大強度を提示することをさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記刺激閾値の2つ以上の測定にわたって該刺激閾値の変化をモニタリングすることによって、リード抜去または破損を検出することをさらに包含する、請求項30〜請求項32のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記刺激閾値の変化を経時的にモニタリングすることによって、神経損傷を検出することをさらに包含する、請求項30〜請求項33のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
神経伝導速度の変化を経時的にモニタリングすることによって、前記神経損傷を検出することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記迷走神経に前記神経性刺激を供給することは、刺激電極を通して神経性刺激パルスを供給することを包含し、誘導のために前記喉頭部活動を使用することによって、前記刺激電極を位置付けることをさらに包含する、請求項24〜請求項35のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記刺激閾値の変化を経時的にモニタリングすることによって、前記刺激電極の埋め込み後の組織治癒過程をモニタリングすることをさらに包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激電極を位置付けることは、複数の利用可能な刺激電極から1つ以上の活性刺激電極を電子的に選択することを包含する、請求項36に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−502275(P2010−502275A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526650(P2009−526650)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/018696
【国際公開番号】WO2008/030348
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】