説明

営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラム

【課題】顧客システムに関する技術サポート情報を有効に活用して営業活動の促進を可能とする営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】1以上のクライアントと通信可能に接続された営業支援サーバは、クライアントから顧客情報を受信し、サポート情報管理サーバの問合せ対応テーブルを検索する。顧客情報に該当するレコードがあれば、各レコードに含まれている種別に基づき顧客システムテーブルの性能要件の語句と種別に対応するキーワードとを比較して一致があるか判定する。一致があれば、問合せ対応テーブルの該当レコードを参照して内容を取得して判定用スコアを算出する。算出した判定用スコアの値が10以上であれば、提案情報テーブルを参照し、キーワードに該当する対応策があればそれをクライアントへ返す。また顧客対応テーブルに対応する提案成功事例があれば、同様にクライアントへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラムに係わり、特に顧客システムに関する技術サポート情報を有効に活用して営業活動の促進を可能とする営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
システムユーザに対して新規システム導入の提案等の営業活動を実施する場合、一般には当該ユーザの営業担当が過去の納入実績、日頃の営業活動を通じて蓄積した情報等に基づいて実施していることが多い。一方、ユーザに納入されて稼働している種々の情報処理システムについては、様々な技術的問題について問合せなどが寄せられ、納入元ではこれら技術的な問題については営業部門とは別個の技術サポート部門を設けているのが普通である。
営業活動を支援するための情報処理システムとしては、例えば特許文献1に開示されている技術が挙げられる。特許文献1は、従来の営業支援を行うシステム技術においては、営業活動の把握はできても、営業活動を遂行する上での指示、指針を提供するまでには至っていないという問題に鑑み、業務の各進捗段階に於いて、円滑かつ迅速に適切な業務を遂行することのできる情報支援を可能にした業務支援管理システムおよびプログラムを提供することを目的としている。そして、その一構成例として、営業活動内容を纏めたポータルサイトを構築し、「事例内容」や「役立ち度」を数値化し、それを担当営業が閲覧して、今後の提案に生かすことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−077605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、サポート部門には営業部門とは別個に各ユーザで稼働しているシステムに関して様々な情報が蓄積されており、また随時技術的な問題に対する対応が実行されている。しかし、特許文献1を含む従来技術においては、このようなサポート部門に蓄積された情報、あるいはサポート部門が現にユーザに対して対応している問題とその状況について、営業部門と有効に情報を共有するような仕組みが設けられていない。このため、サポート部門が保有している各ユーザに関する情報を利用して効果的な営業活動を実施することができない問題がある。
【0005】
本発明は上記の、及び他の課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、顧客システムに関する技術サポート情報を有効に活用して営業活動の促進を可能とする営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の一態様は、1以上のクライアント装置と通信可能に接続されており、各前記クライアント装置から受信した検索要求に従って検索対象のシステムである対象システムに関する技術サポート情報を抽出して前記クライアント装置に提供する営業支援システムであって、前記クライアント装置から入力される、前記対象システムを特定するための情報である対象システム特定情報と、前記対象システムについて要求されるシステム要件とを対応付けて保持しているシステム要件記憶部と、前記対象システムについて技術サポート部門が受け付けた問合せの内容を表す情報である問合せ内容情報と、当該問合せに対する前記技術サポート部門での対応状況を表す情報である問合せ対応状況情報と、前記問合せの種別を表す情報である問合せ種別情報と、当該問合せの重要度を表す情報である問合せ重要度情報と、当該問合せの対象の前記対象システム特定情報とを対応付けて保持している問合せ対応情報記憶部と、前記問合せに関して設定されたキーワードである問合せキーワードと、前記問合せに対して前記技術サポート部門が提示した対応策を示す対応策情報とを対応付けて保持している対応策記憶部と、前記クライアント装置から受信した前記検索要求に含まれる前記対象システム特定情報に基づいて前記問合せ対応情報記憶部を検索して前記対象システム特定情報が一致するレコードがあるか判定し、一致するレコードがあると判定した場合、当該一致するレコードがあると判定された前記対象システム特定情報と対応付けられている前記問合せ種別情報を取得して前記問合せ種別情報に関連してあらかじめ選定されているキーワードである種別対応キーワードと前記対象システム特定情報と対応付けられている前記システム要件とに一致するものがあるか判定し、一致するものがあると判定した場合、前記問合せ対応情報記憶部から前記問合せ対応状況情報と前記重要度情報とを取得して当該問合せ対応状況情報と当該重要度情報とを所定の変換手順により問合せ対応状況データ値及び重要度データ値に変換して判定用スコアを算出し、当該判定用スコアが所定値以上であると判定した場合に、前記対応策記憶部から前記種別対応キーワードに対応する前記対応策情報を取得して前記クライアント装置に送信する顧客情報抽出部とを備えている営業支援システムである。
【発明の効果】
【0007】
上記した本発明の一態様によれば、顧客システムに関する技術サポート情報を有効に活用して営業活動の促進を可能とする営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係わる営業支援システム1の構成例を示した説明図である。
【図2】営業支援サーバ100、サポート情報管理サーバ200、及びクライアント300として用いられるコンピュータ10のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】営業支援サーバ100のソフトウェア構成例を示す図である。
【図4】サポート情報管理サーバ200のソフトウェア構成例を示す図である。
【図5】クライアント300のソフトウェア構成例を示す図である。
【図6】顧客システムテーブル600の一構成例を示す図である。
【図7】顧客対応テーブル700の一構成例を示す図である。
【図8】問合せ対応テーブル800の一構成例を示す図である。
【図9】提案情報テーブル900の一構成例を示す図である。
【図10】種別テーブル1000の一構成例を示す図である。
【図11】ステータステーブル1100の一構成例を示す図である。
【図12】重要度テーブル1200の一構成例を示す図である。
【図13】性能キーワードテーブル1300の一構成例を示す図である。
【図14】可用性キーワードテーブル1400の一構成例を示す図である。
【図15】セキュリティキーワードテーブル1500の一構成例を示す図である。
【図16】入力用ユーザインタフェース画面3300の一構成例を示す図である。
【図17】顧客情報管理部130が実行するデータ処理フローの一例を示す図である。
【図18】顧客情報抽出部140が実行するデータ処理フローの一例を示す図である。
【図19】検索結果出力画面3400の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につきその一実施形態に即して図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
===システム構成===
まず、本実施形態の営業支援システム1の全体構成について説明する。図1は、営業支援システム1の概略構成図である。
【0011】
営業支援システム(以下、単に「システム」とも言う。)1は、営業支援サーバ100、及びサポート情報管理サーバ200を備えている。営業支援サーバ100は、例えばシステムベンダーの営業部門に設置されているサーバコンピュータであり、本実施形態のシステム1における主要なデータ処理を実行する。営業支援サーバ100は、より具体的にはシステムベンダーの本社、データセンターなどの適宜の場所に設置することができる。
【0012】
サポート情報管理サーバ200は、例えば前記システムベンダーの技術サポート部門であって、システムエンジニアが納入先で稼働しているシステムに関して受ける問合せ、技術相談などの顧客対応処理を業務とする部門に設置されるサーバコンピュータである。サポート情報管理サーバ200は、営業支援サーバ100と同様に、システムベンダーの本社、データセンターなどの適宜の場所に設置することができる。本実施形態では、サポート情報管理サーバ200は、営業支援サーバ100が実行する本実施形態に係るデータ処理に必要なデータを提供するためのデータベースとして主として機能する。
【0013】
クライアント300(クライアント装置)は、例えば前記営業部門に設置され、営業支援サーバ100と通信可能に接続されて営業支援サーバ100が提供する機能を利用することができるようにしているクライアントコンピュータである。図1では2台のクライアント300が設置されている構成例が示されているが、例えばシステムベンダーの営業拠点毎にクライアント300を設け、3台以上のクライアント300がシステム1に設置されるようにしてもよい。
【0014】
営業支援サーバ100と各クライアント300との間は、通信ネットワーク400によって通信可能に接続されている。通信ネットワーク400としては、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、公衆回線、インターネット等の適宜の構成の通信ネットワークを採用することができる。
【0015】
一方、営業支援サーバ100とサポート情報管理サーバ200との間は、通信ネットワーク500によって相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク500としては、営業支援サーバ100とサポート情報管理サーバ200との間で主として納入先システムに関する個別の情報が送受されることとなるので、例えば社内LAN、専用線等の外部ネットワークとは分離された通信ネットワークを用いることが好ましいが、特にそれらに限定される必要はない。
【0016】
次に、営業支援サーバ100、サポート情報管理サーバ200、及びクライアント300の典型的なハードウェア構成について説明する。図2に、営業支援サーバ100、サポート情報管理サーバ200、あるいはクライアント300として使用することができるコンピュータ10の構成例を示している。
【0017】
図2のコンピュータ10は、中央処理装置11(例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、以下簡単のため「CPU」と称する)、主記憶装置12(例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ)、補助記憶装置13(例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)、半導体記憶ドライブ(Solid State Drive、SSD)等の記憶デバイス)、ユーザの操作入力を受け付ける入力装置14(例えばキーボード、マウス等の入力デバイス)、出力装置15(例えば液晶モニタ、プリンタ等の出力デバイス)、及び他の装置との間の通信を実現する通信インタフェース16(例えばNIC(Network Interface Card))を備えている。
【0018】
入力装置14としては、前記のキーボード及びマウスの他に、一般にペンタブレットと称される入力デバイス、音声入力デバイス、あるいはモニタ等に装着して用いるタッチパネル等、適宜の入力デバイスを採用することができる。また、出力装置15としては、前記液晶モニタ、プリンタの他、音声を再生するための音声出力デバイスを設けてもよい。通信インタフェース16についても、接続される通信ネットワーク400、500に採用されている通信規格に適合する適宜のインタフェース回路を採用すればよい。
【0019】
次に、図2のコンピュータ10が有するハードウェア構成において営業支援サーバ100、サポート情報管理サーバ200、クライアント300の機能を実現するためのソフトウェア構成例について説明する。まず、図3を参照して営業支援サーバ100のソフトウェア構成例について説明する。
【0020】
図3に示すように、営業支援サーバ100には、ソフトウェアによって提供される機能ブロックとして、データI/O部110、オペレーティングシステム(以下「OS」)120、顧客情報管理部130、顧客情報抽出部140、情報受信部150、及び情報提供部160が備えられる。営業支援サーバ100には、図示しないこれ以外のアプリケーションソフトウェア等を適宜インストールすることができる。また、営業支援サーバ100には、主として顧客情報管理部130、顧客情報抽出部140が利用するデータを格納するための記憶テーブルである、顧客システムテーブル170、顧客対応テーブル180が保持されている。
【0021】
データI/O部110は、後述するOS120の制御下で、営業支援サーバ100の各機能ブロックとサポート情報管理サーバ200、あるいはクライアント300との間のデータ入出力処理を実行する機能ブロックである。
【0022】
OS120は、通信ネットワーク400、500を通じたデータの入出力、アプリケーションソフトウェア等の実行管理を担当するシステムソフトウェアであり、特に特定のシステムに限定されることはない。例えばWindows(登録商標)、あるいはLinux(登録商標)等のUNIX(登録商標)系のオペレーティングシステムがこのOS120として好適に用いられる。
【0023】
顧客情報管理部130は、クライアント300からのデータ入力に基づいて、後出の顧客システムテーブル170に新規顧客あるいは既存顧客の新規システムに関する登録情報を格納する機能、顧客システムテーブル170に登録されている顧客、システムに関する情報を修正する機能、顧客システムに関して実施した営業部門での対応内容を、後出の顧客対応テーブル180に格納する機能、及びクライアント300からの検索入力に基づいて後出の顧客情報抽出部140に顧客情報の検索実行指示を与える機能を主として果たす機能ブロックである。
【0024】
顧客情報抽出部140は、顧客情報管理部130から受けた検索要求に基づいて、サポート情報管理サーバ200に格納されている顧客対応記録を参照して関係する対応記録を抽出する機能を主として果たす機能ブロックである。顧客情報管理部130、顧客情報抽出部140の詳細なデータ処理内容については、関連するテーブル類の構成及び処理フロー例を参照して後述する。
【0025】
情報受信部150は、クライアント300からの入力データを受信する機能を主として果たす機能ブロックである。情報提供部160は、顧客情報抽出部140がクライアント300からの検索データ入力に従ってサポート情報管理サーバ200に対して実施した検索処理の結果等をクライアント300へ送信する処理を行う機能ブロックである。
【0026】
以上のデータI/O部110、OS120、顧客情報管理部130、顧客情報抽出部140、情報受信部150、及び情報提供部160の各機能ブロックは、それぞれの機能ブロックに対応するコンピュータプログラムをコンピュータ10のCPU11が実行することにより実現されている。
【0027】
次に、営業支援サーバ100内に生成され、保持されているテーブル類について説明する。図6に顧客システムテーブル170(600)の構成例を、図7に顧客対応テーブル180(700)の構成例を、それぞれ示している。以下、各テーブル単体にについて言及する場合には、符号600、700を用いることとする。
【0028】
顧客システムテーブル600(システム要件記憶部)は、本実施形態の営業支援システム1を運用している運用主体、例えばシステムベンダーが、顧客に納入して稼働しているシステム(以下「顧客システム」)の稼働状況、及び顧客システムに対して顧客が要求している各種システム要件を記録しているテーブルである。図6に例示する顧客システムテーブル600には、システム名601(対象システム特定情報)、稼働期間602、性能要件603、可用性要件604、及びセキュリティ要件605の各項目が記録されている。システム名601は、顧客システム毎に付与された識別符号であり、例えば「Bシステム」、「Cシステム」等と記録される。稼働期間602は、対応する顧客システムについての稼働開始から稼働終了予定時期(更新予定時期)までの期間を示している。図6の例では、システム名601がBシステムで特定される顧客システムが、2009年10月に稼働を開始し、2014年10月まで継続して使用されること、言い換えれば2014年10月に更新予定時期を迎えることを示している。
【0029】
性能要件603は、対応する顧客システムについて顧客サイドで規定しているシステム性能に関する要求条件を示す。この性能要件603の項目には、顧客が当該システムの性能について要求している事項が自然言語で記述される。図6の例では、システム名601がBシステムで特定されるシステムの性能に関して、顧客が「すべての処理を5秒以内に実行すること」を求めていることが記述されている。この他、性能要件603の項目には顧客システムの性能に関してどのような内容を記録してもよく、自然言語の他に各種記号、符号等を用いて記述するようにすることも自由である。
【0030】
可用性要件604は、対応する顧客システムに対して顧客が要求する可用性に関する要件を示している。ここで可用性とは、顧客システムが稼働している際に、顧客業務の内容等から要求される障害耐性、信頼性等に関する条件であり、図6の例では自然言語で記述され、システム名601がBシステムで特定されるシステムでは、可用性に関して「(障害が発生した場合に)1時間以内に復旧すること」が要求されている。
【0031】
セキュリティ要件605は、対応する顧客システムについて顧客がそのセキュリティに関して要求している条件を自然言語で記述した項目である。図6の例では、システム名601がBシステムで特定される顧客システムについて、顧客が「ユーザ認証機能を有すること」を要求していることが記述されている。
【0032】
クライアント300、及び前記の顧客情報管理部130を通じて新規の顧客システムに関する情報が入力された場合、その新規顧客システムに関する新規レコードが顧客システムテーブル600に追加される。また、クライアント300、及び前記の顧客情報管理部130を通じて既存の顧客システムに関する情報が修正された場合、その既存顧客システムに関するレコードの記録が修正される。
【0033】
次に、顧客対応テーブル700(提案事例記憶部)について説明する。顧客対応テーブル700は、本実施形態のシステム1を運用している例えばシステムベンダーの営業担当者が受け持ちの顧客システムに関して何らかの営業上の対応、例えば新製品紹介、新規、既存システムに関する提案などを実施した場合に、その内容を記録しておくためのテーブルである。図7に示すように、顧客対応テーブル700には、顧客名701(対象システム特定情報)、システム名702(対象システム特定情報)、対応日703、打ち合わせ内容704、提案結果705(提案結果情報)、及び業種706の各項目が記録されている。
【0034】
顧客名701は、営業対応を実施した対象の顧客名を示す識別符号であり、例えば「A社」と示している。システム名702は、顧客システムテーブル600のシステム名601と同様に、顧客システム毎に付与された識別符号である。対応日703は、対応する顧客名701及びシステム名702で特定される顧客システムに対して営業対応を実施した日付を示している。打ち合わせ内容704は、実施した営業対応の内容を示しており、例えば「新製品紹介」のように自然言語で記述される。結果705は、対応内容704に示した内容の営業対応を実施した結果を示しており、例えば図7に示すように、新製品紹介を行って顧客から導入を検討する等の好意的な反応を得られた場合(提案成功の場合)には、「GOOD」と記録する等、結果を示す語句や記号などが記述される。業種706には、顧客名701で特定される顧客の業種を示す語句が記述される。
【0035】
次に、図4に戻って、サポート情報管理サーバ200のソフトウェア構成例について説明する。サポート情報管理サーバ200は、データI/O部210、OS220、及びデータ管理部230を備えている。サポート情報管理サーバ200には、図示しないこれ以外のアプリケーションソフトウェア等を適宜インストールすることができる。また、サポート情報管理サーバ200には、主として営業支援サーバ100にある顧客情報抽出部140が利用するデータを格納するための記憶テーブルである問合せ対応テーブル240、提案情報テーブル250、及び他の参照テーブル群260が保持されている。
【0036】
データI/O部210は、後述するOS220の制御下で、データ管理部230と営業支援サーバ100との間のデータ入出力処理を主に実行する機能ブロックである。OS220は、営業支援サーバ100のOS120と同様のシステムソフトウェアである。
【0037】
データ管理部230は、営業支援サーバ100の顧客情報抽出部140から受信する検索指示入力の処理、及び検索結果の顧客情報抽出部140への送信処理等のデータ処理を行う機能ブロックである。データ管理部230は、後出する問合せテーブル240等のテーブルに記憶されているデータを管理するデータベース管理システム(DataBase Management System、DBMS)として構成することができるが、その他の適宜のデータ管理ソフトウェアを適用することができる。
【0038】
以上のデータI/O部210、OS220、及びデータ管理部230の各機能ブロックは、それぞれの機能ブロックに対応するコンピュータプログラムをコンピュータ10のCPU11が実行することにより実現されている。
【0039】
次に、サポート情報管理サーバ200内に生成され、保持されているテーブル類について説明する。図8に問合せ対応テーブル240(800)(問合せ対応情報記憶部)の構成例を、図9に提案情報テーブル250(900)(対応策記憶部)の構成例を、図10〜図15に、参照テーブル群260に含まれる種別テーブル1000、ステータステーブル1100、重要度テーブル1200、性能キーワードテーブル1300、可用性キーワードテーブル1400、及びセキュリティキーワード1500それぞれの構成例を示している。以下、問合せ対応テーブル240、提案情報テーブル250単体について言及する場合には、符号800、900を用いることとする。
【0040】
問合せ対応テーブル800は、本実施形態のシステム1の運用主体である例えばシステムベンダーにおいて、サポート部門の技術者が顧客システムに関する問合せを受けた場合に、サポート情報管理サーバ200の入力装置14を通じて記録する問合せに対する対応内容を格納しているテーブルである。図8に例示するように、問合せ対応テーブル800には、番号801、顧客名802、システム名803、問合せ内容804(問合せ内容情報)、回答805、対応開始日806、対応日数807(問合せ対応状況情報)、ステータス808(問合せ対応状況情報)、種別809(問合せ種別情報)、重要度810(問合せ重要度情報)、対策方法811、及びキーワード812(問合せキーワード)の各項目が互いに対応付けられて1レコードとして記録されている。言い換えれば、サポート部門が顧客システムについて何らかの問合せを受ける毎に新規のレコードが追加されていくこととなり、その問合せに関する処理が進捗するに従って、1つのレコードに記録されている内容が項目によって更新されることになる。なお、この問合せ対応テーブル800へのデータ入力は、入力装置14からデータ管理部230を介して行われる。
【0041】
番号801は、サポート部門が顧客システムについて問合せを受けて生成されたレコード毎に付与されるユニークな番号であり、図8では1からの連番を付している。顧客名802、システム名803は、図7の顧客対応テーブル700における顧客名701、システム名702と同様である。
【0042】
問合せ内容804は、顧客システムについて問合せを受けたサポート部門の担当者がその問合せの内容を自然言語で記述する項目である。回答805は、サポート部門の担当者が問合せ内容804で受けた問合せに対して問合せ元の顧客に対して返した回答の内容を自然言語で記述する項目である。
【0043】
対応開始日806は、問合せ内容804に記述されている問合せに対して対応を開始した日付を西暦年月日で示しており、通常は問合せを受けた日の日付が入力されるが、実際に対応を開始するまでにラグがあった場合には、実際の対応開始日を入力する。対応日数807は、対応開始日806で問合せに対するサポート部門での対応を開始してからの経過日数を示しており、対応が完了している場合には、問合せに対する対応に要した日数を表すことになる。ステータス808は、問合せに対する対応状況を示す項目であり、対応が完了している場合には「CLOSE」と記述され、その他状況(ステータス)に対応した語句が記述される。
【0044】
種別809は、サポート部門で受けた各問合せの種別を、例えば顧客システムの性能に関する問合せであれば「性能」というように、その対応する語句として記録している。重要度810は、サポート部門が問合せを受けた顧客、顧客システム、あるいは問合せ内容に応じて当該問合せ事案がどの程度の重要度を有するかを、重要度が高い順にA〜Cの符号を付して示している。対策方法811には、顧客からの問合せに対してサポート部門が提示した対策の方法を自然言語で簡略化して記録している。キーワード812は、各問合せ事案について、その問合せ内容、回答、種別等の項目から抽出して当該問合せに対応したサポート部門担当者が当該問合せ事案について付与したキーワードが記録される。
【0045】
次に、提案情報テーブル900について説明する。提案情報テーブル900は、顧客システムに関する問合せに対して問合せを受けたサポート部門が対応した際に提示してその問合せに係わる問題解決に効果的に作用した対応策を整理して記載したテーブルであって、顧客システムに関する問合せについてサポート部門に蓄積されたノウハウ集と位置づけられる。図9に例示する提案情報テーブル900には、キーワード901、対応策902(対応策情報)、対応策備考903の各項目が対応付けられて記録されている。
【0046】
キーワード901は、サポート部門が顧客システムに関して受けた問合せについてサポート担当者が設定したキーワードを記録しており、問合せ対応テーブル800のキーワード812の項目に対応する。対応策902は、キーワード901に記録されているキーワードに関連づけられている問合せ事案においてとられた対応策が自然言語で記述されている。対応策備考903は、対応策902に記録されている対応策の具体的な内容を自然言語で記録している。図9の例では、例えば「無応答」というキーワードに関連づけられた問合せ事案においては、対応策として「コンサルティング」が採用され、その内容は「プログラムの改修やチューニングを行うため、適切なエンジニアの導入を検討。」というアドバイスであったことが示されている。
【0047】
次に、参照テーブル群260について説明する。参照テーブル群260は、クライアント300からの検索要求に従って営業支援サーバ100の顧客情報抽出部140がサポート情報管理サーバ200の問合せ対応テーブル800、提案情報テーブル900を検索する際に参照する一群の補助テーブルであり、本実施形態では、種別テーブル1000、ステータステーブル1100、重要度テーブル1200、性能キーワードテーブル1300、可用性キーワードテーブル1400、及びセキュリティキーワードテーブル1500を含む。図10〜図15に、種別テーブル1000、ステータステーブル1100、重要度テーブル1200、性能キーワードテーブル1300、可用性キーワードテーブル1400、及びセキュリティキーワードテーブル1500の構成例をそれぞれ示している。
【0048】
種別テーブル1000は、問合せ対応テーブル800の種別809に対応し、種別1001として性能、可用性、セキュリティ、及びQ&Aの4種のデータが記録されている。ステータステーブル1100は、問合せ対応テーブル800のステータス810に対応し、ステータス1101として社内確認中、社外エスカレーション、顧客待ち、CLOSEの4種のデータが記録されている。また、ステータス1101の各記録データに対して、点数1102が対応付けられて記録されている。問合せに対する対応のステータスとして、「社内確認中」は社内で問合せに対する対応策を検討中で顧客を待たせている状態を示す。「社外エスカレーション」は、問合せに対する対応が他社製品等に関する検討を必要とし、社外での検討結果を待っている状態を示す。「顧客待ち」は、問合せに対して暫定的な対応策を提示し、その対応策を実施した結果が顧客から連絡されるのを待っている状態である。「CLOSE」は、一つの問合せに対する対応が完了していることを示す。図11の例では、社内だけで対応策を決定することができない「社外エスカレーション」に最も高い5点が割り当てられ、以下「社内確認中」に3点、「顧客待ち」に1点が割り当てられている。これらの点数は、後述の顧客情報抽出部140におけるデータ処理で使用される。
【0049】
重要度テーブル1200は、問合せ対応テーブル800の重要度810に対応し、サポート部門が受け付けた問合せの重要度1201を重要度が高い順にA、B、Cと記録している。重要度1201には対応する点数が付与されており、Aから順に、5点、3点、1点が割り当てられている。これらの点数は、後述の顧客情報抽出部140におけるデータ処理で使用される。
【0050】
性能キーワードテーブル1300は、サポート部門が問合せに対して問合せ対応テーブル800のキーワード812の項目に記録する候補となる、顧客システムの性能に関するキーワードを格納している。可用性キーワードテーブル1400、セキュリティキーワードテーブル1500は、同様に、顧客システムの可用性、セキュリティに関するキーワードをそれぞれ格納している。性能キーワードテーブル1300、可用性キーワードテーブル1400、セキュリティキーワードテーブル1500は、サポート情報管理サーバ200が稼働を開始する前に、あらかじめ所定の語句をそれぞれ記録してサポート情報管理サーバ200を構成するコンピュータ10の補助記憶装置13等に格納して保持させておく。性能キーワードテーブル1300、可用性キーワードテーブル1400、セキュリティキーワードテーブル1500には、サポート情報管理サーバ200が稼働開始後、必要に応じて記録されている語句を見直して追加削除等の変更を実施することができる。
【0051】
次に、図5に戻って、本実施形態のシステム1のクライアント300について説明する。図5に示すように、クライアント300には、ソフトウェアによって提供される機能ブロックとして、データI/O部310、OS320、情報入力部330、及び情報出力部340が備えられる。クライアント300には、図示しないこれ以外のアプリケーションソフトウェア等を適宜インストールすることができる。
【0052】
データI/O部310は、後述するOS320の制御下で、営業支援サーバ100の各機能ブロックとの間のデータ入出力処理を実行する機能ブロックである。
【0053】
OS320は、営業支援サーバ100、サポート情報管理サーバ200と同様に、データの入出力、アプリケーションソフトウェア等の実行管理を担当するシステムソフトウェアである。
【0054】
情報入力部330は、クライアント300のユーザである営業担当者等が、クライアント300から顧客システムに関する新規登録情報、既存登録情報修正用の情報、あるいは顧客システムに関する検索用データを入力するために設けられているユーザインタフェース画面であり、例えばクライアント300を構成するコンピュータ10の入力装置14に表示されるブラウザソフトウェアのインタフェース画面である。
【0055】
情報出力部340は、営業支援サーバ100が、クライアント300からユーザにより与えられた検索用データを処理した結果得られた検索結果データを、例えばクライアント300を構成するコンピュータ10の出力装置15に表示等するためのインタフェース画面である。
【0056】
以上のデータI/O部310、OS320、情報入力部330、及び情報出力部340の各機能ブロックは、それぞれの機能ブロックに対応するコンピュータプログラムをコンピュータ10のCPU11が実行することにより実現されている。
【0057】
次に、本実施形態のシステム1において実行されるデータ処理について、データの入力からデータ出力まで順を追って説明する。まず、ユーザが情報入力を行うために、クライアント300に設けられている情報入力部3300についてより具体的に説明する。図16に、情報入力部330によって提供される、入力用ユーザインタフェース画面3300の構成例を示している。
【0058】
入力用ユーザインタフェース画面3300は、顧客情報入力部3310、対応内容入力部3320、システム要件入力部3330、登録ボタン3340、修正ボタン3350、及び検索ボタン3360を備えている。
【0059】
顧客情報入力部3310には、顧客名とシステム名とが入力され、これらは顧客対応テーブル700の顧客名701、システム名702に対応する。対応内容入力部3320は、顧客システムの営業担当者が顧客に対して対応した内容を自然言語で記述することができるテキスト入力フィールドを提供している。システム要件入力部3330は、新規の顧客システムを登録する場合にそのシステム要件を入力するためのテキスト入力フィールドを提供しており、稼働期間、性能要件、可用性要件、セキュリティ要件を入力することができる。稼働期間、性能要件、可用性要件、セキュリティ要件は、顧客システムテーブル600の稼働期間602、性能要件603、可用性要件604、セキュリティ要件605に対応している。
【0060】
登録ボタン3340は、新規の顧客システムに関する情報を営業支援サーバ100に登録するために操作するボタンである。修正ボタン3350は、登録済みの顧客システムに関する情報、例えばシステム要件等に関する登録内容を修正する場合に操作するボタンである。検索ボタン3360は、顧客システムを特定して営業部門での対応内容を入力することによりサポート情報管理サーバ200内の関連情報を検索する場合に操作するボタンである。
【0061】
次に、本システム1の営業支援サーバ100にある顧客情報管理部130において実行されるデータ処理について説明する。図17に、顧客情報管理部130で実行されるデータ処理フローの一例を示している。
【0062】
顧客情報管理部130は、クライアント300の情報入力部330、及び営業支援サーバ100の情報受信部150を通じて入力された顧客情報である顧客名701、システム名702を受信する(S1701)。次いで、顧客情報管理部130は、クライアント300の入力用ユーザインタフェース画面3300において操作されたのが登録ボタン3340、修正ボタン3350、検索ボタン3360のいずれであるかに基づいて、ユーザからの要求が顧客情報の登録、修正、あるいは検索のいずれであるか判定する(S1702)。
【0063】
ユーザからの要求が登録又は修正であると判定した場合(S1702、登録or修正)、顧客情報管理部130は顧客システムテーブル800を参照して、受信した顧客情報が新規の顧客システムであるか判定する(S1703)。受信した顧客情報がまだ顧客システムテーブル800に登録されていない新規案件であると判定した場合(S1703、Yes)、顧客情報管理部130は、受信した顧客情報のシステム名601に関する新規レコードを追加し、稼働期間602、性能要件603、可用性要件604、セキュリティ要件605の項目に、システム要件入力部3330から入力されたシステム要件を記録する(S1704)。次いで、顧客情報管理部130は、顧客対応テーブル700に、入力用ユーザインタフェース画面3300の対応内容入力部3320に入力されている対応内容、及びユーザ要求に付随する対応日時を記録して処理を終了する(S1705)。
【0064】
一方、受信した顧客情報がすでに顧客システムテーブル600に登録済みで新規案件でないと判定した場合(S1703、No)、顧客情報管理部130はさらに、ユーザ要求が顧客システムに関する既登録情報の修正要求であるか判定する(S1706)。修正要求であると判定した場合(S1706、Yes)、顧客情報管理部130は、顧客システムテーブル600に登録されているシステム要件を、システム要件入力部3330に入力されている内容に従って修正して処理を終了する(S1707)。修正要求でないと判定した場合(S1706、No)、顧客情報管理部130は、顧客対応テーブル700に対応状況を追加登録するS1705に処理を進める。
【0065】
S1702でユーザ要求が顧客情報の検索であると判定した場合(S1702、検索)、顧客情報管理部130は、入力用ユーザインタフェース画面3300の顧客情報入力部3310に入力されている顧客名及びシステム名を、顧客情報抽出部140に送信して処理を終了する(S1708)。
【0066】
以上説明した本実施形態の顧客情報管理部130によれば、新規に納入された顧客システムに関する情報、及び営業担当者が顧客システムに対して実施した対応に関する情報を随時記録することができ、また既存の顧客システム、対応に関する情報を適時にアップデートすることができる。これにより、顧客システムに関する最新の営業対応の記録を常時参照して利用することができる。
【0067】
次に、本実施形態の営業支援サーバ100に備えられている顧客情報抽出部140によって実行されるデータ処理について説明する。図18に、顧客情報抽出部140によるデータ処理フローの一例を示している。顧客情報抽出部140は、クライアント300の入力用ユーザインタフェース画面3300からユーザの検索要求が入力された場合(検索ボタン3360が操作された場合)に、顧客情報管理部130からの処理開始要求を受けて起動する。なお、以下の処理フローの説明に際しては、理解を容易にするため、図6〜図15に示した各テーブルの記録例を参照することとする。
【0068】
まず、顧客情報抽出部140は、顧客情報管理部130から、クライアント300の入力用ユーザインタフェース画面3300を通じて入力された顧客名701、システム名702を含む顧客情報を受信し(S1801)、その顧客名701、システム名702を用いてサポート情報管理サーバ200に保持されている問合せ対応テーブル800を検索する(S1802)。次いで、顧客情報抽出部140は、問合せ対応テーブル800に該当するシステム名702に関するレコードがあるか判定する(S1803)。当該レコードがないと判定した場合(S1803、No)、顧客情報抽出部140は、該当の対応記録がない旨の情報をクライアント300に送信して処理を終了する(S1804)。
【0069】
S1803で該当するシステム名702に関するレコードがあると判定した場合(S1803、Yes)、顧客情報抽出部140は、各レコードに含まれている種別809を確認する(S1805)。例えば、クライアント300から顧客名802として「A社」が入力されたとすると、図8の問合せ対応テーブル800では、「番号=1、問合せ内容=処理が無応答、種別=性能」、「番号=3、問合せ内容=処理が以前と比べて遅い、種別=性能」、「番号=4、問合せ内容=アプリの停止方法について、種別=Q&A」の3つのレコードが抽出される。
【0070】
次いで、顧客情報抽出部140は、前記抽出したレコードについて、顧客システムテーブル600の性能要件603の項目に記録されている語句と種別809に対応する性能キーワードテーブル1300、可用性キーワードテーブル1400、及びセキュリティキーワードテーブル1500のいずれかに登録されているキーワードとを比較して一致するキーワードがあるか判定する(S1806、S1810)。一致するキーワードがないと判定した場合(S1810、No)、顧客情報抽出部140は、該当の対応記録がない旨の情報をクライアント300に送信して処理を終了する(S1804)。
【0071】
一方、S1810で一致するキーワードがあると判定した場合(S1810、Yes)、顧客情報抽出部140は、問合せ対応テーブル800の該当レコードを参照して、対応日数807、ステータス808、重要度810の項目に記録されている内容を取得し、対応するステータステーブル1100、重要度テーブル1200に設定されている点数1102、1202を用いて判定用スコアを算出する(S1811)。図6の例では、性能要件603に記録されている語句を参照すると、「すべての処理を5秒以内に行う」の語句が抽出され、性能キーワードテーブル1300を参照すると、「以内」の語句が一致しているので、S1811の判定用スコア算出が行われる。
【0072】
判定用スコアは、問合せ対応テーブル800における対応日数807の数値、及びステータス808、重要度810のデータに対応する点数1102、1202の和として定義される。図8の例では、「番号=1、問合せ内容=処理が無応答、種別=性能」のレコードでは、対応日数(10日)+ステータス(CLOSE)+重要度(A)=10+0+5=15となり、「番号=3、問合せ内容=処理が以前と比べて遅い、種別=性能」のレコードでは、対応日数(4日)+ステータス(社外エスカレーション)+重要度(B)=4+5+3=12となる。
【0073】
次いで、顧客情報抽出部140は、算出した判定用スコアの値が10以上であるか判定し(S1812)、10以上であると判定した場合(S1812、Yes)、提案情報テーブル900を参照してキーワードに該当する対応策があるか判定する(S1813)。判定用スコアが10未満であると判定した場合(S1812、No)、あるいは該当する対応策がないと判定した場合(S1813、No)、顧客情報抽出部140は、該当の対応策がない旨の情報をクライアント300に送信して処理を終了する(S1804)。なお、判定用スコア算出の指標となる項目、及び算出された判定用スコアの判定基準値は上記の例にかかわらず、本発明を適用するシステムの要求に応じて適宜に規定することができる。
【0074】
一方、問合せ対応テーブル800のキーワード812に記録されている内容と提案情報テーブル900のキーワード901とを比較して一致するものがあると判定した場合(S1813、Yes)、顧客情報抽出部140は、その一致したキーワード901に対応して提案情報テーブル900の対応策902に記録されている情報を取得してクライアント300へ送信する(S1814)。図8、図9の例では、「番号=1、問合せ内容=処理が無応答、種別=性能」、及び「番号=3、問合せ内容=処理が以前と比べて遅い、種別=性能」で、それぞれ「性能」、「無応答」、及び「性能」、「C製品」が一致するキーワード901として取得されるので、対応策902としてはいずれについても「コンサルティング」、「製品拡販(C製品)」が取得される。
【0075】
次に、顧客情報抽出部140は、顧客対応テーブル700を参照して、処理中のユーザ検索要求に関する顧客名701、システム名702について、提案成功事例があるか判定する(S1820)。この判定は、ユーザ検索要求に関する顧客名701、システム名702に、結果705に「GOOD」が記録されているかを調べることにより実行される。提案成功事例があると判定した場合(S1820、Yes)、顧客情報抽出部140は、その提案成功事例についてのレコードの記録内容をクライアント300へ送信して処理を終了する(S1821)。提案成功事例がないと判定した場合(S1820、No)、顧客情報抽出部140はそのまま処理を終了する。図7の例では、顧客対応テーブル700において、顧客名701が「A社」、システム名702が「Bシステム」である、処理中のユーザ検索要求に関する結果705には「GOOD」が記録されているため、顧客情報抽出部140は顧客対応テーブル700のこのレコードの内容をクライアント300へ送信することになる。
【0076】
以上のように、本実施形態の営業支援サーバ100に設けられる顧客情報抽出部140によれば、営業部門が対応中の顧客システムに関し、サポート部門での対応状況に基づいて定められる重要性にしたがってサポート情報管理サーバ200に記録されているサポート部門での関連情報が営業部門とサポート部門との境界を越えて営業部門に提供され、営業対応に有効に利用することができる。
【0077】
以上の顧客情報抽出部140によるユーザ検索要求の処理結果の一例を図19に示している。図19は、営業支援サーバ100の顧客情報抽出部140から受けた検索結果データに基づいて、クライアント300の情報出力部340が生成したユーザ出力画面例である。このユーザ出力画面例3400は、顧客情報出力部3410、推奨対応策一覧表示部3420、及び提案成功事例一覧表示部3430を備えて構成されている。
【0078】
顧客情報表示部3410は、営業支援サーバ100で実行されたユーザ検索要求、すなわち営業部門で問合せの対象となった顧客名とシステム名が表示される。推奨対応策一覧表示部3420は、顧客情報抽出部140によってサポート情報管理サーバ200に記録されている情報から顧客情報表示部3420に表示されている顧客システムに関係する情報として抽出された情報である対応策を判定用スコアの数値が大きい順から表示する表示領域であり、図19では図8、図9の例に関して顧客情報抽出部140によって抽出された「コンサルティング」、「製品拡販(C製品)」の項目が表示されている。また、詳細情報には表示されている対応策に関して図9の対応策概要903に記録されている情報へのリンクが設定されている。例えば「コンサルティング」に対応する詳細情報をクリックすると、「プログラムの改修やチューニングを行うため、適切なエンジニアの導入を検討ください。」という詳細情報がポップアップウインドウ等に表示されるように構成することができる。
【0079】
提案成功事例一覧表示部3430は、ユーザ検索要求の処理結果により図9の提案情報テーブル900から提案成功事例が抽出された場合にその結果を表示する表示領域である。図19の例では、図9の抽出されたレコードから「新製品紹介」及び業種として「金融」が表示されている。
【0080】
以上のユーザ出力画面3400によれば、営業支援サーバ100に対するユーザ検索要求の処理結果として、サポート情報管理サーバ200に記録されている関連情報、及び他の営業対応における成功事例を一括して表示させることができ、営業対応に役立てることができる。
【0081】
以上詳細に説明した本発明の一実施形態によれば、顧客システムに関する技術サポート情報を有効に活用して営業活動の促進を可能とする営業支援システム、営業支援情報処理方法、及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 営業支援システム
10 コンピュータ 11 中央処理装置 12 主記憶装置
13 補助記憶装置 14 入力装置 15 出力装置
16 通信インタフェース
100 営業支援サーバ 110、210、310 データI/O部
120、220、320 OS 130 顧客情報管理部
140 顧客情報抽出部 150 情報受信部 160 情報提供部
170、600 顧客システムテーブル 180、700 顧客対応テーブル
200 サポート情報管理サーバ 230 データ管理部
240 問合せ対応テーブル 250 提案情報テーブル
260 参照テーブル群
300 クライアント 330 情報入力部 340 情報出力部
400、500 通信ネットワーク
1000 種別テーブル 1100 ステータステーブル
1200 重要度テーブル 1300 性能キーワードテーブル
1400 可用性キーワードテーブル 1500 セキュリティキーワードテーブル
3300 入力用ユーザインタフェース画面 3400 ユーザ出力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のクライアント装置と通信可能に接続されており、各前記クライアント装置から受信した検索要求に従って検索対象のシステムである対象システムに関する技術サポート情報を抽出して前記クライアント装置に提供する営業支援システムであって、
前記クライアント装置から入力される、前記対象システムを特定するための情報である対象システム特定情報と、前記対象システムについて要求されるシステム要件とを対応付けて保持しているシステム要件記憶部と、
前記対象システムについて技術サポート部門が受け付けた問合せの内容を表す情報である問合せ内容情報と、当該問合せに対する前記技術サポート部門での対応状況を表す情報である問合せ対応状況情報と、前記問合せの種別を表す情報である問合せ種別情報と、当該問合せの重要度を表す情報である問合せ重要度情報と、当該問合せの対象の前記対象システム特定情報とを対応付けて保持している問合せ対応情報記憶部と、
前記問合せに関して設定されたキーワードである問合せキーワードと、前記問合せに対して前記技術サポート部門が提示した対応策を示す対応策情報とを対応付けて保持している対応策記憶部と、
前記クライアント装置から受信した前記検索要求に含まれる前記対象システム特定情報に基づいて前記問合せ対応情報記憶部を検索して前記対象システム特定情報が一致するレコードがあるか判定し、一致するレコードがあると判定した場合、当該一致するレコードがあると判定された前記対象システム特定情報と対応付けられている前記問合せ種別情報を取得して前記問合せ種別情報に関連してあらかじめ選定されているキーワードである種別対応キーワードと前記対象システム特定情報と対応付けられている前記システム要件とに一致するものがあるか判定し、一致するものがあると判定した場合、前記問合せ対応情報記憶部から前記問合せ対応状況情報と前記重要度情報とを取得して当該問合せ対応状況情報と当該重要度情報とを所定の変換手順により問合せ対応状況データ値及び重要度データ値に変換して判定用スコアを算出し、当該判定用スコアが所定値以上であると判定した場合に、前記対応策記憶部から前記種別対応キーワードに対応する前記対応策情報を取得して前記クライアント装置に送信する顧客情報抽出部と、
を備えている営業支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の営業支援システムであって、
前記対象システム特定情報に対応付けて当該対象システムに関して提案した提案実績と当該提案実績が成功した事例であるか否かを示す情報である提案結果情報が記録されている提案事例記憶部をさらに備え、
前記顧客情報抽出部は、前記提案事例記憶部を検索して前記検索要求にかかる前記対象システム特定情報に対応する前記提案実績であって対応付けられている前記提案結果情報が成功を示すものが取得された場合に、当該提案実績に関する情報を前記クライアント装置に送信する、営業支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の営業支援システムであって、
前記クライアント装置から受信する新規の前記対象システム特定情報を用いて前記システム要件記憶部に新規のレコードを追加し、前記クライアント装置から受信する既存の前記システム要件記憶部のレコードに対する修正要求に従って当該レコードを修正する顧客情報管理部を備えている、営業支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の営業支援システムであって、前記問合せ対応状況情報は、前記問合せに対する対応を開始してからの経過日数を表す情報である対応日数情報と、前記問合せに対する対応のステータスを表す情報であるステータス情報とを含み、前記ステータス情報及び前記重要度情報にはそれぞれの内容に応じた重みに対応する点数が対応付けて保持されており、前記判定用スコアは、前記対応日数情報に記録されている数値と、前記ステータス情報及び前記重要度情報に対応付けられている点数とを加算して算出される、営業支援システム。
【請求項5】
1以上のクライアント装置から受信した検索要求に従って検索対象のシステムである対象システムに関する技術サポート情報を抽出して前記クライアント装置に提供する営業支援情報処理方法であって、前記クライアント装置と通信可能に接続されている、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータが、
前記クライアント装置から入力される、前記対象システムを特定するための情報である対象システム特定情報と、前記対象システムについて要求されるシステム要件とを対応付けて保持し、
前記対象システムについて技術サポート部門が受け付けた問合せの内容を表す情報である問合せ内容情報と、当該問合せに対する前記技術サポート部門での対応状況を表す情報である問合せ対応状況情報と、前記問合せの種別を表す情報である問合せ種別情報と、当該問合せの重要度を表す情報である問合せ重要度情報と、当該問合せの対象の前記対象システム特定情報とを対応付けて保持し、
前記問合せに関して設定されたキーワードである問合せキーワードと、前記問合せに対して前記技術サポート部門が提示した対応策を示す対応策情報とを対応付けて保持し、
前記クライアント装置から受信した前記検索要求に含まれる前記対象システム特定情報に基づいて前記問合せ対応情報記憶部を検索して前記対象システム特定情報が一致するレコードがあるか判定し、一致するレコードがあると判定した場合、当該一致するレコードがあると判定された前記対象システム特定情報と対応付けられている前記問合せ種別情報を取得して前記問合せ種別情報に関連してあらかじめ選定されているキーワードである種別対応キーワードと前記対象システム特定情報と対応付けられている前記システム要件とに一致するものがあるか判定し、一致するものがあると判定した場合、前記問合せ対応情報記憶部から前記問合せ対応状況情報と前記重要度情報とを取得して当該問合せ対応状況情報と当該重要度情報とを所定の変換手順により問合せ対応状況データ値及び重要度データ値に変換して判定用スコアを算出し、当該判定用スコアが所定値以上であると判定した場合に、前記対応策記憶部から前記種別対応キーワードに対応する前記対応策情報を取得して前記クライアント装置に送信する、
営業支援情報処理方法。
【請求項6】
1以上のクライアント装置から受信した検索要求に従って検索対象のシステムである対象システムに関する技術サポート情報を抽出して前記クライアント装置に提供する営業支援情報処理方法であって、前記クライアント装置と通信可能に接続されている、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータに、
前記クライアント装置から入力される、前記対象システムを特定するための情報である対象システム特定情報と、前記対象システムについて要求されるシステム要件とを対応付けて保持するステップと、
前記対象システムについて技術サポート部門が受け付けた問合せの内容を表す情報である問合せ内容情報と、当該問合せに対する前記技術サポート部門での対応状況を表す情報である問合せ対応状況情報と、前記問合せの種別を表す情報である問合せ種別情報と、当該問合せの重要度を表す情報である問合せ重要度情報と、当該問合せの対象の前記対象システム特定情報とを対応付けて保持するステップと、
前記問合せに関して設定されたキーワードである問合せキーワードと、前記問合せに対して前記技術サポート部門が提示した対応策を示す対応策情報とを対応付けて保持するステップと、
前記クライアント装置から受信した前記検索要求に含まれる前記対象システム特定情報に基づいて前記問合せ対応情報記憶部を検索して前記対象システム特定情報が一致するレコードがあるか判定し、一致するレコードがあると判定した場合、当該一致するレコードがあると判定された前記対象システム特定情報と対応付けられている前記問合せ種別情報を取得して前記問合せ種別情報に関連してあらかじめ選定されているキーワードである種別対応キーワードと前記対象システム特定情報と対応付けられている前記システム要件とに一致するものがあるか判定し、一致するものがあると判定した場合、前記問合せ対応情報記憶部から前記問合せ対応状況情報と前記重要度情報とを取得して当該問合せ対応状況情報と当該重要度情報とを所定の変換手順により問合せ対応状況データ値及び重要度データ値に変換して判定用スコアを算出し、当該判定用スコアが所定値以上であると判定した場合に、前記対応策記憶部から前記種別対応キーワードに対応する前記対応策情報を取得して前記クライアント装置に送信するステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−103974(P2012−103974A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253061(P2010−253061)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】