説明

噴出ヘッド

【課題】噴射パターンの安定した噴射ヘッドの提供
【解決手段】ヘッド本体2からの内容物を噴射させる開孔Aを有す仕切壁3a、周壁3b、ノズルチップ3とを備え、本体2に、その側面に開口部を作り連通孔Aを介して通路2pに通じる凹部2nを設け、この凹部2nの内側にチップ3を嵌合させ、チップ3の内側には中間部材4を嵌合させ、中間部材4は、チップ3の仕切壁3aに合さって仕切壁3aとの間に開孔Aに通じる複数の流路Pを形成する隔壁4aを有し、この隔壁4aに繋がる周壁4bによってチップ3の周壁4bの内側に嵌合保持されると共に、凹部2nにチップ3を嵌合させることで、中間部材4との間に通路2aに通じる空間Cを形成する、部材4の周壁4bに、隔壁4aとチップ仕切壁3aとの間に形成された流路Pのそれぞれに連通する複数の条溝4gが、空間Cに通じさせる連通孔Aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステムを固定する内部通路を有し当該ステムを上下動させることで、ステムからの内容物を外界に噴射させる噴出ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の噴出ヘッドとしては、例えば、容器内に配置されたポンプを駆動させるヘッド本体にノズルチップを固定し、このノズルチップに設けられた開孔を通して内容物を噴射させるものが既知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−218198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした従来の噴出ヘッドは、ヘッド本体に設けられた突出部に条溝を形成し、この突出部外周にノズルチップの周壁内側を嵌合させることで、開孔に通じる流路を形成しているが、例えば、内容物を噴霧するときに、条溝と流路の位置によっては、霧の状態や噴霧角度等によって規定される噴射パターンが安定しないことがあった。
【0005】
本発明の目的とするところは、噴射パターンの安定した噴射ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の噴射ヘッドは、ステムを固定する内部通路を有し当該ステムを上下動させることで内容物が圧送されるヘッド本体と、このヘッド本体からの内容物を噴射させる開孔が設けられた仕切壁を有し当該仕切壁に繋がる周壁によってヘッド本体の側面に固定されるノズルチップとを備え、
ヘッド本体に、当該ヘッド本体の側面に開口部を形作り連通孔を介して前記内部通路に通じる凹部を設け、
この凹部の内側にノズルチップを嵌合させる一方、
このノズルチップの内側に中間部材を嵌合させ、
この中間部材は、ノズルチップの仕切壁に合さって当該仕切壁との間に前記開孔に通じる複数の流路を形成する隔壁を有し、当該隔壁に繋がる周壁によって、当該ノズルチップの周壁内側に嵌合保持されると共に、
前記凹部にノズルチップを嵌合させることで、中間部材との間に前記内部通路に通じる空間を形成するものであって、
更に、当該中間部材の周壁には、当該中間部材の隔壁とノズルチップの仕切壁との間に形成された流路のそれぞれに連通する複数の条溝が形成されていると共に、当該条溝を前記空間に通じさせる連通孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、前記凹部と前記内部通路との間の連通孔を、上方に配置することができる。
【0008】
本発明によれば、ノズルチップの仕切壁と中間部材の隔壁との間の流路のうち、2つの流路を一対に構成し、当該流路を、開孔を挟んで対向する位置に配置することができる。
【0009】
また、本発明によれば、ノズルチップの仕切壁と中間部材の隔壁との間の流路を、この中間部材の隔壁に形成した条溝で形作ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヘッド本体に圧送された内容物は、このヘッド本体に設けられた凹部にノズルチップを嵌合させることで、中間部材との間に形成された空間に充填された後、中間部材の周壁に形成された貫通孔から当該周壁に形成された複数の条溝を経て、中間部材の隔壁とノズルチップの仕切壁との間に形成された複数の流路のそれぞれに通じ、結果、ノズルチップの開孔に至る。
【0011】
かかる構成によれば、ノズルチップの開孔に通じる複数の流路それぞれに、中間部材の周壁に形成したそれぞれの条溝を一致させることができる。即ち、本発明によれば、ノズルチップの開孔に通じる複数の流路のそれぞれに内容物を均一に流すことができることから、噴射パターンを安定させることができる。
【0012】
また、ヘッド本体に設けられた凹部と内部通路との間の連通孔を、上方に配置すれば、噴霧する初期段階で空気を効率よく外界に排出(押し出す)することができ、その後の噴射パターンの安定化に更に有効である。
【0013】
また、本発明によれば、ノズルチップの仕切壁と中間部材の隔壁との間の流路を、この中間部材の隔壁に形成した条溝で形作ることができるので、ノズルチップをヘッド本体2にセットする際、位置合わせを行う必要がなくなるため有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態である噴霧ノズルを備えた容器用ポンプユニットを一部断面で示す側面図である。
【図2】同形態に係る噴霧ノズルを示す拡大断面図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、同形態に係るノズルチップの正面図及び、ヘッド本体に設けられた嵌合凹部の正面図である。
【図4】同形態に係る中間部材の斜視図である。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態に係る中間部材の正面図、当該中間部材の他の形態の正面図及び、当該中間部材の更に他の形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の様々な形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一形態である噴霧ヘッドを備える容器用ポンプユニットを示す。
【0017】
図中1は、本発明の一形態である噴霧ヘッドである。2は、容器内に配置されるポンプPを駆動させるステムSを固定するヘッド本体である。ヘッド本体2は、内部通路2pを有し、この内部通路2pにステムSが固定される。これにより、ヘッド本体2は、ステムSの内部通路Spを通してポンプユニットUに通じ、ステムSを上下動させることで容器からの内容物が圧送される。
【0018】
ポンプUは、既存のプランジャポンプであって、吸引チューブU1からの内容物がシリンダU2内で吸引、加圧及び圧送される。ポンプUは、装着筒U3によって、図示せぬ容器の口部に螺着される。なお、OXは、後述するノズルチップ3の開孔A3の中心軸線、OYは、ポンプ中心軸線である。
【0019】
また、ヘッド本体2には、その側面に開口部を有し、内部通路2pに向かって延在する凹部2nが形成されている。この凹部2nは、内部通路2pとの間を仕切壁2aによって仕切られていると共に、この仕切壁2aに形成された連通孔(以下、「流入孔」)A1によって、内部通路2pに通じる。流入孔A1は、仕切壁2aに対して任意の位置に配置することができるが、本形態では、図2に示すように、仕切壁2aの上方に配置されている。
【0020】
なお、仕切壁2aには、軸線OX周りに間隔を空けて複数の隆起部2bが一体に設けられている。また、仕切壁2aには、隆起部2bに取り囲まれた突起部2cが一体に設けられている。
【0021】
ノズルチップ3は、開孔A3が設けられた仕切壁3aを有し、この仕切壁3aに繋がる周壁3bによって、その内側に凹部が形作られている。ノズルチップ3は、その周壁3bを凹部2nに嵌合させることで、ヘッド本体2の側面に固定される。
【0022】
詳細には、ノズルチップ3は、その周壁3bを凹部2nの内周面2n1に嵌合させることで、ヘッド本体2に固定されると共に、このヘッド本体2に形成された開口部がノズルチップ3の仕切壁3aによって閉じられている。これにより、ノズルチップ3は、開孔A3を通して、ヘッド本体2を通して圧送された内容物を外界に噴射させることができる。
【0023】
4は、ノズルチップ3の内側に嵌合保持される中間部材である。中間部材4は、図2に示すように、ノズルチップ3の仕切壁3a内側に合さる隔壁4aを有し、この隔壁4aに繋がる周壁4bによって、その内側に凹部4nが形作られている。
【0024】
中間部材4は、その周壁4bによって、同図に示すように、ノズルチップ3の周壁3b内側に嵌合保持される。これにより、中間部材4の凹部4nは、ヘッド2に設けられた凹部2nにノズルチップ3を嵌合させることで、凹部2nとの間に、流入孔A1を経て内部通路2pに通じる空間Cを形成する。
【0025】
ここで、ノズルチップ3の仕切壁3aと中間部材4の隔壁4aとの間には、図2に示すように、ノズルチップ3の開孔A3に通じる2つの流路P2が形成されている。2つの流路P2はそれぞれ、合流部P3を経て開孔A3に通じるスピン流路を構成する。
【0026】
流路P2(以下、「スピン流路P2」)はそれぞれ、図4に示すように、中間部材4の隔壁4aに形成された条溝(以下、「スピン溝」)4g2で形作られている。同様に、合流路P3は、図4に示すように、隔壁4aに形成された凹部4g3で形作られている。スピン溝4g2は、図5(a)に示すように、軸線OX周りを凹部4g3に向かって先細りするように傾斜してなる。
【0027】
また、ノズルチップ3の周壁3bと中間部材4の周壁4bとの間には、図2に示すように、2つのスピン流路P2それぞれに連通する、2つの流路(以下、「流入路」)P1が形成されている。加えて、ノズルチップ3と中間部材4との間には、同図に示すように、環状流路Pが形成されている。環状流路P4は、2つの流入路P1及びスピン流路P2をそれぞれ一体に連通させる流路としてなる。
【0028】
2つの流入路P1はそれぞれ、図4に示すように、中間部材4の周壁4bに形成された2つの条溝4g1で形作られている。2つの条溝4g1はそれぞれ、同図に示すように、隔壁4aに形成されたスピン溝4g2に繋がる。これにより、開孔A3に通じるスピン流路P2はそれぞれ、上述のとおり、2つの流入路P1それぞれと連通する。
【0029】
加えて、環状流路P4は、図4に示すように、中間部材4の隔壁4aに形成された環状溝4g4で形作られている。環状溝4g4は、2つの条溝4g1を連通させる。これにより、流入路P1及びスピン流路P2はそれぞれ、上述のとおり、環状流路P4を通して一体に連通する。
【0030】
更に、中間部材4の周壁4bには、その内側に形成された空間Cに通じさせる2つの貫通孔A2が形成されている。2つの貫通孔A2はそれぞれ、2つの条溝4g1それぞれと連通する。
【0031】
本発明によれば、ヘッド本体2に圧送された内容物は、凹部2nにノズルチップ3を嵌合させることで、中間部材4との間に形成された空間Cに充填された後、中間部材4の周壁4bに形成された貫通孔A2から当該周壁4bに形成された複数の条溝4g1を経て、ノズルチップ3の仕切壁3aと中間部材4の隔壁4aとの間に形成された複数のスピン流路P2のそれぞれに通じ、結果、ノズルチップ3の開孔A3に至る。
【0032】
かかる構成によれば、ノズルチップ3の開孔A3に通じる複数のスピン流路P2それぞれに、中間部材4の周壁4bに形成したそれぞれの条溝4g1を一致させることができる。即ち、本形態によれば、ノズルチップ3の開孔A3に通じる複数のスピン流路P2のそれぞれに内容物を均一に流すことができることから、噴射パターンを安定させることができる。
【0033】
また、ヘッド本体2に設けられた凹部2nと内部通路2pとの間に形成された流入孔A1を、この凹部2nの底部を形作る仕切壁2aの上方に配置すれば、噴霧する初期段階で内部通路2p内の空気を効率よく外界に排出する(押し出す)ことができ、その後の噴射パターンの安定化に更に有効である。
【0034】
また、本形態によれば、ノズルチップ3の仕切壁3aと中間部材4の隔壁4aとの間のスピン流路P2を、この中間部材4の隔壁4aに形成したスピン溝4g2で形作ることができるので、ノズルチップ3をヘッド本体2にセットする際、位置合わせを行う必要がなくなるため有効である。
【0035】
なお、図5(b)は、本発明に従う中間部材4の第2の形態である。同形態のスピン溝4g2は、同図に示すように、軸線OX周りを凹溝4g3に向かって湾曲しながら傾斜してなる。
【0036】
また、図5(c)は、本発明に従う中間部材4の第3の形態であり、図5(b)に示す第2の形態の変形例である。同形態のスピン溝4g2は、同図に示すように、軸線OX周りを凹溝4g3に向かって湾曲しながら傾斜してなる。
【0037】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、上述の形態は、ポンプユニットと共に構成されているが、本発明に従えば、噴出ヘッド単独に構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば、化粧水、整髪料等の化粧品、虫除け等の医薬品及び、美容・健康用品の分野に係る液体噴出器として採用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 噴霧ヘッド(噴出ヘッド)
2 ヘッド本体
2a 仕切壁
2b 隆起部
2c 突起部
2n 嵌合凹部
2p 内部通路
3 ノズルチップ
3a 仕切壁
3b 周壁
4 中間部材
4a 隔壁
4b 周壁
4g1 条溝(流入溝)
4g2 条溝(スピン溝)
4g3 凹部
4g4 環状溝
4n 凹部(充填空間)
1 連通孔(流入孔)
2 貫通孔
3 開孔
1 流路(流入路)
2 流路(スピン流路)
3 合流路
4 環状流路
S ステム
Sp 内部通路
U ポンプユニット
1 吸引チューブ
2 シリンダ
3 装着筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムを固定する内部通路を有し当該ステムを上下動させることで内容物が圧送されるヘッド本体と、このヘッド本体からの内容物を噴射させる開孔が設けられた仕切壁を有し当該仕切壁に繋がる周壁によってヘッド本体の側面に固定されるノズルチップとを備え、
ヘッド本体に、当該ヘッド本体の側面に開口部を形作り連通孔を介して前記内部通路に通じる凹部を設け、
この凹部の内側にノズルチップを嵌合させる一方、
このノズルチップの内側に中間部材を嵌合させ、
この中間部材は、ノズルチップの仕切壁に合さって当該仕切壁との間に前記開孔に通じる複数の流路を形成する隔壁を有し、当該隔壁に繋がる周壁によって、当該ノズルチップの周壁内側に嵌合保持されると共に、
前記凹部にノズルチップを嵌合させることで、中間部材との間に前記内部通路に通じる空間を形成するものであって、
更に、当該中間部材の周壁には、当該中間部材の隔壁とノズルチップの仕切壁との間に形成された流路のそれぞれに連通する複数の条溝が形成されていると共に、当該条溝を前記空間に通じさせる貫通孔が形成されていることを特徴とする噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記凹部と前記内部通路との間の連通孔を、上方に配置したことを特徴とする噴出ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2において、ノズルチップの仕切壁と中間部材の隔壁との間の流路のうち、2つの流路を一対に構成し、当該流路を、開孔を挟んで対向する位置に配置したことを特徴とする噴出ヘッド。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、ノズルチップの仕切壁と中間部材の隔壁との間の流路を当該中間部材の隔壁に形成した条溝で形作ったことを特徴とする噴出ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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