説明

噴霧乾燥した血液製剤とその製造方法

本発明は、脱水血液製剤の調製方法に関するものであり、この方法は、(a)水和血液製剤を供給するステップと;(b)この方法で生成した脱水血液製剤だけでなく、この水和血液製剤を噴霧乾燥して脱水血液製剤を生成するステップと;を具える。本発明は、血液関連の疾患を患う患者を治療する方法に関するものであり、この方法は、(a)脱水血液製剤の治療量を再水和して、再水和治療組成物を生成するステップと;(b)この再水和治療用組成物を投与するステップと;を具える。本発明は、上記の脱水血液製剤(図1に描写)を具える包帯又は外科的補助具に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
本発明は、従来の凍結乾燥(フリーズドライ)の代替として噴霧乾燥を用いて乾燥した血液製剤の調製方法と、この方法により製造した生成物に関する。本発明を用いると乾燥生成物の回収率を上げることができる。最終生成物を水と混合するときに再構成率が上昇するだけでなく、天然の血漿の少なくとも3倍の濃度を示す。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の簡単な説明]
噴霧乾燥は、流動ガスの流れの中で溶液を噴霧して急速溶媒蒸発(すなわち、脱水)させる技術である。出来上がったものは、残留溶質から構成される微粒子のサブ秒の時間スケールでの形成物である。材料、食品、及び製薬6,7産業における産業プロセスとして、数十年間噴霧乾燥を用いている(以前の報告については、Bergsoeなどを参照されたい)。最近では、吸入剤、高度な担体治療用の微細構造10−12の製剤、及び新しい種類の微細材料13−15用の微粒子として、噴霧乾燥はタンパク質治療の調製を容易にしている。究極の微粒子のサイズと組成を決定する動的、相移転、物質移動、熱伝達、及び他の物理的なプロセスは、良く理解されており(最近の報告については、Vehring16などを参照されたい)、材料科学研究において噴霧乾燥の研究は、非常に盛んな分野である。この研究の主要部からの重要な知見は、水溶液系においては揮発プロセス中で気化熱が粒子の温度を下げるということである。従って、タンパク質活性を維持するために、タンパク質の熱変性を最小限に抑えることができる。
【0003】
第二次世界大戦中には、全血輸血の利点は高く評価されたが、輸血反応する収集、輸送、期限切れ、及び型のミスマッチと関連する物流の困難が、普及利用を制限した17。そのため全血の代替として乾燥血漿を開発した18。第二次世界大戦中に、アメリカ、イギリス、及びカナダの軍隊の輸血業務は、非常に好ましい安全性プロファイルを有する乾燥血漿を広く利用した。当初は今日の凍結乾燥プロトコルに類似する乾燥技術で、Sharp and Dohme株式会社(後により大きな産業コンソーシアム)により米国陸−海軍の乾燥血漿の調製方法を商業的な量に調整した19。この米国陸−海軍の乾燥血漿は、0.67%(w/v)のクエン酸ナトリウムでは凝固せず、1942年以降は、0.1%(w/v)のクエン酸で再水和した。クエン酸で再水和すると、トロンビン発生をより好ましく維持するpH7.4乃至7.6の最終生成物をもたらすことがわかった20
【0004】
1945年以降は、米国陸−海軍の乾燥血漿を広範な民間利用に委ね、朝鮮戦争の初期段階で使用した。しかし、紫外線照射微生物汚染除去方法21の開発が初期段階であったにもかかわらず、1953年に乾燥血漿の生産を停止した。公にされた理由は肝炎汚染であった。しかし、2005年には1300万以上のユニットを収集した血漿の民間利用は、主に新鮮凍結血漿として、非常に拡大していた22。最新医療では、さまざまな目安として血漿を使用しており、その最も重要なものの1つが、大量の失血を伴う外傷における蘇生混合物の成分としての使用である。出血性ショック関連の凝固障害で高頻度に減少する凝固因子とフィブリノゲンなどの成分を血漿は含んでいる(例えば、Hardyら23を参照されたい)。
【0005】
いくつかの医学的所見が、高濃度血漿生成物の有用性を示している。有害転帰の最初の観察は標準蘇生法に関連したので、高濃度の血漿などの生成物によって実現される低容量蘇生法の望ましさがますます認められてきている24−26。輸血に関連した心臓負担及び体液過剰に関連した急性呼吸窮迫症候群の発生率は、低容量蘇生法で回避することができる27,28。継続する出血が深刻化する希釈性凝血障害にも、少ない容量の投与が望ましい(例えば、Sternの記事29を参照されたい)。ヘモグロビンベースの酸素担体(HBOCs)30などの高度な蘇生生成物の発達は、大量の液体を注入することなく十分な組織酸素化を達成する能力を実現する。しかし、HBOCsの導入は、濃縮血漿などの止血系を補う低容量生成物の必要性が予想された。
【0006】
乾燥血液製剤は当該技術分野で知られており、乾燥生成物を実現する主たる技術は凍結乾燥(フリーズドライ)である。例えば、Brinkhousらの米国特許第4,287,087号と第4,145,185号は、ホルムアルデヒドなどの架橋試薬で固定される乾燥血液血小板を開示する。米国特許第5,656,498号、第5,651,966号、第5,891,393号、第5,902,608号、及び第5,993,804号は、さらに乾燥血液製剤を開示する。そのような生成物は、安定、長期保存が可能であり、深刻な外傷を経験した患者に粉末形態で止血できる可能性があるので、治療目的に有用である。しかし、汚染を回避するため、厳重な無菌状態でかかる生成物を生産しなくてはならない。
【0007】
現在の輸血実務では、解凍した単一ドナーの「新鮮凍結」生成物として血漿を頻繁に提供する。しかし、将来の軍事的利用、開発途上の国、荒野医療状況において冷凍物を提供することは困難であるので、この形状因子は、物資的に問題となり得る。従って、乾燥血漿生成物を用いた冷凍(凍結乾燥)の撤廃は、大きな利点となることだろう。更に、新鮮凍結血漿生成物の病原体を減少させるよりも乾燥血漿生成物の病原体を減少させるほうがはるかに容易である。本発明は、必要に対する答えであると考えられている。
【発明の概要】
【0008】
一実施例において、本発明は:(a)水和血液製剤を提供するステップと;(b)この水和血液製剤を噴霧乾燥して脱水血液製剤を生成するステップと;を具える脱水血液製剤の調製方法とともにこの方法によって製造される脱水血液製剤に関する。
【0009】
別の実施例において、本発明は:(a)脱水血液製剤の治療量を再水和して、再水和治療用組成物を生成するステップと;(b)この再水和治療用組成物を患者に投与するステップと;を具える血液関連の疾患を患う患者を治療する方法に関する。
【0010】
別の実施例において、本発明は、上記の脱水血液製剤を具える包帯又は外科的な補助具に関する。
【0011】
更に別の実施例において、本発明は:(a)水和固定化血小板を提供するステップと;(b)水和固定化血小板を噴霧乾燥して脱水固定化血小板を生成ステップと;を具える脱水固定化血小板の調製方法とともにこの方法により製造する脱水固定化血小板に関する。
【0012】
更に別の実施例において、本発明は:(a)脱水固定化血小板の治療量を再水和して、再水和治療用組成物を生成するステップと;(b)再水和治療用組成物を患者に投与するステップと;を具える血液関連の疾患を患う患者を治療する方法に関する。
【0013】
更に別の実施例において、本発明は、上記の脱水固定化血小板を具える包帯又は外科的な補助具に関する。
【0014】
更に別の実施例において、本発明は、球面がくぼんだ形状を有する噴霧乾燥した固定化血小板に関するものであり、前記噴霧乾燥した固定化血小板を再水和して再水和固定化血小板用組成物を形成するとき、この組成物は、比較可能な固定化血小板の再水和凍結乾燥組成物より低い濁度(A500)値を有する。
【0015】
以下の発明の詳細な説明を読むと、これらの及び他の実施例が明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明により生成した、噴霧乾燥した血漿ミクロスフェアの電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、さまざまなサンプルにおける凝固因子レベルを示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の方法により生成した、噴霧乾燥した血漿に伴う天然凝固経路ターンオーバーを示すグラフを描写する。
【図4】図4は、本発明の方法により生成した噴霧乾燥した血漿のフィブリンの超微細構造の電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、いくつかの濃度における噴霧乾燥した血漿対凍結乾燥した血漿の濁度及び再水和率を描写するグラフである。
【図6】図6は、噴霧乾燥した誘導体化血小板を再水和した電子顕微鏡である。
【図7】図7は、噴霧乾燥した誘導体化血小板を再水和した別の顕微鏡写真である。
【図8】図8は、本発明の方法により製造した噴霧乾燥した再水和血小板のリストセチン凝集を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記のとおり、本発明は、脱水血液製剤の調製方法と、この方法で製造した脱水血液製剤に関する。本発明の方法で脱水した有用な脱水血液製剤は、全血、血漿(blood plasma)、血小板、赤血球、血清、血漿(plasma)、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されるものではない。本発明の方法に適したある特定の有用な血液製剤は、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドなどの固定剤で固定されている血小板である。更に、造影剤、濃縮因子、機能増強薬剤、抗菌性及び抗ウイルス試薬、万能ドナー溶液だけでなくこれらの組み合わせなどの診断用薬又は治療薬に、この血液製剤をさらに変更することができる。有用な変更生成物の一例は、Entegrion株式会社(レサーチトライアングルパーク、ノースカロライナ州)が市販するSTASIX(誘導化乾燥血小板)である。
【0018】
当該技術で知られる凍結乾燥(フリーズドライ)などの従来の乾燥技術の代替として、本発明の方法は噴霧乾燥の技術を用いる。噴霧乾燥は、温かい乾燥媒体中に材料の供給を噴霧して流体状態の物質を乾燥微粒子形状に変換する方法である。噴霧乾燥は、制御された方法で噴霧媒体と乾燥媒体の混合による霧状供給物から水分を蒸発させることを含む。乾燥媒体は一般的には空気であるが、窒素など他のガスを用いることもある。噴霧粒子中の水分含量が望ましい含量に達するまで乾燥を進めたら、乾燥媒体からこの生成物を分離する。
【0019】
噴霧乾燥の全プロセスは、一般に一連の四つのプロセスからなる。分散は、圧力ノズル、二流体ノズル、回転円板噴霧器、又は超音波ノズルによって達成され得る。噴霧器のタイプの選択は、所望の供給物の性質、量及び乾燥生成物の特性に依存する。分散エネルギーが高いほど、生じる液滴は小さくなる。乾燥中に液滴の挙動に影響を及ぼすことによりこれが乾燥生成物の特性に多大な影響を与えるので、噴霧が乾燥空気に接触する方法は噴霧乾燥器の設計において重要な因子となる。一実施例において、装置を通過する熱風の流れと同じ方向に材料を噴霧する。液滴が最も高湿度のときに、液滴が高温乾燥ガスと接触する。もう一つの実施例では、高温ガスの流れの逆方向に材料を噴霧する。高温ガスは上方に流れ、生成物は熱風を通過して収集トレイに次々に落ちる。残存する湿気が除去されるので、生成物は非常に熱くなる。この方法は、熱的に安定な生成物にのみ適している。更に別の実施例では、双方の噴霧方法の利点を組み合わせる。生成物は上向きに噴霧されてごく短時間高温域にとどまり、残存する湿気が除去される。次いで、重力がこの生成物を冷却域に引き込む。この生成物は短時間のみ高温域にあり熱の影響を受けにくいので、この実施例は特に有利である。
【0020】
噴霧乾燥方法は、主に空気を乾燥媒体として用いるが、窒素など他のガスを用いてもよい。電気的に又はバーナーでこのガス流を加熱して、このプロセス後に大気中に排出する。この加熱媒体をリサイクルして再利用する場合は、一般的に窒素などの不活性ガスを空気の代わりに用いる。可燃性の溶媒、有毒な生成物、又は酸素感受性の生成物を処理するときは、窒素の使用が有利である。
【0021】
噴霧乾燥のプロセス中に、噴霧の液滴が乾燥ガスに接触するとすぐに液滴表面で急速に確立された飽和蒸気膜から蒸発が起こる。高比表面積と既存の温度と湿度勾配、熱と物質移動が、効果的な乾燥を引き起こす。蒸発は、液滴の冷却、ひいては小さな熱負荷につながる。生成物の温度が出口乾燥空気温度まで上昇する前に、所望の液滴の脱湿が完了して乾燥器から生成物を取り出せるように、乾燥チャンバの設計と空気流量がチャンバ内の液滴の滞留時間を提供する。従って、生成物に対する熱損害の可能性はほとんどない。
【0022】
この乾燥媒体から生成物を分離するのに二つのシステムを使用する。最初に乾燥生成物の一次分離を乾燥チャンバの底部で行い、次に乾燥した生成物の総回収を分離装置で行う。一実施例において、サイクロンを用いて材料を収集する。慣性力に基づいて、サイクロンの壁に落下方向の張力として粒子を分離して、取り出す。電気集塵器、繊維(袋)フィルタ、又はスクラバのような湿式収集器など他のシステム使用して乾燥生成物を収集する場合もある。
【0023】
本発明で用いる噴霧乾燥は、凍結乾燥(フリーズドライ)など他の乾燥方法に比べて利点がある。噴霧乾燥を使用すると、凍結乾燥方法で生成するよりも、より安定し、塊の少ない、及びよく分散する生成物を生成する。噴霧乾燥により生成した高度に分散する粒子はまた、高速な再水和速度を可能にするが、これはより大きい利用可能な表面積の結果のようだ。これに対して、凍結乾燥生成物の凝集性質は、本発明の方法で乾燥した血液製剤よりも再水和時間が実質的に長くなる結果となる。血液製剤の多くの輸血や他の使用は、時間的な制約があるので、この再水和の高い速度は、戦場又は緊急処置状況で大きな利点となり得る。以下で更に詳しく説明するように、本発明の噴霧乾燥した固定化血小板を再水和して再水和固定化血小板組成物を形成すると、この組成物は、濁度(A500)値を有するが、これは比較可能な固定化血小板の再水和凍結乾燥組成物と比べて小さい。
【0024】
本発明方法の噴霧乾燥した生成物を傷を治療する際の局所治療として用いることがある。一実施例において、この生成物を直接傷に用いて凝固を助け、又は包帯あるいは外科的な補助具もしくはカバーに塗布して傷を癒す助けとする。代替の実施例において、血小板減少症(休薬血小板を含む)、出血性血小板機能異常症、及び重度の出血を経験する外傷犠牲者などの血液関連疾患に苦しむ患者に本発明方法の噴霧した生成物を再水和した形状を静脈注射を介して投与する場合がある。
【実施例】
【0025】
[一般的な設計と方法]
噴霧乾燥した血漿の濃度。溶媒洗剤で処理したヒトのプール血漿(Kedrion S.p.A.,Barga,イタリア)と10種類の動物中のブタの血漿(チャペルヒルのノースカロライナ大学、フランシス・オーエン血液調査研究所より寄贈された)を、さまざまな装置のパラメータを実行して噴霧乾燥し、又は標準的な凍結乾燥サイクルで凍結乾燥して、さまざまなサイズの脱水微粒子を得ることができる。次いで、さまざまな量の低濃度のグリシンを含むpH2.4の滅菌水でこの生成物を再水和して、脱水プロセス間のプロトンの損失を補填し、比較して濃度の上限を定めた。実験の詳細は以下の通りである。
【0026】
血漿の脱水。脱水を得るには、Buchi B−270レサーチ噴霧乾燥器で1時間あたりNを415リットルの流量で、140℃、130℃、120℃、110℃、及びこれより低い温度でブタとヒトの血漿を噴霧乾燥する。各温度でいずれのタイプ(すなわち、ブタとヒト)も3回稼動を実行することが好ましい。最終生成物の水分含量と走査顕微鏡で画像化した微粒子を分析することができる。更に4mmの層からブタとヒトの血漿の一部を3日間−20℃で凍結乾燥して、「凍結乾燥コントロール」の固形物を得る。添付の図に示すように、凍結乾燥材料が固形物を形成するのに対し、噴霧乾燥材料は、微粉末であることが観察され、顕微鏡下でミクロスフェアとして現れる。
【0027】
血漿の再水和噴霧乾燥及び凍結乾燥のコントロールロット(それぞれ3本ずつ)を、1倍、2倍、3倍、4倍のグリシンを含む適切な量の滅菌水で再水和して、高濃度の血漿をより高くする。以下の通りに、再水和して最終的にpH7.4の生成物にするためにpH2.4のグリシン溶液で再水和することができる:1倍−20mMグリシン、2倍−40mMグリシン、3倍−60mMグリシン、4倍−80mMグリシンなど。
【0028】
物理的及び化学的分析。以下の分析は、出発血漿(噴霧乾燥前)、噴霧乾燥材料の各ロット、及び凍結乾燥したコントロールの血漿のそれぞれ3本のサンプルを用いて行なってもよい。ウィルコクソンの符号順位検定で比較して、符号検定を用いて指向性を評価する。
【0029】
濁度と可溶化速度−700nmでの光吸収の光学的測定は、再水和反応の開始後の時間の関数として濁度を評価し得る。
【0030】
落球粘度計で粘度を推定することができる。
【0031】
ELISA分析を用いて凝固因子レベル(FII,FV,FVII,FVIII,FIX,FX,FXII,FXII,FXIII,プロテインS,プロテインC,フォンヴィレブランド因子)を測定する。
【0032】
凝固経路ターンオーバー−プロトロンビン時間と活性部分トロンボプラスチン時間は、1倍に高濃縮溶液を希釈した後の濃縮血漿で測定する。最終的な凝血塊を走査電子顕微鏡で観察して、線維の厚さと密度を評価する。
【0033】
濃縮液は、標準的な輸血実践のための凝固因子のレベル及び活性が、通常の個人内及び個人間の変動の範囲内にある適切なレオロジーを有するとより好ましい。以下に示すブタの研究における「最も高濃度の」注入用にこの溶液を利用することができる。
【0034】
ブタにおける濃縮血漿生成物の安全性評価。負傷したブタで高濃度血漿製剤の最大耐量を特定することが、これらの研究の目的である。失血及び代償性出血性ショックを誘導して動物を肝損傷にさらす。次いで、好ましくない血行動態反応が認められるまで、高濃縮血漿ブタ製剤を動物に注入する。プロトロンビン合併症の組織学的な証拠のために、動物実験後に動物を屠殺し検視分析する。この分析のエンドポイントは、最大耐量と血漿濃度の程度との関係を定義することである。
【0035】
ブタにおけるショックの誘発と高濃度血漿の注入。40乃至50kgのブタ(Division of Laboratory Animal Medicine(UNC)の繁殖コロニーから採取された)を麻酔する。
【0036】
血行動態及び血管作用のプロセスの分析。いくつかのセンサを配置して、血行動態及び血管作用のプロセスを観察する:外頸静脈を通して肺静脈熱希釈カテーテルを肺静脈に挿入し:マイクロマノメータを先端に付けたカテーテルを、左大腿血管を通して右心房と胸部大動脈に配置する:a.22ゲージのカテーテルを左大腿動脈に挿入し、揚水ポンプに連結する。頭部と腸間膜動脈にドップラー血流プローブを配置して、血流のパターンを測定し:切開した頸動脈と開腹によりこの処置を支持することができる。
【0037】
ショックの誘発と高濃度血漿の注入。1時間で総血液量の40%を抜去することにより、出血性ショックを誘発することができる。血液を抜去して出血性ショック(動脈血圧<40mmHg、頭部、内臓の血流パターンの変化を意味する)を確認した後、1倍の噴霧乾燥した血漿又は高濃度の噴霧乾燥した血漿を複数回、中間及び高レベルの濃度(上記のように決定した)で動物に注入する。各注入は、動物の血液量の1/10に相当する量が望ましく、ハーバードシリンジポンプで3分間実行するのが望ましい。血行動態パラメータや他の生理的パラメータを測定することができ、二つの連続急速投与により血行動態の安定性が悪化したときは、注入を停止することができる。次いで、検視及び組織学的分析するために動物を屠殺する。この実施例で用いた動物と注入した生成物の数を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
微小血管病変(Microvasculopathologies)と溶血性疾患。屠殺の後、選択した腎組織、肝組織、肺組織、脾臓組織、肺、及び他の組織を光学顕微鏡分析用に調製する。組織学的分析は、巨視的又は播種性血管内凝固又は選択した臓器不全の早期誘発の兆候を識別するのに焦点を当てる。
【0040】
データ分析。ウィルコクソンの符号順位検定で血漿群間の比較をし、符号検定を用いて指向性を評価する。
【0041】
[実施例1:血漿の噴霧乾燥と凝固タンパク質活性の維持]
以下の一連の実験は、血漿を噴霧乾燥して、脱水した微粒子を得ることができ、天然凝固因子レベルと凝固パラメータで血漿を当初の容量に再水和できることを示す。溶媒洗剤でプールした血漿を標準的な噴霧乾燥(Butchi社のB−270を用いて120℃で1時間あたり415リットルのN)して、図1に示す生成物を得た。得られた微粒子のくぼみのある球状の形状は、他のタンパク質を噴霧乾燥したときに得られる形に類似し、これは水の除去及び濃度の初期運動の結果として、タンパク質表面シェルが形成されることを示している(例えば、Vehring16を参照されたい)。しかし、この形状は波状表面のテクスチャを示す凍結乾燥した血漿に対して独特である。
【0042】
pH2.4の20mMのグリシンで再水和して、乾燥プロセス中のタンパク質の損失を当初のタンパク質濃度に補うと、図2に示すように、凝固因子レベルは噴霧乾燥する前の当初の血漿と本質的に同一であることがわかった。噴霧乾燥はまた、血漿凝固の速度にわずかに影響を及ぼした(図3)。噴霧乾燥後は増大した凝固タンパク質分子ターンオーバーの統計的傾向(この分析では有意ではない)があり、これは血漿サンプル中のタンパク質の結合状態の差異に関係する影響である。噴霧乾燥した血漿のフィブリノゲン重合の後のフィブリン鎖は、正常な形態をとった(図4)。
【0043】
本発明の方法と対照的に、凍結及び凍結乾燥血漿を段階的に分離することにより、さまざまな組成が混在する微細で巨視的な領域を含む生成物になる。その結果、超生理的濃度での再水和は時間がかかり、混濁懸濁液が生じる。いくつかの再水和した血漿の濃度がA500(濁度)を表す図5に示すデータがこの点を実証する。溶媒洗剤で処理した血漿生成物を噴霧乾燥又は凍結乾燥にさらして、天然の(1倍)、2倍、3倍、又は4倍の最終濃度に再水和する。巨視的な溶解が起こる時間に基づく再水和時間は、噴霧乾燥した材料が微粒子製剤の大きな表面積が原因で劇的に速いので、図5で低いA500値を示すように、著しく混濁の少ない懸濁液をもたらす。
【0044】
上記の血漿に加えて、上記の説明に従い他の血液製剤を乾燥して、再水和することがある。実質的に、いかなる処理をした又は未処理の血液製剤も本発明の方法で用いることがある。血液製剤の実施例は、全血、血漿(blood plasma)、血小板、赤血球、血清ならびにこれらの組み合わせを含む。天然に存在する状態でこの血液製剤を本発明の方法で用いるか、もしくは任意の方法で変更する場合がある。これらの血液製剤の変更の例は、米国特許第5,651,966号;第5,891,393号;第5,902,608号;及び第5,993,804号に記載するように、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドなどの固定剤を有する固定を含み、造影剤、濃縮因子、パフォーマンス強化薬、抗菌剤及び抗ウィルス剤、若しくは普遍的なドナー溶液の追加を含む。有用な変更生成物の一例は、Entegrion株式会社(リサーチトライアングルパーク、ノースカロライナ州)が市販するSTASIX(誘導体化乾燥血小板)である。以下は、噴霧乾燥したSTASIX粒子を再水和する一般的なプロトコルである。
【0045】
[実施例2:噴霧乾燥した誘導化血小板の再水和]
この実施例の目的は、全ての成分(血小板粒子、緩衝塩、充填剤(ヒト血清アルブミンなど))の濃度が、噴霧乾燥器へ入った懸濁液と同じになるように、噴霧乾燥した誘導化血小板(商標名STASIXで販売され、ノースカロナイナ州のEntegrion社より入手できる)を再水和することである。三段階でこれを達成した。
【0046】
第一に、噴霧乾燥前の懸濁液に用いられる充填媒体のための「基準A280値」を得る。これは、血小板を遠心分離した後で噴霧乾燥前のA280nm値であり、これはヒト血清アルブミン充填剤である上澄みタンパク質濃度を大きく反映している。第二に、噴霧乾燥後の粉末の試験再水和を10%(w/v)で行い、次いで280nm(A280)で充填剤(ヒト血清アルブミン)の光学密度を測定する。第三に、噴霧乾燥前の上澄みのA280と10%の上澄みのA280値と比較して(比率で)、10%の再水和に近似値とどれ位離れているか決定する。次いでこの比率を用いて、噴霧乾燥前の懸濁液の充填剤のタンパク質濃度に一致させる必要がある、乾燥粉末の正確な重量パーセントを計算する。
【0047】
再水和後の粒子の血小板数を二つの方法で測定する。第一はHiska細胞計算器で、第二は光学濁度を測定することによる。これらの値や関連する再水和量が、すべての粒子特性評価分析の出発点を形成する。
【0048】
[手順]
1.噴霧乾燥前の光学密度を測定して、基準A280値を得る。
a)液体の噴霧乾燥前のサンプルを解凍して、デスクトップの微量遠心管を5に設定し二分間遠心して遠心分離する。上澄みを保持する。
b)この上澄み1/10をクエン酸生理食塩水へ三倍に希釈して、ナノドロップ分光計でA280値を計測する。
【0049】
2.10%(w/v)の懸濁液のタンパク質の光学密度の測定。
a)マイクロチューブ中の20乃至50mgの粒子部分をいくつか(だいたい4つ)に検量する。質量を記録する。一のチューブを蒸留水で10%(w/v)の懸濁液に再水和する。更に分析用に残りのチューブを保存する。
b)粒子を上記のように遠心分離して、上澄みを保持する。
c)各再水和サンプルの上澄み1/10をクエン酸食塩水に三倍に希釈して、A280値を測定する。
【0050】
3.再水和の重量パーセントを計算して、以下の噴霧乾燥前の値と適合させる。
a)希釈係数(1/10)により希釈した噴霧乾燥前の上澄みからA280値を分けて、三つの値を平均し理論的な基準A280値又はA280,refを得る。
b)希釈係数(1/10)によって10%の再水和の上澄みからA280値を分けて、三つの値を平均しA280,10%といわれる理論的な不希釈のA280値を得る。
c)再水和したサンプルが、基準A280値と同じA280値をとるように、基準A280値方程式1に従いA280,ref値に対するA280,10%の比をとり、噴霧乾燥後の粉末の適した再水和質量(w/v)を得る。
【0051】
重量パーセント(w/v)*=10%(w/v)×A280,ref/A280,10%(方程式1)
*重量パーセントは、mg/mlを単位としており、例えば、8.9%(w/v)は89mg/mlに相当する。
【0052】
[STASIX粒子の総数の測定]
a)10%の再水和懸濁液(細胞を遠心分離しない)1/10をクエン酸生理食塩水で三倍に希釈する。
b)各サンプルをA500で濁度を測定する。
c)Hiska血液学的分析器で直接細胞総数を測定する。
d)収量低下を考慮して計算する。
再水和して噴霧乾燥した誘導化血小板(再水和したSTASIX)の電子顕微鏡写真は、図6と図7に示した。
【0053】
[実施例3:カニクイザルにおける単回投与の距離測定の静脈内毒性試験]
単回でサルに静脈注射して投与(だいたい5回以上)したときに、噴霧乾燥した誘導化血小板(上記のようにStasixを噴霧乾燥して再水和した)の毒性の評価をするように検査を設計した。動物の回復サブグループを7日間観察した。
【0054】
5グループのサルを用いた−グループ1−溶媒(緩衝液)コントロール;グループ2−1倍の治療的STASIX量;グループ3−5倍の治療的STASIX量;グループ4−10倍治療的STASIX量;及びグループ5−ヒト血清アルブミン(500mg/kg)。用量はそれぞれ0.0、2.1×10、1.05×1010、2.1×1010であり、グループ1、2、3、4、及び5において0.0血小板/kgである。ヒト患者において、1倍の用量は、推測の治療的STASIX量、すなわち血液1マイクロリットルあたり追加の30,000の血小板である。
【0055】
この実験で用いたいずれのサルにも、症候的及びミクロ病理学的のいずれの副作用も見られなかった。2匹のオスのサルと2匹のメスのサルはすべて、わずか5分の非常に短い期間で注入したSTASIXの10倍の治療量に耐性があったので、無毒性量(NOAEL)は、少なくとも10倍の治療量である。ヒトの臨床設定においては、20分というかなりゆっくりした時間速度でSTASIX用量を注入する。
【0056】
注入後2日目又は8日目のいずれかに5つの投与グループを含む14匹の対象のサルの部検を行なったが、心臓や肺のいずれにも、微小血栓の発達の証拠は認められなかった。要するに、すべての適切な動物の使用と取り扱い規制下で、主要な外部の研究室で行なった詳細な動物実験では、対象とするヒトの治療量の最大10倍服用しても、STASIXは巨視的及び微視的のいずれのレベルでも有害な影響を提示しなかった。
【0057】
[実施例4:アルデヒド安定化血小板の噴霧乾燥]
この実施例では、アルデヒド安定化血小板を脱水する凍結乾燥の代替としての噴霧乾燥の有用性を検査する。その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,651,966号に記載されているReadらの手順を用いてヒトのアフェレーシス血小板を安定化した。
【0058】
上記の5%(w/v)ヒト血清アルブミン中の200万血小板/マイクロリットルで最終アルデヒド安定化血小板懸濁液を噴霧乾燥(120℃で1時間あたり415リットルのN)して検査したところ、図6と7に示すものと似た直径3乃至30ミクロンの球状粒子からなる微粉末を得た。
【0059】
17個の独立した乾燥血小板製剤を噴霧乾燥して調製し、当初の脱水前の容量に再水和した。これら17個が達した可算の血小板の収率(再水和後/噴霧乾燥前)は、96.8%+/−7.0%(標準偏差)だった。
【0060】
図8は、再水和後に噴霧乾燥した血小板の、正常なヒト血漿(フォンヴィレブランド因子源として)への変換と、1mg/ml(パネルB)又はコントロールの緩衝液(パネルA)に対応する量のリストセチン添加を示す。リストセチン添加で大きな凝集体が認められ、これは噴霧乾燥が糖タンパク質1B−フォンヴィレブランド因子受容体の機能を維持したことを示す。
【0061】
カニクイザル(1又は2/性別/グループ)は、2.1×10、1.05×1010、又は2.1×1010血小板/kgの用量で噴霧乾燥した血小板の5分間の静脈内注射を1回受けた。コントロールの動物(2/性別)は、溶媒(生理的食塩水中の5.375mMのクエン酸ナトリウムと2mMのシステイン)を受け、別のグループは、500mg/kgのヒト血清アルブミン(HSA)を受けた。投与量は、すべてのグループに2mL/kg/分であった。投与後1日目又は7日目に動物を観察した。投与1日後に1動物/性別/グループを安楽死させ、部検を行った。コントロールと高用量(2.1×1010血小板/kg)グループから性別ごとに部検前に動物を7日間保存した。検査中に評価したパラメータは、生存能力、臨床観察、体重、臨床病理(2日目と8日目に予備検査)、器官重量、巨視的観察、及び微視的病理であった。
【0062】
噴霧乾燥した血小板のすべての用量(最大2.1×1010血小板/kg)の投与は、良好な耐容性を示した。血液学的変化は、用量投与の後日の血小板数の減少と二匹の高用量(2.1×1010血小板/kg)動物(メス)のうち一匹の平均血小板量の増加だけだった。凝集又は臨床病理のパラメータにおける変化は観察されなかった。コントロールの値と比較すると、すべての検査対象動物及びHSAで治療した動物で脾臓重量の増加が見られた。中用量と高用量(1.05×1010又は2.1×1010血小板/kg)のメスとHSAで治療した2日目のメスと高用量(部検が行われるグループのみ)の8日目のメスの脾臓の胚中心のサイズの、何匹かの動物では脾臓の黄褐色の変色と表面の異常の巨視的観察と関連する、軽度から中程度の増加を顕微鏡観察は示した。メスの胚中心の肥大は、HSAに対する考えられる反応と思われた。小さい胚中心を有する溶媒で処理したコントロールでは、同様の検査結果は見られなかった。しかし、サルの脾臓では、活性な胚中心は一般的な所見であり、そしてこのサンプルのサイズが小さかったので、この所見は通常のバックグラウンドの範囲内である可能性がある。ある動物の7日後の脾臓の胚中心肥大の持続は、抗原刺激に対する胚中心反応である回復の欠如を示唆するが、この所見もまた通常のバックグラウンドの変化を反映する場合がある。
【0063】
[実施例5−血漿の噴霧乾燥とブタにおける検査]
新鮮なブタの血液由来の分離した血漿を、新鮮な凍結した血漿(FFP)として保管又は冷凍乾燥した血漿(FDP)若しくは噴霧乾燥した血漿(SDP、前述の実施例で詳述したように調製した)として保存した。インビトロ検査:当初のFFPの量と同等(1倍SDP)又は1/3(3倍SDP)である蒸留水中でSDPを再構成した。プロトンビン時間(PT)、部分的トロンボプラスチン時間(PTT)、フィブリノゲンレベル、及び選択された凝固因子の活性の測定を分析は含んだ。インビトロ検査で、多発性外傷(大腿骨骨折、等級Vの肝臓損傷)と出血性ショック(アシドーシス、凝固障害、及び低体温症の「致命的三徴」を伴う60%の動脈性出血)にブタをさらし、FFP、FDP、又は3倍SDPで治療した(n=4乃至5/グループ)。ベースライン(BL)、ショック後(PS)、晶質後(PC)、治療(MO)で凝固プロファイル(PT、PTT、トロンボエラストグラフィー)を測定し、4時間モニタリング(M1−4)した。
【0064】
噴霧乾燥後に凝固因子が保たれていることをインビトロ検査は示した。3倍SDPが長引いたPT/PTTを示すとともに、FFPと1倍SDPの凝固は類似していた。多発性外傷/出血性ショックは著しい凝固障害をもたらすが、3倍SDPの注入はFFPとFDPと同様に凝固障害対策に有効であった。これらの結果は、血漿が噴霧乾燥されて、インビボで凝固特性を損なうことなく当初の量の1/3に再構成され得ることを示している。この常温保存が可能、少量、高張性、及び高浸透圧の血漿は、外傷関連の及び他の凝固障害の治療に論理学的に魅力的な選択である。
【0065】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水血液製剤の調製方法において:
(a)水和血液製剤を供給するステップと;
(b)前記水和血液製剤を噴霧乾燥して、脱水血液製剤を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記水和血液製剤が、全血、血漿(blood plasma)、血小板、赤血球、血清、血漿(plasma)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記水和血液製剤が、物理的に又は化学的に変更されていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記変更が、化学的固定であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、前記変更が、さらに診断試薬又は治療用薬剤を具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記診断試薬又は治療用薬剤が、造影剤、濃縮因子、機能増強薬剤、抗菌性及び抗ウイルス試薬、万能ドナー溶液、これらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法で製造されることを特徴とする脱水血液製剤。
【請求項8】
血液関連の疾患を患っている患者を治療する方法において:
(a)請求項7に記載の脱水血液製剤の治療量を再水和して、再水和治療用組成物を生成ステップと;
(b)前記再水和治療用組成物を前記患者に投与するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の脱水血液製剤を具えることを特徴とする包帯又は外科的な補助具。
【請求項10】
脱水固定化血小板の調製方法において:
(a)水和固定化血小板を供給するステップと;
(b)前記水和固定化血小板を噴霧乾燥して、脱水固定化血小板を生成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記水和固定化血小板が、診断試薬又は治療用薬剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記診断試薬又は治療用薬剤が、造影剤、濃縮因子、機能増強薬剤、抗菌性及び抗ウイルス試薬、万能ドナー溶液、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法で製造されることを特徴とする脱水固定化血小板。
【請求項14】
血液関連の疾患を患っている患者を治療する方法において:
(a)請求項13に記載の脱水固定化血小板の治療量を再水和して、再水和治療用組成物を生成するステップと;
(b)前記再水和治療用組成物を前記患者に投与するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の脱水固定化血小板を具えることを特徴とする包帯又は外科的な補助具。
【請求項16】
くぼみのある球状の形状を有する噴霧乾燥した固定化血小板において、前記噴霧乾燥した固定化血小板を再水和して再水和固定化血小板組成物を形成するとき、当該組成物が、比較可能な固定化血小板の再水和凍結乾燥組成物よりも低い濁度(A500)値を有することを特徴とする固定化血小板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−523414(P2012−523414A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504757(P2012−504757)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030031
【国際公開番号】WO2010/117976
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(508208409)エンテグリオン、インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】