説明

嚢胞性線維症における脂質複合体の使用及びその適用

【課題】嚢胞性線維症を治療し、それに伴う症状を軽減する。
【解決手段】嚢胞性線維症の治療し、及びそれに伴う症状を軽減する医薬組成物を製造するための、一般式[L−Z−Y]n−Xの構造によって表される化合物の使用を提供し:式中、Lは脂質又はリン脂質であり、Zは無或いはエタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり、Yは無又は2ないし30個の原子の長さの範囲のスペーサー基のいずれかであり、Xは、薬理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そしてnは、1ないし1000の整数であり、ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の一般式(A):
【0002】
【化1】

【0003】
の構造によって表される化合物の、嚢胞性線維症に悩む患者を治療し、嚢胞性線維症に伴う死亡を減少又は遅延し、或いは嚢胞性線維症に伴う症状を回復するための使用を提供し、式中、Lは、脂質又はリン脂質であり、Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり、Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり、Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そしてnは、1ないし1000の数であり、ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである。
【背景技術】
【0004】
嚢胞性線維症(CF)は、常染色体劣勢的な様式で遺伝し、そして小児及び若年成人に影響する顕著な遺伝性肺炎である。CFの臨床的特徴は、おびただしい量の異常に濃厚な粘液による気道の閉塞及びその後の、特にPseudomonas種による感染が優勢である気道の合併症によって支配される。更に、殆んどの患者において吸収障害及び膵不全を含む胃腸管の合併症もある。CFにおいて影響される組織は、血液及び管孔間の界面における水、塩、及び他の溶質の運搬を仲介する分泌性上皮である。皮膚、肺及び消化管中のCF上皮細胞は、その膜を通して塩化物を適切に運搬することができず、これによって水の排出及び粘液の産生を変化させる。
【0005】
この疾患における欠陥遺伝子は、最近クローン化され、そしてCFTR(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子)として知られている。CFTR遺伝子産物は、塩化物イオンのための制御された運搬チャンネルとして機能するタンパク質である。CFTR遺伝子中の点変異及び欠失は、上皮細胞中の欠陥のある塩化物イオン運搬チャンネルの発現となり、CFのその後の有害な症状を起こす。
【0006】
CFを持つ個人における気管支肺炎のウイルス性及び細菌性感染の多くの症状がある。抗生物質耐性系統が再起するため、多くのこれらの感染は、例えば結核菌の薬物耐性系統によって起こされる結核のような大きい関心事の原因である。肺炎のような疾病を起こす他の種も更に増加した薬物耐性を示す。更に、ウイルス感染は、抗生物質によって治療することができず、そして僅かな満足な抗ウイルス医薬が利用可能である。CF肺の異常な粘膜環境の二次的影響は、慢性進行性肺炎及び急性悪化の発症に伴う気管支肺炎の感染である。Pseudomonas aeruginosaによる気道のコロニー形成及びPseudomonas cepaciaによる交差感染は、CFにおける肺の劣化の主要な原因である。シュードモナス属のメンバーは、最も普通に使用される抗生物質に対して自然耐性を有する日和見性病原菌として公知である。従って、これらの細菌性及びウイルス性気管支肺炎感染を治療する別の方法を開発することが、当技術において有意な利益があるものである。
【0007】
酵素ホスホリパーゼA2(PLA2、EC 3.1.1.4)の阻害の薬理学的活性を有する脂質複合体は、当技術において既知である。ホスホリパーゼA2は、リン脂質のsn−2位における分解を触媒して、脂肪酸及びリゾリン脂質を産生する。この酵素の活性は、各種の細胞機能、特にエイコサノイド産生(プロスタグランジン、トロンボキサン及びロイコトリエン)、血小板活性化因子及びリゾリン脂質のような脂質媒介物の産生と相関されている。その発端から、脂質複合体は、有害な薬剤及び病原性過程からの広い範囲の細胞及び生物体の保護を得るために、集中的な実験室内研究にかけられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,064,817号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様において、本発明は、嚢胞性線維症に悩む患者を治療し、嚢胞性線維症に悩む患者の死亡を減少又は遅延し、或いは嚢胞性線維症に伴う症状を回復するための方法を提供し、この方法は、以下の一般式(A):
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、
Lは、脂質又はリン脂質であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される化合物を、嚢胞性線維症の症状に苦しむ又は悩む患者に投与する段階を含んでなる。
【0012】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(I):
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又は生理学的に受容可能なポリマーのいずれかであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、ホスファチジルエタノールアミンは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、前記スペーサーは、Xにアミド又はエステル結合により、そして前記ホスファチジルエタノールアミンにアミド結合により直接連結している]
の構造によって表される。
【0015】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(II):
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、ホスファチジルセリンは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、前記スペーサーは、Xにアミド又はエステル結合により、そして前記ホスファチジルセリンにアミド結合により直接連結している]
の構造によって表される。
【0018】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(III):
【0019】
【化5】

【0020】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、ホスファチジル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0021】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(IV):
【0022】
【化6】

【0023】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0024】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(V):
【0025】
【化7】

【0026】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0027】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(VI):
【0028】
【化8】

【0029】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0030】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(VII):
【0031】
【化9】

【0032】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合いずれかである]
の構造によって表される。
【0033】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(VIII):
【0034】
【化10】

【0035】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0036】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(IX):
【0037】
【化11】

【0038】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0039】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(X):
【0040】
【化12】

【0041】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、セラミドホスホリル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合である]
の構造によって表される。
【0042】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XI):
【0043】
【化13】

【0044】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、スフィンゴシルは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、前記スペーサーは、Xに、そして前記スフィンゴシルにアミド結合により、そしてXにアミド又はエステル結合により直接連結している]
の構造によって表される。
【0045】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XII):
【0046】
【化14】

【0047】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、セラミド、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0048】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XIII):
【0049】
【化15】

【0050】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、ジグリセリル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0051】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XIV):
【0052】
【化16】

【0053】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、グリセロ脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0054】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XV):
【0055】
【化17】

【0056】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、グリセロ脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0057】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XVI):
【0058】
【化18】

【0059】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、前記脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0060】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XVII):
【0061】
【化19】

【0062】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0063】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XVIII):
【0064】
【化20】

【0065】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0066】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XIX):
【0067】
【化21】

【0068】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0069】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XX):
【0070】
【化22】

【0071】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0072】
一つの態様において、化合物は、以下の一般式(XXI):
【0073】
【化23】

【0074】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0075】
一つの態様において、化合物は、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン(chondrotin)硫酸、ケラチン、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸又はこれらの誘導体であるグリコサミノグリカンを含んでなる。
【0076】
一つの態様において、化合物は、グリコサミノグリカンの二及び三糖単位モノマーを含んでなるグリコサミノグリカンを含んでなる。
一つの態様において、化合物は、コンドロイチン−6−硫酸、コンドロイチン−4−硫酸又はこれらの誘導体であるコンドロイチン硫酸を含んでなる。
【0077】
一つの態様において、化合物は、インタクトな糖環を含んでなるグリコサミノグリカンを含んでなる。
一つの態様において、化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びヘパリンを含んでなる。
【0078】
一つの態様において、化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びコンドロイチン硫酸を含んでなる。
一つの態様において、化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びヒアルロン酸を含んでなる。
【0079】
一つの態様において、化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びカルボキシメチルセルロースを含んでなる。
一つの態様において、化合物は、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン及びヒアルロン酸を含んでなる。
【0080】
一つの態様において、前記の方法は、前記患者における有害な炎症性反応を軽減又は抑止する。
一つの態様において、前記の方法は、前記患者における感染の発生を、予防、治療、軽減し、その重度を軽減し、発症を遅延し、又は病変形成を軽減する。
【0081】
一つの態様において、本発明は、本明細書中で先に記載した一般式(A)の構造で表される化合物を投与する段階を含んでなる、炎症誘発性ケモカイン、サイトカイン、又はこれらの組合せの発現を減少するための方法を提供する。
【0082】
一つの態様において、本発明は、本明細書中で先に記載した一般式(A)の構造で表される化合物を、患者に投与する段階を含んでなる、ヒト気道上皮細胞系のNF−κB、IL−6、IL−8、又はこれらの組合せを活性化する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1A】図1Aは、シュードモナス感染及び非感染の16HBE+CFTRセンス(非CF様)並びに16HBE+CFTRアンチセンス(CF様)気管支上皮細胞中のサイトカインレベルに対する脂質複合体の影響である。
【図1B】図1Bは、シュードモナス感染及び非感染のC38(非CF様)並びにIB3(CF様)気管支上皮細胞中のサイトカインレベルに対する脂質複合体の影響である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
一つの態様において、本発明は、嚢胞性線維症に悩む患者を治療し、嚢胞性線維症に悩む患者の死亡を減少又は遅延し、或いは嚢胞性線維症に伴う症状を回復するための、医薬的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーに、直接若しくはスペーサー基によって結合された脂質或いはリン脂質を含んでなる化合物の投与による方法を提供する。
【0085】
一つの態様において、本発明は、更に本明細書中で以下に記載されるように、嚢胞性線維症を、治療、予防、抑制、等することにおける適用のための多くの化合物の使用を提供する。
【0086】
化合物
一つの態様において、本発明の方法において使用するための化合物に対する言及は、医薬的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーに結合した脂質或いはリン脂質分子を含んでなるものを指す。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、"脂質複合体"と呼ばれる。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式
[ホスファチジルエタノールアミン−Y]n−X
[ホスファチジルセリン−Y]n−X
[ホスファチジルコリン−Y]n−X
[ホスファチジルイノシトール−Y]n−X
[ホスファチジルグリセロール−Y]n−X
[ホスファチジン酸−Y]n−X
[リゾ−リン脂質−Y]n−X
[ジアシル−グリセロール−Y]n−X
[モノアシル−グリセロール−Y]n−X
[スフィンゴミエリン−Y]n−X
[スフィンゴシン−Y]n−X
[セラミド−Y]n−X
によって記載され、式中、
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;そして
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー又はポリマーであり;そして
nは、Xの分子に結合した脂質分子の数であり、ここにおいてnは、1ないし1000の数である。
【0087】
一つの態様において、本発明は、薬理学的活性を保有する低分子量の脂質複合体を提供し、これは、本明細書中で先に記載した一般式によって特徴づけられる。
本発明の一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、サリチル酸塩である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、サリチル酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、アセチルサリチル酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、アスピリンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、単糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、ラクトビオン酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、グルクロン(glucoronic)酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、マルトースである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、アミノ酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、グリシンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、カルボン酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、酢酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、酪酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、ジカルボン酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、脂肪酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、ジカルボキシ脂肪酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、グルタル酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、コハク酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、ドデカン酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、ジドデカン酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、胆汁酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、コール酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマーは、ヘミコハク酸コレステリルである。
【0088】
本発明の一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ジペプチドである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、二糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、三糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、オリゴ糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、オリゴペプチドである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、糖タンパク質混合物である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、多糖の二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ポリピラノースの二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、グリコサミノグリカンの二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ヒアルロン酸の二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ヘパリンの二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ヘパラン硫酸の二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ケラチンの二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ケラタン硫酸の二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、コンドロイチンの二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、コンドロイチンは、コンドロイチン硫酸である。もう一つの態様において、コンドロイチンは、コンドロイチン−4−硫酸である。もう一つの態様において、コンドロイチンは、コンドロイチン−6−硫酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、デルマチンの二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、デルマタン硫酸の二又は三糖モノマー単位である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、デキストランである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ポリゲリン('Haemaccel')である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、アルギン酸塩である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、ヒドロキシエチルデンプン(Hetastarch)である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、エチレングリコールである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なダイマー又はオリゴマーは、カルボキシル化エチレングリコールである。
【0089】
一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、多糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ホモ多糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ヘテロ多糖である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ポリピラノースである。本発明のもう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、グリコサミノグリカンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ヒアルロン酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ヘパリンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ヘパラン硫酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、コンドロイチンである。もう一つの態様において、コンドロイチンは、コンドロイチン−4−硫酸である。もう一つの態様において、コンドロイチンは、コンドロイチン−6−硫酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ケラチンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ケラタン硫酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、デルマチンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、デルマタン硫酸である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、カルボキシメチルセルロースである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、デキストランである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ポリゲリン('Haemaccel')である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、アルギン酸塩である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ヒドロキシエチルデンプン('Hetastarch')である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ポリエチレングリコールである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ポリカルボキシル化ポリエチレングリコールである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ペプチドである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、オリゴペプチドである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、ポリグリカンである。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、タンパク質である。もう一つの態様において、生理学的に受容可能なポリマーは、糖タンパク質混合物である。
【0090】
一つの態様において、本発明の方法において使用するための脂質複合体を製造するための複合分子として使用することができるポリマーの例は、各種の分子量、及び多様な化学的形態の水分散性又は水溶解性ポリマー、本明細書中で先に記載したようなグリコサミノグリカン、ポリゲリン("Haemaccel"、尿素ブリッジにより架橋された分解されたゼラチンポリペプチド、"Behring"によって製造)、"ヒドロキシエチルデンプン"(Hetastarch,HES)、およびデキストラン類を含む血漿増量剤、食物及び薬物添加物、可溶性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ポリアミノ酸、炭化水素ポリマー(例えば、ポリエチレン)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンオキシド(例えばポリエチレングリコール、ポリカルボキシエチレングリコール、ポリカルボキシル化ポリエチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、多糖、ポリピラノース、アルギン酸塩、同化性ゴム(例えばキサンタンゴム)、ペプチド、注射用血液タンパク質(例えば、血清アルブミン)シクロデキストリン、及びこれらの誘導体のような、主として天然の又は合成のポリマーを含む、生理学的に受容可能なポリマーであることができる。
【0091】
本発明の一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ホスファチジン酸である。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、アシルグリセロールである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、モノアシルグリセロールである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ジアシルグリセロールである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、トリアシルグリセロールである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、スフィンゴシンである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、スフィンゴミエリンである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、セラミドである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ホスファチジルセリンである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ホスファチジルコリンである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ホスファチジルイノシトールである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、ホスファチジルグリセロールである。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、これらのエーテル又はアルキルリン脂質誘導体である。
【0092】
一つの態様において、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーに共有的に結合したホスファチジルエタノールアミンを含んでなる化合物の組合せは、本明細書中でPE複合体と呼ばれる。一つの態様において、ホスファチジルエタノールアミン分子は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、ホスファチジルエタノールアミン分子は、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸又はホスファチジルグリセロールのいずれかが、脂質分子としてホスファチジルエタノールアミンの代わりに使用される関連する誘導体は、脂質複合体に対して以下に記載される生物学的実験及びこれらの化合物によって共有される構造的同一性に基づき、同等の治療結果を提供する。
【0093】
脂質複合体のために本明細書中に与えられた構造式によって定義されるように、これらの化合物は、単一の生理学的に受容可能なポリマー分子に結合した1ないし1000個の間の脂質分子を含有することができる。本発明の一つの態様において、nは、1ないし1000の数である。もう一つの態様において、nは、1ないし500の数である。もう一つの態様において、nは、1ないし100の数である。もう一つの態様において、nは、2ないし1000の数である。もう一つの態様において、nは、2ないし100の数である。もう一つの態様において、nは、2ないし200の数である。もう一つの態様において、nは、3ないし300の数である。もう一つの態様において、nは、10ないし400の数である。もう一つの態様において、nは、50ないし500の数である。もう一つの態様において、nは、100ないし300の数である。もう一つの態様において、nは、300ないし500の数である。もう一つの態様において、nは、500ないし800の数である。もう一つの態様において、nは、500ないし1000の数である。
【0094】
本発明の一つの態様において、複合分子がポリマーである場合、共有的に結合した脂質分子の比は、ポリマーの特質及び使用される反応条件によるがポリマー分子当り1ないし1000個の範囲の脂質残基であることができる。例えば、出発物質の相対的量、又は反応時間の程度は、ポリマー当りの脂質残基の高い又は低い比のいずれかを、所望するように持つ脂質複合体産物を得るために変更することができる。
【0095】
本発明の態様による方法において、患者に投与される脂質複合体は、低い又は高い分子量のいずれかのモノマー又はポリマー分子(本明細書中で複合分子と呼ぶ)に、極性頭部基の原子を経由して、共有的に結合した少なくとも一つの脂質分子を含んでなる。一つの態様において、複合分子は、脂質、リン脂質又はスペーサーにエステル結合によって接合される。もう一つの態様において、複合分子は、脂質、リン脂質、又はスペーサーにアミド結合によって接合される。
【0096】
所望する場合、脂質複合体分子をモノマー又はポリマー分子に連結するために、所望による架橋分子を使用することができる。いくつかの高分子量のリン脂質複合体、及びそれに伴う類似体の組成物は、本明細書中に参考文献としてその全てが援用される米国特許第5,064,817号(特許文献1)の主題である。
【0097】
一つの態様において、用語"分子"は、共有結合によって満足される原子価を有する、さもなければ化学化合物に対応する化学的実体を意味する。
本発明の態様によるいくつかの場合において、脂質複合体の調製のために選択されるモノマー又はポリマーは、それ自体選択された生物学的特性を有することができる。例えば、ヘパリン及びヒアルロン酸の両方は、既知の生理学的機能を持つ物質である。然しながら、本発明において、これらの物質を出発物質として形成された脂質複合体は、新しい、そしてリン脂質に共有結合によって結合されていないヘパリン又はヒアルロン酸のいずれかの投与から予測されるものであるものより、幅広い医薬的活性の組合せを示す。これは、ヒアルロン酸(化合物XXII)、ヘパリン(化合物XXIV)、コンドロイチン硫酸A(化合物XXV)、カルボキシメチルセルロース(化合物XXVI)、ポリゲリン(haemaccel)(化合物XXVII)、又はヒドロキシエチルデンプン(化合物XXVIII)に連結されたホスファチジルエタノールアミン(PE)が、遊離の複合体(上記ポリマー等)に対して効力及び有用な医薬的活性の範囲に関してはるかに優れていることを、標準的な比較実験によって示すことができる。事実、これらの後者の物質は、一般的に嚢胞性線維症の治療のための方法において有用とは考えられていない。従って、ホスファチジルエタノールアミンのようなリン脂質、又は極性頭部基に関して異なっている、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、及びホスファチジルグリセロール(PG)のような関連するリン脂質の組合せは、単独の出発物質と比較した場合、新規な薬理学的特性を有する化合物を形成する。本明細書中に記載した場合において、生物学的活性の多様性及び化合物によって示される疾病における有効性は、単独で又は組合せで投与された場合、出発物質それら自体の使用によって予測される特性をはるかに超える。
【0098】
本明細書中に記載された生物学的に活性な脂質複合体は、広い範囲の、例えば脂質複合体を血管系中に保持することが所望される場合は、50,000より高い(数十万まで)、そして血管外系を標的とすることが所望される場合は、50,000より低い分子量を有することができる。複合分子の分子量及び化学構造上の唯一の制約は、これが、所望する生物学的活性を欠く、或いは脂質複合体が本明細書中に記載された使用の方法における薬物として役に立たなくなる程度の、化学的又は生理学的不安定性に導く脂質複合体とならないことである。
【0099】
一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(A):
【0100】
【化24】

【0101】
[式中、
Lは、脂質又はリン脂質であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、リン酸塩、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0102】
一つの態様において、Lは、ホスファチジルであり、Zは、エタノールアミンであり、ここにおいて、L及びZは、化学的に結合してホスファチジルエタノールアミンとなり、Yは無であり、そしてXは、カルボキシメチルセルロースである。もう一つの態様において、Lは、ホスファチジルであり、Zは、エタノールアミンであり、ここにおいて、L及びZは、化学的に結合してホスファチジルエタノールアミンとなり、Yは、無であり、そしてXは、グルコサミノグリカンである。一つの態様において、ホスファチジルエタノールアミン分子は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、ホスファチジルエタノールアミン分子は、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンである。
【0103】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(I):
【0104】
【化25】

【0105】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;そして
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又は生理学的に受容可能なポリマーのいずれかであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、ホスファチジルエタノールアミンは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、スペーサーは、Xにアミド又はエステル結合により、そしてホスファチジルエタノールアミンにアミド結合により直接連結している]
の構造によって表される。
【0106】
一つの態様において、本発明の方法において使用するための化合物は、複合分子Xとして、次の:酢酸塩、酪酸塩、グルタル酸塩、コハク酸塩、ドデカン酸塩、ジドデカン酸塩、マルトース、ラクトビオン酸、デキストラン、アルギン酸塩、アスピリン、コール酸塩、ヘミコハク酸コレステリル、カルボキシメチル−セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリゲリン(haemaccel)、ポリエチレングリコール、ポリカルボキシル化ポリエチレングリコール、グリコサミノグリカン、多糖、ヘテロ多糖、ホモ多糖、又はポリピラノースの一つを含んでなる。PE複合体を調製するための出発物質として使用されるポリマーは、1ないし2,000kDaの分子量で変化することができる。
【0107】
ホスファチジルエタノールアミン(PE)分子の例は、リン脂質のグリセロール骨格に接続している二つの脂肪酸基の鎖の長さが、2−30個の炭素原子の長さで変化し、そしてこれらの脂肪酸鎖が、飽和及び/又は不飽和の炭素原子を含有しているリン脂質の類似体である。脂肪酸鎖の代わりに、リン脂質のグリセロール骨格に、直接又はエーテル連結により接続しているアルキル鎖は、PEの類似体として含まれる。一つの態様において、PE分子は、ジパルミトイル−ホスファチジル−エタノールアミンである。もう一つの態様において、PE分子は、ジミリストイル−ホスファチジル−エタノールアミンである。
【0108】
ホスファチジル−エタノールアミン及びその類似体は、天然、合成、及び半合成誘導体並びにこれらの異性体を含む各種の供給源からのものであることができる。
PE分子の代わりに使用することができるリン脂質は、共有結合によってN−メチル−PEのアミノ基を経由して連結するN−メチル−PE誘導体及びその類似体;共有結合によってN,N−ジメチル−PEのアミノ基を経由して連結するN,N−ジメチル−PE誘導体及びその類似体、ホスファチジルセリン(PS)及びパルミトイル−ステアロイル−PS、各種の供給源の天然のPS、半合成のPS、合成、天然及び人工PSのようなその類似体並びにこれらの異性体である。本発明における複合分子として有用な他のリン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジン酸及びホスファチジルグリセロール(PG)、並びにリン脂質、リゾリン脂質、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、リゾスフィンゴミエリン、セラミド、及びスフィンゴシンのいずれかを含んでなるこれらの誘導体である。
【0109】
PE−複合体及びPS−複合体において、リン脂質は、複合モノマー又はポリマー分子に、リン脂質の極性頭部基の窒素原子を経由して、直接か又はスペーサー基によるかのいずれかで連結している。PC、PI、及びPG複合体において、リン脂質は、複合モノマー又はポリマー分子に、リン脂質の極性頭部基の窒素又は酸素原子の一つを経由して、直接か又はスペーサー基によるかのいずれかで連結している。
【0110】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(II):
【0111】
【化26】

【0112】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、ホスファチジルセリンは、Xにアミド結合により直接し、そしてYがスペーサーである場合、スペーサーは、Xにアミド又はエステル結合により、そしてホスファチジルセリンにアミド結合により直接連結している]
の構造によって表される。
【0113】
一つの態様において、ホスファチジルセリンは、Yに、又はYが無である場合、Xに、ホスファチジルセリンのCOO分子により結合することができる。
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(III):
【0114】
【化27】

【0115】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、ホスファチジル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0116】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(IV):
【0117】
【化28】

【0118】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0119】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(V):
【0120】
【化29】

【0121】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0122】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(VI):
【0123】
【化30】

【0124】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0125】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(VII):
【0126】
【化31】

【0127】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合いずれかである]
の構造によって表される。
【0128】
本発明の一つの態様において、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、Zが無であるホスファチジン酸、及びホスファチジルグリセロール(PG)複合体は、本明細書中で一般式(III)の化合物として定義される。
【0129】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(VIII):
【0130】
【化32】

【0131】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0132】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(IX):
【0133】
【化33】

【0134】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0135】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(IXa):
【0136】
【化34】

【0137】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0138】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(IXb):
【0139】
【化35】

【0140】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0141】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(X):
【0142】
【化36】

【0143】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、セラミドホスホリル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合である]
の構造によって表される。
【0144】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XI):
【0145】
【化37】

【0146】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、スフィンゴシルは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、スペーサーは、X及びスフィンゴシルにアミド結合により、そしてXにアミド又はエステル結合により直接連結している]
の構造によって表される。
【0147】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XII):
【0148】
【化38】

【0149】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲の、アルキル鎖であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、セラミド、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0150】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XIII):
【0151】
【化39】

【0152】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、ジグリセリル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0153】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XIV):
【0154】
【化40】

【0155】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、グリセロ脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0156】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XV):
【0157】
【化41】

【0158】
[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、グリセロ脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0159】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XVI):
【0160】
【化42】

【0161】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0162】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XVII):
【0163】
【化43】

【0164】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0165】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XVIII):
【0166】
【化44】

【0167】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0168】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XIX):
【0169】
【化45】

【0170】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0171】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XX):
【0172】
【化46】

【0173】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0174】
もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、以下の一般式(XXI):
【0175】
【化47】

【0176】
[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される。
【0177】
本明細書中の上記の一般式(A)、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IXa)、(IXb)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)、及び(XXII)の構造によって表される化合物のいずれか又は全てに対して:一つの態様において、Xは、グリコサミノグリカンである。この側面によれば、そして一つの態様において、グリコサミノグリカンは、特にヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラチン、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸又はこれらの誘導体であることができる。一つの態様において、コンドロイチン硫酸は、特にコンドロイチン−6−硫酸、コンドロイチン−4−硫酸又はこれらの誘導体であることができる。もう一つの態様において、Xは、グリコサミノグリカンではない。もう一つの態様において、Xは、多糖であり、これは、一つの態様においてヘテロ多糖であり、そしてもう一つの態様において、ホモ多糖である。もう一つの態様において、Xは、ポリピラノースである。
【0178】
もう一つの態様において、グリコサミノグリカンは、二糖単位のポリマーである。もう一つの態様において、ポリマー中の二糖単位の数は、mである。もう一つの態様において、mは、2−10,000の数である。もう一つの態様において、mは、2−500の数である。もう一つの態様において、mは、2−1000の数である。もう一つの態様において、mは、50−500の数である。もう一つの態様において、mは、2−2000の数である。もう一つの態様において、mは、500−2000の数である。もう一つの態様において、mは、1000−2000の数である。もう一つの態様において、mは、2000−5000の数である。もう一つの態様において、mは、3000−7000の数である。もう一つの態様において、mは、5000−10,000の数である。もう一つの態様において、グリコサミングリカンの二糖単位は、一つの脂質又はリン脂質分子に結合することができる。もう一つの態様において、グリコサミングリカンのそれぞれの二糖単位は、ゼロ若しくは一つの脂質又はリン脂質分子に結合することができる。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質分子は、二糖単位の−COOH基に結合される。もう一つの態様において、脂質又はリン脂質及び二糖単位間の結合は、アミド結合である。
【0179】
本発明の一つの態様において、Yは、無である。所望による架橋基(これは、一つの態様において、スペーサーと呼ばれる)Yを形成する適した二価の基の非制約的な例は、本発明の態様によれば、例えば2個又はそれより多い、好ましくは4ないし30個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖のアルキレン、アルキレンが、それぞれの場合、直鎖又は分枝鎖であり、そして2個又はそれより多い、好ましくは2ないし30個の原子を鎖中に含有する−CO−アルキレン−CO、−NH−アルキレン−NH−、−CO−アルキレン−NH−、−NH−アルキレン−NH、CO−アルキレン−NH−、アミノ酸、シクロアルキレン、xが1又はそれより多い整数である−(−O−CH(CH)CH−)−である。
【0180】
本発明の一つの態様において、グリコサミノグリカンの糖環は、インタクトである。一つの態様において、インタクトは、閉環を指す。もう一つの態様において、インタクトは、天然を指す。もう一つの態様において、インタクトは、未分解を指す。
【0181】
本発明の一つの態様において、本発明によるいずれかの化合物中の脂質又はリン脂質は、インタクトである。もう一つの態様において、本発明によるいずれかの化合物中の脂質又はリン脂質の天然の構造は維持される。
【0182】
一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、生分解性である。
一つの態様において、本発明による化合物は、アスピリンに結合したホスファチジルエタノールアミンである。一つの態様において、本発明による化合物は、グルタミン酸塩に結合したホスファチジルエタノールアミンである。
【0183】
いくつかの態様において、使用するための化合物は、以下の表1に収載されている。
【0184】
【表1−1】

【0185】
【表1−2】

【0186】
【表1−3】

【0187】
【表1−4】

【0188】
本発明の一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、化合物I−LXXXVIIIのいずれか一つ又はそれより多くである。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、生理学的に受容可能な担体又は溶媒との組合せにおける、化合物XXII、化合物XXIII、化合物XXIV、化合物XXV、化合物XXVI、化合物XXVII、化合物XXVIII、化合物XXIX、化合物XXX、又は医薬的に受容可能なこれらの塩である。本発明の態様によれば、これらのポリマーは、複合分子として選択された場合、200ないし2,000,000ダルトンの分子量で変化することができる。本発明の一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、200ないし1000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、200ないし1000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、1000ないし5000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、5000ないし10,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、10,000ないし20,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、10,000ないし50,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、20,000ないし70,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、50,000ないし100,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、100,000ないし200,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、200,000ないし500,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、200,000ないし1,000,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、500,000ないし1,000,000ダルトンである。もう一つの態様において、本明細書中で言及されるポリマーの分子量は、1,000,000ないし2,000,000ダルトンである。各種の分子量の種が、所望の生物学的効力を有することが示されている。
【0189】
本発明の一つの態様において、低分子量脂質複合体が、式(I)−(XXI)の化合物として本明細書中で先に定義され、ここにおいて、Xは、単糖又は二糖、カルボキシル化二糖、モノ又はジカルボン酸、サリチル酸塩、サリチル酸、アスピリン、ラクトビオン酸、マルトース、アミノ酸、グリシン、酢酸、酪酸、ジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、脂肪酸、ドデカン酸、ジドデカン酸、胆汁酸、コール酸、ヘミコハク酸コレステリル、ジ又はトリペプチド、オリゴペプチド、三糖、或いはヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラチン、ケラタン硫酸、コンドロイチン、コンドロイチン−6−硫酸、コンドロイチン−4−硫酸、デルマチン、デルマタン硫酸、デキストラン、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン、又はポリピラノースの二若しくは三糖モノマー単位である。
【0190】
所望による架橋基Yを形成する適した二価の基の例は、例えば2個又はそれより多い、好ましくは4ないし18個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖のアルキレン、アルキレンが、それぞれの場合、直鎖又は分枝鎖であり、そして2個又はそれより多い、好ましくは2ないし18個の炭素原子を鎖中に含有する−CO−アルキレン−CO、−NH−アルキレン−NH−、−CO−アルキレン−NH−、シクロアルキレン、xが1又はそれより大きい整数である−(−O−CH(CH)CH−)−である。
【0191】
もう一つの態様において、伝統的なリン脂質構造に加えて、本発明において使用するための関連する誘導体は、エステル結合の代わりにエーテル又はアルキル結合を含有するようにC1又はC2位において改変されたリン脂質である。本発明の一つの態様において、アルキルリン脂質誘導体及びエーテルリン脂質誘導体は、本明細書中で例示される。一つの態様において、これらの誘導体は、一般式(VIII)及び(IX)によって本明細書中で先に例示されている。
【0192】
本発明の一つの態様において、Xは、共有的に脂質に接合される。もう一つの態様において、Xは、アミド結合によって脂質に共有的に接合される。もう一つの態様において、Xは、エステル結合によって脂質に共有的に接合される。もう一つの態様において、脂質は、ホスファチジルエタノールアミンである。
【0193】
一つの態様において、細胞表面のGAGは、反応性酸素種及びフリーラジカル、内毒素、サイトカイン、侵襲促進酵素、並びに細胞外基質及び基底膜の劣化、細胞の侵襲性、白血球の細胞外遊走及び浸潤、走化性、等を誘発及び/又は促進する薬剤のような多様な傷害性の薬剤並びに過程から細胞を保護することにおいて重要な役割を演じる。更に、細胞表面のGAGは、細菌性、ウイルス性及び寄生虫性の感染から細胞を保護し、そしてこれらの剥離は、細胞を相互作用及びその後の微生物の内部移行に暴露させる。従って、細胞表面のGAGの富化は、傷害性過程からの細胞の保護を補助するものである。従って、本発明の一つの態様において、PLA2阻害剤が、GAG又はGAG模倣分子に複合される。もう一つの態様において、これらの脂質複合体は、多様な傷害性過程からの広い範囲の保護を提供し、そして傷害性生化学媒体からの細胞の保護を必要とする疾病を回復する。
【0194】
もう一つの態様において、GAG模倣分子は、特に負に荷電した分子であることができる。もう一つの態様において、GAG模倣分子は、特にサリチル酸誘導体であることができる。もう一つの態様において、GAG模倣分子は、特にジカルボン酸であることができる。
【0195】
もう一つの態様において、本発明は、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーに結合した脂質又はリン脂質;及び医薬的に受容可能な担体又は賦形剤を含む、嚢胞性線維症に悩む患者を治療するための医薬組成物を提供する。
【0196】
もう一つの態様において、本発明は、本発明において使用するための化合物のいずれか一つ又はこれらのいずれかの組合せ;及び医薬的に受容可能な担体又は賦形剤を含む、嚢胞性線維症に悩む患者を治療するための医薬組成物を提供する。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、特に、本明細書中で以下に記載されるような一般式:(A)、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(IXa)、(IXb)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)、(XXII)の構造によって表される化合物、又はこれらのいずれかの組合せを含む。
【0197】
本発明に使用するための化合物の調製
一つの態様において、本発明の方法において使用するための高分子量脂質複合体の調製は、本明細書中に参考文献として完全に援用される、米国特許第5,064,817号(特許文献1)中に記載されている。一つの態様において、これらの合成方法は、低分子量脂質複合体、即ち、複合分子としてモノマー及びダイマーを含んでなる脂質複合体の調製にも、当業者にとって容易に明白となるものであるような適当な方法の改変を伴って、同様に適用可能である。いくつかの低分子量脂質複合体の調製は、当技術において公知の方法を使用して、又は本明細書中に参考文献としてその全てが援用される、米国特許仮出願60/704,874中に記載されているように行うことができる。
【0198】
投与量及び投与の経路
本発明の方法は、慣用的な賦形剤、即ち、非経口、経腸(例えば経口)又は局所適用のために適した、活性成分と有害に反応しない医薬的に受容可能な有機又は無機の担体物質との混合物中の脂質複合体を含んでなる治療的組成物の使用に適合することができる。適した医薬的に受容可能な担体は、制約されるものではないが、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース又はデンプンのような炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、白色パラフィン、グリセロール、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、コラーゲン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、脂肪酸ペンタエリトリトールエステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、等を含む。医薬製剤は、滅菌し、そして所望する場合、活性化合物と有害に反応しない補助薬剤、例えば、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響するための塩、緩衝液、着色剤、矯味剤及び/又は着香剤等と混合することができる。これらは、所望する場合、当業者によって理解されるものであるように、更に他の活性剤、例えば、ビタミン、気管支拡張剤、ステロイド、抗炎症性化合物、遺伝子療法、即ち、野生型嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)受容体や、肺サーファクタントタンパク質をコードする配列等と組合せることもできる。
【0199】
一つの態様において、本発明は、本明細書中に記載されるような化合物の塩の投与も同様に提供する。一つの態様において、塩は、今度は化合物の非毒性の塩(これは、一般的に有機酸を適した有機又は無機塩基と反応させることによって調製される)と呼ぶことができる医薬的に受容可能な塩であり、そして制約されるものではないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、及び吉草酸塩、並びにこれらの塩の混合物を含む。
【0200】
一つの態様において、投与の経路は、非経口、経腸、又はこれらの組合せであることができる。もう一つの態様において、経路は、眼内、結膜、局所、経皮、皮内、皮下、腹膜内、静脈内、動脈内、膣、直腸、腫瘤内、癌近辺、粘膜経由、筋肉内、血管内、心室内、頭蓋内、吸入、鼻腔吸引(噴霧)、舌下、経口、エアゾール又は座薬或いはこれらの組合せであることができる。一つの態様において、投与管理は、熟練した臨床医によって、治療される症状の正確な特質、症状の重度、患者の年齢及び一般的な身体条件、等のような因子に基づいて決定されるものである。
【0201】
一般的に、先に記載した目的のために使用される投与量は、変化するものであるが、しかし所望の抗疾病効果を発揮するために有効な量であるものである。本明細書中で使用される場合、用語"医薬的に有効な量"は、患者の疾病の症状又は徴候の所望の軽減を生じるものである式I−XXIの化合物の量を指す。先に記載した目的のいずれかのために使用される投与量は、一般的に一日当り1ないし4回、又は持続静脈内注入によって投与される、体重キログラム当り、1ないし約1000ミリグラム(mg/kg)であるものである。組成物が局所的に投与される場合、これらは、一般的に0.1ないし約10重量/容量%の範囲の濃度で、一日当り1−4回投与される。
【0202】
一つの態様において、強力な抗酸化性、膜安定化性、抗増殖性、抗ケモカイン性、抗遊走性、及び抗炎症性活性を伴う単一の化学薬品の実体の使用は、CFを持つ患者のための所望の保護を提供し、或いはもう一つの態様において、本発明の方法は、記載した化合物の組合せの使用を提供する。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、単一の製剤/組成物で提供することができ、或いはもう一つの態様において、複数の製剤を使用することができる。もう一つの態様において、本発明において使用するための製剤は、同時に、或いはもう一つの態様においては、分、時、日、週又は月間で変化することができる異なった時間間隔で投与することができる。
【0203】
一つの態様において、本発明において使用するための化合物を含んでなる組成物は、異なった経路によって投与することができ、これは、一つの態様において、異なった化合物を異なった部位に与えるために調整することができ、例えば、ある化合物は非経口的に投与されて、肺及びリンパ系を通して優れた潅流を与え、そしてもう一つの態様において、ある製剤/化合物/組成物は、エアゾールによって与えられ、或いはもう一つの態様において、鼻腔内的に与えられて、より高い肺粘膜濃度を与えることができる。
【0204】
一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、一時的症状の急な治療のために使用することができ、又は長期にわたって投与することが必要に応じてできる。本発明の一つの態様において、化合物の濃度は、治療される症状の特質、患者の症状、投与の経路及び組成物の個々の許容性を含む各種の因子に依存するものである。
【0205】
一つの態様において、本発明の方法は、CF患者の生涯の初期において、又はもう一つの態様において、患者の生涯を通して、又はもう一つの態様において、重度又は症状の段階の定常性に反応して偶発的に、又はもう一つの態様において、CFに伴う感染の開始時に、又はもう一つの態様において、CFに伴う患者の感染の間中の化合物の投与を提供する。もう一つの態様において、脂質又はPL複合体が投与されなければならない患者は、疾病の症状を経験しつつあるもの、又は疾病にかかる危険性にある、又は疾病の再発の発症又は悪化、或いは疾病に伴う病理学的症状を経験しつつあるものである。
【0206】
本明細書中で使用される場合、用語"医薬的に受容可能な担体"は、安全であり、そして有効な量の少なくとも一つの本発明の化合物の、所望する投与の経路のために適当な放出を提供するいずれかの製剤を指す。このように、先に記載した本発明の製剤の全ては、これによって"医薬的に受容可能な担体"と呼ばれる。この用語は、pHが、化合物の安定性及び投与の経路によってpH4.0ないしpH9.0の範囲の特定の所望の値に維持されている緩衝された製剤の使用も指す。
【0207】
非経口投与のために、特に適したものは、注射用滅菌溶液、好ましくは油性又は水性溶液、並びに懸濁液、乳液、又は座薬を含むインプラントである。アンプルは、好都合な単位投与量である。
【0208】
吸入による適用のために、特に気道閉塞又は鬱滞の治療のために、適当な担体の存在中で混合及びエアゾル化又は噴霧化された、化合物の溶液又は懸濁液が適している。
局所適用のために、特に接触性皮膚炎又は乾癬のような皮膚疾病の治療のために、化合物の慣用的なクリームとの混合物又は遅延放出貼布が受容可能である。
【0209】
径腸適用のために、特に適したものは、錠剤、ドラジェ剤、液体、ドロップ剤、座薬、又はカプセルである。甘味付け賦形剤が使用される場合、シロップ剤、エリキシル剤、等を使用することができる。処方された場合、座薬又は腸溶性製剤が、投与の推奨される経路であることができる。
【0210】
徐放性又は指向性放出製剤、例えばリポソーム又は活性成分が異なった分解性の被覆、例えばマイクロカプセル化、多重被覆、等で保護されたものを処方することができる。新しい化合物を冷凍乾燥し、そして得られた凍結乾燥物を、例えば注射のための産物の調製のために使用することも更に可能である。
【0211】
具体的な場合の活性な化合物の実際の好ましい量が、使用される具体的な化合物、処方された特定の組成物、適用の様式、及び治療される特定の部位及び生物体によって変化するものであることは認識されるものである。特定の宿主のための投与量は、慣用的な考察、例えば主題の化合物及び既知の薬剤の活性の差の慣例的比較を使用して、例えば適当な慣用的な薬理学的プロトコルによって決定することができる。
【0212】
PL複合体を使用するCFを予防又は治療する方法
本発明の一つの態様において、本発明の方法は、本明細書中に記載されたような、嚢胞性線維症に悩む患者を治療し、嚢胞性線維症に悩む患者の死亡を減少又は遅延し、或いは嚢胞性線維症に伴う症状を回復するための化合物を使用させる。
【0213】
一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びヘパリンを含んでなる。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びコンドロイチン硫酸を含んでなる。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びヒアルロン酸を含んでなる。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びカルボキシメチルセルロースを含んでなる。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン及びヒアルロン酸を含んでなる。
【0214】
一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、アミド又はエステル結合によってグリコサミノグリカンに結合したジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンである。一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、アミド又はエステル結合によって、コンドロイチン−6−硫酸、コンドロイチン−4−硫酸又はその誘導体であるコンドロイチン硫酸に結合したジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、アミド又はエステル結合によってヘパリンに結合したジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、アミド又はエステル結合によってヒアルロン酸に結合したジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンである。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、アミド又はエステル結合によってヒアルロン酸に結合したジミリストイルホスファチジルエタノールアミンである。
【0215】
一つの態様において、脂質複合体は、本発明において有用である広い範囲の細胞保護的医薬的活性の組合せを示す。一つの態様において、化合物は、炎症の過程自体が嚢胞性線維症における肺の損傷に対する部分的又は殆んどの原因であるために、その抗炎症性効果のために有用であることができる。サイトカイン及びケモカインの細胞の同化作用は、健康の重要な調節機構に貢献するが;然しながら、ストレス又は疾病に対する機能亢進性の反応が誘発された場合、これらの化合物は、過剰に存在し、そして組織を損傷し、これによって疾病の状態を更に悪化の方向に押しやる。一つの態様において、本発明の方法において使用するための脂質化合物は、特に酵素ホスホリパーゼA2の細胞外形態を阻害する能力を含む複数の、そして強力な医薬的効果の組合せを保有する。
【0216】
一つの態様において、炎症はCFの一次的影響であり、一方もう一つの態様において、炎症は二次的影響のためであり、これは、一つの態様において感染であり、これに対して嚢胞性線維症を持つ患者は更に敏感である。一つの態様において、感染はシュードモナス感染である。もう一つの態様において、本発明において使用するための化合物は、気管支上皮細胞、並びにシュードモナスに感染した気管支細胞におけるその抗炎症性効果のために有用であることができ、これは、図1中の一つの態様において例示されている。
【0217】
一つの態様において、脂質複合体は、患者に疾病の前駈症状の段階で脂質複合体を投与する場合、嚢胞性線維症を持つ患者における炎症に影響することにおいて有用である。CF肺の炎症の特質的特徴は、気道への莫大な数の好中球の持続性浸潤である。好中球は、感染を制御することを援助するが、大過剰で存在する場合、これは有害であることができる。CF肺における炎症の過程の理解における主要な進歩は、比較的症状のない及び/又は定期的に痰を産生しない患者の炎症過程を分析するための気管支鏡及び気管支肺胞洗浄(BAL)の使用から得られている。最近のBALの研究は、好中球富化性の炎症が、臨床的に明確な肺炎にかかっていない幼児においてさえ非常に早く始まることを示唆している。従って一つの態様において、本発明の化合物は、CFを治療することにおいて、疾病の前駆症状の段階においてさえ有用であることができる。
【0218】
一つの態様において、脂質複合体は、伝統的な炎症性の刺激への暴露に無関係に、CFを持つ患者における炎症に対する根底にある傾向に影響する。これは、図1中の一つの態様において、脂質複合体で処置されたシュードモナス非感染細胞におけるIL−8レベルの増加した基線の減少によって例示されている。
【0219】
上皮細胞、マクロファージ、好中球自体、及び細菌性産物からの多くの化学誘引物質は、CF患者の好中球流入に寄与する。ある幼児は、明白な感染の存在が無くとも炎症を有し、炎症がCFにおける感染に先行することができるという推測に導く。本発明のこの側面によれば、そして一つの態様において、本発明の方法は、特にCFを持つ患者における感染の前又は後のいずれかにおける炎症性反応の抑制において有用であることができ、これは、もう一つの態様において、炎症性反応によって達成することができる。
【0220】
他の態様において、サイトカイン産生および上皮における宿主防御機構の異常が継続する炎症の原因因子であることに伴って、CFにおける基本的な欠陥と炎症の間には関連が存在する。この過程が、如何に開始し及び/又は永続化するかの詳細には関係なく、他の態様において、非常に早い段階で始まる、及び/又はCF患者の生涯を通して進行する炎症は、本発明に記載される方法及び化合物の使用によって、緩和、治療、予防、阻害、軽減又はさもなければ積極的に影響することができる。
【0221】
CFを持つ患者は、不完全な又は非存在の"嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)機能又は活性"を持つものであり、これは言い換えれば、野生型CFTRによって正常に行われる機能又は活性と比較して異常な機能によって特徴づけられる。このような機能は、細胞膜を通るイオン(例えば塩素(Cl−)イオン)の運搬の仲介、調節又は制御を含むことができる。
【0222】
CFを持つ患者は、同様にCFを欠損した又は影響された細胞を有することができ、これは、CFTRの非存在のため、或いはCFTR機能及び/又は活性を与えることが不可能な、又はCFTR機能及び/又は活性を与えることにおいて効果の少ない、CFTR変異ペプチドのためかのいずれかのために、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子機能を欠く。このような細胞の例は、少なくともその1300の異なった変種が同定されているCFTR変異体(例えば、CFTR Δf508)を含む。例えばKunzelmann et al,"Pharmacotherapy of the Ion Transport Defect in Cystic Fibrosis,"Clin.Exper.Pharn.Phys.(2001)28:857−67;Welsh et al,"Molecular Mechanisms of CFTR Chloride Channel Dysfunction in Cystic Fibrosis,"Cell(1993)73:1251−54を参照されたい。一つの態様において、CFTR変異は、受容体の細胞膜への不適当な輸送を導く。このような患者は、本発明の方法から利益を得ることができる。一つの態様において、欠陥のあるCFTRは、細胞膜を通るイオン輸送の欠陥に導き、これは、一つの態様において、ムチンの増加したレベルに導き、これは、一つの態様において、抗炎症性反応を誘発する。もう一つの態様において、欠陥のあるCFTRは、好中球によるサイトカインの調節不全な産生に導く。
【0223】
脂質複合体の投与は、もう一つの態様において、細胞保護効果を与え、これは、CF、又はCFに伴う感染/炎症の治療において有用である。化合物は、いくつかの態様において、生物学的膜を安定化し;細胞増殖を阻害し;フリーラジカルの産生を抑制し;一酸化窒素の産生を抑制し;生物学的障壁を通る細胞の浸潤を減少し;MCP−1、ENA−78、Gro α、及びCX3Cを含むケモカインのレベルに影響し;IL−6及びIL−8を含むサイトカインのレベルに影響し;遺伝子の転写に影響し、そしてMHC抗原の発現を変更し;細胞膜に直接結合し、そして細胞表面における水の構造を変化し;気道平滑筋の狭窄を予防し;腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の発現を減少し;NFκBのような転写因子の発現を変更し;そしてPLA2のそれに加えて、コラゲナーゼ、ヘパリナーゼ、ヒアルロニダーゼを含む細胞外分解性酵素を阻害することが可能である。
【0224】
一つの態様において、本発明の方法において使用するための化合物は、病理学的疾病状態の進行中に起こる組織の損傷の細胞膜の安定化による回復、又は予防;酸化性損傷の制限;細胞増殖、細胞血管外遊走の制限;免疫反応の抑制;又は上昇したケモカインレベルとして発現するような、ストレスに対する生理学的反応の減衰である、その多くの薬理学的活性の中の少なくとも一つを発揮することによってCFを治療する。本発明の一つの態様において、脂質又は脂質複合体の有用な薬理学的特性は、臨床的使用のために適用することができ、そして疾病の治療のための方法として本明細書中に開示される。これらの方法の生物学的基盤は、当技術において既知であり、そして以下に記載されるような疾病の標準的な細胞及び動物モデルによって、容易に証明することができる。
【0225】
一つの態様において、脂質複合体は、組織の損傷の一つ又はそれより多い統括的な病態生理学的機構が、膜の脆弱性を与える酸化傷害;組織損傷に伴うケモカイン及びサイトカインの過剰発現;細胞膜の損傷;肺組織の傷害を与える過剰な一酸化窒素の産生、等のいずれかを伴う、CFに悩む個体に、広範囲にわたる細胞保護効果を提供する。
【0226】
一つの態様において、脂質複合体の投与は、前炎症性ケモカイン、サイトカイン、又はこれらの組合せの発現を減少するための方法を提供する。もう一つの態様において、脂質複合体の投与は、ヒトの気道上皮細胞系中のNF−κB、IL−6及びIL−8の内在的活性化に影響する方法を提供する。
【0227】
本明細書中に記載される脂質複合体の薬理学的活性は、部分的に脂質分子の特質に起因することができるが、脂質複合体に対して観察される薬理学的特性の複数の、そして多様な組合せは、他の態様において、本質的に一つの化学的実体中のいくつかの異なった薬物として作用する化合物の能力を表すことができる。従って、例えば、CFにおいて起こることができるような肺粘膜又は肺実質の損傷は、免疫抑制、抗炎症性、抗酸化性、一酸化窒素産生の抑制、又は膜の安定化の医薬的活性のいずれか一つ又は全てによって減衰することができる。
【0228】
一つの態様において、本発明は、CF或いは関連する疾病又は疾患を"治療"する方法を提供し、これは、一つの態様において、療法的治療、及びその目的が、標的とする病理学的症状又は疾患を、本明細書中で先に記載したように予防又は軽減する、予防的又は防止的方法の両方を指す。一つの態様において、治療は、症状の開始を遅延する、症状の重度を軽減する、急性の発症の重度を軽減する、症状の数を減少する、疾病に関連する症状の発症を減少する、症状の潜在性を減少する、症状を軽減する、二次症状を軽減する、二次感染を減少する、患者の生存を延長する、疾病の再発を予防する、再発の発症の回数又は頻度を減少する、症状の発症間の潜在性を増加する、継続した進行に対する時間を増加する、緩解を促進する、緩解を誘導する、緩解を増大する、回復を急ぐ、或いは別の療法に対する効力を増加するか又は耐性を減少することを指す。
【0229】
従って、一つの態様において、本発明は、嚢胞性線維症に悩む患者を治療し、嚢胞性線維症に悩む患者の死亡を減少又は遅延し、又は嚢胞性線維症に伴う症状を軽減するための方法、及び化合物/組成物/製剤を提供し、一つの態様において、前記の患者の有害な炎症性反応を減少又は抑制し、又はもう一つの態様において、感染がCF患者である病変形成の発症を予防、治療、軽減し、その重度を軽減し、その開始を遅延し、又は軽減する。もう一つの態様において、本発明は、炎症誘発性ケモカイン、サイトカイン、又はこれらの組合せの発現を減少するための方法を提供し、一方もう一つの態様において、本発明は、ヒトの気道上皮細胞系におけるNF−κB、IL−6、IL−8又はこれらの組合せを活性化する方法を提供する。
【0230】
一つの態様において、症状は一次であり、一方もう一つの態様において、症状は二次である。一つの態様において、"一次"は、不完全な又は非存在のCFTR発現の直接の結果である症状を指し、又はもう一つの態様において、"二次"は、例えば、病原体による感染のような一次原因から誘発される又はその結果としての症状を指す。もう一つの態様において、症状は、炎症、腫張、発熱、疼痛、出血、痒み、鼻汁、咳、頭痛、片頭痛、呼吸困難、衰弱、疲労、眠気、体重減少、悪心、嘔吐、便秘、下痢、痺れ、眩暈、視界不良、筋肉攣縮、痙攣、等、或いはこれらの組合せを含んでなる疾病又は病理学的状態のいずれかの顕在化であることができる。
【0231】
一つの態様において、この方法は、病原がウイルスである患者の感染を治療することにおいて有用であり、又はもう一つの態様において、病原は細菌である。一つの態様において、感染は、マイコバクテリア、シュードモナス、クリプトコッカス、ストレプトコッカス、レオウイルス、インフルエンザ、又は当業者にとって既知の他の感染のような呼吸器系に感染する病原による。
【0232】
典型的には、CFを持つ患者は、生涯の早い時期に気道から最もしばしば単離される病原であるStaphylococcus aureusにより苦しむが、しかし疾病が進行すると、Pseudomonas aeruginosaが最もしばしば単離される。シュードモナスのムコイド変種は、CFにユニークに伴う。Burkholderia cepaciaによるコロニー形成は、成人患者の7%までに起こり、そして急速な肺の悪化を伴うことができる。感染した患者に対するこれらの薬剤のいずれかによる治療は、本発明の一部と考えられる。
【0233】
治療は、気道閉塞の予防、並びに肺の感染に対する予防及びその制御を含み、これは、本発明の方法により、そして化合物/組成物を使用することによって行うことができる。肺の感染に対する予防は、本発明の化合物/組成物によって達成することができ、そして百日咳、インフルエンザ菌、水痘、及び麻疹の免疫の維持を含むことができ、そしてそれ及び他の呼吸器感染に対する免疫賦活、特に毎年のインフルエンザワクチン接種との組合せと、又は他の態様において、インフルエンザAに対するアマンタジン予防法と組合せることができる。
【0234】
本発明の方法は、更に、当技術において既知であるような、体位排痰法、打診、振動、及び咳介助からなる胸部物理療法との組合せであることもできる。高齢の患者において、自動周期呼吸法、自源性ドレナージ、フラッターバルブ装置、呼気陽圧マスク、及び機械的チョッキ療法のような代替気道浄化技術が有効であることができる。可逆性気道閉塞のために、気管支拡張剤を、経口的に及び/又はエアゾールによって、そしてコルチコステロイドをエアゾールによって与えることができる。O療法は、重度の肺動脈弁閉鎖不全及び低酸素血症を持つ患者のために処方され、そして本発明の化合物/組成物の投与を伴うことができる。
【0235】
人工呼吸は、もう一つの態様において本発明の方法に対する組合せ療法として使用することができ、そして一つの態様において、これは、急性の呼吸器不全が肺の手術に伴って発症する良好な基線状態を持つ患者に、又は抗炭酸ガス血性呼吸器不全を発症し、肺移植を待っている患者に制限されるべきである。鼻又はフェイスマスクによる非侵襲的陽圧換気法も、更に利益があることができ、そして本発明の化合物/組成物による療法と組合わせて達成することができる。
【0236】
経口去痰剤も更に本発明の化合物/組成物と組合わせて投与することができる。ドルナーゼアルファ(組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼ)の長期の毎日のエアゾール投与は、肺機能の減退の速度を遅くし、そして重度の気道の悪化の頻度を減少することを示し、適宜使用することができる。
【0237】
経口のコルチコステロイドは、長期の細気管支炎を持つ幼児、及び難治性気管支痙攣、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、及び炎症性合併症(例えば関節炎及び血管炎)を持つ患者に処方され、そして本発明の化合物/組成物との組合せで使用することができる。
【0238】
一つの態様においてアバタセプトであり、そして一つの態様において、CD28−CD80/86経路により仲介されるT細胞同時刺激のシグナルを調節するCTLA4−Ig融合タンパク質も、更に本発明の化合物/組成物との組合せで使用することができる。
【0239】
イブプロフェンは、50ないし100μg/mL間のピーク血漿濃度を数年間にわたって達成するために十分な投与量で与えられる場合、肺機能の低下の速度を、特に5ないし13歳の児童において遅めることが示され、そして本発明の化合物/組成物の投与を伴うことができる。
【0240】
抗生物質は、気道中の細菌性病原体を治療するために、培養及び感受性試験に従って徴候性の患者に使用されるべきである。ペニシリナーゼ耐性ペニシリン(例えば、クロキサシリン又はジクロキサシリン)又はセファロスポリン(例えば、セファレキシン)が、ブドウ球菌に対して選択される薬物である。エリスロマイシン、クラブラン酸アモキシシリン、アンピシリン、テトラサイクリン、トリメトプリムスルファメトキサゾール、又は時にクロラムフェニコールを、個別に又は組合せで、各種の生物体による肺の感染症の遅延性外来療法のために使用することができる。シプロフロキサシンは、シュードモナスの感受性の系に対して有効である。重度の肺の悪化、特にシュードモナスによりコロニー形成された患者において、しばしば入院が必要であるが、しかし注意深く選択された患者には家庭で安全に行われる、非経口抗生物質療法が勧められる。アミノグリコシド(トブラマイシン、ゲンタマイシン)の抗シュードモナス性ペニシリンとの組合せが、静脈内注入で投与される。セファロスポリン及び抗シュードモナス活性を持つモノバクタムの静脈内投与も、更に有用であることができる。血清のアミノグリコシド濃度をモニターし、そして8ないし10μg/mL(11ないし17μmol/L)のピークレベル及び<2μg/mL(<4μmol/L)のトラフ値を達成するように投与量を調節しなければならない。トブラマイシン又はゲンタマイシンの通常の出発投与量は、3回分割投与の7.5ないし10mg/kg/日であるが、しかし高い投与量(10ないし12mg/kg/日)を受容可能な血清濃度を達成するために必要とする場合がある。増強された腎クリアランスのために、大きい投与量のある種のペニシリンを、十分な血清レベルを達成するために必要とする場合がある。本発明の化合物/組成物の投与が、いずれかの抗生物質との組合せであることができ、そして本発明は、本明細書中に提供される指針により例示されるが、しかしこれらの例に如何なる意味ででも制約されるものではないことは理解されるべきである。
【0241】
もう一つの態様において、リバビリンによるエアゾール療法は、特に、一つの態様において、CFを持ち、そしてRSV感染を示す幼児においてウイルス性感染と戦うために、本発明の化合物/組成物との組合せで使用することができる。
【0242】
外科手術は、医薬的に有効に治療することができない局所化された気管支拡張症又は無気肺;鼻腔ポリープ;慢性副鼻腔炎;門脈圧亢進症の二次性の食道静脈瘤からの出血;胆嚢疾患;及び医薬的に軽減することができない腸軸捻転又は腸重積症による腸閉塞に対して指示される。これらの方法のいずれもが、この方法の前、最中又はその後のいずれかの時点で、或いはこれらのいずれかの組合せで、本発明の化合物/組成物の投与を伴うことができ、そして本発明の一部と考えられる。
【0243】
従って、本発明の一つの態様において、本発明の化合物は、本明細書中で先に記載したような病原体感染に帰する疾病又は疾患の症状の解決に向けられる。もう一つの態様において、化合物は、本明細書中で先に記載した病原体の影響の根底にある病変形成に影響する。
【0244】
本発明の一つの態様において、治療は、ホスホリパーゼ酵素の発現、産生及び活性の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、脂質メディエーターの産生及び/又は作用の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、グリコサミノグリカン(GAG)及びプロテオグリカンに対する損傷の回復を必要とする。もう一つの態様において、治療は、オキシダント、酸素ラジカル及び一酸化窒素の産生及び作用の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、抗オキシダント療法を必要とする。もう一つの態様において、治療は、抗内毒素療法を必要とする。もう一つの態様において、治療は、サイトカイン、ケモカイン、接着分子又はインターロイキンの発現、産生又は作用の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、障害性薬剤からのリポタンパク質の保護を必要とする。もう一つの態様において、治療は、細胞の増殖の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、浸潤促進酵素の阻害を必要とする。もう一つの態様において、治療は、細胞浸潤の制御を必要とする。もう一つの態様において、浸潤性細胞は、白血球である。もう一つの態様において、治療は、白血球の活性化、接着又は血管外遊走の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、リンパ球の活性化の阻害を必要とする。もう一つの態様において、治療は、血管及び気道狭窄の制御を必要とする。もう一つの態様において、治療は、組織の保存を必要とする。
【0245】
本発明の一つの態様において、脂質メディエーターは、グリセロ脂質である。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、リン脂質である。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、スフィンゴ脂質である。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、スフィンゴシンである。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、セラミドである。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、脂肪酸である。もう一つの態様において、脂肪酸は、アラキドン酸である。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、アラキドン酸由来のエイコサノイドである。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、血小板活性化因子(PAF)である。もう一つの態様において、脂質メディエーターは、リゾリン脂質である。
【0246】
本発明の一つの態様において、傷害性薬剤は、ホスホリパーゼである。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、反応性酸素種(ROS)である。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、フリーラジカルである。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、リゾリン脂質である。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、脂肪酸又はその誘導体である。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、過酸化水素である。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、リン脂質である。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、オキシダントである。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、カチオン性タンパク質である。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、ストレプトリシンである。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、プロテアーゼである。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、ヘモリシンである。もう一つの態様において、傷害性薬剤は、シアリダーゼである。
【0247】
本発明の一つの態様において、浸潤促進酵素は、コラゲナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)である。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、ヘパリナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、ヘパラナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、ヒアルロニダーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、ゼラチナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、コンドロイチナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、デルマタナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、ケラタナーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、プロテアーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、リアーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、ヒドロラーゼである。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、グリコサミノグリカン分解酵素である。もう一つの態様において、浸潤促進酵素は、プロテオグリカン分解酵素である。
【0248】
本発明の一つの態様において、用語"制御"は、本明細書中に記載された因子のいずれかの産生及び作用を、正常な基底レベルにおけるその活性を維持するために阻害し、そして病理学的条件におけるその活性化を抑制することを指す。
【0249】
更に詳述することなく、当業者が先の記載を使用して、本発明を最大限利用することができると信じられる。従って、以下の好ましい具体的な態様は、単に例示として解釈され、そして開示の残りの部分を如何なる方法ででも制約するものではない。
【実施例】
【0250】
本発明において使用するための化合物は、集合的に脂質複合体と呼ばれる。
【0251】
実施例1
CFの気道上皮細胞におけるケモカイン及び/又はサイトカインの発現のin vitroにおける糖脂質による調節
脂質複合体の影響を、次の細胞系:16HBE、IB−3及びC−38細胞において試験した。
【0252】
16HBE細胞は、緊密な結合を形成し、そしてCFの気道炎症の分析において広範に使用されている、十分に特徴づけされたヒト気管支上皮細胞系である。CFTRをアンチセンス配向にコードするベクターで、形質移入された場合、これは、CFのために、センス配向にCFTRを発現した同じ細胞と比較して、十分に特徴づけされたモデルを提供する。形質移入自体がNF−κBを活性化するため、前炎症性シグナル伝達に対する薬物の効果を試験するために、等価の対照を使用することが重要である。
【0253】
IB−3及びC−38は、CF(これは、ベクター対照を含むことができる)及び"修正された"細胞系である。IB−3細胞は、CF患者から単離された気管支上皮細胞の初代培養から1992年に作られた。CF表現型は、野生型アデノ随伴ウイルスCFTRによる形質移入によってC−38細胞系中で修正され、細胞が野生型CFTRを安定的に発現することを可能にした。これらの系は、CF及び対照細胞の比較において広範に使用されている。
【0254】
細胞を、96ウェルプレート中で密集まで増殖し、洗浄し、そして脂質複合体(化合物XXII、XXIII、及びXXV)又はニセ(sham)を細胞に加え、これを37℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、そしてある群において、熱不活性化P.aeruginosa PAO1(5×10cfu/ml)と共に24時間インキュベートした。次いで細胞を徹底的に洗浄し、そしてゲンタマイシン(100μg/ml)を含有する新鮮な培地中でインキュベートした。次いで上清を回収し、そしてIL−8レベルをELISAによって分析した。データをANOVAを使用して統計的有意性について分析した。
【0255】
図1中に与えられたデータは、脂質複合体が、有意に、そして投与量依存的に変異CFTR及び対照細胞系中の両方で、IL−8の発現を抑制することを証明している(図1A及び1B)。更に、脂質複合体によるIL−8の抑制は、PAO1に暴露された細胞及び未感染細胞の両方中に存在した(図1A及び1B)。更に、脂質複合体は、変異CFTRに伴う内在性IL−8産生を阻害する。従って、脂質複合体は、感染に悩むもの及びそうでないものの両方のCF患者の炎症性症状を減少することにおいて有用であることができる。
【0256】
細胞上清中の他のケモカイン及びサイトカインのレベルは、本明細書中で先に記載したようなELISAによって決定される。
NF−κBの活性化が、処理された細胞に対してニセ(sham)でも起こっているか否かを決定するために、細胞をFugeneを使用して、NF−κBルシフェラーゼ構築物で形質移入する。形質移入の24時間後、細胞を血清から分離し、18時間インキュベートし、次いで化合物、又はニセ(sham)でそれぞれ処理する。更なる群は、PAO1で60分間感染させ、次いで記載したように処理された細胞を含む。細胞可溶化液をルシフェラーゼ活性についてスクリーニングする。
【0257】
CFの気道疾病に関連する可能性のある他の転写因子の活性化に対する脂質複合体の影響は、ルシフェラーゼ構築物の構築により、当技術において既知の方法によって同様に評価することができる。ニセ(sham)で処理された細胞に対する、複数の炎症誘発性遺伝子への化合物の影響に対するスクリーニングのためのマイクロアレイも、更に評価することができる。
【0258】
初代培養系中のヒト気道上皮細胞に対する脂質複合体の影響は、例えば単離された鼻腔ポリープ組織を探索することにより同様に評価される。
【0259】
実施例2
細胞外PLA2の固定化ホスファチジルエタノールアミン(PE)阻害剤
多糖を固定化したホスファチジルエタノールアミン(PE)は、以下の結果を与えた:
【0260】
【表2】

【0261】
試料を、PBS緩衝液中で20mg/mlで調製し、そして激しく旋回することによって37℃で撹拌して懸濁し、そして20秒間"チップ"又は浴で超音波処理した。MK723/4は、容易に溶解した。他の化合物は、溶解が更に困難であったが、しかしこれらの条件を使用して最終的に溶解した。
【0262】
各化合物について、IB3−1細胞からのIL−8分泌の阻害能力を評価し、最も強力な化合物はMK714/1であった。計算によるPE含有率に基づいて、K1/2は、概略4μMであると推定された。活性の順番は:
MK714/1>MK723/4>MK713/4>>[MK645、MK691]
であった。
【0263】
表中に与えたK1/2の値は、それぞれの複合体付加物のmg/mlではなく、担体の多糖のそれぞれの分子当りのPEの濃度から計算される。
MK645(1mg/mlで)及びMK723/4(0.2mg/mlで)は、24時間インキュベートした場合、IB3−1に対して毒性であることが見だされたが、他方他の化合物は、そうではなかった。
【0264】
実施例3
CFマウスモデルにおけるケモカイン及び/又はサイトカインの発現の糖脂質複合体によるin vivoの調節
以下のCFのマウスモデルは、当技術において既知であり、そしてCFの病変形成に対する本発明の化合物の正の影響を評価するために使用することができる。
【0265】
Snouwaerl el al[Science 1992;257:1083−1088],Ratcliff et al.[Genet 1993;4:35−41]、O'Neal et al.[Hum MoI Genet 1993;2:1561−1569]、Hasty et al.[Somat Cell Mol Genet 1995;21:177−187]によって記載されているような、CF遺伝子が遺伝子的に破壊されたノックアウトマウス、又はColledge et al.[Nat Genet 1995;10:445−452]、Zeiher et al.[J Clin Invest 1995;96:2051−2064]、van Doorninck et al[Embo J 1995;14:4403−4411]によって記載されているようなΔF508変異を持つマウス、及び他を使用することができる。
【0266】
本発明の化合物を動物に投与し、そしてサイトカイン及びケモカイン産生に対する影響を時間の関数として測定する。シュードモナス種のような細菌による感染の攻撃に対する動物の反応は、同様に評価される。
【0267】
Affymetrixのマウス遺伝子アレイは、年齢を合致させた野生型及びCFRT欠損マウス、例えばCFTR(+/+)対FABP−hCFTR/mCFTR(−/−)又はCFTR(−/−)マウスから単離した肺のmRNAの発現差異(x軸上のマウスの対の年齢の増加、に対してプロットされたy軸上の相対強度)を検出するために使用することができる。変異したCFTR、SPC−hΔ508/FABP−hCFTR/mCFTR(−/−)を発現しているCFTR欠損マウス、並びにドキシサイクリンで誘発された変異を含むCFTR遺伝子への他の変異を持つマウスも、更に同様な方法で分析することができる。潜在的にCFTR依存経路を、そして従ってCF疾病の過程を改変することができる遺伝子の評価は、特定の化合物又は化合物の組合せによる治療の前及び進行中に行うことができる。疾病の重度、特に感染に対する感受性及び反応に関する正の影響を評価することができる。マウスの肺のRNAを回収し、そして遺伝子の発現における変化を、このようなアレイを使用して評価することができる。塩化物(Cl)運搬及び細胞機能のCFTR依存性欠損も、同様にこの構成で評価することができる。
【0268】
小腸の病理を完全に修正し、そしてCFTR(−/−)遺伝子導入マウスの正常な生後の生存を支持する、腸内脂肪酸結合タンパク質遺伝子プロモーター(iFABP)の制御下で、ヒトCFTR cDNAを腸上皮中で発現させる。iFABP−hCFTR、CFTR(−/−)マウスは、混合FVB/N、C57BL/6バックグラウンド中でGI又は肺炎の証拠を伴わずに維持することができる。組織学的及び生化学的研究により、CFTRを発現している同腹仔の対照と比較して、これらのマウスからの肺組織中に明白な病理は同定されない。Zhou et al,Science,(1994),266:1705−8;Chroneos,J.Immunol,(2000)165:3941−50を参照されたい。マウスをマイクロアイソレーターケージ中に収容する。成体のiFABP−hCFTR、CFTR(−/−)及び対照マウスの肺は、血液寒天プレート上のホモジナートの定量的培養によって評価されたように、細菌性病理又はコロニー形成を持たない。
【0269】
FABP−hCFTR(+/+)/mCFTR(−/−)マウスと野生型FVB/N−mCFTR(+/+)マウスの交配を、Fl FABP−hCFTR(±)/mCFTR(−/+)マウスを生産するために使用する。これらのマウスを交差して、F2子孫の同腹仔を産生し、次いでこれの遺伝子型を同定する。遺伝子型同定は、次のプライマーを使用して行われる:mCFRTに対するPCRは、順方向プライマー(イントロン9)は:5'−AGG GGC TCG CTC TTC TTT GTG AAC、−3'逆方向プライマー(イントロン10):5'−TGG CTG TCT GCT TCC TGA CTA TGG、−3'であり、ネオマイシン耐性遺伝子に対するPCRは、順方向プライマー:5'−CAC AAC AGA CAA TCG GCT GCT,−3'及び逆方向プライマー:5'−ACA GTT CGG CTG GCG CGA G,−3'であり、そしてhCFTRに対する順方向プライマー(エクソン9):5'−AAA CTT CTA ATG GTG ATG ACA G−3'。逆方向プライマー(エクソン11):5'−AGA AAT TCT TGC TCG TTG AC−3'である。FABP−hCFTR(+/+)/mCFTR(−/−)及びhCFTR(+/+)/mCFTR(+/+)マウスは、同定されている。全てのCFTR(+/+)マウスは、標的とするCFTR遺伝子に対してヘテロ接合性である。
【0270】
その感染に対する感受性、死亡率、等に関して、これらのマウスにおいて使用された化合物の影響を、本発明の化合物又は複数の化合物の投与に対する反応において更に評価する。
【0271】
実施例4
P.aeruginosa感染中の気道の炎症の糖脂質複合体によるIn vivoにおける調節
I.P.糖脂質複合体処置
生後5日目のC57BL6マウス(平均体重3.5g、6匹/群)に、糖脂質複合体の3回投与の3分の1を、P.aeruginosa又はPBS(対照)注射の−18時間、−0.5時間及び+4時間後にi.p.注射により投与した。
【0272】
エアゾル化糖脂質複合体処置
生後5日目のC57BL6マウスに、1mg/kgのエアゾル化した化合物XXII(処置群)又は等価の体積のエアゾル化PBS(対照)を、P.aeruginosa又はPBS(対照)感染の−18時間及び+0.5時間後に投与した。
【0273】
別個の実験において、複合体処置及び非処置マウスに、鼻腔内的に10μlのPBS中の1−5×10cfuのP.aeruginosa又はPBS単独(対照)で、6日目に播種した。
【0274】
7日目に、マウスを犠牲にし、そして肺を40μMの細胞ストレーナー(BD Falcon)を使用してホモジナイズして、単一細胞の懸濁液を得た。肺及び脾臓中の細菌の数を決定し、そして肺炎(>1000cfu/肺及び肺の炎症に匹敵する病理組織診断として定義)又は菌血症(>5cfu/脾臓)を発症しているマウスのパーセントを決定した。全白血球中の多形核好中球(PMN)のパーセントを、Ly−6G(PMN)及びCD45(白血球)の表面染色及びフローサイトメトリー分析によって決定した。
【0275】
実施例5
ヒトにおける炎症性サイトカイン発現の糖脂質複合体による調節
気管支肺胞洗浄(BAL)液を、CF患者から得て、そして年齢及び性別を対照と合致させる。サイトカイン発現のためのアッセイを、実施例1のように、例えばELISAアッセイによって行う。基線発現レベルを、化合物の投与後、特に化合物XXII、XXIII、XXIV又はXXVによる処置後に得られたものと比較する。
【0276】
CF患者は、Pseudomonas aeruginosaによる感染にしばしば悩まされ、これは、痰の試料からも同様に単離される。痰を基線及び上記の処置後に収集し、細菌の数、並びに疾病の症状及び他の徴候を評価する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嚢胞性線維症に悩む患者を治療し、嚢胞性線維症に悩む患者の死亡を減少又は遅延し、或いは嚢胞性線維症に伴う症状を回復するための方法であって、以下の一般式(A):
【化1】

[式中、
Lは、脂質又はリン脂質であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される化合物を、嚢胞性線維症の症状に苦しむ又は悩む患者に投与する段階を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
前記化合物が、以下の一般式(I):
【化2】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又は生理学的に受容可能なポリマーのいずれかであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、ホスファチジルエタノールアミンは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、前記スペーサーは、Xにアミド又はエステル結合により、そして前記ホスファチジルエタノールアミンにアミド結合により直接連結している]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、以下の一般式(II):
【化3】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、ホスファチジルセリンは、Xにアミド結合により直接し、そしてYがスペーサーである場合、前記スペーサーは、Xにアミド又はエステル結合により、そして前記ホスファチジルセリンにアミド結合により直接連結している]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、以下の一般式(III):
【化4】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、ホスファチジル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、以下の一般式(IV):
【化5】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、以下の一般式(V):
【化6】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、以下の一般式(VI):
【化7】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、以下の一般式(VII):
【化8】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合いずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、以下の一般式(VIII):
【化9】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、以下の一般式(IX):
【化10】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、リン脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、以下の一般式(X):
【化11】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、セラミドホスホリル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合である]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、以下の一般式(XI):
【化12】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無であり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、Yが無である場合、スフィンゴシルは、Xにアミド結合により直接連結し、そしてYがスペーサーである場合、前記スペーサーは、X及び前記スフィンゴシルにアミド結合により、そしてXにアミド又はエステル結合により直接連結している]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、以下の一般式(XII):
【化13】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲の、アルキル鎖であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、セラミド、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、以下の一般式(XIII):
【化14】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、ジグリセリル、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、以下の一般式(XIV):
【化15】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、グリセロ脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、以下の一般式(XV):
【化16】

[式中、
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、グリセロ脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、以下の一般式(XVI):
【化17】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、前記脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、以下の一般式(XVII):
【化18】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖であり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、以下の一般式(XVIII):
【化19】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、以下の一般式(XIX):
【化20】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、以下の一般式(XX):
【化21】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が、以下の一般式(XXI):
【化22】

[式中、
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
は、水素或いは直鎖の、飽和、一不飽和、又は多不飽和の、2ないし30個の炭素原子の長さの範囲のアルキル鎖のいずれかであり;
Zは、無、コリン、リン酸塩、イノシトール、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、脂質、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン(chondrotin)硫酸、ケラチン、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸又はこれらの誘導体であるグリコサミノグリカンを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、グリコサミノグリカンの二及び三糖単位モノマーを含んでなるグリコサミノグリカンを含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、コンドロイチン−6−硫酸、コンドロイチン−4−硫酸又はこれらの誘導体であるコンドロイチン硫酸を含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、インタクトである前記グリコサミノグリカンの糖環を含んでなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
Lが、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンであり、そしてXが、ヘパリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
Lが、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンであり、そしてXが、コンドロイチン硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
Lが、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンであり、そしてXが、ヒアルロン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
Lが、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンであり、そしてXが、カルボキシメチルセルロースである、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
Lが、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンであり、そしてXが、ヒアルロン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、前記動物における有害な炎症性反応を軽減又は抑止する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、感染が前記患者であるの発生を、予防、治療、軽減し、その重度を軽減し、発症を遅延し、又は病変形成を軽減する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
以下の一般式(A):
【化23】

[式中、
Lは、脂質又はリン脂質であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造で表される化合物を、高いレベルの炎症誘発性ケモカイン、サイトカイン、又はこれらの組合せを持つ患者に投与する段階を含んでなる、炎症誘発性ケモカイン、サイトカイン、又はこれらの組合せの発現を減少するための方法。
【請求項35】
以下の一般式(A):
【化24】

[式中、
Lは、脂質又はリン脂質であり;
Zは、無、エタノールアミン、セリン、イノシトール、コリン、又はグリセロールのいずれかであり;
Yは、無又は2ないし30個の範囲の原子の長さのスペーサー基のいずれかであり;
Xは、生理学的に受容可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、又はポリマーであり、ここにおいて、Xは、グリコサミノグリカンであり;そして
nは、1ないし1000の数であり;
ここにおいて、L、Z、Y及びX間のいずれかの結合は、アミド又はエステル結合のいずれかである]
の構造によって表される化合物を、患者に投与する段階を含んでなる、ヒト気道上皮細胞系のNF−κB、IL−6、IL−8、又はこれらの組合せを活性化する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2013−67670(P2013−67670A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11660(P2013−11660)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2008−525110(P2008−525110)の分割
【原出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(508036190)モリア・バイオファーマシューティカルズ (2)
【出願人】(592024572)イッサム・リサーチ・ディベロップメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシティ・オブ・エルサレム・リミテッド (6)
【出願人】(506231799)ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (3)
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
【Fターム(参考)】