説明

回帰魚の稚魚生産方法

【課題】孵化期,養魚期,飼育期における稚魚の生産過程において、魚の成長に必要な時間情報を与えることで、稚魚の生存率、回帰率を高め、効率的に生産性を向上させる。
【解決手段】孵化飼養池1に給水管路10〜14を介して供給する生産水に1日相当の周期を有する温度変化を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さけ,ます等の回帰魚の増殖に際して、採卵・受精後の孵化期,養魚期,飼育期を経て放流前の稚魚を生産する回帰魚の稚魚生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
さけ,ます等の栽培漁業では、回帰してきた魚を捕獲し、必要に応じて成熟までの蓄養を行った後、採卵・受精を行って、受精された卵を孵化室(或いは孵化器)で育て、孵化直前の卵を養魚地に移して孵化した仔魚をそこで育て、泳ぎだした稚魚を飼育地に移して、そこで充分に育てた後、その稚魚を適当な時期に河川に放流している。
【0003】
例えば北海道沿岸に回帰するさけの場合には、秋さけを8月,9月の前期、10月頃の中期,11月,12月の後期に分けて捕獲・採卵し、水産庁さけ・ます資源管理センターなどで稚魚生産を行い、充分に成長した稚魚を4月から7月の間に河川に放流することが行われている。
【0004】
これに対して、これまでの研究で、さけ稚魚の生き残る割合が高い水温は、9.5〜12.5℃であることが確認され、北海道沿岸の場合には放流時の河川温又は海水温がこの水温帯になる6月上旬から7月上旬に放流を行う「集中放流方式」がより安定した回帰を期待できることが判ってきた。さけの回帰時期は、放流時期ではなく孵化時期で決まるため、「集中放流方式」であっても回帰時期が集中することはなく、回帰の集中で水揚げバランスを調整する心配がない。
【0005】
この「集中放流方式」を採用するためには、前期、中期、後期の異なる時期に捕獲・採卵された卵から生産される稚魚を同時期に同じ成長状態で放流することが求められており、下記特許文献1に記載された従来技術では、前期或いは中期に捕獲・採卵された卵からの稚魚生産に対しては、生産水の温度を低く制御して、孵化期,養魚期,飼育期の卵,仔魚或いは稚魚の成長を放流の時期に合わせて抑制することが行われている。また、下記特許文献1には、自然界の河川から採取した原水に対して一定の水温調整を行うことで、自然界の河川の水温変化と同様な温度変化を生産水に与えることが開示されている。
【特許文献1】特開2001−238560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
天然のさけ,ます等の回帰魚は、河川を遡上して比較的温度変化の少ない砂利下等の適当な場所で産卵,受精した後、孵化後の仔魚から稚魚に成長して浮上し、更に成長して河川を下ることになる。この間、比較的温度変化の少ない砂利下等に居る場合であっても、日中と日没後では水温が異なるので、1日周期の温度変化を受けながら卵から稚魚に至る成長を行っている。すなわち天然のさけ,ます等の回帰魚は1日周期の温度変化を時間情報として受けることで本来生物が持っている体内時計を働かせながら経過時間を把握した成長を行っている。そして、この経過時間を把握した上での成長によって適時期を誤らない回帰サイクルが実現可能になると考えることができる。
【0007】
これに対して、回帰魚の増殖では、採卵・受精後から孵化期,養魚期,飼育期を経て放流に至るまでの期間で、卵又は魚に人工的な環境を与えており、減り張りの効いた時間情報を受けない環境で卵から仔魚,稚魚に至る成長が行われることになる。これによって、所謂温室育ちのひ弱な稚魚を生産することになり、自然環境への適応性が低下して生存率や回帰率が低く成る問題があった。
【0008】
また、これまでの回帰魚の増殖では、効率的な生産を考えないで稚魚の絶対量を増やして生産量を上げることが考えられており、魚の成長に必要な本質的な事項を疎かにしているので、放流後の稚魚の生存率が低くなり、また回帰に繋がらない稚魚を生産することになって、生産経費の無駄遣いや一尾当たりの経費のかかり過ぎ等、効率的に生産性を上げることができない問題があった。
【0009】
前述した特許文献1に記載される従来技術では、生産水の温度を自然界の温度変動曲線に沿って変化させることは提示されているが、1日周期の温度変化を卵乃至稚魚に与える時間情報としてはとらえておらず、これを利用した新たな成長抑制又は促進制御までは考えられてない。
【0010】
本発明は、このような事情に対して提案されたものであって、孵化期,養魚期,飼育期における稚魚の生産過程において、魚の成長に必要な時間情報を与えることで、稚魚の生存率、回帰率を高め、効率的に生産性を向上させることができる回帰魚の増殖を可能にすること、回帰魚が本来持っている体内時計を利用して、稚魚生産時に与える時間情報を制御することで、稚魚の成長をコントロールすることができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために本発明は、採卵・受精後の孵化期,養魚期,飼育期を経て河川に放流前の稚魚を生産する回帰魚の稚魚生産方法であって、孵化期,養魚期,飼育期の一部又は全てで使用する生産水に、任意に設定できる1日相当周期の温度変化を付与することを特徴とする。
【0012】
また前述した特徴に加えて、前記生産水に付与される温度変化は、放流する河川又はその周辺の外気の温度変化の日変動振幅を一定比率で縮小した振幅を有することを特徴とする。
【0013】
また前述した特徴に加えて、前記生産水に付与される温度変化は、一周期の平均温度を放流する河川又はその周辺の外気の温度変化の日平均に応じて制御することを特徴とする。
【0014】
また前述した特徴に加えて、前記飼育期における生産水の温度を放流前に放流する河川の温度に一致させることを特徴とする。
【0015】
また前述した特徴に加えて、前記生産水に付与される温度変化の周期を1日に対して短く設定することで、稚魚の成長を促進させることを特徴とする。
【0016】
また前述した特徴に加えて、前記生産水に付与される温度変化の周期を1日に対して長く設定することで、稚魚の成長を抑制させることを特徴とする。
【0017】
また前述した特徴に加えて、前記生産水に付与される温度変化は、高温水と低温水とを切り換えながら供給して生産水を生成する三方弁の切換タイミングを周期的に制御することによって形成することを特徴とする。
【0018】
また前述した特徴に加えて、前記生産水に付与される温度変化は、過去の稚魚生産時に行った生産水の温度変化データに基づいて設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このような特徴を有する本発明は、さけ・ます等の回帰魚の増殖において、採卵・受精後の孵化期,養魚期,飼育期を経て河川に放流する前の人工的な稚魚生産に際して、孵化期,養魚期,飼育期の一部又は全てで使用する生産水に任意に設定できる1日相当周期の温度変化を付与するので、この温度変化によって時間情報が成長過程の魚に与えられることになり、魚は本来生物が持っている体内時計を働かせながら与えられた時間情報を基に経過時間を把握した成長を行うことができる。すなわち、人工的な稚魚の生産に天然の稚魚の成長と同様の情報を与えることができるので、魚の成長に適する環境が外敵要因を排除した人工的な環境の中に組み込まれることになり、放流後に高い生存率を得ると共に、高い回帰率を得る稚魚生産を行うことが可能になる。
【0020】
生産水に与える温度変化の周期を適宜設定することによって、生産水の平均温度の上下のみによる成長制御(抑制又は促進)に比べて、魚が本来持っている体内時計を利用した生体反応に基づく成長制御を行うことができるので、魚に無理な環境を与えることなく成長の抑制又は促進を行うことができる。
【0021】
成長の抑制を行う場合には、生産水に付与される温度変化の周期を1日(24時間)に対して長く設定する。これによって魚は1日を実際より長く感じて通常より遅く成長することになる。逆に、成長の促進を行う場合には、生産水に付与される温度変化の周期を1日に対して短く設定する。これによって魚は1日を実際より短く感じて通常より早く成長することになる。
【0022】
生産水に付与する温度変化を、放流する河川又はその周辺外気の温度変化の日変動振幅を一定比率で縮小した振幅にすることで、天然の生産水温度変化に近い環境を人工的に造ることができ、逞しい天然魚に近い成長を得ることができる。
【0023】
飼育期における生産水の温度を放流前に放流する河川の温度に一致させることによって、放流時に魚に急激な温度段差(温度ショック)を与えることを防ぐことができる。これによっても高い生存率と回帰率を得ることができる。
【0024】
また、生産水に付与される温度変化は、過去の稚魚生産時に行った生産水の温度変化データに基づいて設定することもできる。これによると、生産水の温度変化データと回帰率との相関関係を統計的にとっておき、過去の回帰率が高かった時のデータを利用して生産水に最適な温度変化を付与することで、地球温暖化等の気象変化に影響されない高い回帰率を実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る回帰魚の稚魚生産方法を実行するためのシステム構成を示した説明図である。このシステムは、さけやます等の回帰魚の卵や稚魚が収容された孵化飼養池1と、河川や海などの給水源(図示せず)からの原水を加熱又は冷却する加熱・冷却手段2と、冷却した原水を蓄水する冷水槽3と、加熱した原水を蓄水する温水槽4と、冷水槽3からの低温水と温水槽4からの高温水とを切り換えながら供給して生産水を生成する三方弁5とを備えている。
【0026】
給水源からの原水は、給水管路10とそれから分岐した給水管路11を通ってそれぞれ冷水槽3,温水槽4に供給され、冷水槽3,温水槽4から給水管路12,13を介して三方弁5に導かれ、三方弁5を介して給水管路14を通って孵化飼養池1に供給される。給水管路10,11にはそれぞれ給水ポンプ20,21及び流量調整バルブ22,23が必要に応じて設けられる。
【0027】
孵化飼養池1とは、例えば孵化期で使用する孵化槽(或いは孵化器)、養魚期で使用する養魚池、飼育期で使用する飼育池、養魚段階及び飼育段階での兼用池やその他の水槽又は自然池などを含み、これら孵化槽や養魚池などを同じ場所に複数個設け、卵の成長段階に合わせて例えば孵化が完了した時点で孵化槽から養魚池又は兼用池へ移し替える場合、稚魚の成長段階に合わせて養魚池から飼育池に移し替える場合等を含むものである。即ち、孵化期,養魚期,飼育期の一部又は全てで使用する槽(又は池)を総称したものである。
【0028】
そして、給水管路14を経由して孵化飼養池1に供給される水が孵化期,養魚期,飼育期の一部又は全てで使用される生産水である。この生産水は孵化飼養池1内に溜められ、卵や稚魚に直接触れることになる。なお、ここでいう稚魚とは、孵化後の仔魚から放流までの稚魚を全て含むものとする。
【0029】
加熱・冷却手段2は、例えばヒートポンプであり、給水管路10の途中に設けた熱交換部2A(蒸発器)と、給水管路11の途中に設けた熱交換部2B(凝縮器)と、これら両者に亘って設けた圧縮・膨張部2Cとを備える。熱交換部2A(蒸発器)は、圧縮・膨張部2Cから供給された熱交換ガスを気化して、原水を冷却するものであり、熱交換部2B(凝縮器)は、圧縮・膨張部2Cから供給された熱交換ガスを凝縮して、原水を加熱するものである。
【0030】
孵化飼養池1には、卵や稚魚が直接流れ出ないように排水口1Aを開設し、この排水口1Aには排水管路15が配管接続され、この排水管路15の先端を槽外に連通させ、槽内の生産水を排水口1Aから排水して全ての生産水が入れ替わるようにしている。
【0031】
以下に、制御手段6の機能と共に本発明の実施形態に係る回帰魚の稚魚生産方法を説明する。図1に示すように、制御手段6は、周辺外気又は河川水の温度を検知する温度センサ60で検知された情報(気温,水温)が入力され、三方弁5の切り換え、加熱・冷却手段2の作動、給水ポンプ20,21の作動を制御するものである。孵化飼養池1に供給される生産水に周期的な温度変化を付与するには、三方弁5を周期的に切り換えることで、温水と冷水を交互に生産水に合流させて周期的な温度変化を付与する。
【0032】
制御手段6は、温度センサ60の検出情報に基づいて、過去又は現在の外気温或いは河川水温の変動データから生産水の変動パターンを生成することができる。また、回帰率データとの相関をとった過去の生産水の変動パターンデータから今回制御する生産水の変動パターンを生成するようにしてもよい。
【0033】
過去又は現在の外気温或いは河川水温の変動データから生産水の変動パターンを生成する場合には、例えば、放流する河川又はその周辺の外気の温度変化の日変動振幅を一定比率で縮小した振幅を有し、一周期の平均温度を放流する河川又はその周辺の外気の温度変化の日平均に対応させた温度変化を生産水に付与する。これによって生産水を天然の稚魚が成長する環境に近い状態にすることができる。
【0034】
回帰率データとの相関をとった過去の生産水の変動パターンデータから今回制御する生産水の変動パターンを生成する場合には、例えば、過去の稚魚生産時に行った生産水の温度変化データに基づいて変動パターンを設定し、高い回帰率が得られるようにコンピュータシミュレーションしたデータを生成することができる。
【0035】
一方、加熱・冷却手段2の加熱又は冷却程度を調整することで、孵化飼養池1に供給する生産水のベース温度を調整することができる。生産水のベース温度は、例えば、季節に応じて変化する外気温の緩やかな変動に合わせて制御することで、放流時の河川水温を考慮して稚魚の成長に適した状況を形成する。最終的に放流直前に生産水の温度を放流先の河川水温に一致させることで、放流前後で稚魚が大きな温度変化によるショックを受けることを防止することができる。
【0036】
生産水に1日相当周期の温度変化を付与するには、温度変化周期の設定と温度変化振幅の設定を行う。具体的には、三方弁5を設定周期で切り換えることで、温水を給水管路14に供給する場合と、冷水を給水管路14に供給する場合とを周期的に切り換える。これによって、生産水には図2に示すような周期的な温度変化が付与されることになる。1周期は1日(T=24時間)に設定することもできるし(同図(a))、1日に対して長く設定することも(T<T:同図(b))、1日に対して短く設定することもできる(T>T:同図(c))。
【0037】
1周期を1日に対して長く設定した場合には、稚魚は生産水の温度変化から受ける時間情報によって1日を実際より長く感じることになり、それによって成長速度を遅らせることになる。また、1周期を1日に対して短く設定した場合には、稚魚は生産水の温度変化から受ける時間情報によって1日を実際より短く感じることになり、それによって成長速度を速めることになる。
【0038】
図3は、生産水の温度制御例を示した説明図である。孵化期,養魚期,飼育期を経て放流するまでの生産水のベース温度を同図(a)のように制御し、これに対して周期的な温度変化を同図(b)に示すように付加する。同図(a)に示すように、生産水のベース温度は、採卵・受精後の孵化期初期には外気温の変化に沿って変化する河川水温度と一致するように制御し、その後は、河川水温に対して高くなり河川水温の平均温度変化に沿ってなだらかに変化するように制御し、放流直前には河川水温と一致するように制御する。そして、同図(b)に示すように、生産水の周期温度変化は、1日周期Tで変動する河川水温の振幅を所定の比率で縮小するように変動制御する。
【0039】
これによると、人工的な稚魚育成を行うための生産水に季節的な温度変化が付与されると共に、日変動の周期的な温度変化が付与されることになり、天然の稚魚が成長過程で受ける時間情報を人工の稚魚育成における生産水に付与することができる。これによって、付与された時間情報によって本来生物が持っている体内時計が刺激されることになり、人工的に育成される稚魚に天然の稚魚と同様の自然環境に適した成長を促すことができ、放流後の成長率の向上或いはその後の回帰率の向上を得ることが可能になる。
【0040】
図4〜図6は、本発明の他の実施形態を示した説明図である。前述した実施形態と共通する箇所は同一符号を付して重複説明を省略する。図4及び図5に示した例は、加熱・冷却手段2で冷却された生産水を一方の孵化飼養池1に供給して、低温水によって稚魚の成長を抑制する抑制用水槽とし、加熱・冷却手段2で加熱された生産水を他方の孵化飼養池1に供給して、高温水によって稚魚の成長を促進する促進用水槽とする。そして、生産水の周期的な温度変化を、図4に示した例では、加熱・冷却手段2の作動制御手段61、例えばインバータによる回転数制御等によって行い、図5に示した例では、制御バルブ30,31の制御による供給水量変動によって行う。
【0041】
図4及び図5に示した例では、生産水の平均的な温度を低温又は高温にすることで稚魚の成長の抑制又は促進を行う際に、その生産水に天然環境に近い1日相当周期の温度変化を付与することができるので、成長をコントロールした稚魚生産においても魚の成長に必要な時間情報を与えることができ、稚魚の生存率や回帰率を向上させることができる。
【0042】
図6は、より簡単なシステム構成によって、生産水に1日相当周期の温度変化を付与する構成例を示したものである。ここでは、温度の異なる原水、例えば、地下水と河川水を用いて、地下水を冷水、河川水を温水として、これらを三方弁5で周期的に切り換えながら供給することで、周期的な温度変化を付与するものである。これによると、特に熱源を用いることなく必要な温度変化を付与することができるので、システムを安価に構築できると共にランニングコストを低減することができる。
【0043】
以上説明したように、本発明によると、孵化期,養魚期,飼育期における稚魚の生産過程において、魚の成長に必要な時間情報を与えることで、稚魚の生存率、回帰率を高め、効率的に生産性を向上させることができる回帰魚の増殖が可能になる。また、回帰魚が本来持っている体内時計を利用して、稚魚生産時に与える時間情報を制御することで、効果的に稚魚の成長をコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る回帰魚の稚魚生産方法を実行するためのシステム構成を示した説明図である。
【図2】本発明の実施形態における温度変化周期設定を示す説明図である。
【図3】生産水の温度制御例を示した説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る回帰魚の稚魚生産方法を実行するためのシステム構成を示した説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る回帰魚の稚魚生産方法を実行するためのシステム構成を示した説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る回帰魚の稚魚生産方法を実行するためのシステム構成を示した説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1:孵化飼養池,2:加熱・冷却手段,3:冷水槽,4:温水槽,5:三方弁,
6:制御手段,60:温度センサ,10〜14:給水管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採卵・受精後の孵化期,養魚期,飼育期を経て河川に放流前の稚魚を生産する回帰魚の稚魚生産方法であって、
孵化期,養魚期,飼育期の一部又は全てで使用する生産水に、任意に設定できる1日相当周期の温度変化を付与することを特徴とする回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項2】
前記生産水に付与される温度変化は、放流する河川又はその周辺の外気の温度変化の日変動振幅を一定比率で縮小した振幅を有することを特徴とする請求項1に記載された回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項3】
前記生産水に付与される温度変化は、一周期の平均温度を放流する河川又はその周辺の外気の温度変化の日平均に応じて制御することを特徴とする請求項1又は2に記載された回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項4】
前記飼育期における生産水の温度を放流前に放流する河川の温度に一致させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項5】
前記生産水に付与される温度変化の周期を1日に対して短く設定することで、稚魚の成長を促進させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項6】
前記生産水に付与される温度変化の周期を1日に対して長く設定することで、稚魚の成長を抑制させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項7】
前記生産水に付与される温度変化は、高温水と低温水とを切り換えながら供給して生産水を生成する三方弁の切換タイミングを周期的に制御することによって形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された回帰魚の稚魚生産方法。
【請求項8】
前記生産水に付与される温度変化は、過去の稚魚生産時に行った生産水の温度変化データに基づいて設定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された回帰魚の稚魚生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−284828(P2009−284828A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140761(P2008−140761)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(594095246)
【Fターム(参考)】