説明

回路遮断器

【課題】収納部の開口部から回路遮断器内部への異物の進入を防止し、この異物の進入による故障を防止することができる回路遮断器を提供する。
【解決手段】回路遮断器はカバー1の収納部3の内側から操作ハンドル5側に連通する開口部6をリセット部材7により閉塞して回路遮断器内部への異物の進入を防止する。リセット部材7は操作ハンドル5の操作方向に摺動自在に設けられ、第1係止部7aが操作ハンドル5に係止し、第2係止部7bが付属装置2のリセット部2aに係止し、操作ハンドル5をリセット操作することによってリセット部材7を介して付属装置2をリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属装置である電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置を装着した回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
遮断器ケースのカバーの表面に凹状の収納部が形成された回路遮断器は、電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置等の付属装置が装着できるようになっている。電圧引き外し装置は遠隔からの操作によって電圧を印加することにより作動し、回路遮断器の開閉機構部を動作させて主電路を遮断するためのものであり、不足電圧引き外し装置は主電路の電圧が所定電圧以下となったときに作動し、回路遮断器の開閉機構部を動作させて主電路を遮断するためのものであり、これらの付属装置は作動後にリセットを行う必要がある。リセットの方法には回路遮断器の操作ハンドルの操作により行う方法があり、この方法では操作ハンドルと付属装置のリセット部が直接係合する構造なので収納部は操作ハンドル側に開口部が形成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−151424号公報(p.7、第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、従来の回路遮断器は収納部の蓋を開放した際に蓋の上に溜まったゴミや塵埃等の異物が収納部の開口部から回路遮断器の内部に進入する虞があり、この異物によって回路遮断器が故障する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載の発明によれば、カバーとベースとで遮断器ケースを構成し、カバーに形成された収納部にカセット式の電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置を装着し、電路を開閉操作するためにカバーから突出して設けられた操作ハンドルの操作によって電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置をリセットする回路遮断器において、収納部の内側から操作ハンドル側に連通する開口部に、操作ハンドルに係止する第1係止部と、電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置のリセット部に係止する第2係止部とを有するリセット部材を開口部が閉塞するように操作ハンドルの操作方向に摺動自在に設け、操作ハンドルによってリセット操作した際にリセット部材を介して電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置をリセットするようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の回路遮断器において、カバーの裏面に垂設された極間を絶縁するための二重壁の一部を切り欠き、前記二重壁の両壁間に前記リセット部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の回路遮断器によれば、カバーとベースとで遮断器ケースを構成し、カバーに形成された収納部にカセット式の電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置を装着し、電路を開閉操作するためにカバーから突出して設けられた操作ハンドルの操作によって電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置をリセットする回路遮断器において、収納部の内側から操作ハンドル側に連通する開口部に、操作ハンドルに係止する第1係止部と、電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置のリセット部に係止する第2係止部とを有するリセット部材を開口部が閉塞するように操作ハンドルの操作方向に摺動自在に設け、操作ハンドルによってリセット操作した際にリセット部材を介して電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置をリセットするようにしたことにより、収納部の開口部から回路遮断器内部への異物の進入を防止し、この異物の進入による回路遮断器の故障を防止することができるという効果がある。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の回路遮断器において、カバーの裏面に垂設された極間を絶縁するための二重壁の一部を切り欠き、二重壁の両壁間にリセット部材を設けたことにより、回路遮断器のカバーの形状を利用してリセット部材を取り付けることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
回路遮断器はカバーの収納部の内側から操作ハンドル側に連通する開口部をリセット部材により閉塞して回路遮断器内部への異物の進入を防止する。リセット部材は操作ハンドルの操作方向に摺動自在に設けられ、第1係止部が操作ハンドルに係止し、第2係止部が付属装置のリセット部に係止し、操作ハンドルをリセット操作することによってリセット部材を介して付属装置をリセットする。
【実施例1】
【0010】
本発明に係る回路遮断器の実施例1を図1〜図7の添付図面に基づいて説明する。
【0011】
回路遮断器は、絶縁材料により形成されたベース(図示せず)とカバー1とで遮断器ケースを構成し、カバー1の表面には電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置等の付属装置2を収納するための凹状の収納部3が形成され、収納部3の前面には収納部3を閉塞するための蓋4が開閉自在に設けられる。また、カバー1は電路を開閉操作するための操作ハンドル5が略中央部から突出して設けられる。
【0012】
カバー1は収納部3の内側から操作ハンドル5側に連通する開口部6が形成され、この開口部6にリセット部材7が設けられる。リセット部材7は板状であり、操作ハンドル5に係止する凸状の第1係止部7aが一方の面に形成され、付属装置2のリセット部2aに係止する凹状の第2係止部7bが長手方向の一端縁を切り欠いて形成されている。
【0013】
カバー1の裏面には各極間を絶縁するための二重壁8,9が垂設され、この回路遮断器は3極なので2箇所に形成されている。このうち収納部側の二重壁8は、一方の壁8aが収納部3に連続して形成されている。即ち、一方の壁8aには収納部3の開口部6が形成されている。また、二重壁8の他方の壁8bには収納部3の開口部6から操作ハンドル5側に連通するために開口部10が切り欠き形成され、この二重壁8の他方の壁8bの開口部10は収納部3の開口部6と奥行き方向に段違いになるように形成されている。
【0014】
リセット部材7は第1係止部7aが操作ハンドル5側となるようにし、且つ、第2係止部7bがカバー1の表面側となるようにして二重壁8の両壁8a,8b間に嵌挿され、操作ハンドル5の操作方向に摺動自在に取り付けられる。こうして収納部3の開口部6には第2係止部7bが位置し、二重壁8の他方の壁8bの開口部10には第1係止部7aが位置し、収納部3の開口部6はリセット部材7によって完全に閉塞されるようになっている。これにより、第1係止部7aは操作ハンドル5に係止し、操作ハンドル5を操作することによってリセット部材7は摺動する。尚、リセット部材7は第1係止部7aの周囲に形成した段部7cが開口部10の縁に当接することによって摺動範囲が規制されている。
【0015】
カバー1の収納部3の上下には付属装置2を取り付けるための係合孔12,13が形成され、また、収納部3から下方に向けて伸びる挿通孔14が形成されている。この挿通孔14は付属装置2が作動した際に回路遮断器1の開閉機構部(図示せず)を作動させるためのL字形の引き外し片2bが挿通するためのもので、付属装置2は引き外し片2bを収納部3の挿通孔10に挿通するようにし、且つ、リセット部2aをリセット部材7の第2係止部7bに嵌めるようにして、付属装置2の引き外し片2bと同じ面に形成した係合部2cを収納部3の下側の係合孔12に係合させ、係合部2cと反対面に形成した弾性係合部2dを収納部3の上側の係合孔13に係合させて収納部3に収納する。
【0016】
付属装置2は図5の正面図においてリセット部2aが実線で示すように下側に位置するときは作動可能にセットされたオン状態であり、2点鎖線で示すように上側に位置するときは作動後のオフ状態である。また、図6に示すように操作ハンドル5が実線で示すオン位置又は2点鎖線で示すトリップ位置にあるとき、リセット部材7は上側に位置し、図7に示すように操作ハンドル5が実線で示すオフ位置又は2点鎖線で示すリセット位置にあるとき、リセット部材7は下側に位置する。
【0017】
従って、付属装置2がオンにセットされ、操作ハンドル5がオンの状態で付属装置2が作動すると、引き外し片2bが付属装置2内に引き込まれ、引き外し片2bに係止した回路遮断器1の開閉機構部を作動させ、主電路を遮断する。このとき、付属装置2のリセット部2aは上側に位置し、操作ハンドル5はトリップ位置に位置する。ここから、付属装置2をリセットするには、操作ハンドル5をリセット位置になるまで指で押し下げる。すると、操作ハンドル5に連動してリセット部材7が下側に移動し、付属装置2のリセット部2aが下側に押し下げられるのでリセットされる。操作ハンドル5は指を離すとバネ(図示せず)の力によってオフ位置まで戻る。それから、回路遮断器1の操作ハンドル5をオン位置まで押し上げて復帰させる。このとき、リセット部材7の第2係止部7bの切り欠き長さは付属装置2のリセット部2aがオン・オフできるだけの長さを有しているので、付属装置2のリセット部2aは押し上げられることはなく、オン位置で保持される。
【0018】
尚、リセット部材の形状について、第1係止部及び第2係止部は操作ハンドルと付属装置のリセット部に夫々係止する形状であって、且つ、収納部の開口部を閉塞する形状であれば良く、例えば、第1係止部及び第2係止部の両方を凸状に形成したり、リセット部材の一方の面に凸状の第1係止部を形成して他方の面に凹状の第2係止部を形成する等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更して実施することも可能である。
【0019】
また、カバーの開口部の形状についても、本実施例においては収納部の開口部と二重壁の他方の壁の開口部とを段違いに形成したが、二重壁をなくして収納部の開口部の近傍に溝を形成してリセット部材を摺動自在に形成する等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る回路遮断器の蓋を外したカバーを表面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る回路遮断器の蓋を外したカバーを裏面側から見た斜視図である。
【図3】本発明に係るリセット部材を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る回路遮断器の蓋を外したカバーの正面図である。
【図5】本発明に係る付属装置の正面図である。
【図6】図4のA−A線断面図に蓋と操作ハンドルを設けたものであり、操作ハンドルがオン又はトリップ位置における状態を示す。
【図7】図4のA−A線断面図に蓋と操作ハンドルを設けたものであり、操作ハンドルがオフ又はリセット位置における状態を示す。
【符号の説明】
【0021】
1 カバー
2 付属装置
3 収納部
5 操作ハンドル
6 開口部
7 リセット部材
7a 第1係止部
7b 第2係止部
8 二重壁
10 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーとベースとで遮断器ケースを構成し、前記カバーに形成された収納部にカセット式の電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置を装着し、電路を開閉操作するために前記カバーから突出して設けられた操作ハンドルの操作によって前記電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置をリセットする回路遮断器において、前記収納部の内側から前記操作ハンドル側に連通する開口部に、前記操作ハンドルに係止する第1係止部と、前記電圧引き外し装置又は前記不足電圧引き外し装置のリセット部に係止する第2係止部とを有するリセット部材を前記開口部が閉塞するように前記操作ハンドルの操作方向に摺動自在に設け、前記操作ハンドルによってリセット操作した際に前記リセット部材を介して前記電圧引き外し装置又は不足電圧引き外し装置をリセットするようにしたことを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記カバーの裏面に垂設された極間を絶縁するための二重壁の一部を切り欠き、前記二重壁の両壁間に前記リセット部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate