説明

回転コネクタ

【課題】ケーブル装着部に対してコネクタ接続部が回転・ロック可能な回転コネクタを提供する。
【解決手段】筒状であり、ケーブルが装着されるケーブル装着部と、所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、上記ケーブル装着部に向けて引き付けかつ上記ケーブル装着部に押圧することで、上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、を備え、上記ケーブル装着部は、コネクタボトム2とコネクタミドル3とを含み、また、上記コネクタ接続部は、コネクタヘッド5と相手取付用ナット6とを含み、上記回転ロック部は、ロックナット4とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル装着部に対してコネクタ接続部が回転・ロック可能な回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの先端に取り付けられるコネクタにはL形コネクタと呼ばれるものがある。L形コネクタは、例えば、携帯電話基地局用アンテナと基地局の通信機器とを接続する際に、両者を繋ぐ同軸ケーブルに取り付けられる。L形コネクタは、ストレートタイプのコネクタではケーブルの曲げを十分に確保できないようなスペースの限られる場合に用いられる。
【0003】
図9に示されるように、従来のL形コネクタ91は、同軸ケーブル92が挿入されるコネクタボトム93(ケーブル装着部)と、通信機器などの接続相手のコネクタに装着されるコネクタヘッド(本体)94(コネクタ接続部)とを備える。
【0004】
コネクタボトム93は、真っ直ぐに伸びた円筒状であり、基端部(図の右側)に同軸ケーブル92が挿入されるケーブル入口を有し、先端部(コネクタヘッド94内に入っている)の外周にネジを有する。
【0005】
コネクタヘッド94は、基端部と先端部(図の左側)との間でL字状に屈曲された円筒状であり、基端部の内周にコネクタボトム93のネジと螺合するネジを有し、先端部に接続相手のコネクタに挿入される相手接続部95を有する。
【0006】
以上のように、コネクタボトム93とコネクタヘッド94は、ネジを螺合することにより互いに固定される。
【0007】
【特許文献1】特開2002−75551号公報
【特許文献2】特開2003−45585号公報
【特許文献3】特開2005−63738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のL形コネクタ91は、コネクタヘッド94がコネクタボトム93に固定される。アンテナを設置する現場では、同軸ケーブル92は数本単位で施工され、L形コネクタ91が取り付けられる。その際に各同軸ケーブル92は、L形コネクタ91の相手接続部95が様々な方向を向く。
【0009】
L形コネクタ91を接続相手のコネクタに取り付けるには、接続相手のコネクタに相手接続部95を向ける必要がある。従来は、図10に示されるように、L形コネクタ91を取り付けた同軸ケーブル92の端部より数m手前(図の右側)において同軸ケーブル92を曲線矢印で示すように捻ることにより、L形コネクタ91全体を同軸ケーブル92の中心軸Cの周りに回して、相手接続部95の方向を所望の方向にする。
【0010】
この同軸ケーブル92を接続相手に接続する際には、L形コネクタ91の相手接続部95を痛めないように注意しながら接続相手のコネクタに相手接続部95を挿入している。
【0011】
しかし、従来のL形コネクタ91は、同軸ケーブル92を捻ることになるため、同軸ケーブル92に負荷が生じてしまう。
【0012】
また、従来のL形コネクタ91は、相手接続部95の方向を所望の方向に合わせる作業が簡単でなく、余分な手間がかかる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ケーブル装着部に対してコネクタ接続部が回転・ロック可能な回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、筒状であり、ケーブルが装着されるケーブル装着部と、所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、を備えるものである。
【0015】
また、本発明は、筒状であり、ケーブルが装着されるケーブル装着部と、所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、上記ケーブル装着部に向けて引き付けかつ上記ケーブル装着部に押圧することで、上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、を備えるものである。
【0016】
上記ケーブル装着部は、筒状であり、基端部にケーブルが挿入されるケーブル入口を有し、先端部の外周にネジを有するコネクタボトムと、筒状であり、基端部の内周に上記コネクタボトムのネジと螺合するネジを有し、基端部と先端部との中間部の外周にネジを有し、先端部が中間部より外径が小さいことにより、先端部と中間部との間に段差部を有するコネクタミドルと、を含み、上記回転ロック部は、筒状であり、基端部の内周に上記コネクタミドルの外周のネジと螺合するネジを有し、内周に突起を有するロックナット、を含み、上記コネクタ接続部は、基端部と先端部との間に屈曲部を有する筒状であり、基端部に上記コネクタミドルの先端部が回転自在に嵌合されるコネクタミドル嵌合部を有し、基端部の外周に上記ロックナットの突起に係合する突起を有し、先端部に接続相手のコネクタに挿入される相手接続部を有するコネクタヘッド、を含み、上記コネクタヘッドの突起が上記ロックナットの突起と上記コネクタミドルの段差部との間に挟まれたとき、上記コネクタヘッドの基端部に対する上記コネクタミドルの先端部の回転がロックされてもよい。
【0017】
上記コネクタヘッドの屈曲部は、上記コネクタヘッドの基端部に対して先端部が直角に向くよう屈曲していてもよい。
【0018】
筒状であり、上記コネクタヘッドの先端部に回転自在に保持され、上記相手接続部の外径より内径が大きく、内周に接続相手のコネクタのネジと螺合するネジを有する相手取付用ナットを備えてもよい。
【0019】
上記コネクタヘッドは、上記コネクタヘッドの先端部から基端部に至る中心導体を有してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0021】
(1)コネクタヘッドが回転可能となる。
【0022】
(2)コネクタヘッドがロック可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0024】
図1に示されるように、本発明に係る回転コネクタ1は、筒状であり、ケーブルが装着されるケーブル装着部と、所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、上記ケーブル装着部に向けて引き付けかつ上記ケーブル装着部に押圧することで、上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、を備え、上記ケーブル装着部は、コネクタボトム2とコネクタミドル3とを含み、また、上記コネクタ接続部は、コネクタヘッド5と相手取付用ナット6とを含み、上記回転ロック部は、ロックナット4とを含む。
【0025】
なお、これらコネクタボトム2、コネクタミドル3、ロックナット4、コネクタヘッド5、相手取付用ナット6は、いずれもステンレス等の金属からなる。
【0026】
コネクタボトム2は、真っ直ぐに伸びた円筒状である。コネクタボトム2は、基端部(図示右側を基端部、左側を先端部とする。ただし、屈曲している場合は下側が先端部となるよう図示する。)2aに同軸ケーブル7が挿入されるケーブル入口8を有する。ケーブル入口8は、同軸ケーブル7の外装被覆9の外径より内径が大きい。コネクタボトム2のケーブル入口8から先端部方向に入った中間部に、同軸ケーブル7の外部導体10が挿入される外部導体挿入口11を有する。外部導体挿入口11は、外部導体10の外径と内径がほぼ同じである。ケーブル入口8には、ケーブル入口8の内周と同軸ケーブル7の外装被覆9との隙間に弾性を有するOリング12が詰め込まれる。コネクタボトム2は、先端部2cの外周にネジ13を有する。
【0027】
コネクタミドル3は、真っ直ぐに伸びた円筒状である。コネクタミドル3は、基端部3aの外径が最も大きく、中間部3bの外径は基端部3aの外径より小さく、先端部3cの外径が最も小さい。コネクタミドル3は、基端部3aの内周にコネクタボトム2の先端部2cの外周のネジ13と螺合するネジ14を有する。この螺合により、コネクタミドル3とコネクタボトム2とを相互に固定することができる。コネクタミドル3は、中間部3bの外周にネジ15を有する。コネクタミドル3は、内部に同軸ケーブル7の外部導体10が当接されるストッパ16を有する。ストッパ16は、先端部3cの内周からさらに径を狭めるように突き出しており、基端方向から見ると、同軸ケーブル7の外部導体10より径が小さく内部導体17より径が大きい円孔18を有する。円孔18は、同軸ケーブル7の絶縁スペーサ19より径が大きくてもよい。
【0028】
コネクタミドル3は、先端部3cが中間部3bより外径が小さいことにより、先端部3cと中間部3bとの間に段差部3dを有する。
【0029】
ロックナット4は、真っ直ぐに伸びた円筒状である。ロックナット4は、基端部4aの内周にコネクタミドル3の中間部3bの外周のネジ15と螺合するネジ20を有する。ロックナット4は、内周に突起21を有する。
【0030】
コネクタヘッド5は、基端部5aと先端部5cとの間に屈曲部5bを有する円筒状である。本実施形態の屈曲部5bは、基端部5aに対して先端部5cが直角に向くよう屈曲している。すなわち、基端部5aの中心軸Cと先端部5cの中心軸Rが垂直に交わる。このため、先端部5cの向きとは異なる方向からコネクタヘッド5を見ると、コネクタヘッド5はL字状を呈する。
【0031】
コネクタヘッド5は、基端部5aにコネクタミドル3の先端部3cが中心軸Cの周りに回転自在に嵌合されるコネクタミドル嵌合部5dを有する。これにより、コネクタミドル3とコネクタヘッド5は、相対的に中心軸Cの周りに回転させることができる。コネクタヘッド5は、基端部5aの外周にロックナット4の突起21に係合する突起22を有する。突起22は、基端部5aの最基端にある。突起22と段差部3dとの間には、コネクタミドル3の先端部3cに嵌めたOリング23が挟まれている。コネクタヘッド5は、基端部5aの外周にロックナット4の突起21に係合するもうひとつの突起24を有する。突起24は、突起22より屈曲部5bに近い位置にあり、突起22と突起24との間にロックナット4の突起21が位置する。
【0032】
コネクタヘッド5は、先端部5cに接続相手のコネクタに挿入される相手接続部25を有する。相手接続部25は真っ直ぐな円筒状であり、内部に絶縁キャップ26が嵌め込まれている。コネクタヘッド5は、先端部5cから基端部5aに至る中心導体27を有する。詳しくは、先端部5cの中心軸Rに先端部中心導体27cがあり、先端部中心導体27cは屈曲部5b内の中心軸Cに交わる位置から絶縁キャップ26を貫通して相手接続部25の最先端まで伸び、先端部中心導体27cの最先端は針状を呈している。一方、基端部5aの中心軸Cに基端部中心導体27aがあり、基端部中心導体27aは中心軸Rに交わる位置から基端部5aの最基端まで伸びている。基端部中心導体27aの最基端は、コネクタミドル3のストッパ16の近傍にあり、基端方向から見ると、円孔18の中心に位置している。基端部中心導体27aは、基端側において中空円筒状であり、周方向複数箇所配置され最基端から先端方向へ伸びたスリット29を有する。スリット29は、基端部中心導体27aの最基端を板バネとし、基端部中心導体27a内に同軸ケーブル7の内部導体17を円滑に挿入し、かつ、良好な電気的接触を確保できるよう設けたものである。基端部中心導体27aは先端側で充実な円柱状となっている。基端部中心導体27aと先端部中心導体27cは、銅を主成分とする良導体の金属に金めっきを施してなる。
【0033】
相手取付用ナット6は、真っ直ぐに伸びた円筒状である。相手取付用ナット6は、コネクタヘッド5の先端部5cに中心軸Rの周りに回転自在に保持されている。相手取付用ナット6は、相手接続部25の外径より内径が大きい。相手取付用ナット6は、内周に接続相手のコネクタのネジと螺合するネジ28を有する。
【0034】
図2に示されるように、コネクタボトム2の基端部2aは、円筒状外周面の一部に平面部40を有する。平面部40は図の裏面(中心軸Cの周りに180°反対側)にもある。これら外周面上で対向する2つの平面部40は、コネクタボトム2を工具又は手で把持するときの滑り止めとなる。また、平面部40は、コネクタボトム2が他の部材に対して中心軸Cの周りに回っているかどうか及びその角度を確認する指標となる。
【0035】
コネクタミドル3の基端部3aは、円筒状外周面の一部に平面部41を有する。平面部41は図の裏面(中心軸Cの周りに180°反対側)にもある。これら外周面上で対向する2つの平面部41は、コネクタミドル3を工具又は手で把持するときの滑り止めとなる。また、平面部41は、コネクタミドル3が他の部材に対して中心軸Cの周りに回っているかどうか及びその角度を確認する指標となる。
【0036】
ロックナット4は、円筒状外周面に等円周角ピッチで配置された6つの平面部42を有する。これら平面部42は、ロックナット4を工具又は手で把持し螺合させるときの滑り止めとなる。
【0037】
コネクタヘッド5の屈曲部5bは、先端部5cの中心軸Rに対して直交する平面部43と、基端部5aの中心軸Cに対して直交する平面部44と、これら平面部43と平面部44の両方に直交する2つ(図の表裏)の平面部45とを有することにより、立方体状の外観を呈している。平面部43,45は、コネクタヘッド5が他の部材に対して中心軸Cの周りに回っているかどうか及びその角度を確認する指標となる。
【0038】
相手取付用ナット6は、円筒状外周面に等円周角ピッチで配置された6つの平面部46を有する。これら平面部46は、本発明の回転コネクタ1を接続相手のコネクタに取り付ける際に、相手取付用ナット6を工具又は手で把持し螺合させるときの滑り止めとなる。
【0039】
以上の構成において、コネクタヘッド5には、ロックナット4の突起21と係合する2つの突起22,24が具備されている。ロックナット4の基端部4aの内周のネジ20がコネクタミドル3の中間部3bの外周のネジ15と螺合して回転されていくと、ロックナット4はコネクタヘッド5及びコネクタミドル3に対して相対的に、中心軸Cに沿って基端方向・先端方向に移動することができる。
【0040】
ロックナット4が先端方向(図の左方向)に移動するとき、突起21が突起24に当たると、ロックナット4がそれ以上先端方向に移動することが規制される。このようにして、ロックナット4はコネクタミドル3とコネクタヘッド5とが互いに外れないようにする働きをする。
【0041】
ロックナット4のネジ20が基端方向(図の右方向)に移動するとき、突起22が突起21と段差部3dとの間に挟まれると、ネジ15とネジ20が噛み付き、コネクタヘッド5の基端部5aに対するコネクタミドル3の先端部3cの回転がロックされる。本実施形態では、突起22と段差部3dの間にOリング23があるので、Oリング23が弾性変形することにより、コネクタヘッド5とコネクタミドル3の回転のロックがより頑丈になる。
【0042】
以下、本発明の回転コネクタ1を同軸ケーブル7に取り付けて組み立てる手順を説明する。
【0043】
図3に示されるように、同軸ケーブル7の端末から所定の長さ(外部導体挿入口11からストッパ16までの距離+外装被覆9から内部導体17が突き出す距離)まで外装被覆9を剥離し、外部導体10を露出させる。その外部導体10を端末から所定の長さ(円孔18に挿入した内部導体17が基端部中心導体27aに届く程度)まで除去し、絶縁スペーサ19を露出させる。絶縁スペーサ19の端面には内部導体17が露出する。絶縁スペーサ19を剥離して絶縁スペーサ19から内部導体17が突き出るようにしてもよい。
【0044】
図4に示されるように、上述の端末処理した同軸ケーブル7をコネクタボトム2の基端部2aのケーブル入口8に挿入する。同軸ケーブル7の外装被覆9が外部導体挿入口11の周囲に当たって止まったとき、外部導体挿入口11から入った外部導体10は、コネクタボトム2の先端部2cから所定の長さ突き出ることになる。内部導体17と絶縁スペーサ19は外部導体10からさらに突き出る(図5参照)。
【0045】
このとき、ケーブル入口8の内周と同軸ケーブル7の外装被覆9との隙間にOリング12を詰め込むことにより、Oリング12が弾性変形し、同軸ケーブル7とコネクタボトム2とが相互に固定される。
【0046】
図5に示されるように、ロックナット4を中心軸Cの周りに回転させて基端方向に移動させ、コネクタヘッド5とコネクタミドル3の回転をロックさせておく。説明を簡単にするため、このとき、図2のように、コネクタヘッド5の屈曲部5bの平面部45とコネクタミドル3の基端部3aの平面部41とが同じ向きを向いているとする。
【0047】
コネクタボトム2の先端部2cをコネクタミドル3の基端部3aに挿入し、コネクタボトム2の先端部2cのネジ13とコネクタミドル3の基端部3aのネジ14とを螺合させる。ネジ13とネジ14の螺合のためには、コネクタヘッド5、相手取付用ナット6及びコネクタミドル3の組とコネクタボトム2及び同軸ケーブル7の組を相対的に中心軸Cの周りに回転させなければならないが、同軸ケーブル7に捻りが加わるのは好ましくないので、コネクタボトム2の基端部2aの平面部40を把持してコネクタボトム2が回転しないようにし、コネクタヘッド5がある方の組を回転させる。このとき、コネクタヘッド5とコネクタミドル3の回転がロックされているので、コネクタヘッド5(特に屈曲部5b、相手取付用ナット6)を把持して回転させれば、コネクタヘッド5がある方の組を容易に回転させることができる。
【0048】
なお、コネクタヘッド5とコネクタミドル3の回転をロックしない状態で、コネクタボトム2のネジ13とコネクタミドル3のネジ14を螺合させる場合でも、コネクタヘッド5を把持して回転させれば、ある程度の締め付け強さまでは、螺合させることができるが、それ以上はコネクタヘッド5が空回りして締め付けられない。その場合、締め付けをさらに強くするには、平面部41を把持してコネクタミドル3を回転させる。
【0049】
ここまでの手順により、回転コネクタ1は、図1及び図2に示したように、同軸ケーブル7からコネクタヘッド5までが一体的に固定された状態になる。説明を簡単にするため、このとき、図2のように、コネクタヘッド5の屈曲部5bの平面部45とコネクタミドル3の基端部3aの平面部41とコネクタボトム2の平面部40が全て同じ向きを向いているとする。
【0050】
図6及び図7に示されるように、ロックナット4を回転させて先端方向に移動させコネクタヘッド5とコネクタミドル3のロックを解除し、コネクタヘッド5とコネクタミドル3が相対的に回転できるようにする。このようにロックナット4を緩めた状態では、コネクタヘッド5を中心軸Cの周りに回転させて先端部5cの向きを任意の方向に向かせることができる。よって、先端部5cの向きを必要な方向へ調整することができる。ここでは、説明を簡単にするため、必要な回転角を90°とする。図7に示されるように、平面部41及び平面部40と相手接続部25の正面が揃うとき、必要な回転角90°が達成される。そこで、ロックナット4を回転させて基端方向に移動させ、コネクタヘッド5とコネクタミドル3の回転をロックさせる。このようにロックナット4を締めると、図8に示されるように、平面部41及び平面部40と相手接続部25の正面が揃っている状態で、同軸ケーブル7からコネクタヘッド5までが一体的に固定される。これは、図1及び図2の状態から、コネクタヘッド5が中心軸Cの周りに必要な回転角90°回転された状態である。以上で組み立てが完了する。
【0051】
コネクタヘッド5が中心軸Cの周りに必要な回転角90°回転されているので、相手接続部25は接続相手のコネクタに対向している。そこで、接続相手のコネクタに相手接続部25を嵌合させ、相手取付用ナット6のネジ28を接続相手のコネクタのネジに螺合させていく。
【0052】
以上説明したように、本発明の回転コネクタ1にあっては、ロックナット4が緩んでいるときはコネクタヘッド5とコネクタミドル3が相対的に回転でき、ロックナット4が締まっているときはコネクタヘッド5とコネクタミドル3が互いに固定される。このようにコネクタヘッド5が回転・ロック可能であるため、アンテナ設置現場などにおける同軸ケーブル7の布設時に、同軸ケーブル7を捻ることなくコネクタヘッド5の相手接続部25の向きを任意に調整することができる。よって、同軸ケーブル7にかかる負荷を無くすることができる。また、同軸ケーブル7とコネクタボトム2との間にかかる捻りの負荷がなくなることに加え、コネクタヘッド5が回転しないよう固定されることにより、同軸ケーブル7の内部導体17とコネクタヘッド5の基端部中心導体27aとの接触不良の発生を抑えることができる。その結果、現場での布設作業における作業が容易になると共に、電気的接続の信頼性が確実になる。
【0053】
なお、上記実施形態では、コネクタボトム2とコネクタミドル3を別体に形成したが、コネクタボトム2とコネクタミドル3を一体に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態を示す回転コネクタの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す回転コネクタの側面外観図である。
【図3】端末処理した同軸ケーブルの断面図である。
【図4】端末処理した同軸ケーブルと本発明のコネクタボトムの組立時の断面図である。
【図5】本発明におけるコネクタボトムの組とコネクタヘッドの組の組立時の断面図である。
【図6】本発明におけるロックナットを緩めた時の回転コネクタの断面図である。
【図7】本発明におけるロックナットを緩めて向きを調整する時の回転コネクタの側面外観図である。
【図8】本発明における向きを調整した後にロックナットを締めた時の回転コネクタの側面外観図である。
【図9】従来のL形コネクタの側面外観図である。
【図10】従来のL形コネクタの向きを変えた側面外観図である。
【符号の説明】
【0055】
1 回転コネクタ
2 コネクタボトム
3 コネクタミドル
4 ロックナット
5 コネクタヘッド
6 相手取付用ナット
7 同軸ケーブル
8 ケーブル入口
9 外装被覆
10 外部導体
11 外部導体挿入口
12 Oリング
13 ネジ
14 ネジ
15 ネジ
16 ストッパ
17 内部導体
18 円孔
19 絶縁スペーサ
20 ネジ
21 突起
22 突起
23 Oリング
24 突起
25 相手接続部
26 絶縁キャップ
27 中心導体
28 ネジ
29 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であり、ケーブルが装着されるケーブル装着部と、
所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、
上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、 を備えることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
筒状であり、ケーブルが装着されるケーブル装着部と、
所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、
上記ケーブル装着部に向けて引き付けかつ上記ケーブル装着部に押圧することで、上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、
を備えることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
上記ケーブル装着部は、
筒状であり、基端部にケーブルが挿入されるケーブル入口を有し、先端部の外周にネジを有するコネクタボトムと、
筒状であり、基端部の内周に上記コネクタボトムのネジと螺合するネジを有し、基端部と先端部との中間部の外周にネジを有し、先端部が中間部より外径が小さいことにより、先端部と中間部との間に段差部を有するコネクタミドルと、
を含み、
上記回転ロック部は、
筒状であり、基端部の内周に上記コネクタミドルの外周のネジと螺合するネジを有し、内周に突起を有するロックナット、
を含み、
上記コネクタ接続部は、
基端部と先端部との間に屈曲部を有する筒状であり、基端部に上記コネクタミドルの先端部が回転自在に嵌合されるコネクタミドル嵌合部を有し、基端部の外周に上記ロックナットの突起に係合する突起を有し、先端部に接続相手のコネクタに挿入される相手接続部を有するコネクタヘッド、
を含み、
上記コネクタヘッドの突起が上記ロックナットの突起と上記コネクタミドルの段差部との間に挟まれたとき、上記コネクタヘッドの基端部に対する上記コネクタミドルの先端部の回転がロックされること特徴とする請求項1又は2記載の回転コネクタ。
【請求項4】
上記コネクタヘッドの屈曲部は、上記コネクタヘッドの基端部に対して先端部が直角に向くよう屈曲していることを特徴とする請求項3記載の回転コネクタ。
【請求項5】
筒状であり、上記コネクタヘッドの先端部に回転自在に保持され、上記相手接続部の外径より内径が大きく、内周に接続相手のコネクタのネジと螺合するネジを有する相手取付用ナットを備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の回転コネクタ。
【請求項6】
上記コネクタヘッドは、上記コネクタヘッドの先端部から基端部に至る中心導体を有することを特徴とする請求項3〜5いずれか記載の回転コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−80317(P2010−80317A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248507(P2008−248507)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)