説明

回転コネクタ

【課題】低コスト化が容易な回転コネクタを提供すること。
【解決手段】外筒部7と内筒部9bとの間の環状空間内に配置されたホルダ6が、小径な環状基部6aと複数個所に立設された円筒体6bとを有しており、このホルダ6に1個のローラ11が回転自在に取り付けられている。フラットケーブルの反転部はホルダ6の開口部61,62を通過しており、周方向の開口幅が小さい開口部61を通過する反転部4aによってホルダ6は回転駆動される。また、第1の隙間C1内のフラットケーブルの撓みを円筒体6bの外側壁部6b1で規制し、内筒部9bの外周面に巻回された第2の隙間C2内のフラットケーブルの撓みを円筒体6bの内側壁部6b2で規制すると共に、外筒部7の支持部7bにより、第1の隙間C1におけるフラットケーブルの下端部と、第2の隙間C2において環状基部6a上にあるフラットケーブルの下端部とを略同じ高さで支持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリング装置に組み込まれてエアーバッグシステム等の電気的接続手段として使用される回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の回転コネクタは、外筒部を有するステータ部材と内筒部を有するロータ部材とを回転自在に連結すると共に、これら外筒部と内筒部との間に画成された環状空間内にフラットケーブルを収納・巻回した構成となっており、回転数が有限であるハンドルに装着されたエアーバッグ・インフレータ等の電気的接続手段として使用される。ステータ部材はステアリングコラム側に固定され、ロータ部材はハンドル側に固定される。また、フラットケーブルは絶縁フィルムに導体を担持した帯状体であり、このフラットケーブルを渦巻状に巻回した渦巻タイプと途中で反転させて逆向きに巻回した反転タイプとが知られているが、後者の反転タイプの方がフラットケーブルの長さを格段に短くすることができるため主流となっている。
【0003】
このような反転タイプの回転コネクタでは、環状空間内に回転可能に配置されたホルダ(移動体)の開口部にフラットケーブルの反転部を通過させ、このホルダに位置規制された状態で環状空間内に1枚または複数枚のフラットケーブルが収納・巻回されている。そして、回転操作されたハンドルに駆動されてロータ部材が回転すると、フラットケーブルの反転部がロータ部材よりも少ない回転量だけ同じ向きに移動し、この反転部に追従してホルダも同じ向きに移動するようになっている。また、ホルダには通常、複数個のローラが回転自在に取り付けられており、所定のローラに巻き掛けるようにしてフラットケーブルが巻き方向を反転させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3234858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の回転コネクタでは、環状空間内に配置されてフラットケーブルを位置規制するホルダに複数個のローラが取り付けられているため、これらローラを含めたホルダ全体の部品点数が多く組立性も悪くなり、それゆえホルダの高コスト化を余儀なくされるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものてあり、その目的は、低コスト化が容易な回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、外筒部および底板部を有するステータ部材と、前記外筒部に対向する内筒部を有して前記ステータ部材に回転自在に支持されたロータ部材と、前記外筒部と前記内筒部との間に画成された環状空間内に途中で巻き方向を反転した状態で収納され、その両端が前記ステータ部材と前記ロータ部材にそれぞれ固定されたフラットケーブルと、前記環状空間内に回転可能に配置され、前記フラットケーブルの反転部が通過する開口部を有するホルダとを備えた回転コネクタにおいて、前記ホルダが、前記内筒部に外挿されて前記底板部上に載置される環状基部と、この環状基部に立設され前記外筒部の内周面と第1の隙間を存して対向する複数の外側壁部と、前記環状基部に立設され前記内筒部の外周面と第2の隙間を存して対向する複数の内側壁部と、前記反転部の内側に回転自在に取り付けられたローラとを有し、前記内筒部が前記環状基部の内縁部と回転可能に係合する段差部を有すると共に、前記外筒部が支持部を有し、この支持部が、前記第1の隙間における前記フラットケーブルの下端部と、前記第2の隙間において前記環状基部上にある前記フラットケーブルの下端部とを略同じ高さで支持するようにした。
【0008】
このように構成された回転コネクタは、第1の隙間に配置されるフラットケーブルの内筒部側への撓みをホルダの外側壁部で規制できると共に、第2の隙間に配置されるフラットケーブルの外筒部側への撓みをホルダの内側壁部で規制できるため、ホルダに取り付けるローラが1個であっても、フラットケーブルの反転部によってホルダに所要の回転駆動力を付与することができ、低コスト化を容易に実現することができる。また、このホルダは、使用するローラの個数を大幅に削減して、外側壁部や内側壁部を周方向に分散して立設すればよいので、ホルダの軽量化が容易である。それゆえ、フラットケーブルの反転部によってホルダを常に円滑に回転させることができると共に、ローラを含めたホルダ全体の部品点数が大幅に削減できて組立性も向上する。しかも、フラットケーブルの外筒部側の下端部が外筒部の支持部で支持され、フラットケーブルの内筒部側の下端部がホルダの環状基部で支持されることにより、フラットケーブルの下端部が環状空間内で略同一高さに保持されるので、フラットケーブルの反転部による回転駆動力をホルダに効率よく付与することができ、ホルダをさらに円滑に回動させることができる。
【0009】
上記の構成において、外側壁部がホルダの径方向外側へ向かって凸な第1湾曲面部から形成されていると共に、内側壁部がホルダの径方向内側へ向かって凸な第2湾曲面部から形成されていると、これら外側壁部や内側壁部に対してフラットケーブルを円滑に摺動させることができるため好ましい。この場合において、複数の第1湾曲面部と複数の第2湾曲面部のそれぞれが周方向に分散して立設した複数の円筒体で形成され、それら円筒体が連設されていると、ホルダの形状を単純化できると共に、外側壁部および内側壁部の機械的強度も高めやすくなって好ましい。
【0010】
また、上記の構成において、ホルダが、周方向に略等間隔な複数個所から環状基部の径方向外側へ突出してその先端が底板部に当接する複数の弾性腕部を有していれば、ホルダと底板部との接触面積を削減できるため、ホルダを一層円滑に回転させやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回転コネクタによれば、第1の隙間に配置されるフラットケーブルの内筒部側への撓みをホルダの外側壁部で規制できると共に、第2の隙間に配置されるフラットケーブルの外筒部側への撓みをホルダの内側壁部で規制できるため、ホルダに取り付けるローラが1個であっても、フラットケーブルの反転部によってホルダに所要の回転駆動力を付与することができ、低コスト化を容易に実現することができる。また、このホルダは、使用するローラの個数を大幅に削減して、外側壁部や内側壁部を周方向に分散して立設すればよいので、ホルダの軽量化が容易である。それゆえ、この回転コネクタは、フラットケーブルの反転部によってホルダを常に円滑に回転させることができると共に、ローラを含めたホルダ全体の部品点数が大幅に削減できて組立性も向上する。しかも、フラットケーブルの外筒部側の下端部が外筒部の支持部で支持されると共に、フラットケーブルの内筒部側の下端部がホルダの環状基部で支持されることにより、フラットケーブルの下端部が環状空間内で略同一高さに保持されるので、フラットケーブルの反転部による回転駆動力をホルダに効率よく付与することができ、ホルダをさらに円滑に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態例に係る回転コネクタの平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1に示す回転コネクタの環状空間内におけるフラットケーブルの収納状態を示す説明図である。
【図4】図3に示すホルダの斜視図である。
【図5】図4に示すホルダの平面図である。
【図6】図5の矢印B方向から見たホルダの側面図である。
【図7】図5の矢印D方向から見たホルダの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る回転コネクタの平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は該回転コネクタの環状空間内におけるフラットケーブルの収納状態を示す説明図、図4は図3に示すホルダの斜視図、図5は該ホルダの平面図、図6は図5の矢印B方向から見た該ホルダの側面図、図7は図5の矢印D方向から見た該ホルダの側面図である。
【0014】
本実施形態例に係る回転コネクタは、ステータ部材1と、ステータ部材1に回転自在に連結されたロータ部材2と、これらステータ部材1とロータ部材2間に画成される環状空間3内に収納・巻回された2枚のフラットケーブル4,5と、環状空間3内に回転可能に配置されてフラットケーブル4,5を通過させるホルダ6とで概略構成されている。この回転コネクタは自動車のステアリング装置に組み込まれて、ステアリングコラム側のステータ部材1とハンドル側のロータ部材2との間の電気的接続をフラットケーブル4,5によって行うというものである。
【0015】
ステータ部材1はステアリングコラムに設置される固定側部材である。このステータ部材1は合成樹脂製の外筒部7と底板部8とからなり、略円筒状の外筒部7がスナップ結合によって略円環状の底板部8の外周縁部に一体化されている。外筒部7には外方へ突出するコネクタ部7aが一体形成されており、このコネクタ部7aと組み合わされるコネクタ部8aが底板部8に一体形成されている。これらコネクタ部7a,8aの組合せ体の内部には固定側ジョイント1aが配設されている。また、外筒部7の内壁には後述する支持部7bが底板部8の内面との間で段差をなすように形成されており、底板部8の中央にはセンタ孔8bが形成されている。なお、ステータ部材1の外筒部7と底板部8とを一体成形品とすることも可能である。
【0016】
ロータ部材2はハンドルに連結される可動側部材であり、このロータ部材2は合成樹脂製のロータ本体9とロータスナップ10とからなる。ロータ本体9は、底板部8に対向する円環状の天板部9aと、この天板部9aの中央から垂下する内筒部9bとを有している。内筒部9bの内径寸法はステアリングシャフトを挿通できる大きさに設定されており、この内筒部9bの外周面の下端部には、ホルダ6の内縁部を回転可能に係合保持する段差部9cが形成されている。ロータ部材2の回転軸方向における段差部9cの高さは、周方向における支持部7bの天面の高さと略同一である。また、ロータ本体9には上方へ突出するコネクタ部9dが一体形成されており、このコネクタ部9dの内部に可動側ジョイント2aが配設されている。ロータスナップ10はロータ本体9の内筒部9bにスナップ結合によって一体化されており、このロータスナップ10を底板部8の下面に摺動可能に係合させることによって、ステータ部材1に対してロータ部材2が回転自在に連結されている。そして、かかるステータ部材1とロータ部材2の連結状態において、ステータ部材1の外筒部7および底板部8とロータ本体9の天板部9aおよび内筒部9bとによって平面視リング状の環状空間3が画成されている。なお、天板部9aの上面には一対の係合ピン9eが立設されており、ロータ部材2はこれらの係合ピン9eを介してハンドル側に連結されるようになっている。
【0017】
2枚のフラットケーブル4,5はPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる絶縁フィルムに導体を担持した帯状体である。図3に示すように、環状空間3内において、各フラットケーブル4,5はそれぞれホルダ6の開口部61,62で巻き方向を反転させている。すなわち、一方のフラットケーブル4には、ホルダ6に回転自在に取り付けられたローラ11に巻き掛けるようにして開口部61を通過するU字状の反転部4aが形成されており、他方のフラットケーブル5には、ホルダ6に立設された所定の円筒体6bに巻き掛けるようにして開口部62を通過するU字状の反転部5aが形成されている。そして、周方向の開口幅が小さい開口部61で巻き方向を反転させているフラットケーブル4は、その反転部4aの内側に配置されたローラ11に巻き付けられており、ホルダ6に回転駆動力を付与する機能を有しているが、開口部61よりも周方向の開口幅が大きい開口部62で巻き方向を反転させているフラットケーブル5は、ホルダ6に回転駆動力を付与する機能を有していない。このように、複数枚のフラットケーブルを有する回転コネクタの場合、ローラは、ホルダに回転駆動力を付与するフラットケーブルの反転部の内側、換言すると、周方向の開口幅が小さい開口部にのみ回転自在にホルダに取り付けられる。なお、フラットケーブルが1枚の場合には、そのフラットケーブルの反転部の内側にのみローラがホルダに回転自在に取り付けられる。また、各フラットケーブル4,5の両端部の一方はステータ部材1に設けられた固定側ジョイント1aに接続され、各フラットケーブル4,5の両端部の他方はロータ部材2に設けられた可動側ジョイント2aに接続されている。これにより、フラットケーブル4,5を介して、ステアリングコラム側に備えられた電気部品とハンドル側に備えられた電気部品とを電気的に接続することができる。
【0018】
ホルダ6は合成樹脂製であり、1個のローラ11を回転自在に支持している。このホルダ6は、ロータ本体9の内筒部9bの段差部9cに外挿される環状基部6aと、周方向に分散して立設された5個の円筒体6bと、ローラ11を取り付けるための支軸6cとを有している。またホルダ6は、ローラ11との間に前記開口部61を形成しているガイド壁6dと、所定の円筒体6bとの間に前記開口部62を形成しているガイド壁6eとを有している。さらにホルダ6は、周方向に等間隔で配置されるように形成された3個の円筒体6b内で、それぞれ環状基部6aの径方向外側へ突出する片持ち梁状の弾性腕部6fを有している。環状基部6aは、その内縁部が内筒部9bの段差部9cに回転自在に係合保持され、その外縁部が各円筒体6b間で平面視凹状の肉盗み部6hをなすように形成されている。図2に示すように、各弾性腕部6fの先端部はステータ部材1の底板部8上に当接した状態にあり、かつ、各弾性腕部6fは弾性変形可能であるため、各弾性腕部6fの反力でホルダ6は段差部9cの下面に押し付けられ、それによってロータ部材2の回転軸方向におけるホルダ6の振動が抑制されて振動音を生じにくくなっている。なお、環状基部6aの底面には底面突起6gが形成されており、この底面突起6gは、ロータ部材2の回転軸方向に大きな振動が加わった際、各弾性腕部6fの先端部と共に底板部8の上面に衝当する。また、図5に示すように、円筒体6bの外側壁部6b1はホルダ6の径方向外側へ向かって凸な第1湾曲面部をなし、この外側壁部6b1は第1の隙間C1を存して外筒部7の内周面と対向しており、円筒体6bの内側壁部6b2はホルダ6の径方向外側へ向かって凸な第2湾曲面部をなし、この内側壁部6b2は第2の隙間C2を存して内筒部9bの外周面と対向している。第1の隙間C1にはフラットケーブル4,5のうち外筒部7の内周面に巻回された部分が配置されており、第2の隙間C2にはフラットケーブル4,5のうち内筒部9bの外周面に巻回された部分が配置されている。そして、第1の隙間C1内のフラットケーブル4,5の内筒部9b側への撓みが円筒体6bの外側壁部6b1によって規制されると共に、第2の隙間C2内のフラットケーブル4,5の外筒部7側への撓みが円筒体6bの内側壁部6b2によって規制されるようになっている。
【0019】
このように構成された回転コネクタは、ステータ部材1をステアリングコラムに設置すると共にロータ部材2をハンドルに連結した状態で自動車のステアリング装置に組み込まれ、ハンドルに装着されたエアーバッグ・インフレータやホーン回路等の電気的接続手段として使用される。使用に際しては、運転者がハンドルを時計回りあるいは反時計回りに回転操作すると、その回転力が伝達されるロータ部材2が同じ向きに回転する。
【0020】
例えば、ハンドルの中立位置からロータ部材2が図3の反時計回りに回転すると、フラットケーブル4,5の反転部4a,5aがロータ部材2よりも少ない回転量だけ反時計回りに移動し、これら反転部4a,5aに追従してホルダ6も同じ向きに移動する。このとき、開口部61を通過するフラットケーブル4の反転部4aはローラ11にループされながら内筒部9bの外周面に巻き付けられてローラ11を反時計回り方向に押圧し、開口部62を通過するフラットケーブル5の反転部5aは近傍の円筒体6bに当接しないため、ホルダ6はフラットケーブル4の反転部4aのみから回転駆動力を受けることになる。そして、反転部4a,5aの移動量の約2倍の長さのフラットケーブル4,5が第1の隙間C1側から繰り出されて内筒部9bの外周面に巻き締められていく。
【0021】
上記とは逆に、ハンドルの中立位置からロータ部材2が図3の時計回りに回転すると、フラットケーブル4,5の反転部4a,5aがロータ部材2よりも少ない回転量だけ時計回りに移動し、これら反転部4a,5aに追従してホルダ6も同じ向きに移動する。このとき、開口部61を通過するフラットケーブル4の反転部4aはガイド壁6dを時計回り方向に押圧するが、開口部62を通過するフラットケーブル5の反転部5aはガイド壁6eに当接しないため、ホルダ6はフラットケーブル4の反転部4aのみから回転駆動力を受けることになる。そして、反転部4a,5aの移動量の約2倍の長さのフラットケーブル4,5が第2の隙間C2側から繰り出されて外筒部7の内周面に巻き戻されていく。
【0022】
このように本実施形態例に係る回転コネクタは、ホルダ6に立設した円筒体6bの外側壁部6b1によって第1の隙間C1内におけるフラットケーブル4,5の内筒部9b側への撓みを規制できると共に、円筒体6bの内側壁部6b2によって第2の隙間C2内におけるフラットケーブル4,5の外筒部7側への撓みを規制できるため、ホルダ6に取り付けるローラ11が1個であっても、周方向の開口幅が小さい開口部61を通過するフラットケーブル4の反転部4aによってホルダ6に所要の回転駆動力を付与することができ、低コスト化を容易に実現することができる。また、このホルダ6は、複数の円筒体6bを周方向に分散して立設することにより、外側壁部6b1や内側壁部6b2を周方向に分散配置した構成となっているので、使用するローラ11の個数を大幅に削減して軽量化することが容易である。それゆえ、この回転コネクタは、フラットケーブル4の反転部4aによってホルダ6を常に円滑に回転させることができると共に、ローラ11を含めたホルダ6全体の部品点数が少なくて組立性も向上する。
【0023】
また、本実施形態例では、ホルダ6が周方向に等間隔な3個所に片持ち梁状の弾性腕部6fを有しており、これら弾性腕部6fの先端部がステータ部材1の底板部8上に載置されているため、底板部8上におけるホルダ6の姿勢が安定して接触面積も抑制されている。したがって、この点からもホルダ6が円滑に回転できるように配慮されている。
【0024】
また、本実施形態例に係る回転コネクタは、ホルダ6の環状基部6aの内縁部を内筒部9bの段差部9cに回転可能に係合させてあり、また、外筒部7の内壁側、すなわち第1の隙間C1におけるフラットケーブル4,5の下端部と、内筒部9bの外壁側、すなわち第2の隙間C2において環状基部6a上にあるフラットケーブル4,5の下端部とを略同じ高さで支持するように支持部7bが形成されているので、フラットケーブル4,5の下端部が環状空間3内で略同一高さに保持され、フラットケーブル4,5が上下方向に波打つことなく安定した姿勢で環状空間3内に巻回される。したがって、反転部4aによる回転駆動力をホルダ6に効率よく付与でき、ホルダ6をさらに円滑に回動させることができる。
【0025】
なお、上記の実施形態例では、環状空間3内に2枚のフラットケーブル4,5を収納・巻回した場合について説明したが、フラットケーブルが1枚だけ、あるいは3枚以上であっても本発明は適用可能である。
【0026】
また、上記の実施形態例では、フラットケーブルの撓みを規制するホルダ6の外側壁部6b1および内側壁部6b2がいずれも中空状の円筒体6bに形成されている場合について説明したが、複数の外側壁部6b1と複数の内側壁部6b2がそれぞれ周方向に分散して立設されていれば、円筒体を形成しなくてもほぼ同様の効果が期待できる。すなわち、外側壁部6b1がホルダ6の径方向外側へ向かって凸な複数の第1湾曲面部に沿って形成されていると共に、内側壁部6b2がホルダ6の径方向内側へ向かって凸な複数の第2湾曲面部に沿って形成されていれば、これら外側壁部や内側壁部に対してフラットケーブルを円滑に摺動させることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ステータ部材
2 ロータ部材
3 環状空間
4,5 フラットケーブル
4a,5a 反転部
6 ホルダ
6a 環状基部
6b 円筒体
6b1 外側壁部
6b2 内側壁部
6c 支軸
6d,6e ガイド壁
6f 弾性腕部
6h 肉盗み部
7 外筒部
7b 支持部
8 底板部
9 ロータ本体
9a 天板部
9b 内筒部
9c 段差部
10 ロータスナップ
11 ローラ
61,62 開口部
C1 第1の隙間
C2 第2の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒部および底板部を有するステータ部材と、前記外筒部に対向する内筒部を有して前記ステータ部材に回転自在に支持されたロータ部材と、前記外筒部と前記内筒部との間に画成された環状空間内に途中で巻き方向を反転した状態で収納され、その両端が前記ステータ部材と前記ロータ部材にそれぞれ固定されたフラットケーブルと、前記環状空間内に回転可能に配置され、前記フラットケーブルの反転部が通過する開口部を有するホルダとを備えた回転コネクタであって、
前記ホルダが、前記内筒部に外挿されて前記底板部上に載置される環状基部と、この環状基部に立設され前記外筒部の内周面と第1の隙間を存して対向する複数の外側壁部と、前記環状基部に立設され前記内筒部の外周面と第2の隙間を存して対向する複数の内側壁部と、前記反転部の内側に回転自在に取り付けられたローラとを有し、
前記内筒部が前記環状基部の内縁部と回転可能に係合する段差部を有すると共に、前記外筒部が支持部を有し、この支持部が、前記第1の隙間における前記フラットケーブルの下端部と、前記第2の隙間において前記環状基部上にある前記フラットケーブルの下端部とを略同じ高さで支持するようにしたことを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記外側壁部が前記ホルダの径方向外側へ向かって凸な第1湾曲面部から形成されていると共に、前記内側壁部が前記ホルダの径方向内側へ向かって凸な第2湾曲面部から形成されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記複数の第1湾曲面部と複数の第2湾曲面部のそれぞれが周方向に分散して立設した複数の円筒体で形成され、それら円筒体が連設されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記ホルダが、周方向に略等間隔な複数個所から前記環状基部の径方向外側へ突出してその先端が前記底板部に当接する複数の弾性腕部を有することを特徴とする回転コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−18618(P2011−18618A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163967(P2009−163967)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)