説明

回転ホイール式連続押出装置及び金属押出材の製造方法

【課題】金属押出材を高品質に製造でき、ダイスの破損を防止して工具寿命を延長でき、設備費用及び金属押出材の製造コストを削減できる。
【解決手段】回転ホイール10の溝11の一部をシュー及びフィードプレート15の各内周面で覆って形成した素材案内通路と、素材案内通路の下流端を塞ぐように溝11内に突設されたアバットメント17と、フィードプレート15に形成されて素材案内通路の下流端に開口する素材案内孔19と、フィードプレート15の外面15b側に配置されて素材案内孔19に連通される成形孔23を形成したダイス22とを備え、素材案内通路に導入された押出用素材を成形孔23から押し出し金属押出材Sを成形する回転ホイール式連続押出装置であって、フィードプレート15とダイス22との間には、素材案内孔19及び成形孔23に連通する調整孔21を有するフローガイド20が、押出用素材の押出方向Eに沿って複数設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の断面形状の金属押出材を押出加工により成形する回転ホイール式連続押出装置及びこれを用いた金属押出材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ホイール式連続押出装置は、アルミニウムや銅などの金属材料(押出用素材)を押出加工して、所望の断面形状を有する金属押出材を連続的に製造する装置である。
一般に、回転ホイール式連続押出装置は、回転ホイールの外周面に形成された溝の一部をシュー及びフィードプレートの各内周面で覆って形成した素材案内通路と、この素材案内通路の下流端を塞ぐように溝内に突設されたアバットメントと、フィードプレートに形成されて素材案内通路の下流端に開口する素材案内孔と、回転ホイールとの間にフィードプレートを挟むように配置されたダイスに形成されて素材案内孔に連通する成形孔とを備えている。
【0003】
この回転ホイール式連続押出装置を用いて金属押出材を押出加工する場合には、回転ホイールを素材案内通路の上流側から下流側に向かう方向に回転させた状態で、素材案内通路の上流側においてワイヤー状の押出用素材を回転ホイールの溝内に挿入すればよい。これにより、押出用素材は回転ホイールとの摩擦力によって素材案内通路に引き込まれ、その下流端においてアバットメントによって堰き止められる。このとき、押出用素材は押出圧力を得るため、摩擦・変形発熱によって可塑状となりダイスの成形孔から押し出され、所望の断面形状を有する金属押出材に成形され送り出される。
【0004】
ところで、このような回転ホイール式連続押出装置を用い、断面円形状の押出用素材から断面扁平矩形状の金属押出材を製造することがある。すなわち、丸棒状の押出用素材を成形して、金属押出材の流出方向に直交する幅が広くされるとともに厚さが薄肉とされた板状の金属押出材を製造する場合がある。
【0005】
この場合に、ダイスの成形孔から流出する金属押出材(押出用素材)の流出速度に着目すると、該金属押出材の幅方向の両端部の流出速度は、幅方向の中央部の流出速度よりも遅くなりやすい。すなわち、このような幅広薄肉の板状からなる金属押出材を製造する場合は、押出用素材がダイスの成形孔に達するまでの間に幅方向に充分に拡散(以下「拡幅」とする)されにくくなることから、幅方向の両端部に押出用素材を充分に供給することが難しい。これにより、前述のような流出速度の差が生じて、金属押出材の幅方向における両端部の板厚が不足したり、該両端部に波打ち状の材料不足欠陥等が生じたりして、製品の精度が確保できないことがあった。
【0006】
そこで、製品の品質を確保するため、例えば、特許文献1では、アルミニウム合金の押出加工において、ダイ(ダイス)の上流側に、開口部(調整孔)の形成されたフローガイドを配設している。このフローガイドの調整孔は、ダイスの成形孔に対応するようにして配置されているとともに、該成形孔よりも大きく開口し形成されている。
【0007】
このようなフローガイドを設けることによって、押出用素材がフローガイドの調整孔に充分拡がって充填され、下流側のダイスの成形孔に流入する際には、速度が調整された状態となるので、押出用素材が成形孔から流出する際には、前述の流出速度の差が抑制されるようになっている。
また、特許文献2、非特許文献1、2においても、ダイスの上流側に、開口部(調整孔)を有する拡大リング(フローガイド)を配設する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3508674号公報
【特許文献2】特許第3650655号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「塑性と加工」、社団法人日本塑性加工学会、1998年11月、第39巻、第454号、p.1150−1154
【非特許文献2】「塑性と加工」、社団法人日本塑性加工学会、1999年10月、第40巻、第465号、p.976−980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述の回転ホイール式連続押出装置を用い、アルミニウムよりも硬質の銅や銅合金などを成形する場合には、前記フローガイドを用いても未だ金属押出材の品質を確保することが難しかった。すなわち、銅や銅合金は、比較的硬質で塑性変形しにくいことから、フローガイドの調整孔内において幅方向に拡幅されにくい。従って、押出用素材がダイスの成形孔全体に充填されにくくなって、前述の流出速度の差を抑制することが難しかった。
【0011】
また、特に押出開始時において、フローガイドの調整孔内で押出用素材が充分に可塑状態とならずにダイスの上流側を向く端面に押し当てられた場合には、該端面における成形孔近傍に局所的に過大な押出圧力が加えられることになり、ダイスが破損する虞があった。
【0012】
また、非特許文献1、2においては、フローガイドの調整孔とダイスの成形孔とでその断面形状や寸法が大きく異なって設定されている。しかしながら、この場合、ダイス側に開口する前記調整孔の一部がダイスの前記端面によって覆われることになり、押出用素材は、該調整孔を通る際にフローガイドとダイスとの段差部分に堰き止められて、所謂デッドメタルが発生する。このようなデッドメタルが生じると、その一部が金属押出材となる押出用素材とともに成形孔から流出することになり、それが金属押出材に巻き込まれて金属押出材の品質を低下させるという問題が生じる。
【0013】
このような品質低下を回避するために、ダイスの成形孔の形状に合わせてフローガイドを個別に製造することも考えられるが、フローガイドは高価で難削性のニッケル基耐熱合金によって製作されているため、設備費用が嵩むとともに金属押出材の製造コストが高くなってしまう。
【0014】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、金属押出材を高品質に製造でき、ダイスの破損を防止して工具寿命を延長でき、設備費用及び金属押出材の製造コストを削減できる回転ホイール式連続押出装置及びこれを用いた金属押出材の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は、回転ホイールの外周面に形成された溝の一部をシュー及びフィードプレートの各内周面で覆って形成した素材案内通路と、前記素材案内通路の下流端を塞ぐように前記溝内に突設されたアバットメントと、前記フィードプレートに形成されて前記素材案内通路の下流端に開口する素材案内孔と、前記フィードプレートの内周面と反対側の外面側に配置されて前記素材案内孔に連通される成形孔を形成したダイスとを備え、前記素材案内通路に導入された押出用素材を前記成形孔から押し出し金属押出材を成形する回転ホイール式連続押出装置であって、前記フィードプレートと前記ダイスとの間には、前記素材案内孔及び前記成形孔に連通する調整孔を有するフローガイドが、押出用素材の押出方向に沿って複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前述の回転ホイール式連続押出装置を用いた金属押出材の製造方法であって、金属材料からなる押出用素材を前記素材案内通路に導入し、この素材案内通路の下流端から前記フィードプレートの素材案内孔に圧入し、前記フローガイドの調整孔を通過させて前記ダイスの成形孔から押し出すことで、前記成形孔に対応する断面形状に成形することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る回転ホイール式連続押出装置及びこれを用いた金属押出材の製造方法によれば、フィードプレートとダイスとの間に、押出方向に沿ってフローガイドが複数設けられているので、これらのフローガイドの調整孔を種々に設定し組み合わせることにより、これら調整孔内を流れる押出用素材が、ダイスの成形孔に到達するまでの間にその押出方向に直交する断面形状を任意に変形させて、成形孔に流入する際に、該成形孔全体に充填されやすくなる。すなわち、例えば、押出用素材が、調整孔内において押出方向に直交する断面の面方向外方に向けて拡幅されやすくなる。
【0017】
さらに、このようにフローガイドを複数設けることで、フィードプレートの素材案内孔からダイスの成形孔までの間に押出用素材の助走区間を比較的長くとることができるので、押出用素材が、これらフローガイドの調整孔内に確実に充填された後、ダイスの成形孔全体に均一に送りこまれることになる。
【0018】
従って、例えば、押出用素材として銅や銅合金などの比較的硬質な金属材料を用い、製品として、断面扁平矩形状をなし、幅が広く薄肉の板状からなる金属押出材を製造するような場合であっても、押出用素材が、ダイスの成形孔に到達するまでの間にフローガイドの調整孔内において該成形孔の形状に対応するように変形する。これにより、押出用素材が前記成形孔から押し出される流出速度は、押出方向に直交する断面の面方向全体に均一に設定されることになり、精度の高い押出加工が行えるとともに、高品質の金属押出材を製造できる。
【0019】
また、このように押出用素材が調整孔内で変形した後、ダイスの成形孔全体に送り込まれるようになっているので、押出用素材は摩擦・変形発熱で充分可塑状になっていることから、ダイスの上流側を向く端面の成形孔近傍に局所的に過大な押出圧力が加えられるようなことが防止されている。従って、特に押出開始時におけるダイスの破損等が確実に防止され、工具寿命が延長する。
【0020】
また、フローガイドを複数設け夫々の調整孔を組み合わせていることから、従来のように、デッドメタルの発生を抑制するためダイスの成形孔に合わせて個別にフローガイドを製作するような必要はなく、このような構成に対比して、設備費用が削減される。すなわち、本発明では、複数のフローガイドのうち、少なくともダイスの上流側を向く端面に隣接する1つのフローガイドの調整孔のみを該ダイスの成形孔に対応させるように形成すればよいことから、フローガイドの材料費等の設備費用が大幅に削減されるとともに、金属押出材の製造コストが抑えられる。
【0021】
また、本発明に係る回転ホイール式連続押出装置において、前記フローガイドのうち、少なくとも前記ダイスの上流側を向く端面に隣接するフローガイドの前記調整孔は、前記成形孔よりもその押出方向に直交する断面形状が大きく設定されていることとしてもよい。
【0022】
本発明に係る回転ホイール式連続押出装置によれば、ダイスの上流側を向く端面に隣接するフローガイドの調整孔の断面形状が、ダイスの成形孔の断面形状よりも大きく設定されているので、押出用素材はこの調整孔内において下流側の成形孔を覆うように前記断面の面方向外方に向けて充分に拡幅されて速度調整された後、該成形孔に流入することになる。従って、押出用素材が成形孔全体により均一に流出するとともに、この成形孔から押し出される金属押出材の品質が充分に確保される。
【0023】
特に、前述のように幅が広く薄肉の板状からなる金属押出材を製造する場合には、ダイスの前記端面に隣接するフローガイドの調整孔内において、押出用素材が幅方向外方に向けて充分に拡幅されることから、金属押出材の幅方向の両端部における板厚不足や波打ち状の材料不足欠陥等がより確実に防止されることになり、高品質の金属押出材が製造できる。
【0024】
また、本発明に係る回転ホイール式連続押出装置において、前記フローガイドは、3つ以上設けられており、これらのフローガイドのうち、押出方向の中央に配置されたフローガイドの前記調整孔は、押出方向の両端に配置されたフローガイドの前記調整孔よりも、その押出方向に直交する断面形状が大きく設定されていることとしてもよい。
【0025】
本発明に係る回転ホイール式連続押出装置によれば、押出用素材は、これらフローガイドのうち、押出方向のフィードプレート側に配されたフローガイドの調整孔内から押出方向の中央に配されたフローガイドの調整孔内に向けて流動する際には、押出方向に直交する断面の面方向外方に向けて拡幅されていく。次いで、この中央のフローガイドの調整孔内から押出方向のダイス側に配されたフローガイドの調整孔内に向けて流動する際には、前記面方向の内方(中央)に向けて集束されていく。そして、押出用素材がダイス側のフローガイドの調整孔内からダイスの成形孔内へ向けて流動する際には、該成形孔全体に均一に導入されることになる。
【0026】
このような構成によれば、フローガイドの調整孔内において、押出用素材の断面形状は、充分に増大された後適宜縮小されて、ダイスの成形孔の形状に対応するように変形される。従って、押出用素材は、成形孔内へと効率よく流動し、また調整孔内に過剰なデッドメタルが生じるようなことが確実に防止されるとともに、押出用素材が成形孔全体により均一に流出して、金属押出材の品質が大幅に高められる。
【0027】
また、複数のフローガイドを組み合わせた構成であることから、前述のように、押出方向の中央の調整孔の断面形状が両端の調整孔の断面形状よりも大きく設定されていても、比較的容易に製造することができる。
【0028】
また、本発明に係る回転ホイール式連続押出装置において、少なくとも前記フローガイドの調整孔及び前記ダイスの成形孔を加熱する加熱手段が設けられていることとしてもよい。
【0029】
本発明に係る回転ホイール式連続押出装置によれば、少なくともフローガイドの調整孔及びダイスの成形孔を加熱する加熱手段として、例えば、ヒーターやバーナー等が配設されているので、押出開始前に、予め前記調整孔及び前記成形孔を充分に加熱することができる。従って、比較的大きな押出圧力が必要とされる押出開始時においても、調整孔内及び成形孔内に配された押出用素材が加熱により容易に塑性変形しやすくなり、比較的簡便に金属押出材を押し出すことができる。これにより、押出加工の初期から品質のよい金属押出材を製造できる。
【0030】
また、このように押出用素材が塑性変形しやすくされて、過大な押出圧力を必要としないことから、ダイス等の工具が破損するようなことが防止される。従って、工具寿命が延長する。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る回転ホイール式連続押出装置によれば、金属押出材を高品質に製造でき、ダイスの破損を防止して工具寿命を延長でき、設備費用及び金属押出材の製造コストを削減できる。
また、本発明に係る金属押出材の製造方法によれば、前述の回転ホイール式連続押出装置を用いて、高品質の金属押出材を比較的容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転ホイール式連続押出装置の概略構成を示す側断面図である。
【図2】図1のX−X断面における平断面図である。
【図3】図2のY−Y断面からダイス側を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る回転ホイール式連続押出装置1には、回転軸線Cを中心とし矢印A方向に回転駆動可能な回転ホイール10が設けられている。回転ホイール10の外周面には、その周方向にわたって、押出加工されるワイヤー状の押出用素材Wを案内するための溝11が設けられている。押出用素材Wは、例えば銅や銅合金からなり、この溝11内に配置されて、該回転ホイール10の回転駆動と、該溝11と押出用素材Wとの摩擦力とによってこの回転ホイール10に牽引されてA方向に送られていくようになっている。
【0034】
具体的には、後述するシュー14よりも回転ホイール10の回転方向上流側に配置されたコイニングロール12によって、押出用素材Wが強制的に溝11内に押し込まれる。このコイニングロール12は、溝11を覆うように回転ホイール10の外周面に押し付けられており、回転ホイール10と協働して矢印B方向に回転するように構成されている。
【0035】
略矩形板状に形成されたシュー14は、回転ホイール10の周方向の所定の長さ範囲にわたってハウジング13にて位置決め状態に保持されている。このシュー14は、回転ホイール10の外周面に摺接して、この外周面に対する溝11の開口を塞ぐように配置されている。回転ホイール10に摺接するシュー14の内周面14aは、回転ホイール10の外周面に対してその周方向に沿って所定長さだけ摺接するように曲面状に形成されている。
【0036】
シュー14よりも回転ホイール10の回転方向下流側には、フィードプレート15が隣接して配置されている。このフィードプレート15は、シュー14と同様に、ハウジング13にて位置決め状態に保持され、回転ホイール10の外周面に摺接して当該外周面に対する溝11の開口を塞いでいる。すなわち、回転ホイール10に摺接するフィードプレート15の内周面15aは、回転ホイール10の外周面に対してその周方向に沿って所定長さだけ摺接するように曲面状に形成されている。
【0037】
このように、これら溝11、シュー14の内周面14a及びフィードプレート15の内周面15aによって、押出用素材Wを回転ホイール10の溝11内に配した状態でA方向に案内する素材案内通路16が形成されている。
【0038】
また、フィードプレート15の内周面15aのうち回転ホイール10の回転方向下流部分(図1における内周面15aの下側部分)には、アバットメント17が配設されている。このアバットメント17は、図2に示すように、素材案内通路16の下流端を塞ぐように溝11内に突出して該溝11の内面と若干の間隙を空けて配設されている。すなわち、アバットメント17は、素材案内通路16の下流端において溝11の内面付近を除く中央部分で押出用素材Wを堰き止めるように構成されている。
【0039】
ここで、上述したように、溝11とアバットメント17との間には若干の間隙が存在するが、シュー14及びフィードプレート15と回転ホイール10の外周面との間にもわずかに間隙が設けられている。そして、これらの間隙から可塑状となった押出用素材Wがバリ状に押し出され、これらのバリが溝11の内面及び回転ホイール10の外周面に付着する。
【0040】
そこで、これらのバリを除去するため、アバットメント17のさらに回転方向下流側には、図1に示すようにスクレーパー18が設けられている。このスクレーパー18は、その鋭利な先端部分を溝11の内面及び前記回転ホイール10の外周面に摺接可能に形成されており、付着したバリを削り取るようになっている。
【0041】
また、フィードプレート15には、図1〜3に示すように、その内周面15aの略中央部に回転ホイール10の溝11に対応した位置から金属押出材Sが成形される押出方向(図の矢印E方向)へ向かって貫通する素材案内孔19が形成されている。すなわち、この素材案内孔19は、素材案内通路16の下流端側に開口している。
【0042】
詳しくは、素材案内孔19は、押出方向Eの上流側に配置された流入部19aと、押出方向Eの下流側に配置された流出部19bと、これら流入部19aと流出部19bとの間に配置された中間部19cとからなる。
【0043】
流入部19aは、その押出方向Eに直交する断面が略長丸形状に形成され、溝11に開口している。詳しくは、図3に示すように、流入部19aの断面は、その開口する溝11の部分に沿うように鉛直方向(矢印F方向)に延びて形成されている。尚、本実施形態においては、このF方向が金属押出材Sの厚さ方向に設定されている。
【0044】
また、流出部19bは、その押出方向Eに直交する断面が略矩形状に形成され、フィードプレート15の内周面15aとは反対側の面15b(以下「外面15b」と呼ぶ)から窪んで形成されているとともに、後述するフローガイド20Aの調整孔21aに開口している。詳しくは、流出部19bの断面は、外面15bにおいてF方向に直交する水平方向(矢印G方向)に延びて形成されている。尚、本実施形態においては、このG方向が金属押出材Sの幅方向に設定されている。
【0045】
また、流出部19bの断面におけるF方向の寸法は、流入部19aの断面におけるF方向の寸法と略同一に設定されている。すなわち、流出部19bの断面積は、流入部19aの断面積よりも大きく設定されている。本実施形態では、流出部19bの断面寸法は、20mm(F方向)×38mm(G方向)程度に設定される。
【0046】
また、中間部19cは、その押出方向Eに直交する断面が略楕円形状をなし、その長軸をG方向に延ばすように配置し形成されている。また、中間部19cは、流入部19aの内面から窪むように形成されており、フィードプレート15の内周面15a側から外面15b側へ向かうに従い漸次G方向に広がるテーパ状とされている。また、中間部19cの断面におけるG方向の寸法は、流出部19bの断面におけるG方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0047】
また、フィードプレート15の外面15b側には、複数のフローガイド20、ダイス22、及び、複数のバックアップリング24が、押出方向Eに順次連ねて配されている。これらのフローガイド20、ダイス22及びバックアップリング24は、夫々円板状に形成されており、フィードプレート15と同様に、ハウジング13に位置決め状態で保持されている。
【0048】
ダイス22には、フィードプレート15の素材案内孔19に連通する成形孔23が形成されている。成形孔23は、ダイス22を押出方向Eに貫通し形成されており、その押出方向Eに直交する断面が扁平した矩形状とされている。押出用素材Wは、この成形孔23を通ることにより所望の断面形状を有する金属押出材Sへと成形されて、押出方向Eへ送出されるようになっている。
【0049】
詳しくは、成形孔23の断面形状は、フィードプレート15の素材案内孔19における流出部19bと比較してG方向に長くF方向に短い扁平な矩形状に形成されており、これにより、成形孔23を通過して成形される金属押出材Sは平板形状を呈することになる。本実施形態では、成形孔23の断面寸法は、2.7mm(F方向)×50mm(G方向)程度に設定される。
【0050】
また、フローガイド20は、ニッケル基耐熱合金からなり、フィードプレート15とダイス22との間に押出方向Eに沿って複数配設されている。フローガイド20には、素材案内孔19及び成形孔23に連通する調整孔21が形成されている。本実施形態においては、フローガイド20が、押出方向Eに連ねて3つ設けられている。
【0051】
これらのフローガイド20のうち、押出方向Eの上流側に配されて、フィードプレート15の外面15bに隣接するフローガイド20Aには、押出方向Eに直交する断面が略矩形状をなす調整孔21aが形成されている。この調整孔21aは、素材案内孔19に対応する位置に配されており、図3に示すように、その断面形状がG方向に延びるように形成されている。
【0052】
また、調整孔21aの断面におけるG方向の寸法は、素材案内孔19の流出部19bの断面におけるG方向の寸法よりも大きく設定されている。また、調整孔21aの断面におけるF方向の寸法は、流出部19bの断面におけるF方向の寸法と略同一に設定されている。本実施形態では、調整孔21aの断面寸法は、20mm(F方向)×50mm(G方向)程度に設定される。
【0053】
また、これらのフローガイド20のうち、押出方向Eの下流側に配されて、ダイス22の押出方向Eの上流側を向く端面22aに隣接するフローガイド20Bには、押出方向Eに直交する断面が略矩形状、略眼鏡形状又は略鼓形状をなす調整孔21bが形成されている。この調整孔21bは、成形孔23に対応する位置に配されており、その断面形状がG方向に延びるように形成されている。
【0054】
また、図3に示すように、調整孔21bは、ダイス22の成形孔23よりもその押出方向Eに直交する断面形状が大きく設定されている。詳しくは、調整孔21bの断面におけるF方向及びG方向の各寸法は、成形孔23の断面におけるF方向及びG方向の各寸法よりも夫々大きく設定される。また、調整孔21bの断面において、そのF方向の寸法は、G方向の中央(内方)部分において最も小さくされているとともに、該中央からG方向の外方へ向かうに連れ漸次大きくなるように設定されている。
【0055】
本実施形態においては、調整孔21bの断面は略鼓形状をなしており、そのF方向の両側をなす一対の辺部は、F方向の中央に向けて突出する凸曲線状に夫々形成されている。また、調整孔21bの断面において、そのG方向の両側をなす一対の辺部は、G方向の外方へ向けて窪む凹曲線状に夫々形成されている。また、調整孔21bの断面において、G方向の最大寸法は、60mm程度に設定される。
【0056】
また、これらのフローガイド20のうち、フローガイド20A、20Bの間に挟まれるとともに、押出方向Eの中央に配されるフローガイド20Cには、押出方向Eに直交する断面が略矩形状をなす調整孔21cが形成されている。この調整孔21cは、フローガイド20A、20Bの調整孔21a、21bに対応する位置に配されており、図3に示すように、その断面形状がG方向に延びるように形成されている。また、調整孔21cは、これらの調整孔21a、21bよりも、その押出方向Eに直交する断面形状が大きく設定されている。
【0057】
詳しくは、調整孔21cの断面におけるG方向の寸法は、調整孔21a、21bの断面におけるG方向の各寸法よりも大きく設定されている。また、調整孔21cの断面におけるF方向の寸法は、調整孔21aの断面におけるF方向の寸法と略同一に設定され、調整孔21bの断面におけるF方向の寸法よりも大きく設定されている。本実施形態では、調整孔21cの断面寸法は、20mm(F方向)×65mm(G方向)程度に設定される。
また、これらのフローガイド20A、20B、20Cは、その押出方向Eに沿う寸法が夫々5〜10mm程度に設定される。
【0058】
また、複数のバックアップリング24は、ダイス22に作用する押出力をハウジング13に伝達させ支持させるように、金属押出材Sの押し出されるE方向に重ねられ配置されている。また、これらのバックアップリング24は、ダイス22の成形孔23から押出方向Eへと送出される金属押出材Sを案内する通路の各リング孔を夫々成形孔23に対応する位置に有している。
【0059】
また、これらのバックアップリング24のうち、押出方向Eの略中央に配置されるバックアップリング24Aには、略U字状をなす棒状のヒーター25が内蔵されている。ヒーター25は、バックアップリング24Aの前記リング孔を囲むようにして配設されている。
【0060】
また、図2に示すように、フローガイド20及びダイス22のG方向外方には、これらのフローガイド20及びダイス22を囲むようにヒーターブロック26が夫々配設されている。これらのヒーターブロック26は、角棒状、略直方体状又は矩形板状に形成され、ハウジング13に支持され配設されている。
【0061】
ヒーターブロック26には、棒状をなしF方向に延在するヒーター27が複数内蔵されている。これらのヒーター27は、例えば、I字状又はU字状に形成されている。また、ヒーターブロック26においてG方向の内方を向く面は、フローガイド20及びダイス22においてG方向の外方を向く面に接近し配置されている。このような構成により、ヒーターブロック26は、これらのヒーター27を発熱させ少なくともフローガイド20の調整孔21及びダイス22の成形孔23を加熱する加熱手段とされている。
【0062】
次に、以上のように構成された回転ホイール式連続押出装置1を用いた金属押出材Sの製造方法について説明する。
まず、図1において、ワイヤー状の押出用素材Wは、A方向に回転駆動される回転ホイール10の溝11にコイニングロール12によって押し付けられる。この押出用素材Wは、回転ホイール10の回転駆動に伴う押出用素材Wと溝11との間の摩擦力により牽引されて、素材案内通路16に送り込まれる。
【0063】
この素材案内通路16の回転方向下流端はアバットメント17により堰き止められており、送り込まれる押出用素材Wによりその通路内が高圧化されている。そして、押出用素材Wは摩擦・変形発熱による塑性変形を受けながらフィードプレート15の素材案内孔19へと圧入されていき、フローガイド20の調整孔21を通過してダイス22の成形孔23からE方向へと押し出されることで、成形孔23の形状に対応する平板状の金属押出材Sへと成形される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る回転ホイール式連続押出装置1によれば、フィードプレート15とダイス22との間に、押出方向Eに沿ってフローガイド20が複数設けられているので、これらのフローガイド20の調整孔21を種々に設定し組み合わせることにより、これら調整孔21内を流れる押出用素材Wが、ダイス22の成形孔23に到達するまでの間にその押出方向Eに直交する断面形状を任意に変形させて、成形孔23に流入する際に、該成形孔23全体に充填されやすくなる。
【0065】
さらに、このようにフローガイド20を複数設けることで、フィードプレート15の素材案内孔19からダイス22の成形孔23までの間に押出用素材Wが拡幅する区間を充分にとることができるので、押出用素材Wが、これらフローガイド20の調整孔21内に確実に充填された後、ダイス22の成形孔23全体に均一に送りこまれることになる。
【0066】
従って、押出用素材Wとして銅や銅合金などの比較的硬質な金属材料を用い、製品として、断面扁平矩形状をなし、幅が広く薄肉の板状からなる金属押出材Sを製造するような場合であっても、押出用素材Wが、ダイス22の成形孔23に到達するまでの間にフローガイド20の調整孔21内において、押出方向Eに直交する断面の面方向のうち幅方向(G方向)外方に向けて充分に拡幅される。これにより、押出用素材Wが成形孔23から押し出される流出速度は、幅方向全体に均一に設定されることになり、精度の高い押出加工が行えるとともに、高品質の金属押出材Sを製造できる。
【0067】
また、このように押出用素材Wが摩擦・変形発熱で充分可塑状となった状態でダイス22の成形孔23全体に送り込まれるので、ダイス22の上流側を向く端面22aの成形孔23近傍に局所的に過大な押出圧力が加えられるようなことが防止される。従って、特に押出開始時におけるダイス22の破損等が確実に防止され、工具寿命が延長する。
【0068】
また、フローガイド20を複数設け夫々の調整孔21a、21b、21cを組み合わせていることから、従来のように、デッドメタルの発生を抑制するためダイス22の成形孔23に合わせて個別にフローガイド20を製作するような必要はなく、このような構成に対比して、設備費用が削減される。すなわち、本実施形態では、複数のフローガイド20のうち、少なくともダイス22の上流側を向く端面22aに隣接する1つのフローガイド20Bの調整孔21bのみを成形孔23に対応させるように形成すればよいことから、フローガイド20の材料費等の設備費用が大幅に削減されるとともに、金属押出材Sの製造コストが抑えられる。
【0069】
また、ダイス22の端面22aに隣接するフローガイド20Bの調整孔21bの断面形状が、ダイス22の成形孔23の断面形状よりも大きく設定されているので、押出用素材Wはこの調整孔21b内において下流側の成形孔23を覆うように前記面方向の外方に向けて充分に拡幅されて速度調整された後、該成形孔23に流入することになる。従って、押出用素材Wが成形孔23全体により均一に流出するとともに、この成形孔23から押し出される金属押出材Sの品質が充分に確保される。
【0070】
特に、前述したように幅が広く薄肉の板状からなる金属押出材Sを製造する場合には、ダイス22の端面22aに隣接するフローガイド20Bの調整孔21b内において、押出用素材Wが幅方向外方に向けて充分に拡幅されることから、金属押出材Sの幅方向の両端部における板厚不足や波打ち状の材料不足欠陥等がより確実に防止されることになり、高品質の金属押出材Sが製造できる。
【0071】
また、フローガイド20は3つ設けられており、これらのフローガイド20のうち、押出方向Eの中央に配置されたフローガイド20Cの調整孔21cは、押出方向Eの両端に配置されたフローガイド20A、20Bの調整孔21a、21bよりも、その押出方向Eに直交する断面形状が大きく設定されている。
【0072】
従って、押出用素材Wは、これらフローガイド20のうち、押出方向Eのフィードプレート15側に配されたフローガイド20Aの調整孔21a内から押出方向Eの中央に配されたフローガイド20Cの調整孔21c内に向けて流動する際には、押出方向Eに直交する断面の面方向外方に向けて拡幅されていく。次いで、この中央のフローガイド20Cの調整孔21c内から押出方向Eのダイス22側に配されたフローガイド20Bの調整孔21b内に向けて流動する際には、前記面方向の内方(中央)に向けて集束されていく。そして、押出用素材Wがフローガイド20Bの調整孔21b内からダイス22の成形孔23内へ向けて流動する際には、該成形孔23全体に均一に導入されることになる。
【0073】
このような構成によれば、フローガイド20の調整孔21内において、押出用素材Wの断面形状は、充分に増大された後適宜縮小されて、ダイス22の成形孔23の形状に対応するように変形される。従って、押出用素材Wは、調整孔21内において滞留するようなことがなく、成形孔23内へと効率よく流動することになる。よって、調整孔21内に過剰なデッドメタルが生じるようなことが確実に防止されるとともに、押出用素材Wが成形孔23全体により均一に流出して、金属押出材Sの品質が大幅に高められる。
【0074】
また、フローガイド20は、複数のフローガイド20A、20B、20Cを組み合わせた構成であることから、前述のように、押出方向Eの中央の調整孔21cの断面形状が両端の調整孔21a、21bの断面形状よりも大きく設定されていても、比較的容易に製造することができる。
【0075】
また、少なくともフローガイド20の調整孔21及びダイス22の成形孔23を加熱する加熱手段として、ヒーター27を備えたヒーターブロック26が配設されているので、押出開始前に、予め調整孔21及び成形孔23を充分に加熱することができる。従って、比較的大きな押出圧力が必要とされる押出開始時においても、調整孔21内及び成形孔23内に配された押出用素材Wが加熱により容易に塑性変形しやすくなり、比較的簡便に金属押出材Sを押し出すことができる。これにより、押出加工の初期から品質のよい金属押出材Sを製造できる。
【0076】
また、このように押出用素材Wが塑性変形しやすくされて、過大な押出圧力を必要としないことから、ダイス22、フローガイド20、フィードプレート15等の工具が破損するようなことが防止される。従って、工具寿命が延長する。
【0077】
また、バックアップリング24Aにヒーター25が内蔵されていることから、ヒーターブロック26により加熱されたダイス22やフローガイド20から、押出方向Eの下流側の外部へ向けて熱が逃げるようなことが抑制される。従って、ヒーターブロック26による前述の加熱が効率よく行える。
【0078】
尚、前述した素材案内通路16においては、溝11とアバットメント17との間、及び、シュー14及びフィードプレート15と回転ホイール10の外周面との間に、それぞれ若干の間隙が存在しているため、その間隙から可塑状となった押出用素材Wがバリ状に押し出され、これらのバリが溝11の内面及び前記回転ホイール10の外周面に付着する。これらのバリは、アバットメント17の下流側に設けられたスクレーパー18によって削り落とされるため、バリの除去作業に作業者の手間を要することなく、長期に亘り安定して金属押出材Sを製造することができる。
【0079】
また、このように構成された回転ホイール式連続押出装置1を用いて押出用素材Wを押出成形する金属押出材Sの製造方法によれば、高品質の金属押出材Sを比較的容易に製造することができる。
【0080】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、成形孔23の断面寸法は、2.7mm(F方向)×50mm(G方向)程度に設定されることとしたが、これに限定されるものではない。詳しくは、成形孔23の断面寸法におけるアスペクト比(F方向:G方向)を1:40程度に設定することも可能であって、この場合、例えば、成形孔23の断面寸法が、1mm(F方向)×40mm(G方向)程度に設定される。
【0081】
より詳しくは、成形孔23の断面寸法は、その幅方向(G方向)が10mm〜55mmの範囲内に設定され、その厚さ方向(F方向)が1mm〜10mmの範囲内に設定される。
【0082】
また、本実施形態では、金属押出材Sは、押出方向Eに直交する断面が扁平した矩形状とされていることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、金属押出材Sは、前記断面が前述した以外の扁平した楕円形状や多角形板状等であってもよく、また、その断面において外周から突出する凸部や窪む凹部を部分的に有した形状であってもよい。ただし、本実施形態のように、金属押出材Sが扁平した薄肉板状に設定される、所謂拡大押出成形加工の場合には、前述した作用効果が充分に得られることから、より好ましい。
【0083】
また、本実施形態では、フローガイド20を3つ設けることとしたが、フローガイド20は複数設けられていればよく、これに限定されるものではない。詳しくは、例えば、フローガイド20を2つ設けて、フローガイド20B、20Cのみとしても構わない。この場合、フローガイド20Cの調整孔21cの断面寸法を、10〜15mm(F方向)×65mm(G方向)程度に設定するのが好ましい。
【0084】
また、前述した素材案内孔19の形状、該素材案内孔19における流出部19bの断面寸法、フローガイド20の調整孔21a、21b、21cの形状及び断面寸法は、本実施形態に限定されるものではない。
【0085】
また、本実施形態では、加熱手段として、ヒーターブロック26が設けられていることとしたが、それ以外の加熱手段を用いても構わない。すなわち、ヒーターブロック26を用いる代わりに、例えば、バーナー等を用いてダイス22の成形孔23及びフローガイド20の調整孔21を加熱する構成としてもよい。
また、熱電対等の温度検出手段をダイス22近傍に配設して、該温度検出手段を制御部に電気的に接続するとともに、前述の加熱の温度を制御するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 回転ホイール式連続押出装置
10 回転ホイール
11 溝
14 シュー
14a シューの内周面
15 フィードプレート
15a フィードプレートの内周面
15b フィードプレートの外面
16 素材案内通路
17 アバットメント
19 素材案内孔
20 フローガイド
20A フローガイド(フィードプレート側)
20B フローガイド(ダイス側)
20C フローガイド(中央)
21 調整孔
21a 調整孔(フィードプレート側)
21b 調整孔(ダイス側)
21c 調整孔(中央)
22 ダイス
22a ダイスの上流側を向く端面
23 成形孔
26 ヒーターブロック(加熱手段)
E 押出用素材W(金属押出材S)の押出方向
S 金属押出材
W 押出用素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ホイールの外周面に形成された溝の一部をシュー及びフィードプレートの各内周面で覆って形成した素材案内通路と、前記素材案内通路の下流端を塞ぐように前記溝内に突設されたアバットメントと、前記フィードプレートに形成されて前記素材案内通路の下流端に開口する素材案内孔と、前記フィードプレートの内周面と反対側の外面側に配置されて前記素材案内孔に連通される成形孔を形成したダイスとを備え、
前記素材案内通路に導入された押出用素材を前記成形孔から押し出し金属押出材を成形する回転ホイール式連続押出装置であって、
前記フィードプレートと前記ダイスとの間には、前記素材案内孔及び前記成形孔に連通する調整孔を有するフローガイドが、押出用素材の押出方向に沿って複数設けられていることを特徴とする回転ホイール式連続押出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転ホイール式連続押出装置であって、
前記フローガイドのうち、少なくとも前記ダイスの上流側を向く端面に隣接するフローガイドの前記調整孔は、前記成形孔よりもその押出方向に直交する断面形状が大きく設定されていることを特徴とする回転ホイール式連続押出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転ホイール式連続押出装置であって、
前記フローガイドは、3つ以上設けられており、
これらのフローガイドのうち、押出方向の中央に配置されたフローガイドの前記調整孔は、押出方向の両端に配置されたフローガイドの前記調整孔よりも、その押出方向に直交する断面形状が大きく設定されていることを特徴とする回転ホイール式連続押出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転ホイール式連続押出装置であって、
少なくとも前記フローガイドの調整孔及び前記ダイスの成形孔を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする回転ホイール式連続押出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転ホイール式連続押出装置を用いた金属押出材の製造方法であって、
金属材料からなる押出用素材を前記素材案内通路に導入し、この素材案内通路の下流端から前記フィードプレートの素材案内孔に圧入し、前記フローガイドの調整孔を通過させて前記ダイスの成形孔から押し出すことで、前記成形孔に対応する断面形状に成形することを特徴とする金属押出材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−279960(P2010−279960A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133390(P2009−133390)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】