回転印判
【課題】常時は印字面がシャッタにより遮蔽されている回転印判の印字面の変更を簡単に行うことができる回転印判を目的とする。
【解決手段】 回転印フレーム5に架設される複数の回転子3と橋架部4c間に無端印字ベルト2を懸装した回転印6と、この回転印6を前記回転子3が外部に露呈された状態として昇降動自在に被套している鞘体8と、この鞘体8の先端が常時は回転印6の印字面より先方に位置するように弾発する弾発部材10と、鞘体8の先端開口に近い位置に設けられて常時は印字面が鞘体8の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体8が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材9とよりなる回転印判であって、鞘体8の先端開口より回転印6の印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材9を保持できるロック機構を組み込んである。
【解決手段】 回転印フレーム5に架設される複数の回転子3と橋架部4c間に無端印字ベルト2を懸装した回転印6と、この回転印6を前記回転子3が外部に露呈された状態として昇降動自在に被套している鞘体8と、この鞘体8の先端が常時は回転印6の印字面より先方に位置するように弾発する弾発部材10と、鞘体8の先端開口に近い位置に設けられて常時は印字面が鞘体8の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体8が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材9とよりなる回転印判であって、鞘体8の先端開口より回転印6の印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材9を保持できるロック機構を組み込んである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押印操作時以外においては無端印字ベルトを備えた回転印の印字面が外部に露呈されることがないようにシャッタ部材で覆ってある回転印判に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続捺印を可能とした印判において、押印操作時以外は印字面を覆うシャッタを設けて、印字面が傷付いたり、ゴミが付着したり、印字面により手や衣服を汚すことがないようにしたりする印判は知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1、2、3に記載されているものは、いずれも固定印判であるから単純にシャッタを捺印時の押印操作で鞘体を押圧して開放すればよいが、日付印のように回転操作で印字面を変更させる回転印判において、印字面を変更するためには印字面を視認しながら回転子を操作する必要があり、このような印字面を変更するためには、押印操作を行なうことなく必要時にシャッタを開放できるようにする必要があり、このような回転印判は構造が複雑となるために未だ市販されていない。
【特許文献1】実公平7−26127号
【特許文献2】特公平7−90871号
【特許文献2】特開2006−205440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、常時は印字面がシャッタにより遮蔽されている回転印判の印字面の変更を簡単に行うことができる回転印判を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記のような目的を達成することのできる本発明の回転印判は、回転印フレームに架設される複数の回転子と橋架部間に無端印字ベルトを懸装した回転印と、この回転印を前記した回転子が外部に露呈された状態として昇降動自在に被套している鞘体と、この鞘体の先端が常時は回転印の印字面より先に位置するように弾発する弾発部材と、鞘体の先端開口に近い位置に設けられて常時は印字面が鞘体の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材とよりなる回転印判であって、前記した鞘体の先端開口より回転印の前記した印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材を保持できるロック機構を組み込んであることを特徴とする。
【0006】
なお、シャッタ部材やロック機構としては、種々考えられるが、シャッタ部材としては鞘体の先端開口に近い対向位置に基部を枢支させて先端同士を接触させている一対の遮蔽板、ロック機構としては、鞘体の内面に形成されて押印操作に伴う回転印の下降と連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板を開放させる位置に回転印を位置決めする係合部付きの係合溝と、回転印フレームに設けられて該係合溝に係合される係止ピンとよりなるものが構造が簡単なうえに安定した操作がえられるので好ましく、また、この場合、係合溝に係止部を多段に形成したり、係合溝に回転印の昇降をロックする水平溝を形成したり、鞘体に回転印の回転子を覆う遮蔽部を形成したりすることが好ましい。さらに、回転印の回転子を上下多段に配設しておいたり、回転印の無端印字ベルトの印字部を囲んでマスター印部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、鞘体の先端開口より前記した印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材を保持できるロック機構を組み込んであるので、日付印のように回転操作で印字面を変更させる回転印判において、印字面を変更したいときには押圧操作を行なうことなくいつでも必要時に簡単な操作で印字面を視認することができる。また、シャッタ部材が、鞘体の先端開口に近い対向位置に基部を枢支させて先端同士を接触させている一対の遮蔽板であり、ストッパ機構が、鞘体の内面に形成されて押印操作に伴う回転印の下降と連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板を開放させる位置に回転印を位置決めする係合部付きの係合溝と、回転印フレームに設けられて該係合溝に係合される係止ピンとよりなるものとしたときは、特に構造が構造が簡単なうえに安定した操作が得られることとなる。
【0008】
また、係合溝に係止部を多段に形成しておけば、回転印の位置決め位置を変更することにより、印字面位置を鞘体の先端から近付けたり遠ざけたりできるので、印字面の清掃する際には鞘体の先端に印字面を近付けることにより清掃作業が簡単になる。
【0009】
さらに、係合溝に回転印の昇降をロックする水平溝を形成することにより、回転印が不用意に下降して鞘体の先端より印字面が露呈して他物を汚す恐れがないものとなる。
【0010】
さらにまた、鞘体に回転印の回転子を覆う遮蔽部を形成することにより、不使用時には、回転子を遮蔽部により覆っておけば、他物に当たったりして不用意に回転子が回転し印字面が変更されることを的確に防止できる。
【0011】
また、複数の回転子を上下多段に配設しておけば、回転子の配置位置を分散できるので回転子間隔を充分確保して回転子操作を円滑に行なえるものとなる。
【0012】
なお、回転印の無端印字ベルトの印字部を囲んでマスター印を配設することにより、変更できる印字面と固定の印字面による多様な捺印パターンを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、1はマスター印付きの回転印本体である。この回転印本体1は、無端印字ベルト2を回動させる回転子3を備えた回転子フレーム4を回転印フレーム5に装着した回転印6と、前記無端印字ベルト2の印字部を囲むマスター印7と、回転印フレーム5を被套する鞘体8と、この鞘体8の先端開口に近い位置に設けられて常時は無端印字ベルト2の印字部の印字面が鞘体8の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体8が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材9とからなるものである。
【0014】
前記回転子フレーム4は、図21に示されるように、回転子3の回転軸3a、3bを軸支する軸受4a、4bを上下2段に配設するとともに、下部に無端印字ベルト2を懸ける橋架部4cを形成した略U字状のものである。回転軸3a、3bを多段に配設することにより回転子3の配設間隔を広げることができるので、回転子の操作時、隣接する回転子3を共回りさせることを的確に防止できるものとなる。
【0015】
また、前記回転印フレーム5は図22に示されるように、分割成形された半割部材を組み合わせて小径筒部5aと大径筒部5bとからなる段付きの略円筒体であり、大径筒部5bの周面に180°間隔で形成された凹弧面5cに回転子3を張出させる切欠部5dが形成されている。また、大径筒部5bの上端には前記凹弧面5cとは位相を90°ずらして180°間隔で後記する係止ピン5eが突出形成されている。
【0016】
前記回転印フレーム5の小径筒部5aの上端には把持部50が嵌合される。該把持部50は鞘体8に摺動自在に嵌挿される。また、10はコイルばね等の弾性部材であり、該弾性部材10は把持部50の天板内面と鞘体8の上端間に装着されて把持部50と鞘体8間を離隔する方向に付勢している。
【0017】
また、図示したシャッタ部材9は、先端に係合突片12aと係合受縁12bとよりなる凹凸端縁を形成するとともに、他端に取付用の挿込片13を形成した略半円形状の遮蔽板11、11とからなり、この遮蔽板11、11は弾性によりそれぞれの係合突片12aと係合受縁12bとが常時互い違いに組み合うようになっており、また、基部の挿込片13は鞘体8の先端に設けられるシャッタ部材9の取付筒80に形成される180°間隔で対向して配設される挿込溝80a、80aに挿し込まれて遮蔽板11、11を枢支可能に固定するもので、各遮蔽板11、11はその弾性により凹凸端縁を互い違いに係合されて常時は印字面を隠蔽しているが、下降する回転印6の先端外周面が当接されることにより遮蔽板11、11は押し開かれる。
【0018】
また、鞘体8は回転子3を露呈させる長窓孔8a、8aと回転子3を覆う遮蔽部8bとが形成されたもので、捺印時や回転印6の印字面を変更するとき以外は回転子3は遮蔽部8bにより遮蔽されて他物に触れたりして不用意に動くことがないようにしている。15は鞘体8の内面に形成される回転印フレーム5の係止ピン5eを係合させる係合溝であり、該係合溝15は水平溝15aと垂直溝15bと垂直溝15bに形成される斜め上向きの係止部15cとからなり、水平溝15aは回転印6の捺印動作をロックさせるロック機能をもち、垂直部15bは回転印6の捺印動作をガイドする機能をもっている。
【0019】
また、前記係止部15cは回転印フレーム5の係止ピン5eを係止させて、回転印6をシャッタ部材9は開放されるが回転印6の印字面は鞘体8の先端に取り付けられた取付筒80の先端から露出されない位置に位置決めされる。係止ピン5eの係止状態は弾性部材10によって回転印フレーム5が常時上向きに付勢され、係止部15cに係止ピン5eが押圧されることにより行なわれる。
【0020】
また、水平溝15aは鞘体8の円周内面の1/4(90°)に形成されており、鞘体8を右回り方向に90°回動させれば回転子3は遮蔽部8bにより被套されるとともに、回転印6の捺印動作をロックするので、ポケットやバッグ等に入れて持ち運んでも印字面が不用意に露出されてインキが衣服や手に付着することがないうえに、回転子3が不用意に回動されて印字面が変更されることがない。また、水平溝15aを垂直部15bの下端部に形成すれば、捺印状態をロックすることができるので、連続捺印を行なう際、回転印6を捺印毎に上昇させる必要がなくなり、捺印作業をスピードアップできる。さらに、上端部あるいは下端部に形成される水平溝15aのロック位置近傍に突起を設けて係止ピン5eが該突起を乗り越えてロック位置に配置されるようにすれば、クリック感が生じるのでロック位置に達したことを感知できるうえに、携帯時や収納時に使用者の意思に反して印字面が露呈することがないので、他物をインキで汚損させることを防止できる。
【0021】
18は回転子フレーム4を付勢して無端印字ベルト2に張力を与えるテンションばねである。3cは回転子3のノッチ部、3dは無端印字ベルト2を巻き掛ける回転子3の軸筒部であり、この軸筒部3dの外周面には無端印字ベルト2の滑り止めする角錐状の突起19が千鳥状に配設されている。20は回転子3間に配置されるセパレータである。
【0022】
21は無端印字ベルト2にインキを供給する第1インキ吸蔵体であり、22は第1インキ吸蔵体21の上に重ねられる第2インキ吸蔵体である。また、23は把持部50に貼付される回転印6のロック方向を指示する表示ラベル、24は鞘体8に貼付される日付変更位置指示線の表示ラベル、25は回転印フレーム5に貼付される日付変更位置支持線との合せ線の表示ラベル,26はマスター印7のインキ吸蔵体である。
【0023】
このような回転印判を使用する際には、まず、鞘体8の長窓孔8aより露呈される各回転子3をそのノッチ部3cを介して適宜回動させて印字面を所望の内容に変更する。
【0024】
前記操作により印字面を変更した後、把持部50を把持して回転印6を押し下げれば、回転印フレーム5の係止ピン5eは鞘体8の垂直溝15bにガイドされて回転印6を下降させることとなる。この下降により回転印6の先端外周面はシャッタ部材9の遮蔽板11、11に接触して押し開けることによりシャッタ部材9は開放される。開放されたシャッタ部9を通じて回転印6はさらに下降して図13〜18示されるように取付筒80の先端より印字面を露呈させることとなり、回転印6とマスター印7とによる捺印が行われる。
【0025】
また、回転印6の印字面を変更する場合は、鞘体8に対して回転印6を若干下降させて、図7〜12に示されるように、鞘体8の日付変更位置指示線24と回転印フレーム5の合せ線25とを一致させる。このときシャッタ部材9は開放されている。この状態で鞘体8に対して回転印6を若干右回り方向に回動させることにより、係止ピン4bは係止部15cに係止され、回転印6は弾性部材10の付勢力により係止状態が位置決め維持されることとなる。このとき印字面は鞘体8内に位置しているため、印字面の変更時に衣服や指にインキが付着されることは防止される。このようにシャッタ部材9が開放されて露出している印字面を見ながら回転子3のノッチ部3cを回動させて印字面を変更する。
【0026】
印字面の変更が完了したら、鞘体8に対して回転印6を前記とは逆の左回り方向に少し回動させて係止ピン5eと係合溝15の係止部15cとの係止を解けば、回転印6は旧状に復帰上昇される。これによりシャッタ部材9の遮蔽板11、11は弾性復帰して再び印字面を遮蔽することとなる。
【0027】
印字面の変更後、前記と同様にして捺印動作を行えば、変更された回転印6の印字面とマスター印2の印字面による捺印が行なわれることとなる。
【0028】
このようにして捺印が完了したら、鞘体8を回転印6に対して左回り方向に回転させれば、係止ピン5eは係合溝15の水平溝15aの始端に係止されることとなるので、把持部50が不用意に押さえられても捺印動作は行われないので、ポケットやバッグ等に入れていても印字面のインキにより他物を汚す恐れがない。しかも、この状態では回転子3のノッチ部3cは鞘体8の遮蔽部8bにより覆われているので、回転子3が不用意に回されて印字面が変わることがないので、予期しない変更操作が行われることによる誤捺印を確実に防止できるものとなる。
【0029】
なお、係止部15cは実施形態では一つ形成されているが、図23に示されるように複数設けて、回転印6の印字面が鞘体8の先端に近接するようにして、印字面の清掃等が容易に行なえるようにしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態においてロック状態を示す前向き断面図である。
【図2】同じく横向き断面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】同じく底面図である。
【図6】同じく斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態において印字面変更状態を示す横向き断面図ある。
【図8】同じく前向き断面図である。
【図9】同じく正面図である。
【図10】同じく側面図である。
【図11】同じく底面図である。
【図12】同じく斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態において捺印状態を示す横向き断面図である。
【図14】同じく前向き断面図である。
【図15】同じく正面図である。
【図16】同じく側面図である。
【図17】同じく底面図である。
【図18】同じく斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態の鞘体を半割して示す正面図である。
【図20】同じく斜視図である。
【図21】本発明の回転子フレームの斜視図である。
【図22】本発明の回転印フレームの斜視図である。
【図23】本発明の鞘体の他の実施形態を半割して示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
2 無端印字ベルト
3 回転子
4c 橋架部
5 回転印フレーム
5e 係止ピン
6 回転印
7 マスター印
8 鞘体
8b 遮蔽部
9 シャッタ部材
10 弾発部材
11 遮蔽板
15c 係止部
15 係合溝
15a 水平溝
50 把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、押印操作時以外においては無端印字ベルトを備えた回転印の印字面が外部に露呈されることがないようにシャッタ部材で覆ってある回転印判に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続捺印を可能とした印判において、押印操作時以外は印字面を覆うシャッタを設けて、印字面が傷付いたり、ゴミが付着したり、印字面により手や衣服を汚すことがないようにしたりする印判は知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1、2、3に記載されているものは、いずれも固定印判であるから単純にシャッタを捺印時の押印操作で鞘体を押圧して開放すればよいが、日付印のように回転操作で印字面を変更させる回転印判において、印字面を変更するためには印字面を視認しながら回転子を操作する必要があり、このような印字面を変更するためには、押印操作を行なうことなく必要時にシャッタを開放できるようにする必要があり、このような回転印判は構造が複雑となるために未だ市販されていない。
【特許文献1】実公平7−26127号
【特許文献2】特公平7−90871号
【特許文献2】特開2006−205440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、常時は印字面がシャッタにより遮蔽されている回転印判の印字面の変更を簡単に行うことができる回転印判を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記のような目的を達成することのできる本発明の回転印判は、回転印フレームに架設される複数の回転子と橋架部間に無端印字ベルトを懸装した回転印と、この回転印を前記した回転子が外部に露呈された状態として昇降動自在に被套している鞘体と、この鞘体の先端が常時は回転印の印字面より先に位置するように弾発する弾発部材と、鞘体の先端開口に近い位置に設けられて常時は印字面が鞘体の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材とよりなる回転印判であって、前記した鞘体の先端開口より回転印の前記した印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材を保持できるロック機構を組み込んであることを特徴とする。
【0006】
なお、シャッタ部材やロック機構としては、種々考えられるが、シャッタ部材としては鞘体の先端開口に近い対向位置に基部を枢支させて先端同士を接触させている一対の遮蔽板、ロック機構としては、鞘体の内面に形成されて押印操作に伴う回転印の下降と連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板を開放させる位置に回転印を位置決めする係合部付きの係合溝と、回転印フレームに設けられて該係合溝に係合される係止ピンとよりなるものが構造が簡単なうえに安定した操作がえられるので好ましく、また、この場合、係合溝に係止部を多段に形成したり、係合溝に回転印の昇降をロックする水平溝を形成したり、鞘体に回転印の回転子を覆う遮蔽部を形成したりすることが好ましい。さらに、回転印の回転子を上下多段に配設しておいたり、回転印の無端印字ベルトの印字部を囲んでマスター印部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、鞘体の先端開口より前記した印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材を保持できるロック機構を組み込んであるので、日付印のように回転操作で印字面を変更させる回転印判において、印字面を変更したいときには押圧操作を行なうことなくいつでも必要時に簡単な操作で印字面を視認することができる。また、シャッタ部材が、鞘体の先端開口に近い対向位置に基部を枢支させて先端同士を接触させている一対の遮蔽板であり、ストッパ機構が、鞘体の内面に形成されて押印操作に伴う回転印の下降と連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板を開放させる位置に回転印を位置決めする係合部付きの係合溝と、回転印フレームに設けられて該係合溝に係合される係止ピンとよりなるものとしたときは、特に構造が構造が簡単なうえに安定した操作が得られることとなる。
【0008】
また、係合溝に係止部を多段に形成しておけば、回転印の位置決め位置を変更することにより、印字面位置を鞘体の先端から近付けたり遠ざけたりできるので、印字面の清掃する際には鞘体の先端に印字面を近付けることにより清掃作業が簡単になる。
【0009】
さらに、係合溝に回転印の昇降をロックする水平溝を形成することにより、回転印が不用意に下降して鞘体の先端より印字面が露呈して他物を汚す恐れがないものとなる。
【0010】
さらにまた、鞘体に回転印の回転子を覆う遮蔽部を形成することにより、不使用時には、回転子を遮蔽部により覆っておけば、他物に当たったりして不用意に回転子が回転し印字面が変更されることを的確に防止できる。
【0011】
また、複数の回転子を上下多段に配設しておけば、回転子の配置位置を分散できるので回転子間隔を充分確保して回転子操作を円滑に行なえるものとなる。
【0012】
なお、回転印の無端印字ベルトの印字部を囲んでマスター印を配設することにより、変更できる印字面と固定の印字面による多様な捺印パターンを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、1はマスター印付きの回転印本体である。この回転印本体1は、無端印字ベルト2を回動させる回転子3を備えた回転子フレーム4を回転印フレーム5に装着した回転印6と、前記無端印字ベルト2の印字部を囲むマスター印7と、回転印フレーム5を被套する鞘体8と、この鞘体8の先端開口に近い位置に設けられて常時は無端印字ベルト2の印字部の印字面が鞘体8の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体8が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材9とからなるものである。
【0014】
前記回転子フレーム4は、図21に示されるように、回転子3の回転軸3a、3bを軸支する軸受4a、4bを上下2段に配設するとともに、下部に無端印字ベルト2を懸ける橋架部4cを形成した略U字状のものである。回転軸3a、3bを多段に配設することにより回転子3の配設間隔を広げることができるので、回転子の操作時、隣接する回転子3を共回りさせることを的確に防止できるものとなる。
【0015】
また、前記回転印フレーム5は図22に示されるように、分割成形された半割部材を組み合わせて小径筒部5aと大径筒部5bとからなる段付きの略円筒体であり、大径筒部5bの周面に180°間隔で形成された凹弧面5cに回転子3を張出させる切欠部5dが形成されている。また、大径筒部5bの上端には前記凹弧面5cとは位相を90°ずらして180°間隔で後記する係止ピン5eが突出形成されている。
【0016】
前記回転印フレーム5の小径筒部5aの上端には把持部50が嵌合される。該把持部50は鞘体8に摺動自在に嵌挿される。また、10はコイルばね等の弾性部材であり、該弾性部材10は把持部50の天板内面と鞘体8の上端間に装着されて把持部50と鞘体8間を離隔する方向に付勢している。
【0017】
また、図示したシャッタ部材9は、先端に係合突片12aと係合受縁12bとよりなる凹凸端縁を形成するとともに、他端に取付用の挿込片13を形成した略半円形状の遮蔽板11、11とからなり、この遮蔽板11、11は弾性によりそれぞれの係合突片12aと係合受縁12bとが常時互い違いに組み合うようになっており、また、基部の挿込片13は鞘体8の先端に設けられるシャッタ部材9の取付筒80に形成される180°間隔で対向して配設される挿込溝80a、80aに挿し込まれて遮蔽板11、11を枢支可能に固定するもので、各遮蔽板11、11はその弾性により凹凸端縁を互い違いに係合されて常時は印字面を隠蔽しているが、下降する回転印6の先端外周面が当接されることにより遮蔽板11、11は押し開かれる。
【0018】
また、鞘体8は回転子3を露呈させる長窓孔8a、8aと回転子3を覆う遮蔽部8bとが形成されたもので、捺印時や回転印6の印字面を変更するとき以外は回転子3は遮蔽部8bにより遮蔽されて他物に触れたりして不用意に動くことがないようにしている。15は鞘体8の内面に形成される回転印フレーム5の係止ピン5eを係合させる係合溝であり、該係合溝15は水平溝15aと垂直溝15bと垂直溝15bに形成される斜め上向きの係止部15cとからなり、水平溝15aは回転印6の捺印動作をロックさせるロック機能をもち、垂直部15bは回転印6の捺印動作をガイドする機能をもっている。
【0019】
また、前記係止部15cは回転印フレーム5の係止ピン5eを係止させて、回転印6をシャッタ部材9は開放されるが回転印6の印字面は鞘体8の先端に取り付けられた取付筒80の先端から露出されない位置に位置決めされる。係止ピン5eの係止状態は弾性部材10によって回転印フレーム5が常時上向きに付勢され、係止部15cに係止ピン5eが押圧されることにより行なわれる。
【0020】
また、水平溝15aは鞘体8の円周内面の1/4(90°)に形成されており、鞘体8を右回り方向に90°回動させれば回転子3は遮蔽部8bにより被套されるとともに、回転印6の捺印動作をロックするので、ポケットやバッグ等に入れて持ち運んでも印字面が不用意に露出されてインキが衣服や手に付着することがないうえに、回転子3が不用意に回動されて印字面が変更されることがない。また、水平溝15aを垂直部15bの下端部に形成すれば、捺印状態をロックすることができるので、連続捺印を行なう際、回転印6を捺印毎に上昇させる必要がなくなり、捺印作業をスピードアップできる。さらに、上端部あるいは下端部に形成される水平溝15aのロック位置近傍に突起を設けて係止ピン5eが該突起を乗り越えてロック位置に配置されるようにすれば、クリック感が生じるのでロック位置に達したことを感知できるうえに、携帯時や収納時に使用者の意思に反して印字面が露呈することがないので、他物をインキで汚損させることを防止できる。
【0021】
18は回転子フレーム4を付勢して無端印字ベルト2に張力を与えるテンションばねである。3cは回転子3のノッチ部、3dは無端印字ベルト2を巻き掛ける回転子3の軸筒部であり、この軸筒部3dの外周面には無端印字ベルト2の滑り止めする角錐状の突起19が千鳥状に配設されている。20は回転子3間に配置されるセパレータである。
【0022】
21は無端印字ベルト2にインキを供給する第1インキ吸蔵体であり、22は第1インキ吸蔵体21の上に重ねられる第2インキ吸蔵体である。また、23は把持部50に貼付される回転印6のロック方向を指示する表示ラベル、24は鞘体8に貼付される日付変更位置指示線の表示ラベル、25は回転印フレーム5に貼付される日付変更位置支持線との合せ線の表示ラベル,26はマスター印7のインキ吸蔵体である。
【0023】
このような回転印判を使用する際には、まず、鞘体8の長窓孔8aより露呈される各回転子3をそのノッチ部3cを介して適宜回動させて印字面を所望の内容に変更する。
【0024】
前記操作により印字面を変更した後、把持部50を把持して回転印6を押し下げれば、回転印フレーム5の係止ピン5eは鞘体8の垂直溝15bにガイドされて回転印6を下降させることとなる。この下降により回転印6の先端外周面はシャッタ部材9の遮蔽板11、11に接触して押し開けることによりシャッタ部材9は開放される。開放されたシャッタ部9を通じて回転印6はさらに下降して図13〜18示されるように取付筒80の先端より印字面を露呈させることとなり、回転印6とマスター印7とによる捺印が行われる。
【0025】
また、回転印6の印字面を変更する場合は、鞘体8に対して回転印6を若干下降させて、図7〜12に示されるように、鞘体8の日付変更位置指示線24と回転印フレーム5の合せ線25とを一致させる。このときシャッタ部材9は開放されている。この状態で鞘体8に対して回転印6を若干右回り方向に回動させることにより、係止ピン4bは係止部15cに係止され、回転印6は弾性部材10の付勢力により係止状態が位置決め維持されることとなる。このとき印字面は鞘体8内に位置しているため、印字面の変更時に衣服や指にインキが付着されることは防止される。このようにシャッタ部材9が開放されて露出している印字面を見ながら回転子3のノッチ部3cを回動させて印字面を変更する。
【0026】
印字面の変更が完了したら、鞘体8に対して回転印6を前記とは逆の左回り方向に少し回動させて係止ピン5eと係合溝15の係止部15cとの係止を解けば、回転印6は旧状に復帰上昇される。これによりシャッタ部材9の遮蔽板11、11は弾性復帰して再び印字面を遮蔽することとなる。
【0027】
印字面の変更後、前記と同様にして捺印動作を行えば、変更された回転印6の印字面とマスター印2の印字面による捺印が行なわれることとなる。
【0028】
このようにして捺印が完了したら、鞘体8を回転印6に対して左回り方向に回転させれば、係止ピン5eは係合溝15の水平溝15aの始端に係止されることとなるので、把持部50が不用意に押さえられても捺印動作は行われないので、ポケットやバッグ等に入れていても印字面のインキにより他物を汚す恐れがない。しかも、この状態では回転子3のノッチ部3cは鞘体8の遮蔽部8bにより覆われているので、回転子3が不用意に回されて印字面が変わることがないので、予期しない変更操作が行われることによる誤捺印を確実に防止できるものとなる。
【0029】
なお、係止部15cは実施形態では一つ形成されているが、図23に示されるように複数設けて、回転印6の印字面が鞘体8の先端に近接するようにして、印字面の清掃等が容易に行なえるようにしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態においてロック状態を示す前向き断面図である。
【図2】同じく横向き断面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】同じく底面図である。
【図6】同じく斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態において印字面変更状態を示す横向き断面図ある。
【図8】同じく前向き断面図である。
【図9】同じく正面図である。
【図10】同じく側面図である。
【図11】同じく底面図である。
【図12】同じく斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態において捺印状態を示す横向き断面図である。
【図14】同じく前向き断面図である。
【図15】同じく正面図である。
【図16】同じく側面図である。
【図17】同じく底面図である。
【図18】同じく斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態の鞘体を半割して示す正面図である。
【図20】同じく斜視図である。
【図21】本発明の回転子フレームの斜視図である。
【図22】本発明の回転印フレームの斜視図である。
【図23】本発明の鞘体の他の実施形態を半割して示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
2 無端印字ベルト
3 回転子
4c 橋架部
5 回転印フレーム
5e 係止ピン
6 回転印
7 マスター印
8 鞘体
8b 遮蔽部
9 シャッタ部材
10 弾発部材
11 遮蔽板
15c 係止部
15 係合溝
15a 水平溝
50 把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転印フレームに架設される複数の回転子と橋架部間に無端印字ベルトを懸装した回転印と、この回転印を前記した回転子が外部に露呈された状態として昇降動自在に被套している鞘体と、この鞘体の先端が常時は回転印の印字面より先に位置するように弾発する弾発部材と、鞘体の先端開口に近い位置に設けられて常時は印字面が鞘体の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材とよりなる回転印判であって、前記した鞘体の先端開口より回転印の前記した印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材を保持できるロック機構を組み込んであることを特徴とする回転印判。
【請求項2】
シャッタ部材が、鞘体の先端開口に近い対向位置に基部を枢支させて先端同士を接触させている一対の遮蔽板であり、ロック機構が、鞘体の内面に形成されて押印操作に伴う回転印の下降と連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板を開放させる位置に回転印を位置決めする係合部付きの係合溝と、回転印フレームに設けられて該係合溝に係合される係止ピンとよりなるものとしたことを特徴とする請求項1に記載の回転印判。
【請求項3】
係止部が係合溝に多段に形成されている請求項2に記載の回転印判。
【請求項4】
係合溝に回転印の昇降をロックする水平溝を形成してある請求項2または3に記載の回転印判。
【請求項5】
鞘体に回転印の回転子を覆う遮蔽部を形成してある請求項1から4のいずれかに記載の回転印判。
【請求項6】
回転印の回転子が上下多段に配設されている請求項1から5のいずれかに記載の回転印判。
【請求項7】
回転印の無端印字ベルトの印字部を囲んでマスター印部が形成されている請求項1から6のいずれかに記載の回転印判。
【請求項1】
回転印フレームに架設される複数の回転子と橋架部間に無端印字ベルトを懸装した回転印と、この回転印を前記した回転子が外部に露呈された状態として昇降動自在に被套している鞘体と、この鞘体の先端が常時は回転印の印字面より先に位置するように弾発する弾発部材と、鞘体の先端開口に近い位置に設けられて常時は印字面が鞘体の先端開口に向け露呈されることがない全閉状態を保持しているが押印操作により鞘体が上昇されるにつれて開かれるシャッタ部材とよりなる回転印判であって、前記した鞘体の先端開口より回転印の前記した印字面の印字配列を覗き視ることができる半開状態にシャッタ部材を保持できるロック機構を組み込んであることを特徴とする回転印判。
【請求項2】
シャッタ部材が、鞘体の先端開口に近い対向位置に基部を枢支させて先端同士を接触させている一対の遮蔽板であり、ロック機構が、鞘体の内面に形成されて押印操作に伴う回転印の下降と連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板を開放させる位置に回転印を位置決めする係合部付きの係合溝と、回転印フレームに設けられて該係合溝に係合される係止ピンとよりなるものとしたことを特徴とする請求項1に記載の回転印判。
【請求項3】
係止部が係合溝に多段に形成されている請求項2に記載の回転印判。
【請求項4】
係合溝に回転印の昇降をロックする水平溝を形成してある請求項2または3に記載の回転印判。
【請求項5】
鞘体に回転印の回転子を覆う遮蔽部を形成してある請求項1から4のいずれかに記載の回転印判。
【請求項6】
回転印の回転子が上下多段に配設されている請求項1から5のいずれかに記載の回転印判。
【請求項7】
回転印の無端印字ベルトの印字部を囲んでマスター印部が形成されている請求項1から6のいずれかに記載の回転印判。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−78456(P2009−78456A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249440(P2007−249440)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
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