説明

回転式濃縮装置及び濃縮システム

【課題】被処理物を重力方式で濃縮するための新規な構成の回転式濃縮装置を提供する。
【解決手段】回転式濃縮装置1は、ケーシング2内で水平に載置され、駆動手段6〜8で回転駆動される一の円盤状のフィルタ部材3と、フィルタ部材3上面とケーシング2との間に形成された被処理物の移動空間を規制して被処理物の搬送路を形成するための搬送路形成部材と、を備え、ケーシング2は、被処理物をフィルタ部材3上に供給するための被処理物供給口21と、回転するフィルタ部材3により搬送された被処理物の処理後の状態の濃縮液を排出するための濃縮液出口22と、供給された被処理物をフィルタ部材3で濾過した後の濾液を排出するための濾液出口23と、濾液出口23に向かって傾斜した濾液受けフレーム24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥等の含水物(被処理物)を濾過して濃縮処理を行う回転式濃縮装置に関し、特に、被処理物の自重による重力方式で濃縮処理を行う回転式濃縮装置及びかかる装置を複数台使用した濃縮システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、下水処理工程にて多く用いられる機械的濃縮装置は、従前は遠心方式の装置が主流であったが、近年では消費エネルギーの観点から、ベルト方式、スクリュープレス型、ロータリドラム方式などの、低エネルギー型の装置が見直されている。
【0003】
また、従来、ロータリプレスフィルタと呼ばれる回転式濃縮装置は、回転する円盤状のフィルタ部材の主面が縦方向(回転軸が水平方向)になるように載置される、いわゆる縦置き型の装置(脱水機)として知られている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、円盤状のフィルタ部材を複数用い、これらフィルタ部材を水平にして回転軸が垂直方向になるように回転させる、水平型の回転式濃縮装置も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−113109号
【特許文献2】特開2007−98289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の縦置き型の回転式濃縮装置では、被処理物の装置内での搬送にあたり、被処理物が内輪スペーサにより形成される丘状の部位を乗り越える必要があり(特許文献1、図9の矢印D1参照)、このため被処理物の固形物濃度が高くなって、装置の動作が鈍くなる傾向があった。そして、かかる点に対処して被処理物の濃縮処理の動作を速やかに行うためには、被処理物入口側の圧力を高くする必要が生じる、との問題点があった。
【0007】
一方、従来の水平型の回転式濃縮装置は、円盤状のフィルタ部材をケーシング内に複数使用した大がかりなものであり、被処理物の種類や排出させる濃度等に応じて、装置を複数連結して対応する等の柔軟な拡張性を備えた構成のものは存在しなかった。
【0008】
また、被処理物を重力による自然濾過で濃縮するものとして、透水性を有する無端ベルト上に被処理物を載置して処理を行うベルト濃縮装置があるが、ベルトにより形成される被処理物の搬送路が一直線状になるため、縦長の設置スペースが必要で、装置全体が大型化しやすくなり、また、被処理物の供給箇所と濃縮終了後の濃縮液の排出箇所が反対側になるので、配管取り合いの点でも難点があった。
【0009】
本発明の目的は、被処理物を重力方式で濃縮するための新規な構成の回転式濃縮装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、装置の小型化が達成でき、かつ高い拡張性を備えた回転式濃縮装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上記回転式濃縮装置を複数用いた濃縮システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決した本発明に係る回転式濃縮装置は、ケーシングと、ケーシング内で水平に載置され、回転駆動される一の円盤状のフィルタ部材と、フィルタ部材を駆動する駆動手段と、フィルタ部材の上面とケーシングとの間に形成された被処理物の移動空間を規制して被処理物の搬送路を形成するための搬送路形成部材と、を備え、ケーシングは、被処理物をフィルタ部材上に供給するための被処理物供給口と、回転するフィルタ部材により搬送された被処理物の処理後の状態の濃縮液を排出するための濃縮液出口と、フィルタ部材の下方に設けられ、供給された被処理物をフィルタ部材で濾過した後の濾液を排出するための濾液出口と、フィルタ部材の下方に設けられ、濾液出口に向かって傾斜した濾液受けフレームと、を備える。
【0013】
したがって、本装置では、被処理物供給口から搬送路に供給された被処理物は、回転駆動されるフィルタ部材の上面に載置され、かかるフィルタ部材の回転に伴って、重力の作用により自然濾過され、濾液が濾液受けフレームを介して濾液出口から装置外部に排出されるとともに、濾過後の被処理物が濃縮液として濃縮液出口から装置外部に排出される。
【0014】
ここで、搬送路形成部材は、フィルタ部材の中央に取付けられ搬送路の内側を形成する内輪スペーサと、ケーシング内に設けられ搬送路の外側を形成する外輪スペーサと、被処理物供給口と濃縮液出口と内輪スペーサとで囲まれた空間を占有し、搬送路の内側を形成する仕切り部材と、を備え、外輪スペーサは、被処理物供給口から供給された被処理物をフィルタ部材へと導くための導入路形成部と、導入路形成部に連設され、フィルタ部材の外周縁部に接するようにケーシング内に設けられた搬送路形成部と、搬送路形成部に連設され、被処理物をフィルタ部材から濃縮液出口へと導くための排出路形成部と、を備えた構成とすることができる。
【0015】
したがって、かかる構成を備えた本装置では、被処理物供給口から搬送路に供給された被処理物は、内側の仕切り部材及び外側の外輪スペーサ(導入路形成部)にガイドされながら、回転駆動されるフィルタ部材の上面に載置され、かかるフィルタ部材の回転に伴って、内側の内輪スペーサ及び外側の外輪スペーサ(搬送路形成部)にガイドされ重力の作用により自然濾過されながら搬送され、最後に内側の仕切り部材及び外側の外輪スペーサ(排出路形成部)にガイドされながら、濃縮液として濃縮液出口から装置外部に排出される。
【0016】
また、濃縮液出口の開度を調節するための開度調整手段を備えた構成とすることができる。この開度調整手段は、ケーシング内における濃縮液出口の近傍の被処理物の搬送路に配置される。この開度調整手段は、回動式パドルとすることができる。
【0017】
さらに、フィルタ部材の上面に当接するスクレーパを備えた構成とすることができる。
【0018】
したがって、かかる構成を備えた本装置では、回転駆動されるフィルタ部材の上面に載置された被処理物は、スクレーパによって掻き取られることにより、フィルタ部材から上方に分離されるように押し上げられた後に、再びフィルタ部材上に載置されて搬送される。
【0019】
フィルタ部材は、被処理物接触面から濾液が抜ける方向に従って広くなる断面形状を有する孔部を多数備えた構成とすることができる。
【0020】
また、仕切り部材は、被処理物の搬送路を洗浄するための洗浄ノズルを備えた構成とすることができる。
【0021】
本発明に係る濃縮システムは、上述したいずれかの構成の回転式濃縮装置が複数台、各々のフィルタ部材の回転中心が同軸上になるように上下方向に積層され、最上段以外の各回転式濃縮装置のフィルタ部材及びケーシングを貫通するように取付けられた、各回転式濃縮装置のフィルタ部材を駆動するための駆動軸と、上段の回転式濃縮装置の濃縮液出口から次段の回転式濃縮装置の被処理物供給口に連結された連結管と、を備える。
【0022】
したがって、かかる構成を備えた本システムでは、一の駆動源で複数台の回転式濃縮装置のフィルタ部材が駆動されるとともに、最上段の回転式濃縮装置の濃縮液出口から排出された濃縮液が連結管を通じて次段の回転式濃縮装置の被処理物供給口に供給され、次段の回転式濃縮装置でさらに濃縮されて濃縮液出口から排出され、以下、回転式濃縮装置の構成(積層)台数に応じてかかる処理が同様に行われた後に、最下段の回転式濃縮装置の濃縮液出口から最終的な濃縮液が排出される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、回転駆動される一枚の円盤状のフィルタ部材上に被処理物が載置され、重力方式による自然濾過が行われるので、ケーシングの薄型化、実質的に折り返される搬送路による装置全体の小型化、などが達成される。また、ケーシングの薄型化の達成により、本装置を複数台、各々のフィルタ部材の回転中心が同軸上になるように上下方向に積層してシステム化することが容易となり、装置の拡張性を高めることが可能となる。
【0024】
さらに、被処理物供給口と濃縮液出口とが近傍位置に配置された構成とすることにより、上記システム化した場合の装置間の配管(連結管)の取付けが有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態の回転式濃縮装置の基本構造を示す平面図である。
【図2】第1の実施形態の回転式濃縮装置の側面図である。
【図3】回転式濃縮装置の円盤スクリーンの構成を示す側断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の側面図であり、回転式濃縮装置を複数台積層させた濃縮システムを説明するための平面図である。
【図5】第2の実施形態の濃縮システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。第1の実施形態の回転式濃縮装置1は、図1に示すように、一方に被処理物供給口21と濃縮液出口22とを有し、他方に濾液出口23を有するケーシング2の内部に、フィルタ部材をなす円盤スクリーン3が主面を水平にして回転可能に収容される。また、回転式濃縮装置1では、円盤スクリーン3を駆動する駆動手段としてのモータ6、ギアボックス7、及び駆動軸8がケーシング2の下側に設けられる。
【0028】
ケーシング2は、その上面が蓋部2fとして着脱可能となっており、また、ケーシング2の下部には、円盤スクリーン3から抽出された濾液を所定方向に導くための濾液受けフレーム24が設けられる。
【0029】
また、ケーシング2には、複数(この例では4つ)の脚部28が取付けられる。各脚部28は、ケーシング2側面のフランジ部に対して、不図示のボルト等の固定手段を用いて固着される(図3参照)。ここで、各脚部28は、ケーシング2内の円盤スクリーン3の主面が水平を維持できるように、各々の長さが設定され、或いはケーシング2に対する各々の取付け位置が調整される。
【0030】
ケーシング2においては、濃縮対象となる被処理物を円盤スクリーン3上に供給するための被処理物供給口21と、回転する円盤スクリーン3により搬送された被処理物の濃縮後の状態の濃縮液を排出するための濃縮液出口22とが、近傍かつ同じ高さ位置に形成される。このうち、被処理物供給口21には図示しない被処理物供給ポンプからの供給管が接続され、濃縮液出口22には図示しない濃縮液受け槽への供給管が接続される。
【0031】
ケーシング2の内部には、被処理物供給口21及び濃縮液出口22と連通する仕切り板20が設けられる。この仕切り板20は、図1の破線で示すように、後述する外輪スペーサ26が取付けられる円環状の部位と、平板状の部位とを備えている。仕切り板20の平板状の部位は、円盤スクリーン3における外輪スペーサ26の摺接されない箇所(図1参照)を下側から支持することで、被処理物供給口21から円盤スクリーン3までの被処理物の搬送路、及び円盤スクリーン3から濃縮液出口22までの被処理物の搬送路の一部を構成する。
【0032】
また、本実施形態では、ケーシング2内の圧力調整の観点から、被処理物供給口21よりも濃縮液出口22の方が断面積が広くなっている。なお、濃縮液出口22の開度は、後述する回動式パドル4により調整される。
【0033】
一方、濾液出口23は、被処理物供給口21及び濃縮液出口22とは反対側の位置に配置され、濾液受けフレーム24の一端側に形成される。この濾液出口23は、被処理物を円盤スクリーン3で濾過した際に抽出され落下される濾液を排出するための開口部であり、円盤スクリーン3よりも下方の位置で、被処理物供給口21から濃縮液出口22に至るまでの被処理物の搬送路に対応する位置に設けられる。
【0034】
詳細には、濾液受けフレーム24は、円盤スクリーン3の下方に位置し、駆動軸8が貫通される開口部241aを備えた底面部241と、該底面部241から上方に屈曲形成された壁部242とを備える。そして、底面部241及び壁部242と、円盤スクリーン3の底面と、の間の空間部が、円盤スクリーン3から抽出され落下される濾液が移動するための濾液移動空間243となる。
【0035】
濾液受けフレーム24の底面部241は、図2に示すように、濾液出口23に向かって所定角度で傾斜している。そして、濾液出口23は、濾液受けフレーム24により形成される濾液移動空間243と連通している。濾液受けフレーム24の底面部241の傾斜角度は、特に限定されるものではないが、排出された濾液が濾液受けフレーム24内で停滞することのない角度とすることが好ましい。
【0036】
濾液受けフレーム24の底面部241の開口部241aには、平面円形(リング状)のシーリング部材81を介して駆動軸8が回転自在に取付けられる。駆動軸8は、減速機構が設けられたギアボックス7に連結され、ギアボックス7に取付けられたモータ6の駆動力を円盤スクリーン3に伝達する。この実施形態では、駆動手段の重量を考慮して、ギアボックス7を支持するための支持台71が、ギアボックス7の下に配置される。
【0037】
また、この回転式濃縮装置1では、円盤スクリーン3の中央に取付けられた内輪スペーサ25と、円盤スクリーン3の外縁部に摺接される外輪スペーサ26と、被処理物供給口21と濃縮液出口22と内輪スペーサ25とで囲まれた空間を占有するように配置され、被処理物供給口21から供給された被処理物を円盤スクリーン3上に供給する機能、及び、被処理物の処理(濃縮)後の状態である濃縮液を濃縮液出口22に導く機能を備えた仕切り部材27と、を有する。
【0038】
そして、被処理物供給口21及び濃縮液出口22が相互に近傍位置に配置され、被処理物供給口21と濃縮液出口22との間のケーシング2内の空間に仕切り部材27が配置され、さらに、円盤スクリーン3の外側のケーシング2内に外輪スペーサ26が設けられることで、被処理物の搬送路となる、断面矩形状で平面略U字状の濾過室が形成される。すなわち、本実施形態では、仕切り部材27及び内輪スペーサ25が搬送路の内側の壁部となり、外輪スペーサ26が搬送路の外側の壁部となる。
【0039】
円盤スクリーン3は、透水性を確保するための小径の孔部31が多数個設けられた金属製の板状部材であり、中央には駆動軸8が貫通可能な円形の穴部3aが形成され、該穴部3aの近傍には締結用のボルトが挿入されるための複数のボルト挿入穴が設けられる(図3参照)。円盤スクリーン3の孔部31は、それぞれ、図3に示すように、被処理物が載置される被処理物載置面32(上面側)よりも反対側の面(下面側)が径が大きくなる形状となっている。すなわち、孔部31は、被処理物が載置される箇所から濾液が抜ける方向に従って広くなる断面形状を有している。かかる形状の孔部31を備えることによって、円盤スクリーン3の目詰まりの発生頻度が抑えられるメリットがある。
【0040】
内輪スペーサ25は、平面円形のブロック状の部材であり、円盤スクリーン3の中央に取付けられ、その上面がケーシング2の蓋部2fの内面に対して所定の隙間を有するように位置する。内輪スペーサ25は、その中央に、上述した駆動軸8の上部が嵌入するための溝部251が形成される。また、内輪スペーサ25の溝部251の近傍には、上述した円盤スクリーン3のボルト挿入穴にボルトを挿入するためのねじ溝部252が複数設けられる。
【0041】
さらに、図3に示すように、内輪スペーサ25は、上側部材253と下側部材254とに分割可能であり、円盤スクリーン3の中央部を上側部材253と下側部材254とで上下から挟み込み、ボルト挿入穴とねじ溝部252との位置合わせをして不図示のボルトをねじ溝部252にねじ込むことで、円盤スクリーン3を固着させる。内輪スペーサ25の円盤スクリーン3から上方に突出した部位は、搬送路の内壁の一部を形成する。
【0042】
外輪スペーサ26は、平面略U字状を呈するシーリングのための部材であり、被処理物供給口21から濃縮液出口22に亘ってケーシング2の内側面に設けられることで、搬送路の外壁(外側面)を形成する。詳細には、外輪スペーサ26は、平面直線状をなし被処理物供給口21から円盤スクリーン3までの導入路を形成するための導入路形成部261と、円盤スクリーン3上の搬送路を形成するための搬送路形成部262と、円盤スクリーン3から濃縮液出口22までの排出路を形成するための排出路形成部263と、を一体に備える。
【0043】
外輪スペーサ26において、導入路形成部261は、被処理物供給口21から供給された被処理物を円盤スクリーン3へと導くための側壁を形成する部位である。また、搬送路形成部262は、導入路形成部261から連設され、円盤スクリーン3上の被処理物の搬送をガイドするための側壁を形成する部位である。さらに、排出路形成部263は、搬送路形成部262から連設され、円盤スクリーン3上の被処理物を濃縮液出口22へと導くための側壁を形成する部位である。
【0044】
そして、図3に示すように、外輪スペーサ26の搬送路形成部262には、円盤スクリーン3の外周部に摺接するための断面「コ」字状の摺接部26aが形成される。さらに、外輪スペーサ26は、ケーシング2の仕切り板20上に取付けられる下側部材264と、上述した蓋部2fの内側面に取付けられる上側部材265と、に分離可能な構成とされる。
【0045】
仕切り部材27は、樹脂により形成されたブロック状の部材であり、断面矩形状を呈する。この仕切り部材27は、その上面がケーシング2上側の内面に接するように設けられ、その下面の基端側が上述した仕切り板20上に固着されるとともに、下面先端側が円盤スクリーン3の上面(被処理物載置面32)に摺接し、幅の広い先端側が内輪スペーサ25に摺接し、幅の狭い基端側が被処理物供給口21と濃縮液出口22との間に配置されることにより、内輪スペーサ25とともに搬送路の内壁(内側面)を形成する。
【0046】
本実施形態では、仕切り部材27は、ケーシング2と円盤スクリーン3と内輪スペーサ25との間の空間を占有するスペーサとして機能するとともに、側面の一端側が被処理物の導入路を形成するための導入路形成部271をなし、側面の他端側が被処理物の排出路を形成するための排出路形成部272をなす。
【0047】
仕切り部材27の導入路形成部271には、洗浄液を噴出する洗浄ノズル9が設けられる。この洗浄ノズル9は、長手方向に沿って複数の排出孔(図示せず)が形成されており、各排出孔が洗浄液供給口91と連通している。洗浄液供給口91は、洗浄ノズル9の基端側上部に形成され、ケーシング2の上面(蓋部2f)に略同径で形成された開口部と連通される。したがって、洗浄ノズル9は、図示しない洗浄液供給ポンプから供給された洗浄液を、洗浄液供給口91を通じて各排出孔から搬送路上に噴出することで、円盤スクリーン3を洗浄する機能を有する。
【0048】
この実施形態では、洗浄ノズル9は、その基端部が円盤スクリーン3の外縁に対応する位置にあり、洗浄液供給口91がケーシング2の上面の開口部に連通する構成とされるが、これに限定されず、例えば、洗浄ノズル9の基端部が被処理物供給口21と濃縮液出口22との間の位置におけるケーシング2の側面まで延長され、ケーシング2の開口部がかかる側面に設けられ、この開口部に洗浄液供給口91が連通する構成としてもよい。
【0049】
ケーシング2内における濃縮液出口22の近傍の被処理物の搬送路(排出路)には、回動式パドル4が回動可能に配置される。この回動式パドル4は、ケーシング2の上面(蓋部2f)及び仕切り板20に回動可能に取付けられた軸部41と、軸部41と一体をなしケーシング2内部で回動するパドル部42と、軸部41と接続されケーシング2上に突出される把持部43と、を備えている。
【0050】
回動式パドル4は、この実施形態では、パドル部42が矩形の板状をなし、パドル部42の長手方向の中心部に軸部41が形成される。軸部41は、その一端側がケーシング2の仕切り板20に設けられた穴部に、他端側がケーシング2の蓋部2fに設けられた穴部に、それぞれ取付けられ、他端側の蓋部2f上面から突出する部位にL字状の把持部43が取付けられる。かかる回動式パドル4は、把持部43を操作してパドル部42の搬送路(排出路)に対する角度が設定されることにより、濃縮液出口22の開度を調節する機能を有する。図1では回動式パドル4が全閉の状態を、図2では回動式パドル4が全開の状態を、それぞれ示している。
【0051】
さらに、ケーシング2内の濾過室内には、円盤スクリーン3の被処理物載置面32(上面)に接触するスクレーパ5が複数本配置される。このスクレーパ5は、円盤スクリーン3上の被処理物を掻き取るための薄板状の部材であり、円盤スクリーン3の回転中心から所定の傾斜角度θをなすように、その基端側が外輪スペーサ26に取付けられる。具体的には、図3に示すように、スクレーパ5は、その基端側が上方に屈曲しており、かかる基端側が外輪スペーサ26の上側部材265に設けられた溝部26b内に嵌入される。
【0052】
図1に示す例では9個のスクレーパ5が設けられた構成を示したが、スクレーパ5の数はこれに限られず、8個以下或いは10個以上とすることも可能である。
【0053】
以下、回転式濃縮装置1の各動作を説明する。
【0054】
(通常運転)
まず、被処理物の濃縮処理時における基本動作について説明する。運転開始時において、例えば回動式パドル4を全開状態とし、モータ6に電源を投入し、減速機構であるギアボックス7を介して駆動軸8に駆動力を供給し、駆動軸8を図1の時計方向に回転させる。これにより、駆動軸8周りに固定された内輪スペーサ25、及び、内輪スペーサ25に固着された円盤スクリーン3が同方向に回転する。このときの円盤スクリーン3の回転数は、例えば、円盤スクリーン3の中心径の最大の周速度が40m/minになるように設定される。ここで、円盤スクリーン3の中心径は、図1に示すように、円盤スクリーン3の内径から搬送路の外側までの幅をLとした場合に、1/2Lの位置が該当する。
【0055】
この状態で、不図示の被処理物供給ポンプを駆動して、被処理物供給口21から濾過室内に、例えば被処理物として、高分子凝集剤で調質された汚泥(以下、「処理原液」という。)を順次導入していくことで、該処理原液は、円盤スクリーン3上に載置され、円盤スクリーン3の回転方向に搬送されながら搬送路上を移動する。このとき、処理原液は、円盤スクリーン3の上面に当接するスクレーパ5によって掻き取られることで、円盤スクリーン3の被処理物接触面33から上方に分離されるように押し上げられた後に、再び被処理物接触面33上に載置され、下流側のスクレーパ5によって再び同様の動作が行われる。
【0056】
そして、円盤スクリーン3では、前述の通り透水性を確保するための小径の孔部31を多数有しているので、処理原液が濾過室内に貯留されていく過程で、処理原液中の水分が自重により円盤スクリーン3の孔部31を抜けて、次第に濾過室外に濾液として排出されていくことになる。濾過室外に排出された濾液は、濾液受けフレーム24に落下し、傾斜された濾液受けフレーム24の底面部241上を流れて濾液出口23から装置外部に排出される。
【0057】
円盤スクリーン3上の処理原液は、搬送路を進むにつれて、上述した濾液の分離により、その厚さ(高さ)が低くなって行き、また、固形分濃度を増してスラリー状の濃縮液になる。かかる濃縮液は、その一部が仕切り部材27の排出路形成部272に当たるが、後続の処理原液によって加圧されることで円盤スクリーン3上から排出路に押し出され、濃縮液出口22から外部に排出される。ここで、回動式パドル4の開度に応じて濃縮液の排出され易さが変わるので、回動式パドル4の開度を調節することにより、排出される濃縮液の濃度を調節することができる。
【0058】
本装置では、回動式パドル4の開度の他にも、処理原液の供給量や、円盤スクリーン3の回転速度を適宜調節することにより、排出される濃縮液の濃度を調節することができる。
【0059】
(洗浄運転)
次に、濃縮処理後の洗浄運転について説明する。被処理物の濃縮処理の完了の後、不図示の洗浄液供給ポンプを駆動して洗浄ノズル9の洗浄液供給口91に洗浄液を供給することで、洗浄ノズル9の各排出孔から搬送路上に洗浄液が噴出される。このとき、モータ6に電源を投入して円盤スクリーン3を回転させることにより、円盤スクリーン3が自動で洗浄される。濾過室内に供給された洗浄液は、自重によって円盤スクリーン3の孔部31を経由して濾液受けフレーム24に落下し、濾液出口23から外部に排出される。
【0060】
以上説明したように、この回転式濃縮装置1は、内輪スペーサ25及び円盤スクリーン3を低速で回転させるだけで、被処理物(処理原液)を濾液(水分)と濃縮液とに、好適に分離することができるようになっており、このため、エネルギー消費量及び騒音が小さく、また、ケーシング2により密閉されているため、汚物の処理の場合は、臭気の発生を最低限に抑えることができるという利点がある。
【0061】
また、回転式濃縮装置1によれば、始動、停止に特別な工程を必要とせず、構成部品も少ないため、運転及び維持管理が容易であり、従来の種々の濃縮装置と比較して軽量かつコンパクトにすることができる。
【0062】
さらに、回転式濃縮装置1によれば、円盤スクリーン3の回転数が比較的緩やかであり、特にベルト式濃縮装置と比較すると、振動・騒音も無く、所要動力はわずかで済む、というメリットがある。
【0063】
また、回転式濃縮装置1によれば、通常運転中の洗浄は不要であり、さらには、円盤スクリーン3に万一目詰まりが生じた場合であっても、通常運転後に洗浄ノズル9から少量の洗浄液を噴出するだけで円盤スクリーン3の目詰まりを解消することができる。さらにまた、回転式濃縮装置1によれば、後述のように、チャンネルの増設による多段構成化(システム化)が容易であるため、用途や処理量等の面で幅広く対応することができる。
【0064】
そして、回転式濃縮装置1によれば、重力方式で被処理物を濃縮するため、従来の縦置き型の回転式濃縮装置(ロータリプレスフィルタ)と比較して、被処理物を供給する際の圧力を低くすることができる。また、回転式濃縮装置1では、フィルタ部材が1枚であるため、ケーシング2を薄くすることができ、このため、装置全体の薄型化、低コスト化を図ることが可能になる。
【0065】
さらには、回転式濃縮装置1では、従来の縦置きのロータリプレスフィルタと比較して、濾過ゾーンが広いという特徴を持つ。具体的には、ロータリプレスフィルタでは濾過ゾーンが90度程度であり、残りの領域は圧搾脱水のためのゾーンとなるが、本発明装置ではフィルタ部材(円盤スクリーン3)の全領域が濾過ゾーンとなる。
【0066】
また、従来の他のベルト方式、スクリュープレス型、ロータリドラム方式の装置では、被処理物供給口と反対方向に濃縮液が排出されるため、配管が長くなる傾向がある。これに対して、回転式濃縮装置1によれば、被処理物供給口21と濃縮液出口22とが同方向(ほぼ平行)に設けられるので、供給側及び排出側の各配管の取付け(配管取合)上、さらには設置スペース上も有利である。
【0067】
なお、濾液出口23は、この実施形態では処理物供給口21及び濃縮液出口22の反対側に設けられた構成であるが、これに限定されず、例えば、処理物供給口21及び濃縮液出口22と平面視で直交する向きや、さらには処理物供給口21及び濃縮液出口22と同じ向きになるように配置する構成とすることも可能である。濾液出口23をいずれに配置する場合であっても、濾液受けフレーム24が濾液出口23側に傾斜する構成とすればよい。
【0068】
また、この回転式濃縮装置1では、被処理物供給口21を横向きに設け、被処理物を被処理物供給口21から仕切り板20を介して水平方向に円盤スクリーン3上に供給する構造としたが、これに限定されず、例えば被処理物供給口21に代えてケーシング2の上面(蓋部2f)に不図示の開口部を設け、被処理物をかかる開口部から下方向に円盤スクリーン3上に直接供給する構造とすることもできる。
【0069】
さらに、スクレーパの他の実施形態として、図1及び図3中に点線で示すような、三角柱状のプロー(鋤)51が、スクレーパ5(板状部材)上に設けられた構成であってもよい。ここで、プロー51の先端部52は、被処理物の進行方向と対峙する向きに設けられる。このような構成のスクレーパでは、回転中の円盤スクリーン3上の被処理物が分離用部材51に衝突し、プロー51の先端部52から左右(水平)方向に分離されるので、円盤スクリーン3上被処理物の流れを横方向にも調整することが可能となる。なお、かかる構成のスクレーパは、上述した板状部材のみによるスクレーパ5と交互に配置する、特定箇所(例えば最後段)のみに配置する、等、種々の組み合わせとすることができる。
【0070】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態を、図4及び図5を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図4及び図5に示すように、この実施形態では、複数台の回転式濃縮装置1が縦(上下)方向に積層された構成となっている。すなわち、本実施形態では、各々の円盤スクリーン3の回転中心が同軸上になるように複数台(この例では3台)の回転式濃縮装置1が上下方向に積層されて一のシステム(濃縮システム1A)が構成される。
【0072】
より詳細には、濃縮システム1Aでは、脚部の取付け及び配管上の便宜のため、複数台の回転式濃縮装置1につき、それぞれの被処理物供給口21、濃縮液出口22、及び濾液出口23が平面視で同一位置になるように配置される。
【0073】
この濃縮システム1Aでは、上段の装置の濃縮液出口22から次段(直下)の装置の被処理物供給口21に対して連結管29が接続された構成となっており、かかる配管が最下段(この例では3段目)の装置の被処理物供給口21まで形成される。本実施形態では3台の装置が積層されていることから、連結管29を2本用いて、最上段の回転式濃縮装置1の濃縮液出口22と次段(2段目)の回転式濃縮装置1の被処理物供給口21、該2段目の回転式濃縮装置1の濃縮液出口22とその次段(3段目)の回転式濃縮装置1の被処理物供給口21、を各々接続する。
【0074】
本実施形態では、回転式濃縮装置1における被処理物供給口21と濃縮液出口22とが近傍位置に設けられていることから、連結管29として比較的短いものを用いることができ、コストの点、さらには設置スペースの点でも有利になる。
【0075】
この濃縮システム(1A)では、複数(3台)の回転式濃縮装置1が積層され、積層された複数の装置を一の駆動機構で駆動するために、第1の実施形態の駆動軸8よりも長い駆動軸8Aが備えられる。具体的には、ギアボックス7に連結された1本の駆動軸8Aが、下2台分の回転式濃縮装置1の円盤スクリーン3に取り付けられた内輪スペーサ25及びケーシング2を貫通するように取付けられた構成となっている。このような構成とすることで、一の駆動機構で多数台の装置を駆動することが可能となり、省エネルギー化に寄与する。
【0076】
また、この実施形態では、3台の回転式濃縮装置1が積層されるために、第1の実施形態の脚部28よりも長い脚部28Aが備えられる。各脚部28Aは、第1の実施形態と同様に、ケーシング2側面のフランジ部に対して、不図示のボルト等の固定手段を用いて固着される。ここで、各脚部28Aは、各装置における円盤スクリーン3の主面が水平になるように、ケーシング2に対する取付け位置が調整される。このように、複数台の回転式濃縮装置1を積層して一の濃縮システム1Aとすることにより、設置スペース上のメリットが得られる。
【0077】
かかる濃縮システム1Aの運転開始時においては、例えば各装置における回動式パドル4をそれぞれ全開状態とし、モータ6に電源を投入し、減速機構であるギアボックス7を介して駆動軸8に駆動力を伝達し、駆動軸8Aを図4の時計方向に回転させる。これにより、駆動軸8A周りに固定された3台の装置における各々の内輪スペーサ25、及び、内輪スペーサ25の側面上に固定された各々の円盤スクリーン3が同方向に回転する。このときの円盤スクリーン3の回転数は、例えば、平均(フィルタの中心径)の最大の周速度が40m/minになるように設定される。
【0078】
この状態で、被処理物(処理原液)を最上段の回転式濃縮装置1の被処理物供給口21から順次供給するようにする。
【0079】
そして、最上段の回転式濃縮装置1の被処理物供給口21から供給された処理原液は、第1の実施形態で述べた動作により、当該装置により濾液が抽出されることで濃縮され、抽出された濾液が濾液出口23から排出されるとともに、濃縮液出口22から濃縮液が排出される。
【0080】
ここで、最上段の回転式濃縮装置1の濃縮液出口22から排出された濃縮液は、連結管29を介して次段(2段目)の回転式濃縮装置1の被処理物供給口21から該装置の濾過室内に供給され、同様の動作により追加的な濃縮が行われて、抽出された濾液が当該装置の濾液出口23から排出されるとともに、当該装置の濃縮液出口22から濃縮液が排出される。
【0081】
さらに、2段目の回転式濃縮装置1の濃縮液出口22から排出された濃縮液は、連結管29を介して次段(3段目)の回転式濃縮装置1の被処理物供給口21から当該装置の濾過室内に供給され、同様の動作によりさらなる濃縮が行われて、抽出された濾液が当該装置の濾液出口23から排出されるとともに、当該装置の濃縮液出口22から濃縮液が排出される。
【0082】
ここで、濃縮システム1Aでは、最下段の回転式濃縮装置1の濃縮液出口22から排出される最終的な濃縮液の濃度を調節するために、各装置毎に回動式パドル4を異なる開度に設定することができる。
【0083】
この実施形態では3台の回転式濃縮装置1を積層して一のシステムとしたが、積層される装置の台数については、特に限定されるものではなく、例えば連結管29を1本用いて2台の装置を連結する、或いは連結管29を3本以上用いて4台以上の装置を連結する、などの構成とすることができる。回転式濃縮装置1では、濃縮システムにおける装置の構成台数をこのように変更する場合であっても、連結管29の使用数の変更、駆動軸8A及び脚部28Aの長さの変更、下段側の装置におけるケーシング2の上側の所定箇所に駆動軸8Aを貫通させるための孔部を設けること、等の必要最小限の追加変更で対応することが可能である。
【0084】
さらには、本実施形態では、複数台分の回転式濃縮装置1の内輪スペーサ25及び円盤スクリーン3を駆動するために、駆動軸8Aを1本の長い軸とした構成について説明したが、これに限定されるものではない。駆動軸の他の実施形態としては、図5中に点線で示すように、各回転式濃縮装置1の駆動軸の下部に凸部を設けるとともに、かかる凸部と嵌合する凹部を、内輪スペーサ25に取付けられる駆動軸の上部に設ける構成とすればよい。かかる構成とすることで、濃縮システムを構成する回転式濃縮装置1の増減変更が一層容易になる。
【0085】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0086】
1 回転式濃縮装置
1A 濃縮システム
2 ケーシング
21 被処理物供給口
22 濃縮液出口
23 濾液出口
24 濾液受けフレーム
25 内輪スペーサ(搬送路形成部材)
26 外輪スペーサ(搬送路形成部材)
27 仕切り部材(搬送路形成部材)
29 連結管
3 円盤スクリーン(フィルタ部材)
31 孔部
32 被処理物載置面(上面)
4 回動式パドル(開度調整手段)
5 スクレーパ
6 モータ(駆動手段)
7 ギアボックス(駆動手段)
8,8A 駆動軸(駆動手段)
9 洗浄ノズル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内で水平に載置され、回転駆動される一の円盤状のフィルタ部材と、
前記フィルタ部材を駆動する駆動手段と、
前記フィルタ部材の上面と前記ケーシングとの間に形成された被処理物の移動空間を規制して被処理物の搬送路を形成するための搬送路形成部材と、
を備え、
前記ケーシングは、被処理物を前記フィルタ部材上に供給するための被処理物供給口と、回転する前記フィルタ部材により搬送された前記被処理物の処理後の状態の濃縮液を排出するための濃縮液出口と、前記フィルタ部材の下方に設けられ、前記供給された被処理物を前記フィルタ部材で濾過した後の濾液を排出するための濾液出口と、前記フィルタ部材の下方に設けられ、前記濾液出口に向かって傾斜した濾液受けフレームと、を備えたことを特徴とする回転式濃縮装置。
【請求項2】
前記搬送路形成部材は、
前記フィルタ部材の中央に取付けられ搬送路の内側を形成する内輪スペーサと、
前記ケーシング内に設けられ搬送路の外側を形成する外輪スペーサと、
前記被処理物供給口と前記濃縮液出口と前記内輪スペーサとで囲まれた空間を占有し、搬送路の内側を形成する仕切り部材と、を備え、
前記外輪スペーサは、
被処理物供給口から供給された被処理物を前記フィルタ部材へと導くための導入路形成部と、
前記導入路形成部に連設され、前記フィルタ部材の外周縁部に接するように前記ケーシング内に設けられた搬送路形成部と、
前記搬送路形成部に連設され、被処理物を前記フィルタ部材から濃縮液出口へと導くための排出路形成部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の回転式濃縮装置。
【請求項3】
前記ケーシング内における前記濃縮液出口の近傍の被処理物の搬送路に配置され、前記濃縮液出口の開度を調節するための開度調整手段を備えたことを特徴とする、請求項1又は2記載の回転式濃縮装置。
【請求項4】
前記開度調整手段は、回動式パドルであることを特徴とする請求項3記載の回転式濃縮装置。
【請求項5】
前記フィルタ部材の上面に当接するスクレーパを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の回転式濃縮装置。
【請求項6】
前記フィルタ部材は、被処理物接触面から濾液が抜ける方向に従って広くなる断面形状を有する孔部を多数備えた
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の回転式濃縮装置。
【請求項7】
前記仕切り部材は、被処理物の搬送路を洗浄するための洗浄ノズルを備えたことを特徴とする請求項2記載の回転式濃縮装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の回転式濃縮装置が複数台、各々のフィルタ部材の回転中心が同軸上になるように上下方向に積層された濃縮システムであって、
最上段以外の各回転式濃縮装置のフィルタ部材及びケーシングを貫通するように取付けられた、各回転式濃縮装置のフィルタ部材を駆動するための駆動軸と、
上段の回転式濃縮装置の前記濃縮液出口から次段の回転式濃縮装置の前記被処理物供給口に連結された連結管と、
を備えたことを特徴とする濃縮システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−167361(P2010−167361A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11948(P2009−11948)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591162022)巴工業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】