説明

回転検出装置及び車輪軸受装置

【課題】組み付け時における磁気センサの干渉を抑制しながら、回転部材の回転を正確に検出することが可能な回転検出装置、及びそれを備えた車輪軸受装置を提供する。
【解決手段】回転検出装置1は、内輪11に取り付けられ、内輪11の周方向に沿って設けられた複数の磁極を有する磁気エンコーダ2と、内輪11を回転可能に支持するナックル9に取り付けられ、磁気エンコーダ2の磁界を検出するホール素子30a,30bを有する磁気センサ3と、ナックル9に対して回転不能に設けられ、磁気エンコーダ2と磁気センサ3との間に少なくとも一部が介在するカバー部材4とを備え、磁気センサ3は、ホール素子30a,30bを保持する本体部31と、本体部31をカバー部材4に押し付ける弾性部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材の回転に伴う磁気の変化によって、その回転状態を検出する回転検出装置、及びそれを備えた車輪軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両の軸受けユニットに用いられ、車輪と共に回転する回転部材の回転速度を検出することが可能な回転センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の回転センサは、軸受けユニット内の気密性を保つために、軸受けユニットの開口部の少なくとも一部を塞ぐ非磁性のキャップ部を備えている。そして、軸受けユニット内に配置された磁性体からなる回転エンコーダの回転による磁気の変化を、キャップ部を介して軸受けユニットの外部に設けられたセンサ部で検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−25763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この回転センサによれば、気密性の保持には寄与するものの、回転エンコーダとセンサ部との間にキャップ部が介在するため、それに応じて回転エンコーダとセンサ部との間隔が広くなる。回転エンコーダの磁界は距離に応じて弱くなるので、回転部材の回転を正確に検出するためには、センサ部をキャップ部に近接させて可及的に回転エンコーダとセンサ部との間隔を狭くする必要があるが、この間隔を狭く設定しすぎると、組み付け時にセンサ部がキャップ部に干渉し、センサ部を組み付けられなくなるおそれがある。また、部材の形状誤差や組み付け誤差等によって回転エンコーダとセンサ部との間隔が広くなると、センサ部において回転エンコーダの回転に伴って発生する磁気パルスのミスカウントが生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みて、組み付け時における磁気センサの干渉を抑制しながら、回転部材の回転を正確に検出することが可能な回転検出装置、及びそれを備えた車輪軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、回転部材に取り付けられ、前記回転部材の周方向に沿って設けられた複数の磁極を有する被検出部材と、前記回転部材を回転可能に支持する固定部材に取り付けられ、前記被検出部材の磁界を検出する検出素子を有する磁気センサと、前記固定部材に設けられ、前記被検出部材と前記磁気センサとの間に少なくとも一部が介在する非磁性部材とを備え、前記磁気センサは、前記検出素子を保持する本体部と、前記本体部を前記非磁性部材側に押し付ける弾性部とを有する回転検出装置を提供する。
【0008】
また、前記磁気センサは、前記本体部及び前記弾性部が樹脂からなる一体の部材で構成されているとよい。
【0009】
また、前記本体部は、少なくとも一部が前記固定部材に形成された保持孔に収容され、前記弾性部は、前記保持孔の前記非磁性部材とは反対側の内面に当接して前記本体部を前記非磁性部材側に押し付けるようにするとよい。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記回転検出装置と、車輪が取り付けられるフランジ部を有する前記回転部材としての内輪と、前記非磁性部材が取り付けられた外輪と、前記内輪の外周面に形成された軌道面及び前記外輪の内周面に形成された軌道面との間に配置された複数の転動体とを備え、前記非磁性部材は、前記内輪と前記外輪との間を封止する封止部材である車輪軸受装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回転検出装置によれば、組み付け時におけるセンサ部の干渉を抑制しながら、回転部材の回転を正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る回転検出装置、及びこの回転検出装置を有する車両用の車輪軸受装置の構成例を示す断面図である。
【図2】図1における回転検出装置及びその周辺部を拡大して示す部分拡大図である。
【図3】磁気センサの形状を示す外観六面図である。
【図4】磁気エンコーダ及び磁気センサを示す説明図である。
【図5】第2の実施の形態に係る回転検出装置の構成例を示す断面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る磁気センサの外観六面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態の概要]
本実施の形態は、回転部材に取り付けられ、前記回転部材の周方向に沿って設けられた複数の磁極を有する被検出部材と、前記回転部材を回転可能に支持する固定部材に取り付けられ、前記被検出部材の磁界を検出する検出素子を有する磁気センサと、前記固定部材に回転不能に設けられ、前記被検出部材と前記磁気センサとの間に少なくとも一部が介在する非磁性部材とを備えた回転検出装置において、前記磁気センサは、前記検出素子を保持する本体部と、前記本体部を前記非磁性部材側に押し付ける弾性部とを有する回転検出装置についてのものである。
【0014】
[第1実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る回転検出装置1、及びこの回転検出装置1を有する車両用の車輪軸受装置10の構成例を示す断面図である。
【0015】
(車輪軸受装置10の構成)
車輪軸受装置10は、円筒状の本体部110、及び車輪が取り付けられるフランジ部111を有する回転部材としての内輪11と、内輪11の本体部110の外周側に配置された外輪12と、内輪11の外周面11aに形成された一対の軌道面11b,11b、及び外輪12の内周面12aに形成された一対の軌道面12b,12bの間に配置され、両軌道面11b,12bを転動する球状の複数の転動体13と、内輪11の外輪12に対する回転速度を検出する回転検出装置1とを備えている。
【0016】
内輪11の本体部110の中心部には、その回転軸線Oに沿って貫通孔が形成され、この貫通孔の内面には、図示しないドライブシャフトを連結するためのスプライン嵌合部110aが形成されている。
【0017】
内輪11のフランジ部111は、本体部110の径方向外側に突出して本体部110と一体に形成されている。フランジ部111には、図示しない車輪を取り付けるためのボルトが圧入される複数の貫通孔111aが形成されている。
【0018】
外輪12は、円筒状に形成され、車体に連結されたナックル9に複数のボルト91(図1には1つのみ示す)によって固定されている。ナックル9は、内輪11を回転可能に支持する固定部材の一例である。外輪12における内輪11のフランジ部111側の端部には、内輪11との間にシール14が配置されている。
【0019】
ナックル9には、次に説明する回転検出装置1の磁気センサ3を保持するための保持孔90が形成されている。保持孔90は、中心軸に直交する断面の形状が円形であり、ナックル9を回転軸線Oの径方向に貫通している。
【0020】
(回転検出装置1の構成)
図2は、図1における回転検出装置1及びその周辺部を拡大して示す部分拡大図である。
【0021】
回転検出装置1は、内輪11に取り付けられ、内輪11の周方向に沿って設けられた複数の磁極を有する被検出部材としての磁気エンコーダ2と、ナックル9に取り付けられ、磁気エンコーダ2の磁界を検出するホールIC(Hall Integrated Circuit)30を有する磁気センサ3と、外輪12への圧入によって固定部材としてのナックル9及び外輪12に対して回転不能に設けられ、磁気エンコーダ2とホールIC30との間にその一部が介在する非磁性材料からなるカバー部材4とを備えている。
【0022】
磁気エンコーダ2は、回転軸線Oに平行な方向の厚みを有する環状に形成されている。この磁気エンコーダ2は、内輪11の外周面11aに固定された支持部材112に支持され、内輪11と一体回転するように取り付けられている。また、磁気エンコーダ2は、磁気センサ3に対向して周方向に沿って交互に配列されたN磁極21とS磁極22とを有している。N磁極21及びS磁極22の配置の詳細については後述する。
【0023】
磁気センサ3は、ホールIC30と、ホールIC30を保持する本体部31と、本体部31をカバー部材4側に押し付ける弾性部32と、本体部31をナックル9に固定するための固定部33とを有している。本体部31、弾性部32、及び固定部33は、樹脂からなる一体の部材である。この樹脂としては、例えばPA(ポリアミド)612や、ナイロン66、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等を適用することができる。
【0024】
本体部31は、保持孔90に収容される軸状の軸部311と、軸部311の一端に連続して形成され、ホールIC30を保持する直方体状の保持部312とからなる。本実施の形態では、ホールIC30が保持部312の内部に封止されている。
【0025】
軸部311の直径Dは保持孔90の内径Dよりも小さく形成され、軸部311の外周面311aと保持孔90の内周面90aとの間には、直径Dと内径Dとの差に応じた寸法の隙間Sが形成されている。
【0026】
ホールIC30の検出信号は、軸部311及び保持部312に挿通された導線301によって磁気センサ3の外部に導かれ、ケーブル34に出力される。
【0027】
弾性部32は、保持孔90の内周面90aに当接する当接部321と、当接部321を本体部31(保持部312)に弾性的に連結する弾性連結部322とからなる。当接部321は、保持孔90の内周面90aのうち、カバー部材4とは反対側の領域90aに当接する。この領域90aは、弾性部32の当接部321、本体部31の保持部312、及びホールIC30を介してカバー部材4に対向している。
【0028】
弾性部32は、弾性連結部322の弾性変形により、本体部31をカバー部材4側に押し付ける。図2では、弾性部32に外力が作用しない磁気センサ3単体での形状を二点鎖線で示し、磁気センサ3がナックル9に取り付けられ、弾性連結部322が弾性変形した状態における弾性部32の形状を実線で示している。なお、本体部31は、弾性部32の押し付けにより、カバー部材4に接触している。
【0029】
固定部33は、軸部311の他端(保持部312とは反対側の端部)に連続して形成され、保持孔90の外部にて、軸部311の中心軸に直交する方向に延びるように形成されている。固定部33にはボルト92を挿通させる内面330aを有する貫通孔330が形成され、ボルト92のナックル9へのねじ締めにより、固定部33がナックル9に固定される。
【0030】
カバー部材4は、オーステナイト系ステンレスやアルミニウム等の非磁性の金属からなり、円筒状に形成された円筒部41と、円筒部41の磁気センサ3側の一端部に連続して形成され、円筒部41から磁気センサ3側に向かって徐々に縮径するテーパ部42と、テーパ部42の小径側の端部から径方向内側に向かって突出するように形成された円環板状の鍔部43と、鍔部43の内径側の端部から回転軸線Oに沿って円筒部41とは反対側に延びるように形成された環状突出部44とを一体に有している。円筒部41の回転軸線O方向の他端部は、外輪12の外周面に形成された環状凹部12cに圧入されて、外輪12とナックル9との間に回転不能に取り付けられている。すなわち、カバー部材4は、ナックル9及び外輪12に固定されている。また、環状突出部44は、内輪11の外周面11aに対向する内周面44aが円筒状である。
【0031】
また、環状突出部44の内周面44aと内輪11の外周面11aとの間には、合成ゴム等の弾性体からなるシール部材5が配置されている。シール部材5は、カバー部材4を芯金として、環状突出部44の内周面44aに例えば加硫接着によって接合されている。カバー部材4及びシール部材5は、内輪11と外輪12との間を封止する封止部材の一例である。なお、本実施の形態では、シール部材5が環状突出部44の内周面44aに固定され、内輪11の外周面11aに摺接するように構成されているが、シール部材5を内輪11の外周面11aに固定し、環状突出部44の内周面44aに摺接するように構成してもよい。
【0032】
鍔部43の回転軸線O方向の一側(磁気エンコーダ2側)には、カバー部材4と内輪11の外周面11aとの間をシールする合成ゴム等の弾性体からなる封止部材としてのシール部材5が固定されている。シール部材5は、カバー部材4を芯金として、鍔部43の磁気エンコーダ2側の面に、例えば加硫接着によって接合されている。
【0033】
図3は、磁気センサの形状を示す外観六面図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は左側面図、(f)は底面図である。
【0034】
図3(a)に示すように、固定部33には貫通孔330の周辺部に金属板からなるリング部材331が嵌め込まれている。ボルト92(図2参照)は、その頭部がリング部材331に接触してリング部材331をナックル9側に押し付け、磁気センサ3をナックル9に固定する。
【0035】
また、同じく図3(a)に示すように、貫通孔330は、回転軸線O(図1参照)に沿った方向の内径が回転軸線Oに直交する方向の内径よりも大きく形成されている。本実施の形態では、貫通孔330の内面330aが、回転軸線Oに平行な一対の直線部と、この一対の直線部の間を結ぶ一対の円弧部とからなる。これにより、貫通孔330にボルト92が挿入された状態での磁気センサ3の回転軸線O方向の移動が許容され、弾性部32の弾性によるセルフアライメント効果によって磁気センサ3が位置決めされた状態で、磁気センサ3がナックル9に固定される。
【0036】
図4は、磁気エンコーダ2を磁気センサ3側から見た平面図に、磁気センサ3の本体部31、ホールIC30、及び導線301の形状を破線で重ねて示す説明図である。なお、この図では磁気エンコーダ2と磁気センサ3との間に介在するカバー部材4及びシール部材5の図示を省略している。
【0037】
磁気エンコーダ2は、本体部20の磁気センサ3側の面に周方向に沿って複数のN磁極21及びS磁極22が交互に設けられている。
【0038】
ホールIC30は、2つのホール素子30a,30bを有している。ホールIC30は、このホール素子30a,30bにおける磁界によるホール効果によって磁界の強度及び極性を電気信号に変換して出力する。ホール素子30aとホール素子30bの間隔は、隣り合うN磁極21とS磁極22の距離に対応した寸法である。ホール素子30a,30bの出力信号の相対的な比較により、磁気エンコーダ2の回転に伴うホール素子30a,30bにおける磁極の変化を検出し、内輪11(図1参照)の回転速度を求めることが可能である。
【0039】
(回転検出装置1の組み立て手順)
次に、回転検出装置1の組み立て手順について説明する。
【0040】
回転検出装置1の組み立ては、内輪11の外周面11aに支持部材112を固定し、支持部材112に磁気エンコーダ2を固定し、シール部材5が予め接合されたカバー部材4を外輪12の環状凹部12cに圧入により固定し、外輪12をボルト91によってナックル9に固定した後、ナックル9に磁気センサ3を取り付けることにより行われる。
【0041】
磁気センサ3は、保持部312側から保持孔90内に本体部31及び弾性部32を挿入し、その後、固定部33の貫通孔330にボルト92を挿入してねじ留め固定する。
【0042】
保持孔90に本体部31及び弾性部32を挿入する際には、保持部312の先端がカバー部材4のテーパ部42に接触し、テーパ部42の傾斜に沿って保持部312が保持孔90の内周面90aにおける領域90a1側に移動しながら保持孔90の延伸方向に移動する。前述のように、軸部311の外周面311aと保持孔90の内周面90aとの間には隙間Sが形成されているので、磁気センサ3のテーパ部42の傾斜に沿った移動が可能となっている。この移動の過程で、弾性部32の弾性連結部322が弾性変形し、保持部312をカバー部材4側に押し付ける押付力が発生する。
【0043】
本体部31及び弾性部32の保持孔90への挿入が完了した段階では、保持部312がカバー部材4の鍔部43に押し付けられて接触している。この状態でボルト92が締め付けられると、保持部312がカバー部材4に接触した状態が維持されたまま、磁気センサ3がナックル9に固定される。
【0044】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0045】
(1)保持部312がカバー部材4に押し付けられた状態で磁気センサ3が固定されるので、ホールIC30と磁気エンコーダ2との距離を可及的に短くすることができ、磁気エンコーダ2の回転に伴って発生する磁気パルスのミスカウントを抑制することができる。これにより、回転速度の検出精度を高めることが可能となる。
【0046】
(2)磁気センサ3は、弾性部32の弾性変形を伴ってカバー部材4のテーパ部42に沿って回転軸線O方向に移動可能であるので、磁気センサ3とカバー部材4との干渉によって、磁気センサ3が組み付けられなくなることがない。
【0047】
(3)本体部31、弾性部32、及び固定部33は、一体の樹脂材料から形成されているので、例えば射出成型により、低コストで製造することができる。
【0048】
(4)当接部321は、カバー部材4に対向する保持孔90の内周面90aの領域90aに当接するので、弾性連結部322の弾性力が直接的に保持部312をカバー部材4に押し付ける押付力となる。このため、当接部321が確実にカバー部材4に接触する。
【0049】
(5)磁気センサ3は、カバー部材4側に押し付けられた状態で固定されるので、個々の製品ごとの磁気センサ3の取り付け位置のばらつきが少なくなる。これにより、回転検出装置1の性能ばらつきが低減される。
【0050】
(6)シール部材5は、環状突出部44の内周面44aと内輪11の外周面11aとの間、すなわち磁気エンコーダ2とホールIC30との間の磁路とならない部位に配置されているので、ホールIC30を通過する磁束の磁束密度がシール部材5によって低くなることがない。従って、例えばシール部材5を鍔部43と磁気エンコーダ2との間に配置した場合に比較して、ホールIC30を通過する磁束の磁束密度が高くなる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6において、第1の実施の形態について説明したものと機能が共通する部材又は部分については、共通する符号を付してその重複した説明を省略する。
【0052】
図5は、本実施の形態に係る回転検出装置1Aの構成例を示す断面図である。図6は、本実施の形態に係る磁気センサ3Aの外観六面図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は左側面図、(f)は底面図である。
【0053】
本実施の形態に係る磁気センサ3Aは、弾性部32Aの構成が異なる他は、第1の実施の形態に係る磁気センサ3と同様に形成されている。つまり、第1の実施の形態に係る磁気センサ3では、弾性連結部322が、当接部321を保持部312の先端部(軸部311とは反対側の端部)に連結していたが、本実施の形態に係る磁気センサ3Aでは、弾性連結部322Aが、当接部321Aを軸部311の先端部(固定部33とは反対側の端部)に連結している。より具体的には、軸部311と保持部312との段差面311bから、弾性連結部322Aが保持部312側に延びている。
【0054】
本実施の形態に係る磁気センサ3Aを用いた場合でも、第1の実施の形態に係る磁気センサ3を用いた場合と同様の作用及び効果が得られる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0056】
1,1A…回転検出装置、2…磁気エンコーダ(被検出部材)、3,3A…磁気センサ、4,4A…カバー部材(非磁性部材)、5…シール部材、9…ナックル(固定部材)、10…車輪軸受装置、11…内輪、11a…外周面、11b…軌道面、12…外輪、12a…内周面、12b…軌道面、12c…環状凹部、13…転動体、14…シール、20…本体部、21…N磁極、22…S磁極、30…ホールIC、30a,30b…ホール素子、31…本体部、32,32A…弾性部、33…固定部、34…ケーブル、41…円筒部、42…テーパ部、43…鍔部、44…環状突出部、44a…内周面、90…保持孔、90a…内周面、90a…領域、91,92…ボルト、110…本体部、110a…スプライン嵌合部、111…フランジ部、111a…貫通孔、112…支持部材、301…導線、311…軸部、311a…外周面、311b…段差面、312…保持部、321,321A…当接部、322,322A…弾性連結部、330…貫通孔、330a…内面、331…リング部材、O…回転軸線、S…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材に取り付けられ、前記回転部材の周方向に沿って設けられた複数の磁極を有する被検出部材と、
前記回転部材を回転可能に支持する固定部材に取り付けられ、前記被検出部材の磁界を検出する検出素子を有する磁気センサと、
前記固定部材に設けられ、前記被検出部材と前記磁気センサとの間に少なくとも一部が介在する非磁性部材とを備え、
前記磁気センサは、前記検出素子を保持する本体部と、前記本体部を前記非磁性部材側に押し付ける弾性部とを有する、回転検出装置。
【請求項2】
前記磁気センサは、前記本体部及び前記弾性部が樹脂からなる一体の部材で構成されている、
請求項1に記載の回転検出装置。
【請求項3】
前記本体部は、少なくとも一部が前記固定部材に形成された保持孔に収容され、
前記弾性部は、前記保持孔の前記非磁性部材とは反対側の内面に当接して前記本体部を前記非磁性部材側に押し付ける、
請求項1又は2に記載の回転検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転検出装置と、
車輪が取り付けられるフランジ部を有する前記回転部材としての内輪と、
前記非磁性部材が取り付けられた外輪と、
前記内輪の外周面に形成された軌道面及び前記外輪の内周面に形成された軌道面との間に配置された複数の転動体とを備え、
前記非磁性部材は、前記内輪と前記外輪との間を封止する封止部材である、車輪軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47636(P2013−47636A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185916(P2011−185916)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)