説明

回転清掃体ユニット、吸込口体および電気掃除機

【課題】タービンを原動機とする回転清掃体を備え、電気掃除機の吸込仕事率を低下させることなく、回転清掃体を高トルクで駆動可能な回転清掃体ユニット、吸込口体および電気掃除機を提案する。
【解決手段】電気掃除機の回転清掃体ユニットは、タービン41と、タービン41に連結された駆動軸を有する遊星歯車機構43と、遊星歯車機構43の従動軸に連結された回転清掃体44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンを原動機とする回転清掃体を備えた回転清掃体ユニット、吸込口体および電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気掃除機は吸込口体を備える。吸込口体は、吸込口本体の底面に吸込口を有する。吸込口体は、この吸込口から被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込む。
【0003】
そして、従来から吸込口に配置された回転清掃体を備えた吸込口体が知られている。吸込口体は、回転清掃体の原動機として電動機やタービンを備える。
【0004】
タービンを原動機とする回転清掃体を備えた吸込口体は、タービンのトルクを伝達する伝達機構を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−204781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
吸込口体は、電気掃除機の使用状態における可搬性、操作の容易性を考慮すると、その大きさおよび重さ(質量)に制約が生じる。この制約のため、回転清掃体の原動機であるタービンおよび電動機は、その体積(占有容積)や重さが制限される。
【0007】
そこで、特許文献1の吸込口体は、タービンの出力を極力大きく得るため、タービンの回転軸を回転清掃体の回転軸に対して直交させて配置し、タービンの回転半径を極力大きく確保する。
【0008】
しかしながら、特許文献1の吸込口体は、タービンから回転清掃体にトルクを伝達するため、複数の歯車からなる減速機構や、複数のタイミングベルト、かさ歯車などの機構からなる伝達機構を必要とする。この伝達機構は、摩擦部分や摺動部分が多く、機械的損失が大きくなる。
【0009】
また、タービンを原動機とする回転清掃体を備えた吸込口体は、電動送風機の吸引力の一部を流用してタービンを駆動させるため、電気掃除機の吸込仕事率を低下させない範囲で十分なトルクを得ることが難しい。例えば、タービンを原動機とする回転清掃体を備えた吸込口体は、カーペットが敷かれた被掃除面において、回転清掃体を駆動させることが困難な場合がある。
【0010】
そこで、本発明は、タービンを原動機とする回転清掃体を備え、電気掃除機の吸込仕事率を低下させることなく、回転清掃体を高トルクで駆動可能な回転清掃体ユニット、吸込口体および電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため本発明に係る回転清掃体ユニットは、タービンと、前記タービンに連結された駆動軸を有する遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構の従動軸に連結された回転清掃体と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る吸込口体は、吸気口、底面に形成された塵埃吸込口および前記吸気口と前記塵埃吸込口とが連通された吸込室を有する吸込口本体と、前記吸込口体に傾動自在に設けられ前記吸込室に連通された接続管と、前記吸込室に収容された前記回転清掃体ユニットと、を備え、前記回転清掃体は前記塵埃吸込口に配置され、前記タービンは前記吸気口から前記接続管に至る流路に配置されたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る電気掃除機は、掃除機本体と、前記掃除機本体に収容された電動送風機と、前記電動送風機に連通された前記吸込口体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タービンを原動機とする回転清掃体を備え、電気掃除機の吸込仕事率を低下させることなく、回転清掃体を高トルクで駆動可能な回転清掃体ユニット、吸込口体および電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る吸込口体を示した平断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る吸込口体を示した平断面図。
【図4】本発明に係る吸込口体の遊星歯車機構を簡易的に示した側面図。
【図5】本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面図。
【図6】本発明の実施形態に係る吸込口体の他の例を示した平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る回転清掃体ユニット、吸込口体および電気掃除機の実施形態について図1から図3を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した斜視図である。
図1に示すように、電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上に配置される掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在に接続された管部3と、を備える。
【0018】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方に軸支された一対の車輪6と、本体ケース5に収容された塵埃分離集塵部7と、塵埃分離集塵部7に連通された電動送風機8と、電動送風機8の駆動を制御する制御部9と、電動送風機8に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0019】
本体ケース5は、塵埃分離集塵部7に連通された本体接続口12を有する。
塵埃分離集塵部7は、電動送風機8が発生させた負圧によって電気掃除機1に吸い込まれる塵埃を含んだ空気から塵埃を分離し、捕集する。
車輪6は、掃除機本体2の走行用の大径の走行輪である。
【0020】
制御部9は、予め設定された複数の運転モードを有する。また、制御部9は、管部3から入力される操作信号に対応させて複数の運転モードから任意の運転モードを択一的に選択し電動送風機8を駆動させる。それぞれの運転モードは、電動送風機8の入力を互いに異ならせて設定され、管部3から入力される操作信号に対応付けられる。
電源コード11は、自由端部に電源プラグ14を備える。
【0021】
管部3は、電動送風機8の運転にともない掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から塵埃を含んだ空気(含塵空気)を吸い込み、この吸い込んだ含塵空気を掃除機本体2に案内する。管部3は、掃除機本体2の本体接続口12に着脱自在に接続された接続管19と、接続管19に連通され可撓性を有する集塵ホース21と、集塵ホース21に連通された手元操作管22と、手元操作管22から突出させて設けられた把持部23と、把持部23に設けられた操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続され連通された延長管25と、延長管25に着脱自在に接続され連通された吸込口体26と、を備える。
【0022】
集塵ホース21は湾曲自在な細長略円筒状に形成される。集塵ホース21の一端は、接続管19に接続される。集塵ホース21は、接続管19を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0023】
手元操作管22の一端は、集塵ホース21の他端に設けられる。手元操作管22は、接続管19および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0024】
把持部23は、電気掃除機1のユーザが把持して電気掃除機1を操作するものである。把持部23は、手元操作管22の他端部から突出させて設けられ手元操作管22の一端部に指向させて湾曲される。
【0025】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応させたスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8を停止させる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転を開始させる起動スイッチ24bと、を備える。電気掃除機1のユーザは、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。
【0026】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状に形成される。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせてテレスコピック構造に構成される。延長管25の一端は、手元操作管22の他端に着脱自在に接続される。延長管25は、接続管19、手元操作管22および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0027】
吸込口体26は、延長管25の一端に着脱自在に接続される。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0028】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を駆動させ掃除機本体2の内部に負圧を作用させる。この負圧は、本体接続口12から集塵ホース21と手元操作管22と延長管25とを経て吸込口体26に作用する。この吸込口体26に作用した負圧によって、電気掃除機1は、吸込口体26から床などの被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。吸込口体26に吸い込まれた含塵空気は、掃除機本体2に収容された塵埃分離集塵部7によって空気と塵埃とに分離される。分離された塵埃は、塵埃分離集塵部7に捕集される。他方、分離された空気は、塵埃分離集塵部7を通過し電動送風機8に吸い込まれて掃除機本体2から排気される。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体および回転清掃体ユニットを示した平断面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る吸込口体および回転清掃体ユニットを示した平断面図である。
【0030】
図2および図3に示すように、吸込口体26は、略直方体形状の箱状の吸込口本体31と、吸込口本体31に対して傾動自在に設けられた接続管32と、吸込口本体31に収容された回転清掃体ユニット33と、を備える。
【0031】
ここで、吸込口体26の前進方向(図2中、実線矢X)を前方、その反対方向を後方とする。また、吸込口体26を床面などの略水平な被掃除面に配置させた状態で、後から前を見たときの左側(図2および図3中、実線矢Y)を左方、その反対方向を右方とする。さらに、吸込口体26の前後方向および左右方向に直交する右手座標系の+Z方向を上方とし、その反対方向を下方とする。
【0032】
吸込口本体31は、平面視において前後方向に短辺を有し、左右方向に長辺を有するケース体34と、ケース体34の後部に一体に形成された接続管保持部35と、を備える。
【0033】
ケース体34は、中空な箱状体であり、その内部に吸込室36を有する。また、ケース体34は、底面以外の面(前後左右の側面または上面)に形成された吸気口38と、底面に形成された塵埃吸込口39と、を有する。吸込室36は、塵埃吸込口39および吸気口38を介してケース体34の外側空間に開放される。
【0034】
接続管32は、接続管保持部35に軸支され、吸込口体26の幅方向に沿う軸回りに傾動自在に構成される。また、接続管32は、ケース体34の吸込室36に連通される。吸込口体26は、接続管32に着脱自在に接続された延長管25を介して塵埃吸込口39および吸気口38に負圧を作用させて含塵空気および空気を吸い込む。
【0035】
回転清掃体ユニット33は、ケース体34の吸込室36に収容される。また、回転清掃体ユニット33は、吸気口38から吸い込まれる空気によって駆動されるタービン41と、タービン41に固定されたタービンシャフト42と、タービンシャフト42に連結された遊星歯車機構43と、塵埃吸込口39に配置され遊星歯車機構43に軸支されタービン41の回転軸に対し略同軸の回転軸Cを有する回転清掃体44と、を備える。すなわち、タービン41、タービンシャフト42、遊星歯車機構43および回転清掃体44は、吸込口本体31の吸込室36に収容される。
【0036】
タービン41は、軸流タービンであり、ケース体34に固定された案内翼部46と、案内翼部46に軸支された動翼部47と、を備える。タービン41、すなわち案内翼部46および動翼部47は、回転軸C方向視において回転清掃体44の回転径と同程度の直径を有する。
【0037】
案内翼部46は、吸気口38に連通された略筒体状の枠体46aと、枠体46aに一体に形成された複数の案内翼46bと、を備える。案内翼46bは、吸気口38から案内翼部46に流れ込んだ空気を動翼部47に案内する。
【0038】
動翼部47は、案内翼部46の枠体46aに軸支された略筒体状の動翼枠体47aと、動翼枠体47aに一体に形成された複数の動翼47bと、を備える。動翼部47は、案内翼46bによって案内された空気を動翼47bに受け、回転軸Cまわりに回転する。
【0039】
案内翼46bおよび動翼47bの枚数および形状(翼の断面形状)は、吸気口38から吸い込まれる空気の運動エネルギーを適切に回転エネルギーに変換可能なように構成される。
【0040】
なお、タービン41は、軸流タービンでも半径流タービンでも良い。図2に示した本実施形態に係るタービン41は、軸流タービンである。この場合、吸気口38は、ケース体34の左右の側面に形成され案内翼部46に空気を導く。他の例として、図3に示した本実施形態に係るタービン41は、半径流タービンである。この場合は、吸気口38をケース体34の左右それぞれの端部近傍の後側面(前方の側面または上面でも良い)に開口させ、タービン41の回転軸Cに向かってタービン41の外周面から直角に空気を流入させて駆動力を得る。
【0041】
タービンシャフト42は、動翼部47の回転軸芯(回転軸C)に設けられ、動翼部47の回転を遊星歯車機構43に伝達する。
【0042】
遊星歯車機構43は、タービン41からタービンシャフト42を経て伝達された駆動力を減速し回転清掃体44を駆動させる減速機構であり、タービン41に連結された駆動軸と回転清掃体44に連結された従動軸とを有する。また、遊星歯車機構43は、タービンシャフト42に連結された駆動軸を有する太陽歯車51と、太陽歯車51に噛み合わされ太陽歯車51の周囲を公転する複数の遊星歯車52と、遊星歯車52に噛み合わされケース体34に固定された内歯車53と、遊星歯車52の公転に従動し回転清掃体44を駆動させる従動軸を有するキャリア54と、を備える。
【0043】
太陽歯車51は、タービンシャフト42を介してタービン41に接続され、動翼部47の回転にともなって回転する。
【0044】
遊星歯車52は、太陽歯車51の周囲に配置される。
【0045】
内歯車53は、太陽歯車51と遊星歯車52とを内包する円環形状体であり、その内周面に遊星歯車52が噛み合わされ、その外周面をケース体34に固定される。
【0046】
キャリア54は、遊星歯車機構43の回転清掃体44に近い側面に配置される。また、キャリア54は、遊星歯車機構43のタービン41に近い側面に配置された遊星歯車カバー55とともにギヤシャフト56を保持し、遊星歯車52と太陽歯車51と内歯車53との係合関係を保つ。遊星歯車カバー55は、その中心にタービンシャフト42が挿通された貫通口55aを有する。
【0047】
回転清掃体44は、遊星歯車機構43のキャリア54に回動一体に保持された軸体58と、軸体58の軸方向に向かって螺旋状に植設された清掃体59と、を備える。
【0048】
清掃体59は、軸体58の軸方向に向かって螺旋状に植設されたブラシ毛であり、回転清掃体44の外周面を構成する。ブラシ毛は、軸体58の径方向に突出するように設けられる。なお、清掃体59はブラシ毛とブレ−ドとの組み合わせ、またはブレードのみを備えるものであっても良い。
【0049】
このように構成された吸込口体26は、動翼部47とタービンシャフト42と太陽歯車51と遊星歯車52とキャリア54と回転清掃体44を、タービン41の案内翼部46および遊星歯車機構43の内歯車53によって軸支する。そして、回転清掃体ユニット33は、タービン41(より詳しくは動翼部47)とタービンシャフト42と太陽歯車51の回転中心である駆動軸、および遊星歯車52の公転中心(すなわちキャリア54の回転中心)である従動軸を略同一直線上に位置させる。そして、この直線は、回転清掃体44の回転軸Cと略同一直線上に位置される。
【0050】
なお、本実施形態に係る吸込口体26は、タービン41とタービンシャフト42と遊星歯車機構43とを回転清掃体44の両端に一対に備える。これによって、吸込口体26は、回転清掃体44の駆動力を十分に確保できる。なお、吸込口体26は、タービン41とタービンシャフト42と遊星歯車機構43とを回転清掃体44のいずれか一端にのみ備えるものでも良い。
【0051】
図4は、本発明に係る吸込口体の遊星歯車機構を簡易的に示した側面図である。
図4に示すように、吸込口体26の遊星歯車機構43は、太陽歯車51に接続されたタービンシャフト42を入力軸とし、キャリア54に一体的に保持された回転清掃体44(より詳しくは、軸体58)を出力軸とする減速機構である。遊星歯車機構43は、回転軸Cから見て内側から太陽歯車51と、遊星歯車52と、内歯車53と、を備える。
【0052】
遊星歯車52は、太陽歯車51を中心とする正多角形のそれぞれの頂点位置、具体的には正三角形のそれぞれの頂点位置に配置される。
【0053】
そして、遊星歯車機構43は、タービン41の駆動力によって太陽歯車51を一方向(図4中、実線矢CW1)に回転させる。また、遊星歯車機構43は、太陽歯車51の回転にともなわせて複数の遊星歯車52をそれぞれのギヤシャフト56を中心に他方向(図4中、実線矢CCW)に回転(自転)させるとともに、回転軸Cを中心に一方向(図4中、実線矢CW2)に回転(公転)させる。さらに、遊星歯車機構43は、遊星歯車52の回転(公転)にともなわせて回転軸Cを中心にキャリア54を一方向(図4中、実線矢CW2)に回転させる。このとき、内歯車53は、太陽歯車51と遊星歯車52とキャリア54との回転を保持する。
【0054】
このとき、回転清掃体44は、キャリア54と回転一体に一方向(図3中、実線矢CW2)へ回転する。
【0055】
なお、回転清掃体44の回転方向は、吸込口体26に前進力を発生させる方向(順方向)でも、吸込口体26に後退力を発生させる方向(逆方向)でも良い。タービン41は、回転清掃体44の順方向または逆方向のいずれかの方向に対応させて案内翼46bおよび動翼47bを適宜に形成される。
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体を示した縦断面図である。
図5に示すように、吸込口体26(より詳しくは、吸込口本体31のケース体34)は、回転清掃体44を臨み回転清掃体44の回転を補助するよう空気Fを吹き付ける補助吸気口60(第二吸気口)を有する。補助吸気口60は、吸込室36へ吸い込まれる空気Fの流れを回転清掃体44の清掃体59に吹き付けるよう指向させて吸込口本体31のケース体34に開口される。
【0057】
図6は、本発明の実施形態に係る吸込口体の他の例を示した平断面図である。
なお、回転清掃体ユニット33Aにおいて回転清掃体ユニット33と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
図6に示すように、吸込口体26に収容された回転清掃体ユニット33Aは、吸気口38から吸い込まれる空気によって駆動されるタービン41Aを備える。
【0059】
タービン41Aは、軸流タービンであり、案内翼部46に設けられた軸受部61と、動翼部47の回転軸上に固定されて軸受部61に軸支された案内翼部支持軸62と、を備える。
【0060】
案内翼部支持軸62は、タービンシャフト42を延長させて一体に形成される。また、案内翼部支持軸62は、案内翼部46と動翼部47との相対的な回転を妨げないよう構成されるとともに、軸受部61から抜け出さないように抜け止め膨出部63を備える。
【0061】
次に、本実施形態に係る電気掃除機1の動作を説明する。
【0062】
電気掃除機1のユーザは、先ず、掃除機本体2に管部3、すなわち集塵ホース21と延長管25と吸込口体26とを適宜の順序で接続する。
【0063】
次に、掃除機本体2から電源コード11を引き出し、商用電源を供給するコンセント(図示省略)に電源プラグ14を接続する。
【0064】
次に、電気掃除機1のユーザは、把持部23を把持して起動スイッチ24bを操作する。
【0065】
そうすると、制御部9は、起動スイッチ24bで設定された動作モードに従い電動送風機8を駆動させる。電動送風機8の駆動によって掃除機本体2と管部3とに負圧が生じ、電気掃除機1は吸込口体26の吸気口38および塵埃吸込口39から空気を吸い込む。
【0066】
次いで、電気掃除機1のユーザは、吸込口体26を被掃除面に配置し、把持部23を把持したまま手元操作管22および延長管25を前後に往復動させる。
【0067】
そうすると、吸込口体26は、被掃除面上を前後に往復走行しつつ被掃除面の塵埃を空気とともに(含塵空気)、塵埃吸込口39から吸い込む。塵埃吸込口39から吸い込まれた含塵空気は、接続管32を通って掃除機本体2へと案内される。
【0068】
このとき、吸込口体26は、吸気口38からも空気を吸い込む。吸気口38から吸い込まれた空気は、タービン41、41Aの案内翼部46によって動翼部47に導かれ、動翼部47を回転させつつ通り過ぎ、吸込室36内で塵埃吸込口39から吸い込まれた含塵空気と合流し、接続管32に至る。動翼部47の回転は、タービンシャフト42を介して遊星歯車機構43に入力され回転清掃体44を駆動させる。この回転清掃体44の駆動によって、吸込口体26は、被掃除面上の塵埃を掃き上げるとともに被掃除面を磨く。回転清掃体44によって掃き上げられた塵埃は、塵埃吸込口39から吸込口体26に吸い込まれる。このとき、補助吸気口60から吸込室36へ吸い込まれる空気Fの流れは、回転清掃体44の清掃体59に吹き付けられて回転清掃体44の回転を補助する。
【0069】
吸込口体26に吸い込まれた含塵空気は、延長管25、手元操作管22および集塵ホース21を順次に通過した後、掃除機本体2に案内される。
【0070】
掃除機本体2に案内された含塵空気は、塵埃分離集塵部7に吸い込まれ塵埃と空気とに分離される。分離された塵埃は、塵埃分離集塵部7に捕集される。他方、分離された空気は、塵埃分離集塵部7を通過して電動送風機8に吸い込まれ、掃除機本体2から排気される。
【0071】
このようにして電気掃除機1は、吸込口体26から吸い込んだ塵埃を捕集する。
【0072】
本実施形態に係る回転清掃体ユニット33、33A、吸込口体26および電気掃除機1は、回転清掃体44の回転径とタービン41、41Aの直径を同程度に構成して、タービン41、41A(より詳しくは動翼部47)とタービンシャフト42と太陽歯車51の回転中心である駆動軸、遊星歯車52の公転中心(すなわちキャリア54の回転中心)である従動軸、および回転清掃体44の回転中心を略同一直線上(回転軸C)に配置させることが可能になり、タービン41、41Aから回転清掃体44にトルクを伝達する際に摩擦や摺動による機械的損失を生じる要素を極力少なくすることができる。具体的には、この機械的損失は、ほぼ遊星歯車機構43の機械的損失に依存することとなり、回転清掃体44を駆動させる機構全体の損失の低減を容易に図ることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る回転清掃体ユニット33、33A、吸込口体26および電気掃除機1は、タービン41、41Aが発生させるトルクが回転清掃体44を直接駆動させるには足りない場合であっても、同容量(容積)に組み込み可能な平歯車やかさ歯車からなる減速機に比べて比較的に大きい減速比を有する遊星歯車機構43を備えるため、カーペットが敷かれた摩擦係数の高い被掃除面においても回転清掃体44を確実に駆動可能なトルクを得ることができる。
【0074】
さらに、本実施形態に係る回転清掃体ユニット33Aは、当該ユニットを一つのモジュールとする取り扱いの利便性および吸込口体26の組立性を向上させる。
【0075】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1、吸込口体26および回転清掃体ユニット33、33Aによれば、タービン41、41Aを原動機とする回転清掃体44を備え、電気掃除機1の吸込仕事率を低下させることなく、回転清掃体44を高トルクで駆動できる。
【符号の説明】
【0076】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 管部
5 本体ケース
6 車輪
7 塵埃分離集塵部
8 電動送風機
8 電動送風機
9 制御部
11 電源コード
12 本体接続口
14 電源プラグ
19 接続管
21 集塵ホース
22 手元操作管
23 把持部
24 操作部
24a 停止スイッチ
24b 起動スイッチ
25 延長管
26 吸込口体
31 吸込口本体
32 接続管
33 回転清掃体ユニット
34 ケース体
35 接続管保持部
36 吸込室
38 吸気口
39 塵埃吸込口
41、41A タービン
42 タービンシャフト
43 遊星歯車機構
44 回転清掃体
46 案内翼部
46a 枠体
46b 案内翼
47 動翼部
47a 動翼枠体
47b 動翼
51 太陽歯車
52 遊星歯車
53 内歯車
54 キャリア
55 遊星歯車カバー
55a 貫通口
56 ギヤシャフト
58 軸体
59 清掃体
60 補助吸気口
61 軸受部
62 案内翼部支持軸
63 抜け止め膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンと、
前記タービンに連結された駆動軸を有する遊星歯車機構と、
前記遊星歯車機構の従動軸に連結された回転清掃体と、を備えたことを特徴とする回転清掃体ユニット。
【請求項2】
前記タービンの回転軸と、前記遊星歯車機構の駆動軸および従動軸と、前記回転清掃体の回転軸とが略同軸上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の回転清掃体ユニット。
【請求項3】
前記遊星歯車機構は、
前記タービンに連結された太陽歯車と、
前記太陽歯車に噛み合わされ前記太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、
前記遊星歯車に噛み合わされた内歯車と、
前記遊星歯車の公転に従動し前記回転清掃体に連結されたキャリアと、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の回転清掃体ユニット。
【請求項4】
前記タービンおよび前記遊星歯車機構は、前記回転清掃体の両端に一対に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転清掃体ユニット。
【請求項5】
前記タービンは、
複数の動翼を有する動翼部と、
前記動翼部に空気を導く複数の案内翼を有する案内翼部と、を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の回転清掃体ユニット。
【請求項6】
前記案内翼部に設けられた軸受部と、
前記動翼部の回転軸上に固定されて前記軸受部に軸支された案内翼部支持軸と、を備えたことを特徴とする請求項5の記載の回転清掃体ユニット。
【請求項7】
吸気口、底面に形成された塵埃吸込口および前記吸気口と前記塵埃吸込口とが連通された吸込室を有する吸込口本体と、
前記吸込口体に傾動自在に設けられ前記吸込室に連通された接続管と、
前記吸込室に収容された請求項1から6のいずれか1項に記載の回転清掃体ユニットと、を備え
前記回転清掃体は前記塵埃吸込口に配置され、前記タービンは前記吸気口から前記接続管に至る流路に配置されたことを特徴とする吸込口体。
【請求項8】
前記遊星歯車機構の前記内歯車は前記吸込口本体に固定されたことを特徴とする請求項7に記載の吸込口体。
【請求項9】
前記吸気口は前記吸込口本体の進行方向に対する左右の側面に配置されたことを特徴とする請求項7または8に記載の吸込口体。
【請求項10】
前記吸気口は前記吸込口本体の上面に配置されたことを特徴とする請求項7または8に記載の吸込口体。
【請求項11】
前記吸込口本体は、前記回転清掃体を臨み前記回転清掃体の回転を補助するよう空気を吹き付ける第二吸気口を有することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の吸込口体。
【請求項12】
掃除機本体と、
前記掃除機本体に収容された電動送風機と、
前記電動送風機に連通された請求項7から11のいずれか1項に記載の吸込口体と、を備えることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−115541(P2011−115541A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79055(P2010−79055)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】