説明

回転表示装置

【課題】容器内の液体に浮遊させた表示体を安定的に回転する。
【解決手段】表面に地球儀地図などの模様を付した略球状の表示体11を、中空球体形状の容器12中に、容器12に満たした透明な液体13に液浸した形態で配置し、表示体11を容器12に対して垂直軸を回転軸として回転駆動する回転機構を設ける。
表示体11の形状は、球体の最下部を上方に凹ませた形状とし、この最下部に設けた凹み110の形状は、表示体11の水平方向の中心を通る垂直な軸に対して線対称な形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転表示装置における回転機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転表示装置としては、球形の透明な容器内に、球形の表示体を、前記容器内に満たした液体に液浸した形態で配置し、表示体の内部に設けた地磁気と作用する電磁石を回転させることによって、表示体を、容器に対して、球形の表示体の中心を通る垂直な軸を回転軸として回転させる回転表示装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特表2003-514251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載の回転表示装置によれば、表示体の回転軸が水平方向に振動したり、表示体の回転軸が揺動したりすることがあるなど、表示体の回転を充分に安定的に行わせることができなかった。
そこで、本発明は、透明な容器内に、表示体を、容器内に満たした液体に液浸した形態で配置した回転表示装置において、表示体を、容器に対して、より安定的に回転することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題達成のために、本発明は、中空球状の透明な容器と、前記容器内に満たした液体に浮遊させた形態で配置された、模様を付した略球体形状の表示体と、前記表示体を前記容器に対して、垂直方向の軸を回転軸として回転させる回転機構とを備えた回転表示装置において、前記表示体の外形の形状を、球体の最下部を、前記回転軸に対して線対称な形状を有する凹みが形成されるように、上方に凹ませた形状としたものである。
【0005】
ただし、前記表示体の外形の形状は、球体の下部の一部を水平に切り取って下面を水平面とした場合に得られる形状としても良い。
または、前記表示体の外形の形状は、球体の下部に、当該球体を水平に取り巻く、環状の凹みを設けた形状としても良い。
または、前記表示体の外形の形状は、球体の下部に、当該球体を水平に取り巻く、環状の突部を設けた形状としてもよい。
これらのような回転表示装置によれば、表示体の形状によって、水平方向の振動や、揺動に対する抵抗が大きくなるので、表示体の水平方向の中心を通る垂直な回転軸回りの回転が、表示体を単なる球体とした場合に比べ、安定的に行われるようになる。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、透明な容器内に、表示体を、容器内に満たした液体に液浸した形態で配置した回転表示装置において、表示体を容器に対して安定的に回転することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態に係る回転表示装置の構造を示す。
図1aに、回転表示装置の外観を示すように、回転表示装置1は、台座2上に載せ置かれた状態で使用されるものであり、図1bに示すように表面に地球儀地図などの模様を付した略球状の表示体11を、図1cに示すような中空球体形状の透明な容器12中に、図1dに図1aの切断線AAによる断面を示すように、容器12に満たした透明な液体に液浸した形態で、容器12と同心入れ子状に配置したものである。
【0008】
ここで、表示体11の外径は容器12の内径より小さく、表示体11と容器12の間には液体で満たされた間隔が生じる。また、容器12に満たす液体は、表示体11が、その浮力によって容器12と同心上に位置するように、異なる比重を有する二つの液体13、14を満たしている。
【0009】
また、図1dに示すように、表示体11の内部の下部には、表示体11の姿勢を正立させるための錘111を備えている。また、表示体11の内部の下部には、正立した表示体11の水平方向の中心に対して対称となる配置で複数の永久磁石112が固定されている。
【0010】
また、容器12の屈折率、容器12に満たす液体13、14の光学的屈折率は、図2aに、図1aの切断線BBの断面により示すように、回転表示装置1を観察したときに、表示体11の像が、容器12の全体に重なるように拡大されて視認されるように定めている。
そして、これにより、観察者には、図1aに示すように容器12の全体が表示体11であり、図2bの図1aの切断線BBによる断面図に示すように表示体11が垂直軸を回転軸として容器12に対する回転を行ったときに、図2cに示すように容器12の全体が回転しているかのように視認される。
【0011】
次に、表示体11の回転機構について説明する。
前述したように、表示体11の内部の下部には、永久磁石112が固定されている。一方、図1dに示すように、台座2の内部には、離間して配置した永久磁石21を垂直方向の軸を回転軸として回転するモータ22が配置されており、この回転する永久磁石21と表示体11の内部の永久磁石112との磁力による相互作用によって、表示体11は、容器12内で、表示体11の水平方向の中心を通る垂直な軸を回転軸として回転する。
【0012】
ただし、表示体11の回転機構としては、前記特許文献1に記載された回転機構などの任意の回転機構を用いるようにしてよい。
次に、表示体11は、図3a1に、図1aの切断線AAによる断面を、図3a2に側面図を、図3a3に下面図を示すように、球体の最下部を上方に凹ませた形状を有しており、この最下部に設けられた凹み110は、表示体11の水平方向の中心を通る垂直な軸(回転軸)に対して線対称な形状を有している。
【0013】
このような凹み110を表示体11の下部に設けることにより、表示体11の水平方向の振動や、表示体11の揺動に対する抵抗が大きくなり、表示体11の水平方向の中心を通る垂直な軸を回転軸とする回転が安定的に行われるようになる。
また、このような凹み110は目立たないように表示体11の下部に設けられているので、当該凹み110によって視覚状の審美性が大きく損なわれることもない。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここで、以上の実施形態における表示体11の形状としては、図3a1-a3に示した下部に凹み110を設けた形状の他、以下のような形状も用いることができる。
すなわち、図3b1に、図1aの切断線AAによる断面を、図3b2に側面図を、図3b3に下面図を示すように、表示体11の形状としては、球体の下部を水平に切り欠いて水平面とした場合に得られる形状を用いるようにしてもよい。
また、図3c1に、図1aの切断線AAによる断面を、図3c2に側面図を、図3c3に下面図を示すように、表示体11の形状としては、球体の下部の周りに環状の突部1101を水平に取り付けた形状を用いるようにしてもよい。
また、図3d1に、図1aの切断線AAによる断面を、図3d2に側面図を、図3d3に下面図を示すように、表示体11の形状としては、球体の下部の周りに環状の凹部1102を水平に設けた形状を用いるようにしてもよい。
これらの形状によっても、表示体11の水平方向の振動や、表示体11の揺動に対する抵抗が大きくなり、表示体11の水平方向の中心を通る垂直な軸を回転軸回りの回転が安定的に行われるようになる。
また、以上の実施形態では、容器12と表示体11の形状を図3a-dに示したように略球形状としたが、容器12と表示体11の形状としては、円筒形の形状や、半球形状のものなど、様々な形状のものと用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の回転表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の回転表示装置の光学的屈折率を示す図である。
【図3】本発明の回転表示装置の表示体の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1…回転表示装置、2…台座、11…表示体、12…容器、13…液体、111…錘、112…永久磁石。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空球状の透明な容器と、
前記容器内に満たした液体に浮遊させた形態で配置された、模様を付した略球体形状の表示体と、
前記表示体を前記容器に対して、垂直方向の軸を回転軸として回転させる回転機構とを有し、
前記表示体の外形の形状は、球体の最下部を、前記回転軸に対して線対称な形状を有する凹みが形成されるように、上方に凹ませた形状を有することを特徴とする回転表示装置。
【請求項2】
中空球状の透明な容器と、
前記容器内に満たした液体に浮遊させた形態で配置された、模様を付した略球体形状の表示体と、
前記表示体を前記容器に対して、垂直方向の軸を回転軸として回転させる回転機構とを有し、
前記表示体の外形の形状は、球体の下部の一部を水平に切り取って下面を水平面とした場合に得られる形状を有することを特徴とする回転表示装置。
【請求項3】
中空球状の透明な容器と、
前記容器内に満たした液体に浮遊させた形態で配置された、模様を付した略球体形状の表示体と、
前記表示体を前記容器に対して、垂直方向の軸を回転軸として回転させる回転機構とを有し、
前記表示体の外形の形状は、球体の下部に、当該球体を水平に取り巻く、環状の凹みを設けた形状を有することを特徴とする回転表示装置。
【請求項4】
中空球状の透明な容器と、
前記容器内に満たした液体に浮遊させた形態で配置された、模様を付した略球体形状の表示体と、
前記表示体を前記容器に対して、垂直方向の軸を回転軸として回転させる回転機構とを有し、
前記表示体の外形の形状は、球体の下部に、当該球体を水平に取り巻く、環状の突部を設けた形状を有することを特徴とする回転表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−20039(P2010−20039A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179752(P2008−179752)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(502433597)株式会社アマチ (6)
【Fターム(参考)】