説明

回転角度検出装置

【課題】スロットルバルブの開度を検出するためにスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置において、回転角度検出装置を製造するにあたっての製造コストを安価とする。
【解決手段】磁気検出部材もしくは駆動モータに接続されるターミナル本体42,52と、外部コネクタに対して接続されるコネクタ部45,55とを成形するにあたって、これらターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とを分離して成形する。これによって、ターミナル本体42,52については、ばね特性を有した銅材料で成形し、コネクタ部45,55については真鍮で成形する。これらターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とを成形した後には、電気的に接合する結合部48,58を介して互いに一体結合することができる。ターミナル本体42,52の板厚は0.4mmに設定されており、コネクタ部45,55の板厚は0.6mmに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルバルブの開度を検出するためにスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンに供給される空気量を制御するスロットルバルブ装置が知られている。このスロットルバルブ装置は、回転が制御されるバタフライバルブ式のスロットルバルブを備える。このバタフライバルブ式のスロットバルブは、自動車のアクセル操作に応じて回転軸を回転させて、エンジンに供給される空気量を制御するようにバルブ開度を変更する。このため、このようなスロットルバルブ装置には、スロットルバルブの開度を検出するための回転角度検出装置が設けられている。また、回転角度検出装置は、回転することにより変化するスロットルバルブの回転軸の磁気を検出することによりスロットルバルブの開度を検出する。この回転角度検出装置によって、スロットルバルブ装置は、スロットルバルブの開度を検出しながらエンジンに供給する空気の空気量を制御することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、この回転角度検出装置により検出したスロットルバルブの回転軸の回転情報は、外部コンピュータに向けて送信されるようになっている。このため、回転角度検出装置には、外部コンピュータに送信するためのセンサターミナル(センサ配線部材)が設けられている。このセンサターミナルは、回転軸の回転情報を検出するための電力を送るためのものと、検出した回転情報を外部コンピュータに向けて送信するためのものとを含み、合計4本により構成される。
他方、この回転角度検出装置は、スロットルバルブ装置全体としてのコンパクト化を図るために、スロットルバルブ装置の構成する部品と一緒に組み付けられている。つまり、回転角度検出装置には、上記したセンサターミナルのほか、モータターミナル(モータ配線部材)も一緒に組み込まれている。このモータターミナルは、スロットルバルブを回転させる駆動モータに電力を供給するため、電力のプラスマイナスに接続するための2本により構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−289610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記した4本のセンサターミナルと2本のモータターミナルとは、スロットルバルブ装置全体のコンパクト化を図るため、外部機器に対して一括で接続することができるように並列配置されている。このように並列配置された6本のターミナルのうち、4本のセンサターミナルについては、微弱な検出信号でも確実に通電できるように接続部分に金メッキ処理を施しておきたい。そうすると、センサターミナルの接続部分についてのみに金メッキ処理を施すため、製造が煩雑となってしまって製造コストが高価となってしまうとの指摘がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、スロットルバルブの開度を検出するためにスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置において、回転角度検出装置を製造するにあたっての製造コストを安価とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって本発明に係る回転角度検出装置は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係る回転角度検出装置は、スロットルバルブの開度を検出するために該スロットルバルブの回転軸の磁気を検出する磁気検出部材を具備してスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置であって、前記磁気検出部材に接続されて該磁気検出部材からの検出信号を送信するセンサ配線部材と、前記スロットルバルブの前記回転軸を回転させるモータに電力供給するモータ配線部材とを備え、前記センサ配線部材および前記モータ配線部材は、前記磁気検出部材もしくは前記モータに接続されるターミナル本体と、外部コネクタに対して接続されるコネクタ部とに、区分けして成形されており、該ターミナル本体と該コネクタ部とは、電気的に接合する結合部を介して、互いに一体結合されていることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係る回転角度検出装置によれば、磁気検出部材もしくはモータに接続されるターミナル本体と、外部コネクタに対して接続されるコネクタ部とを成形するにあたって、これらターミナル本体とコネクタ部とを分離して成形することができる。また、これらターミナル本体とコネクタ部とを成形した後には、電気的に接合する結合部を介して互いに一体結合することができる。これによって、ターミナル本体についてはセンサ配線部材とモータ配線部材とを同一材料で成形し、コネクタ部についてはセンサ配線部材とモータ配線部材とを相違する材料で成形することができる。したがって、配線種類の特性を鑑みて配線部材の材料および成形方法を選択するにあたって部分処理を有利に行えるようにして、成形時の利便性を高めることができる。もって、回転角度検出装置を製造するにあたっての工程数を減らして、回転角度検出装置の製造コストを安価にすることができる。
【0009】
第2の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1の発明に係る回転角度検出装置において、前記ターミナル本体の板厚と前記コネクタ部の板厚とは、互いに相違する厚さの板厚に設定されていることを特徴とする。
この第2の発明に係る回転角度検出装置によれば、ターミナル本体の板厚とコネクタ部の板厚とが互いに相違する厚さの板厚に設定されている。これによって、ターミナル本体とコネクタ部とが組み付けられる構成に対応して、ターミナル本体とコネクタ部の板厚との板厚を適宜に選択をすることができ、成形時の利便性を高めることができる。例えば、ターミナル本体をスロットルバルブ装置を構成する一部材に対して埋め込むようにして組み付けたい場合には、このターミナル本体の板厚をコネクタ部の板厚に比して薄い板厚に設定することができる。これによって、他の構成部材に組み付ける際の設計に有利とすることができる。
【0010】
第3の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1または前記第2の発明に係る回転角度検出装置において、前記ターミナル本体の材質と前記コネクタ部の材質とは、互いに相違する材質に設定されていることを特徴とする。
この第3の発明に係る回転角度検出装置によれば、ターミナル本体の材質とコネクタ部の材質とは、互いに相違する材質に設定されているので、ターミナル本体とコネクタ部とが組み付けられる構成に対応して、ターミナル本体とコネクタ部との材質を適宜に選択をすることができ、成形時の利便性を高めることができる。これによって、回転角度検出装置を製造するにあたって、生産性を向上させることができつつ、製造コストの低減も図ることができる。
【0011】
第4の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係る回転角度検出装置において、前記結合部は、前記ターミナル本体と前記コネクタ部との間で設けられるかしめ構造により形成されていることを特徴とする。
この第4の発明に係る回転角度検出装置によれば、結合部は、ターミナル本体とコネクタ部との間で設けられるかしめ構造により形成されているので、溶接等の接合作業を必要とせずに結合部を形成することができる。これによって、製造するにあたっての作業の簡単化を図ることができる。
【0012】
第5の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1から前記第4のいずれかの発明に係る回転角度検出装置において、前記結合部の外周は、電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により、複数連ならせた該結合部同士を束ねるように一体的に被覆されていることを特徴とする。
この第5の発明に係る回転角度検出装置によれば、結合部の外周は電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により被覆されているので、該結合部と該結合部外部との電気的絶縁を確実なものとすることができる。また、複数連ならせた結合部同士は、電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により束ねられている。これによって、この束ねられた状態でターミナル本体を適宜に切断作業あるいは打抜き作業を行う場合に、このターミナル本体がばらけてしまうのを防ぐことができる。また、この束ねられた状態でターミナル本体を組み付ける場合に、部材として纏まり良いものとすることができて、組付け作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る回転角度検出装置によれば、回転角度検出装置を製造するにあたっての工程数を減らして、回転角度検出装置の製造コストを安価にすることができる。
第2の発明に係る回転角度検出装置によれば、他の構成部材に組み付ける際の設計に有利とすることができる。
第3の発明に係る回転角度検出装置によれば、回転角度検出装置を製造するにあたって、生産性を向上させることができつつ、製造コストの低減も図ることができる。
第4の発明に係る回転角度検出装置によれば、製造するにあたっての作業の簡単化を図ることができる。
第5の発明に係る回転角度検出装置によれば、部材として纏まりの良いものとすることができて、切断作業あるいは打抜き作業を行う場合のばらけ防止を図ることができ、組付け作業時の取り扱い易さを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スロットルバルブ装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】センサカバーの内面側を斜視にて示す斜視図である。
【図3】センサカバーの内面側を正面視にて示す正面図である。
【図4】センサカバーに埋設される回転角度検出装置の一部を示す断面図である。
【図5】回転角度検出装置を示す斜視図である。
【図6】回転角度検出装置を示す正面図である。
【図7】ターミナル部品を拡大して示す斜視図である。
【図8】図7に示すターミナル部品の結合前状態を示す正面図である。
【図9】結合部を板厚方向で拡大して視た場合の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る回転角度検出装置を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1は、スロットルバルブ装置10の内部構造を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の都合上、図1の記載に基づいてスロットルバルブ装置10に関しての上下前後左右の方向を規定している。
図1に示すように、スロットルバルブ装置10は、自動車等の車両に搭載されるスロットルバルブ装置である。このスロットルバルブ装置10は電子制御式にて開閉可能に構成されている。このスロットルバルブ装置10は、樹脂の成形品にて形成されるスロットルボデー11を備える。このスロットルボデー11には、中空円筒状に形成されるボア壁部12が設けられている。ボア壁部12内には、吸気通路としてのボア13が形成されている。ボア壁部12には、ボア13の径方向(左右方向)でボア13を横切るように、金属製のスロットルシャフト14が配設されている。このスロットルシャフト14の両端部分は、ボア壁部12に形成された軸受部15にて回転可能に支持されている。このスロットルシャフト14には、円板状をなすバタフライバルブ式のスロットルバルブ16が螺子部材17を介して一体的に締着されている。このように、スロットルバルブ16は、スロットルシャフト14と一体で回転するようになっている。このスロットルバルブ16は、スロットルバルブ16の開度を決めるように、スロットルシャフト14の回転角度によってボア13を開け閉めするようになっている。つまり、スロットルシャフト14は、本発明に係るスロットルバルブの回転軸に相当する。
【0016】
スロットルシャフト14の駆動端側(右側)には、スロットルギヤ26が同軸で回り止めされるように取り付けられている。このスロットルギヤ26は、樹脂の成形品にて形成される。このスロットルギヤ26は、二重円筒状をなす内筒部261および外筒部262を備える。外筒部262の外周部分には、扇形のギヤ部263が形成されている。スロットルギヤ26とスロットルボデー11との間には、コイルスプリングにて形成されるバックスプリング27が介装されている。このバックスプリング27は、スロットルギヤ26を介してスロットルバルブ16が常時全閉する方向に付勢している。つまり、このバックスプリング27は、スロットルシャフト14を常時閉じ方向に回転付勢している。
スロットルボデー11のうち、ボア壁部12のスロットルシャフト14の延在交差側(下側)には、駆動モータ20を収納するモータ収納部18が設けられている。モータ収納部18は、DCモータとなる駆動モータ20を収納することができるように構成される。駆動モータ20は、スロットルシャフト14の駆動端側(右側)と一致する側に駆動スピンドル21を突き出させている。この駆動モータ20の駆動スピンドル21の外周部分にはピニオンギヤ22が設けられている。この駆動モータ20は、不図示のエンジンコントロールユニットから出力される駆動信号に基づいて回転駆動が制御されている。なお、この駆動スピンドル21は、上記したスロットルシャフト14に対して平行方向で延在するように配置されている。
【0017】
また、スロットルボデー11のうち、駆動モータ20の駆動スピンドル21に隣接位置には、カウンタシャフト23が設けられている。このカウンタシャフト23は、カウンタギヤ24を回転可能に支持するものであり、上記したスロットルシャフト14および駆動スピンドル21に対して平行方向で延在するように配置されている。カウンタギヤ24は、一体成形により形成された大径ギヤ部241および小径ギヤ部242を備える。大径ギヤ部241は、上記したピニオンギヤ22と噛合するギヤである。小径ギヤ部242は、大径ギヤ部241に比して小さいギヤ径にて形成され、スロットルギヤ26のギヤ部263と噛合するギヤである。このため、駆動モータ20の回転駆動力は、ピニオンギヤ22、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26の順で伝達され、スロットルシャフト14を回転駆動させる。このようにしてスロットルバルブ16は、スロットルシャフト14の回転駆動を受けて開閉して、ボア13内を流れる吸入空気量を調節するようになっている。なお、これら、ピニオンギヤ22、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26の各噛合は、減速ギヤ歯車列を構成する。
【0018】
図1に示すように上記したスロットルボデー11には、上記したピニオンギヤ22、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26等を覆うように、センサカバー30が取付けられている。図2は、センサカバー30の内面側を斜視にて示す斜視図である。図3は、センサカバー30の内面側を正面視にて示す正面図である。図2および図3に示すセンサカバー30は、樹脂の成形品にて形成されている。このセンサカバー30は、図1にも示すように、インサート成形によりカバー本体31に回転角度検出装置32が埋設されている。つまり、センサカバー30は、スロットルボデー11に対してのカバー構造となるカバー本体31を有するとともに、カバー本体31との一体成形(インサート成形)により回転角度検出装置32を含む電装部品を内蔵する。なお、符号311は、スロットルボデー11に対してセンサカバー30を螺子止めする際の螺子孔である。また、符号312は、図示では分かり難いが、後に説明するターミナル部品40の位置決め孔61,65に嵌まり込む突出形状にて形成される位置決め部である。カバー本体31には、後に説明する回転角度検出装置32における、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55と接続可能とするコネクタ接続部300が設けられている。コネクタ接続部300には、4本のセンサコネクタ部45(451,452,453,454)および2本のモータコネクタ部55(551,552)が、不図示の外部コネクタと接続可能に露出されている。また、カバー本体31には、後に説明する回転角度検出装置32における、駆動モータ20と接続可能とするモータ接続部301が設けられている。
【0019】
図4は、このセンサカバー30に埋設される回転角度検出装置32の一部を示す断面図である。回転角度検出装置32は、樹脂のインサート成形によりカバー本体31に一部埋没するように設置されている。この回転角度検出装置32は、上記したスロットルバルブ16の開度を検出するスロットルポジションセンサとして利用される。なお、このスロットルバルブ16の開度は、この回転角度検出装置32によるスロットルシャフト14の回転角度を検出することにより検出している。また図4に示すように、スロットルギヤ26の内筒部261には、この内筒部261に埋設されるように円筒状のヨーク33が設けられている。このヨーク33は、磁性材料にて形成されており、内側に一対の永久磁石34がヨーク33と一体化状態で固定されている。この対をなす永久磁石34は、フェライト磁石にて形成されている。このように配設される永久磁石34は、これら相互間に略平行な磁界が発生するように平行着磁されるものとなっている。
【0020】
次に、上記したカバー本体31に埋設される回転角度検出装置32を詳細に説明する。
図5は、回転角度検出装置32を示す斜視図である。図6は、回転角度検出装置32を示す正面図である。図5および図6に示す回転角度検出装置32は、スロットルバルブ16の開度を検出するものであり、図4に示す2つの磁気検出部材35を具備して構成される。図4にも示すように、この磁気検出部材35は、スロットルシャフト14の磁気を検出する機能を有する。すなわち、回転角度検出装置32は、図5および図6にも示すように、2つの磁気検出部材35と、ターミナル部品40と、第1発泡成形部材71と、第2発泡成形部材75とを備える。なお、この回転角度検出装置32に設けられる磁気検出部材35は、フェイルセーフの観点から2つとなっている。つまり、磁気検出部材35の一方がフェイルダウンしても、他方の磁気検出部材35が機能が保全できるようになっている。また、後に詳述するが、ターミナル部品40は、4本のセンサターミナル41と、2本のモータターミナル51とを備えて構成される。この4本のセンサターミナル41は、磁気検出部材35に接続されて磁気検出部材35からの検出信号を送信するセンサ配線部材に相当する。これに対して、2本のモータターミナル51は、スロットルシャフト14を回転させる駆動モータ20に電力供給するモータ配線部材に相当する。
【0021】
図4に示すように、2つの磁気検出部材35のそれぞれは、磁気抵抗素子を具備するセンサICを備える。つまり、磁気検出部材35は、センシング部36と、信号演算部37と、接続端子部39とを備えて構成される。センシング部36は、磁気抵抗素子を内蔵しており、ブロック形の矩形ピース内部に埋没するようにされている。このセンシング部36は、磁気抵抗素子により周囲の磁気(磁場)の変化を検出する。センシング部36が検出した磁気の変化は、センシング部36から検出信号として信号演算部37に向けて出力される。信号演算部37は、ブロック形の矩形ピース内部に埋没するようにされている。信号演算部37は、半導体集積回路を内蔵しており、センシング部36から入力された磁束の方向に応じた検出信号を処理して回転角度に応じたリニアな回転角度信号(電圧信号)を出力する。なお、この回転角度信号は、接続端子部39に接続されるセンサターミナル41に向けて信号演算部37から出力される。
【0022】
これらセンシング部36と信号演算部37との間の配線部分は、略L字形に折り曲げられた折曲配線部38として形成されている。つまり、センシング部36は、折曲配線部38により信号演算部37の延在方向に対して略直交する方向にて延在するようになっている。なお、センシング部36のブロック形の矩形ピースは、信号演算部37のブロック形の矩形ピースの大きさに比して小さい。信号演算部37は、センシング部36が配置される側とは反対側の位置に接続端子部39が設けられている。接続端子部39は、後に詳述するセンサターミナル41に接続される。また、これら2つの磁気検出部材35は、互いのセンシング部36同士が平行配置されており、さらに互いの信号演算部37同士も平行配置されている。また、これらそれぞれの磁気抵抗素子は、スロットルシャフト14の回転軸線上に配置されており、スロットルシャフト14の回りでスロットルギヤ26が回転したことにより変化した磁場空間内の磁束の方向を検出する。
【0023】
次に、上記した磁気検出部材35からの検出信号を送信する4本のセンサターミナル41と、駆動モータ20に電力供給する2本のモータターミナル51とを含むターミナル部品40について説明する。図5〜図7に示すように、4本のセンサターミナル41は、電源供給用のセンサターミナル411と、第1信号出力用のセンサターミナル412と、第2信号出力用のセンサターミナル413と、接地用のセンサターミナル414とにより構成される。なお、これら4本のセンサターミナル41(411,412,413,414)は、2本のモータターミナル51と一緒に成形される。つまり、2本のモータターミナル51は、例えばプラス接続側となるモータターミナル511と、例えばマイナス接続側となるモータターミナル512とにより構成される。
【0024】
図7は、ターミナル部品40を拡大して示す斜視図である。図8は、図7に示すターミナル部品40の結合前状態を示す正面図である。なお、図7および図8に示すターミナル部品40は、上記した磁気検出部材35が設けられる前の状態の回転角度検出装置32であり、第1発泡成形部材71および第2発泡成形部材75も形成される前の状態である。これら4本のセンサターミナル41および2本のモータターミナル51は、図8に示すように、上記した磁気検出部材35もしくは駆動モータ20と接続可能に構成されるターミナル本体42,52と、不図示の外部コネクタに対して接続可能に構成されるコネクタ部45,55とに区分けされて成形される。すなわち、4本のセンサターミナル41(411,412,413,414)のそれぞれは、磁気検出部材35と接続可能に構成されるセンサターミナル本体42(421,422,423,424)のそれぞれと、不図示の外部コネクタに対して接続可能に構成されるセンサコネクタ部45(451,452,453,454)のそれぞれとに区分けされて成形されている。また、2本のモータターミナル51(511,512)のそれぞれは、駆動モータ20と接続可能に構成されるモータターミナル本体52(521,522)のそれぞれと、不図示の外部コネクタに対して接続可能に構成されるモータコネクタ部55(551,552)のそれぞれとに区分けされて成形されている。
【0025】
ターミナル部品40は、磁気検出部材35、第1発泡成形部材71、第2発泡成形部材75が設けられる前の状態であり、金属板材を打抜き加工および折曲加工をしたものである。すなわち、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52は、0.4mmの板厚に設定された金属板材を、適宜の打抜き加工および折曲加工を施すことにより形成されている。また、この金属板材の材質としては、ばね特性を有した銅材が選択されている。ここで、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52には、例えば上記した位置決め部312等の突出形状が嵌まり込む位置決め孔61が設けられている。また、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52は、隣接配置されるターミナル本体42,52同士の間に連結部位63が設けられている。この連結部位63は、隣接配置されるターミナル本体42,52同士を結合するものである。このため、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52は、この連結部位63により互いがばらけ(散け)てしまうことがなくなる。なお、この隣接配置されるターミナル本体42,52同士を結合する連結部位63は、後に説明するモールド成形(第2発泡成形部材75)をした後に、バスバーカットと称される切断により図6に示すように分断される。このため、第2発泡成形部材75のモールド成形をした後のターミナル本体42,52同士は非結合により電気的に分離することとなる。
【0026】
また、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55は、金属板材として板厚が0.6mmに設定される真鍮が選択されるものであり、適宜の打抜き加工が施されて形成されている。つまり、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55の板厚は、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52の板厚と相違する厚さの板厚に設定されている。ここで、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55には、例えば上記した位置決め部312等の突出形状が嵌まり込む位置決め孔65が設けられている。また、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55は、隣接配置されるコネクタ部45,55同士の間に連結部位67が設けられている。この連結部位67は、隣接配置されるコネクタ部45,55同士を結合するものである。このため、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55は、この連結部位67により互いがばらけ(散け)てしまうことがなくなる。なお、この隣接配置されるコネクタ部45,55同士を結合する連結部位67は、後に説明するモールド成形(第2発泡成形部材75)をした後に、バスバーカットと称される切断により図6に示すように分断される。このため、第2発泡成形部材75のモールド成形をした後のコネクタ部45,55同士は、非結合により電気的に分離することとなる。なお、これらのコネクタ部45,55のうち、センサコネクタ部45(451,452,453,454)にあっては、モータコネクタ部55(551,552)とは相違し、外部コネクタを接続した際の通電性を高めるために金メッキ処理が施されている。
【0027】
図9は、ターミナル本体42(52)とコネクタ部45(55)との結合部48(58)を板厚方向で拡大して視た場合の拡大側面図である。すなわち、ターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とは、図9に示すように電気的に接合する結合部48,58を介して互いに一体結合されている。この結合部48,58は、ターミナル本体42,52とコネクタ部45,55との間で設けられるかしめ構造により形成されている。なお、センサターミナル41の4つと、モータターミナル51の2つとの、合計6つのターミナルの結合部48,58は、互いに連なるように隣接配置されている。
具体的には、センサターミナル41の結合部48は、図9に示すように、センサターミナル本体42に設けられたカシメ孔部43に、センサコネクタ部45に設けられたカシメボス部46を嵌め合わせ、この嵌め合せた状態でカシメボス部46をかしめることにより形成される。ここでセンサコネクタ部45のカシメボス部46は、かしめによりセンサターミナル本体42のカシメ孔部43と密着する挟み込み形状に変形する。このようにして、結合部48は、センサターミナル本体42とセンサコネクタ部45とを通電可能に結合させている。また、モータターミナル51の結合部58も、センサターミナル41の結合部48と同様に形成される。すなわちモータターミナル51の結合部58も、図9に示すように、モータターミナル本体52に設けられたカシメ孔部53に、モータコネクタ部55に設けられたカシメボス部56を嵌め合わせ、この嵌め合せた状態でカシメボス部56をかしめることにより形成される。ここでモータコネクタ部55のカシメボス部56は、かしめによりモータターミナル本体52のカシメ孔部53と密着する挟み込み形状に変形する。このようにして、結合部58は、モータターミナル本体52とモータコネクタ部55とを通電可能に結合させている。
【0028】
上記したように形成されたセンサターミナル41には図4に示すように磁気検出部材35が設置される。次いで、この状態で図5および図6に示すように、第1発泡成形部材71および第2発泡成形部材75が形成される。
すなわち、第1発泡成形部材71は、発泡樹脂(詳しくは化学発泡樹脂)のモールド成形により略円柱状に形成される。この発泡樹脂は、電気的絶縁性を有したモールド成形に用いられる樹脂である。この第1発泡成形部材71は、図4に示すように、上記したセンシング部36および信号演算部37を上記したように配置させた状態で、さらに上記した接続端子部39のそれぞれをセンサターミナル41と接続させた状態で、これらの状態を保持するように成形されている。つまり、第1発泡成形部材71は、電気的に接続された磁気検出部材35を埋め込み、これにより磁気検出部材35に関する配置および接続を固定保持している。このように成形された第1発泡成形部材71は、先端部分がカバー本体31の内側に突き出し、根元部分がカバー本体31の埋没させるように、カバー本体31のインサート成形時にカバー本体31と一体化成形される。
【0029】
上記したターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とを電気的に接合する結合部48,58の外周は、電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により被覆されている。すなわち、第2発泡成形部材75は、6つで連ならせた上記した結合部48,58同士を束ねるように一体的に被覆している。この第2発泡成形部材75は、発泡樹脂(詳しくは化学発泡樹脂)のモールド成形にて略角柱状に形成される。この発泡樹脂は、上記した第1発泡成形部材71を形成する発泡樹脂と同一の発泡樹脂であるため、電気的絶縁性を有したモールド成形に用いられる樹脂となっている。この第2発泡成形部材75は、合計6つの連ならせた状態の結合部45,55同士を一体的に被覆している。このように一体的に被覆される結合部45,55同士は、この第2発泡成形部材75により束ねられたものとなる。つまり、第2発泡成形部材75は、センサターミナル41およびモータターミナル51を一平面上で相互に絶縁しながら一体的に連結する。このため、4本のセンサターミナル41および2本のモータターミナル51は、ばらけ(散け)てしまわないように、第2発泡成形部材75により束ねられた状態が保持される。
また、第1発泡成形部材71および第2発泡成形部材75を形成する発泡樹脂は、上記したセンサカバー30のカバー本体31を形成する樹脂に発泡剤を加えた樹脂となっている。ここで、カバー本体31を形成する樹脂としては、成形容易の観点からポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂が選択される。なお、このカバー本体31を形成する樹脂としては、発泡樹脂が選択されるものであってもよい。
【0030】
上記したように構成されるセンサカバー30は、図1に示すように、ピニオンギヤ26、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26等を覆うようにしながらスロットルボデー11に取り付けられる。この際、回転角度検出装置32の第1発泡成形部材71の先端部は、図4に示すように、スロットルギヤ26の内筒部261内に突き出しつつスロットルギヤ26の永久磁石34およびヨーク33に対して非接触の状態で配置される。また、回転角度検出装置32のモータターミナル51は、モータ接続部301を介して駆動モータ20の各端子(図示省略)と電気的に接続される。
また、コネクタ接続部300から接続可能に露出される上記したセンサコネクタ部45およびモータコネクタ部55には、不図示のエンジンコントロールユニットECUにつながる外部コネクタが接続される。
【0031】
上記した回転角度検出装置32によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記した回転角度検出装置32によれば、磁気検出部材35もしくは駆動モータ20に接続されるターミナル本体42,52と、外部コネクタに対して接続されるコネクタ部45,55とを成形するにあたって、これらターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とを分離して成形することができる。また、これらターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とを成形した後には、電気的に接合する結合部48,58を介して互いに一体結合することができる。これによって、ターミナル本体42,52についてはセンサターミナル本体42(センサ配線部材)とモータターミナル本体52(モータ配線部材)とを同一材料となる、ばね特性を有した銅材料(例えば「リン青銅」等)で成形し、コネクタ部45,55についてはセンサターミナル本体42とモータターミナル本体52とを相違する材料となる真鍮で成形することができる。したがって、配線種類の特性を鑑みてターミナル本体42,52とコネクタ部45,55との材料および成形方法を選択するにあたって、部分処理を有利に行えるようにして、成形時の利便性を高めることができる。例えば、センサコネクタ部45に金メッキ処理を施すにあたって、金メッキ処理が不要なターミナル本体42,52と分離することができて、センサコネクタ部45の金メッキ処理を有利に行うことができる。もって、回転角度検出装置32を構成するにあたっての製造工程数を減らして、回転角度検出装置32の製造コストを安価にすることができる。
【0032】
また、上記した回転角度検出装置32によれば、ターミナル本体42,52の板厚(0.4mm)とコネクタ部45,55の板厚(0.6mm)とが互いに相違する厚さの板厚に設定されている。これによって、ターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とが組み付けられる構成に対応して、ターミナル本体42,52の板厚とコネクタ部45,55の板厚を適宜に選択をすることができ、成形時の利便性を高めることができる。例えば、ターミナル本体42,52をスロットルバルブ装置10を構成する一部材に対して埋め込むようにして組み付けたい場合には、このターミナル本体42,52の板厚をコネクタ部45,55の板厚に比して薄い板厚に設定することができる。これによって、他の構成部材に組み付ける際の設計に有利とすることができる。
また、上記した回転角度検出装置32によれば、ターミナル本体42,52の材質が、ばね特性を有した銅材料が選択されているのに対して、コネクタ部45,55の材質は、これと相違する真鍮が選択されている。これによって、ターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とが組み付けられる構成に対応して、成形時の利便性が高められている。これによって、回転角度検出装置32を製造するにあたって、生産性を向上させることができつつ、製造コストの低減も図ることができる。
【0033】
また、上記した回転角度検出装置32によれば、結合部48,58は、ターミナル本体42,52とコネクタ部45,55との間で設けられるかしめ構造により形成されているので、溶接等の接合作業を必要とせずに結合部48,58を形成することができる。これによって、製造するにあたっての作業の簡単化を図ることができる。
また、上記した回転角度検出装置32によれば、結合部48,58の外周は電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形(第2発泡成形部材75)により被覆されているので、結合部48,58と結合部48,58外部との電気的絶縁を確実なものとすることができる。また、複数連ならせた結合部48,58同士は、電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により束ねられている。これによって、この束ねられた状態でターミナル本体42,52を適宜に切断作業あるいは打抜き作業を行う場合に、このターミナル本体42,52がばらけてしまうのを防ぐことができる。また、この束ねられた状態でターミナル本体42,52を組み付ける場合に、部材として纏まり良いものとすることができて、組付け作業性を高めることができる。
【0034】
なお、本発明に係る回転角度検出装置にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
すなわち、本発明に係る回転角度検出装置にあっては、上記した実施の形態の回転角度検出装置32に限定されることなく、適宜の磁気検出部材が内蔵されれ構成されるものであればよい。すなわち、回転角度検出装置を構成するにあたっての本発明に係る磁気検出部材としては、上記した実施の形態の磁気検出部材35に限定されることなく、磁気の変化を検出するセンシング部の構成を、広く利用される磁電変換ICの構成にて代替するものであってもよい。さらに言えば、ターミナル本体とコネクタ部とを具備するセンサターミナルおよびモータターミナルの数としては、上記した実施の形態のセンサターミナルの4本およびモータターミナルの2本の例示に限定されることなく、適宜の本数を選択することができる。
また、上記した実施の形態の結合部48,58にあっては、ターミナル本体42,52とコネクタ部45,55との間で設けられるかしめ構造により形成されるものであった。しかしながら、本発明に係る結合部は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、例えばレーザ溶接等の適宜接合方法により結合されるものも含まれる。
【符号の説明】
【0035】
10 スロットルバルブ装置
11 スロットルボデー
12 ボア壁部
13 ボア
14 スロットルシャフト
15 軸受部
16 スロットルバルブ
17 螺子部材
18 モータ収納部
20 駆動モータ
21 駆動スピンドル
22 ピニオンギヤ
23 カウンタシャフト
24 カウンタギヤ
241 大径ギヤ部
242 小径ギヤ部
26 スロットルギヤ
261 内筒部
262 外筒部
263 ギヤ部
27 バックスプリング
30 センサカバー
300 コネクタ接続部
301 モータ接続部
31 カバー本体
311 螺子孔
312 位置決め部
32 回転角度検出装置
33 ヨーク
34 永久磁石
35 磁気検出部材
36 センシング部
37 信号演算部
38 折曲配線部
39 接続端子部
40 ターミナル部品
41(411,412,413,414) センサターミナル(センサ配線部材)
42(421,422,423,424) センサターミナル本体
43 カシメ孔部
45(451,452,453,454) センサコネクタ部
46 カシメボス部
48 結合部
51(511,512) モータターミナル(モータ配線部材)
52(521,522) モータターミナル本体
53 カシメ孔部
55(551,552) モータコネクタ部
56 カシメボス部
58 結合部
61,65 位置決め孔
63,67 連結部位
71 第1発泡成形部材
75 第2発泡成形部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルバルブの開度を検出するために該スロットルバルブの回転軸の磁気を検出する磁気検出部材を具備してスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置であって、
前記磁気検出部材に接続されて該磁気検出部材からの検出信号を送信するセンサ配線部材と、前記スロットルバルブの前記回転軸を回転させるモータに電力供給するモータ配線部材とを備え、
前記センサ配線部材および前記モータ配線部材は、前記磁気検出部材もしくは前記モータに接続されるターミナル本体と、外部コネクタに対して接続されるコネクタ部とに、区分けして成形されており、
該ターミナル本体と該コネクタ部とは、電気的に接合する結合部を介して、互いに一体結合されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転角度検出装置において、
前記ターミナル本体の板厚と前記コネクタ部の板厚とは、互いに相違する厚さの板厚に設定されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の回転角度検出装置において、
前記ターミナル本体の材質と前記コネクタ部の材質とは、互いに相違する材質に設定されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の回転角度検出装置において、
前記結合部は、前記ターミナル本体と前記コネクタ部との間で設けられるかしめ構造により形成されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転角度検出装置において、
前記結合部の外周は、電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により、複数連ならせた該結合部同士を束ねるように一体的に被覆されていることを特徴とする回転角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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