説明

団扇

【課題】動画的な面白みが見られ強いインパクトを与え興趣を十分に満足できるようにし、販促やキャンペーンでも宣伝効果が高められる好適な団扇を提供する。
【解決手段】二つ折りした表板紙1aと裏板紙1bから団扇本体2を形成し、表板紙1aに開口5を開設し、裏板紙1bに開口5内に位置し互いに異なる絵・写真類の半分6a,7bずつを連ねて表示し、表・裏板紙1a,1bとの間に往復動する可動板部材12を介装し、可動板部材12にこれが往復動する方向に沿って移動する距離と同じ間隔を同じ方向に有する可動窓13を開設し、可動板部材12が往復動する方向であって可動窓13の一側縁と他側縁の外側に互いに異なる絵・写真類の残りの半分7a,6bずつを表示し、可動板部材12を往復動させることにより開口5を通して交互に変わる絵・写真類が見られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具や販促又はキャンペーンなどに好適に使用される団扇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具としてまたはプレミアムなどに使用される団扇がある。この団扇は、例えば、板紙製であって所定の位置に小さな長孔が設けられた団扇本体と、同じく板紙からなり前記長孔に係止し揺動可能な小片とで構成されている。そして、扇ぐたびに団扇本体が揺動し、これに伴い小片も揺動するようになっている。よって、団扇本体の表面に動物などのキャラクターが印刷され、小片が小さい団扇を持ったその動物の腕とした場合は、そのキャラクターが恰も小さい団扇を持って扇いでいるように見え、それによって使用者の注意を引き面白さを高めるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−252108号公報(第2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の団扇は、団扇本体に設けた長孔に小片を係止して揺動させるに止まり動きが単調であって、表示される絵が瞬時に変化するといった動画的な面白みに乏しく、強いインパクトに欠けるばかりか使用者やその周囲の人が抱く興趣を満足させるに十分でなく、このため宣伝効果にも乏しかった。
【0005】
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、動画的な面白みが見られるようにして強いインパクトを与え興趣を十分に満足できるようにし、これにより販促やキャンペーンでも宣伝効果が高められる好適な団扇を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため本発明に係る団扇は、一枚の板紙を二つ折りして重合される表板紙と裏板紙とから団扇本体を形成し、前記表板紙に開口を開設し、前記裏板紙に前記開口内に位置しかつ分離直線を境にして互いに異なる絵・写真類の半分ずつを連ねて表示し、前記表板紙と裏板紙との間に前記分離直線に対して直交する方向へ自在に往復動する可動板部材を介装し、前記可動板部材に該可動板部材が往復動する方向に沿って移動する距離と同じ寸法の間隔を同方向に有する可動窓を開設し、前記可動板部材が往復動する方向であって前記可動窓の一側縁とこれと対向する他側縁の外側にそれぞれ互いに異なる前記絵・写真類の残りの半分ずつを表示し、前記可動板部材を前記分離直線に対して直交する方向へ往復動させることにより、前記異なる絵・写真類が交互に変わり、交互に変わる前記異なる絵・写真類が前記開口を通して見られるようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、一枚の板紙を二つ折りして重合される表板紙及び裏板紙と、前記裏板紙に連接され前記表・裏板紙の間に介装される中間板紙とから団扇本体を形成し、前記表板紙に開口を開設し、前記中間板紙に前記開口内に位置しかつ分離直線を境にして互いに異なる絵・写真類の半分ずつを連ねて表示し、前記表板紙と中間板紙との間に前記分離直線に対して直交する方向へ自在に往復動する可動板部材を介装し、前記可動板部材に該可動板部材が往復動する方向に沿って移動する距離と同じ寸法の間隔を同じ方向に有する可動窓を開設し、前記可動板部材が往復動する方向であって前記可動窓の一側縁とこれと対向する他側縁の外側にそれぞれ前記互いに異なる絵・写真類の残りの半分ずつを表示し、可動板部材を前記分離直線に対して直交する方向へ往復動させることにより、前記異なる絵・写真類が交互に変わり、交互に変わる前記異なる絵・写真類が前記開口を通して見られるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る団扇は、可動板部材を往復動させることにより表板紙の開口を通して異なる絵・写真類が交互に変わり、動画的な面白みが見られるようになって強いインパクトが与えられ、使用者やその周囲の人が抱く興趣を十分に満足させることができ、これにより販促としてまたはキャンペーンに際しても高い宣伝効果が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る団扇の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。図1乃至図4は第一実施の形態に係る団扇(以下、単に「第一団扇」という。)を示し、図5乃至図8は第二実施の形態に係る団扇(以下、単に「第二団扇」という。)を示す。第一団扇A1は、一枚の板紙を二つ折りして重合される表板紙1aと裏板紙1bとからなる団扇本体2と、該団扇本体2に着脱自在に設けられる把持部材3とから構成される。
【0010】
更に、詳しく説明すると、図3及び図4に示すように表板紙1aも裏板紙1bも同じほぼ円形板状に形成され、その一側で連結部4により連接されている。そして、表板紙1aのほぼ中央に方形状の開口5が開設される。裏板紙1bの内面ほぼ中央に、印刷により描かれた絵・写真類としての異なる二種類の絵6,7(猫の顔の絵6,兎の顔の絵7)であってそれぞれ分離直線8を境にしてそれぞれ半分、猫の顔の絵6にあっては上半分6a、兎の顔の絵7にあっては下半分7bが連ねて表示されている。前記半分ずつの絵6a,7bの両側であり、位置を異ならせて前記分離直線8の延長線に対して直交する一対の切込み9,9が設けられる。また、前記半分ずつの絵6a,7bの下方に把持部材3を設けるための一対の取付孔10,10が開設される。
【0011】
本発明にあって、印刷により表示された絵・写真類とは、猫や人等の動物、自動車や家等の物、町や自然の風景、デザインであって印刷により表示された絵または写真をいう。よって、本実施の形態にあっては、猫と兎の顔の絵6,7を印刷したが、これ以外に例えば人の顔の絵、車の写真、自然の風景の写真などの絵・写真類をそれぞれ印刷するようにしても良い。
【0012】
12は、表板紙1aと裏板紙1bとの間に介装され、手の操作で分離直線に対して直交する方向へ自在に往復動する可動板部材である。該可動板部材12は、前記開口5の大きさよりも一回り大きい略正方形状をしており、そのほぼ中央に該可動板部材12が往復動する方向にその距離と同じ寸法の間隔を同じ方向に有する可動窓13が開設される。すなわち、該可動窓13は、開口5のほぼ2分の1の大きさである。可動板部材12に該可動板部材12が往復動する方向であってその可動窓13の一側縁とこれと対向する他側縁のそれぞれ外側に、前記互いに異なる兎の顔の絵7の残りの上半分7aと猫の顔の絵6の残りの下半分6bが表示されている。
【0013】
可動板部材12の往復動する方向と平行な外周縁の対角線上に位置する角部に外方へ突出し、裏板紙1bの両切込み9,9に差し込まれる案内片14,14が設けられている。また、可動板部材12の往復動する方向の一側縁であって把持部材3が取り付く側に、指を当てて可動板部材12を摺動させるための操作片15が設けられている。11は裏板紙1bの一側に連接される糊付け片である。
【0014】
把持部材3は、合成樹脂製であって先端部に扁平部3aが形成されると共に基端部に把持部3bが形成される。扁平部3aは、表側と裏側にその先端縁からそれぞれ3本の表係止片16とそれらの間に位置する2本の裏係止片17が突設されている。これら表・裏係止片16,17は裏板紙1bの厚みとほぼ同じ間隔Sを離して設けられており、その間隔Sに裏板紙1bが嵌め込まれることになる。裏係止片17の先端部内面には、裏板紙1bの両取付孔10,10に嵌合する取付突起18,18が設けられる。把持部材3は表・裏面の適宜位置に複数のリブ19を設けることにより、必要な強度が得られるようにしている。
【0015】
第一団扇A1は上記構成からなり、まず、把持部材3の扁平部3aの間隔Sに裏板紙1bを差し込み、両取付突起18,18を両取付孔10,10に嵌合する。次に、裏板紙1bの内面に猫と兎の顔の絵の上半分6bと下半分7aが印刷された面を外側にして可動板部材12を重ね、両側の案内片14,14を切込み9,9に差し込む。この状態で、裏板紙1bに表板紙1aを重ね、内側へ折り曲げた糊付け片11など互いの必要個所を接着すると共に可動板部材12の操作片15を表板紙1aの両取付孔10,10近くに設けられた引出切込み20に差し込んで、表板紙1aの外側へ出す。このとき、操作片15の先端部が把持部材3の扁平部3aまで達し、把持部材3を握った指で接触させて操作できるようになっている。
【0016】
このようにして組み立てられた本発明に係る第一団扇A1は、把持部材3を持って通常のように扇ぐことができる。また、図1のように可動板部材12が把持部材3とは反対側の端へ移動したときは、該可動板部材12の可動窓13が開口5の中で把持部材3とは反対側へ移動して、猫の顔の絵の上半部6aと下半部6bとが繋がって全体に猫の顔の絵6になる。一方、操作片15を引き出すと、図2に示すように可動板部材12の可動窓13が開口5の中で把持部材3側へ移動して、兎の顔の絵の上半部7aと下半部7bとが繋がって全体に兎の顔の絵7になる。
【0017】
以上のように、第一団扇A1にあっては操作片15を操作し可動板部材12を往復動させることにより、表板紙1aの開口5を通して絵が猫の顔の絵6から兎の顔の絵7またはその逆に瞬時に変化する。このように、瞬時に変わる動画的な面白みが見られ、強いインパクトが与えられ使用者やその周囲の人が抱く興趣を十分に満足できることになる。これにより、販促としてまたはキャンペーンに際しても高い宣伝効果が得られる。
【0018】
第二団扇A2は、第一団扇A1とほぼ同じ構成からなるので、同一部位は同一番号を附することにより詳しい説明は省略する。図7及び図8に示すように、この第二団扇A2の団扇本体2は、第一団扇A1と同様に一枚の板紙を二つ折りして重合される表板紙1aと裏板紙1bとを有する。また、該団扇本体2には、把持部材3が着脱自在に設けられる。そして、この場合、裏板紙1bに表板紙1aとは別の箇所で連結部22を介して中間板紙23が連接され、該中間板紙23の外面に分離直線8を境として猫の顔の絵の上半分6aと兎の顔の絵の下半部7bとが連なった絵が表示される。また、その絵の両側に可動板部材12の往復動する方向と平行をなすようにして切込み9,9が設けられている。
【0019】
そこで、まず、把持部材3の扁平部3aの間隔Sに裏板紙1bを差し込み、両取付突起18,18を両取付孔10,10に嵌合する。次に、裏板紙1bの内面に連結部22で折り曲げて中間板紙23を重ねると共にその外面に可動板部材12を重ね、両側の案内片14,14を切込み9,9に差し込む。この状態で、裏板紙1bに表板紙1aを重ね、互いの必要個所を接着すると共に可動板部材12の操作片15を表板紙1aの両取付孔10,10近くに設けられた引出切込み20に差し込んで、表板紙1aの外側へ出す。この場合も、操作片15の先端部が把持部材3の扁平部3b付近まで達し、把持部材3を握った指で接触させ操作できるようになっている。
【0020】
本発明に係る第二団扇A2は、把持部材3を持って通常のように扇ぐことができ、また、第一団扇A1と同様に図5及び図6に示すように可動板部材12が把持部材3とは反対側の端へ移動したときは、該可動板部材12の可動窓13が開口5の中で把持部材3とは反対側へ移動して、猫の顔の絵の上半部6aと下半部6bとが繋がって全体に猫の顔の絵6になる。一方、操作片15を引き出すと、可動板部材12の可動窓13が開口5の中で把持部材3側へ移動して、兎の顔の絵の上半部7aと下半部7bとが繋がって全体に兎の顔の絵7になる。
【0021】
この場合も、操作片15を操作し可動板部材12を往復動させることにより、表板紙1aの開口5を通して絵が猫の顔の絵6から兎の顔の絵7またはその逆に瞬時に変化する。このように、瞬時に変わる動画的な面白みが見られ、強いインパクトが与えられ使用者やその周囲の人が抱く興趣を十分に満足できることになる。これにより、販促としてまたはキャンペーンに際しても高い宣伝効果が得られる。特に、第二団扇A2にあっては、中間板紙23の切込み9,9に案内片14,14を差し込んで可動板部材12を往復動させるようにしたので、第一団扇A1のように可動板部材12の両案内片14,14が裏板紙1bの外側に露出しないことから、それらが邪魔にならず、しかも、それらに手などを引っ掛けて案内片14や切込みを破損させる心配がない。
【0022】
また、第一・第二団扇A1,A2にあっては、団扇本体2を構成する表・裏板紙1a,1bまたは表・裏板紙1a,1bと中間板紙23が、いずれも一枚板紙から成形され、しかも、これらを折り曲げるのみで形成されるので、印刷すなわち片面に一回印刷するのみで済み、成形が容易になり製作の作業能率も向上する。
【0023】
なお、把持部材3が団扇本体2に対して着脱自在に設けられているので、例えば第一・第二団扇A1,A2を廃棄処分する場合、団扇本体1a,1bが板紙製であるのに対し把持部材3が合成樹脂製であるとしても、これらは容易に分離でき、分別処理がし易い。また、表・裏板紙の外形形状は、本実施の形態のように丸形状に限らず、例えば正方形などの正多角形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】操作片を操作しない状態の第一団扇の斜視図。
【図2】操作片を操作した状態の第一団扇の斜視図。
【図3】表板紙を開いた状態の第一団扇の斜視図。
【図4】第一団扇の分解斜視図。
【図5】操作片を操作しない状態の第二団扇の斜視図。
【図6】操作片を操作した状態の第二団扇の斜視図。
【図7】表板紙を開いた状態の第二団扇の斜視図。
【図8】第二団扇の分解斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1a 表板紙
1b 裏板紙
2 団扇本体
5 開口
6 猫の顔の絵
6a 猫の顔の絵の上半分
6b 猫の顔の絵の下半分
7 兎の顔の絵
7a 兎の顔の絵の上半分
7b 兎の顔の絵の下半分
8 分離直線
12 可動板部材
13 可動窓
23 中間板紙
A1 第一団扇
A2 第二団扇

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の板紙を二つ折りして重合される表板紙と裏板紙とから団扇本体を形成し、前記表板紙に開口を開設し、前記裏板紙に前記開口内に位置しかつ分離直線を境にして互いに異なる絵・写真類の半分ずつを連ねて表示し、前記表板紙と裏板紙との間に前記分離直線に対して直交する方向へ自在に往復動する可動板部材を介装し、前記可動板部材に該可動板部材が往復動する方向に沿って移動する距離と同じ寸法の間隔を同方向に有する可動窓を開設し、前記可動板部材が往復動する方向であって前記可動窓の一側縁とこれと対向する他側縁の外側にそれぞれ互いに異なる前記絵・写真類の残りの半分ずつを表示し、
前記可動板部材を前記分離直線に対して直交する方向へ往復動させることにより、前記異なる絵・写真類が交互に変わり、交互に変わる前記異なる絵・写真類が前記開口を通して見られるようにしたことを特徴とする団扇。
【請求項2】
一枚の板紙を二つ折りして重合される表板紙及び裏板紙と、前記裏板紙に連接され前記表・裏板紙の間に介装される中間板紙とから団扇本体を形成し、前記表板紙に開口を開設し、前記中間板紙に前記開口内に位置しかつ分離直線を境にして互いに異なる絵・写真類の半分ずつを連ねて表示し、前記表板紙と中間板紙との間に前記分離直線に対して直交する方向へ自在に往復動する可動板部材を介装し、前記可動板部材に該可動板部材が往復動する方向に沿って移動する距離と同じ寸法の間隔を同じ方向に有する可動窓を開設し、前記可動板部材が往復動する方向であって前記可動窓の一側縁とこれと対向する他側縁の外側にそれぞれ前記互いに異なる絵・写真類の残りの半分ずつを表示し、
可動板部材を前記分離直線に対して直交する方向へ往復動させることにより、前記異なる絵・写真類が交互に変わり、交互に変わる前記異なる絵・写真類が前記開口を通して見られるようにしたことを特徴とする団扇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−237667(P2008−237667A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84087(P2007−84087)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(594097594)藤徳紙器株式会社 (14)
【Fターム(参考)】