説明

囲い用横桟と囲い構造

【課題】窓から採光することができ、取り扱いが容易な囲い用横桟を提供する。
【解決手段】窓2の外側に上下多段で着脱可能に設けられる囲い用横桟3において、中空状の横桟本体11の内部に上下を仕切る仕切り部15を有し、横桟本体11が透光性を有する合成樹脂からなるから、横桟3を通して窓2から外光を室内に取り込むことができ、また、横桟本体11を中空状とすることにより、軽量なものとなり、取り扱いが容易となり、しかも、横桟本体11が中空状で内部に仕切り部15を有するから、軽量化を図りながら強度を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪や風等から防護するために窓の外側に設ける囲い用横桟と囲い構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、家屋の窓部を雪などの衝撃から保護するために設ける窓の雪囲い用部材があり、この雪囲い用部材は、窓部の両側に金属製の平板保持部材を取り付け、この窓部の両側に設けた平板保持部材に窓部を覆うように長方形の平板を複数横設する(例えば特許文献1)ものである。
【特許文献1】特開平10−220131号公報(段落0002段)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、窓部に平板を取り付けると、平板の間からしか外光を取り入れることができず、山間部などの窓部の高さまで積雪のある地域では、上下の平板の隙間を広げることができないため、平板が採光の妨げになる問題がある。また、窓部の高さまで積雪のあると、平板は、その雪圧に耐える強度が必要となり、一般的に厚い木材などが用いられるため、平板自身が重く、窓への取付作業に労力を要する問題もある。また、強風などから窓を防護する場合も、上下の平板の隙間を広げることができないため、同様な問題が発生する。
【0004】
そこで、本発明は、窓から採光することができ、取り扱いが容易な囲い用横桟と囲い構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、窓の外側に上下多段で着脱可能に設けられる囲い用横桟において、中空状の横桟本体の内部に上下を仕切る仕切り部を有し、前記横桟本体が透光性を有する合成樹脂からなるものである。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記横桟本体が合成樹脂の押出成型により製造されたものである。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の横桟と、前記窓に設けられ前記横桟を着脱可能に取り付ける取付部材とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の構成によれば、横桟本体が透光性を有する合成樹脂からなるから、横桟を通して窓から外光を室内に取り込むことができ、また、横桟本体を中空状とすることにより、軽量なものとなり、取り扱いが容易となり、しかも、横桟本体が中空状で内部に仕切り部を有するから、軽量化を図りながら強度を確保することができる。
【0009】
また、請求項2の構成によれば、押出成型とすることにより、強度的に優れた横桟が得られる。
【0010】
また、請求項3の構成によれば、取付部材により横桟を窓に着脱可能に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる囲い用横桟と囲い構造を採用することにより、従来にない囲い用横桟と囲い構造が得られ、その囲い用横桟と囲い構造を夫々記述する。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施例について図1〜図4を参照して説明する。囲い構造1は、窓2に上下多段に設ける囲い用横桟3,3…と、前記窓2に設けられ前記横桟3を着脱可能に取り付ける取付部材4とを備える。
【0013】
前記横桟3は、左右方向に長い略板状の横桟本体11と、この横桟本体11の端部に設けるキャップ12とからなる。前記横桟本体11は、断面が上下方向に長い長方形形状で中空状をなし、縦板部13,13とこれより短い横板部14,14とを有し、取付状態において、縦板部13,13が前後、横板部14,14が上下となる。また、横桟本体11の内部は、強度を出すため板状の仕切り部15,15により上下に仕切られ、この例では、横板部14,14の間に2つの仕切り部15,15が等間隔に配置され、これら仕切り部15,15により前記横桟本体11内は3つの分割空間16,16,16に仕切られ、それら仕切り部15,15の両側は前記縦板部13,13に連結されている。また、前記縦板部13と横板部14の角部はR状に形成されている。
【0014】
そして、横桟本体11は透光性を有する合成樹脂から形成され、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質のポリ塩化ビニル等、またはこれら等の複合体からなる適宜材質の合成樹脂が用いられ、合成樹脂を加熱シリンダ内で軟化溶融させ、スクリュで押出して断面の形状が一定の製品を連続的に成形する押出成型により製造される。したがって、押出成型機により製造されたものを、その長さ方向に所定寸法で切断して前記横桟本体11が得られる。尚、透光性とは、透明のみを示すものではなく、光りを一部透過すればよい。
【0015】
前記キャップ12は、着色された軟質合成樹脂などからなり、前記横桟本体11の端部を塞ぐ蓋板部21と、この蓋板部21の内面に設けられ前記横桟本体11の前記分割空間16,16,16に挿入される挿入筒部22,22,22とを一体に備える。この挿入筒部22は断面方形をなし、各壁部の内面には断面略半円形のリブ部23が複数設けられ、それらリブ部23により良好な嵌入状態が得られる。
【0016】
そして、前記横桟本体11の両端部を前記キャップ12,12により塞ぐことにより、前記分割空間16,16,16の両端部が塞がれて、分割空間16,16,16は空気断熱層となり、窓2から外部への熱の移動を防止することができる。
【0017】
前記取付部材4は、前記窓2の窓枠2Aなどに取り付ける縦杆31と、この縦杆31に上下多段に設ける上部が開口したフック状の掛け部32とからなり、前記縦杆31がビスなどにより窓枠2Aに固定され、該窓枠2Aの両側に設けられる。
【0018】
試験例1
前記横桟本体11をポリカーボネイト樹脂から成型し、縦板部13の幅が130mm、横板部14の幅が27mm、縦板部13,横板部14及び仕切り部15の厚さが約2mmの試験品を用いて強度試験を行った。縦板部13を下にして、スパン距離400mmの軸に試験品を置き、130mm×380mm×厚さ30mmの木製板を介して略中央に圧縮荷重を加えたときの最大荷重と変位を測定した。尚、荷重を加える点の降下速度は、1mm/minとした。この結果を図4に示す。同図に示すように、試験品は、最大点試験力(荷重)が6.2775kN、最大点変位が14.262mmとなり、しかも、変形したが破損には至らず、高い機械的強度を備えることが分かる。
【0019】
試験例2
前記横桟本体11をアクリル樹脂から成型し、縦板部13の幅が130mm、横板部14の幅が27mm、縦板部13,横板部14及び仕切り部15の厚さが約2mmの試験品を用いて強度試験を行った。縦板部13を下にして、スパン距離400mmの軸に試験品を置き、130mm×380mm×厚さ30mmの木製板を介して略中央に圧縮荷重を加えたときの最大荷重と変位を測定した。尚、荷重を加える点の降下速度は、1mm/minとした。この結果を図5に示す。同図に示すように、試験品は、最大点試験力(荷重)が5.76906kN、最大点変位が7.823mmとなり、高い機械的強度を備えることが分かる。
【0020】
上記の各試験例のように、横桟本体11の構造により高い機械的強度が得られ、また、材料としてポリカーボネイト樹脂を用いれば、一層、高い機械的強度が得られることでき、例えば、強風などにより吹き飛ばされたものが、横桟本体11に衝突しても、窓2を防護できる。
【0021】
次に、前記囲い構造1の使用方法につき説明すると、冬季などの降雪時や風が強い時期などに、仮設の雪囲いや風雨などから窓を防護する囲いとして使用する場合は、横桟3の両側を掛け部32,32に挿入係止して、窓2の前に横桟3を多段に設ける。この場合、横桟3は中空状であり、軽量化が図られているから、その取付け及び取外しの作業を簡便に行うことができる。
【0022】
そして、このようにして取り付けた横桟3にあっては、従来は隙間からのみしか外光を取り入れることができなかったのに対して、横桟3の横桟本体11を通して、外光を窓2から室内に取り込むことができる。
【0023】
また、横桟3は軽量ではあるが、中空状をなす横桟本体11の内部を仕切り部15により仕切った構造により、荷重に対して強度的に優れた構造となる。さらに、押出成型した横桟本体11は、長さ方向端部は切断端となるが、幅方向端部は連続形成されたものであり、縦板部13と横板部14の角部がR状に形成されているから、荷重に対して応力が集中し難く、耐荷重性に優れたものとなる。
【0024】
このように本実施例では、請求項1に対応して、窓2の外側に上下多段で着脱可能に設けられる囲い用横桟3において、中空状の横桟本体11の内部に上下を仕切る仕切り部15を有し、横桟本体11が透光性を有する合成樹脂からなるから、横桟3を通して窓2から外光を室内に取り込むことができ、また、横桟本体11を中空状とすることにより、軽量なものとなり、取り扱いが容易となり、しかも、横桟本体11が中空状で内部に仕切り部15を有するから、軽量化を図りながら強度を確保することができる。
【0025】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、前記横桟本体11が合成樹脂の押出成型により製造されたから、強度的に優れた横桟3が得られる。
【0026】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、請求項1又は2記載の横桟3と、窓2に設けられ横桟3を着脱可能に取り付ける取付部材4とを備えるから、取付部材4により横桟3を窓2に着脱可能に取り付けることができる。
【0027】
また、実施例上の効果として、横桟本体11をポリカーボネイト製とすることにより、一層優れた強度と耐久性を得ることができる。また、横桟本体11は中空状をなし、キャップ12などで両側を塞ぐことにより、内部が空気断熱層となるから、窓2から外部に熱が逃げ難くなり、高い断熱効果が得られる。さらに、上下の横桟3,3を隙間なく重ね合わせて窓2の外側を塞ぐように配置すれば、横桟3,3と窓2との間に空気断熱層を形成することができるから、一層、断熱効果を高めることができる。
【実施例2】
【0028】
図6は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の横桟3は、横桟本体11の内部に3つの仕切り部15が設けられている。尚、図示しないが、キャップ12は、横桟本体11に対応して、4つの挿入筒部22を有する。
【0029】
このように本実施例では、各請求項に対応して、上記実施例1と同様な作用・効果を奏し、また、このように仕切り部15の数は3つ以上でもよく、横桟本体11は仕切り部15を1つ以上備えていればよい。
【実施例3】
【0030】
図7は、本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の取付部材4は、掛け部32Aがコ字枠状をなし、その掛け部32Aの両端を前記縦杆31に固定しており、前記掛け部32Aに、長さ方向端部から横桟3を挿入し、両側の掛け部32A,32Aに横桟3を着脱自在に取り付ける。
【0031】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、請求項1においては、横杆本体は押出成型以外でも、射出成型などにより成型してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1を示す囲い構造の斜視図である。
【図2】同上、横桟本体の断面図である。
【図3】同上、キャップの斜視図である。
【図4】同上、試験例1を示す荷重と変位のグラフ図である。
【図5】同上、試験例2を示す荷重と変位のグラフ図である。
【図6】本発明の実施例3を示す横桟本体の断面図である。
【図7】本発明の実施例4を示す取付部材の要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 囲い構造
2 窓
3 横桟
4 取付部材
11 横桟本体
15 仕切り部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の外側に上下多段で着脱可能に設けられる囲い用横桟において、中空状の横桟本体の内部に上下を仕切る仕切り部を有し、前記横桟本体が透光性を有する合成樹脂からなることを特徴とする囲い用横桟。
【請求項2】
前記横桟本体が合成樹脂の押出成型により製造されたことを特徴とする請求項1記載の囲い用横桟。
【請求項3】
請求項1又は2記載の横桟と、前記窓に設けられ前記横桟を着脱可能に取り付ける取付部材とを備えることを特徴とする囲い構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−177426(P2007−177426A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374776(P2005−374776)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(503062655)株式会社西潟 (1)
【Fターム(参考)】