固体インクプリンタ用インク送給系及び送給方法
【課題】バネ付勢プッシュブロック機構を不要にし、シュート延長方向からでも固体インクスティックを装填できるようにする。
【解決手段】液化器208にて固体インクスティック206を液化して得られるインク210により媒体212上に像215を形成するプリンタ202にて、液化器208へのスティック送給用のインク送給系204として、複数個のスティック206を収容可能な通路を形成しそれを用いてスティック206を所定経路218沿いに案内するガイドを有するものを設ける。ガイドたるシュート216並びにその入口たる装填部220及び出口たる送出部222はスティック206を円滑に挿通乃至移送可能に形成する。装填部220から入れたスティック206が重力のみでシュート216内を通過し送出部222に達するよう、装填部220を送出部222より高い位置に配置する。
【解決手段】液化器208にて固体インクスティック206を液化して得られるインク210により媒体212上に像215を形成するプリンタ202にて、液化器208へのスティック送給用のインク送給系204として、複数個のスティック206を収容可能な通路を形成しそれを用いてスティック206を所定経路218沿いに案内するガイドを有するものを設ける。ガイドたるシュート216並びにその入口たる装填部220及び出口たる送出部222はスティック206を円滑に挿通乃至移送可能に形成する。装填部220から入れたスティック206が重力のみでシュート216内を通過し送出部222に達するよう、装填部220を送出部222より高い位置に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体インクスティック乃至ペレットを加熱して得られる液化インクを1個又は複数個のプリントヘッドに供給する高速プリンタ、特にその種のプリンタにて使用されるインク送給系の構成上及び機能上の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
固体インクプリンタとして知られるプリンタは、狭義のプリンタとしてだけでなく多機能機等としても実現することができ、しかもレーザ方式や液体インクジェット方式の高速乃至大出力文書複製装置に比べて数多くの利点がある画像形成装置である。そうした利点の中には、例えば、単位時間当たり文書複製枚数即ち文書作成スループットが高いこと、可視像転写プロセスの実行に必要な機械部品の点数が少ないこと、交換が必要な消耗品が少ないこと、シャープな像が得られること、包装ゴミが少なく環境に優しいこと等が含まれる。
【0003】
図1に、固体インクを使用する画像形成装置の一例として固体インクプリンタの一般的な構成100を模式的に示す。この図に示すプリンタ100には、室温下で固体状態を保つ固体インクスティックを受け入れそれを順繰りに先送りする固体インク送給系即ちインクローダ110が設けられているので、ユーザは、スティックを随時そのインクローダ110に入れるだけでインクを補充することができる。また、複数の色を使用する場合はインクローダ110も色別に設ける。即ち、白黒プリンタならブラックインクだけでよいが、カラープリンタなら例えばブラック、シアン、イエロー及びマゼンタ各色のインクが要るのが普通であるので、各色毎にインクローダ110を設け、各色用インクローダ110にその色のスティックを装填してその内部のスティック送給路沿いに送給するようにする。
【0004】
このプリンタ100には、固体インクスティックを液化させるインク液化器の一例として、スティックを加熱しその融点に比べて十分に高い温度まで昇温させるインクヒータ120が設けられている。このヒータ120内にはスティック先端と接触するよう設けられたメルトプレートがあるので、ヒータ稼働時には、そのメルトプレートの表面を昇温させることによって、スティックのうちメルトプレートとの接触部分を熔融、液化させることができる。液化させたインクはプリントヘッド130に供給する。供給先となるヘッド130の個数は1個でも複数個でもよく、また供給の手段としては重力を利用してもよいしポンピングを実施してもよいしその双方を併用してもよい。各ヘッド130は、供給される液化インクからインク滴を生成しそれを回転式プリントドラム140上に被着させることによって、個々の画素を現像する。この動作は、ドラム140上に所望画像が再現されるよう、プリンタコントローラ180が生成する制御信号190に応じて行う。そして、シートフィーダ160から供給される紙その他の媒体170を加圧ローラ150の働きでドラム140に押しつけることにより、ドラム140上のインク画像をその媒体170上に転写させる。なお、この画像転写プロセスを実行する際には、画像転写直後にインクが完全に固化するよう、インク温度を綿密に制御するのが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした固体インクプリンタによれば、他種画像複製装置を使用したのでは享受できない利点を享受することができる。しかしながら、従来の固体インク印刷技術には、高速大量印刷時に若干問題となりうる点が残されていた。それは、装填容量が大きなインクローダを設け、またその余地が発生したとき随時固体インクスティックを装填、補充できるようそのインクローダを構成しておかないと、大量印刷が行えないことである。
【0006】
そのため、従来における固体インクプリンタ用のインクローダは、通常、複数個の固体インクスティックを数珠繋ぎに装填できるように設けられたチャネル乃至シュートを備え、それらのスティックのうち先頭に位置するものから順にその液化器により液化させる構成を採っていた。この構成では、シュート内のスティックのうち末尾に位置するものの後端をバネ付のプッシュブロック等によって先頭方向に付勢し、先頭に位置するスティックの先端を液化器に当接させる。従って、シュート内にスティックを補充する際には、オペレータが自分の手でスティックとプッシュブロックの間に隙間を作り、十分な隙間ができたらその隙間に新たなスティックを装填する、という作業が必要になるが、これは若干面倒なことである。例えば、新たに導入した大容量高速プリンタを使用し始める際には、多数のスティックをそのプリンタに装填しなければならない。その際には、オペレータは、スティックを1個装填しては新たな隙間を作りそこに次のスティックを装填する、という具合に、装填個数分だけ装填作業を繰り返す必要がある。シュートが複数本ある場合はこれをシュートの本数分だけ繰り返す必要がある。
【0007】
従来技術には、更に、バネ付勢プッシュブロック機構を設けている分、各シュート内に装填できる固体インクスティックの個数が制約される、という問題もある。しかも、シュートを長くして多数のスティックを装填できるようにするには、その機構で使用するバネを長くて強力なバネにする必要があり、そうするとその機構はほとんど採用困難な程に肥大化及び高価格化してしまう。また、多数のスティックを装填できるにしても、強力なバネに逆らってアクセスカバーを開閉するのは面倒なことであり、スティック装填作業を担うオペレータにとってはかなりの負担になる。
【0008】
また、バネを用いた付勢は常に行っていなくてはならず、従ってバネ付勢プッシュブロックはシュート内に常駐しているので、常駐していなければ装填できるはずの固体インクスティックを装填することができず、その分装填可能個数が少なくなっている。
【0009】
更に、バネにより付勢されたプッシュブロックによって固体インクスティックを背後から押し出す仕組みでは、押すことによってそのスティックの向きが望ましくない向きに変わることがある。特に、その丈が長いスティック等、大きめのスティックをその背後から押すと、スティックの姿勢がねじれてジャミングが発生しやすい。送給路との摩擦が大きい場合にはとりわけジャミングが発生しやすいので、摩擦を少なくするために潤滑テープその他の低摩擦面体を使用することもあるが、そうしたものを使用するとその分は製品コストが高まってしまう。
【0010】
そして、ガイドを構成するシュートの一端にバネ付勢プッシュブロック機構を設けると、その機構が邪魔になるためシュートへのスティック装填方向が限定されてしまう。即ち、シュートと交差する方向から固体インクスティックを装填する構成(二軸鍵構成)は割合容易に実現できるが、シュート延長方向から装填する構成(一軸鍵構成)は、バネ付勢プッシュブロック機構が邪魔になるので実現が難しい。
【0011】
本発明は、従来技術又はそれに類する技術に係るインク及びインクローダにおける上述の問題点乃至制約点に鑑み、固体インクプリンタにてより好適に使用できる固体インク送給系を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに、本発明の一実施形態は、(1)液化器にて得られたインクにより媒体上に像が形成されることとなるよう、プリンタにて使用する固体インクスティックを液化器に送るインク送給系であって、(2)複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドを備え、(3)更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたものである。
【0013】
また、本発明の他の実施形態は、(1)固体インクスティックを液化して得られたインクにより媒体上に像を形成するプリンタであって、(2)複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドと、上記ガイドと共にインク送給系を形成しており上記通路の出口を介して供給される固体インクスティックを液化させる液化器と、を備え、(3)更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたものである。
【0014】
そして、本発明の更に他の実施形態は、(1)所定方向に延びる長軸及び所定の外面形状を有する固体インクスティックを少なくとも1個準備するステップと、(2)複数個の固体インクスティックを同時に案内できるガイドを準備するステップと、(3)ガイド内に固体インクスティックを入れるステップと、(4)もしあればガイド内に更に固体インクスティックを入れるステップと、(5)ガイドに入れた固体インクスティックをスティック間干渉以外に妨げなくガイドを介し重力のみで液化部に送るステップと、を有し、(6)プリンタ内で実行される固体インクスティック送給方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装填部等にて装填される固体インクスティックを専ら重力によって液化器に送り、そこで得られた液化インクを例えば1個又は複数個のプリントヘッドに送給することができる。また、本発明はこれ以外にも様々な特徴事項がある。それらはそれ単独で或いは様々に組み合わせて使用することができる。それによって、コスト低減、インク装填容量増大、送給系信頼度向上等を実現してより優れたプリンタを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態に関し別紙図面を参照して説明する。本件技術分野において熟練を積んだ方々(いわゆる当業者)であれば、以下の説明から、上述のものもそれ以外のものも含め、本発明に係るプリンタ及びそのインク送給系の特徴をより好適に理解することができよう。
【0017】
また、本願における「プリンタ」とは、複製装置一般のことである。従って、狭義のプリンタの他、ファクシミリ機、複写機、いわゆる多機能機等もこれに包含される。更に、「印刷ジョブ」とは、複製対象となる1個又は複数個の事物の電子的表現物を含む情報等のことである。そして、インクの「案内」「移送」「送給」「供給」とは、装填部から液化部まで或いは更にプリントヘッドまでインクを届けることを指している。インクの「案内」「移送」「送給」「供給」経路上には、本発明に係るプリンタの実施にとり肝要でないものも含め、種々の連結手段、管路、マニホルド、ヒータ等を付加することができる。
【0018】
更に、固体インクプリンタの全体構成は前述した通りである。以下の説明は、改良型の固体インクスティック、そのスティックを送給できる改良型のインク送給系、並びにその送給系が実装された新たな固体インクプリンタに関するものである。
【0019】
図2に、本発明の一実施形態に係る固体インクプリンタ202の構成を示す。このプリンタ202は固体インクスティック206用のインク送給系204を備えており、この送給系204によって液化部に送られたスティック206は、そこに設けられている液化器208によって液化されて液化インク210となり、プリントドラム214を介して媒体212例えば紙片上に被着し像215を形成する。また、送給系204は、所定経路218に沿ってスティック206を案内するガイドを有している。図示例におけるガイドはシュート216という形態を採って実現されており、その内部に形成される通路に複数個のスティック206を装填できるように構成されている。また、このシュート216にはスティック206を装填する際の入口になる装填部220が設けられており、シュート216は更にこの装填部220から所定経路218沿いに液化器方向へとスティック206を案内するよう構成されている。
【0020】
シュート216には更に送出部222も形成されている。送出部222が液化器208に面するように配置されており、装填部220が送出部222よりも上方に位置しているので、装填部220に差し込まれた固体インクスティック206は、重力の作用だけで、シュート216内を滑落して送出部222に到達するに至る。
【0021】
なお、例えばプリンタ頂部作業面224付近に位置する装填部220から液化器方向に重力の作用で固体インクスティック206を滑落させることができる限り、シュート216は様々な形状にすることができる。例えば直線状でもよいし弧状でもよい。湾曲形状にする場合、ある1本の軸を中心とする円弧に沿って延びる単純弧として構成してもよいし、その中心軸が異なる複数本の円弧をつないだ線に沿って延びる複合弧として構成してもよいが、その端から端までスティック206を滞りなく送給できるスティック送給路が形成されるようにする必要がある。複合弧とする場合、その全長に占める個々の円弧の割合を任意に定めることができ、従ってその全体形状を柔軟に設計できる。但し、これら単純弧や複合弧は湾曲形状の一例に過ぎず、これに類する他の非直線的形状を使用することもできるので、本願では使用できる種々の形状全てを「湾曲」という表現で代表させている。例えば図2に示すシュート216は、原点226を中心とする曲率半径Rの弧に沿って端から端まで滑らかに延びている。シュート216に対する原点226の位置関係は任意に設定でき、また例えば曲率半径Rをシュート216の全長に亘り一定に保つようにしてもよいが、図示例の場合、シュート216の長軸方向に沿って曲率半径Rを徐々に変化させている。変化のさせ方を工夫することで、図示の通り、シュート216のうち液化器208近傍の部分をほぼ鉛直且つ直線状にすることができる。
【0022】
本願記載の他の実施形態でも同様であるが、本実施形態では、シュート壁がスティック306の外面にぴったりと寄り添うようにシュート308が形成されている。しかしながら、スティック206の全周面がどこかのシュート断面でシュート壁によってぐるりと囲まれるようにする必要はなく、またシュート216の全長に亘りシュート壁が続くようにする必要もない。例えば、シュート壁のうち一面又は数面を全面的に又は部分的に開放させてもよい。即ち、固体インクスティックをそのシュートで好適に支持、案内等することができ、また固体インクスティックの装填や送給を好適に補助できるような形状、構成であればよいので、シュートは様々な形状、構成にすることができる。
【0023】
図3に示すように、シュート216の内部にはスティック用通路228が形成されている。そのサイズや形状は、シュート216内スティック206がその通路228内を所定経路218沿いに円滑に下降していくよう、設計、設定されている。また、シュート216内にスティック206が斜めに装填されることやそれによるスティック206のジャミングを防ぐため、シュート216内通路228の内法232は、スティック206の外形230とほぼ同じ形状及びサイズにしておく。
【0024】
例えば、図示例ではスティック206として略長方形断面のものを想定しているので、シュート216のスティック用通路228も略長方形断面にする。また、その開口サイズは、装填されたスティック206が重力でシュート216内を滑落していけるようにスティック206のサイズよりやや広くする。即ち、図示の通りスティック206の長さをBL、厚みをBH、横幅をBWとすると、スティック用通路228におけるシュート216の天井高CHはスティック厚BHよりやや大きくする必要があり、横幅CWもスティック幅BWよりやや広くする必要がある。
【0025】
また、シュート216内のスティック用通路228をスティック206がより確実に重力で滑落していけるようにするため、図示例では通路228の内底面234を水平面に対してある角度αだけ傾けている。この傾斜角αは、スティック206とシュート内底面234との間で発生する摩擦力に対し重力の前進方向分力が優り、スティック206が装填部220から送出部224へと所定経路218沿いに進んでいくように設定されている。また、摩擦力はどのシステムでも同一というわけではなく、スティックサイズ、スティック間接触面積、重力作用方向に対して送給方向がなす角度等、そのシステムに固有の種々の要素によって変化する。また、潤滑テープ等の低摩擦面体を貼る、ポリテトラフルオロエチレンで被覆する等してシュート内底面234或いはシュート216全体の摩擦を減らすこともできる。
【0026】
また、図2に示した通り、本プリンタ202はカラープリンタであり4本のシュート216、即ち順にブラック用、シアン用、マゼンタ用及びイエロー用のシュート240、242、244及び246を有している。これらのシュート240、242、244及び246のスティック用通路228の断面は何れも鍵化形状であるので、そのシュート216に装填できるのはそのシュート216向けの(例えば対応する色の)スティック206だけである。即ち、その通路228を鍵化断面にすることによって、各シュート216に装填できるスティック206の種類例えば色を限定している。なお、ここで述べた色の順序は一例に過ぎず、プリンタ毎乃至機種毎に様々な順序にすることができる。また、本発明に係るプリンタを、本プリンタ202と同じくシュート内スティック送給が専ら重力により行われる白黒乃至単色プリンタとして実現することもできる。その際使用するシュートの本数は1本でもよいし複数本でもよい。複数本のシュートに同一色を収容するようにすれば、スティック収容力はより高くなる。
【0027】
図5に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ302のインク送給系304の構成を示す。この送給系304は図2〜図4に示したプリンタ202の送給系204とは若干異なっている。その違いはシュート316にある。但し、この図に示す送給系304のシュート316も、点326を中心とし曲率半径をRRとする曲線に沿って湾曲している点や、その曲率半径RRが当該曲線に沿って一定又は漸増している点では、図2〜図4に示した送給系204のシュート216と同様である。
【0028】
図示されているシュート316の特徴は反転型通路を形成していることにある。即ち、このシュート316はその下部が上部の下方に潜り込む形状になっている。こうしたシュート形状を採ることはプリンタ内スペースを節約するのに役立つ。また、図示例のようにシュート316がほぼ単一の平面に沿って向きを変えていく形状に限らず、互いに非平行な複数個の平面を横切っていくようにシュート316を形成してもよい。従って、例えば、シュート316をスパイラル状やヘリカル状にしてもよい。
【0029】
シュート316のサイズや形状はこれ以外にも様々な形状にすることができ、またそのスティック用通路328の断面も方形や三角形や五角形等様々な形状にすることができる。特に、シュート316内通路328のサイズ及び形状は、そのシュート316に装填する固体インクスティック306のサイズ及び形状に近いサイズ及び同様の形状にするのが望ましい。そうしたサイズ及び形状であれば、装填部320から液化器308に面する送出部322へと、そのスティック306を重力により円滑に滑落させることができる。
【0030】
図6に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ402及びそのインク送給系404の構成を示す。この図のプリンタ402の構成は図2〜図4に示したプリンタ202のそれと類似しているが、ガイドたるシュート416が湾曲しておらず直線状である点で異なっている。即ち、図示のシュート416は、装填部420から液化部の液化器408に面する送出部422までまっすぐ直線状に延びており、本プリンタ402の頂部作業面424に対して角度ααで交差している。このシュート傾斜角ααは、スティック用通路428内にある固体インクスティック406が重力の作用でそのシュート416内を矢印方向418に進んでいくこととなるよう、スティック406とシュート416の間の摩擦係数に応じて設定する。より詳細には、シュート傾斜角ααは、シュート416の内面輪郭432のうち内底面434と、スティック406の外面輪郭との間の摩擦係数に応じて決定する。摩擦係数値はどのシステムでも変わらない値ではなく、そのシステムに固有の種々の要因、例えばスティックサイズ、スティック間接触状態、重力方向に対して送給方向がなす角度等により変わるものである。
【0031】
また、シュート416内に固体インクスティック406を装填するためシュート416の一端に設けられている開口448には、透明なプラスチックカバー450が被せられている。このカバー450は開閉できるようヒンジで固定されており、これを閉じることで、入って欲しくない物体がシュート416内に偶然入り込むことを防ぐことができる。
【0032】
更に、本プリンタ402はカラープリンタであり、ガイドたるシュート416として順にブラック用、シアン用、マゼンタ用及びイエロー用のシュート440、442、444及び446を有している。
【0033】
また、シュート416の傾斜角ααは、そのシュート416内における固体インクスティック406の滑落速度が適当な速度となるよう適当な角度に設計上固定してもよいし、当該滑落速度を適当な速度に初期設定し或いは事後調整する装置をシュート416に設けて適宜変化させてもよい。
【0034】
図7に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ502の構成を示す。このプリンタ502は図6に示したプリンタ402と類似した構成であるが、そのインク送給系504に設けられている直線状のシュート516がまっすぐ上下に延びている点で異なっている。また、図示例のプリンタ502も4本のシュート516を有している。本プリンタ502をカラープリンタとして使用する場合、使用する色毎に別々のシュート516を使用するとよい。例えば、シュート540、542、544及び546を、順にブラック用、シアン用、マゼンタ用又はイエロー用のシュートとして使用する。
【0035】
更に、このシュート516の装填部520はプリンタ頂部作業面524に面するよう、また送出部522は液化器508に面するよう、それぞれ配置されているので、固体インクスティック506をシュート516に装填するときには、そのスティック506を、作業面524上に載せて又はその面524に沿って前方からシュート端開口548に近づけ、そのままシュート516内に差し入れて落とし込めばよい。
【0036】
こうした構成では、シュート516内における固体インクスティック506の落下の仕方を制御できなくなること、シュート516内におけるスティック506の位置乃至姿勢が乱れること、スティック506が破損すること、液化器508が損傷を受けること等を防ぐため、何らかの手段を講ずるのが望ましい。採用できる手段は幾つかあるが、例えばカフェテリアに設置されたフードトレイホルダのように作動するバネ装荷式の装置を設けるとよい。即ち、送出部522における液化器508方向へのスティック下降速度を、バネの作用によって緩やかにするとよい。
【0037】
或いは、固体インクスティック506がシュート516内にほぼぴったりと嵌るように設計してもよい。即ち、スティック506がシュート516内でほとんど姿勢を変えることができず、従ってほぼまっすぐ下方に案内されるように設計してもよい。更に、スティック案内用凹凸をシュート516の内部に設け、シュート516内に完全に収まってからでないと(たとえ緩やかであれ)送出部522に下降させないよう、その凹凸でスティック506の動きを制約するようにしてもよい。
【0038】
図8に、本プリンタ502のインク送給系504のうち装填部520及びその近傍をより詳細に示す。固体インクスティック506を装填する際には、そのスティック506を作業面524に沿って接近させていきシュート516内に入れればよい。その際、シュート516内に入れたばかりのスティック506にフィンガアクセススロット552を介して触れることで、より確実に、シュート516内におけるスティック506の下降速度を適切な緩行速度にすることができる。
【0039】
図9に、本プリンタ502のインク送給系504を構成するシュート516にて、固体インクスティック506が採るポジションをより詳細に示す。この図に示すように、スティック506は、装填部520から液化器508に面する送出部522に至る列をなす。また、図示例では、スティック506がシュート516内のスティック用通路528にほぼぴったりと嵌るように形成されているので、スティック506の斜め装填やポジション不正は生じにくい。
【0040】
図4に、本プリンタ502のインク送給系504を構成するシュート516のうち装填部520近傍の部分と、そのシュート516に装填しうる固体インクスティック506の形状を、より詳細に示す。本プリンタ502では、スティック506を間違ったシュート516に装填してしまうことを防ぐため、スティック506及びシュート516の形状を、互いにかみ合う鍵化形状(排他形状)にしてある。即ち、図示例では、スティック506の外面にボス即ち凸部536を、またシュート516の内面にそれとかみ合うリセス即ち凹部538を設けることによって、シュート516に装填できるスティック506を、そのシュート516の鍵化開口形状にかみ合う鍵化断面形状を有するスティック506だけ、即ち適正なスティックだけにしている。とりわけカラープリンタの場合、各色固体インクスティックを別の色用のシュートに装填してはならないので、この鍵化機能が重宝である。また、この鍵化機能は別部材をシュート516に取り付けることによっても実現できる。その別部材に、適切なスティック506のみを通し適切でないスティック506は通さないよう凹凸による鍵化開口形状を形成しておくことで、シュート516側の鍵化開口形状を、スティック506の鍵化断面形状に応じたサイズ及び形状にすることができる。なお、本願では、シュート516側の鍵化開口がシュート516の本体に形成されているものとして説明することで、記述を単純化している。
【0041】
図10に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ602の構成を示す。本プリンタ602は図7〜図9に示したプリンタ502と類似した構成であるが、そのインク送給系604にて採用するスティック装填方法に違いがある。
【0042】
即ち、本プリンタ602のインク送給系604でも、固体インクスティック606を液化器608に面する送出部622まで送るのに上下方向に延びたシュート616を使用しているが、但し、図7〜図9に示したプリンタ502にて固体インクスティック506をシュート516内に装填するに使用していた方法とは異なる方法で、スティック606をシュート616内に装填するようにしている。
【0043】
具体的には、図示のシュート616の装填部620には装填器652が設けられている。この装填器652が採りうるポジション(姿勢)は少なくとも二種類あり、そのうち一つは装填ポジション654、他の一つは送出ポジション656である。シュート616内に固体インクスティック606を装填する際には、まず装填器652のポジションを図中破線で示した装填ポジション654にし、その状態で上側からスティック606を装填器652内に入れる。スティック606を入れたら装填器652のポジションを図中実線で示した送出ポジション656にし、その上でリリースレバー658を操作してスティック606をリリースさせる。すると、装填器652内のスティック606がシュート616内に下降し始める。
【0044】
図11に装填器652の構成をより詳細に示す。図中の装填器652は装填ポジションを採っており、従ってその側面の開口660が上を向いているので、上側から開口660内に固体インクスティック606を嵌め入れることができる。スティック606を入れたら装填器652を矢印方向662に枢動させて図10の如く送出ポジション656にし、そして装填器652内のスティック606を液化器608に面する送出部622に送る。
【0045】
図12にリリースレバー658の構成をより詳細に示す。図示の通り、このレバー658は枢動リンク664と連携しており、レバー658を操作するとリンク664を介しバネ666から固体インクスティック606に作用する押圧力が変化する。即ち、スティック606を装填器652内に入れ更に送出ポジション656にした上でレバー658を押し下げると、リンク604による押圧が弱まりスティック606がシュート616内を下降し始める。
【0046】
図13に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ702の構成を示す。本プリンタ702は図6に示したプリンタ402と類似した構成であるが、そのインク送給系704を構成するシュート716がモジュール化されている点で異なっている。即ち、シュート716の下部767はプリンタ702に固定されているが、上部769がプリンタ702から着脱可能になっている。また、シュート上部769には位置決めレール770が設けられていて、シュート下部767に形成されている溝771にそれを差し込むことで、上部769を下部767に位置決め、固定することができる。また、上部769には導電コネクタ772が、また下部767にはそれと番いの導電コネクタ773が設けられており、レール差し込み動作の際に併せてそれらを接続することができる。
【0047】
図14に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ802のインク送給系804、特にそのシュート816の構成を示す。このシュート816のうち、装填部820から変曲部878に至る上部の区間は湾曲区間874になっており、変曲部878から液化器808に面する送出部822に至る下部の区間は直線区間876になっている。変曲部878は湾曲区間874と直線区間876をつないでいる。また、湾曲区間874は、原点880を中心とした曲率半径RRの曲線に沿って湾曲している。直線区間876は図示例では鉛直方向に延びているが、傾斜を付けてもかまわない。
【0048】
本プリンタ802では略直方体の固体インクスティックも使用できるが、図示した例における固体インクスティック806は湾曲形状を有している。即ち、シュート816の湾曲区間874や変曲部878の中を所定経路818に沿ってより円滑に移動させるには、スティック806を湾曲形状にした方がよい。
【0049】
図15に、本プリンタ802で使用する固体インクスティック806の形状をより詳細に示す。このスティック806の幅はCBW、厚みはCBTであり、後者は原点882を中心として描いた円弧の曲率半径RR1と、同じく点882を中心として描いた円弧の曲率半径RR2とにより決まっている。曲率半径RR1及びRR2は、本プリンタ802のインク送給系804を構成するシュート816の湾曲区間874及び直線区間876の形状に応じて、適当な値に決めるとよい。
【0050】
図16に、本プリンタ802で使用できる別の固体インクスティック806Aの形状を示す。看取できるように、このスティック806Aには、シュート816側の溝(図示せず)に嵌るよう凸部884Aが設けられており、スティック806Aはこれを利用してシュート816による案内を受ける。
【0051】
図17に、本プリンタ802のシュート816内で所定経路818に沿ってより好適に案内させうるよう構成された固体インクスティック806Bの形状を示す。各スティック806Bの一端には突起886B、他端には溝888Bがあり、前方にいるスティック806Bの溝888Bに後方にいるスティック806Bの突起886Bが嵌りうるように構成されている。従って、図14に示したインク送給系804のシュート816内で、これら突起886B及び溝888Bを利用しスティック806Bを好適に案内することができる。
【0052】
図18に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ902のインク送給系904、特にそのシュート916の構成を示す。このシュート916は図14に示したプリンタ802のシュート816と類似した構成であるが、シュート916が直線区間を2個(974及び976)有する点で相違している。即ち、固体インクスティック906を送給するためのシュート916が、鉛直面に対して角度αααをなす第1直線区間974と、鉛直面に対して角度ββをなす第2直線区間976とを有している。図中、θは第1直線区間974と第2直線区間976の交差角である。
【0053】
図19に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ1002のインク送給系1004、特にそのシュート1016の構成を示す。このシュート1016は第1直線区間1074、第2直線区間1076及び湾曲部1084を有しており、固体インクスティック1006はそれらの区間内を前進していく。そのうち第1直線区間1074は装填部1020からそれより下方の湾曲部1084まで延びており、湾曲部1084はそこから更に下方に延びて第1直線区間1074を第2直線区間1076につないでおり、第2直線区間1076は更に下方に延びて送出部1022に達している。第1直線区間1074は鉛直面に対して角度ααααを、また第2直線区間1076は角度βββをなしており、角度θθをなすよう湾曲部1084を介してつながっている。その湾曲部1084は、原点1026を中心とする曲率半径RRの曲線に沿って延びている。
【0054】
図20に、本発明の一実施形態に係る固体インクスティック送給方法1100の流れを示す。本方法1100では、まず所定方向に延びる長軸及び所定の外面形状を有する固体インクスティックを少なくとも1個準備する(第1ステップ1110)。
【0055】
本方法1100では、次いで、複数個の固体インクスティックを同時に案内できるガイドを準備する(第2ステップ1112)。
【0056】
本方法1100では、更に、ガイド内に固体インクスティックを入れ(第3ステップ1114)もしあればガイド内に更に固体インクスティックを入れる(第4ステップ1116)。
【0057】
本方法1100では、そして、ガイドに入れた固体インクスティックをスティック間干渉以外に妨げなくガイドを介し重力のみで液化部に送る(第5ステップ1118)。
【0058】
なお、本方法1100を実行する際には、ガイド内スティック送給経路におけるスティック進行方向即ちガイド長軸と同じ方向から、ガイド内に固体インクスティックを入れるようにするとよい。
【0059】
更に、本方法1100を実行する際には、ガイド長軸に沿ったスティック送給経路に直線区間を設けるとよい。
【0060】
加えて、本方法1100を実行する際には、ガイド長軸に沿ったスティック送給経路に湾曲区間を設けるとよい。
【0061】
以上、本発明に係るインク送給系、プリンタ及び方法について例示説明を行った。それらに対しては様々な変形を施しまた様々な改良を施すことも可能であり、そうした変形乃至改良のうちいわゆる当業者であれば本願の記載に基づき容易になしうるものも、本発明の技術的範囲に属し特許権による保護を受けうるものと認められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来における高速固体インクプリンタの概略を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る固体インクプリンタ、特に固体インクスティックを送るのに使用されるインク送給系及びその固体インクスティックを液化してプリントヘッドに供給する液化部を示す一部切欠斜視図である。
【図3】図2に示したインク送給系におけるシュートの構成を示す斜視図である。
【図4】図7に示すインク送給系のシュートのうち固体インクスティックを受け入れる装填部及びそこに装填される固体インクスティックの形状を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るインク送給系にて使用され、その一部分が他の部分の下方に延びたシュートを示す側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にプリンタ頂部作業面に対し固定傾斜角をなす直線状のシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にプリンタ頂部作業面に対し直交する直線状のシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図8】図7に示したシュートの装填部を示す斜視図である。
【図9】図7に示したインク送給系を一部断面にして表した側面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にそのその下部が直線状でプリンタ頂部作業面に直交しており且つその上部が下部に対し枢動可能に連結されているシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図11】図10に示したシュートの上部を装填ポジションにした状態を示す斜視図である。
【図12】図10に示したシュートと併用するスティックリリース機構を示す側面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にその一部がプリンタに着脱可能なシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特に直線区間及び湾曲区間があるシュートを有するインク送給系を一部断面にして表した側面図である。
【図15】図14に示したシュートに装填される固体インクスティックの一例形状を示す側面図である。
【図16】図14に示したシュートに装填される固体インクスティックの別例形状、特に被案内用凸部を有するものを示す斜視図である。
【図17】図14に示したシュートに装填される固体インクスティックの別例形状、特に縦列案内用凹凸を有するものを示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特に2個の直線区間からなるシュートを有するインク送給系を示す側面図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特に2個の直線区間及び1個の湾曲区間からなるシュートを有するインク送給系を一部断面にして表した側面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る固体インクスティック送給方法の基本構成ステップを詳示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
202,302,402,502,602,702,802,902,1002 固体インクプリンタ、204,304,404,504,604,704,804,904,1004 インク送給系、206,306,406,506,606,806,806A,806B,906,1006 固体インクスティック、208,308,408,508,608,808 液化器、210 液化インク、212 媒体、215 像、216,240,242,244,246,316,416,440,442,444,446,516,540,542,544,546,616,716,816,916,1016 シュート、218,818 スティック送給経路、220,320,420,520,620,820,1020 装填部、222,322,422,522,622,822,1022 送出部、228,328,428,528 スティック用通路、230 スティック外面輪郭、448,548 シュート端開口、874,974,976,1074,1076 直線区間、876,1084 湾曲区間、1100 固体インクスティック送給方法、1110〜1118 第1〜第5ステップ、R,RR 曲率半径。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体インクスティック乃至ペレットを加熱して得られる液化インクを1個又は複数個のプリントヘッドに供給する高速プリンタ、特にその種のプリンタにて使用されるインク送給系の構成上及び機能上の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
固体インクプリンタとして知られるプリンタは、狭義のプリンタとしてだけでなく多機能機等としても実現することができ、しかもレーザ方式や液体インクジェット方式の高速乃至大出力文書複製装置に比べて数多くの利点がある画像形成装置である。そうした利点の中には、例えば、単位時間当たり文書複製枚数即ち文書作成スループットが高いこと、可視像転写プロセスの実行に必要な機械部品の点数が少ないこと、交換が必要な消耗品が少ないこと、シャープな像が得られること、包装ゴミが少なく環境に優しいこと等が含まれる。
【0003】
図1に、固体インクを使用する画像形成装置の一例として固体インクプリンタの一般的な構成100を模式的に示す。この図に示すプリンタ100には、室温下で固体状態を保つ固体インクスティックを受け入れそれを順繰りに先送りする固体インク送給系即ちインクローダ110が設けられているので、ユーザは、スティックを随時そのインクローダ110に入れるだけでインクを補充することができる。また、複数の色を使用する場合はインクローダ110も色別に設ける。即ち、白黒プリンタならブラックインクだけでよいが、カラープリンタなら例えばブラック、シアン、イエロー及びマゼンタ各色のインクが要るのが普通であるので、各色毎にインクローダ110を設け、各色用インクローダ110にその色のスティックを装填してその内部のスティック送給路沿いに送給するようにする。
【0004】
このプリンタ100には、固体インクスティックを液化させるインク液化器の一例として、スティックを加熱しその融点に比べて十分に高い温度まで昇温させるインクヒータ120が設けられている。このヒータ120内にはスティック先端と接触するよう設けられたメルトプレートがあるので、ヒータ稼働時には、そのメルトプレートの表面を昇温させることによって、スティックのうちメルトプレートとの接触部分を熔融、液化させることができる。液化させたインクはプリントヘッド130に供給する。供給先となるヘッド130の個数は1個でも複数個でもよく、また供給の手段としては重力を利用してもよいしポンピングを実施してもよいしその双方を併用してもよい。各ヘッド130は、供給される液化インクからインク滴を生成しそれを回転式プリントドラム140上に被着させることによって、個々の画素を現像する。この動作は、ドラム140上に所望画像が再現されるよう、プリンタコントローラ180が生成する制御信号190に応じて行う。そして、シートフィーダ160から供給される紙その他の媒体170を加圧ローラ150の働きでドラム140に押しつけることにより、ドラム140上のインク画像をその媒体170上に転写させる。なお、この画像転写プロセスを実行する際には、画像転写直後にインクが完全に固化するよう、インク温度を綿密に制御するのが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした固体インクプリンタによれば、他種画像複製装置を使用したのでは享受できない利点を享受することができる。しかしながら、従来の固体インク印刷技術には、高速大量印刷時に若干問題となりうる点が残されていた。それは、装填容量が大きなインクローダを設け、またその余地が発生したとき随時固体インクスティックを装填、補充できるようそのインクローダを構成しておかないと、大量印刷が行えないことである。
【0006】
そのため、従来における固体インクプリンタ用のインクローダは、通常、複数個の固体インクスティックを数珠繋ぎに装填できるように設けられたチャネル乃至シュートを備え、それらのスティックのうち先頭に位置するものから順にその液化器により液化させる構成を採っていた。この構成では、シュート内のスティックのうち末尾に位置するものの後端をバネ付のプッシュブロック等によって先頭方向に付勢し、先頭に位置するスティックの先端を液化器に当接させる。従って、シュート内にスティックを補充する際には、オペレータが自分の手でスティックとプッシュブロックの間に隙間を作り、十分な隙間ができたらその隙間に新たなスティックを装填する、という作業が必要になるが、これは若干面倒なことである。例えば、新たに導入した大容量高速プリンタを使用し始める際には、多数のスティックをそのプリンタに装填しなければならない。その際には、オペレータは、スティックを1個装填しては新たな隙間を作りそこに次のスティックを装填する、という具合に、装填個数分だけ装填作業を繰り返す必要がある。シュートが複数本ある場合はこれをシュートの本数分だけ繰り返す必要がある。
【0007】
従来技術には、更に、バネ付勢プッシュブロック機構を設けている分、各シュート内に装填できる固体インクスティックの個数が制約される、という問題もある。しかも、シュートを長くして多数のスティックを装填できるようにするには、その機構で使用するバネを長くて強力なバネにする必要があり、そうするとその機構はほとんど採用困難な程に肥大化及び高価格化してしまう。また、多数のスティックを装填できるにしても、強力なバネに逆らってアクセスカバーを開閉するのは面倒なことであり、スティック装填作業を担うオペレータにとってはかなりの負担になる。
【0008】
また、バネを用いた付勢は常に行っていなくてはならず、従ってバネ付勢プッシュブロックはシュート内に常駐しているので、常駐していなければ装填できるはずの固体インクスティックを装填することができず、その分装填可能個数が少なくなっている。
【0009】
更に、バネにより付勢されたプッシュブロックによって固体インクスティックを背後から押し出す仕組みでは、押すことによってそのスティックの向きが望ましくない向きに変わることがある。特に、その丈が長いスティック等、大きめのスティックをその背後から押すと、スティックの姿勢がねじれてジャミングが発生しやすい。送給路との摩擦が大きい場合にはとりわけジャミングが発生しやすいので、摩擦を少なくするために潤滑テープその他の低摩擦面体を使用することもあるが、そうしたものを使用するとその分は製品コストが高まってしまう。
【0010】
そして、ガイドを構成するシュートの一端にバネ付勢プッシュブロック機構を設けると、その機構が邪魔になるためシュートへのスティック装填方向が限定されてしまう。即ち、シュートと交差する方向から固体インクスティックを装填する構成(二軸鍵構成)は割合容易に実現できるが、シュート延長方向から装填する構成(一軸鍵構成)は、バネ付勢プッシュブロック機構が邪魔になるので実現が難しい。
【0011】
本発明は、従来技術又はそれに類する技術に係るインク及びインクローダにおける上述の問題点乃至制約点に鑑み、固体インクプリンタにてより好適に使用できる固体インク送給系を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに、本発明の一実施形態は、(1)液化器にて得られたインクにより媒体上に像が形成されることとなるよう、プリンタにて使用する固体インクスティックを液化器に送るインク送給系であって、(2)複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドを備え、(3)更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたものである。
【0013】
また、本発明の他の実施形態は、(1)固体インクスティックを液化して得られたインクにより媒体上に像を形成するプリンタであって、(2)複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドと、上記ガイドと共にインク送給系を形成しており上記通路の出口を介して供給される固体インクスティックを液化させる液化器と、を備え、(3)更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたものである。
【0014】
そして、本発明の更に他の実施形態は、(1)所定方向に延びる長軸及び所定の外面形状を有する固体インクスティックを少なくとも1個準備するステップと、(2)複数個の固体インクスティックを同時に案内できるガイドを準備するステップと、(3)ガイド内に固体インクスティックを入れるステップと、(4)もしあればガイド内に更に固体インクスティックを入れるステップと、(5)ガイドに入れた固体インクスティックをスティック間干渉以外に妨げなくガイドを介し重力のみで液化部に送るステップと、を有し、(6)プリンタ内で実行される固体インクスティック送給方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装填部等にて装填される固体インクスティックを専ら重力によって液化器に送り、そこで得られた液化インクを例えば1個又は複数個のプリントヘッドに送給することができる。また、本発明はこれ以外にも様々な特徴事項がある。それらはそれ単独で或いは様々に組み合わせて使用することができる。それによって、コスト低減、インク装填容量増大、送給系信頼度向上等を実現してより優れたプリンタを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態に関し別紙図面を参照して説明する。本件技術分野において熟練を積んだ方々(いわゆる当業者)であれば、以下の説明から、上述のものもそれ以外のものも含め、本発明に係るプリンタ及びそのインク送給系の特徴をより好適に理解することができよう。
【0017】
また、本願における「プリンタ」とは、複製装置一般のことである。従って、狭義のプリンタの他、ファクシミリ機、複写機、いわゆる多機能機等もこれに包含される。更に、「印刷ジョブ」とは、複製対象となる1個又は複数個の事物の電子的表現物を含む情報等のことである。そして、インクの「案内」「移送」「送給」「供給」とは、装填部から液化部まで或いは更にプリントヘッドまでインクを届けることを指している。インクの「案内」「移送」「送給」「供給」経路上には、本発明に係るプリンタの実施にとり肝要でないものも含め、種々の連結手段、管路、マニホルド、ヒータ等を付加することができる。
【0018】
更に、固体インクプリンタの全体構成は前述した通りである。以下の説明は、改良型の固体インクスティック、そのスティックを送給できる改良型のインク送給系、並びにその送給系が実装された新たな固体インクプリンタに関するものである。
【0019】
図2に、本発明の一実施形態に係る固体インクプリンタ202の構成を示す。このプリンタ202は固体インクスティック206用のインク送給系204を備えており、この送給系204によって液化部に送られたスティック206は、そこに設けられている液化器208によって液化されて液化インク210となり、プリントドラム214を介して媒体212例えば紙片上に被着し像215を形成する。また、送給系204は、所定経路218に沿ってスティック206を案内するガイドを有している。図示例におけるガイドはシュート216という形態を採って実現されており、その内部に形成される通路に複数個のスティック206を装填できるように構成されている。また、このシュート216にはスティック206を装填する際の入口になる装填部220が設けられており、シュート216は更にこの装填部220から所定経路218沿いに液化器方向へとスティック206を案内するよう構成されている。
【0020】
シュート216には更に送出部222も形成されている。送出部222が液化器208に面するように配置されており、装填部220が送出部222よりも上方に位置しているので、装填部220に差し込まれた固体インクスティック206は、重力の作用だけで、シュート216内を滑落して送出部222に到達するに至る。
【0021】
なお、例えばプリンタ頂部作業面224付近に位置する装填部220から液化器方向に重力の作用で固体インクスティック206を滑落させることができる限り、シュート216は様々な形状にすることができる。例えば直線状でもよいし弧状でもよい。湾曲形状にする場合、ある1本の軸を中心とする円弧に沿って延びる単純弧として構成してもよいし、その中心軸が異なる複数本の円弧をつないだ線に沿って延びる複合弧として構成してもよいが、その端から端までスティック206を滞りなく送給できるスティック送給路が形成されるようにする必要がある。複合弧とする場合、その全長に占める個々の円弧の割合を任意に定めることができ、従ってその全体形状を柔軟に設計できる。但し、これら単純弧や複合弧は湾曲形状の一例に過ぎず、これに類する他の非直線的形状を使用することもできるので、本願では使用できる種々の形状全てを「湾曲」という表現で代表させている。例えば図2に示すシュート216は、原点226を中心とする曲率半径Rの弧に沿って端から端まで滑らかに延びている。シュート216に対する原点226の位置関係は任意に設定でき、また例えば曲率半径Rをシュート216の全長に亘り一定に保つようにしてもよいが、図示例の場合、シュート216の長軸方向に沿って曲率半径Rを徐々に変化させている。変化のさせ方を工夫することで、図示の通り、シュート216のうち液化器208近傍の部分をほぼ鉛直且つ直線状にすることができる。
【0022】
本願記載の他の実施形態でも同様であるが、本実施形態では、シュート壁がスティック306の外面にぴったりと寄り添うようにシュート308が形成されている。しかしながら、スティック206の全周面がどこかのシュート断面でシュート壁によってぐるりと囲まれるようにする必要はなく、またシュート216の全長に亘りシュート壁が続くようにする必要もない。例えば、シュート壁のうち一面又は数面を全面的に又は部分的に開放させてもよい。即ち、固体インクスティックをそのシュートで好適に支持、案内等することができ、また固体インクスティックの装填や送給を好適に補助できるような形状、構成であればよいので、シュートは様々な形状、構成にすることができる。
【0023】
図3に示すように、シュート216の内部にはスティック用通路228が形成されている。そのサイズや形状は、シュート216内スティック206がその通路228内を所定経路218沿いに円滑に下降していくよう、設計、設定されている。また、シュート216内にスティック206が斜めに装填されることやそれによるスティック206のジャミングを防ぐため、シュート216内通路228の内法232は、スティック206の外形230とほぼ同じ形状及びサイズにしておく。
【0024】
例えば、図示例ではスティック206として略長方形断面のものを想定しているので、シュート216のスティック用通路228も略長方形断面にする。また、その開口サイズは、装填されたスティック206が重力でシュート216内を滑落していけるようにスティック206のサイズよりやや広くする。即ち、図示の通りスティック206の長さをBL、厚みをBH、横幅をBWとすると、スティック用通路228におけるシュート216の天井高CHはスティック厚BHよりやや大きくする必要があり、横幅CWもスティック幅BWよりやや広くする必要がある。
【0025】
また、シュート216内のスティック用通路228をスティック206がより確実に重力で滑落していけるようにするため、図示例では通路228の内底面234を水平面に対してある角度αだけ傾けている。この傾斜角αは、スティック206とシュート内底面234との間で発生する摩擦力に対し重力の前進方向分力が優り、スティック206が装填部220から送出部224へと所定経路218沿いに進んでいくように設定されている。また、摩擦力はどのシステムでも同一というわけではなく、スティックサイズ、スティック間接触面積、重力作用方向に対して送給方向がなす角度等、そのシステムに固有の種々の要素によって変化する。また、潤滑テープ等の低摩擦面体を貼る、ポリテトラフルオロエチレンで被覆する等してシュート内底面234或いはシュート216全体の摩擦を減らすこともできる。
【0026】
また、図2に示した通り、本プリンタ202はカラープリンタであり4本のシュート216、即ち順にブラック用、シアン用、マゼンタ用及びイエロー用のシュート240、242、244及び246を有している。これらのシュート240、242、244及び246のスティック用通路228の断面は何れも鍵化形状であるので、そのシュート216に装填できるのはそのシュート216向けの(例えば対応する色の)スティック206だけである。即ち、その通路228を鍵化断面にすることによって、各シュート216に装填できるスティック206の種類例えば色を限定している。なお、ここで述べた色の順序は一例に過ぎず、プリンタ毎乃至機種毎に様々な順序にすることができる。また、本発明に係るプリンタを、本プリンタ202と同じくシュート内スティック送給が専ら重力により行われる白黒乃至単色プリンタとして実現することもできる。その際使用するシュートの本数は1本でもよいし複数本でもよい。複数本のシュートに同一色を収容するようにすれば、スティック収容力はより高くなる。
【0027】
図5に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ302のインク送給系304の構成を示す。この送給系304は図2〜図4に示したプリンタ202の送給系204とは若干異なっている。その違いはシュート316にある。但し、この図に示す送給系304のシュート316も、点326を中心とし曲率半径をRRとする曲線に沿って湾曲している点や、その曲率半径RRが当該曲線に沿って一定又は漸増している点では、図2〜図4に示した送給系204のシュート216と同様である。
【0028】
図示されているシュート316の特徴は反転型通路を形成していることにある。即ち、このシュート316はその下部が上部の下方に潜り込む形状になっている。こうしたシュート形状を採ることはプリンタ内スペースを節約するのに役立つ。また、図示例のようにシュート316がほぼ単一の平面に沿って向きを変えていく形状に限らず、互いに非平行な複数個の平面を横切っていくようにシュート316を形成してもよい。従って、例えば、シュート316をスパイラル状やヘリカル状にしてもよい。
【0029】
シュート316のサイズや形状はこれ以外にも様々な形状にすることができ、またそのスティック用通路328の断面も方形や三角形や五角形等様々な形状にすることができる。特に、シュート316内通路328のサイズ及び形状は、そのシュート316に装填する固体インクスティック306のサイズ及び形状に近いサイズ及び同様の形状にするのが望ましい。そうしたサイズ及び形状であれば、装填部320から液化器308に面する送出部322へと、そのスティック306を重力により円滑に滑落させることができる。
【0030】
図6に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ402及びそのインク送給系404の構成を示す。この図のプリンタ402の構成は図2〜図4に示したプリンタ202のそれと類似しているが、ガイドたるシュート416が湾曲しておらず直線状である点で異なっている。即ち、図示のシュート416は、装填部420から液化部の液化器408に面する送出部422までまっすぐ直線状に延びており、本プリンタ402の頂部作業面424に対して角度ααで交差している。このシュート傾斜角ααは、スティック用通路428内にある固体インクスティック406が重力の作用でそのシュート416内を矢印方向418に進んでいくこととなるよう、スティック406とシュート416の間の摩擦係数に応じて設定する。より詳細には、シュート傾斜角ααは、シュート416の内面輪郭432のうち内底面434と、スティック406の外面輪郭との間の摩擦係数に応じて決定する。摩擦係数値はどのシステムでも変わらない値ではなく、そのシステムに固有の種々の要因、例えばスティックサイズ、スティック間接触状態、重力方向に対して送給方向がなす角度等により変わるものである。
【0031】
また、シュート416内に固体インクスティック406を装填するためシュート416の一端に設けられている開口448には、透明なプラスチックカバー450が被せられている。このカバー450は開閉できるようヒンジで固定されており、これを閉じることで、入って欲しくない物体がシュート416内に偶然入り込むことを防ぐことができる。
【0032】
更に、本プリンタ402はカラープリンタであり、ガイドたるシュート416として順にブラック用、シアン用、マゼンタ用及びイエロー用のシュート440、442、444及び446を有している。
【0033】
また、シュート416の傾斜角ααは、そのシュート416内における固体インクスティック406の滑落速度が適当な速度となるよう適当な角度に設計上固定してもよいし、当該滑落速度を適当な速度に初期設定し或いは事後調整する装置をシュート416に設けて適宜変化させてもよい。
【0034】
図7に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ502の構成を示す。このプリンタ502は図6に示したプリンタ402と類似した構成であるが、そのインク送給系504に設けられている直線状のシュート516がまっすぐ上下に延びている点で異なっている。また、図示例のプリンタ502も4本のシュート516を有している。本プリンタ502をカラープリンタとして使用する場合、使用する色毎に別々のシュート516を使用するとよい。例えば、シュート540、542、544及び546を、順にブラック用、シアン用、マゼンタ用又はイエロー用のシュートとして使用する。
【0035】
更に、このシュート516の装填部520はプリンタ頂部作業面524に面するよう、また送出部522は液化器508に面するよう、それぞれ配置されているので、固体インクスティック506をシュート516に装填するときには、そのスティック506を、作業面524上に載せて又はその面524に沿って前方からシュート端開口548に近づけ、そのままシュート516内に差し入れて落とし込めばよい。
【0036】
こうした構成では、シュート516内における固体インクスティック506の落下の仕方を制御できなくなること、シュート516内におけるスティック506の位置乃至姿勢が乱れること、スティック506が破損すること、液化器508が損傷を受けること等を防ぐため、何らかの手段を講ずるのが望ましい。採用できる手段は幾つかあるが、例えばカフェテリアに設置されたフードトレイホルダのように作動するバネ装荷式の装置を設けるとよい。即ち、送出部522における液化器508方向へのスティック下降速度を、バネの作用によって緩やかにするとよい。
【0037】
或いは、固体インクスティック506がシュート516内にほぼぴったりと嵌るように設計してもよい。即ち、スティック506がシュート516内でほとんど姿勢を変えることができず、従ってほぼまっすぐ下方に案内されるように設計してもよい。更に、スティック案内用凹凸をシュート516の内部に設け、シュート516内に完全に収まってからでないと(たとえ緩やかであれ)送出部522に下降させないよう、その凹凸でスティック506の動きを制約するようにしてもよい。
【0038】
図8に、本プリンタ502のインク送給系504のうち装填部520及びその近傍をより詳細に示す。固体インクスティック506を装填する際には、そのスティック506を作業面524に沿って接近させていきシュート516内に入れればよい。その際、シュート516内に入れたばかりのスティック506にフィンガアクセススロット552を介して触れることで、より確実に、シュート516内におけるスティック506の下降速度を適切な緩行速度にすることができる。
【0039】
図9に、本プリンタ502のインク送給系504を構成するシュート516にて、固体インクスティック506が採るポジションをより詳細に示す。この図に示すように、スティック506は、装填部520から液化器508に面する送出部522に至る列をなす。また、図示例では、スティック506がシュート516内のスティック用通路528にほぼぴったりと嵌るように形成されているので、スティック506の斜め装填やポジション不正は生じにくい。
【0040】
図4に、本プリンタ502のインク送給系504を構成するシュート516のうち装填部520近傍の部分と、そのシュート516に装填しうる固体インクスティック506の形状を、より詳細に示す。本プリンタ502では、スティック506を間違ったシュート516に装填してしまうことを防ぐため、スティック506及びシュート516の形状を、互いにかみ合う鍵化形状(排他形状)にしてある。即ち、図示例では、スティック506の外面にボス即ち凸部536を、またシュート516の内面にそれとかみ合うリセス即ち凹部538を設けることによって、シュート516に装填できるスティック506を、そのシュート516の鍵化開口形状にかみ合う鍵化断面形状を有するスティック506だけ、即ち適正なスティックだけにしている。とりわけカラープリンタの場合、各色固体インクスティックを別の色用のシュートに装填してはならないので、この鍵化機能が重宝である。また、この鍵化機能は別部材をシュート516に取り付けることによっても実現できる。その別部材に、適切なスティック506のみを通し適切でないスティック506は通さないよう凹凸による鍵化開口形状を形成しておくことで、シュート516側の鍵化開口形状を、スティック506の鍵化断面形状に応じたサイズ及び形状にすることができる。なお、本願では、シュート516側の鍵化開口がシュート516の本体に形成されているものとして説明することで、記述を単純化している。
【0041】
図10に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ602の構成を示す。本プリンタ602は図7〜図9に示したプリンタ502と類似した構成であるが、そのインク送給系604にて採用するスティック装填方法に違いがある。
【0042】
即ち、本プリンタ602のインク送給系604でも、固体インクスティック606を液化器608に面する送出部622まで送るのに上下方向に延びたシュート616を使用しているが、但し、図7〜図9に示したプリンタ502にて固体インクスティック506をシュート516内に装填するに使用していた方法とは異なる方法で、スティック606をシュート616内に装填するようにしている。
【0043】
具体的には、図示のシュート616の装填部620には装填器652が設けられている。この装填器652が採りうるポジション(姿勢)は少なくとも二種類あり、そのうち一つは装填ポジション654、他の一つは送出ポジション656である。シュート616内に固体インクスティック606を装填する際には、まず装填器652のポジションを図中破線で示した装填ポジション654にし、その状態で上側からスティック606を装填器652内に入れる。スティック606を入れたら装填器652のポジションを図中実線で示した送出ポジション656にし、その上でリリースレバー658を操作してスティック606をリリースさせる。すると、装填器652内のスティック606がシュート616内に下降し始める。
【0044】
図11に装填器652の構成をより詳細に示す。図中の装填器652は装填ポジションを採っており、従ってその側面の開口660が上を向いているので、上側から開口660内に固体インクスティック606を嵌め入れることができる。スティック606を入れたら装填器652を矢印方向662に枢動させて図10の如く送出ポジション656にし、そして装填器652内のスティック606を液化器608に面する送出部622に送る。
【0045】
図12にリリースレバー658の構成をより詳細に示す。図示の通り、このレバー658は枢動リンク664と連携しており、レバー658を操作するとリンク664を介しバネ666から固体インクスティック606に作用する押圧力が変化する。即ち、スティック606を装填器652内に入れ更に送出ポジション656にした上でレバー658を押し下げると、リンク604による押圧が弱まりスティック606がシュート616内を下降し始める。
【0046】
図13に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ702の構成を示す。本プリンタ702は図6に示したプリンタ402と類似した構成であるが、そのインク送給系704を構成するシュート716がモジュール化されている点で異なっている。即ち、シュート716の下部767はプリンタ702に固定されているが、上部769がプリンタ702から着脱可能になっている。また、シュート上部769には位置決めレール770が設けられていて、シュート下部767に形成されている溝771にそれを差し込むことで、上部769を下部767に位置決め、固定することができる。また、上部769には導電コネクタ772が、また下部767にはそれと番いの導電コネクタ773が設けられており、レール差し込み動作の際に併せてそれらを接続することができる。
【0047】
図14に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ802のインク送給系804、特にそのシュート816の構成を示す。このシュート816のうち、装填部820から変曲部878に至る上部の区間は湾曲区間874になっており、変曲部878から液化器808に面する送出部822に至る下部の区間は直線区間876になっている。変曲部878は湾曲区間874と直線区間876をつないでいる。また、湾曲区間874は、原点880を中心とした曲率半径RRの曲線に沿って湾曲している。直線区間876は図示例では鉛直方向に延びているが、傾斜を付けてもかまわない。
【0048】
本プリンタ802では略直方体の固体インクスティックも使用できるが、図示した例における固体インクスティック806は湾曲形状を有している。即ち、シュート816の湾曲区間874や変曲部878の中を所定経路818に沿ってより円滑に移動させるには、スティック806を湾曲形状にした方がよい。
【0049】
図15に、本プリンタ802で使用する固体インクスティック806の形状をより詳細に示す。このスティック806の幅はCBW、厚みはCBTであり、後者は原点882を中心として描いた円弧の曲率半径RR1と、同じく点882を中心として描いた円弧の曲率半径RR2とにより決まっている。曲率半径RR1及びRR2は、本プリンタ802のインク送給系804を構成するシュート816の湾曲区間874及び直線区間876の形状に応じて、適当な値に決めるとよい。
【0050】
図16に、本プリンタ802で使用できる別の固体インクスティック806Aの形状を示す。看取できるように、このスティック806Aには、シュート816側の溝(図示せず)に嵌るよう凸部884Aが設けられており、スティック806Aはこれを利用してシュート816による案内を受ける。
【0051】
図17に、本プリンタ802のシュート816内で所定経路818に沿ってより好適に案内させうるよう構成された固体インクスティック806Bの形状を示す。各スティック806Bの一端には突起886B、他端には溝888Bがあり、前方にいるスティック806Bの溝888Bに後方にいるスティック806Bの突起886Bが嵌りうるように構成されている。従って、図14に示したインク送給系804のシュート816内で、これら突起886B及び溝888Bを利用しスティック806Bを好適に案内することができる。
【0052】
図18に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ902のインク送給系904、特にそのシュート916の構成を示す。このシュート916は図14に示したプリンタ802のシュート816と類似した構成であるが、シュート916が直線区間を2個(974及び976)有する点で相違している。即ち、固体インクスティック906を送給するためのシュート916が、鉛直面に対して角度αααをなす第1直線区間974と、鉛直面に対して角度ββをなす第2直線区間976とを有している。図中、θは第1直線区間974と第2直線区間976の交差角である。
【0053】
図19に、本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ1002のインク送給系1004、特にそのシュート1016の構成を示す。このシュート1016は第1直線区間1074、第2直線区間1076及び湾曲部1084を有しており、固体インクスティック1006はそれらの区間内を前進していく。そのうち第1直線区間1074は装填部1020からそれより下方の湾曲部1084まで延びており、湾曲部1084はそこから更に下方に延びて第1直線区間1074を第2直線区間1076につないでおり、第2直線区間1076は更に下方に延びて送出部1022に達している。第1直線区間1074は鉛直面に対して角度ααααを、また第2直線区間1076は角度βββをなしており、角度θθをなすよう湾曲部1084を介してつながっている。その湾曲部1084は、原点1026を中心とする曲率半径RRの曲線に沿って延びている。
【0054】
図20に、本発明の一実施形態に係る固体インクスティック送給方法1100の流れを示す。本方法1100では、まず所定方向に延びる長軸及び所定の外面形状を有する固体インクスティックを少なくとも1個準備する(第1ステップ1110)。
【0055】
本方法1100では、次いで、複数個の固体インクスティックを同時に案内できるガイドを準備する(第2ステップ1112)。
【0056】
本方法1100では、更に、ガイド内に固体インクスティックを入れ(第3ステップ1114)もしあればガイド内に更に固体インクスティックを入れる(第4ステップ1116)。
【0057】
本方法1100では、そして、ガイドに入れた固体インクスティックをスティック間干渉以外に妨げなくガイドを介し重力のみで液化部に送る(第5ステップ1118)。
【0058】
なお、本方法1100を実行する際には、ガイド内スティック送給経路におけるスティック進行方向即ちガイド長軸と同じ方向から、ガイド内に固体インクスティックを入れるようにするとよい。
【0059】
更に、本方法1100を実行する際には、ガイド長軸に沿ったスティック送給経路に直線区間を設けるとよい。
【0060】
加えて、本方法1100を実行する際には、ガイド長軸に沿ったスティック送給経路に湾曲区間を設けるとよい。
【0061】
以上、本発明に係るインク送給系、プリンタ及び方法について例示説明を行った。それらに対しては様々な変形を施しまた様々な改良を施すことも可能であり、そうした変形乃至改良のうちいわゆる当業者であれば本願の記載に基づき容易になしうるものも、本発明の技術的範囲に属し特許権による保護を受けうるものと認められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来における高速固体インクプリンタの概略を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る固体インクプリンタ、特に固体インクスティックを送るのに使用されるインク送給系及びその固体インクスティックを液化してプリントヘッドに供給する液化部を示す一部切欠斜視図である。
【図3】図2に示したインク送給系におけるシュートの構成を示す斜視図である。
【図4】図7に示すインク送給系のシュートのうち固体インクスティックを受け入れる装填部及びそこに装填される固体インクスティックの形状を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るインク送給系にて使用され、その一部分が他の部分の下方に延びたシュートを示す側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にプリンタ頂部作業面に対し固定傾斜角をなす直線状のシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にプリンタ頂部作業面に対し直交する直線状のシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図8】図7に示したシュートの装填部を示す斜視図である。
【図9】図7に示したインク送給系を一部断面にして表した側面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にそのその下部が直線状でプリンタ頂部作業面に直交しており且つその上部が下部に対し枢動可能に連結されているシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図11】図10に示したシュートの上部を装填ポジションにした状態を示す斜視図である。
【図12】図10に示したシュートと併用するスティックリリース機構を示す側面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特にその一部がプリンタに着脱可能なシュートを有するインク送給系を示す一部切欠斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特に直線区間及び湾曲区間があるシュートを有するインク送給系を一部断面にして表した側面図である。
【図15】図14に示したシュートに装填される固体インクスティックの一例形状を示す側面図である。
【図16】図14に示したシュートに装填される固体インクスティックの別例形状、特に被案内用凸部を有するものを示す斜視図である。
【図17】図14に示したシュートに装填される固体インクスティックの別例形状、特に縦列案内用凹凸を有するものを示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特に2個の直線区間からなるシュートを有するインク送給系を示す側面図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係る固体インクプリンタ、特に2個の直線区間及び1個の湾曲区間からなるシュートを有するインク送給系を一部断面にして表した側面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る固体インクスティック送給方法の基本構成ステップを詳示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
202,302,402,502,602,702,802,902,1002 固体インクプリンタ、204,304,404,504,604,704,804,904,1004 インク送給系、206,306,406,506,606,806,806A,806B,906,1006 固体インクスティック、208,308,408,508,608,808 液化器、210 液化インク、212 媒体、215 像、216,240,242,244,246,316,416,440,442,444,446,516,540,542,544,546,616,716,816,916,1016 シュート、218,818 スティック送給経路、220,320,420,520,620,820,1020 装填部、222,322,422,522,622,822,1022 送出部、228,328,428,528 スティック用通路、230 スティック外面輪郭、448,548 シュート端開口、874,974,976,1074,1076 直線区間、876,1084 湾曲区間、1100 固体インクスティック送給方法、1110〜1118 第1〜第5ステップ、R,RR 曲率半径。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化器にて得られたインクにより媒体上に像が形成されることとなるよう、プリンタにて使用する固体インクスティックを液化器に送るインク送給系であって、
複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドを備え、
更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたインク送給系。
【請求項2】
請求項1記載のインク送給系であって、上記所定経路に、湾曲した部分と直線状の部分とが含まれるインク送給系。
【請求項3】
固体インクスティックを液化して得られたインクにより媒体上に像を形成するプリンタであって、
複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドと、上記ガイドと共にインク送給系を形成しており上記通路の出口を介して供給される固体インクスティックを液化させる液化器と、を備え、
更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたプリンタ。
【請求項4】
所定方向に延びる長軸及び所定の外面形状を有する固体インクスティックを少なくとも1個準備するステップと、
複数個の固体インクスティックを同時に案内できるガイドを準備するステップと、
ガイド内に固体インクスティックを入れるステップと、
もしあればガイド内に更に固体インクスティックを入れるステップと、
ガイドに入れた固体インクスティックをスティック間干渉以外に妨げなくガイドを介し重力のみで液化部に送るステップと、
を有し、プリンタ内で実行される固体インクスティック送給方法。
【請求項1】
液化器にて得られたインクにより媒体上に像が形成されることとなるよう、プリンタにて使用する固体インクスティックを液化器に送るインク送給系であって、
複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドを備え、
更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたインク送給系。
【請求項2】
請求項1記載のインク送給系であって、上記所定経路に、湾曲した部分と直線状の部分とが含まれるインク送給系。
【請求項3】
固体インクスティックを液化して得られたインクにより媒体上に像を形成するプリンタであって、
複数個の固体インクスティックを収容及び円滑移送可能な通路を形成しその通路を用い所定経路に沿って固体インクスティックを案内するガイドと、上記ガイドと共にインク送給系を形成しており上記通路の出口を介して供給される固体インクスティックを液化させる液化器と、を備え、
更に、入口から入ってきた固体インクスティックが重力のみで通路内を通過し出口に達するよう、上記通路の端のうち入口側の端が出口側の端より高い位置に配され、且つそれら出入口が固体インクスティックを円滑挿通可能に形成されたプリンタ。
【請求項4】
所定方向に延びる長軸及び所定の外面形状を有する固体インクスティックを少なくとも1個準備するステップと、
複数個の固体インクスティックを同時に案内できるガイドを準備するステップと、
ガイド内に固体インクスティックを入れるステップと、
もしあればガイド内に更に固体インクスティックを入れるステップと、
ガイドに入れた固体インクスティックをスティック間干渉以外に妨げなくガイドを介し重力のみで液化部に送るステップと、
を有し、プリンタ内で実行される固体インクスティック送給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−126661(P2008−126661A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298806(P2007−298806)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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