説明

固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューの支持ナット摩耗検知方法及び装置

【課題】固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューにおける支持ナットの摩耗を検知する支持ナット摩耗検知方法の提供。
【解決手段】支持ナット112を螺合させた回転ネジ軸12を回転させて昇降させる手入れ機1を備えた固体培養装置において、手入れ機1と連動して昇降するダミーナット13に対する支持ナット112の位置関係が変化したことを、支持ナット112の摩耗として検知する固体培養装置が備える手入れ機1の支持ナット摩耗検知方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューの支持ナットが摩耗したことを外部に報知する支持ナット摩耗検知方法と、その支持ナット摩耗検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体培養装置は、例えば回転する培養床上に、昇降する手入れ機又は排出スクリューを備える。手入れ機又は排出スクリューは、回転する培養床の半径方向内側及び外側に設けた回転ネジ軸に、手入れ機又は排出スクリューの各本体に設けた支持ナットを螺合させ、回転ネジ軸を回転させて昇降するようになっており、基本的に上方に待避しながら、手入れ機は手入れ時に際して、排出スクリューは培養原料の盛込時や排出時に際して下降する。このため、手入れ機又は排出スクリューは昇降を繰り返し、どうしても回転ネジ軸や支持ナットが経時的に摩耗してしまう。この結果、回転ネジ軸と支持ナットとは正常な螺合位置関係を崩して手入れ機又は排出スクリューを傾斜させたり、回転ネジ軸から支持ナットを脱落させ、手入れ機又は排出スクリューを破損させたりする。
【0003】
回転ネジ軸や支持ナットの経時的な摩耗に対しては、まず耐摩耗性のある素材により回転ネジ軸や支持ナットを構成する対策が取られている。具体的に、回転ネジ軸はステンレス(SUS)に、支持ナットは砲金(BC)又はアルミ青銅(ALBC)にし、回転ネジ軸より支持ナットの方が摩耗するように構成していた。また、強度を考慮し、支持ナットは、ステンレス製のナットケースが被せられている。次に、定期的なメンテナンスにより、摩耗の原因となる鉄粉等が回転ネジ軸に付着することを防止し、支持ナットが摩耗することを抑制する対策が取られている。具体的に、回転ネジ軸について3ヶ月に1度の頻度でグリースアップして鉄粉等の埃の付着を抑制すれば、支持ナットの交換は10年に1回程度で済むとされている。しかし、これら対策だけでは不十分であることから、手入れ機又は排出スクリューの破損を回避するため、手入れ機又は排出スクリューの異常を検知する様々な試みがなされてきた。
【0004】
例えば特許文献1は、半径方向内側及び外側それぞれの架台(支持部)を螺合した各回転ネジ軸に付設した回転量検知部と、この回転量検知部が取得した各回転量の差を手入れ機又は排出スクリューの傾斜として外部に報知又は回転駆動源を停止する昇降制御部とから構成される制御系を開示している。また、特許文献1は、手入れ機又は排出スクリューと架台との直交関係を歪みゲージで監視して傾斜を検知する方法や、手入れ機又は排出スクリューの姿勢に連動する溝等に載せた鋼球や水銀の位置変位を手入れ機又は排出スクリューの傾斜として検知する方法を開示している。更に、特許文献1は、半径方向内側及び外側それぞれの架台に培養床からの高さを測る距離センサを取り付け、各支持ナットの高さの差を手入れ機又は排出スクリューの傾斜として検知する方法を開示している(以上、特許文献1[請求項3]ほか、[0012])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−276761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する回転量検知部と昇降制御部とからなる制御系は、半径方向内側及び外側それぞれの架台を螺合した各回転ネジ軸の回転量の差から、手入れ機又は排出スクリューの傾斜を検知するが、支持ナットの摩耗と回転ネジ軸の回転量とは相関がないため、仮に半径方向内側及び外側の支持ナットが経時的に摩耗しても、回転ネジ軸の回転量に変化が見られない。そのため、支持ナットが摩耗しているにもかかわらず、手入れ機又は排出スクリューの傾斜が検知されず、いきなり支持ナットが回転ネジ軸から脱落し、手入れ機又は排出スクリューが破損してしまう。これは、特許文献1が開示する手入れ機又は排出スクリューと架台との直交関係のずれを歪みゲージにより検知する方法や、鋼球や水銀の位置変位から手入れ機又は排出スクリューの傾斜を検知する方法でも同様である。
【0007】
また、距離センサにより計測された半径方向内側及び外側それぞれにおける架台の高さの差を手入れ機又は排出スクリューの傾斜として検知する方法は、架台の高さを正確に計測できない問題がある。距離センサは、培養原料に異物が触れないように、光センサや超音波センサ等の非接触センサが用いられる。ところが、培養室内は培養原料や菌が舞っているため、例えば光センサの発光部と受光部との間に舞う培養原料や菌が、正確な計測を阻害する。また、距離センサによる計測対象となる架台の高さは、手入れ機又は排出スクリューの昇降によって大きく変化するため、各高さに応じて計測誤差が生ずる。よって、特許文献1が開示する距離センサにより半径方向内側及び外側それぞれにおける架台の高さの差を手入れ機又は排出スクリューの傾斜として検知する方法は、実用的でないことになる。
【0008】
こうした問題は、手入れ機又は排出スクリューの傾斜を監視対象とし、あくまで前記傾斜を手入れ機又は排出スクリューの異常と判断していることに起因する。しかし、手入れ機又は排出スクリューの破損の原因は、支持ナットの摩耗による支持ナットの脱落であるため、監視対象を支持ナットの摩耗そのものとしなければならない。これにより、支持ナットの摩耗を原因とする手入れ機又は排出スクリューの破損を適切に回避できるし、また支持ナットの交換時期を適切に把握することができる。そこで、固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューそれぞれの支持ナット摩耗検知方法及び装置を開発すべく、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
検討の結果開発したものが、支持ナットを螺合させた回転ネジ軸を回転させて昇降させる手入れ機又は排出スクリューを備えた固体培養装置において、手入れ機又は排出スクリューに連動して昇降する基準部位と、前記手入れ機又は排出スクリューに設けられた検知部位との位置関係が変化したことを、支持ナットの摩耗として検知する固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューの支持ナット摩耗検知方法である。基準部位は、手入れ機又は排出スクリューの荷重が掛からずに、前記手入れ機又は排出スクリューに連動して昇降する(支持ナットが摩耗していない当初は、手入れ機又は排出スクリューの昇降量及び昇降方向に等しく昇降する)部位である。基準部位と検知部位との位置関係の変化は、基準部位と検知部位との距離の変化として把握するとよい。支持ナットの摩耗の程度は、基準部位と検知部位との距離の変化の大きさにより把握する。
【0010】
基準部位は支持ナット上方又は下方の回転ネジ軸に螺合したダミーナットを、検知部位は前記ダミーナットの垂直方向に位置する支持ナット、ナットケース又は架台を、それぞれ例示できる。ダミーナットは、支持ナットに近接し、しかし間隔を空けて、前記支持ナット上方又は下方の回転ネジ軸に螺合し、回転ネジ軸の回転に連れ回らないように水平面内で位置固定される基準である。このダミーナットは、手入れ機又は排出スクリューの荷重を掛けずに回転ネジ軸に螺合しているため、前記回転ネジ軸による摩耗が発生しない。
【0011】
支持ナットは、例えば架台の上に配置され、保護用のナットケースを被せて架台に固定されることにより、支持ナット、ナットケース及び架台が一体に昇降する。このため、検知部位として支持ナット、ナットケース又は架台のいずれかを選択し、ダミーナットとの距離を計測すれば、基準部位と検知部位との距離の変化を計測できる。例えば基準部位がダミーナット、検知部位が支持ナットである場合、ダミーナットと支持ナットとの距離の変化とは、例えば後述する距離センサが初回に計測した計測値からの変化となる。ダミーナットと支持ナットとの距離は、どこの位置関係を計測してもよいが、通常、垂直方向に対向する面間の距離、すなわち垂直方向の距離を計測することが好ましい。支持ナットの摩耗の程度は、前記計測値の大きさにより把握する。ダミーナットは、砲金等の金属製又は樹脂製とする。
【0012】
本発明の支持ナット摩耗検知方法は、回転ネジ軸に設定した基準部位に対する検知部位の位置関係の変化が支持ナットの経時的な摩耗に相関すると考え、基準部位に対する検知部位の位置関係の変化、例えばダミーナットと支持ナットとの距離の変化を、支持ナットの摩耗として検知する。この支持ナットの摩耗は、半径方向内側及び外側における支持ナットそれぞれについて個別に検知できるため、仮に各支持ナットが同じ程度摩耗し、手入れ機又は排出スクリューが傾斜しなくても、回転ネジ軸から支持ナットを脱落させ、手入れ機又は排出スクリューを破損させる危険性を予め検知できる。更に、支持ナットの経時的な摩耗そのものを検知するため、支持ナットの摩耗に応じた交換時期を把握できる。
【0013】
支持ナットは、手入れ機又は排出スクリューの荷重が掛かるため、経時的な摩耗により次第に正常な螺合位置から下方へとずれていく。これに対し、ダミーナットは、回転ネジ軸に螺合しているだけで、何らかの外部的負荷が掛かってないので、ほとんど摩耗せず、また回転ネジ軸に連れ回らないようにしているので、最初に設定した位置からずれない。このことから、経時的に摩耗する支持ナットは、支持ナット上方の回転ネジ軸に螺合したダミーナットに対して遠ざかり、初回に計測した両者の距離から後に計測した距離が許容範囲を超えて上回ると、例えば交換時期に到ったと判断できる。また、経時的に摩耗する支持ナットは、支持ナット下方の回転ネジ軸に螺合したダミーナットに対して近づくので、初回に計測した両者の距離から後に計測した距離が許容範囲を超えて下回ると、例えば交換時期に到ったと判断できる。
【0014】
本発明に基づく支持ナット摩耗検知装置は、支持ナットを螺合させた回転ネジ軸を回転させて昇降させる手入れ機又は排出スクリューを備えた固体培養装置において、支持ナット上方又は下方の回転ネジ軸に螺合するダミーナットと、支持ナット又はダミーナットのいずれか一方又は双方に設ける距離センサと、距離センサによって計測された支持ナットとダミーナットとの距離から支持ナットの摩耗の有無を判断する制御部とから構成される。ここにいう支持ナットには、支持ナットそのものはもちろん、支持ナットに被せるナットケースや支持ナットが一体に取り付けられる架台ほか、支持ナットと一体に昇降する部位を含む。
【0015】
ダミーナットは、回転ネジ軸に連れ回りしないように、連れ回り防止手段を講じる。距離センサは、光センサや超音波センサ等、非接触式センサが好ましいが、特許文献1と異なり、極めて近接する支持ナットとダミーナットとの距離を計測するだけなので、接触式センサを用いても、環境の影響を抑制又は防止できる。非接触式センサは、センサ部と被検知部とを対に用いるものと、センサ部が送信部(光センサの場合は発光部)及び受信部(光センサの場合は受光部)に分かれているものとがある。前者の場合、例えば支持ナット又はダミーナットの一方にセンサ部を、残る他方に被検知部を割り当てる。また、後者の場合、例えば支持ナット又はダミーナットの一方に送信部を、残る他方に受信部を割り当てる。
【0016】
制御部は、距離センサから送られてくる計測値を記録し、例えば初回の計測値又は現在から一定期間前の計測値と現在取得した計測値とを比較し、支持ナットの摩耗の大きさを計測値の変化量として算出する。この場合、変化量も記録しておき、定期的な計測による変化量の変化を算出し、前記変化量の変化が大きくなると支持ナットが摩耗したと判断させることもできる。また、計測値を絶対的に取り扱い、予め設定した閾値と計測値とを比較し、計測値が前記閾値を上回る場合(例えば支持ナット上方にダミーナットを配した場合)又は前記閾値を下回る場合(例えば支持ナット下方にダミーナットを配した場合)に、支持ナットが摩耗し、交換時期が到来したと判断してもよい。こうした計測値の記録及び算出が必要なことから、制御部はコンピュータやプログラマブルロジックコントローラ(プログラマブルコントローラ)を用いるとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、近接して配される支持ナットと基準部位との位置関係の変化、例えば支持ナットとダミーナットとの距離の変化から、支持ナットの摩耗を正確に検知する効果をもたらす。これにより、仮に各支持ナットが同じ程度摩耗し、手入れ機又は排出スクリューが傾斜しなくても、回転ネジ軸から支持ナットを脱落させ、手入れ機又は排出スクリューを破損させる危険性を予め検知できるようになる。これは、従来に比べて、手入れ機又は排出スクリューを破損させる危険性をより正確に検知できることを意味する。また、支持ナットの経時的な摩耗そのものを検知することから、支持ナットの摩耗に応じた交換時期を把握できるようになる。これは、検査員の個人的な判断によらず、適切な交換時期を適切に把握できるようになることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した回転円盤固体培養装置における手入れ機を表す側面図である。
【図2】支持ナット上方にダミーナットを配した支持ナット摩耗検知装置の通常時を表す図1中A矢視部の断面図である。
【図3】本例の支持ナット摩耗検知装置の通常時を表す図1中A矢視部の平面図である。
【図4】支持ナット下方にダミーナットを配した支持ナット摩耗検知装置の通常時を表す図2相当断面図である。
【図5】本例の支持ナット摩耗検知装置の摩耗時を表す図2相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、固体培養装置の種類に関係なく、回転ネジ軸に支持ナットを螺合させて昇降する手入れ機や排出スクリューに適用できる。また、本発明が手入れ機に適用される場合と、排出スクリューに適用される場合とで、距離センサを中心とする支持ナット摩耗検知装置の構成が大きく異なることはない。これから、以下では、回転円盤固体培養装置において、支持ナット上方にダミーナットを配した手入れ機(図1〜図3及び図5)を本例として説明し、別例として支持ナット下方にダミーナットを配した手入れ機(図4)を説明するに留め、回転円盤固体培養装置における排出スクリューや、そのほかの回転円盤固体培養装置以外における手入れ機や排出スクリューについては、説明及び図示を省略する。
【0020】
本発明の支持ナット摩耗検知装置は、図1〜図3に見られるように、回転円盤固体培養装置において、砲金製の支持ナット11を螺合させた回転ネジ軸12を回転させて昇降させる手入れ機1に対し、前記支持ナット11上方の回転ネジ軸12に基準部位として樹脂製のダミーナット13を螺合し、支持ナット11に被せたステンレス製のナットケース112から水平に突出する被検知板111に向けた距離センサ131を前記ダミーナット13に取り付けて構成される。図示は省略するが、ダミーナット13から被検知板111を水平に突出させ、前記被検知板111に向けた距離センサ131をナットケース112に取り付けた逆の構成にしてもよい。支持ナット11は、固定ボルト113で架台上面板142に固着されたナットケース112を介して前記架台上面板142の表面側に固定され、ベンダー15を水平に軸支した架台14と一体に昇降する。被検知板111は、ステンレス板である。ダミーナット13は、平面視U字状の連れ回り防止ブロック132のスリットに、架台上面板142から垂直に突出させたガイド棒141を通して水平方向に係合させて、支持ナット11との距離変化を許容しながら、回転ネジ軸12に連れ回りすることを防止している。
【0021】
距離センサ131は、被検知板111までの距離を非接触により計測する。非接触式センサは、光センサや超音波センサもあるが、培養原料や菌が舞い、高湿な培養室の劣悪な環境の影響を受けず、安定して計測できることから、電磁的な検出作用を用いた近接センサが望ましい。近接センサは、他の非接触式センサ(光センサや超音波センサ)に比べ、光源や超音波放射原を露出させる必要がないため、特に高湿下での安定した作動に優れた利点がある。また、誘導型近接センサは、対となる非検知部に安価な金属板からなる非検知板111を用いることにより、支持ナット摩耗検知装置の製造コストを廉価にすることができる。
【0022】
支持ナット摩耗検知装置は、図4に見られるように、支持ナット11下方にあたる手入れ機1の架台14内の回転ネジ軸12に基準部位としてダミーナット13を螺合し、架台上面板142の裏面に向けた距離センサ131を前記ダミーナット13に取り付けて構成することもできる。図示は省略するが、上述同様、ダミーナット13から被検知板111を水平に突出させ、前記被検知板111に向けた距離センサ131を架台上面板142の裏面に取り付けた逆の構成にしてもよい。支持ナット11は砲金製、ダミーナット13は樹脂製である。支持ナット11は、上述同様、固定ボルト113で架台上面板142に固着されたナットケース112を介して前記架台上面板142の表面側に固定され、ベンダー15を水平に軸支した架台14と一体に昇降する。ダミーナット13は、平面視U字状の連れ回り防止ブロック132のスリットに、架台上面板142から下方に突出させたガイド棒141を通して水平方向に係合させて、支持ナット11との距離変化を許容しながら回転ネジ軸12に対する連れ回りを防止する点も、上述同様である。
【0023】
距離センサ131が計測する距離は、電気信号として制御部2に常時送られており、例えば定期的に計測値Lとして外部記憶装置等に記録される。本発明は、支持ナット11とダミーナット13との距離の変化量から支持ナット11の摩耗を判断する。本例では、計測値Lの変化量に対して閾値Lthを設定し、制御部2において、例えばX回目に取得した計測値LXと初回計測値離L1との差分を算出し、前記閾値Lthと比較することにより、支持ナット11の摩耗の有無が判断される。図2は、初回計測値L1及びX回目に取得した計測値LXは等しく(図2中、計測値LX=L1と表記)、差分は閾値Lthを超えない場合を図示している。
【0024】
支持ナット11が摩耗して隙間Bが形成されると、図5に見られるように、回転ネジ軸12に対する螺合位置が相対的に下降して支持ナット11がダミーナット13から遠ざかり(図5中白抜き矢印参照)、距離センサ131が計測する計測値Lも大きくなる。例えば、初回計測値L1とX回目に取得した計測値LXの差分が閾値Lthを超えた場合、支持ナット11の摩耗が危険な程度に達していると判断できる。このほか、支持ナット11が摩耗したと判断できる計測値Lの絶対量が分かっていれば、前記絶対量に対して閾値を要注意、昇降停止といった段階ごとに設定し、外部へ危険信号を報知したり、手入れ機、更には回転円盤固体培養装置全体を停止させたりする。
【0025】
支持ナット摩耗検知装置は、支持ナット11毎に構成することから、手入れ機1を半径方向内外で回転ネジ軸12に支持される架台14それぞれに設けられることになる。この場合、半径方向内外それぞれの支持ナット摩耗検知装置の制御部2を分けて設けることもできるが、例えば両者に共通の制御部2を設けて、各支持ナット摩耗装置それぞれが監視する支持ナット11の摩耗を個々に判断することもできる。通常、支持ナット11個々の摩耗を監視すれば、手入れ機1の脱落等の危険は未然に防ぐことができる。このように、本発明は、手入れ機1の異常の有無を監視する働きも有する。
【符号の説明】
【0026】
1 手入れ機
11 支持ナット
111 被検知板
12 回転ネジ軸
13 ダミーナット
131 距離センサ
14 架台
2 制御部
L 計測値
L1 初回計測値
LX X回目の計測値
Lth 閾値
B 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持ナットを螺合させた回転ネジ軸を回転させて昇降させる手入れ機又は排出スクリューを備えた固体培養装置において、
手入れ機又は排出スクリューに連動して昇降する基準部位と、前記手入れ機又は排出スクリューに設けられた検知部位との位置関係が変化したことを、支持ナットの摩耗として検知することを特徴とする固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューの支持ナット摩耗検知方法。
【請求項2】
基準部位と検知部位との距離が変化したことを、支持ナットの摩耗として検知する請求項1記載の固体培養装置が備える手入れ機又は排出スクリューの支持ナット摩耗検知方法。
【請求項3】
支持ナットを螺合させた回転ネジ軸を回転させて昇降させる手入れ機又は排出スクリューを備えた固体培養装置において、
支持ナット上方又は下方の回転ネジ軸に螺合するダミーナットと、
支持ナット又はダミーナットのいずれか一方又は双方に設ける距離センサと、
距離センサによって計測された支持ナットとダミーナットとの距離から支持ナットの摩耗の有無を判断する制御部とから構成されることを特徴とする固体培養装置が備える支持ナット摩耗検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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