説明

固化処理装置

【課題】 梯子とフロアとを個別に形成することにより、梯子を取付け、取外しするときの作業性を高める。
【解決手段】
篩装置の動作を確認するために作業者の足場を形成する作業フロア16に、この作業フロア16から突出した突出位置と格納された格納位置との間で移動する可動フロア18を設け、梯子21を可動フロア18に着脱可能に取付ける構成とする。これにより、突出位置に移動させた可動フロア18に、クレーン等を用いて吊上げた梯子21を取付ける場合に、梯子21をそれ単体でクレーンによってバランス良く吊上げることができるので、梯子21をクレーンで吊上げたときの安定性を高めることができ、梯子21を可動フロア18に取付けるときの作業性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば土木工事によって発生する汚泥等の泥土に固化材を混合して改質処理することにより、再利用可能な改良土を生成する固化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設工事、浚渫工事等の土木工事では、掘削残土、汚泥等の大量の泥土が発生する。そして、これらの泥土を強度の高い埋戻し材、基礎地盤材として再利用するため、例えばセメント、生石灰等の固化材(添加材)を泥土に混合して改質処理する固化処理装置が知られている。
【0003】
この固化処理装置は、通常、支持構造体をなすフレームと、該フレームに設けられ上端側が泥土を収容する開口部となった泥土ホッパと、該泥土ホッパの開口部に設けられ泥土を選別する篩装置と、泥土に添加すべき固化材を収容する固化材ホッパと、泥土ホッパから供給される泥土と固化材ホッパから供給される固化材とを撹拌して混合する撹拌機とを備えて構成されている。そして、この固化処理装置は、泥土と固化材とを撹拌機によって撹拌混合することにより、埋戻し材等として再利用可能な改良土を生成することができる。
【0004】
ところで、この種の従来技術による固化処理装置は、土木作業現場で発生した泥土を、その作業現場において迅速に処理するため、通常、分解、組立て可能な複数のユニットによって構成されている。これにより、各ユニットをトラック等に積載して個別に土木工事現場に輸送した後、土木工事現場において固化処理装置として容易に組立てることができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−253620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来技術による固化処理装置は、通常、篩装置の周囲に作業者の足場を形成する作業フロアが設けられ、この作業フロアには階段状をなす梯子が取付けられている。そして、例えば篩装置の動作、泥土ホッパに対する泥土の投入状況等を確認するときには、作業者は梯子を利用して作業フロア上に上がるようになっている。
【0007】
そして、この従来技術による固化処理装置に用いられる梯子は、通常、その上端側にフロアの一部(踊場)が一体に固定された一体構造物として形成されている。そして、この梯子と踊場との一体構造物は、クレーン等によって吊上げられた状態で、篩装置の周囲に設けられた作業フロアにボルト等を用いて取付けられる構成となっている。
【0008】
しかし、梯子と踊場との一体構造物は重量が大きく外形寸法も大きいため、この一体構造物をクレーン等を用いて吊上げるときに重量バランスがとり難い。このため、梯子の取付け、取外し作業を行う間、梯子と踊場との一体構造物を安定した状態に保持しておくのが難しく、梯子を取付け、取外すときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、梯子とフロアとを個別に形成することにより、梯子を取付け、取外しするときの作業性を高めることができるようにした固化処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなすフレームと、該フレームから上方に立上って設けられ上端側が泥土を収容する開口部となった泥土ホッパと、該泥土ホッパの開口部に設けられ篩いにかけて選別した泥土を前記泥土ホッパの開口部に落下させる篩装置と、前記フレームに設けられ泥土に添加すべき固化材を収容する固化材ホッパと、前記フレームに設けられ前記泥土ホッパから供給される泥土と前記固化材ホッパから供給される固化材とを撹拌して混合する撹拌機とを備えてなる固化処理装置に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記フレームには前記篩装置の動作を確認するために作業者の足場を形成する作業フロアを設け、該作業フロアには当該作業フロアに対して突出した突出位置と格納された格納位置との間で移動可能となった可動フロアを設け、該可動フロアには当該可動フロアが突出位置となったときに地面との間で作業者が乗降する梯子を着脱可能に取付ける構成としたことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記作業フロアと可動フロアとの間には、前記可動フロアを前記突出位置に保持する突出位置保持具と、前記可動フロアを前記格納位置に保持する格納位置保持具とを設ける構成としたことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記梯子の上端側には、前記突出位置に移動した前記可動フロアの上面に当接することにより前記可動フロアに対して前記梯子を保持する当接部材を設け、該当接部材と可動フロアとは締結部材を用いて固定する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、作業現場で固化処理装置を組立てるときには、可動フロアを突出位置に移動させることにより、作業フロアから突出した可動フロアにクレーン等を用いて吊上げた梯子を取付けることができる。この場合、梯子と可動フロアとは個別に形成され、梯子はそれ単体でクレーンによってバランス良く吊上げることができるので、例えば梯子とフロアの一部(踊場)とが一体化された一体構造物に比較して、梯子をクレーンで吊上げたときの安定性を高めることができ、梯子を取付けるときの作業性を高めることができる。
【0015】
また、固化処理装置を車両に積載して輸送するため、可動フロアから梯子を取外したときには、可動フロアを格納位置に移動させて作業フロア側に格納することにより、作業フロアから可動フロアが突出することがない。従って、輸送時における作業フロアの外形寸法を小さくすることができ、作業フロアと一緒に他の積載物を1台の輸送車両に積載することができるので、輸送効率を高めることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、可動フロアを突出位置に移動させたときには、突出位置保持具によって可動フロアを作業フロアから突出した状態に保持することができるので、可動フロアに取付けられた梯子を乗降するときの安定性を高めることができる。一方、可動フロアを格納位置に移動させたときには、格納位置保持具によって可動フロアを作業フロア側に格納した状態に保持することができるので、例えば固化処理装置の分解、組立て作業時に、可動フロアを格納した作業フロアをクレーン等を用いて吊上げるときの安定性を高めることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、作業フロアから突出した可動フロアに梯子を取付けるときに、梯子の上端側に設けた当接部材を可動フロアの上面に当接させることにより、可動フロアに対して梯子を安定した姿勢に保持することができる。そして、梯子を上った作業者が当接部材と可動フロアとを締結部材を用いて固定することにより、可動フロアに梯子を確実に取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る固化処理装置の実施の形態を、図1ないし図16を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
図中、1は定置式の固化処理装置で、該固化処理装置1は、土木工事によって発生した泥土にセメント、生石灰等の固化材を混合して撹拌することにより、例えば埋戻し材、基礎地盤材等として再利用可能な改良土を生成するものである。ここで、固化処理装置1は、図1ないし図3等に示すように、後述のベースフレーム2、支持フレーム3、泥土ホッパ4、振動スクリーン6、固化材ホッパ9、回転ドラム11、改良土取出し装置14、作業フロア16、可動フロア18、梯子21等により構成されている。
【0020】
2は固化処理装置1のベースとなるベースフレームで、該ベースフレーム2は、例えばI形鋼、H形鋼等の鉄鋼材料を用いて全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。そして、ベースフレーム2は、図1に示す如く作業現場の地面上に敷設され、このベースフレーム2上に後述の支持フレーム3が搭載される構成となっている。
【0021】
3はベースフレーム2上に取付けられた支持フレームで、該支持フレーム3は、後述の泥土ホッパ4、固化材ホッパ9、回転ドラム11等を支持するものである。ここで、支持フレーム3は、例えばI形鋼、H形鋼等の鉄鋼材料を用いて形成され、ベースフレーム2に沿って前,後方向に延びる長方形状の下枠部3Aと、該下枠部3Aの長さ方向一側に立設され後述の作業フロア16を下側から支持するフロア支持脚部3Bと、下枠部3Aの長さ方向中間部に立設され後述の固化材ホッパ9等を支持する櫓状のホッパ支持脚部3Cとにより大略構成されている。
【0022】
4は支持フレーム3の長さ方向一側に設けられた泥土ホッパで、該泥土ホッパ4は、上端側が漏斗状の開口部4Aとなった有底な箱状に形成され、支持フレーム3から上方に向かって立上っている。ここで、泥土ホッパ4は、支持フレーム3のフロア支持脚部3Bによって取囲まれた位置に配置され、開口部4Aの真上には、後述の振動スクリーン6が配置される構成となっている。そして、土木工事によって発生した泥土は、後述の振動スクリーン6を通じて泥土ホッパ4の開口部4Aに収容される構成となっている。
【0023】
一方、泥土ホッパ4の底部側には、図3に示す如くスクリューコンベヤ式の泥土供給装置5が設けられており、土木工事によって発生した泥土Aは、振動スクリーン6を通じて泥土ホッパ4内に収容された後、泥土供給装置5によって後述の回転ドラム11内に供給される構成となっている。
【0024】
6は泥土ホッパ4の開口部4A側に設けられた篩装置としての振動スクリーンで、該振動スクリーン6は、泥土を篩いにかけることにより泥土ホッパ4に収容される泥土の大きさを選別し、選別した泥土を泥土ホッパ4の開口部4Aに落下させるものである。ここで、振動スクリーン6は、後述する作業フロア16に弾性体(図示せず)を介して取付けられている。
【0025】
そして、振動スクリーン6は、例えば金網等の網部材6Aを有し、この網部材6A上に投下された泥土に振動を与えることにより、例えば図3に示すように、振動スクリーン6の網部材6Aを通過した泥土Aのみを泥土ホッパ4の開口部4Aに落下させ、網部材6Aを通過できない大粒な泥土Aや石等を夾雑物として外部に排出する構成となっている。
【0026】
7は振動スクリーン6に隣接して設けられた夾雑物シュートで、該夾雑物シュート7は、振動スクリーン6によって選別された大粒な泥土や石等の夾雑物を、夾雑物排出コンベヤ8に向けて移送するものである。そして、夾雑物シュート7から夾雑物排出コンベヤ8に移送された夾雑物は、夾雑物排出コンベヤ8によって所望の排出場所へと搬送される構成となっている。
【0027】
9は泥土ホッパ4に隣接して支持フレーム3のホッパ支持脚部3Cに支持された固化材ホッパで、該固化材ホッパ9は、例えばセメント、生石灰等の泥土に添加すべき固化材(添加材)を収容するものである。ここで、図3に示すように、固化材ホッパ9の底部側にはスクリューコンベヤ式の固化材供給装置10が設けられ、固化材ホッパ9内に投入された固化材Bは、固化材供給装置10によって後述の回転ドラム11内に供給され、この回転ドラム11内で泥土Aと混合される構成となっている。
【0028】
11は固化材ホッパ9に隣接して支持フレーム3の長さ方向他側に設けられた撹拌機としての回転ドラムで、該回転ドラム11は、図3に示すように、泥土ホッパ4から供給された泥土Aと固化材ホッパ9から供給された固化材Bとを混合して撹拌するものである。ここで、回転ドラム11は、複数のローラ12,12,…によって回転可能に支持された中空な円筒体からなり、その内部(内周面)には多数の撹拌羽根(図示せず)が設けられている。そして、回転ドラム11は、駆動装置13によって回転駆動されることにより、図3に示す如くその内部で泥土Aと固化材Bとを撹拌混合して改良土Cを生成するものである。
【0029】
14は回転ドラム11に隣接して支持フレーム3の長さ方向他端側に設けられた改良土取出し装置で、該改良土取出し装置14は、例えば図3に示すようにスクリューコンベヤによって構成されている。そして、改良土取出し装置14は、回転ドラム11内で泥土Aと固化材Bとが撹拌混合されて生成された改良土Cを、回転ドラム11の外部に取出すものである。
【0030】
15は改良土取出し装置14に隣接して設けられた改良土排出コンベヤで、該改良土排出コンベヤ15は、例えばベルトコンベヤによって構成されている。そして、改良土排出コンベヤ15は、改良土取出し装置14によって取出された改良土を、所望の排出場所まで搬送して排出するものである。
【0031】
16は支持フレーム3の各フロア支持脚部3B上に設けられた作業フロアで、該作業フロア16は、振動スクリーン6による泥土の選別動作、泥土ホッパ4の開口部4Aにおける泥土の投入状況等を確認するために作業者の足場を形成するものである。ここで、作業フロア16は、図1及び図2に示すように、支持フレーム3の各フロア支持脚部3B上に固定されることにより、振動スクリーン6の周囲を取囲むU字状に形成されている。そして、図7等に示すように、作業フロア16の上面側には後述のフロア格納部17が設けられ、このフロア格納部17の近傍に位置する作業フロア16の側端面には、後述するロック部材20の一端側が係合する係合ロッド16Aが固定して設けられている。
【0032】
17は作業フロア16の上面側に設けられたフロア格納部で、該フロア格納部17は、図7等に示すように、後述の可動フロア18を出し入れ可能に格納するものである。ここで、フロア格納部17は、作業フロア16の上面を左,右方向に延びる中空な箱状をなし、長さ方向の一端側は開口端17Aとなっている。
【0033】
そして、フロア格納部17の上面のうち開口端17Aの近傍部位には、後述の各位置決めピン19が挿通される2個のピン挿通孔17B,17Bが穿設されている。また、フロア格納部17の開口端17Aの下端側には、フロア格納部17の幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる長方形状のストッパ板17Cがボルト等(図示せず)を用いて取付けられ、該ストッパ板17Cは、図11に示すように、後述する可動フロア18のローラ18Cが当接するものである。
【0034】
18は作業フロア16に対して移動可能に設けられた可動フロアで、該可動フロア18は、図7等に示すように、上面18A及び前,後、左,右の側面18Bを有し、フロア格納部17よりも一回り小さな長方形の箱状をなしている。そして、可動フロア18は、図5に示す如くフロア格納部17から取出されて作業フロア16から左,右方向に突出した突出位置と、図6に示す如く作業フロア16側に引込んでフロア格納部17内に格納された格納位置との間で移動し、可動フロア18を突出位置に移動させた状態で、後述の梯子21が取付けられる構成となっている。
【0035】
ここで、図7及び図8等に示すように、可動フロア18の下面側には4個のローラ18C,18C,…(車輪)が回転可能に取付けられ、これら各ローラ18Cが作業フロア16の上面を転動することにより、可動フロア18は、フロア格納部17に沿って突出位置(図5の位置)と格納位置(図6の位置)との間を円滑に移動(スライド)できる構成となっている。そして、可動フロア18が突出位置に移動したときには、図11に示すように、ローラ18Cがフロア格納部17のストッパ板17Cに当接することにより、可動フロア18がそれ以上にフロア格納部17から突出してしまうのを規制する構成となっている。
【0036】
一方、可動フロア18の上面18Aのうち長さ方向の中間部には、フロア格納部17の各ピン挿通孔17Bと対応する位置に、後述の各位置決めピン19が挿通される2個のピン挿通孔18D,18Dが穿設されている。また、可動フロア18の上面18Aのうち長さ方向一端側には、逆U字状に折曲げられた手摺り18Eが上方に向けて立設されている。
【0037】
また、可動フロア18の上面18Aのうち手摺り18Eの近傍部位には、2個の手摺り取付孔18F,18Fが穿設され、各手摺り取付孔18Fには、逆U字状に折曲げれられた着脱式手摺り18Gが着脱可能に取付けられる構成となっている(図8参照)。また、可動フロア18の上面18A側には、例えば裏ナット等によって構成される2個の雌ねじ孔18H,18Hが設けられ、これら各雌ねじ孔18Hは、後述の各固定ボルト23が螺着されるものである。
【0038】
さらに、可動フロア18の長さ方向一端側の端面には、コ字状に折曲げられた把手18Iが固定して設けられ、この把手18Iは、可動フロア18を突出位置と格納位置との間で移動させるときに、作業者等が把持するものである。
【0039】
19,19は作業フロア16のフロア格納部17と可動フロア18との間に設けられた突出位置保持具としての2本の位置決めピンで、該各位置決めピン19は、図7、図11及び図12に示すように、フロア格納部17のピン挿通孔17B、可動フロア18のピン挿通孔18Dに挿通されることにより、可動フロア18を、図5に示す如くフロア格納部17から突出した突出位置に保持するものである。
【0040】
20は作業フロア16と可動フロア18との間に設けられた格納位置保持具としてのロック部材で、該ロック部材20は、例えばチェーン20Aと、該チェーン20Aを環状に連結する鍵部20Bとからなる鍵付きチェーンによって構成されている。ここで、ロック部材20は、図6及び図9に示すように、作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとの間を連結することにより、可動フロア18をフロア格納部17内の格納位置に保持するものである。
【0041】
そして、ロック部材20の鍵部20Bからチェーン20Aを取外し、作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとの連結を解除することにより、図10に示すように、可動フロア18を、フロア格納部17内の格納位置から突出位置へと移動させることができる構成となっている。
【0042】
21は可動フロア18に着脱可能に取付けられる梯子で、該梯子21は、図4及び図5等に示すように、突出位置に移動した可動フロア18に取付けられることにより、可動フロア18と地面との間で作業者が乗降するものである。ここで、梯子21は、図8等に示すように、左,右方向で対をなす左,右の支柱21A,21Aと、一定の間隔をもって各支柱21A間に固着され作業者が踏む複数枚の踏板21B,21B,…とにより階段状に形成されている。また、各支柱21Aには、踏板21Bを足場として梯子21を乗降する作業者が把持するための左,右の手摺り21C,21Cが設けられている。
【0043】
22,22は梯子21の上端側に設けられた左,右の当接部材で、これら左,右の当接部材22は、突出位置に移動した可動フロア18の上面18Aと側面18Bとに当接することにより、この可動フロア18に対して梯子21を安定した姿勢に保持(仮止め)するものである。ここで、当接部材22は、図8及び図13に示すように、梯子21を構成する支柱21Aの上端部に固着され上,下方向に延びた縦板部22Aと、この縦板部22Aと直交し可動フロア18に向けて突出する横板部22Bとにより逆L字状に形成されている。また、各横板部22Bの突出端側には、可動フロア18の各雌ねじ孔18Hに対応するボルト挿通孔22Cが穿設されている。
【0044】
そして、図13に示すように、各当接部材22は、縦板部22Aを可動フロア18の側面18Bに当接させると共に横板部22Bを可動フロア18の上面18Aに当接させることにより、当該可動フロア18の角隅部に確実に掛止めされ、梯子21を地面と可動フロア18との間に斜めに架渡した姿勢に保持するものである。これにより、可動フロア18に対して梯子21を取付け、取外しするときに作業者が梯子21を乗降するときの安定性を高めることができる構成となっている。
【0045】
23,23は梯子21の各当接部材22を可動フロア18に固定する締結部材としての固定ボルトで、該各固定ボルト23は、図8及び図13に示すように、梯子21に設けられた当接部材22のボルト挿通孔22Cに挿通された後、可動フロア18に設けた雌ねじ孔18Hに螺着されるものである。これにより、梯子21の上端側に設けられた各当接部材22を、固定ボルト23を用いて可動フロア18に確実に固定することができる構成となっている。
【0046】
24は作業フロア16上に配設された操作盤で、該操作盤24は、作業フロア16上に支持ポスト24Aを介して取付けられている。そして、作業フロア16上に上った作業者が操作盤24を操作することにより、固化処理装置1の動作を制御することができる構成となっている。
【0047】
本実施の形態による固化処理装置1は上述の如き構成を有するもので、この固化処理装置1は、図14ないし図16に示すように、複数のユニットに分割されてそれぞれトラック25、26、27によって作業現場に輸送された後、この作業現場において固化処理装置1として組立てられるものである。
【0048】
ここで、図14に示すトラック25には、支持フレーム3、泥土ホッパ4、固化材ホッパ9、回転ドラム11、改良土取出し装置14からなる組立体が積載され、図15に示すトラック26には、振動スクリーン6及び作業フロア16からなる組立体と、ベースフレーム2と、夾雑物シュート7とが積載され、図16に示すトラック27には、改良土排出コンベヤ15と、梯子21とが積載される。
【0049】
そして、トラック25〜27によって作業現場に輸送された各ユニットは、作業現場において組立て作業用のクレーン等を用い、図1及び図2に示す固化処理装置1として組立てられる。この場合、本実施の形態では、作業フロア16に対して移動可能に可動フロア18を設けることにより、可動フロア18に梯子21を取付けるときの作業性を高めることができるようになっており、以下、この梯子21の取付け作業について説明する。
【0050】
まず、図6に示すように、支持フレーム3の各フロア支持脚部3B上に作業フロア16を取付けた状態では、作業フロア16に設けられたフロア格納部17内に、可動フロア18が格納されている。この場合、図9に示すように、作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとの間は、チェーン20Aと鍵部20Bとからなるロック部材20によって連結され、可動フロア18は、作業フロア16側(フロア格納部17)に格納された格納位置を保持している。
【0051】
この状態で、作業者は、脚立等(図示せず)を足場としてロック部材20まで手を伸ばし、図10に示すように、如くロック部材20の鍵部20Bからチェーン20Aを取外すことにより、作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとの連結を解除する。
【0052】
次に、クレーンからのワイヤロープ(いずれも図示せず)を、可動フロア18の把手18Iに取付けた後、クレーンによって可動フロア18を作業フロア16のフロア収納部17から引出し、この可動フロア18を図5に示す突出位置まで移動させる。この場合、可動フロア18の下面側には複数のローラ18Cが設けられているので、これら各ローラ18Cが作業フロア16の上面を転動することにより、可動フロア18はフロア格納部17に沿って突出位置まで円滑に移動(スライド)することができる。
【0053】
そして、可動フロア18が突出位置に達すると、図11に示すように、可動フロア18のローラ18Cが、フロア格納部17に設けたストッパ板17Cに当接する。これにより、可動フロア18がそれ以上にフロア格納部17から突出してしまうのを確実に規制することができ、可動フロア18を突出位置に位置決めすることができる。
【0054】
このようにして、可動フロア18を突出位置へと移動させた後には、可動フロア18の把手18Iからクレーンのワイヤロープを取外し、このワイヤロープを梯子21に取付けた後、梯子21をクレーンによって可動フロア18の近傍まで搬送する。この場合、梯子21はそれ単体でクレーンによってバランス良く吊上げることができるので、例えば梯子とフロアの一部(踊場)とが一体化された一体構造物に比較して、梯子21をクレーンで吊上げたときの安定性を高めることができる。
【0055】
そして、図4及び図13に示すように、梯子21の上端側に設けた各当接部材22を可動フロア18の上面18Aと側面18Bとに当接させることにより、地面と可動フロア18との間に、階段状の梯子21を架渡した状態で仮止めする。
【0056】
この場合、図13に示すように、梯子21に設けた各当接部材22は、縦板部22Aを可動フロア18の側面18Bに当接させると共に横板部22Bを可動フロア18の上面18Aに当接させることにより、当該可動フロア18の角隅部に確実に掛止めされる。これにより、梯子21を地面と可動フロア18との間に斜めに架渡した姿勢に仮止めすることができ、この梯子21を作業者が乗降するときの安定性を高めることができる。
【0057】
次に、作業者は、可動フロア18に仮止めされた梯子21を昇り、可動フロア18上に上がった後、図7、図11及び図12に示すように、2本の位置決めピン19を、フロア格納部17のピン挿通孔17B、可動フロア18のピン挿通孔18Dに挿通する。これにより、図5に示すように、可動フロア18をフロア格納部17から突出した突出位置に固定しておくことができる。
【0058】
そして、図8及び図13に示すように、可動フロア18に係合した各当接部材22のボルト挿通孔22Cに固定ボルト23を挿通し、この固定ボルト23を可動フロア18の雌ねじ孔18Hに螺着することにより、梯子21を可動フロア18に強固に固定することができる。さらに、図8に示すように、可動フロア18の手摺り取付孔18Fに着脱式手摺り18Gを取付けることにより、梯子21の取付け作業が終了する。
【0059】
一方、例えば固化処理装置1を分解するため、可動フロア18に固定した梯子21を取外す場合には、まず、作業者は固定された梯子21を上り、図8に示す着脱式手摺り18Gを可動フロア18から取外す。そして、例えば梯子21にクレーンのワイヤロープを取付けた後、各当接部材22から固定ボルト23を取外すことにより、当接部材22によって梯子21を地面と可動フロア18との間に斜めに架渡した姿勢に保持する。
【0060】
次に、作業者は、地面と可動フロア18との間に架渡された梯子21を上り、可動フロア18のピン挿通孔18Dとフロア格納部17のピン挿通孔17Bから位置決めピン19を抜取る。その後、クレーンによって梯子21を吊上げ、この梯子21を可動フロア18から取外す。
【0061】
このようにして、可動フロア18から梯子21を取外した後には、作業者は、脚立等を足場としてクレーンのワイヤロープを可動フロア18の把手18Iに取付け、クレーンによって可動フロア18を図6に示す格納位置まで移動させる。そして、図9に示すように、ロック部材20を用いて作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとを連結し、可動フロア18をフロア格納部17内に保持することにより、梯子21の取外し作業が終了する。
【0062】
かくして、本実施の形態によれば、泥土ホッパ4の近傍に配置され作業者の足場を形成する作業フロア16に、該作業フロア16に対し格納位置と突出位置との間で移動する可動フロア18を設け、この可動フロア18に梯子21を着脱可能に取付ける構成としている。
【0063】
このように、可動フロア18と梯子21とを個別に形成することにより、作業現場で固化処理装置1を組立てるときには、突出位置に移動させた可動フロア18に、クレーンを用いて吊上げた梯子21を取付けることができる。この場合、梯子21はそれ単体でクレーンによってバランス良く吊上げることができるので、例えば梯子とフロアの一部(踊場)とが一体化された一体構造物に比較して、梯子21をクレーンで吊上げたときの安定性を高めることができ、梯子21を可動フロア18に取付けるときの作業性を高めることができる。
【0064】
また、可動フロア18から梯子21を取外したときには、可動フロア18を格納位置に移動させて作業フロア16側に格納することにより、作業フロア16から可動フロア18が突出することがなく、輸送時における作業フロア16の外形寸法を小さくすることができる。このため、例えば図15に示すように、1台のトラック26に作業フロア16と一緒に他の積載物(ベースフレーム2、夾雑物シュート7等)を積載することができ、輸送効率を高めることができる。
【0065】
また、可動フロア18を突出位置に移動させたときには、2本の位置決めピン19を、フロア格納部17のピン挿通孔17Bと可動フロア18のピン挿通孔18Dとに挿通することにより、可動フロア18を突出位置に保持することができるので、可動フロア18に取付けた梯子21を乗降するときの安定性を高めることができる。
【0066】
一方、可動フロア18を格納位置に移動させたときには、ロック部材20を用いて作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとを連結することにより、可動フロア18を格納位置に保持することができるので、例えば固化処理装置1の分解、組立て作業時に、可動フロア18を格納した作業フロア16をクレーンを用いて吊上げるときの安定性を高めることができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態では、可動フロア18を突出位置に保持する突出位置保持具として、フロア格納部17のピン挿通孔17Bと可動フロア18のピン挿通孔18Dとに挿通される位置決めピン19を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば突出位置となった可動フロア18とフロア格納部17との間を連結するレバー、ボルト等によって突出位置保持具を構成してもよい。
【0068】
また、上述した実施の形態では、可動フロア18を格納位置に保持する格納位置保持具として、作業フロア16の係合ロッド16Aと可動フロア18の把手18Iとを連結する環状のロック部材20を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばフロア格納部17と格納位置となった可動フロア18とに挿通されるピン、ボルト等によって格納位置保持具を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態による固化処理装置を示す正面図である。
【図2】固化処理装置を示す平面図である。
【図3】固化処理装置の構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図1中の作業フロア、可動フロア、梯子等を泥土ホッパ等を省略した状態で示す要部拡大の正面図である。
【図5】作業フロア、可動フロア、梯子等を図4中の矢示V−V方向からみた要部拡大の右側面図である。
【図6】可動フロアを格納位置に移動させた状態を示す図5と同様な右側面図である。
【図7】作業フロア、フロア格納部、可動フロア等を示す分解斜視図である。
【図8】可動フロア、梯子等を示す分解斜視図である。
【図9】ロック部材によって可動フロアを格納位置に保持した状態を示す要部拡大図である。
【図10】ロック部材による可動フロアと作業フロアとの連結を解除した状態を示す図9と同様な要部拡大図である。
【図11】位置決めピンによって可動フロアを突出位置に保持した状態を示す要部拡大図である。
【図12】位置決めピン、可動フロア、フロア格納部等を図11中の矢示XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】可動フロア、梯子、当接部材、固定ボルト等を示す要部拡大図である。
【図14】固化処理装置の支持フレーム、泥土ホッパ、固化材ホッパ、回転ドラム等をトラックに積載して輸送する状態を示す正面図である。
【図15】固化処理装置のベースフレーム、振動スクリーン、フロア等をトラックに積載して輸送する状態を示す正面図である。
【図16】固化処理装置の梯子、改良土排出コンベヤ等をトラックに積載して輸送する状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 固化処理装置
3 支持フレーム
4 泥土ホッパ
4A 開口部
6 振動スクリーン(篩装置)
7 夾雑物シュート
8 夾雑物排出コンベヤ
9 固化材ホッパ
11 回転ドラム(撹拌機)
15 改良土排出コンベヤ
16 作業フロア
17 フロア格納部
18 可動フロア
18A 上面
18B 側面
18C ローラ
18D ピン挿通孔
18H 雌ねじ孔
19 位置決めピン(突出位置保持具)
20 ロック部材(格納位置保持具)
20A チェーン
20B 鍵部
21 梯子
21A 支柱
21B 踏板
22 当接部材
22A 縦板部
22B 横板部
22C ボルト挿通孔
23 固定ボルト(締結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなすフレームと、該フレームから上方に立上って設けられ上端側が泥土を収容する開口部となった泥土ホッパと、該泥土ホッパの開口部に設けられ篩いにかけて選別した泥土を前記泥土ホッパの開口部に落下させる篩装置と、前記フレームに設けられ泥土に添加すべき固化材を収容する固化材ホッパと、前記フレームに設けられ前記泥土ホッパから供給される泥土と前記固化材ホッパから供給される固化材とを撹拌して混合する撹拌機とを備えてなる固化処理装置において、
前記フレームには前記篩装置の動作を確認するために作業者の足場を形成する作業フロアを設け、該作業フロアには当該作業フロアに対して突出した突出位置と格納された格納位置との間で移動可能となった可動フロアを設け、該可動フロアには当該可動フロアが突出位置となったときに地面との間で作業者が乗降する梯子を着脱可能に取付ける構成としたことを特徴とする固化処理装置。
【請求項2】
前記作業フロアと可動フロアとの間には、前記可動フロアを前記突出位置に保持する突出位置保持具と、前記可動フロアを前記格納位置に保持する格納位置保持具とを設ける構成としてなる請求項1に記載の固化処理装置。
【請求項3】
前記梯子の上端側には、前記突出位置に移動した前記可動フロアの上面に当接することにより前記可動フロアに対して前記梯子を保持する当接部材を設け、該当接部材と可動フロアとは締結部材を用いて固定する構成としてなる請求項1または2に記載の固化処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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