固定装置
【課題】対象物からボルトを外して固定物を対象物から取り外した場合であっても、固定物とボルトとが分離することがなく、これによりボルトを紛失してしまうことを防止できる分離防止部材を備えた固定装置を提供する。
【解決手段】取付ボルト145の雄ネジ部173が、押圧固定部材143の取付穴167、円錐型コイルスプリング149及び取付部材142の挿通穴160に順次挿通され、螺合受部材144のネジ穴172に螺合されると、押圧固定部材143の押圧爪部168が遊技機の外枠9の上辺部を下方から押圧し、これにより外枠9が上部島枠4に固定される。円錐型コイルスプリング149は、そのコイル巻回径が上端から下端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、下端部のコイル巻回径は、雄ネジ部173のネジ径とほぼ同一に設定されている。
【解決手段】取付ボルト145の雄ネジ部173が、押圧固定部材143の取付穴167、円錐型コイルスプリング149及び取付部材142の挿通穴160に順次挿通され、螺合受部材144のネジ穴172に螺合されると、押圧固定部材143の押圧爪部168が遊技機の外枠9の上辺部を下方から押圧し、これにより外枠9が上部島枠4に固定される。円錐型コイルスプリング149は、そのコイル巻回径が上端から下端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、下端部のコイル巻回径は、雄ネジ部173のネジ径とほぼ同一に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を設置する島台等の対象物に固定物をボルトで螺着して取り付けると共に、固定物を対象物から取り外した際に固定物とボルトとが分離するのを防止する分離防止部材を備えた固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からパチンコ機等の遊技機は、島台に設けられる長尺板状の上部島枠と下部島枠との間に形成される設置空間に設置され、前後方向への傾斜角度を付けて島台に固定されるようになっている。この傾斜角度の調整如何によって、遊技機の出玉が大きく左右されることになり、従って、該傾斜角度の調整は、遊技場における重要な作業となっている。
【0003】
ところで、遊技機を島台に取り付けるには、一般的に、遊技機を構成する外枠の上辺部及び下辺部を釘打ちすることにより行われている。しかしながら、この遊技機の固定作業は、垂直に起立した状態から1度後側に傾けた範囲の中で遊技機を取り付けなければならず、従って、この遊技機の固定作業は困難を極め、熟練を要する作業となっていた。
【0004】
また、最近では、この遊技機の固定作業を容易にするため、外枠の上辺部を釘等で島台に固定する一方、外枠の下辺部を所定の固定装置で傾斜角度を調整しながら固定する技術が提案されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、遊技機の外枠は、その奥行きがメーカー毎で様々に異なっており、このため、これらの技術では、遊技機の入れ替えの際、以前の遊技機と奥行きが大きく異なるような場合には、遊技機の島台への取り付けは非常に煩わしい作業になるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−42253号公報
【特許文献2】特開2006−314653号公報
【特許文献3】登録実3130005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本出願人は、このような問題点を改善するため、特願2011−20917号に示す遊技機の固定装置を出願した。この技術は、遊技機固定装置の押圧固定部材を弾性部材により前後方向にスライド自在に設け、所定の傾斜角度になったらボルトで該押圧固定部材を固定装置本体に固定することにより遊技機を島台に取り付けるようになっている。従って、この技術によれば、以前の遊技機と奥行きが大きく異なる遊技機であっても、所望の傾斜角度で容易に該遊技機を島台に取り付けることが可能になる。
【0007】
しかし、この固定装置を採用して遊技機の入れ替え作業を行う場合、本来はボルトの外れ具合を目視しながら徐々に回転させて押圧固定部材が固定装置本体から離脱しないように使用すべきところを、不慣れな作業者は、電動工具等で加減せずにボルトを一気に回転させ、その結果、ボルトが固定装置から外れ、このため押圧固定部材が固定装置本体から離脱してしまい、その際に押圧固定部材に挿入されているボルトも押圧固定部材から分離し、島台内の玉貯留タンク等に落下してしまうという問題点があった。ボルトが玉貯留タンクに落下すると、貯留されている玉に紛れ込んでボルトを探すのが困難であり、ボルトが見つからない場合には、島台内で玉詰まりの原因になったり、装置を故障させたりする虞がある。
【0008】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、遊技機を設置する島台等の対象物に固定物をボルトで螺着して取り付けると共に、対象物からボルトを外して固定物を対象物から取り外した場合であっても、固定物とボルトとが分離することがなく、これによりボルトを紛失してしまうことを防止できる分離防止部材を備えた固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様な問題を解決するために、本発明の固定装置は、請求項1に記載したように、螺旋状の溝が設けられた軸部と、該軸部の一端に該軸部の径より大きく形成された頭部とを備え、対象物に固定物を取り付ける際に、前記軸部を挿通すると共に前記頭部を不通とする大きさに設けられた前記固定物の挿通穴に前記軸部を挿通し、前記頭部を操作することにより前記軸部を捻じ込んで前記固定物を前記対象物に取り付ける螺軸部材と、該螺軸部材の前記頭部を操作することにより前記軸部の捻じ込みを緩めることによって前記固定物を前記対象物から取り外す際に、該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止する分離防止部材と、を備えた固定装置であって、前記分離防止部材は、前記軸部を挿通する挿通穴を備えると共に、該挿通穴の一端側が前記軸部とほぼ同径に形成された係止部を備え、前記対象物に前記固定物を取り付ける際に、前記分離防止部材を前記対象物と前記固定物との間に配置し、前記螺軸部材の軸部を前記分離防止部材の前記挿通穴に挿通させることにより、前記分離防止部材の前記係止部が前記螺軸部材の前記軸部に係止して該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止することを要旨とする。
【0010】
また、請求項2に記載の固定装置は、請求項1に記載の固定装置において、前記分離防止部材の前記係止部は、前記螺軸部材の前記軸部の前記固定物よりも先端側と係止し、該係止部と該頭部とで前記固定物を挟持することを要旨とする。
【0011】
また、請求項3に記載の固定装置は、請求項1又は請求項2に記載の固定装置において、前記分離防止部材は、コイルスプリングであり、該コイルスプリングは、コイル巻回径がその一端側から他端の前記係止部側にかけて徐々に縮径したとぐろ状に形成されて、前記螺軸部材の前記軸部を巻回するように配置されることを要旨とする。
【0012】
また、請求項4に記載の固定装置は、請求項3に記載の固定装置において、前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の下辺部を固定するものであって、該固定物は、前記軸部を、上方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の下辺部と当接して該外枠を下方の前記下部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の下辺部を前記遊技機設置空間に固定することを要旨とする。
【0013】
また、請求項5に記載の固定装置は、請求項3に記載の固定装置において、前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の上辺部を固定するものであって、該固定物は、前記軸部を、下方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の上辺部と当接して該外枠を上方の前記上部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の上辺部を前記遊技機設置空間に固定することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、固定装置は、ボルト等の螺軸部材と分離防止部材とからなり、螺軸部材は、螺旋状の溝が設けられた軸部と、この軸部の一端に該軸部の径より大きく形成された頭部とを備え、対象物に固定物を取り付ける際に、軸部を挿通すると共に頭部を不通とする大きさに設けられた固定物の挿通穴に軸部を挿通し、頭部を回転等の操作をすることにより軸部を捻じ込んで固定物を対象物に取り付ける。一方、分離防止部材は、螺軸部材の頭部を操作することにより軸部の捻じ込みを緩めることによって固定物を対象物から取り外す際に、固定物と螺軸部材とが分離するのを防止する。
【0015】
そして、このように構成される本発明の固定装置において、分離防止部材は、螺軸部材の軸部を挿通する挿通穴を備えると共に、この挿通穴の一端側が螺軸部材の軸部とほぼ同径に形成された係止部を備えている。しかして、螺軸部材の軸部を固定物の挿通穴及び分離防止部材の挿通穴に挿通し、螺軸部材の頭部を操作することにより螺軸部材を捻じ込んで固定物を対象物に取り付ける際に、分離防止部材が対象物と固定物との間に位置し、分離防止部材の係止部が螺軸部材の軸部に係止する。即ち、螺軸部材を捻じ込んで固定物を対象物に取り付けたとき、固定物と螺軸部材とが分離防止部材により一体的に組み付けられ、これにより固定物と螺軸部材とが分離するのを防止するようになっている。
【0016】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、不慣れな作業者が螺軸部材の頭部を操作し、螺軸部材を緩めることによって固定物を対象物から取り外す際に、固定物から螺軸部材が抜け落ちたりして固定物と螺軸部材とが分離してしまうことがなく、その結果、螺軸部材を紛失してしまうことを防止することができる。
【0017】
請求項2の固定装置は、螺軸部材を捻じ込んで固定物を対象物に取り付けたとき、分離防止部材は対象物と固定物との間に位置しているので、分離防止部材の係止部が螺軸部材の軸部の固定物よりも先端側と係止し、これにより、固定物は、螺軸部材の軸部とほぼ同径に形成された分離防止部材の係止部と螺軸部材の頭部とで挟持されて固定される状態となる。従って、このように構成される本発明の固定装置においては、固定物と螺軸部材とが分離防止部材により、より強固に組み付けられることになり、その結果、固定物と螺軸部材とが分離してしまうことをより確実に防止することができる。
【0018】
ここで、分離防止部材の具体的な構成としては種々考えられ、例えば次のようにしてもよい。即ち、請求項3の固定装置は、分離防止部材をコイルスプリングとし、このコイルスプリングを、コイル巻回径がその一端側から他端の係止部側にかけて徐々に縮径したとぐろ状、換言すれば円錐状に形成して、螺軸部材の軸部を巻回するように配置する。このため、コイルスプリングは、固定物と対象物との間に、コイル巻回径の小さい係止部側を螺軸部材の頭側(固定物側)に配置し、コイル巻回径の大きい係止部と反対側を螺軸部材の軸部の先端側(対象物側)に配置することができる。そして、この状態では、固定物は、螺軸部材の軸部とほぼ同径に形成されたコイルスプリング端部の係止部と螺軸部材の頭部とで挟持されて強固に固定される状態となる。
【0019】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、コイルスプリングを用いることで分離防止部材を簡単な構成で実現できる共に、コイルスプリングは、工具を使用することなく、容易に螺軸部材の軸部に着脱することができ、さらに、螺軸部材を緩めることによって固定物を対象物から取り外す際に、コイルスプリングが不意に飛び出して、コイルスプリングを紛失してしまうことも回避できる。また、コイルスプリングは、形状がとぐろ状(円錐状)に形成されているので、螺軸部材に取り付ける際の取り扱いが容易であり、且つ固定物と対象物との間に配置されたときの安定性が非常によく、さらに、重量も軽く、螺軸部材の頭部を操作しても螺軸部材の軸部から容易に脱落することはなく、その結果、固定物と螺軸部材とが分離してしまうことをより確実に防止することができる。
【0020】
請求項4の固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、遊技機(例えば、パチンコ遊技機)の外枠の下辺部を固定物により固定するものとしている。しかして、この固定装置において、螺軸部材の軸部を、上方から固定物の挿通穴及びコイルスプリングの挿通穴に順次挿通し、螺軸部材の頭部を操作して螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物を遊技機の外枠の下辺部と当接させて該外枠を下方の下部島枠側に押圧する。即ち、コイルスプリングの付勢力に抗して上方から螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物が外枠の下辺部と当接して該外枠を下方に押圧することで、外枠の下辺部は、固定物と下部島枠とで略挟持されて固定される状態となり、これにより、遊技機設置空間に遊技機の外枠の下辺部を固定することになる。
【0021】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、螺軸部材の捻じ込みを弱めた状態では、コイルスプリングの付勢力によって固定物を下部島枠から遠ざかる方向(上方向)に移動させるので、固定物が自重によって下方に落ち込むことを回避でき、その結果、遊技機(外枠)を遊技機設置空間に挿入する際、遊技機(外枠)の遊技機設置空間内への挿入を阻害しない位置に固定物を移動させておくことができ、遊技機(外枠)の固定作業を容易にすることができる。
【0022】
請求項5の固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、遊技機(例えば、パチンコ遊技機)の外枠の上辺部を固定物により固定するものとしている。しかして、この固定装置において、螺軸部材の軸部を、下方から固定物の挿通穴及びコイルスプリングの挿通穴に順次挿通し、螺軸部材の頭部を操作して螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物を遊技機の外枠の上辺部と当接させて該外枠を上方の上部島枠側に押圧する。即ち、コイルスプリングの付勢力に抗して下方から螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物が外枠の上辺部と当接して該外枠を上方に押圧することで、外枠の上辺部は、固定物と上部島枠とで略挟持されて固定される状態となり、これにより、遊技機設置空間に遊技機の外枠の上辺部を固定することになる。
【0023】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、コイルスプリングにより強固に固定物と螺軸部材とが固定されているので、不慣れな作業者が下方から螺軸部材の頭部を操作し、螺軸部材を緩めて固定物を取り外す際に、螺軸部材がその自重により落下したり、コイルスプリングが不意に飛び出したりして、これら螺軸部材及びコイルスプリングが固定物から分離してしまうことを防止できるので、その結果、螺軸部材及びコイルスプリングが遊技島台内に紛れ込んで、当該遊技島台を構成する各種装置が正常に機能しなくなる不具合(例えば、螺軸部材及やコイルスプリングが玉詰まりの原因になったり、装置を傷つけて故障させたりする不具合)を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係わるパチンコ島台1の一部正面斜視図である。
【図2】本実施形態に係わるパチンコ島台1の一部裏面斜視図である。
【図3】本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す上方からの斜視図である。
【図4】本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す下方からの斜視図である。
【図5】図5(A)は、本実施形態に係わる取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す上方からの斜視図であり、図5(B)は、本実施形態に係わる取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す下方からの斜視図である。
【図6】図6(A)は、本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140及びスライド調整機構180を示す縦断面図であり、図6(B)は、本実施形態に係わるスライド調整機構180を示す縦断面図である。
【図7】本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分解した状態を示す縦断面図である。
【図8】図8(A)〜(C)は、本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140の押圧固定部材143の作用状態を示す縦断面図である。
【図9】図9(A)〜(C)は、本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分離した状態を示す縦断面図である。
【図10】図10(A)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300を示す斜視図であり、図10(B)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300を示す一部分解斜視図であり、図10(C)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300を示す分解斜視図である。
【図11】図11(A)〜(D)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300の押圧固定部材303の作用状態を示す縦断面図である。
【図12】図12(A)〜(C)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300から押圧固定部材303、取付ボルト305、円錐型コイルスプリング307を分離した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。図1は、パチンコ島台1の一部正面斜視図であり、図2は、パチンコ島台1の一部裏面斜視図である。なお、図1、2では、パチンコ遊技機2台分の長さのパチンコ島台1を示し、パチンコ遊技機は図示省略している。図1、2に示すように、パチンコ島台1には、複数のパチンコ遊技機を取り付けるための上部島枠4と、下部島枠5とが、パチンコ遊技機の高さと略同一の間隔をあけて該パチンコ島台1の長手方向に沿って掛け渡されている。
【0026】
下部島枠5の前端側には、遊技者が玉箱等を載置するためのカウンター6が突設され、下部島枠5の下方には、パチンコ島台1で循環使用されるパチンコ玉を貯留する玉貯留タンク等の装置を遮蔽するための腰板13が立設されている。上部島枠4は、パチンコ遊技機にパチンコ玉を補給するための補給樋等の装置を遮蔽するための幕板3が、開閉自在に取り付けられる固定枠のうちの下側の枠としての機能も兼ね備えている。
【0027】
上部島枠4と下部島枠5との間には、パチンコ遊技機同士で所定の間隔を設けるための間仕切り8が立設され、この間仕切り8と上部島枠4、下部島枠5によって区画された空間が、1台のパチンコ遊技機を設置するための遊技機設置空間10として形成されている。また、図1、2において、遊技機設置空間10には、その下側に装飾カバー板11が付設されたパチンコ遊技機内枠の外周を覆う矩形状の外枠9と、下部島枠5の後側上面に取り付けられてパチンコ遊技機から排出されたアウト玉を計数して回収樋等の装置に流下させるアウト玉計数ボックス12と、間仕切り8に隣接してパチンコ遊技機と1対1で対応するように配置され、パチンコ遊技機と電気的に接続されて貸玉を行うための紙幣や硬貨を投入する金銭投入口、及びプリペイドカードや会員カード等を挿入するカード挿入口等を備えた台間ユニット2と、パチンコ遊技機(外枠9)を支承する下部島枠5上面に固定された支承板7と、後述する賞球補給装置14とが取り付けられた状態を示している。なお、パチンコ遊技機は、外枠9と、この外枠9に開閉及び着脱自在に取り付けられるパチンコ遊技機の主要装置を備えた内枠とから構成されるものである。
【0028】
さらに、遊技機設置空間10には、パチンコ遊技機を固定するための装置であって、後に詳述するパチンコ遊技機の前後方向の傾斜角度(以後、単に「傾斜角度」ともいう)を調整可能な上側遊技機固定装置140と下側遊技機固定装置300とが取り付けられている。下側遊技機固定装置300は、アウト玉計数ボックス12を挟むように下部島枠5の左右2箇所に取り付けられ、一方、上側遊技機固定装置140は、後述の賞球補給装置14を挟むように上部島枠4の左右2箇所に取り付けられている。なお、下側遊技機固定装置300は、支承板7の後側上面にビスで固定されることにより下部島枠5の上面に取り付けられ、上側遊技機固定装置140は、後述のスライド調整機構180の後端部分にビスで固定されることにより上部島枠4の下面に取り付けられるようになっている。
【0029】
次に、上側遊技機固定装置140の構成について、図3〜9を参照しながら説明する。図3は、上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す上方からの斜視図であり、図4は、上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す下方からの斜視図であり、図5(A)は、取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す上方からの斜視図であり、図5(B)は、取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す下方からの斜視図であり、図6(A)は、上側遊技機固定装置140及びスライド調整機構180を示す縦断面図であり、図6(B)は、スライド調整機構180を示す縦断面図であり、図7は、上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分解した状態を示す縦断面図であり、図8(A)〜(C)は、上側遊技機固定装置140の押圧固定部材143の作用状態を示す縦断面図であり、図9(A)〜(C)は、上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分離した状態を示す縦断面図である。
【0030】
上側遊技機固定装置140は、図3、4に示すように、賞球補給装置14と共にスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられている。賞球補給装置14は、補給樋からのパチンコ玉をパチンコ遊技機の背面に設けられる賞球タンクに供給する装置であって、金属板からなる支持基板15と、支持基板15に固着されパチンコ玉を一列に整列して流下させる整列通路16と、整列通路16と連通しその先端が賞球タンク内に臨む図示しない補給筒と、補給筒とで二股状に形成された作動腕17等とにより構成されている。また、スライド調整機構180は、賞球補給装置14及び上側遊技機固定装置140を上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するもので、その詳細については後述する。
【0031】
上側遊技機固定装置140は、図5、6に示すように、スライド調整機構180に取り付けられる取付ベース141と、取付ベース141に一体的に取り付け固定される取付部材142と、外枠9の上辺部の下面を上方に押圧して固定する押圧固定部材143と、押圧固定部材143を取付部材142に対してスライド移動可能に取り付ける螺合受部材144及び取付ボルト145と、取付部材142内に配置されて螺合受部材144を付勢するコイルスプリング146と、押圧固定部材143内に配置されて押圧固定部材143を付勢すると共に押圧固定部材143から取付ボルト145が分離するのを防止する円錐型コイルスプリング149と、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定するための固定ボルト147と、押圧固定部材143に取り付けられて外枠9の上辺部を押圧する押圧ボルト148(図6では図示省略)とを備えている。
【0032】
取付ベース141は、長板状の基板部150を備えた金属板が折曲されて形成されており、基板部150の前端側には、取付ベース141をスライド調整機構180に取り付けるための取付穴151を穿設した取付フランジ部152が折曲形成されている。基板部150には、固定ボルト147によって取付部材142を取付ベース141に固定するためのネジ穴153、154が前後2箇所に穿設されている。なお、固定ボルト147は、ネジ穴153、154のいずれか一方と螺合することで取付部材142を取付ベース141に固定するものである。また、基板部150の左右両端には、取付部材142の横幅方向の取付位置を規制するための規制フランジ155が下方に折曲形成されている(図3、4参照)。即ち、左右一対の規制フランジ155が形成された基板部150は、後述する取付部材142の左右の側壁面156を内嵌する断面凹状に形成されている。
【0033】
取付部材142は、金属板が折曲されて、左右の側壁面156、上壁面157、前壁面158及び後壁面159を備えた形状に形成されている。上壁面157には、取付ボルト145を挿通するための挿通穴160が長穴状に穿設されている。前壁面158の下端には、上側遊技機固定装置140によって外枠9を固定する際に外枠9の上辺部の上端面と当接する当接フランジ部161が形成されている。一方、後壁面159の下端には、取付部材142を取付ベース141に取り付けるための取付フランジ部162が形成されており、この取付フランジ部162には、固定ボルト147を挿通するための挿通穴163が穿設されている。そして、取付部材142は、取付フランジ部162(挿通穴163)に挿通された固定ボルト147が、上部島枠4の後端部にビス止めされた取付ベース141のネジ穴153、154のいずれか一方に捻じ込まれることで、取付ベース141に一体的に取り付け固定される。なお、このような取付部材142の取り付け状態において、上壁面157に穿設された長穴状の挿通穴160は、その条設方向が遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように配される。
【0034】
押圧固定部材143は、金属板が折曲されて、左右の側壁面164、上壁面165及び後壁面166を備えた形状に形成されている。左右の側壁面164は、取付部材142の左右の側壁面156を外嵌する形状に形成されており、その前端部は、遊技機設置空間10に設置される外枠9上辺部の後端面と当接して該後端面を支持する支持部164aを構成している。上壁面165の後側部には、取付ボルト145を取り付けるための取付穴167が穿設されている。一方、上壁面165の前端側は、前方に延設されており、その先端部は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(本実施形態では3つ)の押圧爪部168が形成されている。また、上壁面165の前側部には、ボルト取付用のネジ穴165aが穿設されている。このネジ穴165aは、押圧ボルト148の捻じ込みを可能にして、該押圧ボルト148の先端部で外枠9の上辺下面を押さえ込むようになっている。なお、押圧ボルト148及びネジ穴165aは、図5のみに示し、その他の図では省略している。後壁面166は、側壁面164に比べて高さが短く設定されており、このため、押圧固定部材143を取付部材142に取り付けた状態で、後壁面166が取付部材142を外嵌することはなく、後壁面166下端部に形成された当接部166aは、押圧固定部材143による外枠9の上辺部の押圧状態に応じて取付部材142の上壁面157と当接するようになっている。
【0035】
螺合受部材144は、前壁面169、後壁面170及び上壁面171を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材142の上壁面157と取付ベース141の基板部150との間の空間内に配置される。上壁面171には、取付ボルト145と螺合するネジ穴172が穿設されている。取付ボルト145は、螺合受部材144のネジ穴172と螺合する雄ネジ部173と、この雄ネジ部173の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト145を回転操作するための操作部174とを備えている。そして、図7に示すように、取付ボルト145の雄ネジ部173が、押圧固定部材143の取付穴167、円錐型コイルスプリング149及び取付部材142の挿通穴160に順次挿通され、この状態から、雄ネジ部173の先端部分が螺合受部材144のネジ穴172に螺合される。これにより、押圧固定部材143が、螺合受部材144及び取付ボルト145によって取付部材142に取り付けられて、上側遊技機固定装置140が組み付けられる。また、このような上側遊技機固定装置140の組み付けによって、押圧固定部材143の上壁面165と取付部材142の上壁面157との間には、円錐型コイルスプリング149が配置されることになり、この円錐型コイルスプリング149は、上壁面165が取付ボルト145の操作部174と当接するように押圧固定部材143を常時付勢する。なお、円錐型コイルスプリング149は、そのコイル巻回径が上端から下端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、下端部149aのコイル巻回径は、取付ボルト145の雄ネジ部173のネジ径とほぼ同一に設定されている。また、コイルスプリング146は、その一端が取付部材142の後壁面159と当接する一方、他端が螺合受部材144の後壁面170と当接するように取付部材142内に配置されて、螺合受部材144を常時前方に付勢するようになっている。
【0036】
次に、上記した上側遊技機固定装置140及び賞球補給装置14をそれぞれ上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するスライド調整機構180について説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、上側遊技機固定装置140をスライド調整可能に固定するスライド調整機構180についてのみ説明を行う。スライド調整機構180は、図6(A)(B)に示すように、上部島枠4にビス止めされるスライドベース181と、上側遊技機固定装置140を構成する取付ベース141の取付フランジ部152に蝶ボルト182で取り付け固定されるスペーサ183及びスライド板184と、このスライド板184に取り付けられる蝶ボルト185及びワッシャー186とから構成されている。
【0037】
スライドベース181は、断面が「L」字状に形成されると共に、その全長が外枠9の横幅とほぼ同一に形成されている。上部島枠4の上端面と面接触して固定されるスライドベース181の上壁片187には、ビス止め用の取付穴188が複数穿設され、スライドベース181の側壁片189には、スペーサ183及びスライド板184と係合するスライド溝191が上下一対の溝形成壁190によってスライドベース181の全長に亘って条設されている。
【0038】
スペーサ183は、ほぼ正方形状の平板からなり、その平板面には蝶ボルト182と螺合するネジ穴192が穿設されている。一方、スライド板184は、スペーサ183に比べて若干大きめとなる横長方形状の平板からなり、その平板面には蝶ボルト182、185と螺合するネジ穴193、194が長手方向に沿って穿設されている。そして、スペーサ183及びスライド板184は、それぞれネジ穴192、193を介して蝶ボルト182で取付ベース141の取付フランジ部152(取付穴151)に取り付け固定される。また、スペーサ183の横長寸法は、取付フランジ部152の横幅とほぼ同一に設定されており、スライド板184の横長寸法は、取付フランジ部152の横幅に比べて長めに設定されている。このため、スペーサ183は、取付フランジ部152の左右両側から突出することなく取付ベース141に固定される。これに対して、スライド板184は、取付ベース141との間にスペーサ183を挟持した状態で且つその一端側(ネジ穴194が穿設された側)が取付フランジ部152の一側端から突出した状態で固定される。そして、取付フランジ部152から突出したスライド板184の一端側部分(ネジ穴194が穿設された部分)は、蝶ボルト185及びワッシャー186の取付部195を構成するようになっている。
【0039】
しかして、上記したスライド調整機構180を構成するスライドベース181は、パチンコ島台1に設置されるパチンコ遊技機毎に各取付穴188を介して上部島枠4にビス止めして取り付けられる。次いで、このように上部島枠4に固定されたスライドベース181のスライド溝191に、上側遊技機固定装置140の取付ベース141が蝶ボルト182で固定されたスライド調整機構180のスペーサ183及びスライド板184を側方からスライド挿入することで、上側遊技機固定装置140が上部島枠4に固定されたスライドベース181に対してスライド可能に取り付けられる。そして、パチンコ遊技機を構成する外枠9の上辺部を固定する位置に上側遊技機固定装置140をスライド移動させ、この状態でスライド板184の取付部195に取り付けられた蝶ボルト185を締め付ける。これにより、スライド板184とワッシャー186との間で、スライド溝191を形成するスライドベース181の溝形成壁190を挟持することになり、結果として、上側遊技機固定装置140にて外枠9が所望の固定位置に固定される。
【0040】
次に、以上説明した上側遊技機固定装置140によってパチンコ遊技機(外枠9)を遊技機設置空間10内で傾斜角度を調整可能に固定する手順について説明する。なお、上側遊技機固定装置140の組み付けにおいて、取付部材142は、取付ベース141に対して2通りの取り付け状態のうちいずれか一方の状態で取り付けが行われる。即ち、取付部材142の取付フランジ部162に螺合された固定ボルト147を取付ベース141の基板部150に穿設された後側のネジ穴154に捻じ込んで、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定した場合には、図6(A)に示すように、取付ベース141に対して取付部材142が後側に取り付けられることで、取付ベース141がビス止めされる上部島枠4に対して押圧固定部材143が後側に配置される。このため、外枠9の奥行きが大きく設定されているとき、換言すれば、外枠9の後端面が後方に入り込んで設置されるときには、図6(A)に示す状態で押圧固定部材143を後側に配置することにより、奥行きが大きい外枠9に対応した固定作業が行える。
【0041】
一方、取付部材142の取付フランジ部162に螺合された固定ボルト147を取付ベース141の基板部150に穿設された前側のネジ穴153に捻じ込んで、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定した場合には、取付ベース141に対して取付部材142が前側に取り付けられることで、取付ベース141がビス止めされる上部島枠4に対して押圧固定部材143が前側に配置される。このため、外枠9の奥行きが小さく設定されているとき、換言すれば、外枠9の後端面が後方に入り込まずに設置されるときには、押圧固定部材143を前側に配置することにより、奥行きが小さい外枠9に対応した固定作業が行える。
【0042】
そして、上記した上側遊技機固定装置140に対して、図8(A)に示すように、外枠9の上辺上面が取付部材142の取付フランジ部161と当接された状態で遊技機設置空間10内に外枠9が挿入されると、次いで、図8(B)に示すように、外枠9の上辺部における傾斜角度を調整するための調整器具Cを用いて外枠9の傾斜角度を調整する。具体的には、調整器具Cの押圧面部C1を外枠9の上辺前面と当接させた状態で、調整器具Cの調整凹部C2が上部島枠4の前端面と当接する位置まで調整器具Cを押し込むことで、上部島枠4に対する外枠9の上辺部の前後位置を調節し、これによって外枠9の上辺部における傾斜角度を調整する。つまり、調整器具Cは、パチンコ遊技機が所望の傾斜角度に設定できるよう、調整凹部C2の奥行き寸法がそれぞれ異なった複数種類のものが予め設けられている。但し、この場合、外枠9の下辺部を固定したことを前提として、外枠9の上辺部を前後方向に位置調節することで傾斜角度の調整が行われるものである。また、このとき、押圧固定部材143は、押圧爪部168による外枠9の押圧を解除した状態にあり、取付部材142の挿通穴160に対する取付ボルト145の移動方向、換言すれば、遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向に沿ってスライド移動が可能となっている。従って、調整器具Cによって外枠9が後方に押し込まれる際、これに伴って、押圧固定部材143は、側壁面164の前端部である支持部164aが外枠9の上辺後端面と当接した状態でコイルスプリング146の付勢力に抗して後方にスライド移動する。
【0043】
その後は、図8(C)に示すように、取付ボルト145の雄ネジ部173を螺合受部材144のネジ穴172に捻じ込むことで、重力及び円錐型コイルスプリング149の付勢力に抗して押圧固定部材143を取付部材142に近づく方向(上方向)に移動させ、最終的に、押圧爪部168が外枠9の上辺下面に刺し込まれながら当該上辺下面を上方に押し込む位置まで押圧固定部材143を移動させ、これによって、押圧固定部材143(押圧爪部168)と取付部材142の当接フランジ部161との間で外枠9の上辺部を挟持固定する。また、このとき、必要に応じて押圧固定部材143のネジ穴165aに押圧ボルト148を捻じ込むことで(図5参照)、押圧ボルト148の先端部でも外枠9の上辺下面を押さえ込む。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を上側遊技機固定装置140で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部168の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。但し、外枠9がプラスチック製等、比較的硬質な材料で形成されている場合には、押圧ボルト148に替えてビスを押圧固定部材143のネジ穴165aに捻じ込んでビス止めするようにすれば、より強固に外枠9の固定を行うことができる。
【0044】
なお、押圧固定部材143の押圧爪部168によって外枠9を下方から押圧して固定する際、押圧爪部168を介して外枠9の上辺下面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部168による押圧状態で、押圧固定部材143の後壁面166の当接部166aは、取付部材142の上壁面157と当接するようになっており、さらに円錐型コイルスプリング149が収縮し、押圧固定部材143を取付部材142から遠ざける方向(下方向)に円錐型コイルスプリング149の付勢力が作用するようになっている。このため、押圧固定部材143の一端部である押圧爪部168にかかる強い反力は、押圧固定部材143の他端部である当接部166aと当接する取付部材142の上壁面157で受けられると共に円錐型コイルスプリング149で受けられるので、押圧固定部材143が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0045】
また、上側遊技機固定装置140は、取付部材142内に配置されて螺合受部材144を前方に付勢するコイルスプリング146を備えた構成となっている。このため、取付ボルト145を介して螺合受部材144と一体的に取り付けられる押圧固定部材143も同様に、コイルスプリング146の弾性力によって前方に付勢されるようになっている。従って、パチンコ遊技機(外枠9)を固定する場合、外枠9の上辺部の後端面を支持する押圧固定部材143の支持部164aは、常に外枠9の上辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の上辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになる。その結果、押圧固定部材143の支持部164aと外枠9の上辺部の後端面とを密着させることで、外枠9を確実に支持した状態で上側遊技機固定装置140によるパチンコ遊技機(外枠9)の固定を行うことができる。
【0046】
さらには、コイルスプリング146の弾性力によって押圧固定部材143を前方に付勢する構成とすることで、パチンコ遊技機を固定していない状態で、常に押圧固定部材143をスライド移動可能な最前方位置に移動させておくことができる。このため、遊技機設置空間10へのパチンコ遊技機の取り付け及び取り外し作業毎で押圧固定部材143を後方位置から前方に戻すような煩雑な作業が不要になる。しかも、入れ替えて設置するパチンコ遊技機(外枠9)の奥行きが入れ替え前のものと異なるような場合でも、押圧固定部材143の支持部164aは、常に外枠9の上辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の上辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになるので、外枠9の奥行きに応じて押圧固定部材143を前後方向に移動調整する必要がなくなり、外枠9の固定作業を容易にできる。なお、パチンコ遊技機の固定作業が不慣れな作業員の場合、押圧固定部材143の支持部164aと外枠9の上辺部の後端面との間で隙間が生じてしまい、外枠9の支持状態が不安定のままパチンコ遊技機を固定してしまうようなこともあり得るが、上記した構成であれば、固定作業の熟練度合いに関わらず確実な支持状態でパチンコ遊技機を固定することができる。
【0047】
また、上記した構成によれば、コイルスプリング146の弾性力によって押圧固定部材143の支持部164aが前後方向に移動する場合、これに伴って押圧固定部材143の押圧爪部168も一体的に前後方向に移動するようになっている。このため、上側遊技機固定装置140は、奥行きが異なったパチンコ遊技機(外枠9)を固定する際でも、外枠9の上辺部の後端面から所定の前方位置を押圧することになる。その結果、外枠9の奥行きが極端に短く設定される、あるいは傾斜角度の調整として外枠9を極端に前側に移動させることで、支持部164aの位置をかなり前方に移動させる必要がある場合でも、押圧爪部168による外枠9の固定位置が後端になってしまうことを回避することができ、確実に外枠9を固定することができる。
【0048】
ところで、パチンコ遊技機の入れ替えにより、上側遊技機固定装置140により遊技機設置空間10に設置されている入れ替え前のパチンコ遊技機を取り外す場合、本来は、図9(A)に示す状態で、押圧固定部材143からの取付ボルト145の外れ具合を目視しながら徐々に回転させて、図9(B)に示すように、押圧固定部材143が上側遊技機固定装置140(取付部材142)から離脱しないように使用すべきところを、不慣れな作業者は、電動工具等で加減せずに取付ボルト145(操作部174)を一気に回転させ、その結果、図9(C)に示すように、取付ボルト145の雄ネジ部173が螺合受部材144のネジ穴172から外れ、このため押圧固定部材143が上側遊技機固定装置140(取付部材142)から離脱してしまうことがある。しかしながら、本実施形態の上側遊技機固定装置140では、円錐型コイルスプリング149は、そのコイル巻回径が上端から下端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、下端部149aのコイル巻回径は、取付ボルト145の雄ネジ部173のネジ径とほぼ同一に設定されている。このため、円錐型コイルスプリング149は、下端部149aが押圧固定部材143の上壁面165と当接するように雄ネジ部173に係止された状態で押圧固定部材143と取付部材142との間に配置されることになる。
【0049】
即ち、本実施形態の上側遊技機固定装置140は、図9(C)に示すように、押圧固定部材143の取付穴167より大きく形成された取付ボルト145の操作部174と円錐型コイルスプリング149とにより押圧固定部材143を挟持する状態で、押圧固定部材143、取付ボルト145及び円錐型コイルスプリング149が組み付けられて一体的に形成されている。従って、不慣れな作業者が取付ボルト145を一気に回転させて押圧固定部材143を上側遊技機固定装置140(取付部材142)から離脱させても、取付ボルト145がその自重により押圧固定部材143から抜け落ちて分離したり、円錐型コイルスプリング149が取付ボルト145から外れ不意に飛び出して分離したりしてしまうこと、つまり、押圧固定部材143を上側遊技機固定装置140から離脱させても、取付ボルト145及び円錐型コイルスプリング149が押圧固定部材143から分離することを防止している。従って、パチンコ遊技機の入れ替え作業の際、取付ボルト145及び円錐型コイルスプリング149が押圧固定部材143から分離し、パチンコ島台1の玉貯留タンク等の装置に落下して貯留されているパチンコ玉に紛れ込み、取付ボルト145や円錐型コイルスプリング149を紛失してしまうということを防止でき、その結果、パチンコ島台1内において、紛失した取付ボルト145や円錐型コイルスプリング149が原因で、玉詰まりや循環装置等を故障させたりするトラブルを回避することができる。
【0050】
さらに、円錐型コイルスプリング149は、工具を使用することなく、容易に取付ボルト145の雄ネジ部173に着脱して該取付ボルト145に取り付け又は取り外すことができ、また、形状が円錐状になっているので、取付ボルト145に取り付ける際の操作が行いやすく、且つ押圧固定部材143の上壁面165と取付部材142の上壁面157との間に配置されたときの安定性が非常によい。加えて、円錐型コイルスプリング149は、重量も軽く、取付ボルト145の操作部174を回転させても雄ネジ部173から脱落することなく、下端部149aが雄ネジ部173に係止された状態を維持することができる。
【0051】
次に、下側遊技機固定装置300の構成について図10〜12を参照して説明する。図10(A)は、下側遊技機固定装置300を示す斜視図であり、図10(B)は、下側遊技機固定装置300を示す一部分解斜視図であり、図10(C)は、下側遊技機固定装置300を示す分解斜視図であり、図11(A)〜(D)は、下側遊技機固定装置300の押圧固定部材303の作用状態を示す縦断面図であり、図12(A)〜(C)は、下側遊技機固定装置300から押圧固定部材303、取付ボルト305、円錐型コイルスプリング307を分離した状態を示す縦断面図である。
【0052】
下側遊技機固定装置300は、上記図1、2の説明で記載したように、アウト玉計数ボックス12と共に下部島枠5(支承板7)に取り付けられる。なお、下部島枠5に取り付けられる下側遊技機固定装置300及びアウト玉計数ボックス12についても、前述した上側遊技機固定装置140と同様に、スライド調整機構180を介して下部島枠5に取り付けることで、下部島枠5に対してスライド調整可能に固定するようにしてもよい。
【0053】
下側遊技機固定装置300は、図10(A)〜(C)に示すように、下部島枠5の上面に取付ベース301を介して固定されるベース部材308と、ベース部材308の上側に取り付けられる取付部材302と、外枠9の下辺部の上面を下方に押圧することで外枠9の下辺部を固定する押圧固定部材303と、押圧固定部材303を取付部材302の上側に取り付ける螺合受部材304及び取付ボルト305とを備えている。ベース部材308は、取付ベース301と一体的に下部島枠5に取り付けられるようになっており、押圧固定部材303は、取付部材302に対してスライド移動可能に取り付けられるようになっている。また、下側遊技機固定装置300は、後に詳述する円錐型コイルスプリング307及びコイルスプリング309も備えている。
【0054】
取付ベース301は、長方形状の木材からなり、外枠9の高さが異なる場合(外枠9には関東枠と関西枠の2種類あり、関東枠は関西枠より10ミリ程度高さが短い)のスペーサの役割を果たしている。また、取付ベース301には、下部島枠5にビス止めするための取付穴310が6箇所穿設されている。ベース部材308は、取付ベース301に穿設された6つの取付穴310と対応する6つの取付穴330が穿設された長方形状の金属板からなる。また、ベース部材308の後端部には、固定ボルト306を介して取付部材302をベース部材308に取り付けるための固定穴331が穿設される一方、ベース部材308の前端部には、取付部材302を係止するT字状の係止突片332が立設されている。なお、T字状をなす係止突片332の上辺部を形成する左右の突出部は、後述する左右一対の係合突起313の上下位置決め係合部313aと係合する上下位置決め係止部332aを構成しており、この上下位置決め係止部332aと上下位置決め係合部313aとの係合によって、取付部材302をベース部材308に対して上下方向で位置決め固定するようになっている。また、T字状をなす係止突片332の垂直基部の両端部は、左右一対の係合突起313の左右位置決め係合部313bと係合する左右位置決め係止部332bを構成しており、この左右位置決め係止部332bと左右位置決め係合部313bとの係合によって、取付部材302をベース部材308に対して左右方向で位置決め固定するようになっている。
【0055】
取付部材302は、金属板が折曲されて、上壁面311、左右の側壁面312a及び後壁面312bを備えた形状に形成されている。上壁面311には、取付ボルト305を挿通するための挿通穴311aが長穴状に穿設されている。左右の側壁面312a前端には、ベース部材308の係止突片332と係合する左右一対の係合突起313が形成されている。係合突起313の上端部は、ベース部材308の上下位置決め係止部332aと係合する上下位置決め係合部313aを構成しており、係合突起313の内壁部分は、ベース部材308の左右位置決め係止部332bと係合する左右位置決め係合部313bを構成している。また、後壁面312bの下端には、取付部材302をベース部材308に固定ボルト306で固定するための固定フランジ部333が後方に向かって延設形成されており、この固定フランジ部333には、ベース部材308に穿設された固定穴331と対応する取付穴333aが穿設されている。
【0056】
そして、取付ベース301及びベース部材308は、取付穴310、330を介して下部島枠5に一体的にビス止めして取り付けられる。また、このようにして下部島枠5上に取り付けられたベース部材308に対して、取付部材302が取り付けられる。具体的には、ベース部材308の係止突片332(上下位置決め係止部332a、左右位置決め係止部332b)に対して、取付部材302の係合突起313(上下位置決め係合部313a、左右位置決め係合部313b)が係止されると共に、ベース部材308の固定穴331に対して、取付部材302の固定フランジ部333に設けられた取付穴333aが固定ボルト306で固定されることで、ベース部材308上に取付部材302が取り付けられる。なお、取付部材302は、長穴状の挿通穴311aの条設方向が遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように取り付けられる。
【0057】
押圧固定部材303は、金属板が折曲されて、左右の側壁面314、上壁面315及び後壁面316を備えた形状に形成されている。左右の側壁面314は、取付部材302の左右の側壁面312aを外嵌する形状に形成されており、その前端部は、遊技機設置空間10に設置される外枠9の下辺部の後端面と当接して該後端面を支持する支持部314aを構成している。上壁面315の後側寄り部分には、取付ボルト305を取り付けるための取付穴317が穿設されている。一方、上壁面315の前端側は、遊技機設置空間10に設置される外枠9下辺部の上方の位置まで延設されており、その先端部は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(本実施形態では3つ)押圧爪部318が形成されている。また、上壁面315の前端部には、必要に応じて使用されるボルト取付用のネジ穴319が穿設されている。このネジ穴319は、押圧ボルト(図示省略)の捻じ込みを可能にして、該押圧ボルトの先端部で外枠9の下辺上面を補助的に押さえ込むようになっている。後壁面316は、側壁面314に比べて高さが短く設定されている。このため、押圧固定部材303を取付部材302に取り付けた状態で、左右の側壁面314が取付部材302の左右の側壁面312aを外嵌することができるようになっており、後壁面316下端部に形成された当接部316aは、押圧固定部材303による外枠9の下辺部の押圧状態に応じて取付部材302の上壁面311と当接するようになっている。
【0058】
螺合受部材304は、前壁面320a、後壁面320b及び上壁面321を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材302の上壁面311とベース部材308との間の空間内に配置される。上壁面321には、取付ボルト305と螺合するネジ穴322が穿設されている。なお、螺合受部材304の後壁面320bと取付部材302の後壁面312bとの間には、コイルスプリング309が配置される。これにより、螺合受部材304は、コイルスプリング309の弾性力によって、常時前方に付勢されるようになっている。取付ボルト305は、螺合受部材304のネジ穴322と螺合する雄ネジ部323と、この雄ネジ部323の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト305を回転操作するための操作部324とを備えている。
【0059】
そして、図10(C)に示すように、取付ボルト305の雄ネジ部323が、押圧固定部材303の取付穴317、円錐型コイルスプリング307及び取付部材302の挿通穴311aに順次挿通され、この状態から、雄ネジ部173の先端部分が螺合受部材304のネジ穴322に螺合される。これにより、押圧固定部材303が、螺合受部材304及び取付ボルト305によって取付部材302に取り付けられて、下側遊技機固定装置300が組み付けられる。また、このような下側遊技機固定装置300の組み付けによって、押圧固定部材303の上壁面315と取付部材302の上壁面311との間には、円錐型コイルスプリング307が配置されることになり、この円錐型コイルスプリング307は、上壁面315が取付ボルト305の操作部324と当接するように押圧固定部材303を常時付勢する。なお、円錐型コイルスプリング307は、そのコイル巻回径が下端から上端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、上端部307aのコイル巻回径は、取付ボルト305の雄ネジ部323のネジ径とほぼ同一に設定されている。また、螺合受部材304の後壁面320bと取付部材302の後壁面312bとの間に配置されたコイルスプリング309は、前述したように螺合受部材304を常時前方に付勢するものであるが、この螺合受部材304と取付ボルト305とによって連結される押圧固定部材303も常時前方に付勢するものである。
【0060】
しかして、以上説明した下側遊技機固定装置300によって外枠9の下辺部を遊技機設置空間10に固定する場合、図11(A)に示すように、まず、外枠9を遊技機設置空間10の前方から差し入れる。このとき、取付ボルト305の雄ネジ部323が螺合受部材304のネジ穴322に対して緩めることで、押圧固定部材303は、円錐型コイルスプリング307の付勢力によって取付部材302から遠ざかる方向(上方向)に移動されている。これにより、螺合受部材304に対する取付ボルト305の捻じ込みを弱めた状態でも、押圧固定部材303の押圧爪部318が自重によって下方に落ち込むことを回避できる。従って、外枠9を遊技機設置空間10に対して前方から挿入する際でも、外枠9の遊技機設置空間10内への挿入を阻害しない位置に押圧爪部318を移動させておくことができ、外枠9の固定作業を容易にできる。
【0061】
また、このとき、押圧固定部材303は、取付ボルト305(雄ネジ部323)のネジ穴322に対する捻じ込みが緩められ、しかも、外枠9に対して押圧爪部318が当接して押圧していない状態にあるため、取付部材302の挿通穴311aに対する取付ボルト305の移動方向、換言すれば、遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向に沿ってスライド移動が可能となっている。そして、図11(B)(C)に示すように、外枠9の下辺部を支承板7上で前後方向に移動調整することで、下部島枠5に対する外枠9の下辺部の前後位置を調節し、これによって外枠9の下辺部におけるパチンコ遊技機の傾斜角度を調節する。但し、この場合、外枠9の上辺部を固定したことを前提として、外枠9の下辺部を前後方向に位置調節することで傾斜角度の調整が行われるものである。また、外枠9の下辺部を前後方向に移動する際、これに伴って、押圧固定部材303は、側壁面314の前端部である支持部314aが外枠9の下辺後端面と当接した状態でコイルスプリング309の不勢力に抗して後方にスライド移動したり、前方にスライド移動したりする。
【0062】
その後、図11(D)に示すように、外枠9の下辺部における前後位置を調節することで、パチンコ遊技機の傾斜角度の調整が完了すると、取付ボルト305の雄ネジ部323を螺合受部材304のネジ穴322に捻じ込むことで、円錐型コイルスプリング307の付勢力に抗して押圧固定部材303を取付部材302に近づく方向(下方向)に移動し、最終的に、押圧爪部318が外枠9の下辺上面に刺し込まれながら押圧固定部材303を移動させる。これによって、押圧固定部材303(押圧爪部318)と支承板7との間で外枠9の下辺部を挟持固定する。また、このとき、必要に応じて押圧固定部材303のネジ穴319に押圧ボルト(図示省略)を捻じ込むことで、押圧ボルトの先端部でも外枠9の下辺上面を補助的に押さえ込むことができる。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を下側遊技機固定装置300で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部318の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。但し、外枠9がプラスチック製等、比較的硬質な材料で形成されている場合には、この押圧ボルトに替えてビスを押圧固定部材303のネジ穴319に捻じ込んでビス止めするようにすれば、より強固に外枠9の固定を行うことができる。
【0063】
なお、押圧固定部材303の押圧爪部318によって外枠9を上方から押圧して固定する際、押圧爪部318を介して外枠9の下辺上面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部318による押圧状態で、押圧固定部材303の後壁面316の当接部316aは、取付部材302の上壁面311と当接するようになっており、さらに円錐型コイルスプリング307が収縮し、押圧固定部材303を取付部材302から遠ざける方向(上方向)に円錐型コイルスプリング307の付勢力が作用するようになっている。このため、押圧固定部材303の一端部である押圧爪部318にかかる強い反力は、押圧固定部材303の他端部である当接部316aと当接する取付部材302の上壁面311で受けられると共に円錐型コイルスプリング307で受けられるので、押圧固定部材303が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0064】
また、下側遊技機固定装置300においても、前述した上側遊技機固定装置140と同様に、取付部材302内に配置されて螺合受部材304を前方に付勢するコイルスプリング309を備えた構成となっている。このため、取付ボルト305を介して螺合受部材304と一体的に取り付けられる押圧固定部材303も同様に、コイルスプリング309の弾性力によって前方に付勢されるようになっている。従って、パチンコ遊技機(外枠9)を固定する場合、外枠9の下辺部の後端面を支持する押圧固定部材303の支持部314aは、常に外枠9の下辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の下辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになる。その結果、押圧固定部材303の支持部314aと外枠9の下辺部の後端面とを密着させることで、外枠9を確実に支持した状態で下側遊技機固定装置300によるパチンコ遊技機(外枠9)の固定を行うことができる。
【0065】
さらには、コイルスプリング309の弾性力によって押圧固定部材303を前方に付勢する構成とすることで、パチンコ遊技機を固定していない状態で、常に押圧固定部材303をスライド移動可能な最前方位置に移動させておくことができる。このため、遊技機設置空間10へのパチンコ遊技機の取り付け及び取り外し作業毎で押圧固定部材303を後方位置から前方に戻すような煩雑な作業が不要になる。しかも、入れ替えて設置するパチンコ遊技機(外枠9)の奥行きが入れ替え前のものと異なるような場合でも、押圧固定部材303の支持部314aは、常に外枠9の下辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の下辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになるので、外枠9の奥行きに応じて押圧固定部材303を前後方向に移動調整する必要がなくなり、外枠9の固定作業を容易にできる。なお、パチンコ遊技機の固定作業が不慣れな作業員の場合、押圧固定部材303の支持部314aと外枠9の下辺部の後端面との間で隙間が生じてしまい、外枠9の支持状態が不安定のままパチンコ遊技機を固定してしまうようなこともあり得るが、上記した構成であれば、固定作業の熟練度合いに関わらず確実な支持状態でパチンコ遊技機を固定することができる。
【0066】
また、上記した構成によれば、コイルスプリング309の弾性力によって押圧固定部材303の支持部314aが前後方向に移動する場合、これに伴って押圧固定部材303の押圧爪部318も一体的に前後方向に移動するようになっている。このため、下側遊技機固定装置300は、奥行きが異なったパチンコ遊技機(外枠9)を固定する際でも、外枠9の下辺部の後端面から所定の前方位置を押圧することになる。その結果、外枠9の奥行きが極端に短く設定される、あるいは傾斜角度の調整として外枠9を極端に前側に移動させることで、支持部314aの位置をかなり前方に移動させる必要がある場合でも、押圧爪部318による外枠9の固定位置が後端になってしまうことを回避することができ、確実に外枠9を固定することができる。
【0067】
ところで、パチンコ遊技機の入れ替えにより、下側遊技機固定装置300により遊技機設置空間10に設置されている入れ替え前のパチンコ遊技機を取り外す場合、本来は、図12(A)に示す状態で、押圧固定部材303からの取付ボルト305の外れ具合を目視しながら徐々に回転させて、図12(B)に示すように、押圧固定部材303が下側遊技機固定装置300(取付部材302)から離脱しないように使用すべきところを、不慣れな作業者は、電動工具等で加減せずに取付ボルト305(操作部324)を一気に回転させ、その結果、図12(C)に示すように、取付ボルト305の雄ネジ部323が螺合受部材304のネジ穴322から外れ、このため押圧固定部材303が下側遊技機固定装置300(取付部材302)から離脱してしまうことがある。しかしながら、本実施形態の下側遊技機固定装置300では、円錐型コイルスプリング307は、そのコイル巻回径が下端から上端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、上端部307aのコイル巻回径は、取付ボルト305の雄ネジ部323のネジ径とほぼ同一に設定されている。このため、円錐型コイルスプリング307は、上端部307aが押圧固定部材303の上壁面315と当接するように雄ネジ部323に係止された状態で押圧固定部材303と取付部材302との間に配置されることになる。
【0068】
即ち、本実施形態の下側遊技機固定装置300は、図12(C)に示すように、押圧固定部材303の取付穴317より大きく形成された取付ボルト305の操作部324と円錐型コイルスプリング307とにより押圧固定部材303を挟持する状態で、押圧固定部材303、取付ボルト305及び円錐型コイルスプリング307が組み付けられて一体的に形成されている。従って、不慣れな作業者が取付ボルト305を一気に回転させて押圧固定部材303を下側遊技機固定装置300(取付部材302)から離脱させても、取付ボルト305が押圧固定部材303から抜け落ちて分離したり、円錐型コイルスプリング307が取付ボルト305から外れ不意に飛び出して分離したりしてしまうこと、つまり、押圧固定部材303を下側遊技機固定装置300から離脱させても、取付ボルト305及び円錐型コイルスプリング307が押圧固定部材303から分離することを防止している。従って、パチンコ遊技機の入れ替え作業の際、取付ボルト305及び円錐型コイルスプリング307が押圧固定部材303から分離し、パチンコ島台1の玉貯留タンク等の装置に落下して貯留されているパチンコ玉に紛れ込み、取付ボルト305や円錐型コイルスプリング307を紛失してしまうということを防止でき、その結果、パチンコ島台1内において、紛失した取付ボルト305や円錐型コイルスプリング307が原因で、玉詰まりや循環装置等を故障させたりするトラブルを回避することができる。
【0069】
さらに、円錐型コイルスプリング307は、工具を使用することなく、容易に取付ボルト305の雄ネジ部323に着脱して該取付ボルト305に取り付け又は取り外すことができ、また、形状が円錐状になっているので、取付ボルト305に取り付ける際の操作が行いやすく、且つ押圧固定部材303の上壁面315と取付部材302の上壁面311との間に配置されたときの安定性が非常によい。加えて、円錐型コイルスプリング307は、重量も軽く、取付ボルト305の操作部324を回転させても雄ネジ部323から脱落することなく、上端部307aが雄ネジ部323に係止された状態を維持することができる。
【0070】
以上の説明から明らかなように、このような本実施形態に係るパチンコ遊技機の固定装置(上側遊技機固定装置140、下側遊技機固定装置300)の構成によれば、以下のような効果を奏する。
(1)パチンコ遊技機の入れ替え作業の際、入れ替えて設置するパチンコ遊技機(外枠9)の奥行きが入れ替え前のものと異なるような場合でも、外枠9の奥行きに応じて押圧固定部材143、303を前後方向に移動調整する必要がなく、遊技機設置空間10に対する外枠9の挿入度合いを調整するだけでよいので、その結果、パチンコ遊技機(外枠9)の固定作業を容易に行うことができ、パチンコ遊技機の入れ替え作業をスムーズに行うことができる。
(2)パチンコ遊技機を遊技機設置空間10に固定する際、押圧固定部材143、303の押圧爪部168、318は、外枠9の奥行きの大きさに関わらず、外枠9の後端面から所定の前方位置を押圧することができ、その結果、確実にパチンコ遊技機(外枠9)を遊技機設置空間10に固定することができる。
(3)パチンコ遊技機の傾斜角度を調整するには、押圧固定部材143、303をパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向と並行にスライド移動させて支持部164a、314aの位置を調整した後、取付ボルト145、305を捻じ込み操作するだけでよく、その結果、パチンコ遊技機の傾斜角度を容易に調整することができる。
(4)パチンコ遊技機(外枠9)の固定により押圧固定部材143、303の押圧爪部168、318を介して外枠9から強い反力を受けた場合であっても、押圧固定部材143、303の後壁面166、316の当接部166a、316aは、取付部材142、302の上壁面157、311と当接し、さらに円錐型コイルスプリング149、307が収縮するので、この押圧爪部168、318にかかる強い反力は、取付部材142、302の上壁面157、311で受けられると共に円錐型コイルスプリング149、307で受けられるので、その結果、押圧固定部材143、303が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
(5)円錐型コイルスプリング149、307は、その一端部(下端部149a、上端部307a)のコイル巻回径が取付ボルト145、305の雄ネジ部173、323のネジ径とほぼ同一に設定され、当該一端部(下端部149a、上端部307a)が押圧固定部材143、303の上壁面165、315と当接するように雄ネジ部173、323に係止された状態で、押圧固定部材143、303と取付部材142、302との間に配置されているので、即ち、押圧固定部材143、303、取付ボルト145、305及び円錐型コイルスプリング149、307は、一体的に組み付けられて形成されているので、パチンコ遊技機の入れ替え作業や遊技機固定装置140、300の保守作業等の際、不慣れな作業者が取付ボルト145、305を一気に回転させて押圧固定部材143、303を遊技機固定装置140、300から離脱させても、取付ボルト145、305及び円錐型コイルスプリング149、307が押圧固定部材143、303から分離してしまうことを防止できるので、その結果、取付ボルト145、305及び円錐型コイルスプリング149、307がパチンコ島台1内に紛れ込んで、当該パチンコ島台1を構成する各種装置が正常に機能しなくなる不具合を回避することができる。特に、上側遊技機固定装置140においては、取付ボルト145がその自重により押圧固定部材143から抜け落ちる虞が高いので、このような押圧固定部材143からの取付ボルト145の分離を、円錐型コイルスプリング149により確実に防止することが可能となる。
(6)円錐型コイルスプリング307は、取付ボルト305の捻じ込みを弱めた状態では、その付勢力によって押圧固定部材303を取付部材302から遠ざかる方向(上方向)に移動させるので、押圧固定部材303の押圧爪部318が自重によって下方に落ち込むことを回避でき、その結果、パチンコ遊技機(外枠9)を遊技機設置空間10に対して前方から挿入する際、パチンコ遊技機(外枠9)の遊技機設置空間10内への挿入を阻害しない位置に押圧爪部318を移動させておくことができ、パチンコ遊技機(外枠9)の固定作業を容易にすることができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態に係わるパチンコ遊技機の固定装置(上側遊技機固定装置140、下側遊技機固定装置300)を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。例えば、上述した実施形態においては、固定装置の対象物は、パチンコ遊技機で説明したが、これは限定するものではなく、アレパチ、雀球等の遊技機に本発明を適用するようにしてもよく、その他の対象物であってもよい。また、円錐型コイルスプリング149、307は、その他の弾性部材、例えばゴム等の材料で形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…パチンコ島台(遊技島台)、
4…上部島枠(上部島枠)、
5…下部島枠(上部島枠)、
9…外枠(外枠)、
10…遊技機設置空間(遊技機設置空間)、
140…上側遊技機固定装置(固定装置)、
143、303…押圧固定部材(固定物)、
145、305…取付ボルト(螺軸部材)、
149、307…円錐型コイルスプリング(分離防止部材、分離防止部材の挿通穴、コイルスプリング)、
149a…下端部(係止部)、
167、317…取付穴(固定物の挿通穴)、
173、323…雄ネジ部(軸部)、
174、324…操作部(頭部)、
300…下側遊技機固定装置(固定装置)、
307a…上端部(係止部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を設置する島台等の対象物に固定物をボルトで螺着して取り付けると共に、固定物を対象物から取り外した際に固定物とボルトとが分離するのを防止する分離防止部材を備えた固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からパチンコ機等の遊技機は、島台に設けられる長尺板状の上部島枠と下部島枠との間に形成される設置空間に設置され、前後方向への傾斜角度を付けて島台に固定されるようになっている。この傾斜角度の調整如何によって、遊技機の出玉が大きく左右されることになり、従って、該傾斜角度の調整は、遊技場における重要な作業となっている。
【0003】
ところで、遊技機を島台に取り付けるには、一般的に、遊技機を構成する外枠の上辺部及び下辺部を釘打ちすることにより行われている。しかしながら、この遊技機の固定作業は、垂直に起立した状態から1度後側に傾けた範囲の中で遊技機を取り付けなければならず、従って、この遊技機の固定作業は困難を極め、熟練を要する作業となっていた。
【0004】
また、最近では、この遊技機の固定作業を容易にするため、外枠の上辺部を釘等で島台に固定する一方、外枠の下辺部を所定の固定装置で傾斜角度を調整しながら固定する技術が提案されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、遊技機の外枠は、その奥行きがメーカー毎で様々に異なっており、このため、これらの技術では、遊技機の入れ替えの際、以前の遊技機と奥行きが大きく異なるような場合には、遊技機の島台への取り付けは非常に煩わしい作業になるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−42253号公報
【特許文献2】特開2006−314653号公報
【特許文献3】登録実3130005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本出願人は、このような問題点を改善するため、特願2011−20917号に示す遊技機の固定装置を出願した。この技術は、遊技機固定装置の押圧固定部材を弾性部材により前後方向にスライド自在に設け、所定の傾斜角度になったらボルトで該押圧固定部材を固定装置本体に固定することにより遊技機を島台に取り付けるようになっている。従って、この技術によれば、以前の遊技機と奥行きが大きく異なる遊技機であっても、所望の傾斜角度で容易に該遊技機を島台に取り付けることが可能になる。
【0007】
しかし、この固定装置を採用して遊技機の入れ替え作業を行う場合、本来はボルトの外れ具合を目視しながら徐々に回転させて押圧固定部材が固定装置本体から離脱しないように使用すべきところを、不慣れな作業者は、電動工具等で加減せずにボルトを一気に回転させ、その結果、ボルトが固定装置から外れ、このため押圧固定部材が固定装置本体から離脱してしまい、その際に押圧固定部材に挿入されているボルトも押圧固定部材から分離し、島台内の玉貯留タンク等に落下してしまうという問題点があった。ボルトが玉貯留タンクに落下すると、貯留されている玉に紛れ込んでボルトを探すのが困難であり、ボルトが見つからない場合には、島台内で玉詰まりの原因になったり、装置を故障させたりする虞がある。
【0008】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、遊技機を設置する島台等の対象物に固定物をボルトで螺着して取り付けると共に、対象物からボルトを外して固定物を対象物から取り外した場合であっても、固定物とボルトとが分離することがなく、これによりボルトを紛失してしまうことを防止できる分離防止部材を備えた固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様な問題を解決するために、本発明の固定装置は、請求項1に記載したように、螺旋状の溝が設けられた軸部と、該軸部の一端に該軸部の径より大きく形成された頭部とを備え、対象物に固定物を取り付ける際に、前記軸部を挿通すると共に前記頭部を不通とする大きさに設けられた前記固定物の挿通穴に前記軸部を挿通し、前記頭部を操作することにより前記軸部を捻じ込んで前記固定物を前記対象物に取り付ける螺軸部材と、該螺軸部材の前記頭部を操作することにより前記軸部の捻じ込みを緩めることによって前記固定物を前記対象物から取り外す際に、該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止する分離防止部材と、を備えた固定装置であって、前記分離防止部材は、前記軸部を挿通する挿通穴を備えると共に、該挿通穴の一端側が前記軸部とほぼ同径に形成された係止部を備え、前記対象物に前記固定物を取り付ける際に、前記分離防止部材を前記対象物と前記固定物との間に配置し、前記螺軸部材の軸部を前記分離防止部材の前記挿通穴に挿通させることにより、前記分離防止部材の前記係止部が前記螺軸部材の前記軸部に係止して該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止することを要旨とする。
【0010】
また、請求項2に記載の固定装置は、請求項1に記載の固定装置において、前記分離防止部材の前記係止部は、前記螺軸部材の前記軸部の前記固定物よりも先端側と係止し、該係止部と該頭部とで前記固定物を挟持することを要旨とする。
【0011】
また、請求項3に記載の固定装置は、請求項1又は請求項2に記載の固定装置において、前記分離防止部材は、コイルスプリングであり、該コイルスプリングは、コイル巻回径がその一端側から他端の前記係止部側にかけて徐々に縮径したとぐろ状に形成されて、前記螺軸部材の前記軸部を巻回するように配置されることを要旨とする。
【0012】
また、請求項4に記載の固定装置は、請求項3に記載の固定装置において、前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の下辺部を固定するものであって、該固定物は、前記軸部を、上方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の下辺部と当接して該外枠を下方の前記下部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の下辺部を前記遊技機設置空間に固定することを要旨とする。
【0013】
また、請求項5に記載の固定装置は、請求項3に記載の固定装置において、前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の上辺部を固定するものであって、該固定物は、前記軸部を、下方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の上辺部と当接して該外枠を上方の前記上部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の上辺部を前記遊技機設置空間に固定することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、固定装置は、ボルト等の螺軸部材と分離防止部材とからなり、螺軸部材は、螺旋状の溝が設けられた軸部と、この軸部の一端に該軸部の径より大きく形成された頭部とを備え、対象物に固定物を取り付ける際に、軸部を挿通すると共に頭部を不通とする大きさに設けられた固定物の挿通穴に軸部を挿通し、頭部を回転等の操作をすることにより軸部を捻じ込んで固定物を対象物に取り付ける。一方、分離防止部材は、螺軸部材の頭部を操作することにより軸部の捻じ込みを緩めることによって固定物を対象物から取り外す際に、固定物と螺軸部材とが分離するのを防止する。
【0015】
そして、このように構成される本発明の固定装置において、分離防止部材は、螺軸部材の軸部を挿通する挿通穴を備えると共に、この挿通穴の一端側が螺軸部材の軸部とほぼ同径に形成された係止部を備えている。しかして、螺軸部材の軸部を固定物の挿通穴及び分離防止部材の挿通穴に挿通し、螺軸部材の頭部を操作することにより螺軸部材を捻じ込んで固定物を対象物に取り付ける際に、分離防止部材が対象物と固定物との間に位置し、分離防止部材の係止部が螺軸部材の軸部に係止する。即ち、螺軸部材を捻じ込んで固定物を対象物に取り付けたとき、固定物と螺軸部材とが分離防止部材により一体的に組み付けられ、これにより固定物と螺軸部材とが分離するのを防止するようになっている。
【0016】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、不慣れな作業者が螺軸部材の頭部を操作し、螺軸部材を緩めることによって固定物を対象物から取り外す際に、固定物から螺軸部材が抜け落ちたりして固定物と螺軸部材とが分離してしまうことがなく、その結果、螺軸部材を紛失してしまうことを防止することができる。
【0017】
請求項2の固定装置は、螺軸部材を捻じ込んで固定物を対象物に取り付けたとき、分離防止部材は対象物と固定物との間に位置しているので、分離防止部材の係止部が螺軸部材の軸部の固定物よりも先端側と係止し、これにより、固定物は、螺軸部材の軸部とほぼ同径に形成された分離防止部材の係止部と螺軸部材の頭部とで挟持されて固定される状態となる。従って、このように構成される本発明の固定装置においては、固定物と螺軸部材とが分離防止部材により、より強固に組み付けられることになり、その結果、固定物と螺軸部材とが分離してしまうことをより確実に防止することができる。
【0018】
ここで、分離防止部材の具体的な構成としては種々考えられ、例えば次のようにしてもよい。即ち、請求項3の固定装置は、分離防止部材をコイルスプリングとし、このコイルスプリングを、コイル巻回径がその一端側から他端の係止部側にかけて徐々に縮径したとぐろ状、換言すれば円錐状に形成して、螺軸部材の軸部を巻回するように配置する。このため、コイルスプリングは、固定物と対象物との間に、コイル巻回径の小さい係止部側を螺軸部材の頭側(固定物側)に配置し、コイル巻回径の大きい係止部と反対側を螺軸部材の軸部の先端側(対象物側)に配置することができる。そして、この状態では、固定物は、螺軸部材の軸部とほぼ同径に形成されたコイルスプリング端部の係止部と螺軸部材の頭部とで挟持されて強固に固定される状態となる。
【0019】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、コイルスプリングを用いることで分離防止部材を簡単な構成で実現できる共に、コイルスプリングは、工具を使用することなく、容易に螺軸部材の軸部に着脱することができ、さらに、螺軸部材を緩めることによって固定物を対象物から取り外す際に、コイルスプリングが不意に飛び出して、コイルスプリングを紛失してしまうことも回避できる。また、コイルスプリングは、形状がとぐろ状(円錐状)に形成されているので、螺軸部材に取り付ける際の取り扱いが容易であり、且つ固定物と対象物との間に配置されたときの安定性が非常によく、さらに、重量も軽く、螺軸部材の頭部を操作しても螺軸部材の軸部から容易に脱落することはなく、その結果、固定物と螺軸部材とが分離してしまうことをより確実に防止することができる。
【0020】
請求項4の固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、遊技機(例えば、パチンコ遊技機)の外枠の下辺部を固定物により固定するものとしている。しかして、この固定装置において、螺軸部材の軸部を、上方から固定物の挿通穴及びコイルスプリングの挿通穴に順次挿通し、螺軸部材の頭部を操作して螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物を遊技機の外枠の下辺部と当接させて該外枠を下方の下部島枠側に押圧する。即ち、コイルスプリングの付勢力に抗して上方から螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物が外枠の下辺部と当接して該外枠を下方に押圧することで、外枠の下辺部は、固定物と下部島枠とで略挟持されて固定される状態となり、これにより、遊技機設置空間に遊技機の外枠の下辺部を固定することになる。
【0021】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、螺軸部材の捻じ込みを弱めた状態では、コイルスプリングの付勢力によって固定物を下部島枠から遠ざかる方向(上方向)に移動させるので、固定物が自重によって下方に落ち込むことを回避でき、その結果、遊技機(外枠)を遊技機設置空間に挿入する際、遊技機(外枠)の遊技機設置空間内への挿入を阻害しない位置に固定物を移動させておくことができ、遊技機(外枠)の固定作業を容易にすることができる。
【0022】
請求項5の固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、遊技機(例えば、パチンコ遊技機)の外枠の上辺部を固定物により固定するものとしている。しかして、この固定装置において、螺軸部材の軸部を、下方から固定物の挿通穴及びコイルスプリングの挿通穴に順次挿通し、螺軸部材の頭部を操作して螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物を遊技機の外枠の上辺部と当接させて該外枠を上方の上部島枠側に押圧する。即ち、コイルスプリングの付勢力に抗して下方から螺軸部材を捻じ込むことにより、固定物が外枠の上辺部と当接して該外枠を上方に押圧することで、外枠の上辺部は、固定物と上部島枠とで略挟持されて固定される状態となり、これにより、遊技機設置空間に遊技機の外枠の上辺部を固定することになる。
【0023】
従って、このように構成される本発明の固定装置においては、コイルスプリングにより強固に固定物と螺軸部材とが固定されているので、不慣れな作業者が下方から螺軸部材の頭部を操作し、螺軸部材を緩めて固定物を取り外す際に、螺軸部材がその自重により落下したり、コイルスプリングが不意に飛び出したりして、これら螺軸部材及びコイルスプリングが固定物から分離してしまうことを防止できるので、その結果、螺軸部材及びコイルスプリングが遊技島台内に紛れ込んで、当該遊技島台を構成する各種装置が正常に機能しなくなる不具合(例えば、螺軸部材及やコイルスプリングが玉詰まりの原因になったり、装置を傷つけて故障させたりする不具合)を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係わるパチンコ島台1の一部正面斜視図である。
【図2】本実施形態に係わるパチンコ島台1の一部裏面斜視図である。
【図3】本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す上方からの斜視図である。
【図4】本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す下方からの斜視図である。
【図5】図5(A)は、本実施形態に係わる取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す上方からの斜視図であり、図5(B)は、本実施形態に係わる取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す下方からの斜視図である。
【図6】図6(A)は、本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140及びスライド調整機構180を示す縦断面図であり、図6(B)は、本実施形態に係わるスライド調整機構180を示す縦断面図である。
【図7】本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分解した状態を示す縦断面図である。
【図8】図8(A)〜(C)は、本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140の押圧固定部材143の作用状態を示す縦断面図である。
【図9】図9(A)〜(C)は、本実施形態に係わる上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分離した状態を示す縦断面図である。
【図10】図10(A)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300を示す斜視図であり、図10(B)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300を示す一部分解斜視図であり、図10(C)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300を示す分解斜視図である。
【図11】図11(A)〜(D)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300の押圧固定部材303の作用状態を示す縦断面図である。
【図12】図12(A)〜(C)は、本実施形態に係わる下側遊技機固定装置300から押圧固定部材303、取付ボルト305、円錐型コイルスプリング307を分離した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。図1は、パチンコ島台1の一部正面斜視図であり、図2は、パチンコ島台1の一部裏面斜視図である。なお、図1、2では、パチンコ遊技機2台分の長さのパチンコ島台1を示し、パチンコ遊技機は図示省略している。図1、2に示すように、パチンコ島台1には、複数のパチンコ遊技機を取り付けるための上部島枠4と、下部島枠5とが、パチンコ遊技機の高さと略同一の間隔をあけて該パチンコ島台1の長手方向に沿って掛け渡されている。
【0026】
下部島枠5の前端側には、遊技者が玉箱等を載置するためのカウンター6が突設され、下部島枠5の下方には、パチンコ島台1で循環使用されるパチンコ玉を貯留する玉貯留タンク等の装置を遮蔽するための腰板13が立設されている。上部島枠4は、パチンコ遊技機にパチンコ玉を補給するための補給樋等の装置を遮蔽するための幕板3が、開閉自在に取り付けられる固定枠のうちの下側の枠としての機能も兼ね備えている。
【0027】
上部島枠4と下部島枠5との間には、パチンコ遊技機同士で所定の間隔を設けるための間仕切り8が立設され、この間仕切り8と上部島枠4、下部島枠5によって区画された空間が、1台のパチンコ遊技機を設置するための遊技機設置空間10として形成されている。また、図1、2において、遊技機設置空間10には、その下側に装飾カバー板11が付設されたパチンコ遊技機内枠の外周を覆う矩形状の外枠9と、下部島枠5の後側上面に取り付けられてパチンコ遊技機から排出されたアウト玉を計数して回収樋等の装置に流下させるアウト玉計数ボックス12と、間仕切り8に隣接してパチンコ遊技機と1対1で対応するように配置され、パチンコ遊技機と電気的に接続されて貸玉を行うための紙幣や硬貨を投入する金銭投入口、及びプリペイドカードや会員カード等を挿入するカード挿入口等を備えた台間ユニット2と、パチンコ遊技機(外枠9)を支承する下部島枠5上面に固定された支承板7と、後述する賞球補給装置14とが取り付けられた状態を示している。なお、パチンコ遊技機は、外枠9と、この外枠9に開閉及び着脱自在に取り付けられるパチンコ遊技機の主要装置を備えた内枠とから構成されるものである。
【0028】
さらに、遊技機設置空間10には、パチンコ遊技機を固定するための装置であって、後に詳述するパチンコ遊技機の前後方向の傾斜角度(以後、単に「傾斜角度」ともいう)を調整可能な上側遊技機固定装置140と下側遊技機固定装置300とが取り付けられている。下側遊技機固定装置300は、アウト玉計数ボックス12を挟むように下部島枠5の左右2箇所に取り付けられ、一方、上側遊技機固定装置140は、後述の賞球補給装置14を挟むように上部島枠4の左右2箇所に取り付けられている。なお、下側遊技機固定装置300は、支承板7の後側上面にビスで固定されることにより下部島枠5の上面に取り付けられ、上側遊技機固定装置140は、後述のスライド調整機構180の後端部分にビスで固定されることにより上部島枠4の下面に取り付けられるようになっている。
【0029】
次に、上側遊技機固定装置140の構成について、図3〜9を参照しながら説明する。図3は、上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す上方からの斜視図であり、図4は、上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14とがスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す下方からの斜視図であり、図5(A)は、取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す上方からの斜視図であり、図5(B)は、取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す下方からの斜視図であり、図6(A)は、上側遊技機固定装置140及びスライド調整機構180を示す縦断面図であり、図6(B)は、スライド調整機構180を示す縦断面図であり、図7は、上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分解した状態を示す縦断面図であり、図8(A)〜(C)は、上側遊技機固定装置140の押圧固定部材143の作用状態を示す縦断面図であり、図9(A)〜(C)は、上側遊技機固定装置140から押圧固定部材143、取付ボルト145、円錐型コイルスプリング149を分離した状態を示す縦断面図である。
【0030】
上側遊技機固定装置140は、図3、4に示すように、賞球補給装置14と共にスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられている。賞球補給装置14は、補給樋からのパチンコ玉をパチンコ遊技機の背面に設けられる賞球タンクに供給する装置であって、金属板からなる支持基板15と、支持基板15に固着されパチンコ玉を一列に整列して流下させる整列通路16と、整列通路16と連通しその先端が賞球タンク内に臨む図示しない補給筒と、補給筒とで二股状に形成された作動腕17等とにより構成されている。また、スライド調整機構180は、賞球補給装置14及び上側遊技機固定装置140を上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するもので、その詳細については後述する。
【0031】
上側遊技機固定装置140は、図5、6に示すように、スライド調整機構180に取り付けられる取付ベース141と、取付ベース141に一体的に取り付け固定される取付部材142と、外枠9の上辺部の下面を上方に押圧して固定する押圧固定部材143と、押圧固定部材143を取付部材142に対してスライド移動可能に取り付ける螺合受部材144及び取付ボルト145と、取付部材142内に配置されて螺合受部材144を付勢するコイルスプリング146と、押圧固定部材143内に配置されて押圧固定部材143を付勢すると共に押圧固定部材143から取付ボルト145が分離するのを防止する円錐型コイルスプリング149と、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定するための固定ボルト147と、押圧固定部材143に取り付けられて外枠9の上辺部を押圧する押圧ボルト148(図6では図示省略)とを備えている。
【0032】
取付ベース141は、長板状の基板部150を備えた金属板が折曲されて形成されており、基板部150の前端側には、取付ベース141をスライド調整機構180に取り付けるための取付穴151を穿設した取付フランジ部152が折曲形成されている。基板部150には、固定ボルト147によって取付部材142を取付ベース141に固定するためのネジ穴153、154が前後2箇所に穿設されている。なお、固定ボルト147は、ネジ穴153、154のいずれか一方と螺合することで取付部材142を取付ベース141に固定するものである。また、基板部150の左右両端には、取付部材142の横幅方向の取付位置を規制するための規制フランジ155が下方に折曲形成されている(図3、4参照)。即ち、左右一対の規制フランジ155が形成された基板部150は、後述する取付部材142の左右の側壁面156を内嵌する断面凹状に形成されている。
【0033】
取付部材142は、金属板が折曲されて、左右の側壁面156、上壁面157、前壁面158及び後壁面159を備えた形状に形成されている。上壁面157には、取付ボルト145を挿通するための挿通穴160が長穴状に穿設されている。前壁面158の下端には、上側遊技機固定装置140によって外枠9を固定する際に外枠9の上辺部の上端面と当接する当接フランジ部161が形成されている。一方、後壁面159の下端には、取付部材142を取付ベース141に取り付けるための取付フランジ部162が形成されており、この取付フランジ部162には、固定ボルト147を挿通するための挿通穴163が穿設されている。そして、取付部材142は、取付フランジ部162(挿通穴163)に挿通された固定ボルト147が、上部島枠4の後端部にビス止めされた取付ベース141のネジ穴153、154のいずれか一方に捻じ込まれることで、取付ベース141に一体的に取り付け固定される。なお、このような取付部材142の取り付け状態において、上壁面157に穿設された長穴状の挿通穴160は、その条設方向が遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように配される。
【0034】
押圧固定部材143は、金属板が折曲されて、左右の側壁面164、上壁面165及び後壁面166を備えた形状に形成されている。左右の側壁面164は、取付部材142の左右の側壁面156を外嵌する形状に形成されており、その前端部は、遊技機設置空間10に設置される外枠9上辺部の後端面と当接して該後端面を支持する支持部164aを構成している。上壁面165の後側部には、取付ボルト145を取り付けるための取付穴167が穿設されている。一方、上壁面165の前端側は、前方に延設されており、その先端部は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(本実施形態では3つ)の押圧爪部168が形成されている。また、上壁面165の前側部には、ボルト取付用のネジ穴165aが穿設されている。このネジ穴165aは、押圧ボルト148の捻じ込みを可能にして、該押圧ボルト148の先端部で外枠9の上辺下面を押さえ込むようになっている。なお、押圧ボルト148及びネジ穴165aは、図5のみに示し、その他の図では省略している。後壁面166は、側壁面164に比べて高さが短く設定されており、このため、押圧固定部材143を取付部材142に取り付けた状態で、後壁面166が取付部材142を外嵌することはなく、後壁面166下端部に形成された当接部166aは、押圧固定部材143による外枠9の上辺部の押圧状態に応じて取付部材142の上壁面157と当接するようになっている。
【0035】
螺合受部材144は、前壁面169、後壁面170及び上壁面171を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材142の上壁面157と取付ベース141の基板部150との間の空間内に配置される。上壁面171には、取付ボルト145と螺合するネジ穴172が穿設されている。取付ボルト145は、螺合受部材144のネジ穴172と螺合する雄ネジ部173と、この雄ネジ部173の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト145を回転操作するための操作部174とを備えている。そして、図7に示すように、取付ボルト145の雄ネジ部173が、押圧固定部材143の取付穴167、円錐型コイルスプリング149及び取付部材142の挿通穴160に順次挿通され、この状態から、雄ネジ部173の先端部分が螺合受部材144のネジ穴172に螺合される。これにより、押圧固定部材143が、螺合受部材144及び取付ボルト145によって取付部材142に取り付けられて、上側遊技機固定装置140が組み付けられる。また、このような上側遊技機固定装置140の組み付けによって、押圧固定部材143の上壁面165と取付部材142の上壁面157との間には、円錐型コイルスプリング149が配置されることになり、この円錐型コイルスプリング149は、上壁面165が取付ボルト145の操作部174と当接するように押圧固定部材143を常時付勢する。なお、円錐型コイルスプリング149は、そのコイル巻回径が上端から下端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、下端部149aのコイル巻回径は、取付ボルト145の雄ネジ部173のネジ径とほぼ同一に設定されている。また、コイルスプリング146は、その一端が取付部材142の後壁面159と当接する一方、他端が螺合受部材144の後壁面170と当接するように取付部材142内に配置されて、螺合受部材144を常時前方に付勢するようになっている。
【0036】
次に、上記した上側遊技機固定装置140及び賞球補給装置14をそれぞれ上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するスライド調整機構180について説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、上側遊技機固定装置140をスライド調整可能に固定するスライド調整機構180についてのみ説明を行う。スライド調整機構180は、図6(A)(B)に示すように、上部島枠4にビス止めされるスライドベース181と、上側遊技機固定装置140を構成する取付ベース141の取付フランジ部152に蝶ボルト182で取り付け固定されるスペーサ183及びスライド板184と、このスライド板184に取り付けられる蝶ボルト185及びワッシャー186とから構成されている。
【0037】
スライドベース181は、断面が「L」字状に形成されると共に、その全長が外枠9の横幅とほぼ同一に形成されている。上部島枠4の上端面と面接触して固定されるスライドベース181の上壁片187には、ビス止め用の取付穴188が複数穿設され、スライドベース181の側壁片189には、スペーサ183及びスライド板184と係合するスライド溝191が上下一対の溝形成壁190によってスライドベース181の全長に亘って条設されている。
【0038】
スペーサ183は、ほぼ正方形状の平板からなり、その平板面には蝶ボルト182と螺合するネジ穴192が穿設されている。一方、スライド板184は、スペーサ183に比べて若干大きめとなる横長方形状の平板からなり、その平板面には蝶ボルト182、185と螺合するネジ穴193、194が長手方向に沿って穿設されている。そして、スペーサ183及びスライド板184は、それぞれネジ穴192、193を介して蝶ボルト182で取付ベース141の取付フランジ部152(取付穴151)に取り付け固定される。また、スペーサ183の横長寸法は、取付フランジ部152の横幅とほぼ同一に設定されており、スライド板184の横長寸法は、取付フランジ部152の横幅に比べて長めに設定されている。このため、スペーサ183は、取付フランジ部152の左右両側から突出することなく取付ベース141に固定される。これに対して、スライド板184は、取付ベース141との間にスペーサ183を挟持した状態で且つその一端側(ネジ穴194が穿設された側)が取付フランジ部152の一側端から突出した状態で固定される。そして、取付フランジ部152から突出したスライド板184の一端側部分(ネジ穴194が穿設された部分)は、蝶ボルト185及びワッシャー186の取付部195を構成するようになっている。
【0039】
しかして、上記したスライド調整機構180を構成するスライドベース181は、パチンコ島台1に設置されるパチンコ遊技機毎に各取付穴188を介して上部島枠4にビス止めして取り付けられる。次いで、このように上部島枠4に固定されたスライドベース181のスライド溝191に、上側遊技機固定装置140の取付ベース141が蝶ボルト182で固定されたスライド調整機構180のスペーサ183及びスライド板184を側方からスライド挿入することで、上側遊技機固定装置140が上部島枠4に固定されたスライドベース181に対してスライド可能に取り付けられる。そして、パチンコ遊技機を構成する外枠9の上辺部を固定する位置に上側遊技機固定装置140をスライド移動させ、この状態でスライド板184の取付部195に取り付けられた蝶ボルト185を締め付ける。これにより、スライド板184とワッシャー186との間で、スライド溝191を形成するスライドベース181の溝形成壁190を挟持することになり、結果として、上側遊技機固定装置140にて外枠9が所望の固定位置に固定される。
【0040】
次に、以上説明した上側遊技機固定装置140によってパチンコ遊技機(外枠9)を遊技機設置空間10内で傾斜角度を調整可能に固定する手順について説明する。なお、上側遊技機固定装置140の組み付けにおいて、取付部材142は、取付ベース141に対して2通りの取り付け状態のうちいずれか一方の状態で取り付けが行われる。即ち、取付部材142の取付フランジ部162に螺合された固定ボルト147を取付ベース141の基板部150に穿設された後側のネジ穴154に捻じ込んで、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定した場合には、図6(A)に示すように、取付ベース141に対して取付部材142が後側に取り付けられることで、取付ベース141がビス止めされる上部島枠4に対して押圧固定部材143が後側に配置される。このため、外枠9の奥行きが大きく設定されているとき、換言すれば、外枠9の後端面が後方に入り込んで設置されるときには、図6(A)に示す状態で押圧固定部材143を後側に配置することにより、奥行きが大きい外枠9に対応した固定作業が行える。
【0041】
一方、取付部材142の取付フランジ部162に螺合された固定ボルト147を取付ベース141の基板部150に穿設された前側のネジ穴153に捻じ込んで、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定した場合には、取付ベース141に対して取付部材142が前側に取り付けられることで、取付ベース141がビス止めされる上部島枠4に対して押圧固定部材143が前側に配置される。このため、外枠9の奥行きが小さく設定されているとき、換言すれば、外枠9の後端面が後方に入り込まずに設置されるときには、押圧固定部材143を前側に配置することにより、奥行きが小さい外枠9に対応した固定作業が行える。
【0042】
そして、上記した上側遊技機固定装置140に対して、図8(A)に示すように、外枠9の上辺上面が取付部材142の取付フランジ部161と当接された状態で遊技機設置空間10内に外枠9が挿入されると、次いで、図8(B)に示すように、外枠9の上辺部における傾斜角度を調整するための調整器具Cを用いて外枠9の傾斜角度を調整する。具体的には、調整器具Cの押圧面部C1を外枠9の上辺前面と当接させた状態で、調整器具Cの調整凹部C2が上部島枠4の前端面と当接する位置まで調整器具Cを押し込むことで、上部島枠4に対する外枠9の上辺部の前後位置を調節し、これによって外枠9の上辺部における傾斜角度を調整する。つまり、調整器具Cは、パチンコ遊技機が所望の傾斜角度に設定できるよう、調整凹部C2の奥行き寸法がそれぞれ異なった複数種類のものが予め設けられている。但し、この場合、外枠9の下辺部を固定したことを前提として、外枠9の上辺部を前後方向に位置調節することで傾斜角度の調整が行われるものである。また、このとき、押圧固定部材143は、押圧爪部168による外枠9の押圧を解除した状態にあり、取付部材142の挿通穴160に対する取付ボルト145の移動方向、換言すれば、遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向に沿ってスライド移動が可能となっている。従って、調整器具Cによって外枠9が後方に押し込まれる際、これに伴って、押圧固定部材143は、側壁面164の前端部である支持部164aが外枠9の上辺後端面と当接した状態でコイルスプリング146の付勢力に抗して後方にスライド移動する。
【0043】
その後は、図8(C)に示すように、取付ボルト145の雄ネジ部173を螺合受部材144のネジ穴172に捻じ込むことで、重力及び円錐型コイルスプリング149の付勢力に抗して押圧固定部材143を取付部材142に近づく方向(上方向)に移動させ、最終的に、押圧爪部168が外枠9の上辺下面に刺し込まれながら当該上辺下面を上方に押し込む位置まで押圧固定部材143を移動させ、これによって、押圧固定部材143(押圧爪部168)と取付部材142の当接フランジ部161との間で外枠9の上辺部を挟持固定する。また、このとき、必要に応じて押圧固定部材143のネジ穴165aに押圧ボルト148を捻じ込むことで(図5参照)、押圧ボルト148の先端部でも外枠9の上辺下面を押さえ込む。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を上側遊技機固定装置140で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部168の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。但し、外枠9がプラスチック製等、比較的硬質な材料で形成されている場合には、押圧ボルト148に替えてビスを押圧固定部材143のネジ穴165aに捻じ込んでビス止めするようにすれば、より強固に外枠9の固定を行うことができる。
【0044】
なお、押圧固定部材143の押圧爪部168によって外枠9を下方から押圧して固定する際、押圧爪部168を介して外枠9の上辺下面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部168による押圧状態で、押圧固定部材143の後壁面166の当接部166aは、取付部材142の上壁面157と当接するようになっており、さらに円錐型コイルスプリング149が収縮し、押圧固定部材143を取付部材142から遠ざける方向(下方向)に円錐型コイルスプリング149の付勢力が作用するようになっている。このため、押圧固定部材143の一端部である押圧爪部168にかかる強い反力は、押圧固定部材143の他端部である当接部166aと当接する取付部材142の上壁面157で受けられると共に円錐型コイルスプリング149で受けられるので、押圧固定部材143が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0045】
また、上側遊技機固定装置140は、取付部材142内に配置されて螺合受部材144を前方に付勢するコイルスプリング146を備えた構成となっている。このため、取付ボルト145を介して螺合受部材144と一体的に取り付けられる押圧固定部材143も同様に、コイルスプリング146の弾性力によって前方に付勢されるようになっている。従って、パチンコ遊技機(外枠9)を固定する場合、外枠9の上辺部の後端面を支持する押圧固定部材143の支持部164aは、常に外枠9の上辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の上辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになる。その結果、押圧固定部材143の支持部164aと外枠9の上辺部の後端面とを密着させることで、外枠9を確実に支持した状態で上側遊技機固定装置140によるパチンコ遊技機(外枠9)の固定を行うことができる。
【0046】
さらには、コイルスプリング146の弾性力によって押圧固定部材143を前方に付勢する構成とすることで、パチンコ遊技機を固定していない状態で、常に押圧固定部材143をスライド移動可能な最前方位置に移動させておくことができる。このため、遊技機設置空間10へのパチンコ遊技機の取り付け及び取り外し作業毎で押圧固定部材143を後方位置から前方に戻すような煩雑な作業が不要になる。しかも、入れ替えて設置するパチンコ遊技機(外枠9)の奥行きが入れ替え前のものと異なるような場合でも、押圧固定部材143の支持部164aは、常に外枠9の上辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の上辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになるので、外枠9の奥行きに応じて押圧固定部材143を前後方向に移動調整する必要がなくなり、外枠9の固定作業を容易にできる。なお、パチンコ遊技機の固定作業が不慣れな作業員の場合、押圧固定部材143の支持部164aと外枠9の上辺部の後端面との間で隙間が生じてしまい、外枠9の支持状態が不安定のままパチンコ遊技機を固定してしまうようなこともあり得るが、上記した構成であれば、固定作業の熟練度合いに関わらず確実な支持状態でパチンコ遊技機を固定することができる。
【0047】
また、上記した構成によれば、コイルスプリング146の弾性力によって押圧固定部材143の支持部164aが前後方向に移動する場合、これに伴って押圧固定部材143の押圧爪部168も一体的に前後方向に移動するようになっている。このため、上側遊技機固定装置140は、奥行きが異なったパチンコ遊技機(外枠9)を固定する際でも、外枠9の上辺部の後端面から所定の前方位置を押圧することになる。その結果、外枠9の奥行きが極端に短く設定される、あるいは傾斜角度の調整として外枠9を極端に前側に移動させることで、支持部164aの位置をかなり前方に移動させる必要がある場合でも、押圧爪部168による外枠9の固定位置が後端になってしまうことを回避することができ、確実に外枠9を固定することができる。
【0048】
ところで、パチンコ遊技機の入れ替えにより、上側遊技機固定装置140により遊技機設置空間10に設置されている入れ替え前のパチンコ遊技機を取り外す場合、本来は、図9(A)に示す状態で、押圧固定部材143からの取付ボルト145の外れ具合を目視しながら徐々に回転させて、図9(B)に示すように、押圧固定部材143が上側遊技機固定装置140(取付部材142)から離脱しないように使用すべきところを、不慣れな作業者は、電動工具等で加減せずに取付ボルト145(操作部174)を一気に回転させ、その結果、図9(C)に示すように、取付ボルト145の雄ネジ部173が螺合受部材144のネジ穴172から外れ、このため押圧固定部材143が上側遊技機固定装置140(取付部材142)から離脱してしまうことがある。しかしながら、本実施形態の上側遊技機固定装置140では、円錐型コイルスプリング149は、そのコイル巻回径が上端から下端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、下端部149aのコイル巻回径は、取付ボルト145の雄ネジ部173のネジ径とほぼ同一に設定されている。このため、円錐型コイルスプリング149は、下端部149aが押圧固定部材143の上壁面165と当接するように雄ネジ部173に係止された状態で押圧固定部材143と取付部材142との間に配置されることになる。
【0049】
即ち、本実施形態の上側遊技機固定装置140は、図9(C)に示すように、押圧固定部材143の取付穴167より大きく形成された取付ボルト145の操作部174と円錐型コイルスプリング149とにより押圧固定部材143を挟持する状態で、押圧固定部材143、取付ボルト145及び円錐型コイルスプリング149が組み付けられて一体的に形成されている。従って、不慣れな作業者が取付ボルト145を一気に回転させて押圧固定部材143を上側遊技機固定装置140(取付部材142)から離脱させても、取付ボルト145がその自重により押圧固定部材143から抜け落ちて分離したり、円錐型コイルスプリング149が取付ボルト145から外れ不意に飛び出して分離したりしてしまうこと、つまり、押圧固定部材143を上側遊技機固定装置140から離脱させても、取付ボルト145及び円錐型コイルスプリング149が押圧固定部材143から分離することを防止している。従って、パチンコ遊技機の入れ替え作業の際、取付ボルト145及び円錐型コイルスプリング149が押圧固定部材143から分離し、パチンコ島台1の玉貯留タンク等の装置に落下して貯留されているパチンコ玉に紛れ込み、取付ボルト145や円錐型コイルスプリング149を紛失してしまうということを防止でき、その結果、パチンコ島台1内において、紛失した取付ボルト145や円錐型コイルスプリング149が原因で、玉詰まりや循環装置等を故障させたりするトラブルを回避することができる。
【0050】
さらに、円錐型コイルスプリング149は、工具を使用することなく、容易に取付ボルト145の雄ネジ部173に着脱して該取付ボルト145に取り付け又は取り外すことができ、また、形状が円錐状になっているので、取付ボルト145に取り付ける際の操作が行いやすく、且つ押圧固定部材143の上壁面165と取付部材142の上壁面157との間に配置されたときの安定性が非常によい。加えて、円錐型コイルスプリング149は、重量も軽く、取付ボルト145の操作部174を回転させても雄ネジ部173から脱落することなく、下端部149aが雄ネジ部173に係止された状態を維持することができる。
【0051】
次に、下側遊技機固定装置300の構成について図10〜12を参照して説明する。図10(A)は、下側遊技機固定装置300を示す斜視図であり、図10(B)は、下側遊技機固定装置300を示す一部分解斜視図であり、図10(C)は、下側遊技機固定装置300を示す分解斜視図であり、図11(A)〜(D)は、下側遊技機固定装置300の押圧固定部材303の作用状態を示す縦断面図であり、図12(A)〜(C)は、下側遊技機固定装置300から押圧固定部材303、取付ボルト305、円錐型コイルスプリング307を分離した状態を示す縦断面図である。
【0052】
下側遊技機固定装置300は、上記図1、2の説明で記載したように、アウト玉計数ボックス12と共に下部島枠5(支承板7)に取り付けられる。なお、下部島枠5に取り付けられる下側遊技機固定装置300及びアウト玉計数ボックス12についても、前述した上側遊技機固定装置140と同様に、スライド調整機構180を介して下部島枠5に取り付けることで、下部島枠5に対してスライド調整可能に固定するようにしてもよい。
【0053】
下側遊技機固定装置300は、図10(A)〜(C)に示すように、下部島枠5の上面に取付ベース301を介して固定されるベース部材308と、ベース部材308の上側に取り付けられる取付部材302と、外枠9の下辺部の上面を下方に押圧することで外枠9の下辺部を固定する押圧固定部材303と、押圧固定部材303を取付部材302の上側に取り付ける螺合受部材304及び取付ボルト305とを備えている。ベース部材308は、取付ベース301と一体的に下部島枠5に取り付けられるようになっており、押圧固定部材303は、取付部材302に対してスライド移動可能に取り付けられるようになっている。また、下側遊技機固定装置300は、後に詳述する円錐型コイルスプリング307及びコイルスプリング309も備えている。
【0054】
取付ベース301は、長方形状の木材からなり、外枠9の高さが異なる場合(外枠9には関東枠と関西枠の2種類あり、関東枠は関西枠より10ミリ程度高さが短い)のスペーサの役割を果たしている。また、取付ベース301には、下部島枠5にビス止めするための取付穴310が6箇所穿設されている。ベース部材308は、取付ベース301に穿設された6つの取付穴310と対応する6つの取付穴330が穿設された長方形状の金属板からなる。また、ベース部材308の後端部には、固定ボルト306を介して取付部材302をベース部材308に取り付けるための固定穴331が穿設される一方、ベース部材308の前端部には、取付部材302を係止するT字状の係止突片332が立設されている。なお、T字状をなす係止突片332の上辺部を形成する左右の突出部は、後述する左右一対の係合突起313の上下位置決め係合部313aと係合する上下位置決め係止部332aを構成しており、この上下位置決め係止部332aと上下位置決め係合部313aとの係合によって、取付部材302をベース部材308に対して上下方向で位置決め固定するようになっている。また、T字状をなす係止突片332の垂直基部の両端部は、左右一対の係合突起313の左右位置決め係合部313bと係合する左右位置決め係止部332bを構成しており、この左右位置決め係止部332bと左右位置決め係合部313bとの係合によって、取付部材302をベース部材308に対して左右方向で位置決め固定するようになっている。
【0055】
取付部材302は、金属板が折曲されて、上壁面311、左右の側壁面312a及び後壁面312bを備えた形状に形成されている。上壁面311には、取付ボルト305を挿通するための挿通穴311aが長穴状に穿設されている。左右の側壁面312a前端には、ベース部材308の係止突片332と係合する左右一対の係合突起313が形成されている。係合突起313の上端部は、ベース部材308の上下位置決め係止部332aと係合する上下位置決め係合部313aを構成しており、係合突起313の内壁部分は、ベース部材308の左右位置決め係止部332bと係合する左右位置決め係合部313bを構成している。また、後壁面312bの下端には、取付部材302をベース部材308に固定ボルト306で固定するための固定フランジ部333が後方に向かって延設形成されており、この固定フランジ部333には、ベース部材308に穿設された固定穴331と対応する取付穴333aが穿設されている。
【0056】
そして、取付ベース301及びベース部材308は、取付穴310、330を介して下部島枠5に一体的にビス止めして取り付けられる。また、このようにして下部島枠5上に取り付けられたベース部材308に対して、取付部材302が取り付けられる。具体的には、ベース部材308の係止突片332(上下位置決め係止部332a、左右位置決め係止部332b)に対して、取付部材302の係合突起313(上下位置決め係合部313a、左右位置決め係合部313b)が係止されると共に、ベース部材308の固定穴331に対して、取付部材302の固定フランジ部333に設けられた取付穴333aが固定ボルト306で固定されることで、ベース部材308上に取付部材302が取り付けられる。なお、取付部材302は、長穴状の挿通穴311aの条設方向が遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように取り付けられる。
【0057】
押圧固定部材303は、金属板が折曲されて、左右の側壁面314、上壁面315及び後壁面316を備えた形状に形成されている。左右の側壁面314は、取付部材302の左右の側壁面312aを外嵌する形状に形成されており、その前端部は、遊技機設置空間10に設置される外枠9の下辺部の後端面と当接して該後端面を支持する支持部314aを構成している。上壁面315の後側寄り部分には、取付ボルト305を取り付けるための取付穴317が穿設されている。一方、上壁面315の前端側は、遊技機設置空間10に設置される外枠9下辺部の上方の位置まで延設されており、その先端部は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(本実施形態では3つ)押圧爪部318が形成されている。また、上壁面315の前端部には、必要に応じて使用されるボルト取付用のネジ穴319が穿設されている。このネジ穴319は、押圧ボルト(図示省略)の捻じ込みを可能にして、該押圧ボルトの先端部で外枠9の下辺上面を補助的に押さえ込むようになっている。後壁面316は、側壁面314に比べて高さが短く設定されている。このため、押圧固定部材303を取付部材302に取り付けた状態で、左右の側壁面314が取付部材302の左右の側壁面312aを外嵌することができるようになっており、後壁面316下端部に形成された当接部316aは、押圧固定部材303による外枠9の下辺部の押圧状態に応じて取付部材302の上壁面311と当接するようになっている。
【0058】
螺合受部材304は、前壁面320a、後壁面320b及び上壁面321を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材302の上壁面311とベース部材308との間の空間内に配置される。上壁面321には、取付ボルト305と螺合するネジ穴322が穿設されている。なお、螺合受部材304の後壁面320bと取付部材302の後壁面312bとの間には、コイルスプリング309が配置される。これにより、螺合受部材304は、コイルスプリング309の弾性力によって、常時前方に付勢されるようになっている。取付ボルト305は、螺合受部材304のネジ穴322と螺合する雄ネジ部323と、この雄ネジ部323の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト305を回転操作するための操作部324とを備えている。
【0059】
そして、図10(C)に示すように、取付ボルト305の雄ネジ部323が、押圧固定部材303の取付穴317、円錐型コイルスプリング307及び取付部材302の挿通穴311aに順次挿通され、この状態から、雄ネジ部173の先端部分が螺合受部材304のネジ穴322に螺合される。これにより、押圧固定部材303が、螺合受部材304及び取付ボルト305によって取付部材302に取り付けられて、下側遊技機固定装置300が組み付けられる。また、このような下側遊技機固定装置300の組み付けによって、押圧固定部材303の上壁面315と取付部材302の上壁面311との間には、円錐型コイルスプリング307が配置されることになり、この円錐型コイルスプリング307は、上壁面315が取付ボルト305の操作部324と当接するように押圧固定部材303を常時付勢する。なお、円錐型コイルスプリング307は、そのコイル巻回径が下端から上端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、上端部307aのコイル巻回径は、取付ボルト305の雄ネジ部323のネジ径とほぼ同一に設定されている。また、螺合受部材304の後壁面320bと取付部材302の後壁面312bとの間に配置されたコイルスプリング309は、前述したように螺合受部材304を常時前方に付勢するものであるが、この螺合受部材304と取付ボルト305とによって連結される押圧固定部材303も常時前方に付勢するものである。
【0060】
しかして、以上説明した下側遊技機固定装置300によって外枠9の下辺部を遊技機設置空間10に固定する場合、図11(A)に示すように、まず、外枠9を遊技機設置空間10の前方から差し入れる。このとき、取付ボルト305の雄ネジ部323が螺合受部材304のネジ穴322に対して緩めることで、押圧固定部材303は、円錐型コイルスプリング307の付勢力によって取付部材302から遠ざかる方向(上方向)に移動されている。これにより、螺合受部材304に対する取付ボルト305の捻じ込みを弱めた状態でも、押圧固定部材303の押圧爪部318が自重によって下方に落ち込むことを回避できる。従って、外枠9を遊技機設置空間10に対して前方から挿入する際でも、外枠9の遊技機設置空間10内への挿入を阻害しない位置に押圧爪部318を移動させておくことができ、外枠9の固定作業を容易にできる。
【0061】
また、このとき、押圧固定部材303は、取付ボルト305(雄ネジ部323)のネジ穴322に対する捻じ込みが緩められ、しかも、外枠9に対して押圧爪部318が当接して押圧していない状態にあるため、取付部材302の挿通穴311aに対する取付ボルト305の移動方向、換言すれば、遊技機設置空間10に設置されるパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向に沿ってスライド移動が可能となっている。そして、図11(B)(C)に示すように、外枠9の下辺部を支承板7上で前後方向に移動調整することで、下部島枠5に対する外枠9の下辺部の前後位置を調節し、これによって外枠9の下辺部におけるパチンコ遊技機の傾斜角度を調節する。但し、この場合、外枠9の上辺部を固定したことを前提として、外枠9の下辺部を前後方向に位置調節することで傾斜角度の調整が行われるものである。また、外枠9の下辺部を前後方向に移動する際、これに伴って、押圧固定部材303は、側壁面314の前端部である支持部314aが外枠9の下辺後端面と当接した状態でコイルスプリング309の不勢力に抗して後方にスライド移動したり、前方にスライド移動したりする。
【0062】
その後、図11(D)に示すように、外枠9の下辺部における前後位置を調節することで、パチンコ遊技機の傾斜角度の調整が完了すると、取付ボルト305の雄ネジ部323を螺合受部材304のネジ穴322に捻じ込むことで、円錐型コイルスプリング307の付勢力に抗して押圧固定部材303を取付部材302に近づく方向(下方向)に移動し、最終的に、押圧爪部318が外枠9の下辺上面に刺し込まれながら押圧固定部材303を移動させる。これによって、押圧固定部材303(押圧爪部318)と支承板7との間で外枠9の下辺部を挟持固定する。また、このとき、必要に応じて押圧固定部材303のネジ穴319に押圧ボルト(図示省略)を捻じ込むことで、押圧ボルトの先端部でも外枠9の下辺上面を補助的に押さえ込むことができる。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を下側遊技機固定装置300で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部318の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。但し、外枠9がプラスチック製等、比較的硬質な材料で形成されている場合には、この押圧ボルトに替えてビスを押圧固定部材303のネジ穴319に捻じ込んでビス止めするようにすれば、より強固に外枠9の固定を行うことができる。
【0063】
なお、押圧固定部材303の押圧爪部318によって外枠9を上方から押圧して固定する際、押圧爪部318を介して外枠9の下辺上面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部318による押圧状態で、押圧固定部材303の後壁面316の当接部316aは、取付部材302の上壁面311と当接するようになっており、さらに円錐型コイルスプリング307が収縮し、押圧固定部材303を取付部材302から遠ざける方向(上方向)に円錐型コイルスプリング307の付勢力が作用するようになっている。このため、押圧固定部材303の一端部である押圧爪部318にかかる強い反力は、押圧固定部材303の他端部である当接部316aと当接する取付部材302の上壁面311で受けられると共に円錐型コイルスプリング307で受けられるので、押圧固定部材303が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0064】
また、下側遊技機固定装置300においても、前述した上側遊技機固定装置140と同様に、取付部材302内に配置されて螺合受部材304を前方に付勢するコイルスプリング309を備えた構成となっている。このため、取付ボルト305を介して螺合受部材304と一体的に取り付けられる押圧固定部材303も同様に、コイルスプリング309の弾性力によって前方に付勢されるようになっている。従って、パチンコ遊技機(外枠9)を固定する場合、外枠9の下辺部の後端面を支持する押圧固定部材303の支持部314aは、常に外枠9の下辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の下辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになる。その結果、押圧固定部材303の支持部314aと外枠9の下辺部の後端面とを密着させることで、外枠9を確実に支持した状態で下側遊技機固定装置300によるパチンコ遊技機(外枠9)の固定を行うことができる。
【0065】
さらには、コイルスプリング309の弾性力によって押圧固定部材303を前方に付勢する構成とすることで、パチンコ遊技機を固定していない状態で、常に押圧固定部材303をスライド移動可能な最前方位置に移動させておくことができる。このため、遊技機設置空間10へのパチンコ遊技機の取り付け及び取り外し作業毎で押圧固定部材303を後方位置から前方に戻すような煩雑な作業が不要になる。しかも、入れ替えて設置するパチンコ遊技機(外枠9)の奥行きが入れ替え前のものと異なるような場合でも、押圧固定部材303の支持部314aは、常に外枠9の下辺部を前方に押圧する方向、換言すれば、外枠9の下辺部の後端面との隙間をなくす方向に自動的に移動することになるので、外枠9の奥行きに応じて押圧固定部材303を前後方向に移動調整する必要がなくなり、外枠9の固定作業を容易にできる。なお、パチンコ遊技機の固定作業が不慣れな作業員の場合、押圧固定部材303の支持部314aと外枠9の下辺部の後端面との間で隙間が生じてしまい、外枠9の支持状態が不安定のままパチンコ遊技機を固定してしまうようなこともあり得るが、上記した構成であれば、固定作業の熟練度合いに関わらず確実な支持状態でパチンコ遊技機を固定することができる。
【0066】
また、上記した構成によれば、コイルスプリング309の弾性力によって押圧固定部材303の支持部314aが前後方向に移動する場合、これに伴って押圧固定部材303の押圧爪部318も一体的に前後方向に移動するようになっている。このため、下側遊技機固定装置300は、奥行きが異なったパチンコ遊技機(外枠9)を固定する際でも、外枠9の下辺部の後端面から所定の前方位置を押圧することになる。その結果、外枠9の奥行きが極端に短く設定される、あるいは傾斜角度の調整として外枠9を極端に前側に移動させることで、支持部314aの位置をかなり前方に移動させる必要がある場合でも、押圧爪部318による外枠9の固定位置が後端になってしまうことを回避することができ、確実に外枠9を固定することができる。
【0067】
ところで、パチンコ遊技機の入れ替えにより、下側遊技機固定装置300により遊技機設置空間10に設置されている入れ替え前のパチンコ遊技機を取り外す場合、本来は、図12(A)に示す状態で、押圧固定部材303からの取付ボルト305の外れ具合を目視しながら徐々に回転させて、図12(B)に示すように、押圧固定部材303が下側遊技機固定装置300(取付部材302)から離脱しないように使用すべきところを、不慣れな作業者は、電動工具等で加減せずに取付ボルト305(操作部324)を一気に回転させ、その結果、図12(C)に示すように、取付ボルト305の雄ネジ部323が螺合受部材304のネジ穴322から外れ、このため押圧固定部材303が下側遊技機固定装置300(取付部材302)から離脱してしまうことがある。しかしながら、本実施形態の下側遊技機固定装置300では、円錐型コイルスプリング307は、そのコイル巻回径が下端から上端にかけて徐々に縮径することで、とぐろ状に形成されており、上端部307aのコイル巻回径は、取付ボルト305の雄ネジ部323のネジ径とほぼ同一に設定されている。このため、円錐型コイルスプリング307は、上端部307aが押圧固定部材303の上壁面315と当接するように雄ネジ部323に係止された状態で押圧固定部材303と取付部材302との間に配置されることになる。
【0068】
即ち、本実施形態の下側遊技機固定装置300は、図12(C)に示すように、押圧固定部材303の取付穴317より大きく形成された取付ボルト305の操作部324と円錐型コイルスプリング307とにより押圧固定部材303を挟持する状態で、押圧固定部材303、取付ボルト305及び円錐型コイルスプリング307が組み付けられて一体的に形成されている。従って、不慣れな作業者が取付ボルト305を一気に回転させて押圧固定部材303を下側遊技機固定装置300(取付部材302)から離脱させても、取付ボルト305が押圧固定部材303から抜け落ちて分離したり、円錐型コイルスプリング307が取付ボルト305から外れ不意に飛び出して分離したりしてしまうこと、つまり、押圧固定部材303を下側遊技機固定装置300から離脱させても、取付ボルト305及び円錐型コイルスプリング307が押圧固定部材303から分離することを防止している。従って、パチンコ遊技機の入れ替え作業の際、取付ボルト305及び円錐型コイルスプリング307が押圧固定部材303から分離し、パチンコ島台1の玉貯留タンク等の装置に落下して貯留されているパチンコ玉に紛れ込み、取付ボルト305や円錐型コイルスプリング307を紛失してしまうということを防止でき、その結果、パチンコ島台1内において、紛失した取付ボルト305や円錐型コイルスプリング307が原因で、玉詰まりや循環装置等を故障させたりするトラブルを回避することができる。
【0069】
さらに、円錐型コイルスプリング307は、工具を使用することなく、容易に取付ボルト305の雄ネジ部323に着脱して該取付ボルト305に取り付け又は取り外すことができ、また、形状が円錐状になっているので、取付ボルト305に取り付ける際の操作が行いやすく、且つ押圧固定部材303の上壁面315と取付部材302の上壁面311との間に配置されたときの安定性が非常によい。加えて、円錐型コイルスプリング307は、重量も軽く、取付ボルト305の操作部324を回転させても雄ネジ部323から脱落することなく、上端部307aが雄ネジ部323に係止された状態を維持することができる。
【0070】
以上の説明から明らかなように、このような本実施形態に係るパチンコ遊技機の固定装置(上側遊技機固定装置140、下側遊技機固定装置300)の構成によれば、以下のような効果を奏する。
(1)パチンコ遊技機の入れ替え作業の際、入れ替えて設置するパチンコ遊技機(外枠9)の奥行きが入れ替え前のものと異なるような場合でも、外枠9の奥行きに応じて押圧固定部材143、303を前後方向に移動調整する必要がなく、遊技機設置空間10に対する外枠9の挿入度合いを調整するだけでよいので、その結果、パチンコ遊技機(外枠9)の固定作業を容易に行うことができ、パチンコ遊技機の入れ替え作業をスムーズに行うことができる。
(2)パチンコ遊技機を遊技機設置空間10に固定する際、押圧固定部材143、303の押圧爪部168、318は、外枠9の奥行きの大きさに関わらず、外枠9の後端面から所定の前方位置を押圧することができ、その結果、確実にパチンコ遊技機(外枠9)を遊技機設置空間10に固定することができる。
(3)パチンコ遊技機の傾斜角度を調整するには、押圧固定部材143、303をパチンコ遊技機(外枠9)の前後方向と並行にスライド移動させて支持部164a、314aの位置を調整した後、取付ボルト145、305を捻じ込み操作するだけでよく、その結果、パチンコ遊技機の傾斜角度を容易に調整することができる。
(4)パチンコ遊技機(外枠9)の固定により押圧固定部材143、303の押圧爪部168、318を介して外枠9から強い反力を受けた場合であっても、押圧固定部材143、303の後壁面166、316の当接部166a、316aは、取付部材142、302の上壁面157、311と当接し、さらに円錐型コイルスプリング149、307が収縮するので、この押圧爪部168、318にかかる強い反力は、取付部材142、302の上壁面157、311で受けられると共に円錐型コイルスプリング149、307で受けられるので、その結果、押圧固定部材143、303が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
(5)円錐型コイルスプリング149、307は、その一端部(下端部149a、上端部307a)のコイル巻回径が取付ボルト145、305の雄ネジ部173、323のネジ径とほぼ同一に設定され、当該一端部(下端部149a、上端部307a)が押圧固定部材143、303の上壁面165、315と当接するように雄ネジ部173、323に係止された状態で、押圧固定部材143、303と取付部材142、302との間に配置されているので、即ち、押圧固定部材143、303、取付ボルト145、305及び円錐型コイルスプリング149、307は、一体的に組み付けられて形成されているので、パチンコ遊技機の入れ替え作業や遊技機固定装置140、300の保守作業等の際、不慣れな作業者が取付ボルト145、305を一気に回転させて押圧固定部材143、303を遊技機固定装置140、300から離脱させても、取付ボルト145、305及び円錐型コイルスプリング149、307が押圧固定部材143、303から分離してしまうことを防止できるので、その結果、取付ボルト145、305及び円錐型コイルスプリング149、307がパチンコ島台1内に紛れ込んで、当該パチンコ島台1を構成する各種装置が正常に機能しなくなる不具合を回避することができる。特に、上側遊技機固定装置140においては、取付ボルト145がその自重により押圧固定部材143から抜け落ちる虞が高いので、このような押圧固定部材143からの取付ボルト145の分離を、円錐型コイルスプリング149により確実に防止することが可能となる。
(6)円錐型コイルスプリング307は、取付ボルト305の捻じ込みを弱めた状態では、その付勢力によって押圧固定部材303を取付部材302から遠ざかる方向(上方向)に移動させるので、押圧固定部材303の押圧爪部318が自重によって下方に落ち込むことを回避でき、その結果、パチンコ遊技機(外枠9)を遊技機設置空間10に対して前方から挿入する際、パチンコ遊技機(外枠9)の遊技機設置空間10内への挿入を阻害しない位置に押圧爪部318を移動させておくことができ、パチンコ遊技機(外枠9)の固定作業を容易にすることができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態に係わるパチンコ遊技機の固定装置(上側遊技機固定装置140、下側遊技機固定装置300)を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。例えば、上述した実施形態においては、固定装置の対象物は、パチンコ遊技機で説明したが、これは限定するものではなく、アレパチ、雀球等の遊技機に本発明を適用するようにしてもよく、その他の対象物であってもよい。また、円錐型コイルスプリング149、307は、その他の弾性部材、例えばゴム等の材料で形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…パチンコ島台(遊技島台)、
4…上部島枠(上部島枠)、
5…下部島枠(上部島枠)、
9…外枠(外枠)、
10…遊技機設置空間(遊技機設置空間)、
140…上側遊技機固定装置(固定装置)、
143、303…押圧固定部材(固定物)、
145、305…取付ボルト(螺軸部材)、
149、307…円錐型コイルスプリング(分離防止部材、分離防止部材の挿通穴、コイルスプリング)、
149a…下端部(係止部)、
167、317…取付穴(固定物の挿通穴)、
173、323…雄ネジ部(軸部)、
174、324…操作部(頭部)、
300…下側遊技機固定装置(固定装置)、
307a…上端部(係止部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の溝が設けられた軸部と、該軸部の一端に該軸部の径より大きく形成された頭部とを備え、対象物に固定物を取り付ける際に、前記軸部を挿通すると共に前記頭部を不通とする大きさに設けられた前記固定物の挿通穴に前記軸部を挿通し、前記頭部を操作することにより前記軸部を捻じ込んで前記固定物を前記対象物に取り付ける螺軸部材と、
該螺軸部材の前記頭部を操作することにより前記軸部の捻じ込みを緩めることによって前記固定物を前記対象物から取り外す際に、該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止する分離防止部材と、
を備えた固定装置であって、
前記分離防止部材は、前記軸部を挿通する挿通穴を備えると共に、該挿通穴の一端側が前記軸部とほぼ同径に形成された係止部を備え、
前記対象物に前記固定物を取り付ける際に、前記分離防止部材を前記対象物と前記固定物との間に配置し、前記螺軸部材の軸部を前記分離防止部材の前記挿通穴に挿通させることにより、前記分離防止部材の前記係止部が前記螺軸部材の前記軸部に係止して該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止することを特徴とする固定装置。
【請求項2】
前記分離防止部材の前記係止部は、前記螺軸部材の前記軸部の前記固定物よりも先端側と係止し、該係止部と該頭部とで前記固定物を挟持することを特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記分離防止部材は、コイルスプリングであり、該コイルスプリングは、コイル巻回径がその一端側から他端の前記係止部側にかけて徐々に縮径したとぐろ状に形成されて、前記螺軸部材の前記軸部を巻回するように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の下辺部を固定するものであって、
該固定物は、前記軸部を、上方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の下辺部と当接して該外枠を下方の前記下部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の下辺部を前記遊技機設置空間に固定することを特徴とする請求項3に記載の固定装置。
【請求項5】
前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の上辺部を固定するものであって、
該固定物は、前記軸部を、下方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の上辺部と当接して該外枠を上方の前記上部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の上辺部を前記遊技機設置空間に固定することを特徴とする請求項3に記載の固定装置。
【請求項1】
螺旋状の溝が設けられた軸部と、該軸部の一端に該軸部の径より大きく形成された頭部とを備え、対象物に固定物を取り付ける際に、前記軸部を挿通すると共に前記頭部を不通とする大きさに設けられた前記固定物の挿通穴に前記軸部を挿通し、前記頭部を操作することにより前記軸部を捻じ込んで前記固定物を前記対象物に取り付ける螺軸部材と、
該螺軸部材の前記頭部を操作することにより前記軸部の捻じ込みを緩めることによって前記固定物を前記対象物から取り外す際に、該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止する分離防止部材と、
を備えた固定装置であって、
前記分離防止部材は、前記軸部を挿通する挿通穴を備えると共に、該挿通穴の一端側が前記軸部とほぼ同径に形成された係止部を備え、
前記対象物に前記固定物を取り付ける際に、前記分離防止部材を前記対象物と前記固定物との間に配置し、前記螺軸部材の軸部を前記分離防止部材の前記挿通穴に挿通させることにより、前記分離防止部材の前記係止部が前記螺軸部材の前記軸部に係止して該固定物と該螺軸部材とが分離するのを防止することを特徴とする固定装置。
【請求項2】
前記分離防止部材の前記係止部は、前記螺軸部材の前記軸部の前記固定物よりも先端側と係止し、該係止部と該頭部とで前記固定物を挟持することを特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記分離防止部材は、コイルスプリングであり、該コイルスプリングは、コイル巻回径がその一端側から他端の前記係止部側にかけて徐々に縮径したとぐろ状に形成されて、前記螺軸部材の前記軸部を巻回するように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の下辺部を固定するものであって、
該固定物は、前記軸部を、上方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の下辺部と当接して該外枠を下方の前記下部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の下辺部を前記遊技機設置空間に固定することを特徴とする請求項3に記載の固定装置。
【請求項5】
前記固定装置は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される遊技機設置空間に、前記固定物により遊技機の外枠の上辺部を固定するものであって、
該固定物は、前記軸部を、下方から前記固定物の前記挿通穴及び前記コイルスプリングの前記挿通穴に挿通し、前記頭部を操作して前記螺軸部材を捻じ込むことにより、前記遊技機の外枠の上辺部と当接して該外枠を上方の前記上部島枠側に押圧することで、前記遊技機の外枠の上辺部を前記遊技機設置空間に固定することを特徴とする請求項3に記載の固定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−85655(P2013−85655A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228124(P2011−228124)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】
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