説明

固定部材解体システム、固定部材解体方法、およびプログラム

【課題】解体対象の解体作業における労力を軽減すること。
【解決手段】解体対象を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している固定部材を検出し、前記検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得する固定部材検出ユニットと、前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させる固定部材解体ユニットとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材解体システム、固定部材解体方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやパソコン等の電化製品に含まれている部材のリサイクルに注目が集まっている。多くの電化製品は筐体や回路基板等が複数の固定部材で固定されているため、解体時には、これら固定部材を取り外し、リサイクルが可能な部材ごとに分別する必要がある。
また、解体する電化製品は、製品ごとに、その大きさや、部品の固定方法も異なるため、解体作業のオートメーション化が難しく、手作業により、各製品を解体していた。
例えば、作業内容ごとに割り当てられた解体作業員が、搬送ベルトで搬送される解体対象であるテレビを順次解体していく方法が採られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−263518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、家電製品の多くは複数の固定部材で固定されており、また、家電製品ごとにネジの数も位置も異なることから、解体作業に時間がかかる問題があった。さらに、大型の家電製品を解体する場合、視認性が悪いため固定部材を発見しにくく、また、作業位置から人の手が届かず解体が困難となる場合もあった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、解体対象の解体作業に要する労力を軽減することができる固定部材解体システム、固定部材解体方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による固定部材解体システムは、解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している固定部材を検出し、検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得する固定部材検出ユニットと、前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させる固定部材解体ユニットとを備える。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、解体作業員の手作業を介さずに、解体対象の解体作業を実行することができため、解体作業に要する労力を軽減することができる。
【0007】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムは、前記解体対象を搬送する搬送ユニットをさらに備え、前記固定部材検出ユニットは、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って、前記固定部材解体ユニットよりも上流側に設けられている。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、固定部材検出ユニットによる固定部材検出処理と固定部材解体ユニットによる固定部材解体処理とを一連の流れで実行することができため、解体作業員の手作業を介さずに、解体対象の解体作業の一連の処理を実行することができる。
【0008】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記固定部材検出ユニットは、前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象において決められた基準位置に対する前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得する二次元位置検出部を含む第1固定部材検出部を有し、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値に基づき前記位置情報を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、少なくとも固定部材の水平面方の位置を検出することができるため、水平面方向において固定部材と固定解除ツールの位置を合わせることができる。
【0009】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第一固定部材検出部は、前記解体対象についての水平面方向の全領域を複数個に分けた分割領域ごとに、前記解体対象の一部を撮像して、前記分割領域に対応する前記解体対象の一部を撮像した撮像画像に基づき、前記固定部材を検出し、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、解体対象の大きさやカメラの性能に応じて固定部材を検出するために適当な画質の画像を撮像することができるため、位置情報の検出精度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第1固定部材検出部は、前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に対して、各画素の輝度値についての二値化処理をする第1固定部材画像解析部をさらに備え、前記二次元位置検出部は、前記第1固定部材画像解析部により二値化処理された画像に基づき、前記固定部材に形成されている凹凸形状を検出し、前記凹凸形状が示す前記固定部材の特徴点を、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値として取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、固定部材が例えばネジのように、固定解除ツールとの位置あわせを行う位置に凹凸形状を有する場合、固定部材の位置情報の検出精度を向上させ、固定解除ツールとの位置合わせの精度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第1固定部材検出部は、前記解体対象を撮像する第1カメラと、前記第1カメラが撮像した前記解体対象の画像に基づき、前記解体対象の色が属する色カテゴリが予め決められた色カテゴリのいずれかであるかを判定する色判定部と、前記色判定部の判定結果に基づき、判定された色カテゴリに応じて予め決められた撮像条件に従って前記第1カメラの撮像を制御する撮像制御部とをさらに備え、前記二次元位置検出部は、前記撮像制御部の制御に従って前記第1カメラが撮像した画像に基づき、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、解体対象として、例えば、ディスプレイの色に応じてシャッタースピードを調整することができるため、撮像される画像の明るさにばらつきがある場合であっても、固定部材を検出しやすい画像を撮像することができる。よって、固定部材の位置情報の検出精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記固定部材検出ユニットは、前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値に基づき、三次元空間における前記固定部材の位置を示す座標値を前記位置情報として取得する三次元位置検出部を含む第2固定部材検出部を有する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、少なくとも固定部材の垂直方向の位置を検出することができるため、垂直方向において固定部材と固定解除ツールとを位置合わせさせることができる。よって、例えば、ネジをドライバービットによって緩ませる方向に回転させてネジだけを取り除くような解体をすることができる。
【0013】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第2固定部材検出部は、前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値に基づき前記固定部材に対して検出光を照射する照射部と、前記固定部材から反射した前記検出光を受光する受光部とを含む計測機器をさらに備え、前記三次元位置検出部は、前記検出光の光路長に基づき、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を取得し、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を含む前記位置情報を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、検出光を利用して、固定部材の垂直方向の位置を検出することができる。
【0014】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第2固定部材検出部は、前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値に基づき、前記解体対象における前記固定部材を撮像する第2カメラと、前記第2カメラが撮像した画像に基づき、前記固定部材にピントがあうように前記カメラと前記固定部材の距離を調整するフォーカス制御部とをさらに備え、前記三次元位置検出部は、前記フォーカス制御部により前記固定部材にピントがあったときの前記カメラと前記固定部材の距離に基づき、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を取得し、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を含む前記位置情報を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、オートフォーカス機能を利用して、固定部材の垂直方向の位置を検出することができる。
【0015】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第2固定部材検出部は、前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値を含む領域を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像に基づき、前記基準位置に対する前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得し、前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値と前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を含む前記位置情報を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、二次元位置検出部によって大まかな固定部材の位置を検出したのち、この大まかな固定部材の位置を示す情報に基づき各固定部材の画像を撮像して、この撮像画像に基づき、より詳細な固定部材の位置を検出することができる。よって、固定部材の位置の検出精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記第2固定部材検出部は、前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値と、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値とを含む前記位置情報を取得する。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、二次元位置検出部によって検出された固定部材の水平方向の位置と、三次元位置検出部によって検出された固定部材の垂直方向の位置とに基づき、固定部材の三次元空間における位置情報を取得することができる。よって、例えば、二次元位置検出部によって精度よく水平方向の位置が検出されている場合、三次元位置検出部が水平方向の位置を検出する手間を省くことができ、作業時間を短縮することができる。
【0017】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記固定部材検出ユニットは、前記固定部材検出ユニットに備えられる前記第2固定部材検出部の数は、前記第1固定部材検出部の数よりも多い。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、処理時間がよりかかる装置(三次元位置検出部)の数を処理時間がよりかからない装置(二次元位置検出部)の数よりも増やすことにより、固定部材解体システム全体における処理効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の一態様による上述の固定部材解体システムにおいて、前記固定部材検出ユニットは、前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき前記固定部材を検出する際、前記固定部材に類似し前記固定部材ではない画像として予め決められている類似画像が前記撮像画像に含まれているか否かを判定し、前記類似画像が検出された場合、前記類似画像は前記固定部材でないと判定する第1固定部材画像解析部をさらに備える。
このように、本発明の一実施形態に係る固定部材解体システムによれば、固定部材でない画像の誤検出を低減させることができ、固定部材の検出精度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の一態様による固定部材解体方法は、前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している前記固定部材を検出するステップと、検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させるステップとを備える。
【0020】
また、本発明の一態様によるプログラムは、コンピュータを、解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している前記固定部材を検出し、検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得する固定部材検出手段、前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させる固定部材解体手段、として機能させるものである。
【0021】
また、本発明の一態様による上述のプログラムは、前記コンピュータを、前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき前記固定部材を検出する際、前記固定部材に類似し前記固定部材ではない画像として予め決められている類似画像が前記撮像画像に含まれているか否かを判定し、前記類似画像が検出された場合、前記類似画像は前記固定部材でないと判定する固定部材画像解析手段としてさらに機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、解体対象の解体作業における労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る固定部材解体システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る固定部材解体システムの概要を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第1固定部材検出部の概略を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係るXYZ移動機構と駆動制御部の構成の一例について説明するためのブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る第1固定部材検出部の第1カメラによって撮像される複数の分割画像の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る第1固定部材検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る位置決めガイドおよび位置決め移動機構の一例について説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態に係る第1固定部材画像解析部による処理を説明するための参考図である。
【図9】本発明の実施形態に係る第2固定部材検出部の概略を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態に係る第2固定部材検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に係るレンズと被写体との位置関係を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態に係るAF処理について説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態に係る第2固定部材画像解析部による処理を説明するための参考図である。
【図14】本発明の実施形態に係る固定部材解体ユニットの概略を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態に係る固定部材解体ユニットの構成の一例を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態に係る固定部材解体ユニットの駆動制御部の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る回収ボックスへの回収方法の一例について説明するための図である。
【図18】本発明の実施形態に係る第1固定部材検出部による処理フローの一例について説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明の実施形態に係る第2固定部材検出部による処理フローの一例について説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の実施形態に係る固定部材解体ユニットによる処理フローの一例について説明するためのフローチャートである。
【図21】本発明の実施形態に係る固定解除ツールのビット先端の動きについて説明するための概略図である。
【図22】本発明の実施形態に係る固定解除ツールの他の例について説明するための図である。
【図23】本発明の実施形態に係る計測機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る固定部材解体システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態に係る固定部材解体システム1は、固定部材検出ユニット2と、固定部材解体ユニット3と、搬送ユニット4と、統括制御ユニット5とを含む。この固定部材検出ユニット2は、第1固定部材検出部10と、第2固定部材検出部20とを備える。統括制御ユニット5は、固定部材検出ユニット2、固定部材解体ユニット3、および搬送ユニット4を、統括的に制御する。
本実施形態に係る固定部材解体システム1は、固定部材検出ユニット2により解体対象に固定されている固定部材を検出し、検出された固定部材を固定部材解体ユニット3により解体するシステムである。本実施形態において、この固定部材解体システム1の解体対象として、例えば、ネジ留めされているディスプレイDPのキャビネットを例に、以下説明する。また、本実施形態において、固定部材は、ネジであり、以下、固定部材をネジNJと呼称する。また、ネジNJの固定解除方法としては、固定解除ツール、例えばドライバービットを用いて、ネジ留めされているネジNJを緩ませる方向に回転させてディスプレイDPのキャビネットから取り外す方法の一例を用いて、以下説明する。
【0025】
次に、図2を参照しながら、この固定部材解体システム1の概要について説明する。図2は、固定部材解体システム1の概要を説明するための図である。
図示の通り、搬送ユニット4は、搬送ベルト401と搬送ローラ402とを備え、搬送ローラ402の回転を制御することにより、予め決められた搬送方向に搬送ベルト401を搬送する。なお、この搬送ユニット4は、統括制御ユニット5によって、搬送速度や搬送タイミング等が制御されるものであってもよい。
搬送ユニット4の付近には、搬送ユニット4による搬送方向の上流側から下流側に沿って、固定部材検出ユニット2における第1固定部材検出部10および第2固定部材検出部20、ならびに固定部材解体ユニット3がこの順番で設置されている。この搬送ベルト401上には解体対象であるディスプレイDPが載置されており、搬送ユニット4が、第1固定部材検出部10、第2固定部材検出部20、固定部材解体ユニット3の順番で、解体対象をこれらに搬送する。このディスプレイDPは、搬送ベルト401上に背面を上にして載置されており、搬送ベルト401上のディスプレイDPには、その上面にネジNJが見えている。なお、搬送方向は図示の通り直線でなくてもよく、固定部材解体システム1が設置される環境に応じて変更可能である。
【0026】
ここで、搬送方向の上流側から下流側に向かって、固定部材解体システム1に含まれる各構成について簡単に説明する。
固定部材検出ユニット2は、解体対象であるディスプレイDPを撮像した画像に基づき、このディスプレイDPのキャビネットを固定しているネジNJを検出し、検出されたネジNJのディスプレイDP内における位置を示す位置情報を取得する。本実施形態において、ネジNJの位置は、ディスプレイDPにおいて決められた基準位置Pを原点(0,0,0)としてXYZ座標値で示される。なお、本発明はこれに限られず、ネジNJの位置は、ディスプレイDPにおいて決められた基準位置Pを原点としてXY座標値で示されるものであってもよい。
この基準位置Pを原点(0,0,0)とする三次元空間をステージ座標空間という。このステージ座標空間は、XY平面が水平面と一致し、Z軸方向が垂直方向と一致している。なお、X軸+方向が搬送方向(上流から下流に向かう方向)と一致し、Z軸+方向が上方向(つまり、Z軸−方向が下方向)と一致している。
【0027】
搬送方向上流側で、固定部材検出ユニット2の第1固定部材検出部10は、ディスプレイDPのキャビネットを固定しているネジNJを検出し、検出されたネジNJのXY平面上の位置を示す位置情報を取得する。本実施形態において、ネジNJの位置情報は、ネジNJのネジ穴が見えるネジ頭部の位置を示す情報である。
具体的に説明すると、第1固定部材検出部10は、解体対象であるディスプレイDPについての水平面方向の全領域を撮像した画像データに基づき、固定部材であるネジNJを検出し、検出されたネジNJのXY座標値を算出する。ここで算出されるネジNJの位置は、ディスプレイDPのステージ座標空間において予め決められた基準位置P(0,0,0)に対するXY座標値で示される。なお、この基準位置P(0,0,0)は、位置決めされたディスプレイDPの一角であり、詳細については後述する。
また、固定部材検出ユニット2の第2固定部材検出部20は、解体対象であるディスプレイDPの一部を撮像した画像データに基づき、基準位置Pに対する少なくとも垂直方向の固定部材であるネジNJの位置を示す位置情報(つまり、ステージ座標空間におけるZ座標値)を取得する。
【0028】
本実施形態では、第1固定部材検出部10は、ネジNJのおおよその位置を示すXY座標値(X1,Y1)を取得する。このXY座標値(X1,Y1)に基づきネジNJの詳細な画像を撮像し、この撮像画像に基づき、第2固定部材検出部20が、ネジNJの位置を示すXYZ座標値(X2,Y2、Z2)を取得する。本実施形態に係る固定部材検出ユニット2は、第2固定部材検出部20が取得したXYZ座標値(X2,Y2、Z2)をネジNJの位置を示す位置情報として、固定部材解体ユニット3に出力する形態の一例について、以下説明する。これにより、ネジNJの位置を示す位置情報の精度を高めることができる。
【0029】
しかし、本発明はこれに限られず、固定部材検出ユニット2は、第1固定部材検出部10において固定部材のXY座標値を取得するとともに、第2固定部材検出部20において固定部材のZ座標値を取得するものであってもよい。そして、固定部材検出ユニット2は、この第1固定部材検出部10において取得するXY座標値と第2固定部材検出部20において取得するZ座標値とをあわせたXYZ座標値を、ネジNJの位置を示す位置情報として、固定部材解体ユニット3に出力する形態であってもよい。これにより、第2固定部材検出部20によってネジNJの位置を示すXY座標値(X2,Y2)を取得する作業を省略し、作業時間を短縮することができる。この場合、第1固定部材検出部10は、XY座標値(X1,Y1)が示す位置情報の精度を高める機能を有することが好ましい。なお、このXY座標値(X1,Y1)が示す位置情報の精度を高める機能とは、詳細については後述するが、例えば、ディスプレイDPの色に応じて撮像条件を変更する機能や、ディスプレイDPを分割して撮像する機能や、あるいは、撮像した画像に対して二値化処理を実行してネジNJのネジ穴部分の画像領域を検出する機能等がある。このように、XY座標値(X1,Y1)が示す位置情報の精度を高めるような機能を利用することにより、ネジNJのネジ穴の位置と固定解除ツールであるドライバービットの先端との位置合わせの精度を高めることができる。
【0030】
また、本実施形態に係る固定部材検出ユニット2は、ネジNJのおおよその位置を示すXY座標値(X1,Y1)を、ネジNJの位置を示す位置情報として、固定部材解体ユニット3に出力するものであってもよい。例えば、固定部材検出ユニット2は、第2固定部材検出部20を備えず、少なくとも第1固定部材検出部10のみを備え、ネジNJのおおよその位置を示すXY座標値(X1,Y1)を、ネジNJの位置を示す位置情報として、固定部材解体ユニット3に出力するものであってもよい。これにより、第2固定部材検出部20によってネジNJの位置を示すXYZ座標値(X2,Y2,Z2)を取得する作業を省略し、作業時間をさらに短縮することができる。この場合、固定部材解体ユニット3は、ネジNJのおおよその位置を示すXY座標値(X1,Y1)に基づき固定部材の固定を解除できるような固定解除ツールを利用可能であることが好ましい。例えば、ネジNJを含めてその付近を破壊できるような固定解除ツールを利用することにより、ネジNJのおおよその位置を示す位置情報であっても、ネジNJの固定を解除することができる。
【0031】
固定部材解体ユニット3は、固定部材検出ユニット2によって取得された位置情報であるXYZ座標値(X2,Y2、Z2)に基づき、ネジNJによる固定を解除させるための固定解除ツールであるドライバービットの先端を、解体対象におけるネジNJの位置に移動させ、ネジNJによる固定をこの固定解除ツールにより解除させる。
【0032】
次に、固定部材解体システム1の各構成について、詳細に説明する。
図3は、第1固定部材検出部10の概略を説明するための図である。図3に示す通り、第1固定部材検出部10は、第1カメラ101を保持した状態で、この第1カメラ101をXYZ空間内で移動させるXYZ移動機構102を備える。このXYZ移動機構102は、第1カメラ101を支持する支持部102aと、この支持部102aをZ軸方向に移動可能に支持するZ移動機構102zと、このZ移動機構102zをX軸方向に移動可能に支持するX移動機構102xと、このX移動機構102xをY軸方向に移動可能に支持するY移動機構102yとを備える。
このXYZ移動機構102が動作することにより第1カメラ101を所定の位置に移動させ、第1カメラ101が解体対象であるディスプレイDPの水平面方向の全域を撮像する。なお、本実施形態において、XYZ移動機構102は、搬送ベルト401に載置されたディスプレイDPの背面の全域を撮像するように、第1カメラ101を移動させる。
また、第1カメラ101には、例えば、第1カメラ101によって撮像される領域を照らすための高周波蛍光灯103が搭載されている。
なお、XYZ移動機構102は、第1カメラ101の被写界深度の範囲にディスプレイDPが入っており、XY座標値(X1,Y1)を取得することができる程度のネジNJの画像を撮像できる場合は、Z移動機構102zはなくてもよい。
【0033】
ここで、図4を参照して、XYZ移動機構102とこれを動作させる駆動制御部104の一例について説明する。図4は、XYZ移動機構102と駆動制御部104の構成の一例について説明するためのブロック図である。
図4に示す通り、XYZ移動機構102は、駆動制御部104と接続されている。この駆動制御部104は、XYZ移動機構102に動力を提供し、XYZ移動機構102の動作を制御する。
駆動制御部104は、X移動機構102x、Y移動機構102y、およびZ移動機構102zをそれぞれ動作させるためのモータ制御部141x、モータ制御部141y、およびモータ制御部141zと、駆動部142x、駆動部142y、および駆動部142zと、モータ143x、モータ143y、およびモータ143zとを備える。
モータ制御部141x、モータ制御部141y、およびモータ制御部141zは、X移動機構102x、Y移動機構102y、およびZ移動機構102zのそれぞれの動作量(移動距離)に応じた駆動コマンドを駆動部142x、駆動部142y、および駆動部142zにそれぞれ出力する。この駆動部142x、駆動部142y、および駆動部142zは、入力する駆動コマンドに応じて、それぞれモータ143x、モータ143y、モータ143zを駆動させる。このモータ143x、モータ143y、モータ143zは、それぞれ、X移動機構102x、Y移動機構102y、Z移動機構102zと接続されており、駆動部142x、駆動部142y、駆動部142zにより駆動され、X移動機構102x、Y移動機構102y、Z移動機構102zを、それぞれをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる。
【0034】
本実施形態において、第1カメラ101は、ディスプレイDPの背面の全領域を複数の領域に分割して撮像する。この分割数は、解体対象の大きさや、第1カメラ101に搭載されているCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)の性能に応じて、予め決められている。
ここで、図5を参照して、第1カメラ101によって撮像されるディスプレイDPの背面の画像の一例について説明する。図5は、第1カメラ101によって撮像される複数の分割画像の一例を示す図である。なお、図5に示す通り、XY平面上の位置に限って説明する場合、つまり、基準位置Pを基準とした座標情報としてX、Y座標値のみで、Z座標値を用いない場合、基準位置Pの座標値(0,0)と示す場合もある。
図5に示す通り、ディスプレイDPの背面の全体は、例えば、撮像される領域として仮想的に9つの分割領域に分割され、これら分割領域のそれぞれを撮像した分割画像D1〜D9によって表わされる。なお、分割画像D1〜D9は、基準位置Pを原点(0,0)として、ステージ座標空間におけるXY座標値によりディスプレイDPの背面全体における位置が予め決められている。例えば、分割画像D1は、基準位置P(0,0)と、他の3点(xa,0)、(0,ya)、(xa,ya)とによって示される領域である。
【0035】
次に、図6を参照して、第1固定部材検出部10の動作の一例について説明する。図6は、第1固定部材検出部10の構成の一例を示すブロック図である。
図6に示す通り、第1固定部材検出部10は、位置決めガイド105と、位置決め移動機構106と、駆動制御部107と、情報処理部110とを備える。
なお、第1固定部材検出部10は、上述したとおり、第1カメラ101と、XYZ移動機構102と、駆動制御部104とを備える。この第1カメラ101は、レンズ101aと、CCD101bと、A/D変換部101cとを備える。第1カメラ101は、入射する光学像をレンズ101aを介してCCD101bの光電変換面(撮像面)に結像させる。このCCD101bによって光電変換された光学像は、A/D変換部101cによってデジタル信号に変換される。
【0036】
位置決めガイド105は、搬送ベルト401上のディスプレイDPを押し運び基準位置Pに対応する位置に移動させる部材である。この位置決めガイド105は、例えば、X軸方向に移動するXガイド105xと、Y軸方向に移動するYガイド105yとを備える。
位置決め移動機構106は、位置決めガイド105を予め決められた方向に移動可能に保持する。
なお、位置決めガイド105および位置決め移動機構106は、例えば、図7に示すような構造である。図7には、基準位置PにディスプレイDPの一角が当接して固定されるように支持ガイド108が設けられている。
駆動制御部107は、ディスプレイDPの一角を基準位置Pにあわせて位置決めするように位置決め移動機構106を制御する。この駆動制御部107は、Xガイド105xをX軸方向に沿って基準位置Pに向かって移動させるとともに、Yガイド105yをY軸方向に沿って基準位置Pに向かってに移動させる。この駆動制御部107は、例えば、第1カメラ101によって撮像された画像のデータに基づき、ディスプレイDPの一角が基準位置Pに位置合わせさせるまで、Xガイド105xおよびYガイド105yと移動させる。Xガイド105xおよびYガイド105yによって押し運ばれたディスプレイDPは、支持ガイド108に当接して停止する。これにより、ディスプレイDPの一角が基準位置Pに位置決めされる。
【0037】
図6に戻って、情報処理部110について詳細に説明する。
情報処理部110は、第1制御部111と、記録部112と、色判定部113と、撮像制御部114と、第1固定部材画像解析部115と、二次元位置検出部116と、送信部117とを備える。
第1制御部111は、記録部112に記録されているプログラムに従って、第1固定部材検出部10を統括的に制御する。
記録部112は、第1固定部材検出部10の動作に利用される種々の情報を記録する。
【0038】
色判定部113は、第1カメラ101によって撮像された画像データに基づき、予め決められた色カテゴリのうち解体対象の色が属する色カテゴリを判定する。この色カテゴリは、解体対象として一般的な色であって、その明るさが異なる色ごとに予め決められている。本実施の形態においては、白色カテゴリと、黒色カテゴリと、灰色カテゴリとが予め決められている。
撮像制御部114は、色判定部113による判定結果に基づき、判定された色カテゴリに適した光量で第1カメラ101が撮像するように撮像条件を制御する。例えば、撮像制御部114は、シャッタースピードを制御して、撮像する光量を調整する。
【0039】
ここで、図8を参照して、第1固定部材画像解析部115による処理について詳細に説明する。図8は、第1固定部材画像解析部115による処理を説明するための参考図である。
第1固定部材画像解析部115は、第1カメラ101によって撮像された画像に基づき、ディスプレイDPの表面に露出したネジNJの頭部の形状として予め決められている形状を検出する。この第1固定部材画像解析部115は、例えば、幾何学形状パターンマッチングにより円形状の固定部材エリアLを検出する。なお、iは、各ネジNJを識別するために割り当てられた数字である。
図8(a)は、この第1固定部材画像解析部115により検出された固定部材エリアL〜Lを含む分割画像D1の一例を示す。この固定部材エリアLの画像の一例を図8(b)に示す。
第1固定部材画像解析部115は、この固定部材エリアL〜Lごとに、各画素の輝度値の平均を算出する。第1固定部材画像解析部115は、算出した輝度値の平均を閾値として、固定部材エリアの画像に対して二値化処理を行う。例えば、固定部材エリアLの輝度値と、この固定部材エリアLの二値化処理後の画像の一例を図8(c)に示す。図8(c)に示す通り、固定部材エリアLの輝度値は、円形形状の全体に比べて中心の十字形状の輝度値が低くなっている。これは、十字形状のネジ穴部分が凹状に窪んでいるためである。よって、第1固定部材画像解析部115は、二値化処理を実行することより、十字形状のネジ穴エリアの画像領域を検出することができる。つまり、第1固定部材画像解析部115により二値化処理された画像は、ネジNJの頭部に形成されている凹凸形状を明確に表わすことができる。
【0040】
第1固定部材画像解析部115は、二値化処理により、輝度値の平均である閾値よりも輝度値が低い画像領域をネジ穴エリアN{i=1,2,3・・・}として検出し、検出したネジ穴エリアNを示す情報を二次元位置検出部116に出力する。この第1固定部材画像解析部115によって検出されたネジ穴エリアNの一例を図8(d)に示す。
【0041】
二次元位置検出部116は、検出されたネジ穴エリアNを示す情報に基づき、ネジ穴エリアNの中心点Mの座標を算出し、検出したネジ穴エリアNの位置を示す位置情報(X1,Y1)として取得する。この中心点Mは、基準位置Pを原点(0,0)とするXY座標値で示される。二次元位置検出部116は、取得した位置情報(X1,Y1)を送信部117に出力する。つまり、二次元位置検出部116は、第1固定部材画像解析部115により二値化処理された画像に基づき、ネジNJの頭部に形成されている凹凸形状を検出し、この凹凸形状が示すネジNJの特徴点である中心点Mを、ネジNJの位置を示す位置情報(X1,Y1)として取得する。
送信部117は、第2固定部材検出部20と通信可能に接続されており、入力する位置情報(X1,Y1)を第2固定部材検出部20に送信する。
【0042】
次に、図9〜13を参照して、第2固定部材検出部20について詳細に説明する。
図9は、第2固定部材検出部20の概略を説明するための図である。図9に示す通り、第2固定部材検出部20は、第2カメラ201を保持した状態で、この第2カメラ201をXYZ空間に移動させるXYZ移動機構202を備える。このXYZ移動機構202は、第2カメラ201を支持する支持部202aと、この支持部202aをZ軸方向に移動可能に支持するZ移動機構202zと、このZ移動機構202zをX軸方向に移動可能に支持するX移動機構202xと、このX移動機構202xをY軸方向に移動可能に支持するY移動機構202yとを備える。なお、このXYZ移動機構202は、上述のXYZ移動機構102と同様の構成と機能を有するため、各構成部に同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
また、第2カメラ201には、例えば、第2カメラ201によって撮像される領域を照らすための青色発光ダイオード203が搭載されている。
【0043】
次に、図10を参照して、第2固定部材検出部20の構成の一例について説明する。図10は、第2固定部材検出部20の構成の一例を示すブロック図である。
図10に示す通り、第2固定部材検出部20は、駆動制御部204と、位置決めガイド205と、位置決め移動機構206と、駆動制御部207と、情報処理部210とを備える。
また、第2固定部材検出部20は、上述したとおり、第2カメラ201を備える。この第2カメラ201は、レンズ201aと、CCD201bと、A/D変換部201cと、レンズ駆動部201dと、AFエンコーダ201eとを備える。第2カメラ201は、入射する光学像をレンズ201aを介してCCD201bの光電変換面(撮像面)に結像させる。このCCD201bによって光電変換された光学像は、A/D変換部201cによってデジタル信号に変換される。このA/D変換部201cは、このデジタル信号を、第2カメラ201によって撮像された画像データとして出力する。
なお、レンズ駆動部201dは、フォーカス制御部213から入力するコマンド信号に基づき、入射する光の光軸方向にレンズ201aを移動させる。AFエンコーダ201eは、レンズ201aの移動を検出し、レンズ201aの移動量に応じた信号を、フォーカス制御部213に出力する。
【0044】
駆動制御部204は、XYZ移動機構202を動作して、位置情報(X1,Y1)が示す位置と第2カメラ201のレンズ201aの光軸とが直交する位置に、第2カメラ201を移動させる。この駆動制御部204は、第2カメラ201が(X1,Y1)が示す位置に移動した後、Z軸方向に予め決められた距離ずつ段階的に、レンズ201aを光軸方向と平行に移動させる。本実施形態において、駆動制御部204は、予め決められた初期高さ(Z座標値)から5mmずつディスプレイDPに近づけるように第2カメラ201を移動させる。
なお、駆動制御部204は、XYZ移動機構202の動作を制御する制御部であって、上述の駆動制御部104と同様の機能および構成を有するため、詳細な説明は省略する。
位置決めガイド205、位置決め移動機構206、および駆動制御部207は、上述の位置決めガイド105、位置決め移動機構106、および駆動制御部107と同様の機能と構成を有するため、詳細な説明については省略する。
【0045】
情報処理部210は、第2制御部211と、記録部212と、フォーカス制御部213と、三次元位置検出部214と、第2固定部材画像解析部215と、送受信部216とを備える。
第2制御部211は、記録部212に記録されているプログラムに従って、第2固定部材検出部20を統括的に制御する。
記録部212は、第2固定部材検出部20の動作に利用される種々の情報を記録する。
【0046】
フォーカス制御部213は、第2カメラ201によって撮像された画像データに基づき、レンズ201aの位置(以下、フォーカスポジションという)を調整して、被写体にピントを合わせるAF(Auto Focus)処理を実行する。なお、本実施形態において、AF処理とは、Z軸と平行方向に第2カメラ201を移動させることにより被写体にピントを合わせるAF処理(以下、カメラ駆動AF処理という)と、レンズ駆動部201dによりレンズ201aを移動させることにより被写体にピントを合わせるAF処理(以下、レンズ駆動AF処理という)とを含む。本実施形態に係るフォーカス制御部213は、カメラ駆動AF処理を優先して実行する。なお、フォーカス制御部213は、レンズ駆動AF処理を実行することが設定された場合、カメラ駆動AF処理を実行した後に、レンズ駆動AF処理を実行する。これにより、より詳細に、固定部材であるネジNJのZ座標値を算出することができる。
【0047】
ここで、レンズ201aと被写体との位置関係について、図11を参照して説明する。図11は、レンズ201aと被写体との位置関係を説明するための図である。
図11に示す通り、レンズ201aは、被写体から入射する光を集光して、CCD201bの光電変換面(撮像面)に被写体像を結像させる。図示の通り、被写体面からレンズ201aまでの距離を被写体距離という。レンズ201aからCCD201bの撮像面までの距離をレンズ距離という。この被写体面に被写体が存在している状態で撮像された場合に、被写体にピントがあう。このときのレンズ201aの位置を合焦位置という。なお、レンズ距離と被写体距離との関係は、レンズ201aの特性等に応じて予め決められている。
【0048】
フォーカス制御部213は、第2カメラ201によって撮像された画像に基づき、固定部材であるネジNJの形状として予め決められている形状を検出する。本実施形態において、固定部材であるネジNJは、ディスプレイDPの背面から見て円形である。このフォーカス制御部213は、例えば、幾何学形状パターンマッチングにより円形状の固定部材エリアCを検出する。図12(a)に、このフォーカス制御部213により検出された円形状の固定部材エリアCの一例を示す。
また、フォーカス制御部213は、検出した固定部材エリアCに外接する四角形形状のAF処理エリアDの画像データを第2カメラ201が撮像した撮像画像データから切り出す。図12(b)に、このフォーカス制御部213により切り出されるAF処理エリアDの一例を示す。なお、切り出す画像領域は、四角形形状に限られず、その他の形状であってもよい。
このフォーカス制御部213は、AF処理エリアDの画像データに対して、ノイズ除去処理とエッジ検出処理を実行する。フォーカス制御部213は、エッジ検出処理後のデータに基づき、AF処理エリアDの輝度値の平均を算出する。なお、ノイズ除去処理において、例えば、メディアンフィルタや平滑フィルタを利用することができる。エッジ検出処理においては、1次微分フィルタ(Prewittフィルタ)を利用することができる。
【0049】
具体的に説明すると、フォーカス制御部213は、第2カメラ201(レンズ201a)を段階的に移動させて、異なるフォーカスポジションj{j=1,2,3・・・}において撮像された画像データに基づき、フォーカスポジションjごとのAF処理エリアDi,jを検出する。このフォーカスポジションjとは、被写体距離を決定するための被写体面に対応するレンズの位置であり、レンズ距離を決定するための撮像面に対応するレンズの位置である。
このフォーカス制御部213は、フォーカスポジションjごとのAF処理エリアDi,jの画像データに対して、ノイズ除去処理とエッジ検出処理を実行し、ノイズ除去処理およびエッジ検出処理後の画像データEi,jに基づき、AF処理エリアDi,jの輝度値の平均を算出する。フォーカス制御部213は、算出したAF処理エリアDi,jの輝度値の平均が上昇した後に下降するフォーカスポジションjを検出し、この下降する直前の輝度値の平均が最も高いときのフォーカスポジションjを被写体にピントがあっている位置(合焦位置)と決定する。なお、このAF処理は、山登り式AF処理と呼ばれるものであり、本実施形態に記載の方法以外の一般的なAF処理の方法であってもよい。
【0050】
例えば、被写体にピントがあっていないフォーカスポジションjで撮像された画像は、図12(c)に示す通り、被写体のエッジが弱い。つまり、輝度の差が小さく、コントラスト比が小さい。
一方、被写体にピントがあっているフォーカスポジションjで撮像された画像は、図12(d)に示す通り、被写体のエッジが強い。つまり、輝度の差が大きく、コントラスト比が大きい。
【0051】
三次元位置検出部214は、フォーカス制御部213によって被写体にピントがあっている合焦位置が決定された場合、決定された合焦位置に対応する被写体距離を算出する。例えば、カメラ駆動AF処理が実行された場合、三次元位置検出部214は、フォーカス制御部213によって被写体にピントが合っていると判定された際の第2カメラ201(レンズ201a)と被写体との距離を第2制御部211から入力する。なお、第2カメラ201と被写体との距離は、XYZ移動機構202における移動量(駆動量)に基づき、第2制御部211が管理している。また、レンズ駆動AF処理が実行された場合、三次元位置検出部214は、フォーカス制御部213によって被写体にピントが合っていると判定された際のレンズ201aと光電変換面との距離(レンズ距離)をフォーカス制御部213から入力する。三次元位置検出部214は、このレンズ距離に基づき、記録部212に記録されている情報を参照して、レンズ距離と対応付けられている被写体距離を算出する。この記録部212には、レンズ特性に応じて予め決められている合焦時(被写体にピントが合っている時)におけるレンズ距離と被写体距離とを対応付ける情報が記録されている。なお、レンズ201aと光電変換面との距離は、レンズ駆動部201dにおける移動量(駆動量)に基づき、フォーカス制御部213が管理している。
三次元位置検出部214は、合焦時(被写体にピントが合っている時)における被写体距離に基づき、ステージ座標空間における固定部材であるネジNJの垂直方向の位置を算出する。この垂直方向の位置は、基準位置P(0,0,0)に対するZ座標値(Z2)で示される。
【0052】
ここで、図13を参照して、第2固定部材画像解析部215による処理について詳細に説明する。図13は、第2固定部材画像解析部215による処理を説明するための参考図である。
第2固定部材画像解析部215は、第2カメラ201によって撮像された画像データに基づき、固定部材であるネジNJの形状として予め決められている形状(例えば、円形形状)を検出する。なお、第2固定部材画像解析部215は、フォーカス制御部213によって被写体にピントが合っていると判定された際に撮像された画像データに基づき、以下の処理を実行することが好ましい。
この第2固定部材画像解析部215は、画像データに基づき、例えば、幾何学形状パターンマッチングにより円形状の固定部材エリアFを検出する。図13(a)に、この第2固定部材画像解析部215により検出される固定部材エリアFの一例を示す。
【0053】
また、第2固定部材画像解析部215は、この固定部材エリアFを基準として、この固定部材エリアF内に含まれるネジ穴エリアGを検出し、このネジ穴エリアGを示す情報を三次元位置検出部214に出力する。この第2固定部材画像解析部215は、画像データに基づき、例えば、固定部材エリアF内におけるネジ穴の位置として予め決められている位置において、ネジ穴の形状として予め決められているパターン画像があるか否かを判定する。なお、このネジ穴の形状としては、複数の異なるパターン画像が用意されているものであってもよい。第2固定部材画像解析部215は、幾何学形状パターンマッチングにより、例えば十字形状のネジ穴エリアGを検出する。図13(b)に、このネジ穴エリアGの一例を示す。
つまり、第2固定部材画像解析部215は、固定部材エリアFに対応するネジ穴の位置関係とこのネジNJに対応するネジ穴の形状に基づき、ネジ穴エリアGを検出する。なお、ネジ穴の形状として、複数の異なるパターン画像が用意されている場合、第2固定部材画像解析部215は、ネジ穴エリアGを検出した場合、前記ネジ穴エリアGと一致したネジ穴の形状を示す情報を合わせて取得する。
【0054】
三次元位置検出部214は、第2固定部材画像解析部215から入力するネジ穴エリアGを示す情報に基づき、ステージ座標空間におけるネジNJの水平方向の位置を示す位置情報を取得する。この水平方向の位置は、基準位置P(0,0,0)に対するXY座標値(X2,Y2)で示される。三次元位置検出部214は、例えば、ネジ穴エリアGの中央点を示すXY座標値(X2,Y2)を、ネジNJの水平方向の位置として取得する。
この三次元位置検出部214は、ネジ穴エリアGの中央点を示すXY座標値(X2,Y2)と、ネジNJの垂直方向のZ座標値(Z2)とに基づき、ステージ空間内におけるネジNJの位置情報(X2,Y2,Z2)を算出し、送受信部216に出力する。
【0055】
送受信部216は、第1固定部材検出部10と固定部材解体ユニット3と通信可能に接続されており、第1固定部材検出部10によって取得された位置情報(X1,Y1)を受信するとともに、三次元位置検出部214によって取得された位置情報(X2,Y2,Z2)を固定部材解体ユニット3に送信する。
【0056】
次に、図14〜17を参照して、固定部材解体ユニット3について詳細に説明する。
図14は、固定部材解体ユニット3の概略を説明するための図である。図14に示す通り、固定部材解体ユニット3は、固定解除ツール301を保持した状態でXYZ空間に移動させるXYZ移動機構302と、Z軸と平行な回転軸を中心に固定解除ツール301を回転させる回転移動機構303とを備える。このXYZ移動機構302は、固定解除ツール301と回転移動機構303とを支持する支持部302aと、この支持部302aをZ軸方向に移動可能に支持するZ移動機構302zと、このZ移動機構302zをX軸方向に移動可能に支持するX移動機構302xと、このX移動機構302xをY軸方向に移動可能に支持するY移動機構302yとを備える。なお、このXYZ移動機構302は、上述のXYZ移動機構102と同様の構成と機能を有するため、各構成部に同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
固定解除ツール301は、例えば、固定部材であるネジNJのネジ穴と噛み合うドライバービットである。このドライバービットは、先端が永久磁石で構成されており、鉄等の磁性体で構成されるネジNJを磁力により保持可能である。
この固定解除ツール301の付近には、回収ボックス309が備え付けられている。この回収ボックス309は、Z移動機構302zに移動可能に固定されているものであってもよい。
【0057】
固定部材解体ユニット3の動作について簡単に説明する。この固定部材解体ユニット3は、図示の通り、ディスプレイDPの裏面を上方に向けた状態で、ディスプレイDPの上部から、固定解除ツール301のドライバービットを下方に下ろしてネジNJ付近まで移動させる。その後、固定部材解体ユニット3は、ドライバービットをゆっくりとネジに近づけながら、ネジNJを緩める方向にドライバービットを回転させる。そして、ネジNJが緩められた場合、ドライバービットは磁力によってネジNJを保持したまま上方に持ち上げられる。次いで、固定部材解体ユニット3は、ドライバービットを回収ボックス309の上部に移動させ、取り外したネジを回収ボックス309に収容する。
【0058】
次に、図15を参照して、固定部材解体ユニット3の構成の一例について説明する。図15は、固定部材解体ユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
図15に示す通り、固定部材解体ユニット3は、駆動制御部304と、位置決めガイド305と、位置決め移動機構306と、駆動制御部307と、情報処理部310とを備える。
駆動制御部304は、XYZ移動機構302の動作を制御するとともに、回転移動機構303の動作を制御する制御部である。この駆動制御部304は、例えば、図16に示すような構成を有する。図16は、駆動制御部304の一例を示す図である。
【0059】
図16に示す通り、駆動制御部304は、X移動機構302x、Y移動機構302y、およびZ移動機構302zをそれぞれ動作させるためのモータ制御部341x、モータ制御部341y、およびモータ制御部341zと、駆動部342x、駆動部342y、および駆動部342zと、モータ343x、モータ343y、およびモータ343zとを備える。なお、これら構成については、上述の駆動制御部104に含まれる構成(X移動機構102x、Y移動機構102y、およびZ移動機構102zと、モータ制御部141x、モータ制御部141y、およびモータ制御部141zと、駆動部142x、駆動部142y、および駆動部142zと、モータ143x、モータ143y、およびモータ143z)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、駆動制御部304は、回転移動機構303を動作させるためのモータ制御部341cと、駆動部342cと、モータ343cと、エンコーダ344cとを備える。モータ制御部341cは、回転移動機構303の回転量に応じた駆動コマンドを駆動部342cに出力する。この駆動部342cは、入力する駆動コマンドに従って、モータ343cを駆動させる。モータ343cの回転軸には、固定解除ツール301のドライバービットが回転した回転量を検出するエンコーダ344cが取り付けられている。エンコーダ344cは、モータ343cの回転量を示す回転数(回転角度)と回転速度を検出し、この回転量を示す情報をモータ制御部341cに出力する。回転移動機構303は、モータ343cからの動力を固定解除ツール301に伝達し、固定解除ツール301を回転させる。
【0060】
モータ制御部341cは、駆動部342cに出力した駆動コマンドが示す回転駆動力と、エンコーダ344cから入力する回転量に基づき、固定解除ツール301の回転トルクを算出する。また、モータ制御部341cは、算出した回転トルクが予め決められた閾値以上となったか否かを判定する。この回転トルクが閾値以上となった場合、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のドライバービットの先端がネジ穴と嵌合している状態であると判定する。また、回転トルクが閾値以上から閾値未満に変化した場合、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のネジNJを緩める作業が終了したことを検出する。
【0061】
次に、図17を参照して、回収ボックス309への回収方法の一例について説明する。
図17(a)は、回収ボックス309に壁部材309aを設ける一例について説明するための図である。図17(a)に示す通り、回収ボックス309の一部には、垂直方向に当接面を有する壁部材309aが取り付けられている。この壁部材309aの内側からドライバービットに保持されたネジNJを当接面に当接させるように、XYZ移動機構302がドライバービットを移動させる。あるいは、回収ボックス309を移動させるようにしてもよい。これにより、ネジNJがドライバービットから離脱され、回収ボックス309に回収される。
【0062】
図17(b)は、回収ボックス309に電磁石309bを設ける一例について説明するための図である。図17(b)に示す通り、回収ボックス309の一部には、垂直方向に当接面を有する電磁石309bが取り付けられている。この電磁石309bの内側からドライバービットに保持されたネジNJを当接面に当接させるように、XYZ移動機構302がドライバービットを移動させる。あるいは、回収ボックス309を移動させるようにしてもよい。そして、電磁石309bに電流を流して、少なくともドライバービットの磁力よりも強い磁力を発生させる。これにより、ネジNJは電磁石309bに引き寄せられる。そして、ドライバービットを元の位置に移動させる。次いで、電磁石309bへの電流供給を停止させると、電磁石309bの磁力が消失し、ネジNJが電磁石309bから離脱され、回収ボックス309に回収される。
【0063】
次に、図18を参照して、第1固定部材検出部10による処理フローの一例について説明する。図18は、第1固定部材検出部10による処理フローの一例について説明するためのフローチャートである。
はじめに、解体対象であるディスプレイDPが第1固定部材検出部10の上流側の搬送ベルト401上に載置されると、統括制御ユニット5が搬送ユニット4を制御して、第1固定部材検出部10の位置にディスプレイDPを搬送する。そして、第1固定部材検出部10の第1制御部111は、駆動制御部107に、ディスプレイDPの位置決め処理を指示する。この駆動制御部107は、位置決め移動機構106を動作させて、位置決めガイド105によりディスプレイDPの一角が基準位置Pに位置決めされるように制御する。これにより、位置決めガイド105のXガイド105xおよびYガイド105yがディスプレイDPを基準位置Pに向かって押し運ぶ。駆動制御部107は、例えば、第1カメラ101によって撮影された画像に基づき、ディスプレイDPの一角が基準位置Pにおいて位置決めされたと判定した場合、位置決め移動機構106に対する動作を終了させる。
【0064】
(ステップST1)
次いで、第1固定部材検出部10の第1カメラ101は、ディスプレイDPの概ね中央部分を撮影して、画像データを色判定部113に出力する。この色判定部113は、第1カメラ101によって撮像された画像データに基づき、ディスプレイDPの色カテゴリを判定する。
【0065】
(ステップST2)
そして、撮像制御部114は、色判定部113による判定結果に基づき、判定された色カテゴリに適したシャッタースピードを取得する。なお、この撮像制御部114は、ディスプレイDPの異なる位置(例えば、左上部分、中央部分、右下部分)を第1カメラ101が撮影した画像データに基づき、ディスプレイDPの位置に応じてシャッタースピードを取得するものであってもよい。このように、ディスプレイDPの色や位置に応じてシャッタースピードを調整することで、撮像される画像の明るさにばらつきがある場合であっても、以下の処理で利用する際に、ネジNJを検出しやすい画像を撮像することができる。
【0066】
(ステップST3)
次いで、第1カメラ101は、撮像制御部114によって取得されたシャッタースピードに従って、ディスプレイDPの背面の撮像を開始する。本実施形態において、第1カメラ101は、ディスプレイDPの背面を複数個に分割した複数の分割領域を撮像し、分割画像D1〜D9を得る。なお、この分割領域の分割数は、ディスプレイDPの大きさや第1カメラ101の性能よって予め決められている。本実施の形態において、第1カメラ101の分解能は、60〜80μmである。
【0067】
(ステップST4)
はじめに、XYZ移動機構102は、分割画像D1を撮像するための位置に第1カメラ101を移動させる。そして、第1制御部111は、第1カメラ101が当該撮像位置に位置された後、撮像を指示する。これにより、第1カメラ101は、分割画像D1を撮像し、撮像した画像データを第1固定部材画像解析部115に出力する。なお、第1制御部111は、分割画像D1を撮像した場合、撮像した分割画像の識別番号あるいは枚数等を示す情報を記録部112に記録する。
【0068】
(ステップST5)
第1固定部材画像解析部115は、この分割画像D1に対して、予め決められた円形状のパターンマッチングを行い、分割画像D1に含まれる全ての円形状の固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}を検出する。なお、第1固定部材画像解析部115は、検出された固定部材エリアLを識別するための固有の識別番号i{i=1,2,3・・・}を、各固定部材エリアLに割り当てる。
【0069】
(ステップST6)
そして、第1固定部材画像解析部115は、この固定部材エリアL内の画素の輝度値の平均を算出する。この第1固定部材画像解析部115は、算出した輝度値の平均を閾値として、固定部材エリアLを含む画像に対して二値化処理を行う。
【0070】
(ステップST7)
次いで、第1固定部材画像解析部115は、二値化処理後の画像データに対して、例えば、予め決められた十字形状のパターンマッチングを行い、十字形状のネジ穴エリアNの検出を行う。そして、第1固定部材画像解析部115は、十字形状のネジ穴エリアNの画像領域が検出されたか否かを判定する。
【0071】
(ステップST8)
十字形状のネジ穴エリアNの画像領域が検出された場合、第1固定部材画像解析部115は、検出したネジ穴エリアNの十字形状の中心点Mを示す位置情報(X1,Y1)を取得する。そして、第1固定部材画像解析部115は、この位置情報(X1,Y1)を記録部112に記録する。
【0072】
そして、第1固定部材画像解析部115は、分割画像D1において検出された全ての固定部材エリアL{i=2,3・・・}に対して、ステップST6、7を実行し、位置情報(X1,Y1){i=2,3・・・}が取得された場合、記録部112に記録する。
【0073】
(ステップST9)
次いで、第1制御部111は、記録部112を参照して、撮像回数を確認する。
(ステップST10)
そして、第1制御部111は、予め決められている分割数に応じた分割画像D1〜D9を全て撮像したか否かを判定する。全ての分割画像D1〜D9の撮像を終了していない場合、ステップST4に戻る。
(ステップST11)
一方、全ての分割画像D1〜D9の撮像を終了した場合、第1制御部111は、記録部112から位置情報(X1,Y1){i=2,3・・・}を読み出し、送信部117を介して、第2固定部材検出部20に送信する。
【0074】
次に、図19を参照して、第2固定部材検出部20による処理フローの一例について説明する。図19は、第2固定部材検出部20による処理フローの一例について説明するためのフローチャートである。
第1固定部材検出部10による位置情報の取得処理が終了すると、統括制御ユニット5が搬送ユニット4を制御して、第2固定部材検出部20の位置にディスプレイDPを搬送する。そして、第2固定部材検出部20の第2制御部211は、駆動制御部207に、ディスプレイDPの位置決め処理を指示する。なお、駆動制御部207による位置決め処理は、上述の駆動制御部107による処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
(ステップST21)
第2制御部211は、第1固定部材検出部10から受信した位置情報(X1,Y1){i=2,3・・・}を記録部212に記録する。この第2制御部211は、記録部212から位置情報(X1,Y1){i=2,3・・・}を順次読み出して、この位置情報(X1,Y1)が示す領域を撮像する位置に第2カメラ201を移動させるように駆動制御部204に指示する。
はじめに、駆動制御部204は、位置情報(X1,Y1)が示す領域を撮像する位置に第2カメラ201を移動させるようにXYZ移動機構202を動作させる。XYZ移動機構202は、位置情報(X1,Y1)が示す領域を撮像する位置に第2カメラ201を移動させる。
【0076】
(ステップST22)
そして、第2制御部211は、第2カメラ201を撮像位置に移動させた後、撮像を指示する。これにより、第2カメラ201は、予め決められた初期のフォーカスポジションjにおいて、位置情報(X1,Y1)が示す領域の画像を撮像し、撮像した画像データをフォーカス制御部213に出力する。
【0077】
(ステップST23)
このフォーカス制御部213は、上述の通り、AF処理を実行し、被写体にピントが合う合焦位置を決定する。例えば、フォーカス制御部213は、フォーカスポジションjにおいて撮像された画像に対して、予め決められた円形状のパターンマッチングを行い、円形状の固定部材エリアCi,jを検出する。次いで、フォーカス制御部213は、検出した固定部材エリアCi,jに外接する四角形形状のAF処理エリアDi,jの画像データを、第2カメラ201が撮像した画像データから切り出す。そして、フォーカス制御部213は、AF処理エリアDi,jの画像データに対して、ノイズ除去処理とエッジ検出処理を実行し、エッジ検出処理後の画像データEi,jに基づき、AF処理エリアDi,jの輝度値の平均を算出する。本実施形態において、この輝度値の平均は、フォーカス制御部213による合焦位置を決定するための指標(フォーカス値)である。フォーカス制御部213は、算出した輝度値の平均(フォーカス値)を、フォーカスポジションjと対応付けて自身が内蔵するメモリに一時的に記録する。
【0078】
(ステップST24)
フォーカス制御部213は、内蔵するメモリに記録されている過去のフォーカス値を読み出し、ステップST23において算出した最新の輝度値の平均値と過去のフォーカス値とを比較する。
【0079】
(ステップST25)
つまり、フォーカス制御部213は、内蔵するメモリに記録されている過去のフォーカス値を読み出し、最大値となるフォーカス値を算出したか否かを判定する。例えば、フォーカス制御部213は、時系列のフォーカス値の変化において、フォーカス値が上昇した後に下降するピークが存在するか否かを判定する。そして、フォーカス制御部213は、時系列に上昇するフォーカス値が下降したことを判定した場合、つまり、フォーカス値のピークを検出した場合、この下降する直前のフォーカス値が最も高いと判定する。そして、フォーカス制御部213は、最大のフォーカス値と対応付けられているフォーカスポジションjを、被写体にピントがあっている位置(合焦位置)と決定する。なお、本発明はこれに限られず、例えば、全てのフォーカスポジションjにおいて撮影された画像に基づき全てのフォーカスポジションjに対応するフォーカス値を算出し、この中からフォーカス値が最大となるときのフォーカスポジションjを合焦位置と決定するものであってもよい。
【0080】
(ステップST26)
一方、フォーカス制御部213がフォーカス値の最大値を算出していないと判定した場合、例えば、フォーカス値のピークを検出していないと判定した場合、第2制御部211は、駆動制御部204に対して、第2カメラ201の移動を指示する。例えば、第2制御部211は、レンズ201aと被写体面との距離(被写体距離)を予め決められた長さだけ縮めるように、第2カメラ201をディスプレイDPに近づける方向に移動させる。
本実施形態において、第2制御部211は、ディスプレイDPを上方から撮像する位置に設定される第2カメラ201を5mm下げる(つまり、第2カメラ201をディスプレイDPに近づける)ように駆動制御部204に指示する。これにより、駆動制御部204は、第2カメラ201を5mm下げるようにXYZ移動機構202を動作させる。
【0081】
(ステップST27)
そして、三次元位置検出部214は、フォーカス制御部213が最大のフォーカス値を算出した際の被写体距離に基づき、ステージ座標空間におけるネジNJの垂直方向の位置(Z2)を算出する。
【0082】
(ステップST28)
次いで、第2固定部材画像解析部215は、フォーカス制御部213が最大のフォーカス値を算出した際の画像データに対して、円形状のパターンマッチングを行うことにより、円形状の固定部材エリアFを検出する。そして、第2固定部材画像解析部215は、この固定部材エリアFを基準として、この固定部材エリアF内に含まれるネジ穴エリアGを検出し、このネジ穴エリアGを示す情報を三次元位置検出部214に出力する。この第2固定部材画像解析部215は、ネジ穴エリアGを検出する際、ネジ穴として予め決められている複数の異なるパターンを用いて、ネジ穴の形状を判定する。つまり、第2固定部材画像解析部215は、ネジ穴として予め決められているパターンを用いてパターンマッチングを行うことにより、ネジ穴エリアGを検出するとともに、検出されたネジ穴エリアGの形状を判定する。
そして、三次元位置検出部214は、第2固定部材画像解析部215から入力するネジ穴エリアGを示す情報に基づき、ステージ座標空間におけるネジNJの水平方向の位置を示す位置情報(X2,Y2)を算出する。この三次元位置検出部214は、例えば、ネジ穴エリアGの中央点を示すXY座標値(X2,Y2)を算出する。
【0083】
(ステップST29)
次いで、三次元位置検出部214は、ステップST27において算出したネジNJの垂直方向の位置(Z2)と、ステップST28において算出したネジNJの水平方向の位置(X2,Y2)とに基づき、このネジNJの位置情報(X2,Y2,Z2)を取得する。この三次元位置検出部214は、取得したネジNJの位置情報(X2,Y2,Z2)を記録部212に記録する。また、三次元位置検出部214は、第2固定部材画像解析部215によって検出されたネジ穴エリアGの形状を示す情報を、当該位置情報(X2,Y2,Z2)に対応付けて記録部212に記録する。
【0084】
(ステップST30)
そして、第2制御部211は、第2カメラ201の高さを初期状態に戻すように駆動制御部204に指示する。この駆動制御部204は、第2カメラ201のZ方向の位置を初期状態に戻すようにXYZ移動機構202を制御する。
【0085】
(ステップST31)
第2制御部211は、記録部212に記録されている位置情報(X2,Y2,Z2)とネジ穴の形状を示す情報に基づき、位置情報とネジ穴の形状を検出したネジNJの本数を確認する。
(ステップST32)
そして、第2制御部211は、全てのネジNJ(i)について位置情報の取得とネジ穴の形状の検出が完了したか否かを判定する。全てのネジNJ(i)について位置情報の取得が完了したことを判定した場合、第2制御部211は、記録部212から位置情報(X2,Y2,Z2){i=2,3・・・}とネジ穴の形状を示す情報を読み出し、送受信部216を介して、固定部材解体ユニット3に送信する。
【0086】
次に、図20〜21を参照して、固定部材解体ユニット3による処理フローの一例について説明する。図20は、固定部材解体ユニット3による処理フローの一例について説明するための図である。また、図21は、固定部材解体ユニット3により移動される固定解除ツール301のビット先端の動きについて説明するための概略図である。なお、図21においては、ステージ空間におけるXZ座標値について説明し、Y座標値についての説明は省略する。
第2固定部材検出部20による位置情報の取得が終了すると、統括制御ユニット5が搬送ユニット4を制御して、固定部材解体ユニット3の位置にディスプレイDPを搬送する。そして、固定部材解体ユニット3の第3制御部311は、駆動制御部307に、ディスプレイDPの位置決め処理を指示する。なお、駆動制御部307による位置決め処理は、上述の駆動制御部107による処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0087】
第3制御部311は、第2固定部材検出部20から受信した位置情報(X2,Y2,Z2){i=2,3・・・}とネジ穴の形状を示す情報を記録部312に記録する。この第3制御部311は、記録部312から位置情報(X2,Y2,Z2){i=2,3・・・}を順次読み出して、この位置情報(X2,Y2,Z2)が示す位置に固定解除ツール301のビットの先端を移動させるように駆動制御部304に指示する。
【0088】
(ステップST41)
はじめに、駆動制御部304は、位置情報(X2,Y2)が示す位置と固定解除ツール301のビットの回転軸とが直交する位置に固定解除ツール301を移動させるようにXYZ移動機構302のX移動機構302xとY移動機構302yとを動作させる。これにより、図21(a)に示す位置P1に固定解除ツール301のビットの先端が位置される。なお、このときのZ座標値は、ディスプレイDPから十分離れた位置として予め決められている。
【0089】
(ステップST42)
次いで、駆動制御部304は、位置情報(Z2)が示す位置よりも手前(例えば、Z座標値=Z2よりも5mm上)まで固定解除ツール301を下降させるようにXYZ移動機構302を動作させる。つまり、駆動制御部304は、固定解除ツール301の先端がZ座標値=Z2+5mmの位置となるように、XYZ移動機構302のZ移動機構302zを駆動して、固定解除ツール301のドライバービットを下降させる。なお、駆動制御部304は、この固定解除ツール301のドライバービットが、位置P1から位置P2までは、第1のスピードでZ軸方向に移動するように制御する。
【0090】
(ステップST43)
これにより、固定解除ツール301のドライバービットは、その回転軸がXY座標値(X2,Y2)と直交する位置に位置されるとともに、その先端がZ座標値(Z2+5mm)の位置に位置される。つまり、図21(a)に示す位置P2に固定解除ツール301のドライバービットの先端が位置される。この駆動制御部304は、位置P2にドライバービットが到達した場合、固定解除ツール301の動きを一時的に停止するようにしてもよい。
【0091】
(ステップST44)
そして、駆動制御部304は、ネジNJを緩める方向(例えば左回転)に固定解除ツール301のドライバービットを低速回転させるように回転移動機構303を動作させる。これにより、固定解除ツール301のドライバービットは、Z軸と平行な回転軸を中心にして低速で回転する。
【0092】
(ステップST45)
次いで、駆動制御部304は、最長でも位置情報(Z2)が示す位置まで固定解除ツール301の先端を低速で下降させるようにXYZ移動機構302を動作させる。つまり、駆動制御部304は、回転移動機構303が固定解除ツール301のドライバービットを回転させるためのトルクが回転閾値以上まで上昇したか否かを判定しながら、固定解除ツール301の移動量を調整する。この回転トルクが閾値以上となった場合、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のドライバービットの先端がネジ穴と嵌合している状態であると判定し、固定解除ツール301のZ軸方向の移動を停止することを指示するコマンドをモータ制御部341zに出力する。
【0093】
(ステップST46)
また、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のドライバービットの先端がネジNJのネジ穴と嵌合している状態であると判定した場合、固定解除ツール301のドライバービットの回転速度を上げるような駆動コマンドを駆動部342cに出力する。これにより、固定解除ツール301のドライバービットの回転速度が上がり、ドライバービットがネジNJを緩める。
(ステップST47)
そして、モータ制御部341zは、固定解除ツール301を上方に上げるように、つまり、ディスプレイDPから離れる方向に固定解除ツール301を移動させるように、駆動部342zを駆動する。これにより、固定解除ツール301のドライバービットは、回転しながら上方に持ち上げられる。
【0094】
(ステップST48)
ドライバービットが上方に持ち上げられた場合、モータ制御部341cは、ドライバービットの回転を停止させるような駆動コマンドを駆動部342cに出力する。これにより、ドライバービットの回転が停止する。
(ステップST49)
モータ制御部341zは、固定解除ツール301のドライバービットを回収位置まで持ち上げる。このモータ制御部341zは、例えば、図21(b)に示す位置P4に固定解除ツール301のドライバービットの先端が位置される回収位置までドライバービットを持ち上げる。
(ステップST50)。
そして、モータ制御部341xとモータ制御部341yは、固定解除ツール301のドライバービットを回収ボックス309まで搬送してネジNJを回収ボックス309に収容する。
【0095】
(ステップST51)
第3制御部311は、回収ボックス309に回収したネジNJの本数と、第2固定部材検出部20により位置情報が検出されたネジNJの本数(i)とを比較する。
(ステップST52)
次いで、第3制御部311は、回収したネジNJの本数と、位置情報を検出したネジNJの本数(i)とが一致したか否かを判定する。一致しない場合、ステップST41に戻って、全てのネジNJの本数(i)だけ、ステップST41〜51の処理を繰り返す。
(ステップST53)
そして、固定解除ツール301のドライバービットを元の位置に戻して処理を終了させる。
【0096】
上述の通り、固定部材検出ユニット2によって固定部材であるネジNJの位置を検出するとともに、固定部材解体ユニット3によって検出されたネジNJを取り外すことによって、解体作業員の手作業を介さずに、解体作業を実行することができる。また、搬送ユニット4によって、固定部材検出ユニット2と固定部材解体ユニット3間を解体作業の順番に従って解体対象であるディスプレイDPを搬送することができる。これにより、解体作業に要する労力を軽減することができる。
【0097】
なお、本発明に係る固定部材解体ユニット3の固定解除ツール301は、上述のドライバービットに限られず、例えば、以下のような構成を有する部材であってもよい。
この固定解除ツール301の他の例について、図22を参照して説明する。図22は、ネジ穴の断面図を示す。
つまり、固定解除ツール301は、図22(a)に示す通り、ネジNJの頭部を削るような切断部を備えるものであってもよい。また、固定解除ツール301は、図22(b)に示す通り、ディスプレイDPのキャビネットのネジ穴の底部を削るような切断部を備えるものであってもよい。さらに、固定解除ツール301は、図22(c)に示す通り、ディスプレイDPのキャビネットのネジ穴の上部を削るような切断部を備えるものであってもよい。また、固定解除ツール301は、図22(d)に示す通り、ディスプレイDPのキャビネットのネジNJ部分を全て削るような切断部を備えるものであってもよい。
このように、図22(a)〜(d)に示す通り、ネジNJの水平面方向の位置(XY座標値)を用いる固定解除ツール301を用いる場合、ネジNJの垂直方向の位置(Z座標値)はなくてもよい。つまり、固定部材解体システム1は、固定部材検出ユニット2において第1固定部材検出部10により取得された位置情報(X1,Y1)のみで、固定部材解体ユニット3におけるネジNJの固定解除処理を実行することができる。よって、図22(a)〜(d)に示すようなネジNJの水平面方向の位置(XY座標値)のみを利用してネジNJを取り外すことができる固定解除ツール301を用いる場合、固定部材検出ユニット2は、第2固定部材検出部20を備えない構成であってもよい。この場合、第1固定部材検出部10が取得した位置情報(X1,Y1)を固定部材解体ユニット3に送信し、固定部材解体ユニット3が、この位置情報(X1,Y1)に基づき、固定解除ツール301を用いてネジNJを取り外す。
【0098】
また、上述において、固定部材解体システム1は、第1固定部材検出部10、第2固定部材検出部20、および固定部材解体ユニット3を、それぞれ1つずつ備える構成を例に説明した。しかし、本発明はこれに限られず、それぞれが並列に複数備えられるものであってもよい。なお、第2固定部材検出部20による処理は、第1固定部材検出部10における処理よりも時間を要すると考えられるため、第2固定部材検出部20の数を第1固定部材検出部10よりも多くすることが好ましい。これにより、固定部材解体システム1全体における処理効率を向上させることができる。
【0099】
また、上述した図18に示すステップST5において、固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}を検出する際に、第1固定部材画像解析部115は、ネジNJと似ている形状であって、誤検出しやすい画像(以下、類似画像)を除外するものであってもよい。なお、類似画像は、ネジNJに類似しているがネジNJではない画像として予め決められている。
この類似画像としては、例えば、ディスプレイDPの背面に設けられている端子穴、操作ボタン、メッシュ加工された通気孔、あるいは、「0(数字のゼロ)」や「O、Q(アルファベットのオー、キュー)」等が予め決められている。
第1固定部材画像解析部115は、例えば、類似画像の特徴を有する画像領域を分割画像D1〜D9のそれぞれからパターンマッチングにより検出し、固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}の検出対象から誤検出しやすい画像を切り取っておくものであってもよい。これにより、ネジNJ以外の画像を誤って検出してしまう可能性を低減させるとともに、ネジNJの画像の検出精度を高めることができる。
この第1固定部材画像解析部115は、上述の通り事前に固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}の検出対象領域から除外するものであってもよく、固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}が検出された後から類似画像と判定された固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}をネジNJの画像でないと判定するもであってもよい。
後者について具体的に説明すると、第1固定部材画像解析部115は、固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}を検出した後に、この固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}の中から、ネジNJと似ている類似画像とマッチングする固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}があるか否かを判定する。第1固定部材画像解析部115は、この類似画像の特徴と対応する特徴を有する固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}を、類似画像とマッチングしていると判定し、この固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}をネジNJの画像でないと判定する。そして、第1固定部材画像解析部115は、ネジNJの画像でないと判定した固定部材エリアL{i=1,2,3・・・}を位置情報の検出対象から除外する。
【0100】
さらに、上述の実施形態において、固定部材解体ユニット3は、第2固定部材検出部20からの位置情報(X2,Y2,Z2){i=2,3・・・}に基づき、ドライバービットの高さ方向の位置(Z座標値)を調整しながらネジNJに近づける例について説明した。しかし、本発明はこれに限られず、第2固定部材検出部20は、固定部材エリアFに対応するネジ穴の位置関係とこのネジNJに対応するネジ穴の形状に基づき、ネジ穴エリアGを検出する際、ネジ穴の角度について判定するものであってよい。例えば、十字形状のネジ穴エリアGを検出した場合、第2固定部材検出部20の第2固定部材画像解析部215は、十字形状の中央点の水平面方向の周囲の360°の方位角で示す傾き位置を算出するものであってもよい。この傾き位置は、予め決められた方位角0℃を示す直線とネジNJの十字形状の凸部の伸びる方向とが一致する位置を基準位置(傾き位置0°)として、このネジNJの十字形状の凸部の伸びる方向が位置する方位角で示される。このネジNJの十字形状の凸部の伸びる方向とは、互いに直交する十字形状の突出する方向である。
そして、第2固定部材検出部20は、ネジNJに対応するネジ穴の傾き位置を示す情報を固定部材解体ユニット3に出力する。
固定部材解体ユニット3は、このネジNJに対応するネジ穴の傾き位置を示す情報に基づき、ネジNJに近づけるドライバービットの噛み合せ位置を調整する。つまり、ドライバービットの十字形状とネジNJの十字形状とが一致するように、ネジ穴の傾き位置にあわせてドライバービットを回転させる。これにより、ドライバービットがネジ穴に当接する際に、ドライバービットの十字形状とネジNJの十字形状とが一致して勘合するため、ネジ穴を潰すことなく、しっかりと噛み合った状態でドライバービットがネジNJを回転させることができる。これにより、より正確にネジNJの頭部の凹部にドライバービットの先端を位置あわせさせることができる。
【0101】
また、第2固定部材検出部20の三次元位置検出部214は、上述したように、Z座標値(Z2)で示されるネジNJの垂直方向の位置情報を取得する際、フォーカス制御部213が最大のフォーカス値を算出した際の被写体距離を用いる形態に限られず、例えば、以下に示す形態であってもよい。
例えば、第2固定部材検出部20は、図23に示すような計測機器を備える。図23は、第2固定部材検出部20の垂直方向の位置情報を取得するための計測機器の一例を示す図である。本実施形態では、この計測機器として、レーザー変位計217について説明する。
【0102】
図23に示す通り、レーザー変位計217は、照射部217aと、受光部217bと、インターフェース217cと、レーザー変位制御部217dとを含む。
照射部217aは、例えば、ネジNJの水平方向の位置を示す位置情報(X1,Y1)に基づき、この位置に検出光を照射する。照射部217aは、検出光として、例えば、予め決められた周波数のレーザー光を照射する。
受光部217bは、照射部217aからのレーザー光が計測対象で反射して入射する位置に位置されている。この受光部217bは、図23に示す通り、ネジNJの頭部から反射したレーザー光を受光する。
レーザー変位制御部217dは、照射部217aに対してレーザー光の照射を制御する。また、レーザー変位制御部217dは、受光部217bが受光したレーザー光の出力に基づき、照射部217aからネジNJで反射して受光部217bに入射するまでのレーザー光の光路長を算出し、インターフェース217cに出力する。
インターフェース217cは、ネジNJの水平方向の位置を示す位置情報(X1,Y1)を送受信部216から入力して、レーザー変位制御部217dに出力する。また、インターフェース217cは、照射部217aからネジNJで反射して受光部217bに入射するまでのレーザー光の光路長を示す情報をレーザー変位制御部217dから入力して三次元位置検出部214に出力する。
【0103】
例えば、ネジNJの水平方向の位置を示す位置情報(X1,Y1)がインターフェース217cを介して送受信部216からレーザー変位計217に入力する。インターフェース217cは、入力する位置情報(X1,Y1)をレーザー変位制御部217dに出力する。そして、レーザー変位制御部217dは、この位置情報(X1,Y1)が示す位置にレーザー光を照射するように照射部217aを制御する。この照射部217aは、レーザー光を照射する。
照射部217aから出射したレーザー光は、位置情報(X1,Y1)が示すネジNJの位置で反射して受光部217bに入射する。受光部217bは、ネジNJの頭部から反射したレーザー光を受光して、レーザー光の出力をレーザー変位制御部217dに出力する。レーザー変位制御部217dは、受光部217bが受光したレーザー光の出力に基づき、照射部217aからネジNJで反射して受光部217bに入射するまでのレーザー光の光路長を算出し、インターフェース217cに出力する。インターフェース217cは、照射部217aからネジNJで反射して受光部217bに入射するまでのレーザー光の光路長を示す情報を三次元位置検出部214に出力する。
三次元位置検出部214は、照射部217aからネジNJで反射して受光部217bに入射するまでのレーザー光の光路長を示す情報に基づき、三次元空間内において前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値(Z2)を取得する。
【0104】
さらに、本発明はこれに限られず、以下に示すような技術を用いて、Z座標値(Z2)で示されるネジNJの垂直方向の位置情報を取得するものであってもよい。例えば、立体画像を作成する際に利用される光切断法や、空間コード法等を用いるものであってもよい。簡単に説明すると、光切断法は、測定対象物をカメラで撮像する状態において、測定対象の斜めからレーザースリット光を照射して、光が当たった場所を撮像することにより、測定対象の三次元形状を測定するものである。この光切断法を利用することにより、測定対象の三次元形状に基づき、ネジNJの三次元形状を測定することができ、ネジNJの頭部のネジ穴中心の位置をより正確に計測することができる。また、空間コード法は、プロジェクター等を光源として予め決められたパターンの光を測定対象に投影し、パターンの光が投影された測定対象を撮像して、撮像した画像を二値化処理する。この二値化処理した画像に基づき、三角測量の原理を用いて測定対象との距離を算出する。この空間コード法を利用することにより、ネジNJがディスプレイDPに対して斜めに配置されていたり、ネジNJの周辺の構造が複雑であるため、第2カメラ201から撮像しにくい場合であっても、Z座標値(Z2)を取得することができる。
【0105】
なお、固定部材解体システム1による手順を実現するためのプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0106】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。
【0107】
さらに「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記録装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0108】
1…固定部材解体システム、2…固定部材検出ユニット、3…固定部材解体ユニット、4…搬送ユニット、5…統括制御ユニット、10…第1固定部材検出部、20…第2固定部材検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している固定部材を検出し、この検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得する固定部材検出ユニットと、
前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させる固定部材解体ユニットと
を備えることを特徴とする固定部材解体システム。
【請求項2】
前記解体対象を搬送する搬送ユニットをさらに備え、
前記固定部材検出ユニットは、
前記搬送ユニットの搬送方向に沿って、前記固定部材解体ユニットよりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固定部材解体システム。
【請求項3】
前記固定部材検出ユニットは、
前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象において決められた基準位置に対する前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得する二次元位置検出部を含む第1固定部材検出部を有し、
前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値に基づき前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の固定部材解体システム。
【請求項4】
前記第1固定部材検出部は、
前記解体対象についての水平面方向の全領域を複数個に分けた分割領域ごとに、前記解体対象の一部を撮像して、前記分割領域に対応する前記解体対象の一部を撮像した撮像画像に基づき、前記固定部材を検出し、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得することを特徴とする請求項3に記載の固定部材解体システム。
【請求項5】
前記第1固定部材検出部は、
前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に対して、各画素の輝度値についての二値化処理をする第1固定部材画像解析部をさらに備え、
前記二次元位置検出部は、
前記第1固定部材画像解析部により二値化処理された画像に基づき、前記固定部材に形成されている凹凸形状を検出し、前記凹凸形状が示す前記固定部材の特徴点を、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値として取得することを特徴とする請求項3または4に記載の固定部材解体システム。
【請求項6】
前記第1固定部材検出部は、
前記解体対象を撮像する第1カメラと、
前記第1カメラが撮像した前記解体対象の画像に基づき、前記解体対象の色が属する色カテゴリが予め決められた色カテゴリのいずれかであるかを判定する色判定部と、
前記色判定部の判定結果に基づき、判定された色カテゴリに応じて予め決められた撮像条件に従って前記第1カメラの撮像を制御する撮像制御部とをさらに備え、
前記二次元位置検出部は、
前記撮像制御部の制御に従って前記第1カメラが撮像した画像に基づき、前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得することを特徴とする請求項3から5のうちいずれか一項に記載の固定部材解体システム。
【請求項7】
前記固定部材検出ユニットは、
前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値に基づき、三次元空間における前記固定部材の位置を示す座標値を前記位置情報として取得する三次元位置検出部を含む第2固定部材検出部を有することを特徴とする請求項3から6のうちいずれか一項に記載の固定部材解体システム。
【請求項8】
前記第2固定部材検出部は、
前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値に基づき前記固定部材に対して検出光を照射する照射部と、前記固定部材から反射した前記検出光を受光する受光部とを含む計測機器をさらに備え、
前記三次元位置検出部は、
前記検出光の光路長に基づき、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を取得し、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を含む前記位置情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の固定部材解体システム。
【請求項9】
前記第2固定部材検出部は、
前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値に基づき、前記解体対象における前記固定部材を撮像する第2カメラと、
前記第2カメラが撮像した画像に基づき、前記固定部材にピントがあうように前記カメラと前記固定部材の距離を調整するフォーカス制御部とをさらに備え、
前記三次元位置検出部は、
前記フォーカス制御部により前記固定部材にピントがあったときの前記カメラと前記固定部材の距離に基づき、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を取得し、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を含む前記位置情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の固定部材解体システム。
【請求項10】
前記第2固定部材検出部は、
前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値を含む領域を固定部材ごとに撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像に基づき、前記基準位置に対する前記固定部材の水平面方向の位置を示す座標値を取得し、前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値と前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値を含む前記位置情報を取得することを特徴とする請求項8または9に記載の固定部材解体システム。
【請求項11】
前記第2固定部材検出部は、
前記二次元位置検出部が取得した前記固定部材の水平方向の位置を示す座標値と、前記固定部材の垂直方向の位置を示す座標値とを含む前記位置情報取得することを特徴とする請求項8または9に記載の固定部材解体システム。
【請求項12】
前記固定部材検出ユニットは、
前記固定部材検出ユニットに備えられる前記第2固定部材検出部の数は、前記第1固定部材検出部の数よりも多いことを特徴とする請求項7から11のうちいずれか一項に記載の固定部材解体システム。
【請求項13】
前記固定部材検出ユニットは、
前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき前記固定部材を検出する際、前記固定部材に類似し前記固定部材ではない画像として予め決められている類似画像が前記撮像画像に含まれているか否かを判定し、前記類似画像が検出された場合、前記類似画像は前記固定部材でないと判定する第1固定部材画像解析部をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のうちいずれか一項に記載の固定部材解体システム。
【請求項14】
前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している前記固定部材を検出するステップと、
検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させるステップと
を備えることを特徴とする固定部材解体方法。
【請求項15】
コンピュータを、
前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している固定部材を検出し、検出された前記固定部材の前記解体対象における位置を示す位置情報を取得する固定部材検出手段、
前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させる固定部材解体手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
前記コンピュータを、
前記解体対象の少なくとも一部を撮像した撮像画像に基づき前記固定部材を検出する際、前記固定部材に類似し前記固定部材ではない画像として予め決められている類似画像が前記撮像画像に含まれているか否かを判定し、前記類似画像が検出された場合、前記類似画像は前記固定部材でないと判定する固定部材画像解析手段としてさらに機能させるための請求項15に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−17973(P2013−17973A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154797(P2011−154797)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】