説明

固形状描画材

【課題】筆記された文字などの上に、重ねて塗布した場合に、文字が滲まないアンダーラインマーカーとして好適な固形状描画材料を提供する。
【解決手段】(a)炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩からなるゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水および(d)グリセリンを含有する組成物であって、該組成物中の水の含有量が5〜19重量%、グリセリンの含有量が5〜40重量%かつ水とグリセリンの合計含有量が10〜50重量%である組成物から形成された固形状描画材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形状描画材に関する発明であり、さらに詳しくは、筆記された文字の上に重ねて塗布した場合、文字が滲むことがない固形状描画材に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
クレヨンは、パラフィン等のワックスを固形化剤としているので塗布面が平らにならず、広い面積を塗ることが困難であり、塗布面が硬化しないために汚れ、色落ちし、更に塗布面が滑るので重ね塗りが難しい等の欠点を有する。一方、パステルは、ワックスと油分を全く含まず、低濃度の水溶性接着成分で顔料等の粉末をスティック状に固めたものであるが、紙の上に定着しないので筆記線上から専用の定着液を噴霧して色を定着させる必要がある。また、パステルは粉が飛散して周囲を汚しやすい。
これらの欠点を改良するために、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩をゲル化剤とした水性ゲルスティックの固形状描画材が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
一方、これら水性ゲルスティックの固形状描画材における強度や書き味などをさらに改良するために、脂肪族アミノアルコールおよび還元澱粉糖化物を或る一定割合配合して、スティックの強度が大きく、特に筆記抵抗が少なく(滑らかな書き味を有する意味である)、崩たり折れにくく、書き屑が少なく、窓ガラスなどのような平滑面にも良く描くことができ、更に描いた跡は濡れ雑巾で簡単に拭き取ることが可能な固形状描画材に適した組成物が提案された(特許文献4参照)
【0003】
【特許文献1】特開平1−217090号公報
【特許文献2】特開平4−337372号公報
【特許文献3】特開平5−311107号公報
【特許文献4】特開2006−241371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1〜4に開示された固形状描画材は、白い無地の紙に筆記する場合には、それぞれの改良された特徴が発現されるが、いずれも紙の上に筆記された文字の上に重ねて固形マーカーを塗布すると、筆記用のインキの一部が溶解し、文字が滲んでしまうという現象が見出された。
このような現象は、筆記用インキが水性の場合には、固形マーカーを動かした方向へ文字のインキがひきずられる状態で即座に現われる。また特許文献4記載の描画材では、水性インキに加えて油性インキの場合も滲ませる。油性インキの場合には、数時間乃至数日経過後に、徐々にインクの滲みが発現することがある。
本発明者は、固形マーカーを特にアンダーラインマーカーとして使用する場合、インクの文字が滲みでる現象を抑制するために、固形マーカーの組成について種々研究を進めた。その結果、固形マーカーの組成物中の水分含有量を比較的少ない或る一定割合とし、かつグリコール類としてグリセリンを選択しその量を一定割合とすることにより、水性インクのみならず油性インクに対しても文字が滲まずアンダーラインマーカーとして好適に使用しうる固体状描画材を見出し本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、(a)炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩からなるゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水および(d)グリセリンを含有する組成物であって、該組成物中の水の含有量が5〜19重量%、グリセリンの含有量が5〜40重量%かつ水とグリセリンの合計含有量が10〜50重量%である組成物から形成された固形状描画材が提供される。
前記本発明においてさらに下記態様とすることが望ましい。
(1) さらに組成物中に(e)非還元糖を、1〜30重量%含有すること、
(2) さらに組成物中に、(f)脂肪族アミノアルコールを、1〜20重量%含有す
ること、
(3) 該組成物中の水含有量が5〜15重量%、グリセリンの含有量が7〜35重
量%かつ水とグリセリンの合計含有量が12〜40重量%であること、
(4) 該組成物中の、(a)ゲル形成物質の含有量が5〜50重量%であること、
(5) (a)炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩また
はアンモニウム塩からなるゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水、(d)グリセリ
ン、(e)非還元糖および(f)脂肪族アミノアルコールを含有する組成物であっ
て、該組成物中の水の含有量が5〜19重量%、グリセリンの含有量が5〜40
重量%、水とグリセリンの合計含有量が10〜50重量%である組成物から形成
れた固形状描画材であること、
【発明の効果】
【0006】
本発明の固形状描画材によれば、文字が筆記された紙上にアンダーラインマーカーとして使用しても、文字の滲みがなく、鮮明な文字を維持したまま着色することができる。また文字が水性インク或いは油性インクのいずれであっても文字の滲みがなく、その上時間が経過しても文字の鮮明さは保持されている。従って本発明の固形状描画材は、それ自体描画材として使用しうるものであるが、特にアンダーラインマーカーとして使用に優れている。
本発明の固形状描画材の効果は、水およびグリセリンを特定割合で使用することにより達成されるものであり、水の含有量およびグリセリンの含有量を範囲外としたり、またグリセリン以外の他のグリコールを使用した場合には、前記効果は達成されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の固形状描画材は、(a)炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩からなるゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水および(d)グリセリンの他に必要に応じて(e)非還元糖および/または(f)脂肪族アミノアルコール、その他の添加成分を含む組成物を調整し、加熱、混合後に、適当な形態として冷却せしめればよい。
以下本発明についてさらに具体的に説明する。
(a)ゲル形成物質
本発明で使用するゲル形成物質は、炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩からなる。
前記脂肪族カルボン酸は、分岐を有するまたは分岐を有しない、炭素数が8〜36個の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩であり、特に炭素原子数が12〜18個の脂肪族カルボン酸が好ましい。この脂肪族カルボン酸塩を構成する脂肪族カルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸を挙げることができる。
【0008】
また、前記脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができ、特にミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムまたはこれらの混合物が好ましい。この脂肪族カルボン酸塩の配合割合は、本発明の固形状描画材を製造する際の原料全組成物中で、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは8〜45重量%となる量である。このような配合割合が好ましい理由は、脂肪族カルボン酸塩を5重量%以上にすると固形状描画材がより固まり易くなりゲルの生成の点で有利であり、またスティック形状物の強度を向上できるからであり、一方50重量%以下とすることにより製造時の加熱・混合の際に脂肪族カルボン酸塩の溶融を容易にし、書き屑を少なくでき、筆記抵抗を少なくすることができ、更に成形の際に流動性を向上して成形を容易にすることができる。
【0009】
(b)着色剤
本発明に用いる着色剤は、とくに制限されるものではなく、必要に応じて公知の顔料または染料を使用することができ、例えば、鉄黒、鉄黄、弁柄、群青、紺青、アルミナホワイト、カーボンブラック、アルミニウム粉、ブロンズ粉、マイカなどの無機顔料;ナフトールグリーン、ナフトールイエローなどのニトロソあるいはニトロ顔料;リソールレッド、レーキットC、ブリリアントカーミン6B、ウオッチングレッド、ボルドー10Bなどのアゾレーキ顔料;ファーストエロー、ジスアゾエロー、ピラゾロンオレンジ、パラレッド、レーキッド4R、ナフトールレッドなどの不溶性アゾ顔料;クロモフタールエロー、クロモフタールレッドなどの縮合アゾ顔料;ピーコックブルーレーキ、アルカリブルーレーキ、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、マラカイトグリーンレーキなどの染付レーキ顔料;フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料;アントラピリミジンエロー、ペリノンオレンジ、ペリンレッド、チオインジゴレッド、インダントロンブルーなどのスレン顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレッドなどのキナクリドン顔料;ジオキサジンバイオレットなどのジオキサジン顔料;イソインドリノンエローなどのイソインドリノン顔料;蛍光顔料;マイカを基材としたパール顔料を挙げることができる。
また、白色顔料として、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナホワイト、サチン白、及び硫酸バリウム等を挙げることができるがこれらの白色顔料のなかで、特に酸化チタンが好ましい。
【0010】
この着色剤の使用量は、着色剤が無機顔料の場合には、本発明の固形状描画材の原料全組成物中で好ましくは1〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%となる量であり、また、着色剤が有機顔料の場合には好ましく1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%となる量である。着色剤が、染料の場合には、好ましく0.02〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%となる量である。
【0011】
(c)水分
固形状描画材の水分含有量は、本発明の固形状描画材の原料全組成物中で好ましくは5〜19重量%、より好ましくは5〜15重量%となる量である。このように水分の含有量を5重量%以上にすると塗布性、描画性を向上し、塗布面が荒れるのを防止でき、また19重量%以下にすると水性インキに対しての滲みを抑制できるからである。一方水分の含有量が19重量%を超えると、水性インキに対して滲み易くなる。
【0012】
(d)グリセリン
本発明の固形状描画材の流動性を調節しかつ油性インキに対して滲みを抑制するためにグリセリンが配合される。グリセリンの配合割合は、原料全組成物中で5〜40重量%、好ましくは7〜35重量%の範囲である。グリセリンの代りにエチレングリコールやプロピレングリコールを使用すると油性インキに対して文字の滲みを防止する効果は少なくなる。
(c)水および(d)グリセリンは、それらの合計量が原料全組成物中10〜50重量%、好ましくは12〜40重量%であることが有利である。それらは、常温で液体であり、添加量を前記範囲に制限することにより柔らかく成り過ぎるのを防止し、かつ重ね塗りを可能にする効果もある。
【0013】
(e)非還元糖
本発明の固形状描画材中に添加することができる(d)非還元糖としては、ショ糖(砂糖)、トレハロース及び糖アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、還元澱粉糖化物、ソルビトール、マルチトールが挙げられる。還元澱粉糖化物としては、澱粉を酵素分解等により分解して得られる各種水飴を水素添加(還元)して得られるものが使用でき、食品、甘味料、結晶防止剤、ツヤ出し・増粘剤等にも使用可能なものである。
澱粉を分解していくと、様々な重合度の糖類が生成するため、特定の多糖類を単離することは困難であり糖混合物として使用する。糖組成としては、2糖以上の多糖類を主成分、例えば85重量%以上とする混合物、又は2糖〜8糖程度を主成分とする還元澱粉糖化物が有効である。単糖や二糖のみでは吸水性が高いために乾燥皮膜の形成が不充分な場合が生じ好ましくない。このような糖類は分子量が大きくなるに従い吸湿性が低くなり、乾燥皮膜を形成し易くなる。更に、耐熱性、耐酸性、耐微生物性等の性能も向上し、固形状描画材中で安定した状態を維持できる。また、固形分が60重量%以上のものが好適に使用できる。
市販されている還元澱粉糖化物として、林原商事(株)販売の、商品名:HS−20、HS−30、HS−40;東和化成工業(株)製の商品名:PO−20、PO−30、PO−40、PO−60、PO−300、PO−500などが挙げられる。
前記(d)非還元糖の使用量は、本発明の固形状描画材の原料全組成物中で、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%となる量である。非還元糖を前記1重量%以上とすることにより、耐ドライアップ性の効果を発現でき、ガラス面などの平滑面にも描くことが可能になると共に書き屑を少なくすることができる。一方、非還元糖の使用量を前記30重量%以下とすることによりスティックの必要な曲げ強度を維持できる。
【0014】
(f)脂肪族アミノアルコール
本発明の固形状描画材の原料組成物に脂肪族アミノアルコールを配合すると加熱溶融時の粘性を低下させ、金型やホルダーへの充填を容易にすると共に滑らかな書き味を付与することができる。
添加する脂肪族アミノアルコールとしては、常温で液状のものが好ましい。
脂肪族アミノアルコールとしては、一般式がRNROH、RN(ROH)、N(ROH)、で表されるものが例示でき、Rは水素原子又は炭素原子数が1〜6のアルキル基で1つの化合物中に複数存在する場合にはこれらは同一のものであってもよいし、異なっていてもよい。ROH、ROH、及びROHはそれぞれ炭素原子数が1〜6のアルコキシル基、又は(−ROROH)で表される基(ここでRとRはそれぞれアルキレン基で、RとRをあわせた炭素原子数は2〜10である)であり、1つの化合物中に複数存在する場合にはこれらは同一であってもよいし異なっていてもよい
【0015】
脂肪族アミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソブタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、及びN,N-ジイソプロピルエタノールアミンが例示でき、これらから選ばれた1種以上であるが、これらのなかでもエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びイソブタノールアミンが特に好ましい。
脂肪族アミノアルコールの使用量は、本発明の固形状描画材の原料全組成物中で、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは3.5〜10重量%となる量である。脂肪族アミノアルコール含有化合物の使用量を前記1重量%以上とすることにより材料を溶融状態で型やホルダーに流し込むための流動性を向上でき、筆記抵抗が少なくでき、更に書き屑を減少でき、また前記20重量%以下とすることにより離型を容易に行うことができる。
【0016】
(g)固形状描画材の製造
固形状描画材の製造法として、特に制限はないが、例えば攪拌機及び温度計を備えた容器に、(a)ゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水および(d)グリセリン、さらに必要により(e)糖アルコール、(f)脂肪族アミノアルコールなどを添加後、還流下で加熱・混合後溶融した材料を型に流し込み、冷却して固形状描画材を製造することができる。この場合、各成分の添加順序に特に制限はない。
より具体的な製造例としては、攪拌機及び温度計を備えた容器に所定割合の各成分を添加し、攪拌しながら還流下90℃程度で加熱、混合する。溶融した材料を操出式ホルダーに直接流し込み、冷却固化して製品とするか、又は溶融した材料を金型に流し込み、冷却固化してできた棒状物をキャップ付き密封容器に挿入することにより製造することができる。
【0017】
かくして得られた固形状描画材は、従来品に比べ、筆記された文字の上に重ねて塗布すると、文字が滲むことがなく、鮮明な着色状態を発現することができる。殊に筆記された文字が水性インク或いは油性インクのいずれであっても、その文字の上に塗布した場合、文字を引きずることなく着色することができる。従って本発明の固形状描画材は、通常の着色描画材と使用しうるものであることは当然であるが、殊にアンダーラインマーカーとして使用するのに適している。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の具体的態様を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
本実施例等における使用したサンプル、及び評価法を以下に記載する。
1.使用サンプル
(1)ステアリン酸ナトリウム
日本油脂(株)製、商品名:ノンサールSN−1を使用した。
(2)ミリスチン酸ナトリウム
日本油脂(株)製、商品名:ノンサールMN−1を使用した。
(3)ラウリン酸ナトリウム
日本油脂(株)製、商品名:ノンサールLN−1を使用した。
(4)ピラニンコンク
Bayer社製の黄色蛍光染料を使用した。
(5)C.I. Basic Red 1.
BASF製の赤色蛍光染料、商品名:ローダミン6Gを使用した。
(6)エポカラーFP−112およびFP−117
それぞれ(株)日本触媒製の蛍光顔料を使用した。
(7)グリセリン
ミヨシ油脂(株)製、商品名:精製グリセリンを使用した。
(8)エチレングリコール
試薬を使用した。
(9)還元澱粉糖化物
市販の還元澱粉糖化物(林原商事(株)販売、商品名:HS−20)を使用し
た。尚、これらの還元澱粉糖化物は、でんぷんを酵素分解して得られた各種水飴
を更に水素添加(還元)したものである。
(10)ショ糖
市販の砂糖を使用した。
(11)トリエタノールアミン
試薬を使用した。
【0019】
実施例1
攪拌機及び温度計を備えた容器に、下記表1に示した組成全部の材料を入れ、攪拌しながら還流下で90℃に加熱した。溶解した材料を操出式ホルダーに流し込み、冷却固化して、蛍光橙色の固形マーカーを得た。
この固形マーカーは、水性油性を問わず、染料系の筆記用インキとインクジェットインキを滲ませることがなかった。
【表1】

【0020】
実施例2
実施例1と同様にして、下記表2に示した組成からなる蛍光桃色の固形マーカーを得た。この固形マーカーは、水性油性を問わず、染料系の筆記用インキとインクジェットインキを滲ませることがなかった。
【表2】

【0021】
実施例3
実施例1と同様にして、下記表3に示した組成からなる蛍光黄色の固形マーカーを得た。この固形マーカーは、水性油性を問わず、染料系の筆記用インキとインクジェットインキを滲ませることがなかった。
【表3】

【0022】
比較例1
実施例1と同様にして、下記表4に示した組成の蛍光橙色の固形マーカーを得た。この固形マーカーは油性インキを滲ませないが水性インキを滲ませた。
【表4】

【0023】
比較例2
実施例1と同様にして、下記表5に示した組成の蛍光桃色の固形マーカーを得た。この固形マーカーは水性インキを滲ませないが油性インキを滲ませた。
【表5】

【0024】
比較例3
実施例1と同様にして、下記表6に示した組成の蛍光黄色の固形マーカーを得た。この固形マーカーは油性インキを滲ませないが、水性インキを滲ませた。
【表6】

【0025】
比較例4
実施例1と同様にして下記表7に示した組成の蛍光黄色の固形マーカーを得た。この固形マーカーは水性インキおよび油性インキのいずれも滲ませた。
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩からなるゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水および(d)グリセリンを含有する組成物であって、該組成物中の水の含有量が5〜19重量%、グリセリンの含有量が5〜40重量%かつ水とグリセリンの合計含有量が10〜50重量%である組成物から形成された固形状描画材。
【請求項2】
さらに組成物中に(e)非還元糖を、1〜30重量%含有する請求項1記載の固形状描画材。
【請求項3】
さらに組成物中に、(f)脂肪族アミノアルコールを、1〜20重量%含有する請求項1または2記載の固形状描画材。
【請求項4】
該組成物中の水含有量が5〜15重量%、グリセリンの含有量が7〜35重量%かつ水とグリセリンの合計含有量が12〜40重量%である請求項1記載の固形状描画材。
【請求項5】
該組成物中の、(a)ゲル形成物質の含有量が5〜50重量%である請求項1記載の固形状描画材。
【請求項6】
(a)炭素原子8〜36個を有する脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩からなるゲル形成物質、(b)着色剤、(c)水、(d)グリセリン、(e)非還元糖および(f)脂肪族アミノアルコールを含有する組成物であって、該組成物中の水の含有量が5〜19重量%、グリセリンの含有量が5〜40重量%、水とグリセリンの合計含有量が10〜50重量%である組成物から形成された固形状描画材。