説明

固液分離装置及び固液分離方法

【課題】濃縮効果の向上を図った製紙原料用濃縮機の提供。
【解決手段】固液分離装置1は、マット形成部材を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部2Aと処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部2Bとを備えた処理槽2と、この処理槽内に回転可能に配置された回転ドラム4と、マット形成部材供給通路3と、排水通路5と、処理対象水供給通路6と、回転ドラム4の外周面に付着したマットMを剥離して、処理槽2の外へと排出するマット排出手段8と、処理槽内にあって、マット形成部材の受入部と処理対象水の受入部を仕切る仕切り部材7とを備え、マット形成部材の受入部は、処理槽内にあって、回転ドラムの処理槽の外から処理槽内の液体に浸漬される側の部位Aにあり、マット形成部材の受入部は仕切り部材の上に、処理対象水の受入部は仕切り部材の下に、それぞれ位置し、仕切り部材の先端7Aが回転ドラムの外周壁に臨んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離装置及び固液分離方法に係り、特に、固液分離工程の初期の改善を図った固液分離装置及び固液分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃水から浮遊固形物を分離回収する固液分離装置がある。(例えば、特許文献1参照)。
この固液分離装置にあっては、処理対象水が供給される処理槽(1)と、この処理槽(1)内に、処理対象水(W1)に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され外周壁がメッシュ材(21)からなる固液分離ドラム(2)と、メッシュ材(21)の外周面に付着・堆積した浮遊固形物からなるプレコート層(PC)を剥離回収する回収手段(3)と、固液分離ドラム(2)内へ通過した濾水(W2)を排出する排水手段(12)とを備え、固液分離ドラム(2)上にプレコート層(PC)を形成させて、固液分離を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−41923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の固液分離装置にあっては、固液分離工程の初期において、固液分離ドラム(2)のメッシュ材(21)の外周面にプレコート層(PC)が全く形成されていないため、粒径がメッシュサイズ以下のすべての浮遊固形物が濾過されずに固液分離ドラム(2)と側壁(11)との間の濾水貯留室(S)へ通過してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に基づき、固液分離工程の初期の改善を図った固液分離装置及び固液分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の固液分離装置は、マット形成部材を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部と処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部とを備えた処理槽と、この処理槽内の液体に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され、外周壁が複数の開口部を有する回転ドラムと、前記処理槽の前記マット形成部材の受入部に前記マット形成部材を含んだ水を供給するマット形成部材供給通路と、前記回転ドラム内の水を前記処理槽の外へと導く排水通路と、前記処理槽の前記処理対象水の受入部に処理対象水を供給する処理対象水供給通路と、前記回転ドラムの外周面に付着したマットを剥離して、前記処理槽の外へと排出するマット排出手段と、前記処理槽内にあって、前記マット形成部材の受入部と前記処理対象水の受入部を仕切る仕切り部材とを備え、前記マット形成部材の受入部は、前記処理槽内にあって、前記回転ドラムの前記処理槽の外から前記処理槽内の液体に浸漬される側の部位にあり、前記マット形成部材の受入部は前記仕切り部材の上に、前記処理対象水の受入部は前記仕切り部材の下に、それぞれ位置し、前記仕切り部材の先端が前記回転ドラムの外周壁に臨んでいるものである。
【0007】
また、請求項2記載の固液分離装置は、請求項1記載の固液分離装置において、液体が透過しない覆い体を処理槽の外からマット形成部材の受入部内に位置させ、水圧により回転ドラムの外周壁に密着させ、前記覆い体の下端より下方の複数の開口部をマット形成部材の受入部内のマット形成部材を含んだ水に臨ませているものである。
【0008】
また、請求項3記載の固液分離装置は、マット形成部材を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部と処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部とを備えた処理槽と、この処理槽内の液体に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され、外周壁が複数の開口部を有する回転ドラムと、前記処理槽の前記マット形成部材の受入部に前記マット形成部材を含んだ水を供給するマット形成部材供給通路と、前記回転ドラム内の水を前記処理槽の外へと導く排水通路と、前記処理槽の前記処理対象水の受入部に処理対象水を供給する処理対象水供給通路と、前記回転ドラムの外周面に付着したマットを剥離して、前記処理槽の外へと排出するマット排出手段とを備え、前記マット形成部材の受入部は、前記処理槽内にあって、回転ドラムの前記処理槽の外から前記処理槽内の液体に浸漬される側の部位にあり、前記処理対象水の受入部は、前記処理槽内にあって、前記回転ドラムの前記処理槽の浸漬された内から前記処理槽の外に向かう側の部位にあるものである。
【0009】
また、請求項4記載の固液分離装置は、請求項1又は請求項3記載の固液分離装置において、マット形成部材を含んだ水を貯留する槽と、この槽内の前記マット形成部材を含んだ水をマット形成部材の受入部に供給するマット形成部材供給通路と、マット排出手段により排出されるマットが前記槽へ導かれるものである。
【0010】
また、請求項5記載の固液分離方法は、回転ドラムの外周面に設けた開口部の上にマットを形成し、前記マットを介して処理対象水を前記回転ドラム内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、マット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記回転ドラムの外周面に前記マットを形成し、その後、形成された前記マットに前記処理対象水を導いて、前記処理対象水の異物を分離するものである。
【0011】
また、請求項6記載の固液分離方法は、回転ドラムの外周面に設けた開口部の上にマットを形成し、前記マットを介して処理対象水を前記回転ドラム内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、マット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記回転ドラムの外周面に前記マットを形成し、その後、形成された前記マットに前記処理対象水を導いて、前記処理対象水の異物を分離し、前記回転ドラムの外周面に付着した前記マットを剥離して、前記処理槽の外へと排出し、排出された前記マットを水に溶解してマット形成部材を含んだ水とし、このマット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記マット形成部材に再利用するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の固液分離装置によれば、マット形成部材の受入部を処理槽内にあって、回転ドラムの前記処理槽の外から前記処理槽内の液体に浸漬される側の部位に設け、しかも、前記マット形成部材の受入部は仕切り部材の上に、処理対象水の受入部は前記仕切り部材の下に、それぞれ位置し、前記仕切り部材の先端が前記回転ドラムの外周壁に臨んでいるため、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム内に流れ込む前に、回転ドラムの外周壁にマットを形成するため、処理対象水中の浮遊固形物がマットにより濾過され、固液分離を行うことができる。
【0013】
また、請求項2記載の固液分離装置によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、液体が透過しない覆い体を処理槽の外からマット形成部材の受入部内に位置させ、水圧により回転ドラムの外周壁に密着させ、前記覆い体の下端より下方の回転ドラムの外周壁の複数の開口部をマット形成部材の受入部内のマット形成部材を含んだ水に臨ませているため、回転ドラムへの入口を狭くすることによりマット形成部材を含んだ水が回転ドラム内へ急激に流れ込み、回転ドラムの外周壁に迅速にマットを形成し、該マットにより処理対象水の固液分離を効率良く行うことができる。
【0014】
また、請求項3記載の固液分離装置によれば、マット形成部材の受入部を処理槽内にあって、回転ドラムの前記処理槽の外から前記処理槽内の液体に浸漬される側の部位に設け、しかも、処理対象水の受入部をマット形成部材の受入部より遠い側、つまり、処理対象水の受入部を処理槽内にあって、回転ドラムの前記処理槽の浸漬された内から前記処理槽の外に向かう側の部位に設けて、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム内に流れ込む前に、回転ドラムの外周壁にマットを形成するため、処理対象水中の浮遊固形物がマットにより濾過され、固液分離を行うことができる。
【0015】
また、請求項4記載の固液分離装置によれば、上述した請求項1又は請求項3記載の発明の効果に加え、マット排出手段により排出されるマットを槽へ導き、槽内のマット形成部材を含んだ水をマット形成部材供給通路によりマット形成部材の受入部に供給するため、マットを再利用して処理対象水の固液分離を効率良く行うことができる。
【0016】
また、請求項5記載の固液分離方法によれば、回転ドラムの外周面に設けた開口部の上にマットを形成し、前記マットを介して処理対象水を前記回転ドラム内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、マット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記回転ドラムの外周面に前記マットを形成し、その後、形成された前記マットに前記処理対象水を導く、つまり、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム内に流れ込む前に、回転ドラムの外周壁にマットを形成するため、処理対象水中の固形物がマットにより濾過され、固液分離を行うことができる。
【0017】
また、請求項6記載の固液分離方法によれば、回転ドラムの外周面に設けた開口部の上にマットを形成し、前記マットを介して処理対象水を前記回転ドラム内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、マット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記回転ドラムの外周面に前記マットを形成し、その後、形成された前記マットに前記処理対象水を導く、つまり、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム内に流れ込む前に、回転ドラムの外周壁にマットを形成するため、処理対象水中の浮遊固形物がマットにより濾過され、固液分離を行うことができ、しかも、回転ドラムの外周面に付着したマットを剥離して、前記処理槽の外へと排出し、排出された前記マットを前記マット形成部材に再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施例の固液分離装置の概略的正面図である。
【図2】図2は、図1の固液分離装置の概略的平面図である。
【図3】図3は、図2の3−3線による概略的断面図である。
【図4】図4は、図1の4−4線による概略的断面図である。
【図5】図5は、図1の5−5線による概略的断面図である。
【図6】図6は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図7】図7は、図1の固液分離装置と異なる他の実施例の固液分離装置の概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施例の固液分離装置及び固液分離方法を参照して説明する。
図1に示す1は、固液分離装置で、固液分離装置1は、処理対象水(例えば、一般家庭から排出される台所廃水、食品工場等から排出される有機系廃水等)から固形異物を分離して、固形異物を除去した水を得るようにしたものである。
固液分離装置1は、マット形成部材(例えば、パルプ、古紙に含まれる紙繊維)を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部2Aと処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部2Bとを備えた処理槽2と、この処理槽2のマット形成部材の受入部2Aにマット形成部材を含んだ水を処理槽2に供給するマット形成部材供給通路3と、後述する回転ドラム4内の水を処理槽2の外へと導く排水通路5と、処理槽2の処理対象水の受入部2Bに処理対象水を供給する処理対象水供給通路6とを有している。
なお、マット形成部材(濾過補助材)は、例えば、パルプ、古紙に含まれる紙繊維であり、紙繊維に珪藻土、ベントナイト等を加えても良い。処理対象水供給通路6からの排水は、処理槽2の液面と回転ドラム4内の液面との落差Hによるものである(図4参照)。落差Hは、レベルボックス50(図5参照)で調整することができる。
また、処理槽2の液面が上昇又は、回転ドラム4内の液面が低下したら、回転ドラム4の回転数を早くし、逆に、処理槽2の液面が下降又は、回転ドラム4内の液面が上昇したら、回転ドラム4の回転数を遅くして、落差Hを一定になるように、回転ドラム4の回転数を図示しない制御手段により制御している。
【0020】
回転ドラム4は、処理槽2内の液体に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され、外周壁が複数の開口部を有する。回転ドラム4は、略円筒形状で、両端を除く外周面に複数の開口部が形成され、該複数の開口部は、例えば、メッシュ材で形成されている(メッシュ材には、例えば、目開き150μm以下のものを採用する。)。
また、7は仕切り部材で、仕切り部材7は、処理槽2内にあって、マット形成部材の受入部2Aと処理対象水の受入部2Bを仕切るもので、マット形成部材の受入部2Aは、処理槽2内にあって、回転ドラム4の処理槽2の外から処理槽2内の液体に浸漬される側の部位A(図6参照)にあり、マット形成部材の受入部2Aは仕切り部材7の上に、処理対象水の受入部2Bは仕切り部材7の下に、それぞれ位置している。そして、仕切り部材7の先端7Aが回転ドラム4の外周壁に臨んでいる(図6参照)。
なお、8は回転ドラム4の外周面に付着したマットMを剥離して、処理槽4の外へと排出するマット排出手段で、マット排出手段8は、本実施例では、例えば、スクレーパで
、スクレーパ8で剥離する前に、本実施例では、回転ドラム4の外周面に付着したマットMをローラ9で転写している。マット排出手段8は、ローラ9で転写し、その後、スクレーパ8で剥離しているが、これに限らず、例えば、特開2011−41923公報の図2に示すように、直接、スクレーパ(33)で剥離するようにしても良い。
【0021】
また、図1に示す10は、マット形成部材を含んだ水を貯留する槽で、この槽10内のマット形成部材を含んだ水は、マット形成部材供給通路3によりマット形成部材の受入部2Aに供給されるようになっている。また、マット排出手段8により排出されるマットは、例えば、ガイドGにより槽10へ導かれるようにして、回転ドラム4の外周面に付着したマットMを再利用して処理対象水の固液分離を効率良く行うことができるようにしている。
なお、図1に示すPは、槽10内のマット形成部材を含んだ水をマット形成部材供給通路3に導くモータである。また、図1に示す11は、槽10内のマット形成部材を含んだ水を撹拌する撹拌部材で、図1に示す3’は、槽10内へマット形成部材を補給するマット形成部材補給通路である。また、図1に示す12は、マット形成部材供給通路3のマット形成部材の濃度を一定に調整する濃度調整器で、濃度調整器12は、マット形成部材供給通路3の中途に設けた第1のバルブV1とマット形成部材補給通路3’の中途に設けた第2のバルブV2の開度を調整するものである。
【0022】
従って、上述した固液分離装置1(固液分離方法)によれば、マット形成部材の受入部2Aを処理槽2内にあって、回転ドラム4の処理槽4の外から処理槽2内の液体に浸漬される側の部位A(図6参照)に設け、しかも、マット形成部材の受入部2Aは仕切り部材7の上に、処理対象水の受入部2Bは仕切り部材7の下に、それぞれ位置し、仕切り部材7の先端7Aが回転ドラム4の外周壁に臨んでいるため、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム4内に流れ込む前に、回転ドラム4の外周壁にマットMを形成するため、処理対象水中の浮遊固形物はマットMを通過できず、水等の液体がマットMを通過することにより、マットMにより濾過され固液分離を行うことができる。
言いかえれば、回転ドラム4の外周面に設けた開口部の上にマットMを形成し、マットMを介して処理対象水を回転ドラム4内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、マット形成部材(紙繊維)を含んだ水を回転ドラム4に導いて、回転ドラム4の外周面にマットMを形成し、その後、形成されたマットMに前記処理対象水を導く、つまり、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム4内に流れ込む前に、回転ドラム4の外周壁にマットMを形成するため、処理対象水中の固形物がマットMにより濾過され、固液分離を行うことができるものである。
また、固液分離方法にあって、回転ドラム4の外周面に付着したマットMを剥離して、処理槽2の外へと排出し、排出されたマットMを槽10内に貯留し、槽10内のマット形成部材を含んだ水をマット形成部材供給通路3を介してマット形成部材の受入部2Aに導くようにして、マット形成部材に再利用することができる工程をも付加することもできる。
【0023】
また、後述する覆い体Eは設けなくても良いが、望ましくは、図6に示すように、液体が透過しない覆い体E(例えば、合成樹脂で形成する。)を処理槽2の外からマット形成部材の受入部2A内に位置させ、水圧により回転ドラム4の外周壁に密着させ、覆い体Eの下端(先端)E1より下方の複数の開口部をマット形成部材の受入部2A内のマット形成部材(紙繊維)を含んだ水に臨ませるようにすると良い。
その結果、回転ドラム4への入口を狭くすることによりマット形成部材(紙繊維)を含んだ水が回転ドラム4内へ急激に流れ込み、回転ドラム4の外周壁に迅速にマットMを形成し、該マットMにより微細な異物が通過しにくくなり、処理対象水の固液分離を効率良く行うことができる。
なお、覆い体Eの長さは、軸E’に巻き付ける等して、適宜調整することができる。
【0024】
なお、本願発明にあっては、上述した図1乃至図6記載の固液分離装置に限らず、図7記載の固液分離装置であっても良い。
即ち、この実施例の固液分離装置1にあっても、上述した図1乃至図6記載の固液分離装置1と同様に、固液分離装置1は、マット形成部材(例えば、パルプ、古紙に含まれる紙繊維)を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部2Aと処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部2Bとを備えた処理槽2と、この処理槽2内の液体に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され、外周壁が複数の開口部(例えば、メッシュ材)を有する回転ドラム4と、処理槽2の受入部2Aにマット形成部材を含んだ水を処理槽2に供給するマット形成部材供給通路3と、回転ドラム4内の水を処理槽2の外へと導く排水通路5と、処理槽2の処理対象水の受入部2Bに処理対象水を供給する処理対象水供給通路6と、回転ドラム4の外周面に付着したマットMを剥離して、処理槽2の外へと排出するマット排出手段8とを備えている。
【0025】
特に、この実施例の固液分離装置1のマット形成部材の受入部2Aは、処理槽2内にあって、回転ドラム4の処理槽2の外から処理槽2内の液体に浸漬される側の部位Aにあり、処理対象水の受入部2Bは、処理槽2内にあって、回転ドラム4の処理槽2の浸漬された内から処理槽2の外に向かう側の部位Bにある。
そして、この実施例の固液分離装置1にあっても、マット形成部材の受入部2Aを処理槽2内にあって、回転ドラム4の処理槽2の外から処理槽2内の液体に浸漬される側の部位Aに設け、しかも、処理対象水の受入部2Bをマット形成部材の受入部2Aより遠い側、つまり、処理対象水の受入部2Bを処理槽2内にあって、回転ドラム4の処理槽2の浸漬された内から処理槽2の外に向かう側の部位Bに設けて、固液分離工程の初期において、処理対象水が回転ドラム4内に流れ込む前に、回転ドラム4の外周壁にマットMを形成するようにして、処理対象水中の浮遊固形物がマットMにより濾過され、固液分離を行うようにしている。
【0026】
なお、図7の槽10内には、撹拌部材11の他に気泡発生部20、20、20、槽10の上面には、掻き取り部材30、をそれぞれ設け、軽量異物を掻き取り部材30で掻き取って、第1の回収ボックス31に回収するようにする。なお、21は気泡発生部20、20、20にエアーを送るコンプレッサーである。
また、マット形成部材供給通路3の中途にサイクロン型クリーナー40を設けて異物を分離し、異物を分離したマット形成部材を含んだ水はマット形成部材供給通路3を介して処理槽2内のマット形成部材の受入部2Aに導かれることとなる。なお、サイクロン型クリーナー40で分離した重量異物は第2の回収ボックス41に回収される。
また、8は上述の実施例と同様のマット排出手段であり、9は上述の実施例と同様の回転ドラム4の外周面に付着したマットMを転写するローラである。50は、処理槽2の液面と回転ドラム4内の液面との落差Hを調整するレベルボックスである。
【符号の説明】
【0027】
1 固液分離装置
2 処理槽
2A マット形成部材の受入部
2B 処理対象水の受入部
3 マット形成部材供給通路
4 回転ドラム
5 排水通路
6 処理対象水供給通路
7 仕切り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット形成部材を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部と処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部とを備えた処理槽と、
この処理槽内の液体に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され、外周壁が複数の開口部を有する回転ドラムと、
前記処理槽の前記マット形成部材の受入部に前記マット形成部材を含んだ水を供給するマット形成部材供給通路と、
前記回転ドラム内の水を前記処理槽の外へと導く排水通路と、
前記処理槽の前記処理対象水の受入部に処理対象水を供給する処理対象水供給通路と、
前記回転ドラムの外周面に付着したマットを剥離して、前記処理槽の外へと排出するマット排出手段と、
前記処理槽内にあって、前記マット形成部材の受入部と前記処理対象水の受入部を仕切る仕切り部材とを備え、
前記マット形成部材の受入部は、前記処理槽内にあって、前記回転ドラムの前記処理槽の外から前記処理槽内の液体に浸漬される側の部位にあり、
前記マット形成部材の受入部は前記仕切り部材の上に、前記処理対象水の受入部は前記仕切り部材の下に、それぞれ位置し、
前記仕切り部材の先端が前記回転ドラムの外周壁に臨んでいる
ことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
液体が透過しない覆い体を処理槽の外からマット形成部材の受入部内に位置させ、水圧により回転ドラムの外周壁に密着させ、前記覆い体の下端より下方の複数の開口部をマット形成部材の受入部内のマット形成部材を含んだ水に臨ませている
ことを特徴とする請求項1記載の固液分離装置。
【請求項3】
マット形成部材を含んだ水を受け入れるマット形成部材の受入部と処理対象水を受け入れる処理対象水の受入部とを備えた処理槽と、
この処理槽内の液体に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能に配置され、外周壁が複数の開口部を有する回転ドラムと、
前記処理槽の前記マット形成部材の受入部に前記マット形成部材を含んだ水を供給するマット形成部材供給通路と、
前記回転ドラム内の水を前記処理槽の外へと導く排水通路と、
前記処理槽の前記処理対象水の受入部に処理対象水を供給する処理対象水供給通路と、
前記回転ドラムの外周面に付着したマットを剥離して、前記処理槽の外へと排出するマット排出手段とを備え、
前記マット形成部材の受入部は、前記処理槽内にあって、回転ドラムの前記処理槽の外から前記処理槽内の液体に浸漬される側の部位にあり、
前記処理対象水の受入部は、前記処理槽内にあって、前記回転ドラムの前記処理槽の浸漬された内から前記処理槽の外に向かう側の部位にある
ことを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
マット形成部材を含んだ水を貯留する槽と、
この槽内の前記マット形成部材を含んだ水をマット形成部材の受入部に供給するマット形成部材供給通路と、
マット排出手段により排出されるマットが前記槽へ導かれる
ことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の固液分離装置。
【請求項5】
回転ドラムの外周面に設けた開口部の上にマットを形成し、前記マットを介して処理対象水を前記回転ドラム内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、
マット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記回転ドラムの外周面に前記マットを形成し、その後、形成された前記マットに前記処理対象水を導いて

前記処理対象水の異物を分離する
ことを特徴とする固液分離方法。
【請求項6】
回転ドラムの外周面に設けた開口部の上にマットを形成し、前記マットを介して処理対象水を前記回転ドラム内に導いて、処理対象水の異物を分離する固液分離方法であって、
マット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記回転ドラムの外周面に前記マットを形成し、その後、形成された前記マットに前記処理対象水を導いて

前記処理対象水の異物を分離し、
前記回転ドラムの外周面に付着した前記マットを剥離して、前記処理槽の外へと排出し、排出された前記マットを水に溶解してマット形成部材を含んだ水とし、このマット形成部材を含んだ水を前記回転ドラムに導いて、前記マット形成部材に再利用する
ことを特徴とする固液分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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