説明

固液分離装置

【課題】排水の水質汚染を少なくしつつ、効率よく固形物と液体とを分離できる固液分離装置を提供する。
【解決手段】複数の平板状の円形リング体17を所定の間隔で積層して回転軸20に固定することにより円筒状に形成されたストレーナ12と、ストレーナ12を収容する収容部を有すると共に、該収容部がストレーナ12によって内周領域Aと外周領域Bとに分離されるケース11と、外周領域Bから内周領域へ向けて固形物と液体との混合液を導入する導入口18と、円形リング体17間を通過して前記外周領域Bから内周領域Aに進入した液体を外部へ排出する排水口19と、前記混合液を固液分離した後の固形物を排出する排出口15とを備え、導入口18の位置は、排水時の水面位置より上方に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に混ざった生ゴミ等の固形物を液体と分離する固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の固液分離装置としては、図3に示すようなものがある。同図に示すように、固液分離装置1のケースに収納されたストレーナ2は、そのケース内を内周領域Aと外周領域Bとに分離している。固形物と液体の混合液は導入口3から導入され、ストレーナ2は、固液分離装置内の底部に溜まった混合液から固形物を掬い上げて、混合液を濾過する。内周領域Aには固形物をろ過してストレーナ2を通過した液体が流入し、その液体は排出口4から外部へと排出する。
【特許文献1】特開2000−317693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来の固液分離装置においては、固形物と水分を含む混合液(ディスポーザの排水)を導入する導入口3が、固液分離処理後の処理水を排水する排水口4より低い位置に設けられているため、固液分離装置内の水面の位置は導入口3より上になる。従って、ストレーナ2は固液分離装置内の底部に溜まった混合液中から固形物を、救い上げてスクレーパ5まで運び、固形物の水分を搾り取って排出口6から排出する。
【0004】
そのため、混合液に含まれる固形物は、その混合液中に長い時間滞留することになり、長い時間掻き混ぜられるから、固液分離装置から排出する排水の水質を悪化させる。また、固形物に付着した油脂類やストレーナ2の隙間より小さい固形物は、洗い流され易く、ストレーナ2を通過してしまい、固液分離性能があまり良くないという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、固液分離性能を向上し、排水の水質を改善する固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の固液分離装置は、複数の平板状の円形リング体を所定の間隔で積層して回転軸に固定することにより円筒状に形成されたストレーナと、該ストレーナを収容する収容部を有すると共に、該収容部がストレーナによって内周領域と外周領域とに分離されるケースと、前記外周領域から前記内周領域へ向けて固形物と液体との混合液を導入する導入口と、前記円形リング体間を通過して前記外周領域から前記内周領域に進入した前記液体を外部へ排出する排水口と、前記混合液を固液分離した後の固形物を排出する排出口とを備え、前記導入口の位置は、排水時の水面位置より上方に設けたものであり、固形物と液体との混合液を導入口からストレーナへ導入すると、直ぐに固形物と液体とに分離されるため、固形物が水中に滞留する時間を短くすることができる。また、ストレーナの隙間より小さい固形物や油脂類であっても、大きな固形物に付着させて排出口から回収することが可能になるため、固液分離性能を向上すると共に、排水の水質改善を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固液分離装置によれば、排水時の固液分離装置内の水面位置より上方に設けることにより、固形物と液体との混合液を導入口からストレーナへ導入すると、直ぐに固形物と液体とに分離されるため、固形物が水中に滞留する時間を短くすることができる。ま
た、ストレーナの隙間より小さい固形物や油脂類であっても、大きな固形物に付着させて排出口から回収することが可能になるため、固液分離性能を向上すると共に、排水の水質改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、複数の平板状の円形リング体を所定の間隔で積層して回転軸に固定することにより円筒状に形成されたストレーナと、該ストレーナを収容する収容部を有すると共に、該収容部がストレーナによって内周領域と外周領域とに分離されるケースと、前記外周領域から前記内周領域へ向けて固形物と液体との混合液を導入する導入口と、前記円形リング体間を通過して前記外周領域から前記内周領域に進入した前記液体を外部へ排出する排水口と、前記混合液を固液分離した後の固形物を排出する排出口とを備え、前記導入口の位置は、排水時の水面位置より上方に設けたものであり、固形物と液体との混合液を導入口からストレーナへ導入すると、直ぐに固形物と液体とに分離されるため、固形物が水中に滞留する時間を短くすることができる。また、ストレーナの隙間より小さい固形物や油脂類であっても、大きな固形物に付着させて排出口から回収することが可能になるため、固液分離性能を向上すると共に、排水の水質改善を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明の導入口の位置を排水口より上方に設けたことにより、固液分離中(排水時)の固液分離装置内の水位は低い位置となり、固形物と液体との混合液を導入口からストレーナへ導入すると、直ぐに固形物と液体とに分離されるため、固形物が水中に滞留する時間を短くすることができる。また、ストレーナの隙間より小さい固形物や油脂類であっても、大きな固形物に付着させて排出口から回収することが可能になるため、固液分離性能を向上すると共に、排水の水質改善を図ることができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の導入口と排出口とは、ストレーナの回転軸の方向から見て前記回転軸を中心として左右に対向し、且つ前記回転軸より上方に設けることにより、分離された固形物が移動する排出口と導入口との距離が短くなるため、固形物を回収する回収速度が速くなり、固形物が水中に滞留する時間を更に短くできるため、固液分離性能を向上すると共に、排水の水質改善を図ることができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜3にいずれか1つの発明の外周領域から内周領域へ向けて水平方向または斜め下方向に混合液を導入する導入口を設けることにより、混合液をストレーナで固形物と液体に分離する時の水切りが良く、分離された液体がストレーナの隙間から直ぐに落下するため、固形物と液体に分離する処理時間を短くすることができるから、固液分離性能を向上すると共に、排水の水質改善を図ることができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第4の発明の導入口は、回転自在な回転エルボを設けることで、接続方向が自由に調整できるため、システムキッチンへの組み込み性がよくなり、配管の長さが最小限に抑えられ、排水速度を早くすることもでき、前述したような効果にも寄与するものである。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態のみによって、本発明が限定されるのもではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態に係る固液分離装置の正面断面であり、図2は固液分離装置の側面断面図であり、図1の回転軸方向沿った断面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、固液分離装置10は、固液分離装置のケース11、混合液中の固形物と液体を分離するストレーナ12、分離した固形物をストレーナ12から剥
離するスクレーパ13、固形物から水分を押し出して脱水する蓋体14、および脱水した固形物を排出する排出口15から構成され、ストレーナ12の回転軸20は電動機(図示せず)で駆動される。
【0016】
蓋体14は、ばね16等により常時スクレーパ13側に一定圧で付勢されており、スクレーパ13がストレーナ12から剥がした固形物をスクレーパ13側に押し付けて、固形物の水分を搾り出す役割を果たす。
【0017】
ストレーナ12は、複数の平板状の円形リング体17を、所定間隔で積層して回転軸20に固定することにより円筒状に形成されている。更に、円形リング体17には、外周上の数箇所に突部22を有しており、それらの突部22は各円形リング体17とも同じ位置に設けられており、それらの突部22は固形物を引っ掛ける役割を果たす。
【0018】
ケース11内は、ストレーナ12によって、ストレーナ12の内周領域Aと外周領域Bとに分離され、ストレーナ12の外周領域Bには、液体と固形物の混合液を導入する導入口18がストレーナ12の軸中心より上部に設けられている。ストレーナ12の内周領域Bには、ストレーナ12により固液分離された廃液を外部へ排水する排水口19が、導入口18より低い位置に設けられている。
【0019】
スクレーパ13は、複数枚の金属製の平板で構成され、ストレーナ12を構成する複数枚の円形リング体17の間に交互に挟まれ、円形リング体17の端面間に先端が進入して、円形リング体17の内周面に達するように配置される。
【0020】
また、導入口18と排出口15は、ストレーナ12の回転軸20の方向から見て回転軸20を中心として左右に対向し、且つ回転軸20より上方に配置されている。これにより、導入口18から導入され突部22で引っ掛けた固形物を排出口15まで移動させる距離を短くすることができ、固形物を回収する回収速度を速めることができる。導入口18の先端には、回転自在な回転エルボ21が設けられており、ディスポーザ(図示せず)からの配管(図示せず)に接続することを容易にしている。
【0021】
次に、固液分離装置10の動作について説明する。ストレーナ12の回転軸20には電動機(図示せず)が連結されており、ストレーナ12は同じシステムキッチン内に組み込まれたディスポーザ(図示せず)が動作するのに合わせて回転動作し、この実施の形態では反時計回りに回転する。これにより、ストレーナ12の円周上の突部22は、ケース11下方の混合液に浸かった状態から抜け出し、導入口18、スクレーパ13、蓋体14、排出口15の順に接近するように回転する。
【0022】
その状態で、ディスポーザで粉砕された固形物と液体との混合液(例えば、固形物を含んだ流し台の排水)は、導入口18よりストレーナ12上に導入される。すると、液体はストレーナ12の円形リング体17同士の隙間を流れて下方へ流れ落ち、固形物はストレーナ12の突部22に引っ掛かって残存することにより、導入された混合液は固形物と液体に分離される。
【0023】
回転するストレーナ12は、ストレーナ12の突部22に引っ掛かった固形物をストレーナ12の円周方向の排出口15へと移動する。排出口15の手前では、スクレーパ13が固形物をストレーナ12からすくい上げる様に分離する。それと同時に、固形物は蓋体14によりスクレーパ13側に押されて水分を絞りとられ、排出口15より外部に排出される。
【0024】
以上に説明したように、実施の形態に係る固液分離装置は、固形物と液体の混合液が導
入口18からストレーナ12へ導入されると、同時に固形物と液体に分離されるため、固形物が液体中に滞留する時間が短くなり、分離した固形物の成分が液体中に溶け込んで、排水の水質を汚染させない。
【0025】
また、ストレーナ12を通り抜け可能な小さな固形物であっても、ストレーナ12に引っ掛かった大きな固形物の表面に付着させて排出口15から回収することが可能になるため、小さな固形物が排水に混入する割合を少なくして、排水の水質汚染を抑制することができる。
【0026】
また、導入口18は、外周領域Bから内周領域Aへ向けて水平方向または斜め下方向に混合液を導入するように設けることにより、混合液がストレーナ12の隙間にダイレクトに入り込むため、排水速度が速くなり、固形物が水中に滞留する時間を更に短くできるため、排水の水質改善を図ることができる。
【0027】
なお、以上の実施の形態では、ストレーナ12の外周上に突部22を設けた例で説明したが、突部22に代えて凹部を設けて実施しても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、排水口19にフィルターを付加し、ストレーナ12の隙間を通過した小さな固形物を捕集しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかる固液分離装置は、システムキッチン等に組み込まれる生ゴミ処理のシステムとして極めて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1に係る固液分離装置の断面図
【図2】図1の回転軸方向に沿った断面図
【図3】従来の固液分離装置の断面構成図
【符号の説明】
【0030】
10 固液分離装置
11 ケース
12 ストレーナ
13 スクレーパ
14 蓋体
15 排出口
16 ばね
17 円形リング体
18 導入口
19 排水口
20 回転軸
21 回転エルボ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平板状の円形リング体を所定の間隔で積層して回転軸に固定することにより円筒状に形成されたストレーナと、該ストレーナを収容する収容部を有すると共に、該収容部がストレーナによって内周領域と外周領域とに分離されるケースと、前記外周領域から前記内周領域へ向けて固形物と液体との混合液を導入する導入口と、前記円形リング体間を通過して前記外周領域から前記内周領域に進入した前記液体を外部へ排出する排水口と、前記混合液を固液分離した後の固形物を排出する排出口とを備え、前記導入口の位置は、排水時の水面位置より上方に設けたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
導入口の位置を排水口より上方に設けてなる請求項1記載の固液分離装置。
【請求項3】
導入口と排出口とは、ストレーナの回転軸の方向から見て前記回転軸を中心として左右に対向し、且つ前記回転軸より上方に設けられてなる請求項1または2記載の固液分離装置。
【請求項4】
外周領域から内周領域へ向けて水平方向または斜め下方向に混合液を導入する導入口を設けてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【請求項5】
導入口は、回転自在な回転エルボを設けてなる請求項4記載の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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