説明

固液分離装置

【課題】安定した固形物の回収と大量排水にも対応でき、排水の水質を改善した固液分離装置を提供する。
【解決手段】リング体23を積層したストレーナ30を内蔵した容器38と、固形物を掻き取るスクレーパ36と、容器38側面に開口した取出口39と、容器38の底面に開口した出口47とを備え、逆凹状部材42の両側面端部と排出案内部40とを接続して排出通路41を形成しているので、逆凹状部材42の上面と排出案内部40との間隙が設定値に確保でき、この結果、固液分離装置毎における排出通路41の通路抵抗が一定になるので、回収された固形物の回収率と含水率が安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破砕された生ごみ等の固形物が混ざった固液を固形物と液体とに分離するストレーナを搭載した固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の固液分離装置は台所等で発生する生ごみを水道水と共に破砕し、脱水する生ごみ処理装置に使われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、この特許文献1に記載された従来の固液分離装置を示すものである。
【0004】
この固液分離装置は、外形に所定角度間隔で突出した(例えば突出高さ10mm)突起部1と、加えて内形に突出した突出部2と、さらに内周面に延設された二股状突片3を形成した円形リング体4を積層して構成した円筒状のストレーナ5と、各円形リング体4を掛け渡して複数取り付けられ、表面には突出部2と係合して各円形リング体4を、隙間を設けた状態で保持する係合部6がストレーナ5の周方向の各側面側に、かつ長手方向に複数形成された横架部材7と、一対の両端の円形リング体4間に掛け渡して複数取り付けられ、二股状突片3と係合することによって突出部2が係合部6から外れることを規制する第2横架部材8と、横架部材7と回転軸9を連結する連結体10と、ストレーナ5より大きい略円筒状の空間を横になるように形成し、かつストレーナ5を回転自在になるように内蔵した容器11と、ストレーナ5の外側に位置し、外へ拡げるように変形した容器11の端面に開口した固液を流入する入口12と、ストレーナ5の内側に位置し容器11の端面にストレーナ5の間隙を通過した液体を排水する出口13と、ストレーナ5の各間隙に先端が進入して円形リング体4に付着する固形物を掻き取るスクレーパ14と、ストレーナ5の各間隙にスクレーパ14の位置を調整するためにスクレーパ14間に狭持されたスペーサ15と、容器11の周面に開口したスクレーパ14で掻き取った固形物を外へ排出する取出口16(例えば容器11とスクレーパ14との絞り間隙を4mmに開口)と、取出口16に接続した固形物を外へ導くスクレーパ14とスペーサ15との上部端面からなる排出案内部17とからなる。
【0005】
以上のように構成された固液分離装置の動作を説明する。
【0006】
上記固液分離装置は、まず破砕機(図示せず)が投入された生ごみと水道水を破砕し、次に混合した固液が入口12から容器11に流入する。そして、駆動部(図示せず)により回転する回転軸9が連結体10と横架部材7を介してストレーナ5を回転させるので、突出部1が固形物(破砕された生ごみ)を掻き揚げる。その後、突出部1に乗っかった固形物や円形リング体4の外面に付着した固形物はスクレーパ14によりストレーナ5から剥離する。続いて、ストレーナ5と容器11との間隙(ほぼ突起部1の高さ10mm)から取出口16(絞り間隙4mm)へ移動する固形物は、通路断面積が急激に狭くなるので、圧縮し、脱水する。その後、固形物は取出口16から排出案内部17を介して乾燥やバイオの処理手段(図示せず)に回収(排出)される。また、固形物に付着した液体(水道水や生ごみの汁等)は自重によりストレーナ5の間隙を通過して出口13から排水される。他方、容器11に流入した固液内の大部分液体は直ちにストレーナ5の間隙を通過して出口13から排水される。
【特許文献1】特許第3600474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の固液分離装置では、取出口16の絞り間隙は容器11とスクレーパ14との組合せ寸法になるので、取出口16の絞り間隙が一定にならず、固液分離装置毎に固形物の量や含水率が異なるという課題を有していた。例えば、取出口16の絞り間隙が狭い場合、固形物は圧縮作用によりストレーナ5の間隙を無理やり通過し出口13から排出される量が増加するので、排水の水質が悪くなる。逆に、取出口16の絞り間隙が広い場合、固形物は圧縮作用が弱いので、高い含水率の固形物が比較的多く取出口16から排出される。また、取出口16の絞り間隙が突出部1の突出高さに比べて狭いので、ストレーナ5に運ばれる大きい、または硬い固形物(例えば貝殻や骨)は取出口16の絞り間隙で詰まるという課題を有していた。さらに、出口13の排出能力を上回る大量の液体が入口12に流入した場合、取出口16の絞り間隙に残っている固形物を押しのけて、取出口16から漏水するという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、安定した固形物の回収と大量排水にも対応できる固液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、平板状のリング体を間隙を有して積層した円筒状のストレーナと、回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成し前記ストレーナを回転自在になるように内蔵した容器と、前記容器に開口した固液を流入する入口と、前記容器の端面に開口した前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する出口と、先端が前記ストレーナの各間隙に外側から進入し前記ストレーナに付着する固形物を掻き取るスクレーパと、前記スクレーパに対して前記ストレーナの回転方向上流側の前記容器の内周面に開口した取出口と、前記取出口に接続した前記固形物を外へ導く排出案内部を備え、逆凹状部材の両側面端部と排出案内部とを接続して排出通路を形成したものである。
【0010】
これによって、固液が入口から容器に流入し、固形物(破砕された生ごみ)は回転するストレーナによりスクレーパへ運ばれる。同時に、固形物に付着した液体は自重によりストレーナの間隙を通過して出口から排水される。そして、固形物がスクレーパによりストレーナから剥離して排出通路へ移動する際に、排出通路の濡れ縁が長い分、排出通路の通路抵抗が大きいので、排出通路の手前の容器内で圧縮して脱水する。特に、排出通路は逆凹状部材の両側面端部と排出案内部とを接続して形成しているので、逆凹状部材の上面と排出案内部との間隙が設定値(逆凹状部材の側面)に確保でき、固液分離装置毎における排出通路の通路抵抗が一定になるので、回収された固形物の回収率と含水率が安定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固液分離装置は、安定した固形物の回収と大量排水にも対応でき、排水の水質も改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、平板状のリング体を間隙を有して積層した円筒状のストレーナと、回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成し前記ストレーナを回転自在になるように内蔵した容器と、前記容器に開口した固液を流入する入口と、前記容器の端面に開口した前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する出口と、先端が前記ストレーナの各間隙に外側から進入し前記ストレーナに付着する固形物を掻き取るスクレーパと、前記スクレーパに対して前記ストレーナの回転方向上流側の前記容器の内周面に開口した取出口と、前記取出口に接続した前記固形物を外へ導く排出案内部を備え、逆凹状部材の両側面端部と排出案内部とを接続して排出通路を形成したものである。
【0013】
これによって、固液が入口から容器に流入し、固形物(破砕された生ごみ)は回転するストレーナによりスクレーパへ運ばれる。同時に、固形物に付着した液体は自重によりス
トレーナの間隙を通過して出口から排水される。そして、固形物がスクレーパによりストレーナから剥離して排出通路へ移動する際に、排出通路の濡れ縁が長い分、排出通路の通路抵抗が大きいので、排出通路の手前の容器内で圧縮して脱水する。特に、排出通路は逆凹状部材の両側面端部と排出案内部とを接続して形成しているので、逆凹状部材の上面と排出案内部との間隙が設定値(逆凹状部材の側面)に確保でき、固液分離装置毎における排出通路の通路抵抗が一定になるので、回収された固形物の回収率と含水率が安定し、排水の水質を改善する。また、排出通路の通路抵抗が一定になるので、取出口と排出通路との通路断面積が比較的大きく設計でき、硬い固形物が詰まることが防止できる。
【0014】
第2の発明は、平板状のリング体を間隙を有して積層した円筒状のストレーナと、回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成し前記ストレーナを回転自在になるように内蔵した容器と、前記容器に開口した固液を流入する入口と、前記容器の端面に開口した前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する出口と、先端が前記ストレーナの各間隙に外側から進入し前記ストレーナに付着する固形物を掻き取るスクレーパと、前記スクレーパに対して前記ストレーナの回転方向上流側の前記容器の内周面に開口した取出口を備え、前記取出口に接続した排出通路を筒状部材から構成したものである。
【0015】
これによって、固形物がスクレーパによりストレーナから剥離して排出通路へ移動する際に、排出通路の濡れ縁が長い分、排出通路の通路抵抗が大きいので、排出通路の手前の容器内で圧縮して脱水する。特に、排出通路は筒状部材から構成したので排出通路の通路断面形状が設定値に確保できる。この結果、固液分離装置毎における排出通路の通路抵抗が一定になるので、回収された固形物の回収率と含水率が安定し、排水の水質を改善する。また、排出通路の通路抵抗が一定になるので、取出口と排出通路との通路断面積が比較的大きく設計でき、硬い固形物が詰まることが防止できる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1と第2の発明の排出通路の取出口側端面は容器に埋め込まれていることにより、固形物がスクレーパによりストレーナから剥離して排出通路へ移動する際に、固形物が取出口と排出通路との接合部に入り込むことを防止できる。
【0017】
第4の発明は、特に、第1と第2の発明の排出通路は外側に向かって通路断面を順次大きくなるように形成したことにより、排出通路を通過する固形物は、固形物自身の粘性と排出通路の濡れ縁が長い分通路抵抗が大きいので、排出通路を通過する速度が遅い。この結果、固形物は排出通路を通過するに伴い圧縮していくが、排出通路は外に向かって通路断面を順次大きくなる、すなわち通路抵抗が減少するので。固形物が排出通路で詰まることを防止できる。
【0018】
第5の発明は、特に、第1と第2の発明の排出通路の天井面は排出通路の内側に突出する凸部を形成したことにより、貝殻や骨等の大きな、または硬い固形物が排出通路を通過しても、排出通路が大きい、または硬い固形物により外に変形して通路抵抗を減少させるので、大きい、または硬い固形物が排出通路で詰まることを防止できる。大きな、または硬い固形物が排出通路を通過後、排出通路の変形が元に戻る。
【0019】
第6の発明は、特に、第1と第2の発明の取出口は容器内から排出通路に向かって通路断面を小さく形成したとにより、固形物がスクレーパによりストレーナから剥離して排出通路へスムーズに移動するので、取出口が大きい、または硬い固形物により削られることを防止できる。
【0020】
第7の発明は、特に、第1と第2の発明の排出通路の下流側には回転軸が駆動する時以外は排出通路下流側の通路を閉口する遮断弁を設けたことにより、回転軸が停止時に入口から液体が流入しても、遮断弁と液体との間に存在する空気による通路抵抗により、液体
が排出通路から外側へ排水されことを防止できる。
【0021】
第8の発明は、特に、第1と第2の発明の水位検知手段が、水位が排出通路近傍まで上昇して設定値を超えた場合、回転軸を停止し、かつ遮断弁を閉口することにより、回転軸が駆動中に入口から大量の固液が流入しても、遮断弁と液体との間に存在する空気による通路抵抗により、液体が排出通路から外側へ排水されことを防止できる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図1〜図4を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態1における固液分離装置の構成図、図2は固液分離装置のA−A断面図、図3はストレーナの構成図、図4は固液分離装置の要部斜視図をそれぞれ示すものである。
【0024】
図1〜図4において、21はギヤドモータからなる駆動部22に連結した六角柱の回転軸であり、水平に設けている。23は平板状の円形のリング体(例えばステンレスで板厚1mm)であり、外形に略半円形状の切込み24を適宜角度間隔(例えば60°均等)で6つ形成している。25はリング体23の内形に、かつ切込み24の底部近傍に設けた接合部であり、リング体23の内側から略中心(回転軸21)へ向かって3ヶ所形成した突出部26と、突出部26の側面を略垂直方向へ段押し(例えば0.5mm)形成した円筒状の間隙設定部27と、間隙設定部27の先端に開口した連通口28とからなる。29はリング体23の内形を、かつ切込み24の底部近傍を略中心へ向かって拡げた補強部である。30は円筒状のストレーナであり、間隙設定部27を同一方向に整列した円形リング体23を接合部25が重なるように、かつ切込み24が連続して(切込み24の周方向の位置を合わせて)切込み部31(周方向の複数ヶ所に回転軸21方向に伸びる窪み)を形成するように積層して構成している。そして、連通口28には固定棒32を挿入し、固定棒32の両端には固定手段33(ねじやEリングなど)を取り付けている。また、34は一部の円形リング体23の突出部26を回転軸21へ伸ばした平板状の連結部であり、複数の連結部34が集合したところに六角穴の連結口35が開口され、かつ六角柱の回転軸21が連結口35に挿入されている。
【0025】
36はストレーナ30の各間隙に外側から内側へ先端が突出し円形リング体23に付着する固形物を掻き取る略三角形形状のスクレーパであり、スペーサ37により間隙の位置決めをしている。38は回転軸21を中心とした略円筒状の空間を形成し、ストレーナ30を回転自在になるように内蔵した容器である。39はスクレーパ36に対してストレーナ30回転方向上流側の容器38周面に開口した取出口である。40はスクレーパ36とスペーサ37と上部端面からなる排出案内部である。取出口39の幅は容器38筒方向の長さと、容器38内面と排出案内部40との間隙(高さ)は切込み24の深さと同等の寸法である。
【0026】
41は排出通路であり、金属板の両横を下へ折り曲げて逆凹状部材42を形成し、逆凹状部材42の折り曲げた両側面端部と排出案内部40とを接続して構成している。なお、取出口39は容器38内から排出通路41に向かって通路断面を小さく形成され、また逆凹状部材42は容器38に肉厚分埋め込まれている。43は排出通路41の下流側には駆動部22が駆動する時以外は遮断する遮断弁であり、ソレノイドまたは電動モータからの弁駆動部44により開閉される。45は回転軸21より上方のストレーナ30の間隙に、かつ上方へ回転する切込み24(切込み部31)に臨むように容器38周面に開口した入口であり、破砕機(図示せず)が生ごみを破砕し、水道水と混合させて形成した固液が流入する。46は破砕機と入口45をつなぐ導入管であり、入口45近傍では水平に配管し
ている。47はストレーナ30内の最も下の位置に、容器38端面に開口しストレーナ30の間隙を通過した液体を排水する出口である。水位検知手段(図示せず)は、容器38内の水位を検知する。制御部(図示せず)は、駆動部22と破砕機を制御する。
【0027】
以上のように構成された固液分離装置において、その動作を説明する。
【0028】
まず生ごみが破砕機に投入され、かつ水道水が流し込まれると、制御部が破砕機と駆動部22及び弁駆動部44の駆動を開始する。破砕機が生ごみを破砕し、水道水と混合させて形成した固液が導入管46を通り、入口45から容器38に流入する。同時に、駆動部22の動力が回転軸21を回転させ、接合部25と連結部27とを介してストレーナ30を回転させる。さらに、弁駆動部44の動力が遮断弁43を引き上げて開口する。そして、容器38に流入した固液は、直ちにストレーナ30の間隙に向かって流れ、ストレーナ30の回転により入口45に切込み部31が臨むと、固液は略半円形状の切込み24底部に落ち込むように切込み部31に入り込む。続いて、切込み部31に入った固形物はストレーナ30の回転に伴い移動する際、切込み部31が上方へ回転する(切込み24の開放側が底部より上方に位置する)ので、切込み部31に入った固形物は固形物の自重により切込みから落下することがない。この結果、固形物は、再び液体内に分散し、細かい固形物は液体に溶けることがないので、排水の水質改善が図れる。また、固形物に付着した液体(水道水や生ごみの汁等)が自重によりストレーナ30の間隙を通過して出口47から排水される。他方、容器38に流入した固液内の大部分液体は直ちにストレーナ30の間隙を通過して出口47から排水される。
【0029】
次に、ストレーナ30の回転に伴い移動しスクレーパ36へ運ばれた固形物はスクレーパ36により切込み部31から剥離して排出通路41へ移動する。その際に、取出口39は容器38内から排出通路41に向かって通路断面を順次小さく形成したことにより、固形物は徐々に絞られながら排出通路41へスムーズに移動する、すなわち、固形物が取出口39に衝突しないので、取出口39が大きい、または硬い固形物(例えば、骨、貝殻)により削られることを防止できる。
【0030】
続いて、排出通路41を通過する固形物は、固形物自身の粘性と排出通路41の濡れ縁が長い分、通路抵抗が大きいので、固形物が排出通路41を通過する速度が遅い。したがって、ストレーナ30から剥離して排出通路41へ移動してきた新たな固形物は先の固形物に邪魔されるので、排出通路41内に充満した後に排出する。そして、さらに後続のストレーナ30から剥離して排出通路41へ移動しようとする固形物は、排出通路41内に充満している先発の固形物の通路抵抗により排出通路41の手前の容器38内で圧縮、脱水する。この脱水された液体はスクレーパ36の間隙を通過し容器38に戻る。その後、脱水された固形物は排出通路41から排出される。特に、排出通路41は逆凹状部材42の両側面端部と排出案内部40とを接続して形成しているので、逆凹状部材42の上面と排出案内部40との間隙が設定値に確保できる。この結果、固液分離装置毎における排出通路41の通路抵抗が一定になるので、回収された固形物の回収率と含水率が安定し、排水の水質を改善する。
【0031】
また、固形物がスクレーパ36によりストレーナ30から剥離して排出通路41へ移動する際に、排出通路41の取出口39側端面は容器38に埋め込まれているので、固形物が取出口39と排出通路41との接合部に入り込むことを防止できる。
【0032】
通常動作として、破砕機が生ごみを破砕し、水道水と混合させて固液を形成し導入管46へ全て排出すると、制御部が直ちに破砕機の駆動を停止し、その後(例えば、固液分離が終了した15秒後)駆動部22の駆動を停止する。そして、制御部が弁駆動部44の駆動を反転させて遮断弁43を容器38の内面に接触しながら排出案内部40まで引き下げ
て閉口する。そこに、シンクに水だけが排出された場合、水が破砕機を通過して入口45から容器38に流入し、水は排出通路41と出口47から排水しようとするが、その前に水は容器38内の空気を排出通路41から排気しなければならない。例え空気が水に押されて排出通路41内の固形物を排出しても、閉口している遮断弁43と水との間に空気が存在するので、水道水は出口47からは排水するが、排出通路41から外へ排水されることを防止し、大量排水にも対応できる。
【0033】
また、水位検知手段が、容器38内の水位が排出通路41近傍まで上昇したことを示す設定値を超えたことを検知した場合、制御部が駆動部22(回転軸21)を停止し、かつ弁駆動部44の駆動を反転させて遮断弁43を引き下げて閉口することにより、入口45から大量の固液が流入しても、または出口47下流の配管が詰り排水性能が悪化しても、閉口した遮断弁43と固液との間に空気が存在するので、液体が排出通路41から外へ排水されことを防止できる。
【0034】
なお、切込み24はリング体23に一つ以上必要である。また、水位検知手段の替りに水量センサでも、容器38内の水位が排出通路41近傍まで上昇したことが推測できる。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について、図5、図6を用いて説明する。図5は本発明の実施の形態2における固液分離装置の構成図、図6は固液分離装置の要部斜視図をそれぞれ示すものである。
【0036】
以下、実施の形態1と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
実施の形態1と異なるところは、四角筒状部材48から構成した排出通路49を内側から外側に向かって通路断面を順次大きくなるように形成し、かつ四角筒状部材48の上面と両側面を取出口39側の容器38に、四角筒状部材48の底面を排出案内部40にそれぞれ肉厚分埋め込んだ点である。また、切込み50は円形リング体23の外形に回転方向上流側に深く切込んでいる。
【0038】
そして、固形物がスクレーパ36によりストレーナ30から剥離して排出通路49へ移動する際に、固形物自身の粘性と排出通路49の濡れ縁が長い分、通路抵抗が大きいので、排出通路49の手前の容器38や内取出口48で圧縮して脱水する。特に、排出通路49は筒状部材から構成したので排出通路49の通路断面形状が設定値に確保できる。この結果、固液分離装置毎における排出通路49の通路抵抗が一定になるので、回収された固形物の回収率と含水率が安定する。
【0039】
また、排出通路49を通過する固形物は排出通路49を通過する速度が順次遅くなるので、固形物は排出通路49を通過するに伴い圧縮していく。しかし、排出通路49は外に向かって通路断面を順次大きく形成している、すなわち通路抵抗が順次減少するので、固形物が排出通路49で詰まることを防止できる。
【0040】
他方、破砕機が生ごみを破砕し、水道水と混合させて固液を形成し導入管46へ排出すると、制御部が弁駆動部44の駆動を反転させて遮断弁43を四角筒状部材48の底面まで引き下げて閉口する。多数のスクレーパ36と多数のスペーサ37との上部端面からなる排出案内部40は凸凹しているが、四角筒状部材48の底面は平滑なので、実施の形態1に比べて遮断弁43の閉口性能は向上する。なお、排出案内部40と四角筒状部材48の底面との接合は、接触面積が広いので、機密性は高い。この結果、排出案内部40と四角筒状部材48の底面との接合からの排水漏れが防止できる。
【0041】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について、図7を用いて説明する。図7は固液分離装置の要部斜視図を示すものである。
【0042】
以下、実施の形態2と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
実施の形態2と異なるところは、四角筒状部材から構成した排出通路50の天上面を内側に突出するように形成した凸部51を設けた点である。
【0044】
そして、貝殻や骨等の硬い、または大きな固形物が排出通路50を通過しても、凸部51が硬いまたは大きな固形物により上方へ変形して通路断面積は実施の形態2より大きくなり、通路抵抗を減少させるので、硬いまたは大きな固形物が排出通路50で詰まることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように本発明の固液分離装置は、安定した固形物の回収と大量排水にも対応でき、排水の水質も改善することができるので、家庭用だけでなく規模の大きい業務用の生ごみ処理用固液分離装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1における固液分離装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における固液分離装置のA−A断面図
【図3】本発明の実施の形態1におけるストレーナの構成図
【図4】本発明の実施の形態1における固液分離装置の要部斜視図
【図5】本発明の実施の形態2における固液分離装置の構成図
【図6】本発明の実施の形態2における固液分離装置の要部斜視図
【図7】本発明の実施の形態3における固液分離装置の要部斜視図
【図8】従来のストレーナとそれを搭載した固液分離装の構成図
【符号の説明】
【0047】
21 回転軸
23 リング体
30 ストレーナ
36 スクレーパ
38 容器
39 取出口
40 排出案内部
41、49、50 排出通路
42 逆凹状部材
43 遮断弁
45 入口
47 出口
48 筒状部材
51 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のリング体を間隙を有して積層した円筒状のストレーナと、回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成し前記ストレーナを回転自在になるように内蔵した容器と、前記容器に開口した固液を流入する入口と、前記容器の端面に開口した前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する出口と、先端が前記ストレーナの各間隙に外側から進入し前記ストレーナに付着する固形物を掻き取るスクレーパと、前記スクレーパに対して前記ストレーナの回転方向上流側の前記容器の内周面に開口した取出口と、前記取出口に接続した前記固形物を外へ導く排出案内部を備え、逆凹状部材の両側面端部と排出案内部とを接続して排出通路を形成した固液分離装置。
【請求項2】
平板状のリング体を間隙を有して積層した円筒状のストレーナと、回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成し前記ストレーナを回転自在になるように内蔵した容器と、前記容器に開口した固液を流入する入口と、前記容器の端面に開口した前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する出口と、先端が前記ストレーナの各間隙に外側から進入し前記ストレーナに付着する固形物を掻き取るスクレーパと、前記スクレーパに対して前記ストレーナの回転方向上流側の前記容器の内周面に開口した取出口を備え、前記取出口に接続した排出通路を筒状部材から構成した固液分離装置。
【請求項3】
排出通路の取出口側端面は容器に埋め込まれている請求項1と2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
排出通路は外側に向かって通路断面を順次大きくなるように形成した請求項1と2に記載の固液分離装置。
【請求項5】
排出通路の天井面は排出通路の内側に突出する凸部を形成した請求項1と2に記載の固液分離装置。
【請求項6】
取出口は容器内から排出通路に向かって通路断面を小さく形成した請求項1と2に記載の固液分離装置。
【請求項7】
排出通路の下流側には回転軸が駆動する時以外は排出通路下流側の通路を閉口する遮断弁を設けた請求項1と2に記載の固液分離装置。
【請求項8】
水位検知手段が、水位が排出通路近傍まで上昇して設定値を超えた場合、回転軸を停止し、かつ遮断弁を閉口する請求項7に記載の固液分離装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate