説明

固相酵素免疫測定法用化学発光試薬及び化学発光試薬キット

【課題】酵素結合リガンド量が多い場合であっても、基質が供給不足にならず、化学発光量が低下することがないため、広範囲の酵素結合リガンドの量を測定することができる化学発光試薬を提供する。
【解決手段】免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなる固相酵素免疫測定法用化学発光試薬であり、免疫複合体解離剤(a)が、固相上に形成された免疫複合体から免疫複合体中に含まれる酵素結合リガンドを、酵素活性の比として5〜90%を解離させ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)の有機酸塩(a1)及び/又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)の有機酸塩(a2)からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相酵素免疫測定法用化学発光試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酵素結合リガンド含有検体中に、化学発光物質、化学発光増強剤及び酸化剤からなる試薬成分を配合して、化学発光の強さにより検体中の酵素結合リガンドを測定するための固相酵素免疫測定法用化学発光試薬が知られている(非特許文献1)。
【非特許文献1】METHODS IN ENZYMOLOGY,VOL.133[Academic Press,Inc.,1986],p331〜353
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の化学発光試薬では、固相上に形成される免疫複合体中の酵素結合リガンドが多い場合、固相に接している化学発光物質が急激に酵素反応により消費され、反応により生じる化学発光量は短時間に増加する反面、急激に低下する(基質となる新たな化学発光物質が酵素反応の場に供給されない)ため、広範囲の酵素結合リガンド量を測定する必要のある臨床検査薬への適用が困難であるという問題がある。また、この問題を低減する方策として、反応及び化学発光量の計測を撹拌しながら行うことも挙げられるが、測定装置が複雑になる等、装置上の制約などの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の固相酵素免疫測定法用化学発光試薬は、免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなることを特徴とする固相酵素免疫測定法用化学発光試薬;この化学発光試薬と、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液とを含んでなることを特徴とする固相酵素免疫測定法用化学発光試薬キット;並びに、この化学発光試薬を使用することを特徴とする固相酵素免疫測定法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の化学発光試薬は、酵素結合リガンド量が多い場合であっても、基質が供給不足にならず、化学発光量が低下することがないため、広範囲の酵素結合リガンドの量を測定することができる。従って、本発明の化学発光試薬を適用することにより、酵素結合リガンドを用いた固相酵素免疫測定を臨床検査薬へ適用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
免疫複合体解離剤(a)は、固相酵素免疫測定法により固相表面上に形成される免疫複合体から酵素結合リガンドを解離する作用を有し、化学発光反応を阻害しないものであれば制限がない。
なお、固相酵素免疫測定法により固相表面上に形成される免疫複合体とは、少なくとも1種類の酵素結合リガンド(例えば酵素結合抗体)と、リガンドが認識する物質(例えば抗原)とが、結合して形成される複合体を意味する。
【0007】
免疫複合体解離剤(a)のうち、測定レンジ拡大の観点から、固相上に形成された免疫複合体から、免疫複合体中に含まれる酵素結合リガンドを、酵素活性の比として5〜90%を解離させるものが好ましく、さらに好ましくは7〜85%、特に好ましくは10〜80%である。酵素活性の比は、解離前の固相上の免疫複合体中に含まれる酵素結合リガンドの酵素活性と解離した酵素結合リガンドの酵素活性との比である。
酵素活性の比は、例えば次の方法で測定される。免疫複合体が形成された固相を免疫複合体解離剤(a)を含む化学発光試薬に浸漬した後、化学発光試薬と固相を分離し、それぞれについて酵素活性を測定する。化学発光試薬中の酵素活性をX、固相中の酵素活性をYとすると、解離した酵素結合リガンドの酵素活性の比(%)は、X/(X+Y)×100で求められる。なお、この場合の浸漬条件(浸漬時間、温度等)は、本発明による化学発光試薬を固相酵素免疫測定法に適用する条件に合わせて設定する。酵素活性の測定法は、用いる酵素により適宜設定することができるが、酵素結合リガンドの存在様式(遊離状態と固相に結合した状態等)により活性に差がない測定法であることが必要である。
【0008】
免疫複合体解離剤(a)としては、タンパク質変性剤、界面活性剤及び下記一般式(1)で表される2環式ジアミン(有機酸塩)からなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれる。これらは2種以上を併用してもよい。
一般式(1)で表される2環式ジアミン(有機酸塩)とは、一般式(1)で表される2環式ジアミン及び/又は該ジアミンの有機酸塩を意味する。
【0009】
【化1】

【0010】
タンパク質変性剤としては、グアニジル基を有する物質であるアルギニン、プロタミン、グアニジン塩(グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン硫酸塩及びグアニジン炭酸塩等)から選ばれる1種以上の物質及び水溶性アミド{尿素及びアセトアミド等}が使用できる。これらは2種以上を併用してもよい。これらのうち、測定レンジ拡大の観点から、グアニジン塩が好ましく、さらに好ましいのは、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、特に好ましいのはグアニジン塩酸塩である。
【0011】
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤(臭化トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ベンズアルコニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド及びセチルトリメチルアンモニウムクロリド等)、アニオン界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンラウリル硫酸、ジエタノールアミンラウリル硫酸、セチル硫酸ナトリウム、スルホニル琥珀酸ジオクチルナトリウム、スルホニル琥珀酸ジスコリウムモノココアミド、イソステアリル−2−ラクトイル酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム及びココイルイセチオン酸ナトリウム等)、両性界面活性剤{CHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート)、ポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、ラウリン酸アミドプロピルベタイン及び3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート等}、及び非イオン界面活性剤[高級アルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドは以下EOと略記)付加物、脂肪酸EO付加物、脂肪酸アミドEO付加物、ソルビタン脂肪酸エステルEO付加物、ポリプロピレングリコールEO付加物等]が含まれ、公知(特開平8−261943号公報等に記載)の界面活性剤が使用できる。これらは2種以上を併用してもよい。
これらのうち、測定レンジ拡大の観点から、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤が好ましく、さらに好ましいのは非イオン界面活性剤、よりさらに好ましいのは、高級アルコールEO付加物、脂肪酸EO付加物、脂肪酸アミドEO付加物、ソルビタン脂肪酸エステルEO付加物及びポリプロピレングリコールEO付加物、とくに好ましいのはソルビタン脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、最も好ましいのはソルビタンオレイン酸モノエステルEO付加物である。
【0012】
一般式(1)において、R1及びR2は、互いに独立して水素原子、炭素数(以下Cと略記)1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、C2〜20のアルキニル、C6〜20の(アルキル)アリール、C7〜20のアリールアルキル基を表し、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアリールアルキル基中の水素原子の一部又は全部が水酸基、アミノ基、(ジ)アルキル(C1〜16)アミノ基、(ジ)ヒドロキシアルキル(C2〜4)アミノ基、メルカプト基又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)によってさらに置換されていてもよい。また2つのR1及び2つのR2は、同一であってもよいし異なっていてもよく、互いに結合(炭素−炭素結合、エーテル結合等)してC4〜16の環を形成してもよい。m及びnは互いに独立して1〜12の整数を表す。
【0013】
C1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−へキシル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、sec−トリデシル、オクタデシル、イソオクダデシル及びエイコシル基等が挙げられる。
【0014】
C2〜20のアルケニル基としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−又は2−ドデシニル、1−又は2−トリデシニル、1−又は2−テトラデシニル、1−又は2−ヘキサデシニル、1−又は2−ステアリニル及び1−又は2−ノナデシニル、1−又は2−エイコシニル基等が挙げられる。
【0015】
C6〜20の(アルキル)アリール基としては、フェニル、ノニルフェニル、3,5−ジノニルフェニル、オクチルフェニル、ナフチル及び6−ブチルナフチル基等が挙げられる。
【0016】
C7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、7−フェニルヘプチル、8−フェニルオクチル、10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、ナフチルメチル及びナフチルエチル基等が挙げられる。
【0017】
2つのR1又は2つのR2が互いに結合してC4〜16の環を形成する場合、2つのR1又は2つのR2は、2価の有機基を形成する。
2価の有機基としては、C4〜16のアルキレン、C4〜16のアルケニレン、C4〜16のアリーレン基等が挙げられる。
【0018】
一般式(1)で表されるアミンの具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(以下、DBUと略記する。:DBUはサンアプロ(株)の登録商標である。)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(以下、DBNと略記する:DBNはサンアプロ(株)の登録商標である。)、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、6−ジメチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−(2−ヒドロキシエチル)−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、6−(2−ヒドロキシプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、7−(2−ヒドロキシエチル)−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、7−(2−ヒドロキシプロピル)−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、6−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等が挙げられる。
【0019】
上記アミンの有機酸塩としては、フェノール塩、C4〜18のアルキル酸塩(オクチル酸塩、オレイン酸塩等)、芳香族スルホン酸塩(ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)、ギ酸塩及び芳香族カルボン酸塩(フタル酸塩等)等が挙げられる。
【0020】
これらは2種以上を併用してもよい。
【0021】
一般式(1)で表される2環式ジアミン(有機酸塩)のうち、測定レンジ拡大の観点から、DBU、DBUの有機酸塩(a1)、DBN、及びDBNの有機酸塩(a2)が好ましく、さらに好ましいのはDBU−フェノール塩(a11)、DBU−オクチル酸塩(a12)、DBU−オレイン酸塩(a13)、DBU−p−トルエンスルホン酸塩(a14)、DBU−ギ酸塩(a15)、DBU−フタル酸塩(a16)、DBN−フェノール塩(a21)、DBN−オクチル酸塩(a22)、DBN−オレイン酸塩(a23)、DBN−p−トルエンスルホン酸塩(a24)、DBN−ギ酸塩(a25)及びDBN−フタル酸塩(a26)、とくに好ましいのは(a11)、(a12)、(a13)、(a14)及び(a15)、最も好ましいのは(a14)及び(a15)である。
【0022】
酸化剤(b)としては、例えば、特開平8−261943号公報及び特開2000−279196号公報に記載の酸化剤の水溶液{無機の過酸化物(過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム等)、有機過酸化物(過酸化ジアルキル、過酸化アシル等)、ペルオクソ酸化合物(ペルオクソ硫酸、ペルオクソリン酸等)等の水溶液等}が挙げられる。これらのうち、保存安定性等の観点から、過酸化水素水溶液、過ホウ酸ナトリウム水溶液及び過ホウ酸カリウム水溶液が好ましく、さらに好ましくは過酸化水素水溶液である。
【0023】
免疫複合体解離剤(a)の含有量(mM。化学発光試薬を基準とする。25℃)は、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、0.02〜3,000が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2,500、特に好ましくは1〜2,000である。
免疫複合体解離剤(a)がタンパク変性剤であるときの含有量(mM。化学発光試薬を基準とする。25℃)は、200〜3,000が好ましく、さらに好ましくは400〜2,500、特に好ましくは500〜2,000である。また、(a)が界面活性剤であるときの含有量(mM。化学発光試薬を基準とする。25℃)は、0.02〜40が好ましく、さらに好ましくは0.1〜20、特に好ましくは1〜10である。さらに、(a)が有機酸塩であるときの含有量(mM。化学発光試薬を基準とする。25℃)は、10〜2,000が好ましく、さらに好ましくは25〜1,000、特に好ましくは50〜500である。
【0024】
本発明の免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなる固相酵素免疫測定法用化学発光試薬中の酸化剤(b)の濃度(mM)は、その種類及び適用する測定方法や測定条件等によって適宜設定されるが、化学発光増強効果等の観点から、0.5〜250が好ましく、さらに好ましくは1〜100、特に好ましくは2.5〜40である。
これらの範囲であると、さらに広範囲の酵素結合リガンドの濃度を測定できる。
【0025】
本発明の免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなる化学発光試薬には、免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)以外に、緩衝液等を含ませることができる。
【0026】
緩衝液としては、公知[たとえば、「緩衝液の選択と応用−水素イオン・金属イオン」(講談社,1981年発行)に記載]の緩衝液等が使用できる。これらのうち、保存安定性の観点から、グリシン/塩酸緩衝液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、クエン酸/リン酸緩衝液及びクエン酸/水酸化ナトリウム緩衝液が好ましく、さらに好ましいのはクエン酸/リン酸緩衝液及びクエン酸/水酸化ナトリウム緩衝液、特に好ましいのはクエン酸/水酸化ナトリウム緩衝液である。
緩衝液中の緩衝剤の含有量(mM。25℃)は、保存安定性等の観点から、1〜500が好ましく、さらに好ましくは5〜100、特に好ましくは10〜50である。
【0027】
本発明の化学発光試薬の形態としては、液体であることが好ましい。
本発明の化学発光試薬は、安定性の観点から、酸性であることが好ましく、さらに好ましくはpHが2.5〜4.5であること、特に好ましくはpHが3.0〜4.0であることである。
なお、pHは、JIS K0400−12−10:2000に準拠して測定される(測定温度25℃)。
【0028】
本発明の化学発光試薬は、免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を均一混合することにより容易に得られる
【0029】
本発明の化学発光試薬は、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液と組み合わせて、試薬キットとすることが好適である。
【0030】
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)としては、固相酵素免疫測定法に使用される酵素に対応して公知の物質を組み合わせて選択できる。
化学発光物質(c)としては、例えば「生物発光と化学発光−基礎と実験−」(廣川書店,昭和64年発行)に記載の2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物、1,2−ジオキセタン化合物、アクリジン化合物、インドール化合物等が含まれる。化学発光物質(c)のうち、測定感度及び溶液状態での保存安定性の観点から、好ましいのは2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物(酵素がペルオキシダーゼの場合){ルミノール、イソルミノール、N−アミノヘキシル−N−エチルイソルミノール(AHEI)及びこれらの金属(アルカリ金属等)塩等}及び1,2−ジオキセタン化合物(酵素がアルカリフォスファターゼの場合){3−ガラクトシドキシフェニルジオキセタン、4−メトキシ−4−(3−フォスフェートフェニル)スピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−アダマンタン]等}、さらに好ましくは2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物、特に好ましいのはルミノール及びルミノールの金属塩、最も好ましいのはルミノールのナトリウム塩である。
【0031】
化学発光増強剤(d)としては、化学発光物質(c)の種類に対応して選択され、例えば、化学発光物質(c)がルミノール又はルミノールの金属塩の場合、特開昭59−500252号、特開昭59−171839号、特開平7−143899号又は特開平4−293498号の各公報に記載された化合物[チアゾール化合物{6−ヒドロキシベンゾチアゾール、4−[2’−(4’−メチル)チアゾリル]フェノール、4−[4’−(2’−メチル)チアゾリル]フェノール等}、ナフトール化合物、フェノール化合物{4−シアノメチルチオ−2−クロロフェノール、4−(シアノメチルチオ)フェノール、4−(2’−チエニル)フェノール、p−ヨードフェノール等}〕が挙げられ、また、(c)が1,2−ジオキセタン化合物の場合、特開平3−53897号又は特開平4−124185号の各公報記載の化合物〔重合性4級アンムニウム塩{ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ{ビニルベンジル(ベンジルジメチルアンモニウムクロリド)}等〕が挙げられる。特に(c)が4−メトキシ−4−(3−フォスフェートフェニル)スピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−アダマンタン]の場合、蛍光ミセル(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミドと5−N−テトラデカノイル−アミノフルオレセインで形成したミセル)等が挙げられる。
これらのうち、化学発光増強効果の観点から、チアゾール化合物、フェノール化合物が好ましく、さらに好ましいのはフェノール化合物、次にさらに好ましいのはp−ヨードフェノール、4−(シアノメチルチオ)フェノール及び4−シアノメチルチオ−2−クロロフェノールである。
【0032】
化学発光物質(c)の含有量(mM:ミリモル/リットル。 化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液を基準とする。25℃)は、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、0.5〜80が好ましく、さらに好ましくは1.8〜40、特に好ましくは3.5〜21である。
化学発光増強剤(d)の含有量(mM。化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液を基準とする。25℃)は、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、0.1〜15が好ましく、さらに好ましくは0.3〜7.0、特に好ましくは0.6〜3.4である。
【0033】
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液には、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)以外に、緩衝液、キレート剤等を含ませることができる。
【0034】
緩衝液としては、公知(たとえば、特開平10−319015号公報又は特開2003−279489号公報)の緩衝液等が使用できる。これらのうち、化学発光増強効果及び保存安定性の観点から、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液、2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・1水和物/水酸化ナトリウム緩衝液及びピペラジニル−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)・2水和物/水酸化ナトリウム緩衝液が好ましく、さらに好ましいのは3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液及び2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・1水和物/水酸化ナトリウム緩衝液、特に好ましいのは3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液である。
緩衝液中の緩衝剤の含有量(mM。25℃)は、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、1〜500が好ましく、さらに好ましくは5〜300、特に好ましくは10〜200である。
【0035】
キレート剤としては、公知(たとえば、特開平9−75099号公報又は特開2003−279489号公報)のキレート剤が使用できる。これらのうち、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、4配位キレート剤が好ましく、さらに好ましいのはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びこの塩(ナトリウム、カリウム等)、並びにトランス−1,2ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CyDTA)、特に好ましいのはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びこのナトリウム塩である。
【0036】
キレート剤を含有する場合、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液中のキレート剤含有量(mM)は、0.2〜5.0が好ましく、さらに好ましくは0.4〜2.5、特に好ましくは0.7〜1.3である。この範囲であると、化学発光増強効果及び保存安定性がさらに良好となる。
【0037】
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液の形態としては、液体であることが好ましい。
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液は、酵素の蛍光強度の観点から、アルカリ性であることが好ましく、さらに好ましくはpHが7〜11であること、特に好ましくはpHが8〜10であることである。
なお、pHは、JIS K0400−12−10:2000に準拠して測定される(測定温度25℃)。
【0038】
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液は、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)、並びに必要に応じて緩衝液、キレート剤を均一混合することにより容易に得られる。
【0039】
本発明の化学発光試薬及び化学発光試薬キットは、固相酵素免疫測定法に使用されるものである。固相酵素免疫測定法としては、例えば、「生物発光と化学発光−基礎と実験−」(廣川書店,昭和64年発行)に記載の化学発光酵素免疫測定法等が挙げられる。又、酵素結合リガンドは、酵素とリガンドを結合したもので、従来免疫測定法で使用されるものが使用できる。酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ等が挙げられる。これらのうち、取り扱いの容易さ等の観点から、ペルオキシダーゼが好ましい。
リガンドとしては、例えば「免疫化学的同定法(第3版)」(1993,東京化学同人)に記載の抗原に対する抗体や、MSRS catalog[Manufacturers' Specification & Reference Synopsis catalog Primary Antibodies(ISBN No.0-9643268-3-3, 1995, Aerie Corporation)]に記載の抗体や、特開2001−264332号公報に記載の特異的結合物質等が挙げられる。これらのうち、特異的結合の観点から、抗体が好ましく、さらに好ましいのは癌マーカー(CEA、AFP、PSA、CA19−9及びCA125等)に対する抗体、高分子ホルモン(甲状腺刺激ホルモン、インシュリン及びプロラクチン等)に対する抗体、血清蛋白(β2−ミクログロブリン、フェリチン及びCRP等)に対する抗体、及びウイルス及びウイルス関連抗原(HBV、HCV、HIV、HBs抗原及びHBe抗原等)に対する抗体である。なお、これらの抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体又はこれらの混合のいずれであってもよい。モノクローナル抗体の場合、測定対象物に対する認識部位の異なる複数の抗体を組み合わせて使用することが好ましい。さらに、抗体は、抗体の分解物であるF(ab’)2、Fab’、Fab等であってもよい。酵素とリガンドの結合は、従来公知の方法、例えばImmunochemistry 6, 43-52 (1969)、Immunochemistry 6, 53-66 (1969)、Immobilised Affinity Ligand Techniques, Academic Press (1992)、Bioconjugate Techniques, Academic Press (1996)、又はAnal. Lett. 18(B9), 1143-1155 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 5374-5378 (1987)に記載された方法等が適用できる。
【0040】
本発明の化学発光試薬キットにおいて、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなる溶液と、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液との合計量を基準として、免疫複合体解離剤(a)の含有量(mM;25℃)は、0.01〜1,500が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1,250、次にさらに好ましくは0.5〜1,000である。
【0041】
本発明の化学発光試薬キットにおいて、免疫複合体解離剤(a)は、免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなる溶液に含有されることが好ましいが、必要により、一部を化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液に含有させてもよいし、免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなる溶液と、化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液以外の、別の試薬として化学発光試薬キットに含ませてもよい。
【0042】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
1)第1液の調製
過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99gを秤量し1,000mlメスフラスコに仕込み、溶液量を1,000mlとなるように精製水を加え、25℃で均一混合して第1液を調製した。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a11)10mM、(b1)5mM。)
2)第2液の調製
PSA測定用臨床検査薬{三洋化成工業(株)製、商品名:スフィアライトPSA}の基質液[ルミノール含有溶液]を第2液としてそのまま使用した。
3)第3液の調製
PSA測定用臨床検査薬{三洋化成工業(株)製、商品名:スフィアライトPSA}の免疫反応用緩衝液[アジ化ナトリウム0.09%含有リン酸緩衝液]を第3液としてそのまま使用した。
4)抗PSAモノクローナル抗体(マウス)結合ビーズの調製
PSA測定用臨床検査薬{三洋化成工業(株)製、商品名:スフィアライトPSA}の抗ヒトPSAモノクローナル抗体(マウス)結合ビーズ[1/8インチガラスビーズ1個あたりに、抗ヒトPSAモノクローナル抗体(マウス)を1.0U/個結合させたもの。}をそのまま使用した。
5)酵素標識抗体液の調製
PSA測定用臨床検査薬{三洋化成工業(株)製、商品名:スフィアライトPSA}のペルオキシダーゼ標識抗PSAモノクローナル抗体(マウス){標識抗体0.17μg/mL含有リン酸緩衝液}をそのまま使用した。
これら第1液、第2液、第3液、抗PSAモノクローナル抗体(マウス)結合ビーズ及び酵素標識抗体液を使用してペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(1)を得た{第1液、第2液、第3液、抗PSAモノクローナル抗体(マウス)結合ビーズ及び酵素標識抗体液から構成される}。
【0043】
次いで、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キットと全自動酵素免疫測定装置{スフィアライト180(オリンパス(株)製)}を用い、「PSA測定用臨床検査薬{三洋化成工業(株)製、商品名:スフィアライトPSA}添付文書記載の方法」(a.抗体ビーズ1個が入った反応層に検体40μL及び第3液100μLを加え、37℃、約7分間反応させる(第1反応)。b.B/F分離、洗浄を行なう。c.酵素標識抗体液140μLを加えて、37℃、7分間反応させる(第2反応)。d.B/F分離、洗浄を行なう。e.第1液70μL及び第2液70μLを加える(酵素反応)。f.発光量を測定する。)に準じて、複数濃度の標準PSA溶液(PSA濃度0、0.05、0.2、10、50、100、200、10000ng/mL)を測定した。得られた化学発光量(C)を、表1に示した。 なお、PSA濃度0ng/mLを用いた場合の発光量を、ブランクの発光量(D)とした。また、酵素活性を示す化学発光量(C)を、ブランクの発光量(D)で除した比(C/D)を測定感度とした。結果を表1に示す。
【0044】
6)解離溶液の調製
DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99gを秤量し1,000mlメスフラスコに仕込み、精製水を仕込んで25℃で均一混合して溶液量を1,000mlとし、DBU−フェノール塩溶液(X11)を調製した。
7)免疫複合体ビーズの作成
標準PSA溶液120μL(PSA濃度100ng/mL)と、第3液300μLとを混合し、測定用試料を調製した。この測定用試料420μLと、抗PSAモノクローナル抗体(マウス)結合ビーズ1個とを、試験管(12×75mm)内で1時間反応(37℃)させた。
引き続き、試験管内から反応液をアスピレーターで除去した後、生理食塩水3mLを加えてビーズを洗浄し、洗浄液をアスピレーターで除去して、反応ビーズを得た。
次に、酵素標識抗体液420μLを反応ビーズの入った試験管に加え、37℃、1時間反応させた。反応液をアスピレーターで除去し、生理食塩水3mLを加えビーズを洗浄し、洗浄液をアスピレーターで除去して、免疫複合体ビーズを得た。
【0045】
8)酵素活性の比の測定
(X11)200μLに免疫複合体ビーズ1個を加え、37℃、1時間反応させた。反応後液(X11a)及び反応後ビーズ(Y11b)をそれぞれ回収した。
(X11a)に後述する比較例で作成した第1液140μLと第2液140μLを加え、ルミネッセンスリーダー{アロカ(株)社製:BLR−210)}を用いて化学発光反応を開始した。化学発光反応の開始50秒後から2秒間の発光量(積算量)を計測し、この積算量を酵素活性を示す発光量とした。同様に(Y11b)を使用して発光量を計測した。以下のようにして酵素活性の比を算出した。結果を表1に示す。
酵素活性の比 = (X11a)の発光量/{(X11a)の発光量+(Y11b)の発光量}×100
【0046】
<実施例2>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−オクチル酸塩(a12){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 102}6.2g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(2)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a12)25mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(2)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表1に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−オクチル酸塩(a12)6.2g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表1に示す。
【0047】
<実施例3>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−オレイン酸塩(a13){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 106}13g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(3)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a13)50mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表1に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−オレイン酸塩(a13)13g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表1に示す。
【0048】
<実施例4>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−p−トルエンスルホン酸塩(a14){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 506}90g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(4)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a14)275mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(4)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表1に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−p−トルエンスルホン酸塩(a14)90g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表1に示す。
【0049】
<実施例5>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−ギ酸塩(a15){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 603}99g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(5)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a15)500mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(5)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表1に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−ギ酸塩(a15)99g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表1に示す。
【0050】
<実施例6>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フタル酸塩(a16){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 810}412g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(6)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a16)1000mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(6)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表1に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−フタル酸塩(a16)412g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表1に示す。
【0051】
<実施例7>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBN−オクチル酸塩(a22){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT 1102}536g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(7)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a22)2000mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(7)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBN−オクチル酸塩(a22)536g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表2に示す。
【0052】
<実施例8>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.056g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}19g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(8)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)200mM、(b1)0.5mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(8)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)19g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表2に示す。
【0053】
<実施例9>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.11g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}38g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(9)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)400mM、(b1)1.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(9)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)38g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表2に示す。
【0054】
<実施例10>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.34g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}48g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(10)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)500mM、(b1)2.5mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(10)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)48g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表2に示す。
【0055】
<実施例11>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}2.4g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}119g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(11)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)1250mM、(b1)21mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(11)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)119g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表2に示す。
【0056】
<実施例12>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}4.5g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}190g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(12)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)2000mM、(b1)40mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(12)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)190g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表2に示す。
【0057】
<実施例13>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}11g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}240g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(13)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)2500mM、(b1)100mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(13)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表3に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)240g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表3に示す。
【0058】
<実施例14>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}28g、グアニジン塩酸塩(a3){ナカライテスク(株)製、生化学研究用特製試薬}290g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(14)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a3)3000mM、(b1)250mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(14)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表3に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「グアニジン塩酸塩(a3)290g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表3に示す。
【0059】
<実施例15>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}0.030g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(15)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)0.02mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(15)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表3に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)0.030g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表3に示す。
【0060】
<実施例16>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}0.15g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(16)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)0.1mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(16)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表3に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)0.15g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表3に示す。
【0061】
<実施例17>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}1.5g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(17)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)1.0mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(17)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表3に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)0.15g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表3に示す。
【0062】
<実施例18>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}8.3g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(18)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)5.5mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(18)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表3に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)8.3g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表3に示す。
【0063】
<実施例19>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}15g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(19)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)10mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(19)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表4に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)15g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表4に示す。
【0064】
<実施例20>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}30g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(20)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)20mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(20)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表4に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)30g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表4に示す。
【0065】
<実施例21>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4){ナカライテスク(株)製、商品名:ツイン80}60g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(21)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a4)40mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(21)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表4に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(a4)60g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表4に示す。
【0066】
<実施例22>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−ギ酸塩(a15){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 603}24.8g、DBN−オクチル酸塩(a22){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT 1102}33.5g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(22)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a15)125mM、(a22)125mM、(b1)5.0mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(22)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表4に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−ギ酸塩(a15)24.8g、DBN−オクチル酸塩(a22)33.5g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表4に示す。
【0067】
<実施例23>
第1液の調製において「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−フェノール塩(a11){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 1}0.99g」を、「過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}0.56g、DBU−ギ酸塩(a15){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 603}25g」に変更し、
第2液の調製において「PSA測定用臨床検査薬{三洋化成工業(株)製、商品名:スフィアライトPSA}の基質液[ルミノール含有溶液]を第2液としてそのまま使用」する代わりに「ルミノールのナトリウム塩(c1){シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製}3.5g、4−(シアノメチルチオ)フェノール(d1)0.35g、DBU−ギ酸塩(a15){サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT SA 603}25gを秤量し1,000mlメスフラスコに仕込み、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液(10mM、pH8.6)を仕込んで25℃で均一混合して溶液量を1,000mlとした溶液を第2液として用いる」ことに変更した以外、実施例1と同様にして、ペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キット(23)を得た。(調整した第1液の各試薬の濃度は、(a15)125mM、(b1)5.0mM。調整した第2液の各試薬の濃度は、(a15)125mM、(c1)17.5mM、(d1)2.1mM。)
化学発光試薬キット(1)の代わりに、化学発光試薬キット(23)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表4に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「DBU−ギ酸塩(a15)50g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表4に示す。
【0068】
<比較例>
過酸化水素水(30%)(b1){和光純薬工業(株)製}5.0mM、を秤量し1,000mlメスフラスコに仕込み、溶液量を1,000mlとなるように精製水を加え、25℃で均一混合して、第1液を調製し、測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。実施例1における第1液をこの第1液に変更した以外、実施例1と同様にして、比較用のペルオキシターゼ測定用化学発光試薬キットを得た。
化学発光試薬キット(1)の代わりに、比較用の化学発光試薬キットを使用したこと以外は、実施例1と同様にして化学発光量(C)を測定し、同様にして測定感度を求めた。結果を表2に示す。
また、解離溶液の調製において「DBU−フェノール塩(a11)9.9g」を、「生理食塩水 9.9g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酵素活性の比を算出した。結果を表4に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
本発明の化学発光試薬は、比較用の化学発光試薬を用いた場合に比べて、標準PSA溶液が高濃度の場合でも、発光量の低下がなく測定範囲が大幅に広がった。特に実施例4及び5において、極めて広い測定範囲を示した。実施例4及び5と比較例を比較すると、比較例の場合、100ng/mL以上のPSA濃度では、ほぼ同等の化学発光量であり、検量できない。すなわち比較例では、測定可能範囲はPSA濃度が0〜約100ng/mLの範囲となる。一方、実施例4及び5の場合では、100〜10,000ng/mLのPSA濃度の値に対しても、それぞれ異なる化学発光量となっている。すなわち実施例4及び5では、比較例よりも広い測定範囲となる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の化学発光試薬は、酵素結合リガンド量が多い場合であっても、基質が供給不足にならず、化学発光量が低下することがないため、広範囲の酵素結合リガンドの量を測定することができる。従って、本発明の化学発光試薬を適用することにより、酵素結合リガンドを用いた固相酵素免疫測定を臨床検査薬へ適用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例4及び5と比較例のPSA濃度と化学発光量との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫複合体解離剤(a)及び酸化剤(b)を含んでなることを特徴とする固相酵素免疫測定法用化学発光試薬。
【請求項2】
免疫複合体解離剤(a)が、固相上に形成された免疫複合体から免疫複合体中に含まれる酵素結合リガンドを、酵素活性の比として5〜90%を解離させるものである請求項1に記載の化学発光試薬。
【請求項3】
免疫複合体解離剤(a)が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)の有機酸塩(a1)及び/又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)の有機酸塩(a2)である請求項1又は2に記載の化学発光試薬。
【請求項4】
免疫複合体解離剤(a)の含有量(mM;25℃)が0.02〜3,000、及び酸化剤(b)の含有量(mM;25℃)が0.5〜250である請求項1〜4のいずれかに記載の化学発光試薬。
【請求項5】
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液と、請求項1〜4のいずれかに記載の化学発光試薬とを含んでなることを特徴とする固相酵素免疫測定法用化学発光試薬キット。
【請求項6】
化学発光物質(c)及び化学発光増強剤(d)を含んでなる溶液と、請求項1〜4のいずれかに記載の化学発光試薬との合計量を基準として、免疫複合体解離剤(a)の含有量(mM;25℃)が0.01〜1,500である請求項5に記載の固相酵素免疫測定法用化学発光試薬キット。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の化学発光試薬を使用することを特徴とする固相酵素免疫測定法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−204400(P2009−204400A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45974(P2008−45974)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】