説明

園芸工具

【課題】長尺バーの有効長を変えることなく、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてバランスウェイトの取付位置を調整することによって重量バランスを良好に保ち、作業性良く作業を行うことができる園芸工具を提供すること。
【解決手段】回転駆動源(モータ)と、長尺バー2と、該長尺バー2の一端に取り付けられて前記回転駆動源からの回転力を受けて動作する作業部(刈刃5)を備えたコードレス草刈機(園芸工具)1において、バランスウェイト17を位置調整可能に取り付ける。例えば、前記バランスウェイト17を前記長尺バー2にその軸方向に沿って移動可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺バーの一端に取り付けられて回転駆動源からの回転力を受けて動作する作業部を備えた草刈機等の園芸工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンを駆動源とするエンジン草刈機は、ギヤを収納するギヤボックスを長尺バーの一端に連結し、該ギヤボックスに収容されたスピンドルの下端に草や枝を刈り込むための刈刃を結着し、燃料タンクと一体化されたエンジンハウジングを長尺バーの他端に連結して構成され、エンジン出力を長尺バー内の駆動シャフトとギヤボックスに収納されたギヤを介して刈刃に伝達して該刈刃を回転駆動するものが一般的である。
【0003】
斯かるエンジン草刈機においては、長尺バーの一端に連結されたギヤボックスや刈刃と長尺バーの他端に連結されたエンジンハウジングの質量が比較的近似し、両者の間に装着される操作ハンドルを把持した状態で、刈刃が草や枝を刈り込むのに最適な位置にあるような重量バランスに保たれている。
【0004】
ところで、エンジン草刈機は排ガスや騒音等の問題を有しているため、近年、エンジン草刈機に代えてバッテリ式のコードレス草刈機が使用されるようになってきている。
【0005】
然るに、バッテリ式のコードレス草刈機においては、例えばエンジンハウジングの代わりにモータ及びモータハウジングを長尺バーの一端に取り付けると刈刃がほぼ最適な位置にあるような重量バランスが得られるが、バッテリを他端、即ちモータハウジングに取り付けると全体の重量バランスが崩れ、刈刃の上部にバッテリを配置しても、モータをギヤボックスに配置して他端にバッテリを配置しても刈刃側が重くなり、全体の重量バランスが崩れて操作性が悪くなっていた。
【0006】
上記問題を解決するために長尺バーの長さを変えることができるものもあるが、有効長を変えることによって重量バランスが崩れて操作性が悪くなるとともに、余計な長尺バーを収納しなければならないためにスペース的及び重量的に問題がある。
【0007】
又、バッテリは、通常、電圧容量を変えて取り付けることができ、その電圧容量や質量によっても重量バランスが崩れていた。このため、特許文献1には、連結杆(長尺バー)の一端に電動モータを収容したモータケースを取り付けるとともに、連結杆(長尺バー)の他端にバッテリパックを収容するバッテリケースを取り付けた電動草刈機において、容量の異なるバッテリパックをバッテリケース内に選択的に収納自在とするとともに、小容量のバッテリパックの重心位置を最大容量の重心位置に対してモータケース取付側から逆方向にオフセットする提案がなされている。
【特許文献1】実開平5−002621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、作業者の体格には個人差があり、作業者の体格によって例えば操作ハンドル位置は頻繁に変えられる。又、刃具には刈刃のみならずチップソーやナイロンコード等、様々な形状のものや種類があり、それぞれ質量が異なるために重量バランスを良好に保つことは容易ではなかった。
【0009】
又、作業条件においても、土手等の傾斜面の草等を刈る作業では、土手の上側から作業する場合では長尺バーを平地での作業時よりも下向きにする必要があり、土手の下側から作業する場合では長尺バーを上向きにして作業する必要があり、操作ハンドルで長尺バーを傾けつつ、足場の悪い場所で操作する作業は容易ではなかった。
【0010】
特許文献1において提案された電動草刈機は、バッテリパックのみに対応したもので、バッテリケースの大きさは最大容量のバッテリパックに合わせているため、小容量のバッテリパックを使用する場合には、バッテリケースだけは大きくてスペース的に無駄となるばかりではなく、刃具の種類や作業者の体格差に合わせた配慮はなされていない。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、長尺バーの有効長を変えることなく、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてバランスウェイトの取付位置を調整することによって重量バランスを良好に保ち、作業性良く作業を行うことができる園芸工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転駆動源と、長尺バーと、該長尺バーの一端に取り付けられて前記回転駆動源からの回転力を受けて動作する作業部を備えた園芸工具において、バランスウェイトを位置調整可能に取り付けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記バランスウェイトは、前記回転駆動源であることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記バランスウェイトを前記長尺バーにその軸方向に沿って移動可能に取り付けたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記長尺バーの一端に設けられたハウジングを長尺バーに対して移動可能に取り付け、該ハウジングによって前記バランスウェイトを構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記長尺バーの一端に設けられたハウジングに前記バランスウェイトを位置調整可能に取り付けたことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記長尺バーにハンドルを摺動可能に取り付けたことを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、前記バランスウェイトに照明装置を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記照明装置を前記バランスウェイトに傾動可能に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜5記載の発明によれば、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてバランスウェイトの取付位置を調整することによって、長尺バーの有効長を変えることなく、園芸工具の重量バランスを良好に保つことができ、所要の作業を作業性良く行うことができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、バランスウェイトと共にハンドルの長尺バーへの取付位置を調整することによって園芸工具の重量バランスを良好に保つことができ、重量バランスの調整範囲を拡大することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、バランスウェイトに設けられた照明装置によって作業部位を照明して作業を作業性良く効率的に行うことができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、照明装置の取付角度を調整して必要な部位を適切に且つ広範囲に照明することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係るコードレス草刈機の側面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2の矢視B方向の図である。
【0026】
図1に示すコードレス草刈機1は、長尺バー2を備え、その下端部にはモータハウジング3が連結固定されており、該モータハウジング3の内部には不図示のモータ及びスピンドルが収納されている。ここで、モータの回転はスピンドルに伝達されるが、該スピンドルにはフランジ4が圧入固定され、スピンドルの下端部には円板状の刈刃5がフランジ4とナット6によって固定されている。
【0027】
又、長尺バー2の上端部には、スイッチハンドル7がネジ8によって取り付けられており、このスイッチハンドル7にはバッテリケース9が一体に形成されている。そして、スイッチハンドル7には、前記モータをON/OFFするスイッチ10が収納され、バッテリケース9には駆動源としてのバッテリ11が収納されている。尚、図2に示すように、バッテリ11とモータとを繋ぐ電源コード12は長尺バー2の内部に通されている。
【0028】
更に、長尺バー2の長手方向略中央のバッテリケース9に近い位置には操作ハンドル113が固定ネジ14によって摺動可能に固定されており、長尺バー2の操作ハンドル13とバッテリケース9の間には肩掛けバンド15が取付金具16によって取り付けられている。そして、長尺バー2の取付金具16とバッテリケース9との間には銅製のバランスウェイト17が移動可能に取り付けられている。
【0029】
図2及び図3に示すように、上記バランスウェイト17は、幅広の上クランプ18と該上クランプ18の幅方向中央に配された幅狭の下クランプ19の各一端同士をピン20によって回転可能に連結して構成され、上クランプ18と下クランプ19の各他端には長尺バー2の外周の沿った円弧状の凹部18a,19aがそれぞれ形成され(図2参照)、これらの凹部18a,19a間に長尺バー2が挟持されている。又、上クランプ18と下クランプ19の長手方向中央部にはボルト21が挿通しており、このボルト21の端部に螺合する蝶ナット22を締め付けることによってバランスウェイト17が長尺バー2に取り付けられる。そして、蝶ナット22を緩めることによってバランスウェイト17の固定を解除し、該バランスウェイト17を長尺バー2に沿って移動させた後、再び蝶ナット22を締め付けてバランスウェイト17を長尺バー2に固定することによって該バランスウェイト17の位置を任意に調整することができる。
【0030】
次に、以上のように構成されたコードレス草刈機1の動作を説明する。
【0031】
草刈作業時には作業者は肩掛けバンド15を肩に掛け、操作ハンドル13とスイッチハンドル7を軽く握った状態で長尺バー3を前傾させ、刈刃5を不図示の地面から数cm浮かせた状態で全体の重量バランスが良好に保たれるように指で蝶ナット22を緩め、バランスウェイト17を長尺バー2に沿って移動させてその位置を調整し、重量バランスが取れた位置で蝶ナット22を締め付けてバランスウェイト17をその位置に固定する。
【0032】
上述のようにしてコードレス草刈機1全体の重量バランスを良好に保った状態で、スイッチ10をONしてバッテリから電源コード12を介して不図示のモータに給電がなされると、該モータが起動されてその回転が不図示のスピンドルに伝達され、該スピンドルとこれに結着された刈刃5が所定の速度で回転駆動され、刈刃5によって草や枝が刈り込まれる。
【0033】
以上のように、本実施の形態では、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてバランスウェイト17の取付位置を調整することができるため、長尺バー2の有効長を変えることなく、コードレス草刈機1の重量バランスを良好に保つことができ、所要の草刈作業を作業性良く行うことができる。
【0034】
又、長尺バー2に操作ハンドル13を摺動可能に取り付けたため、バランスウェイト17と共に操作ハンドル13の長尺バー2への取付位置を調整することによってコードレス草刈機1の重量バランスを良好に保つことができ、重量バランスの調整範囲を拡大することができる。
【0035】
尚、バランスウェイト17は長尺バー2の任意の位置に取り付け可能であり、バランスウェイト17が取り付けられるような部位をコードレス草刈機1のどこに設けても良い。例えば、スイッチハンドル7のガードバー7Aにバランスウェイト17を取り付けることもできる。
【0036】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図4及び図5に基づいて説明する。
【0037】
図4は本発明の実施の形態2に係るコードレス草刈機上端部の破断側面図、図5は図4のC−C線断面図であり、本実施の形態は、スイッチハンドル7とバッテリケース9とを別体とし、バッテリケース9をバランスウェイトとして利用し、該バッテリケース9をスイッチハンドル7に対して移動可能としたことを特徴としている。
【0038】
本実施の形態では、スイッチハンドル7の一端がネジ8によって長尺バー2の上端に固定され、該スイッチハンドル7の他端部は円筒状に形成されている。又、バッテリケース9は、バッテリ11を収納固定しており、その軸中心部には、スイッチハンドル7の端部外周に緩く嵌合する嵌合部9Aが形成されている。そして、このバッテリケース9の嵌合部9Aの端部内周にはプラスチック製のリング状ストッパ23が嵌着されており、このストッパ23によってバッテリケース9のスイッチハンドル7に対する軸方向移動が規制されている。
【0039】
又、図5に示すように、バッテリケース9には軸方向に長いスリット状のすり割溝9aが形成されており、このすり割溝9aの両側には一対の鍔部9Bが径方向外方に突設されている。そして、各々の鍔部9Bにはネジ24が通され、該ネジ24の端部に螺合する蝶ナット25を締め付けることによってバッテリケース9の内径が小さくなり、該バッテリケース9がスイッチハンドル7の端部外周に固定される。
【0040】
ところで、スイッチハンドル7の端部外周の相対向する2箇所にはキー溝7aが形成されており、バッテリケース9の嵌合部9A内周の相対向する2箇所にも軸方向に長いキー溝9bが形成されており、対を成す各キー溝7a,9bにはキー26がそれぞれ打ち込まれている。これによって、バッテリケース9は、回転が規制されつつ軸方向に所定の範囲内で移動することができる。尚、バッテリケース9とスイッチハンドル7のスイッチ10とは伸縮可能な電源線27によって電気的に接続されている。
【0041】
而して、草刈作業に際して全体の重量バランスが崩れている場合には、指で蝶ナット25を緩め、バランスウェイトとして機能するバッテリケース9をスイッチハンドル7に沿って重量バランスが良くなる方向へ移動させてその位置を調整し、重量バランスが取れた位置で蝶ナット25を締め付けてバッテリケース9をその位置に固定することができる。
【0042】
従って、本実施の形態においても、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてバッテリケース9の取付位置を調整することができるため、長尺バー2の有効長を変えることなく、コードレス草刈機1の重量バランスを良好に保つことができ、所要の草刈作業を作業性良く行うことができる。
【0043】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3を図6〜図9に基づいて説明する。
【0044】
図6は本発明の実施の形態3に係るコードレス草刈機の側面図、図7はモータ駆動軸の横断面図、図8はモータケース組の破断側面図、図9は図8のD−D線断面図である。
【0045】
本実施の形態に係るコードレス草刈機1は、図6に示すように、長尺バー2の下端部にギヤボックス28を固定し、長尺バー2の上端部にバランスウェイトとして機能するモータケース組29を取り付けて構成されている。ここで、図示しないが、ギヤボックス28内にはギヤとスピンドルが回転可能に収容されており、スピンドルにはフランジ4が圧入固定され、スピンドルの下端部には円板状の刈刃5がフランジ4とナット6によって固定されている。
【0046】
又、長尺バー2の上端部にはアダプタ30がネジ31によって固定されており、このアダプタ30には前記モータケース組29が軸方向に移動可能に取り付けられている。ここで、モータケース組29は、図8に示すように、モータ32を収納するモータケース33と不図示のバッテリを収納するバッテリボックス34を一体化して構成されている。
【0047】
ところで、図6に示すように、長尺バー2の長手方向略中央のモータケース33側に近い位置には、両手で把持操作するU形状のスイッチ操作ハンドル35が固定され、該スイッチ操作ハンドル35とモータケース33の間には取付金具16が固定されており、この取付金具16には肩掛けバンド15が取り付けられている。尚、前記スイッチ操作ハンドル35には、モータ32を起動/停止するためのスイッチ10が装備されている。
【0048】
又、図8に示すように、長尺バー2はパイプによって構成されており、その内部には駆動シャフト36が回転可能に挿通している。そして、この駆動シャフト36の一端にはソケット37が結着されており、このソケット37にはモータ32の出力軸32aが挿入嵌合によって連結されている。ここで、モータ32の出力軸32aは、図7に示すような二面幅が形成されることによってその横断面形状が非円形とされ、ソケット37の軸中心には同様の横断面形状の嵌合穴37aが形成されており、この嵌合穴37aに出力軸32aが挿入嵌合されることによって該出力軸32aと駆動シャフト36とが軸方向に相対移動可能に連結され、モータ32の出力軸32aの回転がソケット37を介して駆動シャフト36に伝達される。尚、図示しないが、駆動シャフト36の他端は、ギヤボックス28内のギヤを介してスピンドルに連結されている。
【0049】
ここで、図8に示すように、前記アダプタ30のモータケース33側の端部にはリング状の鍔部30Aが一体に形成されており、該鍔部30Aの外周にはスプライン30aが刻設されている。
【0050】
又、モータケース33のアダプタ30側の軸中心部には嵌合孔33Aが形成されており、この嵌合孔33Aの内周にはスプライン33aが刻設されている。そして、モータケース33の嵌合孔33Aがアダプタ30の一端に通され、その内周に刻設されたスプライン33aがアダプタ30の鍔部30Aに刻設されたスプライン30aに嵌合することによってモータケース組29がアダプタ30に対して所定の範囲内で軸方向に移動可能に保持されている。ここで、モータケース33の端部にはストッパ38が嵌着されており、このストッパ38は、モータケース組29の摺動ガイドと抜け止めとしての機能を果たす。
【0051】
更に、図9に示すように、ストッパ38には軸方向に長いスリット状のすり割溝38aが形成されており、該すり割溝38aの両側には一対のフランジ39が径方向外方に向かって一体に突設されている。そして、各フランジ39にはネジ40が通され、該ネジ40の端部には蝶ナット41が螺合している。従って、蝶ナット41を締め付けてストッパ38の内径を小さくすることによってモータケース組29をアダプタ30に固定することができる。
【0052】
而して、草刈作業に際しては、作業者は肩掛けバンド15を肩に掛け、操作ハンドル13とモータケース組29を軽く握り、全体の重量バランスが崩れている場合には、指で蝶ナット41を緩め、バランスウェイトとして機能するモータケース組29をアダプタ30に沿って重量バランスが良くなる方向へ移動させてその位置を調整し、重量バランスが取れた位置で蝶ナット41を締め付けてモータケース組29をその位置に固定すればコードレス草刈機1の重量バランスを良好に保つことができる。
【0053】
従って、本実施の形態においても、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてモータケース組29の取付位置を調整することができるため、長尺バー2の有効長を変えることなく、コードレス草刈機1の重量バランスを良好に保つことができ、所要の草刈作業を作業性良く行うことができる。
【0054】
尚、本実施の形態においては、モータケース組29の移動質量が大きいため、バランスを取るのに僅かな移動量で済み、より傾斜のきつい斜面に対応することができる。又、本実施の形態においても、モータケース組29からバッテリボックス34を分離し、このバッテリボックス34を移動可能として重量バランスを取ることも可能である。
【0055】
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4を図10〜図12に基づいて説明する。
【0056】
図10は本発明の実施の形態4に係るアタッチメント式草刈機の側面図、図11は図10のE−E線断面図である。
【0057】
図10に示すアタッチメント式草刈機1’は、主操作部42のシャフトパイプ43の先端に刈刃アタッチメント44をジョイント45によって着脱可能に装着して構成されるものであって、主操作部42は、前記シャフトパイプ43とその上端部に固定されたケース46とで構成されており、図示しないが、ケース46内にはモータとバッテリ及び減速機が収納されている。尚、図示しないが、シャフトパイプ43の内部には、駆動シャフトが挿通しており、この駆動シャフトの一端(上端)は不図示の減速機を介してモータに連結されており、モータの回転力は減速機を経て駆動シャフトに伝達される。
【0058】
又、図10に示すように、シャフトパイプ43の長手方向中間部の外周には主ハンドル47が結着されており、この主ハンドル47にはモータを起動/停止するためのスイッチ48が取り付けられている。更に、シャフトパイプ43の主ハンドル47の前方には補助ハンドル49が着脱可能に固定されており、この補助ハンドル49と主ハンドル47の間には肩掛バンド15が取り付けられている。
【0059】
一方、刈刃アタッチメント44は、ギヤボックス50を備えており、該ギヤボックス50にはシャフトパイプ51が斜めに上方から差し込まれて固定されている。尚、図示しないが、シャフトパイプ51内には従動シャフトが挿通しており、該従動シャフトは、ギヤボックス50内に収納されたベベルギヤを介してスピンドルに連結されており、スピンドルの下端部には円板状の刈刃5が結着されている。
【0060】
而して、刈刃アタッチメント44をジョイント45によって主操作部42に装着することによって図10に示すアタッチメント式草刈機1’が構成されるが、このとき同時に主操作部42の駆動シャフトと刈刃アタッチメント44の従動シャフトが連結される。尚、当該アタッチメント式草刈機1’においては、ジョイント45によって連結されたシャフトパイプ43,51が長尺バーを構成している。
【0061】
而して、本実施の形態に係るアタッチメント式草刈機1’においては、前記実施の形態1と同様のバランスウェイト17がシャフトパイプ43の主ハンドル47とケース46との間に位置調整可能に取り付けられている。尚、バランスウェイト17の構成と取付構造は前記実施の形態1と同様であるため、図11においては図2に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0062】
従って、本実施の形態に係るアタッチメント式草刈機1’を用いた草刈作業に際しては、作業者は肩掛けバンド15を肩に掛け、主ハンドル47と補助ハンドル49を握り、全体の重量バランスが崩れている場合には、指で蝶ナット22を緩め、バランスウェイト17をシャフトパイプ43に沿って重量バランスが良くなる方向へ移動させてその位置を調整し、重量バランスが取れた位置で蝶ナット22を締め付けてバランスウェイト17をその位置に固定する。
【0063】
上述のようにしてアタッチメント式草刈機1’の重量バランスが良好に調整された後、主ハンドル47に設けられたスイッチ48をONすると、ケース46に内蔵されたバッテリからモータに給電されて該モータが起動され、その回転は減速機によって減速されて駆動シャフトに伝達され、この駆動シャフトの回転は刈刃アッタッチメント44の従動シャフトに伝達され、該従動シャフトが所定の回転数で回転駆動される。そして、この従動シャフトの回転は、ギヤボックス50に内蔵されたベベルギヤによって方向が変えられてスピンドルへと伝達され、該スピンドルとこれに結着された刈刃5が所定の速度で回転駆動され、回転する刈刃5によって草や枝が刈り込まれる。
【0064】
而して、本実施に形態においても、作業者の体格や刃具の種類、作業条件等に応じてバランスウェイト17の取付位置を調整することができるため、アタッチメント式草刈機1’の重量バランスを良好に保つことができ、所要の草刈作業を作業性良く行うことができる。
【0065】
尚、バランスウェイト17の取付位置は本実施の形態に限定されず、取り付けが可能な位置であれば任意である。例えば、図12に示すように、ケース46にクランプ用バー52を取り付け、このクランプ用バー52にバランスウェイト17を取り付ける構成を採用することもできる。
【0066】
又、図13及び図14に示すように、バランスウェイト17に照明装置53を設けることもできる。
【0067】
即ち、図13は照明装置が設けられたバランスウェイトの断面図、図14は図13のF−F線断面図であり、バランスウェイト17は、幅広の上クランプ18と該上クランプ18の幅方向中央に配された幅狭の下クランプ19の各一端同士をピン20によって回転可能に連結して構成され、上クランプ18と下クランプ19の各他端には長尺バー2の外周の沿った円弧状の凹部がそれぞれ形成され、これらの凹部間に長尺バー2が挟持されている。又、上クランプ18と下クランプ19の長手方向中央部にはボルト21が挿通しており、このボルト21の端部に螺合する蝶ナット22を締め付けることによってバランスウェイト17が長尺バー2に取り付けられる。そして、蝶ナット22を緩めることによってバランスウェイト17の固定を解除し、該バランスウェイト17を長尺バー2に沿って移動させた後、再び蝶ナット22を締め付けてバランスウェイト17を長尺バー2に固定することによって該バランスウェイト17の位置を任意に調整することができる。
【0068】
而して、図13に示すように、下クランプ19には丸軸19Aが一体に突設されており、該丸軸19Aの端部にはボール19Bが一体に形成されている。そして、ボール19Bには、端部同士が連結ピン54によって結合された幅広の上カバー55と幅狭の下カバー56によって構成される照明装置53がボール19Bを中心として傾動可能に取り付けられており、この照明装置53の上カバー55の連結ピン54の反対側には不図示のライトとライト用電池を収納したライト収納部57が設けられており、このライト収納部57には、ライトの点灯/消灯を行うスイッチ58とライト用レンズ59が設けられている。尚、上カバー55と下カバー56には、ボール19Bの外周面に沿う半球状凹部55a,56a(図14参照)と照明装置53のボール19Bを中心とする傾動を許容するテーパ面55b,56b(図13参照)がそれぞれ形成されている。
【0069】
そして、図14に示すように、照明装置53の上カバー55と下カバー56にはボルト60が挿通しており、該ボルト60の端部には蝶ナット61が螺合している。従って、蝶ナット61を緩めれば照明装置53をボール19Bを中心として傾動させて照明位置53の取付角度を調整することができ、調整後は蝶ナット61を締め付ければ照明装置53を固定することができる。
【0070】
このように照明装置53をバランスウェイト17に設ければ、該照明装置53によって作業部位に光を照射して草刈作業を作業性良く行うことができるとともに、照明装置53の角度を調整することによって適正な箇所を広範囲に照明することができる。
【0071】
尚、以上は本発明をモータを駆動源とするコードレスの草刈機に適用した形態について説明したが、本発明は、草刈機に適用が限定される訳ではなく、草刈機以外の植木バリカンや園芸バリカン等、他の任意の園芸工具は勿論のこと、エンジンを駆動源とする園芸工具やコード付きの園芸工具等に対しても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコードレス草刈機の側面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2の矢視B方向の図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るコードレス草刈機上端部の破断側面図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係るコードレス草刈機の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るコードレス草刈機のモータ駆動軸の横断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るコードレス草刈機のモータケース組の破断側面図である。
【図9】図8のD−D線断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るアタッチメント式草刈機の側面図である。
【図11】図10のE−E線断面図である。
【図12】バランスウェイトの取付例を示す部分側面図である。
【図13】照明装置が設けられたバランスウェイトの断面図である。
【図14】図13のF−F線断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 コードレス草刈機(園芸工具)
1’ アタッチメント式草刈機(園芸工具)
2 長尺バー
3 モータハウジング
4 フランジ
5 刈刃
6 ナット
7 スイッチハンドル
7A スイッチハンドルのガードバー
7a スイッチハンドルのキー溝
8 ネジ
9 バッテリケース
9A バッテリケースの嵌合部
9B バッテリケースの鍔部
9a バッテリケースのすり割溝
9b バッテリケースのキー溝
10 スイッチ
11 バッテリ
12 電源コード
13 操作ハンドル
14 固定ネジ
15 肩掛けバンド
16 取付金具
17 バランスウェイト
18 上クランプ
18a 上クランプの凹部
19 下クランプ
19A 下クランプの丸軸
19B 下クランプのボール
19a 下クランプの凹部
20 ピン
21 ボルト
22 蝶ナット
23 ストッパ
24 ネジ
25 蝶ナット
26 キー
27 電源線
28 ギヤボックス
29 モータケース組
30 アダプタ
30A アダプタの鍔部
30a 鍔部のスプライン
31 ネジ
32 モータ
32a モータ出力軸
33 モータケース
33A モータケースの嵌合孔
33a 嵌合孔のスプライン
34 バッテリボックス
35 スイッチ操作ハンドル
36 駆動シャフト
37 ソケット
37a ソケットの嵌合穴
38 ストッパ
38a ストッパのすり割溝
39 フランジ
40 ネジ
41 蝶ナット
42 主操作部
43 シャフトパイプ(長尺バー)
44 刈刃アタッチメント
45 ジョイント
46 ケース
47 主ハンドル
48 スイッチ
49 補助ハンドル
50 ギヤボックス
51 シャフトパイプ(長尺バー)
52 クランプ用バー
53 照明装置
54 連結ピン
55 上カバー
55a 上カバーの半球状凹部
55b 上カバーのテーパ面
56 下カバー
56a 下カバーの半球状凹部
56b 下カバーのテーパ面
57 ライト収納部
58 スイッチ
59 ライト用レンズ
60 ボルト
61 蝶ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源と、長尺バーと、該長尺バーの一端に取り付けられて前記回転駆動源からの回転力を受けて動作する作業部を備えた園芸工具において、
バランスウェイトを位置調整可能に取り付けたことを特徴とする園芸工具。
【請求項2】
前記バランスウェイトは、前記回転駆動源であることを特徴とする請求項1記載の園芸工具。
【請求項3】
前記バランスウェイトを前記長尺バーにその軸方向に沿って移動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の園芸工具。
【請求項4】
前記長尺バーの一端に設けられたハウジングを長尺バーに対して移動可能に取り付け、該ハウジングによって前記バランスウェイトを構成したことを特徴とする請求項1記載の園芸工具。
【請求項5】
前記長尺バーの一端に設けられたハウジングに前記バランスウェイトを位置調整可能に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の園芸工具。
【請求項6】
前記長尺バーにハンドルを摺動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の園芸工具。
【請求項7】
前記バランスウェイトに照明装置を設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の園芸工具。
【請求項8】
前記照明装置を前記バランスウェイトに傾動可能に取り付けたことを特徴とする請求項7記載の園芸工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−72149(P2009−72149A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245567(P2007−245567)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】