説明

園芸用支柱固定具及び園芸用支柱固定構造

【課題】園芸用支柱をプランター等の栽培容器に対して確実に且つ簡単に固定することができるとともに、様々な大きさや形状の栽培容器、或いは様々な形状の支柱に対して幅広く適用することが可能であり高い汎用性をもつ園芸用支柱固定具及び園芸用支柱固定構造を提供すること。
【解決手段】伸縮可能なコイル状部と、前記コイル状部の両端から該コイル状部の軸線方向に且つ互いに反対方向に延出されたアーム部と、前記アーム部の夫々の先端を折り曲げて形成された一対の係止部とからなり、前記一対の係止部を構成する第一係止部と第二係止部が、互いに90°ねじれた位置関係にあることを特徴とする園芸用支柱固定具を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランター等の栽培容器に対して園芸用支柱を固定するための固定具及びこの固定具を使用した園芸用支柱固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プランター等の栽培容器を用いてつる性の植物等を栽培する場合、植物の茎を支えるための支柱を立てる。
しかし、単に栽培容器に入った用土に支柱を突き立てただけでは、支柱の安定性が悪く倒れるおそれがある。
【0003】
そのため、紐やワイヤー等を用いて支柱を栽培容器に括りつけて固定することが多いが、この作業は栽培容器を持ち上げる必要があること等から、面倒であり簡単に行うことができない。
また、栽培容器の縁に穴をあけ、この穴に差し込んだ支柱固定用の治具を使用して支柱を固定する方法もあるが、この方法では穴をあけるための作業が別途必要となり、やはり簡単に行うことができない。
【0004】
上記したような問題点を解決するために、本出願人は下記特許文献1に記載された家庭園芸用の支柱立てを既に提案している。
この支柱立ては、コイル状部と、コイル状部の両端部分からV字状に伸長した二つのアーム部、及びそれぞれのアーム部の先端の二つの抱止部で構成されており、コイル状部に支柱を挿通して抱止部をプランターの縁部に引っ掛けることにより使用される。
【0005】
この支柱立ては簡単に支柱を固定することができる点で従来の方法より優れているが、適用可能な栽培容器の大きさがアーム部の長さによりある程度決まるため、様々な大きさの栽培容器に対して幅広く適用することが難しい。また、円筒形状の栽培容器に対しては抱止部がコイル状部のバネ性(復元力)により滑るために固定しにくい。つまり、この支柱立ては、適用できる栽培容器の大きさや形状に制限が生じるという点で改善の余地があった。
また、この支柱立ては、直線状の支柱の固定には使用できるが、例えば逆U字状の支柱を固定するためには使用することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3026922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、園芸用支柱をプランター等の栽培容器に対して確実に且つ簡単に固定することができるとともに、様々な大きさや形状の栽培容器、或いは様々な形状の支柱に対して幅広く適用することが可能であり高い汎用性をもつ園芸用支柱固定具及び園芸用支柱固定構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、伸縮可能なコイル状部と、前記コイル状部の両端から該コイル状部の軸線方向に且つ互いに反対方向に延出されたアーム部と、前記アーム部の夫々の先端を折り曲げて形成された一対の係止部とからなり、前記一対の係止部を構成する第一係止部と第二係止部が、互いに90°ねじれた位置関係にあることを特徴とする園芸用支柱固定具に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記第一係止部がループ状に形成され、前記第二係止部がフック状に形成され、前記アーム部は、前記第二係止部が先端に形成された一方のアーム部が、前記第一係止部が先端に形成された他方のアーム部より長いことを特徴とする請求項1記載の園芸用支柱固定具に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第一係止部及び前記第二係止部がフック状に形成され、前記アーム部は、前記第一係止部が先端に形成された一方のアーム部と、前記第二係止部が先端に形成された他方のアーム部が、略同じ長さに形成されていることを特徴とする請求項1記載の園芸用支柱固定具に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2記載の園芸用支柱固定具と、固定補助具とを使用した園芸用支柱固定構造であって、前記固定補助具は、園芸用の支柱が挿通されるループ状部と、該ループ状部の両端から互いに反対方向に延びる延出部と、該延出部の夫々の先端を折り曲げて形成されたフック状部とからなり、前記固定補助具のループ状部に直線状の園芸用支柱が挿通され、前記固定補助具の一方のフック状部に対して一の園芸用支柱固定具の第一係止部が係止され、前記固定補助具の他方のフック状部に対して他の園芸用支柱固定具の第一係止部が係止され、前記一の園芸用支柱固定具の第二係止部と、前記他の園芸用支柱固定具の第二係止部とが、栽培容器の縁部に対して夫々係止されることを特徴とする園芸用支柱固定構造に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2記載の園芸用支柱固定具を使用した園芸用支柱固定構造であって、逆U字状に屈曲された園芸用支柱の左右の脚部が栽培容器の内面に沿って配置され、一の園芸用支柱固定具の第一係止部に対して右側の前記脚部が挿通され、他の園芸用支柱固定具の第一係止部に対して左側の前記脚部が挿通され、前記一の園芸用支柱固定具の第二係止部と、前記他の園芸用支柱固定具の第二係止部とが、栽培容器の縁部に対して夫々係止されることを特徴とする園芸用支柱固定構造に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記逆U字状に屈曲された園芸用支柱が栽培容器の長さ方向に沿って複数個配置され、これら複数個の園芸用支柱の上端部同士が棒状の連結部材により連結され、前記棒状の連結部材により連結された複数個の園芸用支柱を外側から覆うようにシートが被せられていることを特徴とする請求項5記載の園芸用支柱固定構造に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項3記載の園芸用支柱固定具を使用した園芸用支柱固定構造であって、1本の園芸用の支柱に対して、複数の園芸用支柱固定具の第一係止部が夫々異なる方向から係止され、前記複数の園芸用支柱固定具の第二係止部が、栽培容器の縁部に対して夫々異なる位置にて係止されることを特徴とする園芸用支柱固定構造に関する。
【0015】
請求項8に係る発明は、1本の園芸用の支柱に対して、3つ以上の園芸用支柱固定具の第一係止部が夫々異なる方向から係止され、前記3つ以上の園芸用支柱固定具の第二係止部が、上面視円形の栽培容器の縁部に対して夫々異なる位置にて係止されることを特徴とする請求項7記載の園芸用支柱固定構造に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、コイル状部を伸長して、一対の係止部を栽培容器の縁部と支柱(又は支柱に取り付けられた固定補助具)に対して夫々係止することにより、支柱を栽培容器に対して確実に且つ容易に固定することが可能となる。また、コイル状部を伸長して長さ及び向きを変化させることができるため、様々な大きさ・形状の栽培容器に対して幅広く適用することが可能となる。また、直線状の支柱だけでなく逆U字状の支柱等の固定にも使用することができる。更に、一対の係止部を構成する第一係止部と第二係止部が互いに90°ねじれた位置関係にあることから、コイル状部がねじられることなく、支柱(又は支柱に取り付けられた固定補助具)と栽培容器の縁部に対して係止部を容易に且つ確実に係止することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、第一係止部がループ状に形成され、第二係止部がフック状に形成されていることから、第一係止部に対して固定補助具のフック状部や逆U字状に屈曲された園芸用支柱の脚部を確実に係止することができるとともに、第二係止部を栽培容器の縁部に対して容易に係止することができる。また、第二係止部が先端に形成された一方のアーム部が、第一係止部が先端に形成された他方のアーム部より長いことから、栽培容器の縁部にアーム部を沿わせて確実に固定することができるとともに、縁部の近傍位置に支持具を固定することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、第一係止部及び第二係止部がフック状に形成されていることから、第一係止部を支柱に対して、第二係止部を栽培容器の縁部に対して、夫々確実に且つ容易に固定することが可能となる。また、アーム部は、第一係止部が先端に形成された一方のアーム部と、第二係止部が先端に形成された他方のアーム部が、略同じ長さに形成されているため、第一係止部と第二係止部とを区別することなく使用することができ、作業性が向上する。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、固定補助具により支柱を立てた状態に保持し、固定補助具の両端を園芸用支柱固定具により栽培容器の縁部に係止することにより、支柱を栽培容器に対して容易に且つ確実に固定することが可能となる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、逆U字状に屈曲された園芸用支柱の左右の脚部を、園芸用支柱固定具を使用して栽培容器の内面に沿わせて、容易に且つ確実に固定することができる。これにより、逆U字状に屈曲された園芸用支柱を利用して、霜よけや保温のためにプランターの上部をビニルシート等で容易に覆うことが可能となる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、プランター等の栽培容器に植えられた植物をトンネル状に形成されたシートにより覆うことができ、簡易な構造で植物を霜や低温から確実に保護することが可能となる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、1本の園芸用の支柱に対して、複数の園芸用支柱固定具の第一係止部が夫々異なる方向から係止され、複数の園芸用支柱固定具の第二係止部が、栽培容器の縁部に対して夫々異なる位置にて係止されることから、様々な形状の栽培容器に対して確実に支柱を固定することが可能となる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、1本の園芸用の支柱に対して3つ以上の園芸用支柱固定具の第一係止部が夫々異なる方向から係止され、3つ以上の園芸用支柱固定具の第二係止部が、上面視円形の栽培容器の縁部に対して夫々異なる位置にて係止されることから、上面視四角形のプランターだけでなく一般的な植木鉢のような上面視円形の栽培用容器に対しても、係止部が容器縁部に対して滑ることがなくしっかりと固定され、支柱を確実に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る園芸用支柱固定具の第一実施形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明に係る園芸用支柱固定具の第二実施形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】第一実施形態の園芸用支柱固定具を使用した園芸用支柱固定構造(第一固定構造)である。
【図4】第一実施形態の園芸用支柱固定具を使用した別の園芸用支柱固定構造(第二固定構造)である。
【図5】第二実施形態の園芸用支柱固定具を使用した園芸用支柱固定構造(第三固定構造)である。
【図6】第二実施形態の園芸用支柱固定具を使用した別の園芸用支柱固定構造(第四固定構造)である。
【図7】第二固定構造を利用した本発明の固定構造(第五固定構造)を示す図である。
【図8】第五固定構造を得るための作業方法を示す図である。
【図9】第五固定構造を得るための作業方法の第二作業工程を具体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る園芸用支柱固定具及び園芸用支柱固定構造の好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る園芸用支柱固定具の第一実施形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2は本発明に係る園芸用支柱固定具の第二実施形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0026】
本発明に係る園芸用支柱固定具(1)は、1本の金属線(例えば線径0.7mmのSUS304製の線材)から形成されており、伸縮可能なコイル状部(2)と、コイル状部(2)の両端から該コイル状部の軸線方向に且つ互いに反対方向に延出されたアーム部(3a)(3b)と、アーム部(3a)(3b)の夫々の先端を折り曲げて形成された一対の係止部とから構成されている。
一対の係止部を構成する第一係止部(4)と第二係止部(5)は互いに90°ねじれた位置関係にある。ここで、「互いに90°ねじれた位置関係」とは、第一係止部(4)により形成される平面状の係止空間(被係止物が入り込む空間)(S1)と、第二係止部(5)により形成される平面状の係止空間(S2)とが、同一平面上又は平行な位置関係になく、直角の位置関係にあることを意味する。言い換えれば、直線状の2本の棒を第一係止部(4)と第二係止部(5)に対して夫々係止した時に、2本の棒が互いに直角方向に延びる位置関係である。
【0027】
第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)は、図1に示すように、第一係止部(4)がループ状(円環状)に形成され、第二係止部(5)がフック状(J字状)に形成されている。
アーム部(3a)(3b)は、第二係止部(5)が先端に形成された一方のアーム部(3b)が、第一係止部(4)が先端に形成された他方のアーム部(3a)より長い。より詳しくは、アーム部(3b)はコイル状部(2)の自然長より長く、アーム部(3a)はコイル状部(2)の自然長より短い。長さ寸法の一例を挙げると、全長(自然長)が43.2mm、コイル状部(2)の自然長が10.0mm、アーム部(3a)+第一係止部(4)の長さが8.4mm、アーム部(3b)+第二係止部(5)の長さが26.2mmである。但し、この寸法には限定されない。
【0028】
第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)は、第一係止部(4)及び第二係止部(5)がいずれもフック状に形成されている。
第一係止部(4)が先端に形成された一方のアーム部(3a)と、第二係止部(5)が先端に形成された他方のアーム部(3b)は、略同じ長さに形成されている。より詳しくは、アーム部(3a)とアーム部(3b)はいずれもコイル状部(2)と略同じ長さに形成されている。長さ寸法の一例を挙げると、全長(自然長)が150mm、コイル状部(2)の自然長が50mm、アーム部(3a)+第一係止部(4)の長さが50mm、アーム部(3b)+第二係止部(5)の長さが50mmである。但し、この寸法には限定されない。
【0029】
図3は、第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用した園芸用支柱固定構造(以下、第一固定構造と称す)である。
第一固定構造においては、2つの第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)と1つの固定補助具(6)とを使用して、園芸用の直線状の支柱(7)を栽培容器(図示例ではプランター)(8)に対して固定している。
【0030】
固定補助具(6)は、支柱(7)が挿通されるループ状部(9)と、ループ状部(9)の両端から互いに反対方向に延びる一対の延出部(10)と、一対の延出部(10)の夫々の先端を折り曲げて形成された一対のフック状部(11a)(11b)とから形成されている。一対の延出部(10)は略同じ長さに形成されている。
【0031】
固定補助具(6)のループ状部(9)には支柱(7)が挿通されている。
固定補助具(6)の一方のフック状部(11a)に対して一の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)が係止されており、固定補助具(6)の他方のフック状部(11b)に対して他の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)が係止されている。
一の園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)と、他の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)は、栽培容器(8)の対向する縁部(上縁部)に対して夫々係止されている。
【0032】
図4は、第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用した別の園芸用支柱固定構造(以下、第二固定構造と称す)である。
第二固定構造においては、2つの第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用して、逆U字状に屈曲された園芸用の支柱(12)を栽培容器(図示例ではプランター)(8)に対して固定している。
【0033】
逆U字状に屈曲された園芸用支柱(12)の左右の脚部(12a)(12b)は、栽培容器(8)の内面に沿って配置されている。
一の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)に対して右側の脚部(12a)が挿通されており、他の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)に対して左側の脚部(12b)が挿通されている。
一の園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)と、他の園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)とが、栽培容器(8)の縁部(上縁部)に対して夫々係止されている。
【0034】
図5は、第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用した園芸用支柱固定構造(以下、第三固定構造と称す)である。
第三固定構造においては、2つの第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用して、園芸用の直線状の支柱(7)を栽培容器(図示例ではプランター)(8)に対して固定している。
【0035】
第三固定構造では、1本の支柱(7)に対して、2つの第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)が夫々異なる方向(互いに反対方向)から係止されており、2つの第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)が、栽培容器(8)の縁部(上縁部)に対して夫々異なる位置(対向する位置)にて係止されている。
【0036】
図6は、第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用した別の園芸用支柱固定構造(以下、第四固定構造と称す)である。
第四固定構造においては、3つの第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用して、園芸用の直線状の支柱(7)を栽培容器(図示例では有底円筒状の植木鉢)(8)に対して固定している。
【0037】
第四固定構造では、1本の園芸用の支柱(7)に対して、3つの第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)が夫々異なる方向(120°間隔の3方向)から係止されている。
3つの園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)が、上面視円形の栽培容器(8)の縁部(上縁部)に対して夫々異なる位置(120°間隔で離間した3つの位置)にて係止されている。
【0038】
本発明においては、1本の園芸用の支柱(7)に対して、4つ以上の第二実施形態の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)を夫々異なる方向から係止し、各園芸用支柱固定具の第二係止部(5)を上面視円形(有底円筒形)の栽培容器(8)の縁部に対して夫々異なる位置にて係止してもよい。
【0039】
図7は、上記第二固定構造を利用した本発明の固定構造(以下、第五固定構造と称す)を示す図である。
第五固定構造では、上記第二固定構造により固定された逆U字状に屈曲された園芸用支柱(12)が栽培容器(上面視長方形状のプランター)(8)の長さ方向に沿って複数個(図示例では3つ)配置されている。複数個の支柱(12)の上端部同士は金属線等からなる棒状の連結部材(13)により連結されている。
連結部材(13)の両端部にはフック状に折り曲げられた係止部(14)が形成されており、これら係止部(14)は栽培容器(8)の長さ方向両端部付近に配置された園芸用支柱(12)に対して係止されている。連結部材(13)の中央部付近は、線材(18)によってその他の園芸用支柱(12)に対して固定されている。
連結部材(13)により連結された複数個の支柱(12)を外側から覆うようにビニル等の透明合成樹脂からなるシート(15)が被せられている。シート(15)は、その下方部が紐(16)により栽培容器(8)に対して括られる。
【0040】
第五固定構造によれば、栽培容器(8)に植えられた植物を、逆U字状に屈曲された複数の支柱(12)に固定されてトンネル状に形成されたシート(15)により覆うことができ、簡易な構造で植物を霜や低温から確実に保護することが可能となる。
【0041】
図8は、上記第五固定構造を得るための作業方法を示す図である。
先ず、図8(a)に示すように、栽培容器(8)の長さ方向に沿って複数個(図示例では3つ)の逆U字状に屈曲された園芸用支柱(12)を配置する。このとき、支柱(12)の左右の脚部が栽培容器(8)の内面に沿うようにする。(第一作業工程)
次いで、図4に示したのと同様に、園芸用支柱(12)の左右の脚部を夫々上記第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)に挿通し、園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)を栽培容器(8)の縁部に係止する。(第二作業工程)
【0042】
図9はこの第二作業工程を具体的に示す図である。
先ず、(a)に示すように、支柱(12)の脚部を第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)の第一係止部(4)に挿通する。このとき、フック状の第二係止部(5)が図示のように下向きになるようにする。
次いで、(b)に示すように、園芸用支柱固定具(1)の第二係止部(5)に紐(ビニールタイ等)(17)を引っ掛けて指で引っ張り、コイル状部(2)を伸長させる。
最後に、(c)に示すように、第二係止部(5)を、栽培容器(8)の略逆U字状に形成された縁部に対して引っ掛けて固定する。
これにより、支柱(12)を栽培容器(8)に対して固定することができる。
【0043】
ここで、第一係止部(4)と第二係止部(5)が互いに90°ねじれた位置関係にあることから、第一係止部(4)を支柱(12)の脚部を挿通可能な向き(水平方向)に配置すると、フック状の第二係止部(5)は必然的に上又は下方向を向く。そのため、支柱(12)と栽培容器(8)とを固定する際に、園芸用支柱固定具(1)がねじれることがなく、容易に且つ確実に固定を行うことが可能となる。
他の全ての固定構造においても同様の作用効果が得られる。
【0044】
また、第二係止部(5)が先端に形成された一方のアーム部(3b)が、第一係止部(4)が先端に形成された他方のアーム部(3a)より長く形成されていることにより、図9に示すように、第一係止部(4)を支柱(12)の近傍に配置することができるとともに、アーム部(3b)を栽培容器(8)の縁部に対して長い距離で沿わせることができるため、より安定した外れにくい係止状態を得ることが可能となる。
第一実施形態の園芸用支柱固定具(1)を使用した他の固定構造においても同様の作用効果が得られる。
【0045】
上記第二作業工程により複数の園芸用支柱(12)を栽培容器(8)に対して固定した後、連結部材(13)及び線材(18)を使用して複数の園芸用支柱(12)を連結する。(図8(b)(c)参照)
その後、連結部材(13)により連結された複数個の支柱(12)を外側から覆うようにシート(15)を被せ、シート(15)の下方部を紐(16)により栽培容器(8)に対して括ることにより作業が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、草花や野菜等の植物の茎を支持するための支柱を、プランター等の栽培容器に対して固定して倒れないようにするために利用される。
【符号の説明】
【0047】
1 園芸用支柱固定具
2 コイル状部
3a 他方のアーム部
3b 一方のアーム部
4 第一係止部
5 第二係止部
6 固定補助具
7 園芸用支柱(直線状)
8 栽培容器
9 ループ状部
10 延出部
11a フック状部
11b フック状部
12 園芸用支柱(逆U字状)
13 連結部材
14 連結部材の係止部
15 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能なコイル状部と、
前記コイル状部の両端から該コイル状部の軸線方向に且つ互いに反対方向に延出されたアーム部と、
前記アーム部の夫々の先端を折り曲げて形成された一対の係止部とからなり、
前記一対の係止部を構成する第一係止部と第二係止部が、互いに90°ねじれた位置関係にあることを特徴とする園芸用支柱固定具。
【請求項2】
前記第一係止部がループ状に形成され、
前記第二係止部がフック状に形成され、
前記アーム部は、前記第二係止部が先端に形成された一方のアーム部が、前記第一係止部が先端に形成された他方のアーム部より長いことを特徴とする請求項1記載の園芸用支柱固定具。
【請求項3】
前記第一係止部及び前記第二係止部がフック状に形成され、
前記アーム部は、前記第一係止部が先端に形成された一方のアーム部と、前記第二係止部が先端に形成された他方のアーム部が、略同じ長さに形成されていることを特徴とする請求項1記載の園芸用支柱固定具。
【請求項4】
請求項2記載の園芸用支柱固定具と、固定補助具とを使用した園芸用支柱固定構造であって、
前記固定補助具は、園芸用の支柱が挿通されるループ状部と、該ループ状部の両端から互いに反対方向に延びる延出部と、該延出部の夫々の先端を折り曲げて形成されたフック状部とからなり、
前記固定補助具のループ状部に直線状の園芸用支柱が挿通され、
前記固定補助具の一方のフック状部に対して一の園芸用支柱固定具の第一係止部が係止され、前記固定補助具の他方のフック状部に対して他の園芸用支柱固定具の第一係止部が係止され、
前記一の園芸用支柱固定具の第二係止部と、前記他の園芸用支柱固定具の第二係止部とが、栽培容器の縁部に対して夫々係止されることを特徴とする園芸用支柱固定構造。
【請求項5】
請求項2記載の園芸用支柱固定具を使用した園芸用支柱固定構造であって、
逆U字状に屈曲された園芸用支柱の左右の脚部が栽培容器の内面に沿って配置され、
一の園芸用支柱固定具の第一係止部に対して右側の前記脚部が挿通され、他の園芸用支柱固定具の第一係止部に対して左側の前記脚部が挿通され、
前記一の園芸用支柱固定具の第二係止部と、前記他の園芸用支柱固定具の第二係止部とが、栽培容器の縁部に対して夫々係止されることを特徴とする園芸用支柱固定構造。
【請求項6】
前記逆U字状に屈曲された園芸用支柱が栽培容器の長さ方向に沿って複数個配置され、
これら複数個の園芸用支柱の上端部同士が棒状の連結部材により連結され、
前記棒状の連結部材により連結された複数個の園芸用支柱を外側から覆うようにシートが被せられていることを特徴とする請求項5記載の園芸用支柱固定構造。
【請求項7】
請求項3記載の園芸用支柱固定具を使用した園芸用支柱固定構造であって、
1本の園芸用支柱に対して、複数の園芸用支柱固定具の第一係止部が夫々異なる方向から係止され、
前記複数の園芸用支柱固定具の第二係止部が、栽培容器の縁部に対して夫々異なる位置にて係止されることを特徴とする園芸用支柱固定構造。
【請求項8】
1本の園芸用の支柱に対して、3つ以上の園芸用支柱固定具の第一係止部が夫々異なる方向から係止され、
前記3つ以上の園芸用支柱固定具の第二係止部が、上面視円形の栽培容器の縁部に対して夫々異なる位置にて係止されることを特徴とする請求項7記載の園芸用支柱固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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