説明

土付き苗用の培土

【課題】移植前に培土基材と固化剤とを混合する必要がなく、また培土基材の含有成分に影響されることなく安定して所望の固化強度が得られ、機械移植の際に、根鉢部が崩壊したり、根部と培土とが分離することのない土付き苗の培土を提供する。
【解決手段】スメクタイト、複鎖型粘土鉱物、カオリン鉱物、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つの鉱物を主成分とする粉体と、アクリルアミドを主成分とする重合体と、培土基材とを含有させる。ここで、前記重合体の含有率としては、培土全体に対して0.2〜3重量%の範囲が好ましい。また、前記粉体の含有率としては、培土全体に対して1〜20重量%の範囲が好ましい。そしてまた、前記培土基材は、天然土壌及び繊維状物質の少なくとも一方を含有しているのが好ましい。また、培土のかさ比重としては0.8kg/L以下が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土付き苗用の培土に関し、より詳細には、土付き苗の機械移植に適した培土に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、農作業の省力化等の観点から、育苗容器で育成された苗を、根部に土が付いた状態のまま取り出し、これを機械移植する方法が広く行われている。この機械移植によれば、比較的均一で強健な苗が得やすいものの、機械移植の際に、苗の根部の培土(根鉢部)が崩壊したり、根部と培土とが分離することがあった。
【0003】
このため、固化剤を培土基材に添加して根鉢部の強度を高める方法が提案され実施されている。固化剤としては、例えば、アクリル酸塩を含むアクリルアミド共重合体が提案されている(例えば特許文献1など)。
【0004】
ところが、アクリルアミド共重合体を固化剤として培土基材に添加する方法では、固化剤と培土基材とを混合することによって、培土基材中の水溶性の多価金属イオンが固化剤粒子の表面に結合して不溶性の殻が形成され、混合後の保管条件によっては固化剤が不溶化し固化活性を失ってしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、培土基材と固化剤とを別々に包装し、使用の直前に混合するという方法が提案されている(例えば特許文献2など)。また、無機イオン封止剤を固化剤と共に培土基材に添加し、固化剤の不溶化を防ぐ方法も提案されている(例えば特許文献3など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59-059119号公報
【特許文献2】特開平11-235127号公報
【特許文献3】特開2000-236743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前者の方法では、培土基材と固化剤とを混合する作業が新たに必要となり、省力化という所期の目的が充分には達成されない。また、培土基材と固化剤とを混合するための機械が必要となり、このような機械を有さない使用者には適さない。他方、後者の方法では、上記のような混合作業を必要としないが、培土基材から溶出した多価金属イオンと固化剤との反応が、固化剤が溶解・拡散した後も無機イオン封止剤によって抑制されるので、固化剤による固化作用は弱いものにならざるを得ない。また、培土基材として用いている土壌は天然素材であるため、多価金属イオンの含有率や組成、活性が、土壌の採取場所や採取年次などによって様々に変動し、固化剤の反応強度や無機イオン封止剤の効果が安定しない。
【0008】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移植前に培土基材と固化剤とを混合する必要がなく、また培土基材の含有成分に影響されることなく安定して所望の固化強度が得られ、機械移植の際に、根鉢部が崩壊したり、根部と培土とが分離することのない土付き苗の培土を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、アクリルアミドを主成分とする重合体と共に、スメクタイト、複鎖型粘土鉱物、カオリン鉱物、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つの鉱物を主成分とする粉体(以下、「鉱物粉体」と記すことがある)を培土に含有させることによって、培土基材に含まれる多価金属イオン量に影響されることなく、安定して所望の固化強度が得られることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明に係る土付き苗用の培土は、前記の鉱物粉体と、アクリルアミドを主成分とする重合体と、培土基材とを含むことを特徴とする。なお、「アクリルアミドを主成分とする」とは、重合体に占めるアクリルアミドの重量割合が50%以上であることを意味し、「スメクタイト、複鎖型粘土鉱物、カオリン鉱物、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つの鉱物を主成分とする」とは、鉱物粉体に占める前記鉱物の総重量割合が50%以上であることを意味する。
【0010】
ここで、前記重合体の含有率としては、培土全体に対して0.2〜3重量%の範囲が好ましい。
【0011】
また、鉱物粉体の含有率としては、培土全体に対して1〜20重量%の範囲が好ましい。
【0012】
そしてまた、前記培土基材は、天然土壌及び繊維状物質の少なくとも一方を含有しているのが好ましい。
【0013】
また、培土のかさ比重としては0.8kg/L以下が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る土付き苗用の培土によれば、移植前に培土基材と固化剤とを混合する必要がなく、一層の省力化が図れる。また、培土基材の含有成分に影響されることなく、安定して所望の固化強度が得られる。これにより、機械移植の際に、根鉢部が崩壊したり、根部と培土とが分離することがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例において培土の充填性を測定する際に使用した底部が1/3欠損したポットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る土付き苗用の培土(以下、単に「培土」と記すことがある)は、アクリルアミドを主成分とする重合体と、スメクタイト、複鎖型粘土鉱物、カオリン鉱物、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つの鉱物を主成分とする粉体と、培土基材とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明で使用するアクリルアミドを主成分とする重合体としては、ポリアクリルアミド及びアクリルアミドと他の単量体との共重合体が挙げられる。アクリルアミドと共重合可能な単量体としては、カルボキシル基又はカルボン酸塩形基を含有する単量体や、スルホン酸(塩)基を含有する単量体などアニオン性官能基を有する単量体が好適である。カルボキシル基又はカルボン酸塩形基を含有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸やマレイン酸、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート及びその塩などが挙げられる。スルホン酸(塩)基を含有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸やスチレンスルホン酸、アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸及びその塩などが挙げられる。また、塩としては、Na,K,Liなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。これらの中でもアルカリ金属塩が好ましい。アクリルアミドと共重合可能な単量体のモル含有率は、30%以下が好ましく、15%以下がさらに好ましい。また、分子量としては、500万以上が好ましく、800万以上がさらに好ましい。
【0018】
培土における、アクリルアミドを主成分とする重合体の含有率としては、0.2〜3重量%の範囲が好ましい。前記重合体の含有率が0.2重量%未満であると、培土の充分な固化強度が得られないおそれがある一方、3重量%を超えると、植物の発芽に悪影響を与えるおそれがある。
【0019】
本発明で使用する鉱物粉体は、スメクタイト、複鎖型粘土鉱物、カオリン鉱物、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つの鉱物を主成分とするものである。スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどが挙げられ、これらの中でもモンモリロナイトが好適である。層間イオン種による分類としては、一般的に、カルシウム型モンモリロナイト、ナトリウム型モンモリロナイト、水素型モンモリロナイト(酸性白土)などがあるが、カルシウム型及びナトリウム型が最も好ましい。複鎖型粘土鉱物としては、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイトなどが挙げられる。カオリン鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロサイトなどが挙げられる。これらの鉱物の総含有量が鉱物粉体の50重量%以上であればよい。本発明で使用する鉱物粉体の平均粒子径は100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがさらに好ましい。
【0020】
培土における鉱物粉体の含有率としては、1〜20重量%の範囲が好ましい。前記粉体鉱物の含有率が1重量%未満であると、培土の充分な固化強度が得られないおそれがある一方、20重量%を超えると、植物の発芽に悪影響を与えるおそれがある。
【0021】
本発明で使用する培土基材としては、従来公知のものが使用できる。例えば、黒ボク土、砂、火山灰、軽石、赤玉土、鹿沼土、日向土、田土などの天然土壌;ピートモス、バーク堆肥、チップ堆肥、おがくず、竹粉など植物性の繊維状物質及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、天然土壌としては、粒子形状が偏析の起きにくい不定形で、且つかさ比重が小さいことから火山灰や軽石を含んでいることが好ましく、さらに、pH緩衝性やイオン交換性、適度な粘性などを持たせるため、粘土や黒ぼく土や赤土などを含んでいることが好ましい。これらの成分を混合して造粒した粒状培土が特に好ましい。また、植物性の繊維状物質としては、品質が安定しているピートモスが好ましい。
【0022】
培土基材には、天然土壌及び繊維状物質の少なくとも一方を含有させるのが好ましい。植物性の繊維状物質を含有させる場合、培土基材に占める繊維状物質の割合は、2重量%以上が好ましく、3〜40重量%の範囲がさらに好ましく、5〜25%の範囲が最も好ましい。また、培土基材に軽量のものを用いることにより、培土のかさ比重を0.8kg/L以下とするのが好ましい。これにより、輸送コストが低くなると共に、育苗容器の重量が軽くなり運搬労力等が軽減されるようになる。ここでいうかさ比重は、粉粒体を自由落下によって一定容量の容器に充填し、それ以上振動や衝撃を加えることなく、粒子間の空隙が多い状態で測定した場合のかさ比重(ルースかさ比重)を指す。
【0023】
本発明の培土は、例えば、前記重合体と鉱物粉体とを培土基材に添加することにより作製される。より詳細には、前記重合体と鉱物粉体とをそれぞれ培土基材に添加してもよいし、前記重合体と鉱物粉体とを混合して、鉱物粉体に前記重合体を付着・含浸させた後、これを培土基材に添加してもよい。なお、混合は、ミキサーなどの従来公知の混合機を用いて行うことができる。
【0024】
本発明の培土は、野菜や花き、苗木、水稲などの容器での育苗に好適であり、特に、たまねぎなどのような主根のみで側根を持たないか又は少ない植物に好適である。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0026】
(実施例1〜13,比較例1〜3)
培土基材としての粒状培土とピートモスの混合物(かさ比重:0.50〜0.65kg/L)と、アクリルアミド系重合体と、スメクタイト(モンモリロナイト)を主成分とする鉱物粉体と、界面活性剤とを、表1に示す重量割合となるように秤量した後、ミキサーに投入して混合し、実施例1〜13及び比較例1,2の培土を作製した。また、比較例3として、市販されている培土「オニオンエース」(片倉チッカリン社製)を用いた。そして、作製した培土の物性を以下の方法により測定した。測定結果を表1に合わせて示す。
【0027】
(かさ比重)
容積1L(直径約10cm、深さ約13cm)のプラスチック製カップに、作製した培土を上から振り落として充填し、カップのふちをすりきって正確に1Lを量りとり、内容物重量を電子天秤で秤量し、かさ比重を算出した。
【0028】
(含水率)
(1)任意容量の耐熱容器を準備し、その重量を測定する(重量aとする)。
(2)本発明の培土を所定量(例えば、5〜10g程度)を前記の耐熱容器内に入れて、その重量を測定する(重量bとする)。
(3)耐熱容器ごとオーブンに入れて、105℃で16〜24時間程度、加熱乾燥する。
(4)乾燥後の耐熱容器ごと、シリカゲルの入ったデシケーター内に入れて、常温になるまで放置した後、その重量を測定する(重量cとする)。
(5)下記式から含水率を求める。
含水率(fw%)=(b−c)/(b−a)×100
【0029】
【表1】

【0030】
(育苗)
作製後数日経過後の培土を用いて、下記の手順でたまねぎの育苗を行った。ただし、実施例12のみ、製造から6ヶ月経過後の培土を用いた。
(1)直径16mm、深さ25mmのポット448個からなる育苗トレイに、培土を床土として充填した。その際、充填量を測定した。そして、播種するスペースを確保するため、ポット中の床土を上から鎮圧した後、たまねぎのコーティング種子(品種:北もみじ2000)を播種し、同一の培土で覆土した。
(2)播種し終わった育苗トレイの重量を測定した後、ハウス内に運び、育苗床に育苗トレイの底面が充分に密着するように圧着設置した。トレイ1枚当り1Lの灌水を行なった。10日間シルバーポリトウで覆って発芽させ、シルバーポリトウを取り去った。
(3)その後、適時に灌水を行って育苗した。その間、発芽が出揃って、数値が安定した時点で、正常発芽率を計測した。
(4)播種後45日目から灌水を10日間止め、その後、トレイ1枚当たり1Lの灌水を行なった。
(5)灌水24時間後に育苗床から育苗トレイをはがし、移植機(みのる産業社製「OPR4」)を用いて以下の要領で移植を行い、移植適性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0031】
(苗の移植適性評価)
移植機の植え付け部を地面から浮いた状態にし、植え付け部の下に苗受け容器を設置した。そして、育苗トレイを移植機に仕掛け、移植機を最大速度で稼動させた。苗受け容器に落下してきた苗を回収し、無作為に50〜100本程度をサンプリングし、根鉢部の固化状態を下記基準で評価しその個数比率(%)を算出した。
「形状維持」:培土がポットの形状を保っている。
「半壊」 :半分以上の培土が失われている。
「全壊」 :培土が完全に失われている。
【0032】
【表2】

【0033】
表2から明らかなように、実施例1〜13の培土では、正常発芽率が97.5%以上と良好で、移植適性評価において、大半の根鉢部がポットの形状を保っており、根鉢部の全壊となったものはなかった。これに対し、鉱物粉体を添加しなかった比較例1の培土では、移植適性評価において、培土の半分以上が半壊又は全壊となった。また、アクリルアミド系重合体を添加しなかった比較例2の培土では、移植適性評価においてすべての培土が全壊となった。一方、比較例3の市販培土「オニオンエース」では、正常発芽率及び移植適性評価も良好であったが、かさ比重が0.85kg/Lと実施例1〜13の各培土よりも大きいため、播種後の育苗トレイ重量が2160gにもなり、播種機への培土投入や運搬、播種後の育苗トレイの運搬などの作業負担が大きくなると共に、輸送コストも大きくなると推測される。また、次に説明する、培土をポットに充填する段階において不具合の発生するおそれがある。
【0034】
(培土の充填性)
実施例1と比較例3の培土について、ポットへの充填性を下記方法によってさらに測定した。結果を表3に示す。
図1に示すような底部が1/3欠損したポットを200個用意し、みのる産業社製のタマネギ自動播種機「OSE-100」を用いてこれらのポットに培土を充填した。そして、ポット欠損部からの培土の流亡の有無を目視により観察し、培土が流亡したポット数を数えた。
【0035】
【表3】

【0036】
表3から明らかなように、実施例1の培土ではポット底部からの流亡はゼロであったのに対し、かさ比重の大きい比較例3の培土では106個ものポットにおいて流亡が発生した。
【0037】
(実施例14〜20,比較例4〜11)
表4に示す鉱物を主成分とする粉体6.54重量%と、培土基材としての粒状培土83.71重量%と、ピートモス8.49重量%と、アクリルアミド系重合体1.12重量%と、界面活性剤0.09重量%とをミキサーに投入して混合し、実施例14〜20及び比較例4〜11の培土を作製した。なお、培土のpHを6〜7に調整するため、pH調整剤としての消石灰を必要によりさらに添加した。そして、作製直後の培土及び温度20℃のインキュベータ器内に密閉状態で1ヶ月保存した培土の圧縮強度を測定した。測定結果を表4に合わせて示す。
【0038】
(培土の圧縮強度の測定方法)
直径16mm、深さ25mmのポット14個に、作製した培土30gを充填した。そして、ポット中の培土を専用鎮圧機によって鎮圧した後、鎮圧によって生じた空間部に覆土を充填しポットのふちをすり切った。次に、ポット底面から吸水させた後、ポットをラップで包み温度20℃で72時間養生させ培土を固化させた。次いで、ラップを取り除いた後、乾燥機を用いて50℃で40時間乾燥させた。
乾燥させた培土をポットから取り出し、純水に15分間浸漬させた後、ウエス上に5分間載置して脱水した。そして、イマダ社製のデジタルフォースゲージを用いて圧縮強度を測定した。
【0039】
【表4】

【0040】
実施例14〜20の本発明に係る培土は、圧縮強度が4.7N〜7.8Nと高く、また1ヶ月保存後も圧縮強度は高い値を保っていた。これに対し、鉱物粉体を配合しなかった比較例4の培土は圧縮強度が3.6Nと低かった。また、比較例5の培土は、作製直後の圧縮強度は5.5Nと高かったものの、1ヶ月保存後は3.3Nにまで低下し保存安定性に欠けるものであった。さらに、比較例6〜11培土はいずれも作製直後の圧縮強度が3.8N以下と低いものであった。
【0041】
(実施例21,比較例12)
スメクタイト(Ca型モンモリロナイト)を主成分とする粉体4.33重量%と、粒状培土26.66重量%と、ピートモス21.33重量%と、火山レキ29.49重量%と、アクリルアミド系重合体0.58重量%とをミキサーに投入して混合して、実施例21の培土を作製した。一方、比較例12として、市販されている培土「全農 与作N150」(チッソ旭肥料社製)を用いた。そして、それぞれの培土を用いて下記要領でたまねぎの育苗を行いその発芽率を測定すると共に、根鉢強度を測定した。測定結果を表5に合わせて示す。
【0042】
(育苗)
(1)直径16mm、深さ25mmのポット448個からなる育苗トレイに、培土を床土として充填した。そして、播種するスペースを確保するため、ポット中の床土を上から鎮圧した後、たまねぎのコーティング種子(品種:ターザン)を播種し、同一の培土で覆土した。
(2)コンクリート床上に吸水マットを敷き、その上に防草シートを被せ、その上に播種し終わった育苗トレイを置いた。育苗トレイ1枚当り1Lの灌水を行なった。10日間シルバーポリトウで覆って発芽させ、シルバーポリトウを取り去った。
(3)その後、適時に灌水を行って育苗した。その間、発芽が出揃って、数値が安定した時点で、正常発芽率を計測した。結果を表5に示す。

【0043】
(根鉢強度の測定)
播種後45日目及び60日目に、育苗トレイのポットから100個の根鉢を抜き出し、高さ50cmの所から2回落下させ、根鉢の形状が半分以上残っているものを「移植可能」とし、移植可能な根鉢の数を数えた。結果を表5に合わせて示す。
【0044】
【表5】

【0045】
表5から明らかなように、実施例21の培土では、正常発芽率が98%と高く、しかも播種後45日目ですでに移植可能な強度に達していた。これに対し、比較例12の培土では、正常発芽率は実施例21の培土と同じであったが、播種後45日目では未だ移植可能な強度には達せず、苗の根が充分に成長した播種後60日目になってようやく移植可能な強度に達した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る土付き苗の培土によれば、移植前に培土基材と固化剤とを混合する必要がなく、また培土基材の含有成分に影響されることなく安定して所望の固化強度が得られ有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スメクタイト、複鎖型粘土鉱物、カオリン鉱物、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つの鉱物を主成分とする粉体と、アクリルアミドを主成分とする重合体と、培土基材とを含むことを特徴とする土付き苗用の培土。
【請求項2】
前記重合体の含有率が0.2〜3重量%である請求項1記載の土付き苗用の培土。
【請求項3】
前記粉体の含有率が1〜20重量%である請求項1又は2記載の土付き苗用の培土。
【請求項4】
前記培土基材が、天然土壌及び繊維状物質の少なくとも一方を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の土付き苗用の培土。
【請求項5】
かさ比重が0.8kg/L以下である請求項1〜4のいずれかに記載の土付き苗用の培土。

【図1】
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【公開番号】特開2011−200222(P2011−200222A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23559(P2011−23559)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(596005964)住化農業資材株式会社 (29)
【Fターム(参考)】