土嚢袋積層用固定具及び土嚢袋積層工法
【課題】土嚢袋は地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事、護岸工事、埋め立て工事などの土木建設工事において、積層された土嚢袋60を連結し、土嚢袋60の一体性の向上を図る土嚢袋積層用固定具10、20,30,40及び土嚢袋積層工法を提供する。
【解決手段】土嚢袋60の一体性を向上させるため面材11に突起体12を備えた土嚢袋積層用固定具10を土嚢袋60の下面部分に固定設置することによって、この土嚢袋積層用固定具10が積層された下方の土嚢袋60の中詰材61に突き刺さり複数段に敷設される土嚢袋60の一体性の向上を図る。
【解決手段】土嚢袋60の一体性を向上させるため面材11に突起体12を備えた土嚢袋積層用固定具10を土嚢袋60の下面部分に固定設置することによって、この土嚢袋積層用固定具10が積層された下方の土嚢袋60の中詰材61に突き刺さり複数段に敷設される土嚢袋60の一体性の向上を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事、護岸工事、埋め立て工事他の土木・建築などの建設工事おいて、土嚢袋(以下、トンパックや網目状袋などの袋形状の入れ物を含むものとする)に資材を投入しこれを積層する際に利用される土嚢袋積層用固定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土嚢袋は、地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事などの土木建設工事において、中材を投入し多段に積層された状態で利用される場合が多い。積層時の安定を図るため、従来技術例として、例えば、実用新案登録第3083868号(特許文献1)があり、図12は特許文献1に開示された従来例の土嚢袋の平面図である。従来の土嚢袋60は、図12に示すように、袋体102の一方側が開口した状態で袋状に縫製し、この袋体102の開口部分105の周囲に沿って外側に折り込んで袋部109を設け、この袋部109に紐108を通すことで、土嚢袋60が形成されていた。このように構成された土嚢袋60では、ゴム製の滑止部材103が土嚢袋表面に設けてあり、袋同士が安易にずれないようにし積み上げ時の安定を図っていた。
【特許文献1】実用新案登録第3083868号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来例の土嚢袋は、土嚢袋表面に設けてある摩擦抵抗の大きな素材でできた滑止部材103だけで安定を図っており、強度、耐久性は設置された滑止部材付土嚢袋の品質に左右され、長期的で強力な土嚢袋の一体化が特に要求されるような地盤補強や擁壁工事などでは、耐久性、摩擦強度共に品質確保が難しかった。また、専用の滑止付土嚢袋を利用するしか方法がなく、汎用性に欠けていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するため積層された土嚢袋を一体化させるため、請求項1の発明は、複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、前記ボルトを固定する固定ナットとを備え、前記各ボルトを前記面体の表面の孔から貫通させ前記面体の裏面に突出したボルトに固定ナットを螺入させることを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明は、前記固定ナットが、内部に雌ねじを有する第2の突起体で構成されることを特徴とする
【0006】
請求項3の発明は、前記面体がドーナッツ状の枠で構成されることを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、前記土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有することを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、前記土嚢袋積層用固定具の連結孔をそれぞれ接続する連結リブを有し、前記連結リブは、両先端に孔を有し、この孔を前記面体に設けられた連結孔にネジで取りつけることによって複数の面体を接続することを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、前記突起体のボルトに内部の雌ねじを螺着した複数の第2の突起体と、前記面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有する各土嚢袋積層用固定具を土嚢のリブで連結し、前記リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、面材に突起体をもつ土嚢袋積層用固定具を土嚢袋に取付け、その突起体が隣接する下部の土嚢袋の中詰材に物理的に食い込むことにより、土嚢袋間の摩擦力が増幅し、積層された土嚢袋が振動や荷重により倒壊するのを予防する効果がある。また、面材から飛び出た取付ボルトを土嚢袋に貫通させ固定ナットを前記ボルトに締め付けることによって、土嚢袋積層用固定具を土嚢袋に固定することにより、袋積層用袋固定材が土嚢袋からずれるのを防ぐ他、足場の確保が難しい高所作業や被災地での復旧作業において、土嚢を吊り下ろし下の土嚢袋に載せるだけで簡易に土嚢袋の一体化が可能となる。
【0011】
請求項2の発明によれば、面材の表裏両面に突起体もつ土嚢袋積層用固定具を土嚢袋間に置き、その突起体が隣接する下部の土嚢袋の中詰材に物理的に食い込むことにより、土嚢袋間の摩擦力が増幅し、積層された土嚢袋が振動や荷重による倒壊を予防する効果がある。
【0012】
請求項3の発明によれば、面体はドーナッツ状の枠で構成されその面全体に渡って突起体を設けることができ、枠の表裏両面に突起体もつ土嚢袋積層用固定具を土嚢袋間に置き、この突起体が隣接する下部の土嚢袋の中詰材に物理的に食い込むことにより土嚢袋間の摩擦力が増幅し、積層された土嚢袋が振動や荷重による倒壊を予防する効果がある。
【0013】
請求項4の発明によれば、土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有するので、この連結孔を連結することによってさらに土嚢袋間の摩擦力を強固にすることができ、積層された土嚢袋が振動や荷重による倒壊を予防する効果がある。また現場形状に合わせ、より柔軟な形状に対応して設置できる)。
【0014】
請求項5の発明によれば、土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具の連結孔間を連結リブで連結するので、さらに土嚢袋間の摩擦力を強固にすることができ、積層された土嚢袋が振動や荷重により倒壊することをより確実に予防する効果がある。
【0015】
請求項6の発明によれば、複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、突起体のボルトに内部の雌ねじを螺着した複数の第2の突起体と、面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有する各土嚢袋積層用固定具を土嚢のリブで連結し、リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置するので、土地の形状に合わせて隣接して置かれた複数の土嚢袋を強固に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。土嚢袋積層用固定具10は、図1(a)、(b)に示すように、面材11に取付けられた突起体12と取付ボルト13および固定ナット14から構成される。ここで、面体10の形状は、図1、図2においては矩形状に形成されているが、これに限定する必要はなく、円形や楕円形等の形状でもよい。図1(a)は、突起体12を面材11に開けられた孔15に挿入し、面材11の上に土嚢袋60の下面16を載せて、下面16から飛び出した取付ボルト13に固定ナット14を取りつけ、突起体12と面材11を土嚢袋60の下面16に固定した土嚢袋積層用固定具10を示す図である。図1(b)は、袋積層用固定材10を土嚢袋60に固定する様子を示す図である。図1(b)において、土嚢袋60の下面16は面材11と固定ナット14で挟まれるので、土嚢袋積層用固定具10は土嚢袋60に固定される。
【0017】
図2(a)は、土嚢袋積層用固定具10が取りつけられた土嚢袋60を下面方向から見た図である。土嚢袋積層用固定具10は、土嚢袋60の下面の4隅に固定され、その後に土嚢袋60の中に中詰材61が詰められる。図2(b)は、土嚢袋積層用固定具10が取りつけられた土嚢袋60を側面方向から見た断面図である。図2(b)において、土嚢袋60は中詰材61が中に詰められているので、直方体の形状を保っており、土嚢袋積層用固定具10は土嚢袋60の下面17に固定されている。
【0018】
図3は、図2(b)に示す土嚢袋60を多層に積み重ねた様子を示す図である。図3において、図2(b)に示すような突起体12が取りつけられた土嚢袋60を下の土嚢袋60の上に置くだけで突起体12が下部で隣接する土嚢袋60の中詰材61に食い込み、土嚢袋60同士を連結させ一体的に作用させる働きをする。特に土嚢袋を千鳥に積層させた場合、一体の土嚢袋の下に四つの土嚢袋がくるため多層に積まれた土嚢袋60の一体性が増す。突起体12の大きさや長さ形状などは、土嚢袋60の大きさ形状等または使用用途や施工状況により決められる。突起体12は面材11と個別に製作して面材11に取りつけるのみでなく、突起体12と面材11を一体成型してもよい。土嚢袋積層用固定具10の材質は、一般的にはポリプロピレンなどの樹脂系で形成されるが、必要強度によっては、腐食しにくいステンレス鋼や防腐処理をした金属類、またはこれらの混合によって形成しても良い。(上とダブリ)また土嚢袋積層用固定具10の土嚢袋面への固定方法は図に示した取付ボルト13及び固定ナット14に限定するものでなく、接着、縫い付けなどで堅固に取付けられてもよい。第1の実施形態の土嚢袋積層用固定具10を取りつけた土嚢袋60は、土嚢袋積層用固定具10を取りつけた土嚢袋60を下部の土嚢袋60に単に置くだけで隣接する土嚢袋60を積層できるので、高所作業や被災地、水中など人が容易に施工箇所に近づけない様な場所でも施工が可能である。
【0019】
第2実施形態
図4は、第2実施形態の土嚢袋積層用固定具の構成を示す図である。図4(a)は、土嚢袋積層用固定具20を斜め上から見た図である。ここで、面体20の形状は、図4、図8,図9、図10,図11においては矩形状に形成されているが、これに限定する必要はなく、図4(b)のように円形等の形状でもよい。図4(a)、(b)において、突起体12は土嚢袋積層用固定具20の面材21の両面に取りつけられる。図4(c)は、土嚢袋積層用固定具20を側面から見た図であり、面材21の両面に突起体12が突出しているところを強調したものである。図4(d)は、土嚢袋積層用固定具20の突起体12の部分断面図である。図4(d)において、例えば、一方の突起体12の取付ボルト13を面材21の下面から孔15に挿入して、雌ねじ19を内部に有する他方の突起体(第2の突起体)18で取付ボルト13を上面から締め付けることによって、面材21の両サイドに突起を設けることができる。
【0020】
図5は、多層に積み重ねられた土嚢袋60の間に図4に示す土嚢袋積層用固定具20をおいた様子を示す図である。図5において、突起体12、18は隣接する土嚢袋の中詰材61に食い込み、土嚢袋60同士を連結させ一体的に作用させる働きをする。第1実施形態の土嚢袋積層用固定具10と異なるところは、土嚢袋積層用固定具10においては、突起体12は面材11に取りつけられた後、土嚢袋60の下部に固定されるのに比べ、土嚢袋積層用固定具20の場合には面材21を土嚢袋60に止めることなく、土嚢袋60の上に置くだけでよいので、作業性が非常に良くなる。また、土嚢袋積層用固定具30は専用の袋でなくても、この土嚢袋積層用固定具20を利用することにより容易に隣接する複数の土嚢袋60を接続可能である。突起体12の大きさや長さ形状などは、土嚢袋60の大きさ形状等または使用用途や施工状況により変更可能である点は第1実施形態の場合と同じである。
【0021】
第3実施形態
図6は、第3実施形態の土嚢袋積層用固定具30の構成を示す図である。図6(a)は、土嚢袋積層用固定具30を斜め上から見た図である。図6(a)において、面材31はドーナッツ形の枠状に形成され、突起体12および第2の突起体18が土嚢袋積層用固定具30の面材31の両面に取りつけられる。ここで、枠の形状は、図6においては矩形状に形成されているが、これに限定する必要はなく、円形や楕円形等の枠でもよい。図6(b)は、土嚢袋積層用固定具30を上面から見た図であり、ドーナッツ形の枠状の面材31の面に沿って突起体12が並んでいるところを強調したものである。図6(c)は、土嚢袋積層用固定具30を側面から見た図であり、面材31の両面から突起体12および第2の突起体18が突出しているところを強調したものである。突起体12と第2の突起体18が面材31の両面に取りつけられる構造は図4(c)と同様であるので、詳細な構造図およびその説明は省略する。図6(c)において、連結孔16を破線で示してある。突起体12および第2の突起体18の大きさや長さ形状などは、土嚢袋60の大きさ形状等または使用用途や施工状況により変更可能である点は第1実施形態の場合と同じである。
【0022】
図7は、図6に示す土嚢袋積層用固定具30が隣接して並べられた土嚢袋60にまたがって置かれた様子を示す図である。図7において、突起体12および第2の突起体18は互いに上下で隣接する土嚢袋60の中詰材61に食い込み、土嚢袋60同士を連結させ一体的に作用させる働きをする。第2実施形態の土嚢袋積層用固定具20と異なるところは、土嚢袋積層用固定具20においては、突起体12は面材21の両面に取りつけられる点では同様であるが、第2実施形態の土嚢袋積層用固定具20は、上下の土嚢袋60を千鳥形に積む必要があるが、第3実施形態の土嚢袋積層用固定具30においては、隣接して並べられた土嚢袋60にまたがって土嚢袋積層用固定具30をおくことができるので、土嚢袋60を付設する手間が簡単になり、作業性が非常に良くなる。
【0023】
第4実施形態
図8は、第4実施形態の土嚢袋積層用固定具40を斜め上から見た図である。図8においては、土嚢袋積層用固定具40は、複数の土嚢袋積層用固定具20を連結リブ50で連結することによって面状に構成される。土嚢袋積層用固定具20は第2実施形態で説明した土嚢袋積層用固定具であるが、この土嚢袋積層用固定具20は第1実施形態の土嚢袋積層用固定具10、第3実施形態の土嚢袋積層用固定具30で置き換えることもできる。その構造は同様であるので、以下では土嚢袋積層用固定具20を用いた土嚢袋積層用固定具40について説明する。
【0024】
図9は、土嚢袋積層用固定具40を構成する連結リブ50の構造を示す図である。図9(a)において、連結リブ50は、その両先端にコの字型把持部51がありこの2つのコの字型把持部51の間はリブ55で繋がれている。このコの字型把持部51は、中心部に孔52が開けられ、土嚢袋積層用固定具20との間をビス53および固定ナット54で連結する機能を有する。コの字型把持部51の平面形状は矩形状に描いてあるが円形でも楕円形でも三角形でも構わない。
【0025】
連結リブ50は、図9(b)に示すように、その両先端にコの字型把持部51を設けることなく、リブ55の先端に孔52を開けて、この孔52を介して面材21と繋いでもよい。
【0026】
図9(c)は土嚢袋積層用固定具20に開けられた連結孔16にコの字型把持部51を有する連結リブ50を取りつける様子を示した図である。図9(c)において、連結リブ50のコの字型把持部51部分は土嚢袋積層用固定具20の面材21と連結孔16を介してネジで連結されることを示している。このように4つの土嚢袋積層用固定具20は4つの連結リブ50によって連結され一体の土嚢袋積層用固定具として機能する。
【0027】
図10は、隣接して並べられた土嚢袋60の各隅を連結するように図8に示される土嚢袋積層用固定具40を土嚢袋60の上に置いた図である。土嚢袋積層用固定具20は面材21の両面に突起体12および第2の突起体18を有し、積層される土嚢袋間に設置されることによって、土嚢袋積層用固定具20を土嚢袋に固定しなくとも中詰材の投入された重量のある土嚢袋の重さを利用し、または、土木工事用の重機の圧力を利用し、土嚢袋積層用固定具20の突起体12および第2の突起体18を土嚢袋に食い込ませることにより、土嚢袋を連結させ一体性を向上させる。このように、リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置することによって、隣接して置かれた複数の土嚢袋が上下方向及び横方向に一体化され強固に連結される。それによって、地震等の振動に対しても積層された土嚢袋がずれることを防止できる。突起体12の大きさや長さ、形状、材質などは、第1実施形態と同様に使用用途や施工状況により変更できる。このように土嚢袋積層用固定具40を土嚢袋60の上に置くだけで土嚢袋60を強固に連結することができるので、土嚢袋60を連結する手間が簡単になり、作業性が非常に良くなる。
【0028】
第5実施形態
第4実施形態においては、4つの土嚢袋積層用固定具20を4つの連結リブ50で連結して単体として使用できる土嚢袋積層用固定具40を一単位として用いて隣接する土嚢袋60を連結するようにしたが、第5実施形態においては、土地の形状に合わせて隣接して置かれた土嚢袋60に合わせて土嚢袋積層用固定具20を連結リブ50で連結する使用例を示す。
【0029】
図11は、土地に形状に合わせて連接して置かれた土嚢袋60の各4隅に土嚢袋積層用固定具20を配置しそれらの間を連結リブ50で連結した状態を示す図である。ある土嚢袋60と隣接する他の土嚢袋60との間の連結はいろいろな形態が可能である。
図11においても、土嚢袋積層用固定具20は面材21の両面に突起体12および第2の突起体18を有し、積層される土嚢袋間に設置されるので、土嚢袋積層用固定具20を土嚢袋に固定しなくとも中詰材の投入された重量のある土嚢袋の重さを利用し、または、土木工事用の重機の圧力を利用し、土嚢袋積層用固定具20の突起体12および第2の突起体18を土嚢袋に食い込ませることにより、隣接して置かれた複数の土嚢袋が上下方向及び横方向に一体化され強固に連結される。このように、地形の形状に合わせて隣接して置かれた土嚢袋の上にリブで連結された土嚢袋積層用固定具を配置することによって、隣接して置かれた複数の土嚢袋が上下方向及び横方向に一体化され強固に連結される。それによって、地震等の振動に対しても積層された土嚢袋がずれることを防止できる。図11の施工は土嚢袋60を設置する前に連結リブ50をセットできる現場であれば、どのような地形のところでも行うことができ、地形の形状に合わせて連結リブ50を種々の形に連結できるので、土嚢袋60のより強固な一体化が可能となる。また、突起体12および第2の突起体18の大きさや長さ、形状、材質などは、第1実施形態と同様に使用用途や施工状況により変更できる。このように土嚢袋積層用固定具40を土嚢袋60の上に置き連結リブ50で各土嚢袋60を連結するだけで土嚢袋60を強固に連結し一体化することができるので、土嚢袋60を連結する手間が簡単になり、作業性が非常に良くなる。土嚢袋60の連結は土嚢袋60を設置する前に行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事、護岸工事、埋め立て工事などの土木建設工事おいて、土嚢袋を積層する際に利用される土嚢袋積層用固定具として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を土嚢袋の下面に取付けた状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を取りつけた土嚢袋を多層に積み重ねた様子を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の土嚢袋積層用固定具を取りつけた土嚢袋を多層に積み重ねた様子を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態の土嚢袋積層用固定具を隣接して並べられた土嚢袋の上に置いた様子を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態の土嚢袋積層用固定具を構成する連結リブの構造を示す図である。
【図10】本発明の第4実施形態の土嚢袋積層用固定具を隣接して並べられた土嚢袋の上に置いた様子を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態の土嚢袋積層用固定具を隣接して並べられた土嚢袋上の四隅に置き、連結リブで土嚢袋積層用固定具間を連結した様子を示す図である。
【図12】滑り止めを施した従来の土嚢袋を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10 第1実施形態の土嚢袋積層用固定具
11 面材
12 突起体
13 取付ボルト
14 固定ナット
15 孔
16 連結孔
17 土嚢袋の下面生地
18 第2の突起体
19 雌ねじ部分
20 第2実施形態の土嚢袋積層用固定具
21 面材
30 第3実施形態の土嚢袋積層用固定具
31 面材
40 第4実施形態の土嚢袋積層用固定具
50 連結リブ
51 コの字型把持部
52 孔
53 ボルト
54 固定ナット
55 リブ
60 土嚢袋
61 中詰材
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事、護岸工事、埋め立て工事他の土木・建築などの建設工事おいて、土嚢袋(以下、トンパックや網目状袋などの袋形状の入れ物を含むものとする)に資材を投入しこれを積層する際に利用される土嚢袋積層用固定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土嚢袋は、地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事などの土木建設工事において、中材を投入し多段に積層された状態で利用される場合が多い。積層時の安定を図るため、従来技術例として、例えば、実用新案登録第3083868号(特許文献1)があり、図12は特許文献1に開示された従来例の土嚢袋の平面図である。従来の土嚢袋60は、図12に示すように、袋体102の一方側が開口した状態で袋状に縫製し、この袋体102の開口部分105の周囲に沿って外側に折り込んで袋部109を設け、この袋部109に紐108を通すことで、土嚢袋60が形成されていた。このように構成された土嚢袋60では、ゴム製の滑止部材103が土嚢袋表面に設けてあり、袋同士が安易にずれないようにし積み上げ時の安定を図っていた。
【特許文献1】実用新案登録第3083868号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来例の土嚢袋は、土嚢袋表面に設けてある摩擦抵抗の大きな素材でできた滑止部材103だけで安定を図っており、強度、耐久性は設置された滑止部材付土嚢袋の品質に左右され、長期的で強力な土嚢袋の一体化が特に要求されるような地盤補強や擁壁工事などでは、耐久性、摩擦強度共に品質確保が難しかった。また、専用の滑止付土嚢袋を利用するしか方法がなく、汎用性に欠けていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するため積層された土嚢袋を一体化させるため、請求項1の発明は、複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、前記ボルトを固定する固定ナットとを備え、前記各ボルトを前記面体の表面の孔から貫通させ前記面体の裏面に突出したボルトに固定ナットを螺入させることを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明は、前記固定ナットが、内部に雌ねじを有する第2の突起体で構成されることを特徴とする
【0006】
請求項3の発明は、前記面体がドーナッツ状の枠で構成されることを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、前記土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有することを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、前記土嚢袋積層用固定具の連結孔をそれぞれ接続する連結リブを有し、前記連結リブは、両先端に孔を有し、この孔を前記面体に設けられた連結孔にネジで取りつけることによって複数の面体を接続することを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、前記突起体のボルトに内部の雌ねじを螺着した複数の第2の突起体と、前記面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有する各土嚢袋積層用固定具を土嚢のリブで連結し、前記リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、面材に突起体をもつ土嚢袋積層用固定具を土嚢袋に取付け、その突起体が隣接する下部の土嚢袋の中詰材に物理的に食い込むことにより、土嚢袋間の摩擦力が増幅し、積層された土嚢袋が振動や荷重により倒壊するのを予防する効果がある。また、面材から飛び出た取付ボルトを土嚢袋に貫通させ固定ナットを前記ボルトに締め付けることによって、土嚢袋積層用固定具を土嚢袋に固定することにより、袋積層用袋固定材が土嚢袋からずれるのを防ぐ他、足場の確保が難しい高所作業や被災地での復旧作業において、土嚢を吊り下ろし下の土嚢袋に載せるだけで簡易に土嚢袋の一体化が可能となる。
【0011】
請求項2の発明によれば、面材の表裏両面に突起体もつ土嚢袋積層用固定具を土嚢袋間に置き、その突起体が隣接する下部の土嚢袋の中詰材に物理的に食い込むことにより、土嚢袋間の摩擦力が増幅し、積層された土嚢袋が振動や荷重による倒壊を予防する効果がある。
【0012】
請求項3の発明によれば、面体はドーナッツ状の枠で構成されその面全体に渡って突起体を設けることができ、枠の表裏両面に突起体もつ土嚢袋積層用固定具を土嚢袋間に置き、この突起体が隣接する下部の土嚢袋の中詰材に物理的に食い込むことにより土嚢袋間の摩擦力が増幅し、積層された土嚢袋が振動や荷重による倒壊を予防する効果がある。
【0013】
請求項4の発明によれば、土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有するので、この連結孔を連結することによってさらに土嚢袋間の摩擦力を強固にすることができ、積層された土嚢袋が振動や荷重による倒壊を予防する効果がある。また現場形状に合わせ、より柔軟な形状に対応して設置できる)。
【0014】
請求項5の発明によれば、土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具の連結孔間を連結リブで連結するので、さらに土嚢袋間の摩擦力を強固にすることができ、積層された土嚢袋が振動や荷重により倒壊することをより確実に予防する効果がある。
【0015】
請求項6の発明によれば、複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、突起体のボルトに内部の雌ねじを螺着した複数の第2の突起体と、面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有する各土嚢袋積層用固定具を土嚢のリブで連結し、リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置するので、土地の形状に合わせて隣接して置かれた複数の土嚢袋を強固に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。土嚢袋積層用固定具10は、図1(a)、(b)に示すように、面材11に取付けられた突起体12と取付ボルト13および固定ナット14から構成される。ここで、面体10の形状は、図1、図2においては矩形状に形成されているが、これに限定する必要はなく、円形や楕円形等の形状でもよい。図1(a)は、突起体12を面材11に開けられた孔15に挿入し、面材11の上に土嚢袋60の下面16を載せて、下面16から飛び出した取付ボルト13に固定ナット14を取りつけ、突起体12と面材11を土嚢袋60の下面16に固定した土嚢袋積層用固定具10を示す図である。図1(b)は、袋積層用固定材10を土嚢袋60に固定する様子を示す図である。図1(b)において、土嚢袋60の下面16は面材11と固定ナット14で挟まれるので、土嚢袋積層用固定具10は土嚢袋60に固定される。
【0017】
図2(a)は、土嚢袋積層用固定具10が取りつけられた土嚢袋60を下面方向から見た図である。土嚢袋積層用固定具10は、土嚢袋60の下面の4隅に固定され、その後に土嚢袋60の中に中詰材61が詰められる。図2(b)は、土嚢袋積層用固定具10が取りつけられた土嚢袋60を側面方向から見た断面図である。図2(b)において、土嚢袋60は中詰材61が中に詰められているので、直方体の形状を保っており、土嚢袋積層用固定具10は土嚢袋60の下面17に固定されている。
【0018】
図3は、図2(b)に示す土嚢袋60を多層に積み重ねた様子を示す図である。図3において、図2(b)に示すような突起体12が取りつけられた土嚢袋60を下の土嚢袋60の上に置くだけで突起体12が下部で隣接する土嚢袋60の中詰材61に食い込み、土嚢袋60同士を連結させ一体的に作用させる働きをする。特に土嚢袋を千鳥に積層させた場合、一体の土嚢袋の下に四つの土嚢袋がくるため多層に積まれた土嚢袋60の一体性が増す。突起体12の大きさや長さ形状などは、土嚢袋60の大きさ形状等または使用用途や施工状況により決められる。突起体12は面材11と個別に製作して面材11に取りつけるのみでなく、突起体12と面材11を一体成型してもよい。土嚢袋積層用固定具10の材質は、一般的にはポリプロピレンなどの樹脂系で形成されるが、必要強度によっては、腐食しにくいステンレス鋼や防腐処理をした金属類、またはこれらの混合によって形成しても良い。(上とダブリ)また土嚢袋積層用固定具10の土嚢袋面への固定方法は図に示した取付ボルト13及び固定ナット14に限定するものでなく、接着、縫い付けなどで堅固に取付けられてもよい。第1の実施形態の土嚢袋積層用固定具10を取りつけた土嚢袋60は、土嚢袋積層用固定具10を取りつけた土嚢袋60を下部の土嚢袋60に単に置くだけで隣接する土嚢袋60を積層できるので、高所作業や被災地、水中など人が容易に施工箇所に近づけない様な場所でも施工が可能である。
【0019】
第2実施形態
図4は、第2実施形態の土嚢袋積層用固定具の構成を示す図である。図4(a)は、土嚢袋積層用固定具20を斜め上から見た図である。ここで、面体20の形状は、図4、図8,図9、図10,図11においては矩形状に形成されているが、これに限定する必要はなく、図4(b)のように円形等の形状でもよい。図4(a)、(b)において、突起体12は土嚢袋積層用固定具20の面材21の両面に取りつけられる。図4(c)は、土嚢袋積層用固定具20を側面から見た図であり、面材21の両面に突起体12が突出しているところを強調したものである。図4(d)は、土嚢袋積層用固定具20の突起体12の部分断面図である。図4(d)において、例えば、一方の突起体12の取付ボルト13を面材21の下面から孔15に挿入して、雌ねじ19を内部に有する他方の突起体(第2の突起体)18で取付ボルト13を上面から締め付けることによって、面材21の両サイドに突起を設けることができる。
【0020】
図5は、多層に積み重ねられた土嚢袋60の間に図4に示す土嚢袋積層用固定具20をおいた様子を示す図である。図5において、突起体12、18は隣接する土嚢袋の中詰材61に食い込み、土嚢袋60同士を連結させ一体的に作用させる働きをする。第1実施形態の土嚢袋積層用固定具10と異なるところは、土嚢袋積層用固定具10においては、突起体12は面材11に取りつけられた後、土嚢袋60の下部に固定されるのに比べ、土嚢袋積層用固定具20の場合には面材21を土嚢袋60に止めることなく、土嚢袋60の上に置くだけでよいので、作業性が非常に良くなる。また、土嚢袋積層用固定具30は専用の袋でなくても、この土嚢袋積層用固定具20を利用することにより容易に隣接する複数の土嚢袋60を接続可能である。突起体12の大きさや長さ形状などは、土嚢袋60の大きさ形状等または使用用途や施工状況により変更可能である点は第1実施形態の場合と同じである。
【0021】
第3実施形態
図6は、第3実施形態の土嚢袋積層用固定具30の構成を示す図である。図6(a)は、土嚢袋積層用固定具30を斜め上から見た図である。図6(a)において、面材31はドーナッツ形の枠状に形成され、突起体12および第2の突起体18が土嚢袋積層用固定具30の面材31の両面に取りつけられる。ここで、枠の形状は、図6においては矩形状に形成されているが、これに限定する必要はなく、円形や楕円形等の枠でもよい。図6(b)は、土嚢袋積層用固定具30を上面から見た図であり、ドーナッツ形の枠状の面材31の面に沿って突起体12が並んでいるところを強調したものである。図6(c)は、土嚢袋積層用固定具30を側面から見た図であり、面材31の両面から突起体12および第2の突起体18が突出しているところを強調したものである。突起体12と第2の突起体18が面材31の両面に取りつけられる構造は図4(c)と同様であるので、詳細な構造図およびその説明は省略する。図6(c)において、連結孔16を破線で示してある。突起体12および第2の突起体18の大きさや長さ形状などは、土嚢袋60の大きさ形状等または使用用途や施工状況により変更可能である点は第1実施形態の場合と同じである。
【0022】
図7は、図6に示す土嚢袋積層用固定具30が隣接して並べられた土嚢袋60にまたがって置かれた様子を示す図である。図7において、突起体12および第2の突起体18は互いに上下で隣接する土嚢袋60の中詰材61に食い込み、土嚢袋60同士を連結させ一体的に作用させる働きをする。第2実施形態の土嚢袋積層用固定具20と異なるところは、土嚢袋積層用固定具20においては、突起体12は面材21の両面に取りつけられる点では同様であるが、第2実施形態の土嚢袋積層用固定具20は、上下の土嚢袋60を千鳥形に積む必要があるが、第3実施形態の土嚢袋積層用固定具30においては、隣接して並べられた土嚢袋60にまたがって土嚢袋積層用固定具30をおくことができるので、土嚢袋60を付設する手間が簡単になり、作業性が非常に良くなる。
【0023】
第4実施形態
図8は、第4実施形態の土嚢袋積層用固定具40を斜め上から見た図である。図8においては、土嚢袋積層用固定具40は、複数の土嚢袋積層用固定具20を連結リブ50で連結することによって面状に構成される。土嚢袋積層用固定具20は第2実施形態で説明した土嚢袋積層用固定具であるが、この土嚢袋積層用固定具20は第1実施形態の土嚢袋積層用固定具10、第3実施形態の土嚢袋積層用固定具30で置き換えることもできる。その構造は同様であるので、以下では土嚢袋積層用固定具20を用いた土嚢袋積層用固定具40について説明する。
【0024】
図9は、土嚢袋積層用固定具40を構成する連結リブ50の構造を示す図である。図9(a)において、連結リブ50は、その両先端にコの字型把持部51がありこの2つのコの字型把持部51の間はリブ55で繋がれている。このコの字型把持部51は、中心部に孔52が開けられ、土嚢袋積層用固定具20との間をビス53および固定ナット54で連結する機能を有する。コの字型把持部51の平面形状は矩形状に描いてあるが円形でも楕円形でも三角形でも構わない。
【0025】
連結リブ50は、図9(b)に示すように、その両先端にコの字型把持部51を設けることなく、リブ55の先端に孔52を開けて、この孔52を介して面材21と繋いでもよい。
【0026】
図9(c)は土嚢袋積層用固定具20に開けられた連結孔16にコの字型把持部51を有する連結リブ50を取りつける様子を示した図である。図9(c)において、連結リブ50のコの字型把持部51部分は土嚢袋積層用固定具20の面材21と連結孔16を介してネジで連結されることを示している。このように4つの土嚢袋積層用固定具20は4つの連結リブ50によって連結され一体の土嚢袋積層用固定具として機能する。
【0027】
図10は、隣接して並べられた土嚢袋60の各隅を連結するように図8に示される土嚢袋積層用固定具40を土嚢袋60の上に置いた図である。土嚢袋積層用固定具20は面材21の両面に突起体12および第2の突起体18を有し、積層される土嚢袋間に設置されることによって、土嚢袋積層用固定具20を土嚢袋に固定しなくとも中詰材の投入された重量のある土嚢袋の重さを利用し、または、土木工事用の重機の圧力を利用し、土嚢袋積層用固定具20の突起体12および第2の突起体18を土嚢袋に食い込ませることにより、土嚢袋を連結させ一体性を向上させる。このように、リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置することによって、隣接して置かれた複数の土嚢袋が上下方向及び横方向に一体化され強固に連結される。それによって、地震等の振動に対しても積層された土嚢袋がずれることを防止できる。突起体12の大きさや長さ、形状、材質などは、第1実施形態と同様に使用用途や施工状況により変更できる。このように土嚢袋積層用固定具40を土嚢袋60の上に置くだけで土嚢袋60を強固に連結することができるので、土嚢袋60を連結する手間が簡単になり、作業性が非常に良くなる。
【0028】
第5実施形態
第4実施形態においては、4つの土嚢袋積層用固定具20を4つの連結リブ50で連結して単体として使用できる土嚢袋積層用固定具40を一単位として用いて隣接する土嚢袋60を連結するようにしたが、第5実施形態においては、土地の形状に合わせて隣接して置かれた土嚢袋60に合わせて土嚢袋積層用固定具20を連結リブ50で連結する使用例を示す。
【0029】
図11は、土地に形状に合わせて連接して置かれた土嚢袋60の各4隅に土嚢袋積層用固定具20を配置しそれらの間を連結リブ50で連結した状態を示す図である。ある土嚢袋60と隣接する他の土嚢袋60との間の連結はいろいろな形態が可能である。
図11においても、土嚢袋積層用固定具20は面材21の両面に突起体12および第2の突起体18を有し、積層される土嚢袋間に設置されるので、土嚢袋積層用固定具20を土嚢袋に固定しなくとも中詰材の投入された重量のある土嚢袋の重さを利用し、または、土木工事用の重機の圧力を利用し、土嚢袋積層用固定具20の突起体12および第2の突起体18を土嚢袋に食い込ませることにより、隣接して置かれた複数の土嚢袋が上下方向及び横方向に一体化され強固に連結される。このように、地形の形状に合わせて隣接して置かれた土嚢袋の上にリブで連結された土嚢袋積層用固定具を配置することによって、隣接して置かれた複数の土嚢袋が上下方向及び横方向に一体化され強固に連結される。それによって、地震等の振動に対しても積層された土嚢袋がずれることを防止できる。図11の施工は土嚢袋60を設置する前に連結リブ50をセットできる現場であれば、どのような地形のところでも行うことができ、地形の形状に合わせて連結リブ50を種々の形に連結できるので、土嚢袋60のより強固な一体化が可能となる。また、突起体12および第2の突起体18の大きさや長さ、形状、材質などは、第1実施形態と同様に使用用途や施工状況により変更できる。このように土嚢袋積層用固定具40を土嚢袋60の上に置き連結リブ50で各土嚢袋60を連結するだけで土嚢袋60を強固に連結し一体化することができるので、土嚢袋60を連結する手間が簡単になり、作業性が非常に良くなる。土嚢袋60の連結は土嚢袋60を設置する前に行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、地盤改良、地盤補強、治水工事、擁壁工事、護岸工事、埋め立て工事などの土木建設工事おいて、土嚢袋を積層する際に利用される土嚢袋積層用固定具として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を土嚢袋の下面に取付けた状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態の土嚢袋積層用固定具を取りつけた土嚢袋を多層に積み重ねた様子を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の土嚢袋積層用固定具を取りつけた土嚢袋を多層に積み重ねた様子を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態の土嚢袋積層用固定具を隣接して並べられた土嚢袋の上に置いた様子を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態の土嚢袋積層用固定具を示す斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態の土嚢袋積層用固定具を構成する連結リブの構造を示す図である。
【図10】本発明の第4実施形態の土嚢袋積層用固定具を隣接して並べられた土嚢袋の上に置いた様子を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態の土嚢袋積層用固定具を隣接して並べられた土嚢袋上の四隅に置き、連結リブで土嚢袋積層用固定具間を連結した様子を示す図である。
【図12】滑り止めを施した従来の土嚢袋を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10 第1実施形態の土嚢袋積層用固定具
11 面材
12 突起体
13 取付ボルト
14 固定ナット
15 孔
16 連結孔
17 土嚢袋の下面生地
18 第2の突起体
19 雌ねじ部分
20 第2実施形態の土嚢袋積層用固定具
21 面材
30 第3実施形態の土嚢袋積層用固定具
31 面材
40 第4実施形態の土嚢袋積層用固定具
50 連結リブ
51 コの字型把持部
52 孔
53 ボルト
54 固定ナット
55 リブ
60 土嚢袋
61 中詰材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔を有する面体と、
突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、
前記ボルトを固定する固定ナットと
を備え、
前記各ボルトを前記面体の表面の孔から貫通させ前記面体の裏面に突出したボルトに固定ナットを螺入させることを特徴とする土嚢袋積層用固定具。
【請求項2】
前記固定ナットは、内部に雌ねじを有する第2の突起体で構成されることを特徴とする請求項1に記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項3】
前記面体はドーナッツ状の枠で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項4】
前記土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項5】
前記土嚢袋積層用固定具の連結孔をそれぞれ接続する連結リブを有し、
前記連結リブは、両先端に孔を有し、この孔を前記面体に設けられた連結孔に結合することによって複数の面体を連結することを特徴とする請求項4に記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項6】
複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、前記突起体のボルトに内部の雌ねじを螺着した複数の第2の突起体と、前記面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有する各土嚢袋積層用固定具を土嚢のリブで連結し、
前記リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置することを特徴とする土嚢袋積層工法。
【請求項1】
複数の孔を有する面体と、
突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、
前記ボルトを固定する固定ナットと
を備え、
前記各ボルトを前記面体の表面の孔から貫通させ前記面体の裏面に突出したボルトに固定ナットを螺入させることを特徴とする土嚢袋積層用固定具。
【請求項2】
前記固定ナットは、内部に雌ねじを有する第2の突起体で構成されることを特徴とする請求項1に記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項3】
前記面体はドーナッツ状の枠で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項4】
前記土嚢袋積層用固定具の面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項5】
前記土嚢袋積層用固定具の連結孔をそれぞれ接続する連結リブを有し、
前記連結リブは、両先端に孔を有し、この孔を前記面体に設けられた連結孔に結合することによって複数の面体を連結することを特徴とする請求項4に記載の土嚢袋積層用固定具。
【請求項6】
複数の孔を有する面体と、突起先端部とボルトを有する複数の突起体と、前記突起体のボルトに内部の雌ねじを螺着した複数の第2の突起体と、前記面体の一部に複数の土嚢袋積層用固定具を連結するための連結孔を有する各土嚢袋積層用固定具を土嚢のリブで連結し、
前記リブで連結された土嚢袋積層用固定具を隣接して置かれた土嚢袋間に配置することを特徴とする土嚢袋積層工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−2013(P2009−2013A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162587(P2007−162587)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(506304325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(506304325)
【Fターム(参考)】
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