説明

土嚢

【課題】内袋と共に膨潤性吸水樹脂を簡単に交換でき、外袋を繰り返し使用可能な土嚢を提供すること。
【解決手段】透水性素材より成り、開閉可能な開口部4を有する外袋1の内部に、透水性素材より成る内袋2を着脱自在に固定し、内袋2の内部に膨潤性吸水材3を収納してある。外袋1及び内袋2は、相似の直方体形状に形成すると良い。外袋1の四隅に内袋2の四隅を固定しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土嚢に関する。
【背景技術】
【0002】
災害や事故による出水で家屋、地下道等が浸水したり、崖が崩れるのを防ぐために、多数の土嚢を積み上げて止水することが行なわれている。
一般的な土嚢は、麻袋のような通水性の高い袋に土砂を充填してあるため、土砂の運搬に大型の重機を必要とし、充填作業に手間がかかって、災害が発生しても速やかに対応することができなかった。また、このような土嚢は、吸水する前であっても非常に重いので、運搬して積み上げるのは重労働であった。
【0003】
そこで、従来、使用前はコンパクトで軽いが、吸水すると膨張して重くなり、止水機能を発揮する土嚢が種々提案されている。
例えば、特許文献1に記載の土嚢は、通水性を備える外袋と、外袋内に収納された水溶性の内袋と、内袋の内部に収納された水膨潤性樹脂及びベントナイトとから成る。
また、特許文献2には、麻布製の外袋と綿布製の内袋で形成された2重の袋体の中に、粉末状の吸水性樹脂を封入して成る土嚢が記載されている。
しかし、これら従来の土嚢は、吸水して膨張した吸水樹脂を袋から完全に取り出すのが困難なため、袋及び吸水樹脂を全て廃棄しており、災害時に大量の土嚢を使用した場合には、経済的な無駄が多いだけでなく、ゴミの処理にも手間がかかる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−201709号公報
【特許文献2】特開2003−301436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、内袋と共に膨潤性吸水樹脂を簡単に交換でき、外袋を繰り返し使用可能な土嚢を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の土嚢は、透水性素材より成り、開閉可能な開口部を有する外袋の内部に、透水性素材より成る内袋を着脱自在に固定し、該内袋の内部に膨潤性吸水材を収納して構成される。
前記外袋及び内袋は、相似の直方体形状に形成すると良い。
前記外袋の四隅に内袋の四隅を固定しても良い。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、吸水して膨張した膨潤性吸水材を内袋と共に外袋から取り出し、簡単に新たな内袋及び膨潤性吸水材と交換できるので、外袋を繰り返し使用することができて経済的である。
また、膨潤性吸水材が内袋に収納されているので、粒状或いは粉末上の膨潤性吸水材を用いても目の粗い外袋から漏れ難い。
さらに、内袋が外袋に固定されてずれないため、吸水前の土嚢の厚みが偏ることが無く、多数の土嚢を安定して積み上げることができる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、膨潤性吸水材が水を吸った時、土嚢は表面が平坦な状態を保って膨張するので、多数の土嚢が隙間無く安定して積み重ねられ、止水性能が大幅に高まる。
請求項3に係る発明によれば、安定して内袋を外袋に固定し、内袋の位置ずれを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の土嚢Aは、外袋1と、内袋2と、膨潤性吸水材3とを備える。
外袋1は、吸水後の重量にも耐えられる強度を有する透水性の高い素材より成る。外袋1の素材としては、目の粗い黄麻布、合成繊維布等がある。
また、外袋1は、図2に示すように、上面布、下面布、及び、4枚の側面布を縫製して、長さ45cm、幅35cm、高さ15cm程度の直方体形状に形成されている。
外袋1は直方体に限らず、立方体、楕円、円等の形状にすることができる。
【0010】
外袋1には、長さ方向及び幅方向の隣接する2辺に亘って開口部4が形成されると共に、開口部4を開閉するスライドファスナー5が装着されている。
また、外袋1の外面において8箇所の角には、土嚢Aを積み重ねたときに隣接する外袋1どうしを連結するための紐6が装着されている。
さらに、外袋1の内面の適宜箇所(本実施例では角部)には、ベルベットクロスファスナー、スナップボタン、止めピン、連結用紐等の固定具7が装着されている。
【0011】
内袋2は、綿布(例えば、ガーゼ)等の安価で透水性の高い素材より成り、外袋1とほぼ同寸法の直方体に形成される。
また、内袋2の外面において外袋1の固定具7と対応する位置には、固定具7と着脱自在に係合する固定具7’が装着されている。勿論、止めピンのような対応する部材を必要としない固定具7であれば、内袋2側には固定具7’が装着されない。
この内袋2は、内部に膨潤性吸水材3を収納してから閉鎖され、開口部4を通して外袋1内に収納される。膨潤性吸水材3を内袋2に収納したことにより、膨潤性吸水材3が目の粗い外袋1を通してこぼれだすのを防ぐことができる。
内袋2は固定具7,7’により外袋1の内面に固定され、外袋1内でずれないようになっている。
【0012】
膨潤性吸水材3は、ポリアクリル酸塩等の吸水して膨張する吸水性樹脂を粒状としたものである。
また、膨潤性吸水材3を、図1に示すように、水分によって破損しやすい薄手の紙等を素材とする小袋8に充填し、小袋8を内袋2の内面に固定すると良い。これにより、さらに膨潤性吸水材3がこぼれだすのを防止できる。
なお、膨潤性吸水材3が充填された複数の小袋8を内袋2内に収納しても良い。
【0013】
この土嚢Aは、吸水前は扁平で軽いため、外袋1の上面布と下面布とを重ねながら容易に適宜列数及び段数で積み重ねることができる。また、水流によって土嚢Aがばらばらにならないよう、上下左右に隣接する外袋1どうしの紐6を結んですべての土嚢Aを一体に結合する。
膨潤性吸水材3が吸水すると、外袋1及び内袋2が直方体に形成されているため、土嚢Aは直方体に膨張する。従って、図3に示すように、土嚢Aは大きな隙間ができないよう密接して積み重なり、しかも、土嚢Aどうしが連結されているので、崩れ難く、止水効果が高い。
また、使用後は、膨張した膨潤性吸水材3を内袋2と共に外袋1から取り出し、新しい内袋2及び膨潤性吸水材3と交換すれば、外袋1を繰り返し使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例を示す土嚢の一部破断平面図。
【図2】本発明の実施例を示す土嚢の膨張時における断面図。
【図3】本発明の実施例を示す土嚢の使用状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0015】
A 土嚢
1 外袋
2 内袋
3 膨潤性吸水材
4 開口部
5 スライドファスナー
6 紐
7,7’ 固定具
8 小袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性素材より成り、開閉可能な開口部を有する外袋の内部に、透水性素材より成る内袋を着脱自在に固定し、該内袋の内部に膨潤性吸水材を収納したことを特徴とする土嚢。
【請求項2】
前記外袋及び内袋が相似の直方体形状に形成されている請求項1に記載の土嚢。
【請求項3】
前記外袋の四隅に内袋の四隅が固定されている請求項1又は2に記載の土嚢。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−293260(P2009−293260A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147029(P2008−147029)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(502456851)株式会社キ−ストン (1)
【Fターム(参考)】